説明

ジルコノセン錯体およびハフノセン錯体の少なくとも1つを有する有機発光ダイオード

本発明は、有機発光ダイオード(OLEDs)におけるエミッター分子としての周期律表の第4副族の金属のメタロセン錯体の使用、OLEDsにおける発光層としてのメタロセン錯体の使用、少なくとも1つのメタロセン錯体を含有する発光層、この発光層を含むOLEDならびに本発明によるOLEDを含む装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(OLEDs)におけるエミッター分子としての周期律表の第4副族の金属のメタロセン錯体の使用、OLEDsにおける発光層としてのメタロセン錯体の使用、少なくとも1つのメタロセン錯体を含有する発光層、この発光層を含むOLEDならびに本発明によるOLEDを含む装置に関する。
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)において、この有機発光ダイオードが電流によって励起される場合には、光を放出する材料の性質が利用される。OLEDsは、陰極線管の代替物としておよび平面画像スクリーンを製作するための液晶ディスプレイとして殊に重要である。極めてコンパクトな構造形式および固有の低い電流使用量のために、OLEDsを含む装置は、殊に携帯電話、ラップトップ等への使用に適している。
【0003】
電流による励起の際に光を放出する数多くの材料が提案された(エレクトロルミネセンス)。
【0004】
次に記載された公知技術水準には、特殊なジルコニウム錯体のフォトルミネセンスが記載されている。有機発光ダイオード(OLEDs)への使用に必要とされるジルコノセン錯体(Zirconocenkomplexen)またはハフノセン錯体(Hafnocenkomplexen)のエレクトロルミネセンスに関連して、公知技術水準は、公知ではない。
【0005】
Vogler et al, Eur. J. Inorg. Chem. 1998, 1863〜1865の記載は、(2,2′−ビスキノリノラト)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)における配位子−配位子−電荷移動の試験に関する。前記錯体は、この錯体が光で励起される場合に電磁スペクトルの可視範囲内での放出を示す。
【0006】
Loukova et al., Chemical Physics Letters 329 (2000) 437〜442の記載は、元素の周期律表のメタロセン基IVaにおける燐光により励起される状態に関する。前記錯体は、この錯体が光で励起される場合に発光を示す。
【0007】
Yam et al., Journal of Organometallic Chemistry 548 (1997) 289〜294の記載は、式(η5−C552Zr(SC64R−p)2〔式中、RはCl、MeまたはOMeを表わす〕で示されるジルコニウムチオラート錯体の合成に関する。前記錯体は、光での励起の際に電磁スペクトルの可視範囲内での発光を示す。
【0008】
前記刊行物の何れにもジルコノセン錯体およびハフノセン錯体のエレクトロルミネセンスについては述べられていない。
【0009】
電磁スペクトルの青色範囲、赤色範囲および緑色範囲でエレクトロルミネセンスを示す化合物が既に公知であったとしても、物質中でも発光層として使用可能な他の化合物を準備することが望ましい。エレクトロルミネセンスとは、エレクトロ蛍光ならびにエレクトロ燐光であると理解することができる。
【0010】
従って、本発明の課題は、OLEDsの種々の層への使用に適している化合物種を準備すること、殊に電磁スペクトルの青色範囲、赤色範囲および緑色範囲でのエレクトロルミネセンスに適してる化合物を準備することであり、それによってフルカラーディスプレイの製作が可能になる。
【0011】
この課題は、OLEDs中へ元素の周期律表の第4副族の金属のメタロセン錯体を使用することによって解決される。
【0012】
メタロセン錯体は、OLEDsの発光層中で発光体物質またはマトリックス材料として使用されてよい。更に、メタロセン錯体は、正孔阻止剤として、例えばOLEDsの発光層と電子移動層との間に配置されている、正孔のための阻止層中で使用される。好ましくは、メタロセン錯体は、発光体分子として発光層中で使用される。
【0013】
元素の周期律表の第4副族の金属として、好ましくは、ZrおよびHfが使用される。
【0014】
特に有利には、式(I)
【化1】

【0015】
〔式中、符号は、次の意味を有する:
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10は、互いに独立にH、アルキル、アリール、アルコキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ハロゲン、CN、SCN、NO2CR1718NR1920、CF3を表わし;この場合R17、R18、R19、R20は、それぞれ互いに独立にH、アルキルまたはアリールを表わすか;
または
2個の隣接した基は、2個の隣接した基が結合している炭素原子と一緒に飽和または不飽和で置換されていてもよいし、置換されていなくともよく、場合によっては有利にN、OまたはSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有していてよい環状基を形成し、
および/または
5およびR10は、一緒になって、一般式−(CR1314−〔式中、R13およびR14は、それぞれ互いに独立にH、アルキルまたはアリールを表わし、nは、1〜2を表わし、n個の基−(CR1314)−中の基R13およびR14は、同一でも異なっていてもよく、1個以上の基−(CR1314)−中で炭素原子は、SiまたはBによって置換されていてよい〕を有する1つの橋を形成し;
11、R12は、互いに独立にアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、CN、SCN、CO、アルキニル、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミド、アリールアミド、トリフルオロメタンスルホネートであるかまたは前記基の1つは、式Iのもう1つのジルコノセン錯体またはハフノセン錯体に対してμ−オキソ橋を形成するか、
またはR11およびR12は、一緒になって二座配位子を形成し;
Mは、Zr、Hfを表わす〕で示される中性のジルコノセン錯体およびハフノセン錯体が有機発光ダイオード(OLEDs)中で使用される。
【0016】
式Iのジルコノセン錯体またはハフノセン錯体は、有利にマトリックス材料として使用されるか、発光層中で発光体分子として使用されるか、または正孔阻止剤として使用される。特に好ましいのは、発光層中での発光体分子としての式Iのジルコノセン錯体またはハフノセン錯体の使用である。
【0017】
本発明の範囲内で、アリール基または複数のアリール基、アルキル基または複数のアルキル基、アルコキシ基または複数のアルコキシ基およびアリールオキシ基または複数のアリールオキシ基は、次の意味を有する:
アリール基(または複数のアリール基)は、6〜30個の炭素原子、有利に6〜18個の炭素原子の基本骨格を有する、芳香環または多数の縮合された芳香環から形成されている基である。適当な基本骨格は、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニルまたはフェナントレニルである。前記の基本骨格は、置換されていない(即ち、置換可能である全ての炭素原子は、水素原子を有する)かまたは基本骨格の1つの置換可能な位置、複数の置換可能な位置または全ての置換可能な位置で置換されていてよい。適当な置換基は、例えばアルキル基、有利に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、特に有利にメチル、エチル、イソプロピルまたは第三ブチル、アリール基、有利に置換されていてもよいし、置換されていなくともよいC6−アリール基、ヘテロアリール基、有利に少なくとも1個の窒素原子を有するヘテロアリール基、特に有利にピリジル基、アルケニル基、有利に二重結合を有するアルケニル基、特に有利に1個の二重結合および1〜8個の炭素原子を有するアルケニル、または供与体または受容体の作用を有する基である。供与体の作用を有する基は、+1効果および/または+M効果を有する基であり、受容体の作用を有する−I−効果および/または−M−効果を有する基である。供与体の作用または受容体の作用を有する適当な基は、ハロゲン基、有利にF、Cl、Br、特に有利にP、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH2F基、CHF2基、CF3基、CN基、チオ基またはSCN基である。特に有利には、アリール基は、メチル、F、Clおよびアルコキシからなる群から選択された置換基を有するかまたはアリール基は、置換されていない。好ましくは、アリール基または複数のアリール基は、場合によっては前記の置換基の少なくとも1個で置換されているC6−アリール基である。特に好ましくは、C6−アリール基は、前記の置換基を有しないか、前記の置換基の1個または2個を有し、この場合置換基の1個は、有利にアリール基の他の結合位置に対してパラ位で配置されており、2個の置換基の場合には、これらの置換基は、それぞれアリール基の他の結合位置に対してメタ位で配置されている。特に有利には、C6−アリール基は、置換されていないフェニル基である。
【0018】
1個のアルキル基または複数のアルキル基は、1〜20個の炭素原子、有利に1〜10個の炭素原子、特に有利に1〜8個の炭素原子を有する基である。前記のアルキル基は、分枝鎖状または非分枝鎖状であることができ、場合には、1個以上のヘテロ原子、有利にN、OまたはSで中断されていてよい。更に、前記のアルキル基は、アリール基に関連して記載された置換基の1個以上で置換されていてよい。同様に、アルキル基は、1個以上のアリール基を有することができる。この場合には、前記のアリール基の全てが適している。更に、アルキル基または複数のアルキル基は、3〜10個の環内原子、有利に4〜7個の環内原子を有する環状アルキル基であることができる。環内原子は、炭素原子であり、この場合1個以上の炭素原子は、ヘテロ原子、有利にN、OまたはSによって置換されていてよい。環状アルキル基は、分枝鎖状または非分枝鎖状のアルキル基に関連して既に記載されて置換基で置換されていてよい。特に好ましいのは、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、第三ブチル、第二ブチル、イソペンチル、n−ペンチル、第二ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルおよび第二ヘキシル、シクロヘキシルおよびシクロペンチルからなる群から選択されたアルキル基である。特に好ましいのは、メチル、イソプロピル、第三ブチルおよびn−ヘキシルである。
【0019】
1個のアルコキシ基または複数のアルコキシ基は、R15が前記に定義されているようなアルキル基である一般式−OR15の基である。従って、好ましいアルコキシ基は、−O−メチル、−O−エチル、−O−イソプロピル、−On−プロピル、−O−イソブチル、−O−n−ブチル、−O−第三ブチル、−O−第二ブチル、−O−イソペンチル、−O−n−ペンチル、−O−第二ペンチル、−O−ネオペンチル、−O−n−ヘキシル、−O−イソヘキシルおよび−O−第二ヘキシルである。特に好ましいのは、−O−メチル、−O−イソプロピル、−O−第三ブチルおよび−O−n−ヘキシルである。
【0020】
1個のアリールオキシ基または複数のアリールオキシ基は、R16が前記に定義されているようなアリール基である一般式−OR16の基である。アリールオキシ基としては、基−O−フェニルの1つの基が特に有利である。
【0021】
1個のアルキルチオ基または複数のアルキルチオ基は、R21が前記に定義されているようなアルキル基である一般式−SR21の基である。従って、好ましいアルキルチオ基は、−S−メチル、−S−エチル、−S−イソプロピル、−S−n−プロピル、−S−イソブチル、−S−n−ブチル、−S−第三ブチル、−S−第二ブチル、−S−イソペンチル、−S−n−ペンチル、−S−第二ペンチル、−S−ネオペンチル、−S−n−ヘキシル、−S−イソヘキシルおよび−S−第二ヘキシルである。特に好ましいのは、−S−メチル、−S−イソプロピル、−S−第三ブチルおよび−S−n−ヘキシルである。
【0022】
1個のアリールチオ基または複数のアリールチオ基は、R22が前記に定義されているようなアリール基である一般式−SR22の基である。アリールチオ基としては、基−S−フェニルの1つの基が特に有利である。
【0023】
置換基ハロゲンは、有利にF、ClまたはBr、特に有利にClまたはBr、殊に有利にClである。
【0024】
二座配位子は、2つの配位を有する配位子である。適当な二座配位子は、例えばビス(キノリノラート)、2,2′−ビピリジン、2,2′−ビピリジンジスルホネートおよびフェナントロリンである。
【0025】
本発明の1つの好ましい実施態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、互いに独立にHまたはアルキル、特に有利にメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、第三ブチル、第二ブチル、イソペンチル、n−ペンチル、第二ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルおよび第二ヘキシルからなる群から選択されたアルキル、殊に有利にメチル、イソプロピル、第三ブチルおよびn−ヘキシルからなる群から選択されたアルキル;またはハロゲン、有利にF、ClおよびBrからなる群から選択されたハロゲン、特に有利にClを表わす。
【0026】
更に、1つの好ましい実施態様において、2個の隣接した基は、これらの基が結合している炭素原子と一緒になって環状基、有利に5または6員の飽和または不飽和であってよい環を形成し、この場合には、不飽和の環状基は、芳香族基であってもよく、置換されていてもよいし、置換されていなくともよい。適当な置換基は、有利にアルキル、アリール、アルコキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ハロゲン、CN、SCNおよびNO2からなる群から選択され、この場合には、アルキル基が好ましい。適当なアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびハロゲン原子は、既に前記したものである。
【0027】
しかし、有利には、環状基は、置換されていない。例えば、式Iの化合物の環状の配位子の1つに隣接した2個の基は、これらの基が結合している炭素原子と一緒になってオルト−フェニレン基を形成することができ、したがって環状の配位子は、インデニル配位子である。しかし、同様に、式Iの化合物の環状の配位子に隣接した2個の基、例えばR1およびR2ならびにR3およびR4は、これらの基が結合している炭素原子と一緒になってそれぞれオルト−フェニレン基を2回形成することができ、したがって環状の配位子は、フルオレニル配位子である。以下、中心のシクロペンタジエニル基をベースとする式Iの化合物の全ての環状配位子は、シクロペンタジエニル配位子と呼称される。
【0028】
更に、R5およびR10は、一緒になってR13およびR14がそれぞれ互いに独立にHまたはメチルを表わしかつnが1または2、特に有利に1を表わす一般式−(CR1314n−の橋を形成することができる。基−(CR1314)−中のC原子は、既に記載された置換基R13およびR14を有することができるSi原子によって置換されていてよい。特に好ましくは、式−(CR1314n−の橋は、式−(CH32C−、−(CH22−または−(CH32Si−の橋である。
【0029】
殊に好ましくは、基R1およびR6、R2およびR7、R3およびR8、R4およびR9ならびにR5およびR10は、それぞれ同一である。これは、式I中の2個のシクロペンタジエニル配位子が同様の置換パターンを有することを意味する。
【0030】
基R11およびR12は、互いに独立にアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、CN、SCN、アルキルチオ、アリールチオ、CO、アルキニル、アルキルアミド、アリールアミド、トリフルオロメタンスルホネートであるかまたは前記基R11またはR12の1つは、式Iのもう1つのジルコノセン錯体またはハフノセン錯体に対するμ−オキソ橋を形成する。適当なアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基およびハロゲン原子は、既に前記したものである。好ましくは、R11およびR12は、互いに独立にアルキル、アルコキシまたはハロゲンである。特に好ましい基R11およびR12は、CH3、OCH3およびClからなる群から選択されている。殊に好ましくは、基R11とR12は、同一である。更に、R11およびR12は、一緒になって二座配位子を形成することができる。適当な二座配位子は、既に記載されたものである。特に好ましくは、R11およびR12は、Clである。
【0031】
1つの好ましい実施態様において、本発明は、符号が次の意味を有するような式Iの化合物の使用に関する:
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10は、互いに独立にH、アルキル、アリールまたはハロゲンを表わすか
または
2個の隣接した基は、これらの基が結合している炭素原子と一緒になってオルト−フェニレン基を形成し;
および/またはR5とR10は、一緒になって、R13およびR14がそれぞれメチルを表わし、nが1を表わし、かつC原子がSiによって置換されていてよい一般式−(CR1314N−の橋を形成し;
11、R12は、互いに独立にアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオまたはハロゲンを表わす。
【0032】
好ましい基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10ならびに好ましい基R11、R12およびR13ならびにR14は、既に前記されたものである。
【0033】
殊に、有利に使用される式Iのジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、次に記載されており、この場合Mは、ZrまたはHfを表わし、racは、相応する錯体のラセミ形であり、mesoは、前記錯体のメソ形を意味する。
【0034】
【化2】

【0035】
前記の中性のジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、有機発光ダイオード(OLEDs)中で発光体分子として顕著に好適である。配位子の簡単な変形によって、電磁スペクトルの赤色範囲、緑色範囲ならびに殊に青色範囲でエレクトロルミネセンスを示すジルコノセン錯体およびハフノセン錯体を準備することが可能になる。従って、本発明により使用される中性のジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、工業的使用可能なフルカラーディスプレイへの使用に適している。
【0036】
ジルコノセン錯体およびハフノセン錯体の製造は、当業者に公知の方法により行なわれる。更に、本発明により使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体の若干は、商業的に入手可能である。
【0037】
例えば、通常の製造法は、式Iの化合物のシクロペンタジエニル配位子に相応する配位子前駆体の脱プロトン化および引続く一般的に原位置での適当なジルコニウムまたはハフニウムを含有する金属錯体との反応である。適当なジルコニウムまたはハフニウムを含有する金属錯体は、一般に商業的に得ることができるかまたは当業者に公知の方法により製造可能であり、有利に基R11およびR12の基を含有する。それによって、ジルコニウムまたはハフニウムを含有する好ましい金属錯体、例えばZrCl2、HfCl4は、ZrCl4およびHfCl4のTHF付加物、CpZrCl3およびCpHfCl3のTHF付加物である。
【0038】
また、式Iの化合物のシクロペンタジエニル配位子に相応する配位子前駆体は、ジルコニウムまたはハフニウムを含む塩基、例えばZr(NEt24またはHf(NEt24と当業者に公知の方法により反応されてもよい。
【0039】
式Iのジルコノセン錯体およびハフノセン錯体のシクロペンタジエニル配位子を生じるのに適した配位子前駆体は、当業者に公知であり、商業的に得ることができるかまたは当業者に公知の方法により製造可能である。
【0040】
配位子の脱プロトン化を行なう場合には、この脱プロトン化は、殊に微細に分布された形のアルカリ金属、塩基性メタラート(basische Metallate)、塩基性アニオン、例えば金属アセテート、アセチルアセトナートまたはアルコキシラートまたは外部塩基、例えばKOtBu、NaOtBu、LiOtBu、NaH、金属アルキル、例えばブチルリチウム、メチルリチウム、シリルアミド、Li−ヘキサメチルジシラジドならびにホスファゼン塩基によって行なうことができる。
【0041】
反応は、有利に溶剤中で行なわれる。適当な溶剤は、当業者に公知の非プロトン性溶剤であり、有利に芳香族溶剤および脂肪族溶剤から選択される。特に有利には、芳香族溶剤、例えばトルエンおよびベンゼン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、第三ブチルエーテルおよび第三ブチルメチルエーテル、ならびにハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンが使用される。
【0042】
橋を有しない配位子の場合、使用されたジルコニウムまたはハフニウムを含有する金属錯体と使用された配位子前駆体とのモル比は、有利に0.7:2.0〜1.5:2.0、特に有利に0.9:2.0〜3.1:2、殊に有利に1:2である。橋を有する配位子の場合、モル比は、有利に0.7:1.0〜1.5:1.0、特に有利に0.9:1.0〜1.1:1.0、殊に有利に1:1である。
【0043】
反応は、一般に−100℃〜+200℃、有利に−100℃〜+100℃、特に有利に−78℃〜+50℃の温度で行なわれる。
【0044】
反応時間は、望ましいジルコノセン錯体またはハフノセン錯体に依存し、一般に1時間〜50時間、有利に2時間〜30時間、特に有利に5時間〜25時間である。
【0045】
式Iの得られたジルコノセン錯体またはハフノセン錯体は、当業者に公知の方法により後処理される。例えば、生成されたジルコノセン錯体またはハフノセン錯体は、反応溶液から非極性の溶剤、例えばn−ペンタンまたはn−ヘキサンで沈殿され、濾過され、例えば沈殿時に使用される溶剤で洗浄され、引続き乾燥される。例えば、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジクロロエタンまたはその混合物からの再結晶によって、高純度のジルコノセン錯体またはハフノセン錯体を得ることができる。
【0046】
式Iの本発明による使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、発光体物質として卓越している。それというのも、前記錯体は、電磁スペクトルの可視範囲で放出(エレクトロルミネセンス)を有するからである。発光体物質としての本発明により使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体を用いて、エレクトロルミネセンスを電磁スペクトルの赤色範囲、緑色範囲ならびに青色範囲で有する化合物を準備することができる。それによって、発光体物質としての本発明による使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体を用いて、工業的に使用可能なフルカラーディスプレイを準備することができる。更に、ジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、例えばOLEDsの発光層と電子移動層との間に配置されている、OLED中の正孔のための阻止層中で正孔阻止剤として適している。異なる層中での本発明により使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体の使用は、メタロセン錯体のHOMOの状態、ひいてはメタロセン錯体の置換パターンに依存する。
【0047】
式Iのジルコノセン錯体およびハフノセン錯体の特殊な性質は、これらの錯体が固体中で電磁スペクトルの可視範囲で発光、特に有利にエレクトロルミネセンスを示すことである。固体中で発光する前記錯体は、物質中で、即ち他の添加剤なしに、OLEDs中の発光体物質として使用されうる。それによって、発光層を有するOLEDを製作することができ、この場合には、発光体物質でのマトリックス材料の費用のかかる蒸着(Coverdampfung)を必要としない。
【0048】
従って、本発明の他の対象は、式Iの少なくとも1つのジルコノセン錯体および/または少なくとも1つのハフノセン錯体を含有する有機発光ダイオード(OLEDs)である。
【0049】
有機発光ダイオードは、原則的に多数の層から形成されている:
1.アノード、
2.正孔移動層、
3.発光層、
4.電子移動層、
5.カソード。
【0050】
ジルコノセン錯体および/またはハフノセン錯体は、OLEDsの種々の層中で使用されることができ、HOMOの状態に依存して、例えばジルコノセン錯体および/またはハフノセン錯体は、正孔のための阻止層中での正孔阻止剤としてまたは発光層中での発光体分子として使用されてよい。
【0051】
有利に、ジルコノセン錯体および/またはハフノセン錯体は、発光層中で発光体分子として使用される。従って、本発明の他の対象は、少なくとも1つのジルコノセン錯体および/または少なくとも1つのハフノセン錯体を含有する発光層である。好ましいジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、既に前記に記載されている。
【0052】
本発明により使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、物質中で、他の添加剤なしに、発光層中に存在していてよい。しかし、同様に、本発明により使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体と共に、他の化合物が発光層中に存在することも可能である。例えば、蛍光染料が存在していてもよく、発光体分子として使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体の発光色を変化させる。更に、希釈材料が使用されてよい。この希釈材料は、ポリマー、例えばポリ(N−ビニルカルバゾール)またはポリシランであることができる。しかし、希釈材料は、同様に小さな分子、例えば4,4′−N,N′−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、テトラアリールシランまたは第三級芳香族アミンであることができる。希釈剤を使用する場合には、発光層中での本発明により使用されるジルコノセン錯体および/またはハフノセン錯体の含量は、一般に20質量%未満、有利に3〜10質量%である。好ましくは、ジルコノセン錯体および/またはハフノセン錯体が物質中で使用され、それによってマトリックス材料(希釈材料または蛍光染料)でのジルコノセン錯体および/またはハフノセン錯体の費用のかかる蒸着は、回避される。そのために、ジルコノセン錯体およびハフノセン錯体が固体中で発光することは、本質的なことである。ジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、固体中で発光を示す。それによって、発光層は、有利に少なくとも1つのジルコノセン錯体および/またはハフノセン錯体を含有し、希釈材料および蛍光染料から選択されたマトリックス材料を含有しない。
【0053】
本発明の他の対象は、もう1つの実施態様において、少なくとも1つのジルコノセン錯体および/または少なくとも1つのハフノセン錯体からなる発光層である。好ましい錯体は、既に前記に記載された。
【0054】
OLEDsの前記層の個々の層は、再び2つまたはそれ以上の層から形成されていてよい。例えば、正孔移動層は、電極から正孔が注入される層と正孔が注入される層から離れて正孔が発光層中に移動する層とから形成されていてよい。電子移動層は、同様に多数の層、例えば電子が電極を通じて注入される層と電子を注入する層から電子を得ることができ、発光層中に移動させる層とからなることができる。この記載された層は、それぞれファクター、例えばエネルギー水準、耐温度性および電荷キャリヤ移動度ならびに記載された層と有機層または金属電極とのエネルギー差により選択される。当業者は、本発明により発光体物質として使用されるジルコノセン錯体および/またはハフノセン錯体に最適に適合されるようにOLEDsの構造を選択する状態にある。
【0055】
特に効率の良いOLEDsを得るために、正孔移動層のHOMO(最高被占分子軌道)は、アノードの作業機能と適合されており、電子移動層のLUMO(最低空分子軌道)は、カソードの作業機能と適合されている。
【0056】
更に、本発明の対象は、少なくとも1つの本発明による発光層を含むOLEDである。OLED中の他の相は、通常このような層中で使用されかつ当業者に公知である任意の材料から形成されていてよい。
【0057】
アノード(1)は、プラスの電荷キャリヤを準備する電極である。このアノードは、金属、種々の金属の混合物、金属合金、金属酸化物または種々の金属酸化物の混合物を含有する材料から形成されていてよい。また、アノードは、導電性ポリマーであってよい。適当な金属は、元素の周期律表の第Ib族、第IVa族、第Va族および第VIa族の金属ならびに第VIII族の遷移金属を含む。アノードが光透過性である場合には、一般に元素の周期律表の第IIb族、第IIIb族および第IVb族の混合された金属酸化物、例えばインジウム−錫−酸化物(I−TO)が使用される。同様に、有機材料は、例えばNature, 第357巻, 第477〜479頁(1992年6月11日)の記載されているようなポリアニリンを含有していてよい。少なくともアノードまたはカソードは、少なくとも部分的に透明であり、形成された光を放出しうる。
【0058】
本発明によるOLEDsの層(2)の適当な正孔移動材料は、例えばKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technologie, 第4版, 第18巻, 第837〜860頁, 1996に開示されている。正孔移動分子ならびにポリマーは、正孔移動材料として使用されてよい。通常使用される正孔移動分子は、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(□-NPD)、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N′−ビス(4−メチルフェニル)−N,N′−ビス(4−エチルフェニル)−1,1’−(3,3′−ジメチル)ビフェニル]−4,4′−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N′,N′−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、p−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチル−フェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N′,N′−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン(TTB)およびポルフィリン化合物、例えば銅フタロシアニンからなる群から選択されている。通常使用される正孔移動ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシランおよびポリアニリンからなる群から選択されている。同様に、正孔移動分子をポリマー中、例えばポリスチレンおよびポリカーボネート中でドープすることによって正孔移動ポリマーを得ることができる。適当な正孔移動分子は、既に前記された分子である。
【0059】
本発明によるOLEDsの層に適した電子移動材料は、オキシノイド化合物でキレート化された金属、例えばトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、フェナントロリンをベースとする化合物、例えば2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)または4,7−ジフェニル−1.10−フェナントロリン(DPA)およびアゾール化合物、例えば2−(4−ビフェニリル)−5−(4−第三ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)および3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−第三ブチルフェニル)−3,2,4−トリアゾール(TAZ)を含む。この場合、層(4)は、電子移動の簡易化のために使用することができ、ならびに干渉層または遮断層としてOLEDsの層の界面での励起子の急冷を回避させるために使用することができる。特に、層(4)は、電子の移動度を改善し、励起子の急冷を減少させる。
【0060】
カソード(5)は、電子またはマイナスの電荷キャリヤの導入に使用される電極である。カソードは、アノードよりも僅かな作業機能を有する金属または非金属であってよい。陰極に適した材料は、元素の周期律表の第Ia族のアルカリ金属、例えばLi、Cs、元素の周期律表の第IIa族のアルカリ土類金属、元素の周期律表の第IIb族の金属および希土類金属ならびにランタニドおよびアクチニドからなる群から選択されている。更に、金属、例えばアルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウムならびにこれらの組合せ物が使用されてよい。更に、リチウムを含有する有機金属化合物またはLiFは、有機層とカソードとの間に施こされていてよく、動作電圧(Operating Voltage)を減少させる。
【0061】
本発明によるOLEDは、付加的に当業者に公知である他の層を含有することができる。例えば、層(2)と光を放出する層(3)との間には、プラスの電荷の輸送を簡易化しおよび/または層の結合の裂け目を互いに接するように適合させる1つの層が施こされていてよい。また、前記の他の層は、保護層として使用することができる。同様に、発光層(3)と層(4)との間には、付加的な層が存在していてよく、マイナスの電荷の輸送が簡易化されおよび/または層間の結合の裂け目が互いに接するように適合される。また、前記の他の層は、保護層として使用することができる。
【0062】
1つの好ましい実施態様において、本発明によるOLEDは、層(1)〜(5)以外に以下に記載された少なくとも1つの他の層を含む:
アノード(1)と正孔移動層(2)との間の正孔注入層;
正孔移動層(2)と発光層(3)との間の電子のための阻止層:
発光層(3)と電子移動層(4)との間の正孔のための阻止層:
電子移動層(4)とカソード(5)との間の電子注入層。
【0063】
当業者が(例えば、電気化学的試験をベースとして)適当な材料を選択しなければならないことは、当業者には公知である。個々の層に適した材料は、当業者に公知であり、例えばWO 00/70655中に開示されている。
【0064】
更に、本発明によるOLEDsの記載されたそれぞれの層は、2つまたはそれ以上の層から形成されていてよい。更に、層(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の若干または全部が表面処理されていてよく、電荷キャリヤの輸送効率を上昇させる。記載された層のそれぞれに対して材料を選択することは、有利に高い効率を有するOLEDを得ることによって定められる。
【0065】
本発明によるOLEDsは、当業者に公知の方法により製造することができる。一般に、OLEDは、個々の層を適当な支持体上に連続的に蒸着(Vapor deposition)させることによって製造される。適当な支持体は、例えばガラスまたはポリマーフィルムである。蒸着のために、通常の技術、例えば熱的蒸着、化学蒸着等が使用されてよい。1つの選択的方法において、適当な溶剤中の溶液または分散液からなる有機層が被覆されていてよく、この場合には、当業者に公知の被覆技術が使用される。
【0066】
一般に、種々の層は、次の厚さを有する:アノード(2)500〜5000Å、有利に1000〜2000Å;正孔移動層(3)50〜1000Å、有利に200〜800Å、発光層(4)10〜1000Å、有利に100〜800Å、電子移動層(5)50〜1000Å、有利に200〜800Å、カソード(6)200〜10000Å、有利に300〜5000Å。本発明によるOLED中での正孔および電子の再結合の状態、ひいてはOLEDの放出スペクトルは、それぞれの層の相対的厚さによって影響を及ぼされうる。これは、電子/正孔再結合帯域が発光層中に存在するように、電子移動層の厚さが有利に選択されることを意味する。OLED中で個々の層の層厚の比は、使用される材料に依存する。場合によっては使用される付加的な層の層厚は、当業者に公知である。
【0067】
本発明によるOLEDsの発光層中で発光体分子として本発明による使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体の使用によって、高い効率を有するOLEDsを得ることができる。更に、本発明によるOLEDsの効率は、別の層を最適化することによって改善されうる。例えば、高い効率のカソード、例えばCa、BaまたはLiFが使用されてよい。成形された支持体および動作電圧の減少または量子効率の上昇を生じさせる新規の正孔移動材料は、同様に本発明によるOLEDs中で使用可能である。更に、付加的な層がOLEDs中に存在していてよく、種々の層のエネルギーレベルが調節され、エレクトロルミネセンスが簡易化される。
【0068】
本発明によるOLEDsは、全ての装置中に使用されることができ、その中でエレクトロルミネセンスは、有用である。適当な装置は、有利に固定のディスプレイおよびモバイル用ディスプレイから選択されている。固定のディスプレイは、例えばコンピュータのディスプレイ、テレビ受像器、プリンタのスクリーン、台所道具ならびに宣伝用標識、照明および情報標識である。モバイル用ディスプレイは、例えば携帯電話、ラップトップ、乗り物におけるディスプレイならびにバスおよび鉄道の目的地表示板である。 更に、本発明により使用されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、逆の構造を有するOLEDs中で使用されてよい。好ましくは、ジルコノセン錯体およびハフノセン錯体は、前記の逆のOLEDs中で再び発光層中、特に有利に発光層として他の添加剤なしに使用される。前記の逆のOLEDsの構造および通常この構造に使用される材料は、当業者に公知である。
【0069】
実施例
例1
【化3】

【0070】
ジルコノセンジクロリドは、商業的に得ることができる。
UV/Vis(粉末):□max,em=451nm。
【0071】
例2
【化4】

【0072】
ハフノセンジクロリドは、商業的に得ることができる。
UV/Vis(粉末):□max,em=449nm。
【0073】
例3:
【化5】

【0074】
rac−エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドは、商業的に得ることができる。
UV/Vis(粉末):□max,em=458nm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオードにおける元素の周期律表の第4副族の金属のメタロセン錯体の使用。
【請求項2】
元素の周期律表の第4副族の金属としてZrおよびHfを使用する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
式I
【化1】

〔式中、符号は、次の意味を有する:
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10は、互いに独立にH、アルキル、アリール、アルコキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ハロゲン、CN、SCN、NO2、CR1718NR1920、CF3を表わし;この場合R17、R18、R19、R20は、それぞれ互いに独立にH、アルキルまたはアリールを表わすか;
または
2個の隣接した基は、2個の隣接した基が結合している炭素原子と一緒に飽和または不飽和で置換されていてもよいし、置換されていなくともよく、場合によっては1個以上のヘテロ原子を含有していてよい環状基を形成し、
および/または
5およびR10は、一緒になって、一般式−(CR1314−〔式中、R13およびR14は、それぞれ互いに独立にH、アルキルまたはアリールを表わし、nは、1〜2を表わし、n個の基−(CR1314)−中の基R13およびR14は、同一でも異なっていてもよく、1個以上の基−(CR1314)−中で炭素原子は、SiまたはBによって置換されていてよい〕を有する1つの橋を形成し;
11、R12は、互いに独立にアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、CN、SCN、CO、アルキニル、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミド、アリールアミド、トリフルオロメタンスルホネートであるかまたは前記基の1つは、式Iのもう1つのジルコノセン錯体またはハフノセン錯体に対するμ−オキソ橋を形成するか、
または
またはR11およびR12は、一緒になって二座配位子を形成し;
Mは、Zr、Hfを表わす〕で示されるジルコノセン錯体およびハフノセン錯体を有機発光ダイオード中で使用する、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10が、互いに独立にH、アルキル、アリールまたはハロゲンを表わすか
または
2個の隣接した基は、これらの基が結合している炭素原子と一緒になってオルト−フェニレン基を形成し;
および/または
5とR10は、一緒になって、R13およびR14がそれぞれメチルを表わし、nが1を表わし、かつC原子がSiによって置換されていてよい一般式−(CR1314n−の橋を形成し;
11、R12が、互いに独立にアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオまたはハロゲンを表わす、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
ジルコノセン錯体およびハフノセン錯体が
【化2】

〔式中、MはZrまたはHfを表わし、racは、相応する錯体のラセミ形を表わし、mesoは、相応する金属錯体のメソ形を表わす〕からなる群から選択されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
メタロセン錯体を発光体分子としてOLEDs中で使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのジルコノセン錯体および/またはハフノセン錯体を含有するOLED。
【請求項8】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのジルコノセン錯体および/または少なくとも1つのハフノセン錯体を含有する発光層。
【請求項9】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのジルコノセン錯体および/または少なくとも1つのハフノセン錯体からなる発光層。
【請求項10】
請求項8または9記載の発光層を含むOLED。
【請求項11】
請求項7または10記載のOLEDを含む、固定のディスプレイ、例えばコンピュータのディスプレイ、テレビ受像器、プリンタのスクリーン、台所道具ならびに宣伝用標識、照明、情報標識、およびモバイル用ディスプレイ、例えば携帯電話、ラップトップ、カラーテレビにおけるディスプレイならびにバスおよび鉄道の目的地表示板からなる群から選択された装置。

【公表番号】特表2007−532705(P2007−532705A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506707(P2007−506707)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003516
【国際公開番号】WO2005/098988
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】