スイッチシート
【課題】スイッチ用ドームの中心から離れた位置で押されても操作感触性及び耐久性を良好にし、電子機器用スイッチの小型化及び薄型化に貢献するスイッチシートを提供する。
【解決手段】スイッチシート1は、シート材13Aの内面に粘着剤層13Bを塗布してなるドーム押えシート13と、このドーム押えシート13の内面の所定位置に配置する複数のスイッチ用ドーム11であって、基板5上の接点部7Aをほぼ中央にして覆うように配置可能で、且つ前記接点部7Aに接離可能な可撓性を備えた椀型形状の導電性材料からなるスイッチ用ドーム11と、前記複数の各スイッチ用ドーム11の頭頂部と前記ドーム押えシート13との間に介在した突起物15と、で構成されていることを特徴とする。
【解決手段】スイッチシート1は、シート材13Aの内面に粘着剤層13Bを塗布してなるドーム押えシート13と、このドーム押えシート13の内面の所定位置に配置する複数のスイッチ用ドーム11であって、基板5上の接点部7Aをほぼ中央にして覆うように配置可能で、且つ前記接点部7Aに接離可能な可撓性を備えた椀型形状の導電性材料からなるスイッチ用ドーム11と、前記複数の各スイッチ用ドーム11の頭頂部と前記ドーム押えシート13との間に介在した突起物15と、で構成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチシートに関し、特に携帯電話などの小型電子機器に組み込まれる電子機器用スイッチにおけるスイッチシートに関する。
【背景技術】
【0002】
図15を参照するに、従来、携帯電話、デジタルカメラ、PDA、MD、CDプレーヤ、その他の電子機器に用いられる電子機器用スイッチ101には、良好な操作感触性と高い導電性が要求され、一般的に、スイッチシート103とこのスイッチシート103を押し込むためのキーマット105とから成るスイッチモジュールに採用されている。
【0003】
従来の電子機器用スイッチ101は、PCB(Printed Circuit Board)もしくはFPC(Flexible Printed Circuit)などのプリント配線基板107に導電性材料からなる接点部109Aが備えられ、この接点部109Aの周りに接点部109Bが環状に備えられている。
【0004】
スイッチシート103は、前記接点部109Aに接離可能な可撓性を備えて例えば直径4mm〜6mmの椀型形状の導電性材料からなるスイッチ用ドーム111(メタルドーム)が、その外周を接点部109Bに接続して載置されるもので、前記スイッチ用ドーム111は椀型形状の凸面側が例えば樹脂シートからなるドーム押えシート113により貼着されて基板107上に押さえられ位置決めされている。
【0005】
上記のドーム押えシート113は、例えばポリエチレンもしくはポリエステルシートからなるシート材113Aと、このシート材113Aの下面に塗布した例えばアクリル系もしくはシリコン系粘着材からなる粘着剤層113Bとから構成されるものであり、スイッチ用ドーム111を保持する粘着剤層113Bはそのまま基板107の表面に貼り付けられる粘着剤と同じである。
【0006】
上記のスイッチ用ドーム111は、導電性材料としての例えばステンレスもしくは銅系金属の板材を加工することによって得られる。さらに、スイッチ用ドーム111は上記の接点部109Aをほぼ中央にして覆うように、つまり椀型形状の凹面の中心方向側に前記接点部109Aが位置するように配置されている。
【0007】
さらに、電子機器用スイッチ101は、上記のドーム押えシート113の上方に、スイッチシート103を押し込むためのアクチュエータとしての例えばキーマット105が図示しないスプリング等の付勢手段により図15において常時上方へ付勢されており、プリント配線基板107から離間した位置に配置されている。
【0008】
キーマット105はシリコンラバーもしくはウレタンシートにポリカーボネイト等の硬質プラスチックを付帯させたものである。また、キーマット105には、例えば特許文献1に示されている携帯電話機に使用されているものと基本的に同様であり、スイッチ用ドーム111を押し込むための突起部105Aを有している。
【0009】
また、スイッチシート103とキーマット105は、位置決め穴などを用いて、キーマット105の突起部105Aが直接もしくは間接的にスイッチ用ドーム111の直上に位置するように組み立てられる。
【0010】
したがって、上記のキーマット105が人の指で押し込まれると、ドーム押えシート113の上からスイッチ用ドーム111の頂点付近が押し下げられる。スイッチ用ドーム111はその頂点付近が反転して凹むように押し込まれて接点部109Aに接触して導通状態になり、電子機器用スイッチ101がON状態となる。上記のように、スイッチ用ドーム111が反転して凹む際に、クリック感が得られるようになっている。
【0011】
図16を参照するに、スイッチ用ドーム111を押した際の荷重−変位曲線が図示されている。操作感触性は極大値の荷重P1、極小値の荷重P2、ストロークS2によって評価される。押し込む力は極大値P1、座屈感触はクリック率〔=(P1−P2)/P1〕にて評価され、押し込み深さはS2にて評価される。一般的に、クリック率が高い値ほど、また押し込み深さS2が大きいほど良好な感触となる。
【0012】
また、他の従来の電子機器用スイッチとしては、特許文献2に示されているように、スイッチシートはスイッチ用ドームが椀型形状の頭頂部に突出部を有しており、このスイッチ用ドームがドーム押えシートにより貼着されて基板上に押さえられ位置決めされる。なお、前記突出部はスイッチ用ドームを例えば金属板材をプレス成形する際に一体成形で形成されるものである。
【0013】
したがって、キーマットが人の指で押し込まれると、ドーム押えシートの上からスイッチ用ドームの突出部を介して頂点付近が反転して凹むように押し込まれる。
【0014】
また、他の従来の電子機器用スイッチとしては、特許文献3に示されているように、スイッチシートは椀型形状のスイッチ用ドームがドーム押えシートにより貼着されて基板上に押さえられ位置決めされており、前記ドーム押えシートの上には円柱状の突起がスイッチ用ドームの頭頂部に相当する位置に粘着剤で貼着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平11−331329号公報
【特許文献2】特開2001−135189号公報
【特許文献3】特開2002−216582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、図15に示されている従来の電子機器用スイッチ101は、下記の問題点を有している。
【0017】
(1)スイッチ用ドーム111は、表1に示されているように、一般的にスイッチ用ドーム111の中心部から離れた位置(この実施の形態では「打鍵オフセット位置」という)で押される、所謂「偏心押し」されるほど、操作感触性及び耐久性が低下する。このことから、スイッチ用ドーム111の部材の高い寸法精度及び部材間の高い組み立て位置精度が要求される。
【表1】
【0018】
(2)キーマット105とドーム押えシート113は、それぞれ、位置決めのための位置決め穴が必要なことから、小さいスイッチにも位置決め穴を設ける必要があり、小エリア化が困難である。
【0019】
(3)スイッチ用ドーム111の寸法が小さくなるにつれて押し込み時の偏心距離が与える操作感触劣化の影響は大きくなる。そのため、近年のスイッチモジュールの小型化に伴うスイッチ用ドーム111の小型により、寸法の高精度化が要求される。つまり、部材の要求寸法精度は一層高くなるという問題点があった。
【0020】
(4)スイッチ用ドーム111を押し込むためのキーマット105に付帯する突起部105Aが必要であり、これに伴って薄型化が困難であり、高コストとなる。
【0021】
(5)部材間の位置精度のばらつきが発生しやすいため、スイッチ用ドーム111ごとに感触が異なり、全体的に操作感触の大きなばらつきが発生する。
【0022】
また、特許文献2に示されている従来の電子機器用スイッチは、スイッチ用ドームの頭頂部の突出部は一体成形であるので、小型化に伴って突出部の高さや大きさの精度を高くすることが難しく、薄型化が困難であり、高コストとなる。
【0023】
また、特許文献3に示されている従来の電子機器用スイッチは、経年使用などによる粘着力低下によって、円柱状の突起が潰れたり、脱落したりするという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記発明が解決しようとする課題を達成するために、この発明のスイッチシートは、シート材の内面に粘着剤層を塗布してなるドーム押えシートと、
このドーム押えシートの内面の所定位置に配置する単独または複数のスイッチ用ドームであって、基板上の接点部をほぼ中央にして覆うように配置可能で、且つ前記接点部に接離可能な可撓性を備えた椀型形状の導電性材料からなるスイッチ用ドームと、
前記単独または複数の各スイッチ用ドームの頭頂部と前記ドーム押えシートとの間に介在した突起物と、で構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
また、この発明のスイッチシートは、前記スイッチシートにおいて、前記各スイッチ用ドームの頭頂部の突起物を覆う前記ドーム押えシートの部分に突起物用エンボス加工処理がされていることが好ましい。
【0026】
また、この発明のスイッチシートは、前記スイッチシートにおいて、前記突起物が、円柱形状もしくは立方体形状であると共に、シリコンラバー、金属、ポリエステルのいずれかの材質であることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明によれば、複数の各スイッチ用ドームの頭頂部と前記ドーム押えシートとの間に突起物を介在したので、スイッチ用ドームの中心から広い範囲でクリック率が高い値を示すことになる。したがって、たとえスイッチ用ドームの中心から離れた位置で押しても、従来の突起部を不要とするアクチュエータによって前記突起物を介して確実にスイッチ用ドームの頭頂部を下方へ押すことができる。その結果、アクチュエータとスイッチシートの部材間の高い組み立て寸法精度を確保することができるために組立容易となり、コスト削減ができる。
【0028】
また、上記の理由で、操作感触のばらつきが小さいもので、良好な操作感触が得られると共に、偏心押しがなくなるのでスイッチ用ドームの耐久性を向上できる。
【0029】
また、アクチュエータは突起部を不要とするので、アクチュエータの薄肉化が可能となり、電子機器用スイッチの小サイズ化及び薄肉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(A)は、この発明の実施の形態のスイッチシートを用いた電子機器用スイッチの部分的な断面図で、(B)は(A)のスイッチシートを押したときの状態説明図である。
【図2】図1(A)のスイッチシートを用いた電子機器用スイッチの断面図である。
【図3】この発明の実施の形態のスイッチシートの製造方法を示す概略的な斜視図である。
【図4】(A)は比較例のスイッチシートの断面図で、(B)はこの実施の形態の例のスイッチシートの断面図である。
【図5】(A)は直径φ1.0mmのアクチュエータで比較例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図6】(A)は直径φ1.0mmのアクチュエータでこの実施の形態の例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図7】(A)は直径φ1.5mmのアクチュエータで比較例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図8】(A)は直径φ1.5mmのアクチュエータでこの実施の形態の例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図9】(A)は直径φ2.0mmのアクチュエータで比較例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図10】(A)は直径φ2.0mmのアクチュエータでこの実施の形態の例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図11】(A)は直径φ2.6mmのアクチュエータで比較例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図12】(A)は直径φ2.6mmのアクチュエータでこの実施の形態の例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図13】図5〜図12の結果に基づいてそれぞれの条件におけるクリック率40%以上の安定範囲の大きさを示すグラフである。
【図14】図5〜図12により、比較例とこの実施の形態の例のスイッチシートのクリック率の全体的な傾向を比較したグラフである。
【図15】従来のスイッチシートを用いた電子機器用スイッチの断面図である。
【図16】スイッチ用ドームを押した際の荷重−変位曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0032】
図1(A),(B)を参照するに、この実施の形態に係るスイッチシート1は、携帯電話、デジタルカメラ、PDA、MD、CDプレーヤ、その他の電子機器に用いられる電子機器用スイッチ3に備えられるものである。電子機器用スイッチ3は、PCB(Printed Circuit Board)もしくはFPC(Flexible Printed Circuit)などのプリント配線基板5に導電性材料からなる接点部7Aが備えられ、この接点部7Aの周りに接点部7Bが環状に備えられており、前記接点部7Aと接点部7Bとの導通をON・OFFせしめるために、スイッチシート1とこのスイッチシート1を押し込むためのアクチュエータとしての例えばキーマット9とから構成されている。
【0033】
スイッチシート1には、前記接点部7Aと接点部7Bとの導通をON・OFFせしめるスイッチ用ドーム11が設けられている。このスイッチ用ドーム11としての例えばメタルドームは、前記接点部7Aに接離可能な可撓性を備えて例えば直径4mm〜6mmの椀型形状で、導電性材料からなっており、その外周を接点部7Bに接続して載置されるものである。上記のスイッチ用ドーム11は、その椀型形状の凸面側が例えば樹脂シートからなるドーム押えシート13により基板5上に押さえられ位置決めされている。
【0034】
また、上記のスイッチ用ドーム11は、導電性材料としての例えばステンレスもしくは銅系金属の板材を加工することによって得られる。さらに、上記の接点部7Aをほぼ中央にして覆うように、つまり椀型形状の凹面の中心方向側に前記接点部7Aが位置するように配置されている。したがって、スイッチ用ドーム11の頂点が下方へ押圧されると、頂点付近が反転して凹むように押し込まれて接点部7Aに接触し、導通するように位置している。
【0035】
また、前記複数の各スイッチ用ドーム11の頭頂部と前記ドーム押えシート13との間には突起物15が介在している。この突起物15の形状は、スイッチ用ドーム11の頭頂部に押圧力を集中させるものであれば良い。好ましくは、円柱形状もしくは直方体を含む立方体形状で、上面が平坦なものが良好である。その理由としては、上面が平坦であることにより、プランジャがずれた際にも同一平面で受けることが可能になるからである。
【0036】
上記の突起物15の突起高さは、スイッチ用ドーム11のストロークの1/3〜2/3程度が良好である。例えば、ストローク0.16mmのスイッチ用ドーム11に対して突起物15の突起高さが0.05mmから1.0mm程度が良好である。その理由としては、0.05mm未満であると、押し込み量が不足し、スイッチがONに達しないことがある。1.0mmを越えると、横ずれの力を受けやすくなり耐久性が劣るためである。
【0037】
さらに、突起物15の大きさは、スイッチ用ドーム11の直径に対して1/4〜3/4程度が良好である。例えば、直径4mmのスイッチ用ドーム11に対して突起直径が1.0mmから3.0mm程度が良好である。その理由としては、1.0mm未満であると、縦長ににり不安定に成りやすく、3.0mmを越えると、ドームの押下禁止範囲付近に達して、感触・寿命に悪影響を及ぼすためである。
【0038】
また、突起物15の材質は、シリコンラバー、金属、ポリエステルのいずれでも良い。その理由としては、アクチュエータのシリコンラバー以上の硬度があれば機能を発揮するからである。
【0039】
この実施の形態のドーム押えシート13は、例えば、シート材13Aが厚さ25〜75μmのポリエチレンもしくはポリエステルシートと、粘着剤層13Bがアクリル系もしくはシリコン系粘着材にて構成されている。この実施の形態ではドーム押えシート13は一層構造であり、スイッチ用ドーム11を保持する部分は粘着剤層13Bがなく、それ以外の部分が粘着剤層13Bで基板5の表面に貼り付けられる構成である。しかし、ドーム押えシート13の一面の全体に粘着剤層13Bが設けられていても良い。
【0040】
また、上記のドーム押えシート13には、上記の単独または複数の各スイッチ用ドーム11の接触部分に当該スイッチ用ドーム11を覆う形状のドーム用エンボス17(窪み)が処理されていることが望ましい。つまり、前記ドーム用エンボス17は、ドーム押えシート13の内側に凹部が形成され、且つドーム押えシート13の外側に凸部が形成されるもので、例えば前記凹部がスイッチ用ドーム11を覆い被さるように形成されることが望ましい。
【0041】
さらに加えて、各スイッチ用ドーム11の頭頂部に突起物15を配置する位置に、前記突起物15を覆う形状の突起物用エンボス19が処理されていることが望ましい。つまり、前記突起物用エンボス19は、ドーム用エンボス17のほぼ中央に設けられるもので、ドーム押えシート13の内側に凹部が形成され、且つドーム押えシート13の外側に凸部が形成されるもので、例えば上記の突起物15が前記凹部に嵌め込まれるように形成されることが望ましい。
【0042】
さらに、電子機器用スイッチ3について説明すると、キーマット9は上記のスイッチシート1の上方に図示しないスプリング等の付勢手段により図1(A)において常時上方へ付勢されており、プリント配線基板5から離間した位置に配置されている。
【0043】
上記構成により、上記のキーマット9の補強部9Aの部分が人の指で押し込まれると、図1(B)に示されているように、ドーム押えシート13の上からスイッチ用ドーム11の頭頂部の突起物15を介してスイッチ用ドーム11が下方へ押し下げられる。このスイッチ用ドーム11は頭頂部付近が反転して凹むように押し込まれて接点部7Aに接触して導通状態になり、電子機器用スイッチ3がON状態となる。上記のように、スイッチ用ドーム11が反転して凹む際に、良好なクリック感が得られるようになっている。このクリック感についての詳しくは後述する。
【0044】
図2には図1(A)のスイッチシート1を用いた電子機器用スイッチの断面図を示したものであり、図1(A)における部品と同じ部品には同じ符号を付してあり、図1(A)のスイッチシート1を複数用いただけであり、詳細な説明を省略する。
【0045】
次に、この発明の実施の形態のスイッチシート1の製造方法について説明する。
【0046】
図3を参照するに、ドーム押えシート13は、厚さ25〜75μmのポリエステル(PET)フィルムシートからなるシート材13Aと、このフィルムシートからなるシート材13Aの裏面に粘着剤層13Bを設けたものであり、複数のスイッチ用ドーム11を配置する所定の位置に複数のドーム用エンボス17とこのドーム用エンボス17のほぼ中央に突起物用エンボス19が形成されている。なお、複数のドーム用エンボス17と突起物用エンボス19は、例えばオス・メス型のプレス成形により同時にエンボス加工される。
【0047】
また、突起物15は、例えば厚さ125mmのポリエステル(PET)フィルムを金型で打ち抜き加工により製作されたものである。
【0048】
また、スイッチ用ドーム11は例えば材質がステンレス鋼・リン青銅の板材をプレス加工により椀型形状に加工したものである。
【0049】
スイッチシート1は、上記のドーム押えシート13と突起物15とスイッチ用ドーム11がそれぞれ図示しない治具を用いて図3に示されているように対応する位置に位置決めされて貼り合わされることにより、容易に製造することができる。
【0050】
次に、この実施の形態のスイッチシート1の効果性を説明するために、比較例としてのスイッチシート21と、この実施の形態の例のスイッチシート1を製作した。
【0051】
比較例のスイッチシート21は、図4(A)に示されているようにスイッチ用ドーム11の外面がシート材13Aの内面に粘着剤層13Bを設けたドーム押えシート13で覆われたものであり、突起物15及び突起物用エンボス19が無いものである。一方、この実施の形態の例のスイッチシート1は、図4(B)に示されているようにスイッチ用ドーム11の外面がシート材13Aの内面に粘着剤層13Bを設けたドーム押えシート13で覆われたものであり、スイッチ用ドーム11の頭頂部と前記ドーム押えシート13との間に突起物15が介在され、且つドーム押えシート13のスイッチ用ドーム11の頭頂部に該当する部分には突起物用エンボス19が設けられたものである。すなわち、比較例のスイッチシート21とこの実施の形態の例のスイッチシート1との違いは突起物15及び突起物用エンボス19があるか否かであり、他の構成の部材形状及び材質は同じである。
【0052】
また、突起物15は高さhが例えば0.125mmで、かつ直径dが例えば1.5mmである。突起物用エンボス19は高さHが例えば0.126mmで、かつ直径Dが例えば2.3mmである。
【0053】
上記の各スイッチシート1,21に対して直径が例えばφ1.0mm、φ1.5mm、φ2.0mm、φ2.6mmのアクチュエータで押圧したときに、スイッチ用ドーム11の中心から外周方向に離れた位置(いわゆる「打鍵オフセット位置」という)における極大値の荷重P1、極小値の荷重P2を測定し、その結果をグラフに図示した。また、上記の測定した極大値の荷重P1、極小値の荷重P2によりクリック率を計算し、その結果をグラフに図示した。その結果は、図5〜図12に示されている。
【0054】
なお、図5〜図12では、基本的には突起物15の有無により突起物用エンボス19の有無が生じるので、比較例のスイッチシート21は単に「エンボス無し」と記載し、この実施の形態の例のスイッチシート1は単に「エンボス有り」と記載している。
【0055】
なお、従来の技術で説明したように、スイッチ用ドーム11を押した際の荷重−変位曲線が図16に示されており、操作感触性は極大値の荷重(P1)、極小値の荷重(P2)、ストローク(S2)によって評価される。押し込む力は極大値P1、座屈感触はクリック率〔=(P1−P2)/P1〕にて評価され、押し込み深さはS2にて評価される。一般的に、クリック率が高い値ほど、また押し込み深さS2が大きいほど良好な感触となる。
【0056】
図5(A)、(B)では、比較例のスイッチシート21に対して直径φ1.0mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.5mmである。これと比較して、図6(A)、(B)では、この実施の形態の例のスイッチシート1に対して直径φ1.0mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.6mmである。
【0057】
図7(A)、(B)では、比較例のスイッチシート21に対して直径φ1.5mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.6mmである。これと比較して、図8(A)、(B)では、この実施の形態の例のスイッチシート1に対して直径φ1.5mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.8mmである。
【0058】
図9(A)、(B)では、比較例のスイッチシート21に対して直径φ2.0mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.6mmである。これと比較して、図10(A)、(B)では、この実施の形態の例のスイッチシート1に対して直径φ2.0mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は1.6mmである。
【0059】
図11(A)、(B)では、比較例のスイッチシート21に対して直径φ2.6mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.7mmである。これと比較して、図12(A)、(B)では、この実施の形態の例のスイッチシート1に対して直径φ2.6mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は1.8mmである。
【0060】
上記の図5(A)、(B)〜図12(A)、(B)の結果をまとめると、表2に示されているようになり、これをグラフに表すと、図13に示されるようになる。
【表2】
【0061】
すなわち、エンボス無しのスイッチシート21のP1及びP2は、エンボス有りのスイッチシート1より不安定である。また、エンボス無しのスイッチシート21のP2のグラフの曲線の傾斜度は、エンボス有りのスイッチシート1のP2より大きい。その結果、表2及び図13に示されているように、エンボス有りのスイッチシート1のクリック率40%以上の安定範囲は、エンボス無しのスイッチシート21のクリック率40%以上の安定範囲より大きいものであった。
【0062】
以上のことから、この実施の形態のスイッチシート1は下記の効果を奏する。
【0063】
(1)複数の各スイッチ用ドーム11の頭頂部と前記ドーム押えシート13との間に突起物15を介在したので、従来のキーマット9の突起部の代わりに、スイッチシート1に付帯する突起物15が同等の機能を果たすことができ、その結果、キーマット9とスイッチシート1に要求される位置決め精度を低くできる。
【0064】
図14は前述した図5〜図12の全体的な傾向としてまとめたもので、スイッチシート1、21の偏心押し(打鍵オフセット)とクリック率の特性が示されているように、この実施の形態の例の突起物有り(エンボス有り)のスイッチシート1はスイッチ用ドーム11の中心から広い範囲でクリック率40%以上の高い値を示している。一方、比較例の突起物無し(エンボス無し)のスイッチシート21はクリック率40%以上の高い値を示しているのは殆どスイッチ用ドーム11の中心付近の範囲である。
【0065】
(2)上記の(1)の理由で、アクチュエータであるキーマット9とスイッチシート1の公差を大きくすることが可能となったので、前記公差を大きくしても部材間の高い組み立て寸法精度を確保することができるために組立容易となり、その結果、コスト削減が可能となった。
【0066】
(3)上記の(1)の理由で、スイッチシート1はキーマット9とスイッチシート1において位置ずれを起こしても、スイッチ用ドーム11ごとの操作感触のばらつきが小さいものである。換言すれば、全体的に安定した良好な操作感触が得られるようになった。
【0067】
(4)上記の(1)の理由で、偏心押しがなくなるので、スイッチ用ドーム11の耐久性が向上した。
【0068】
この点については、比較例のスイッチシート21とこの実施の形態の例のスイッチシート1におけるスイッチ用ドーム11の耐久性の比較をすると、表1のごとく100万回までの打鍵で破断確率が1/4程度まで改善される。
【0069】
(5)従来では、シリコンラバー等の軟質材料からなるキーマット105および突起部105Aにてスイッチ用ドーム11の頭頂部を押していたため、キーマット105および突起物105Aの薄肉化が困難であったが、この実施の形態ではキーマット9に突起部をつける必要性がなくなったため、キーマット9の薄肉化が可能となり、スイッチモジュール(電子機器用スイッチ3)の小サイズ化、薄肉化が可能となった。
【0070】
この点については、比較例のスイッチシート21とこの実施の形態の例のスイッチシート1との小型化及び薄肉化の状況を比較をすると、従来のラバーシートの突起2〜0.3mm程度が不要となり、替わって1〜0.05mmの突起15に置き換わるため、1〜0.25mmの肉薄化が計られる。
【0071】
(6)ドーム押えシート13に突起物用エンボス19を設けたことにより、突起物15は脱落したり、ずれたりすることなく、確実にドーム押えシート13の頭頂部に位置することになるので、安定したクリック率を保持できる。
【0072】
また、製造時に突起15が容易に正規位置に納まり、生産性・歩留まり向上の効果を奏する。すなわち、より低価格の製品供給が可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 スイッチシート(この実施の形態の例))
3 電子機器用スイッチ
5 プリント配線基板
7A,7B 接点部
9 キーマット(アクチュエータ)
9A 補強部
11 スイッチ用ドーム
13 ドーム押えシート
13A シート材
13B 粘着剤層
15 突起物
17 ドーム用エンボス
19 突起物用エンボス
21 スイッチシート(比較例)
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチシートに関し、特に携帯電話などの小型電子機器に組み込まれる電子機器用スイッチにおけるスイッチシートに関する。
【背景技術】
【0002】
図15を参照するに、従来、携帯電話、デジタルカメラ、PDA、MD、CDプレーヤ、その他の電子機器に用いられる電子機器用スイッチ101には、良好な操作感触性と高い導電性が要求され、一般的に、スイッチシート103とこのスイッチシート103を押し込むためのキーマット105とから成るスイッチモジュールに採用されている。
【0003】
従来の電子機器用スイッチ101は、PCB(Printed Circuit Board)もしくはFPC(Flexible Printed Circuit)などのプリント配線基板107に導電性材料からなる接点部109Aが備えられ、この接点部109Aの周りに接点部109Bが環状に備えられている。
【0004】
スイッチシート103は、前記接点部109Aに接離可能な可撓性を備えて例えば直径4mm〜6mmの椀型形状の導電性材料からなるスイッチ用ドーム111(メタルドーム)が、その外周を接点部109Bに接続して載置されるもので、前記スイッチ用ドーム111は椀型形状の凸面側が例えば樹脂シートからなるドーム押えシート113により貼着されて基板107上に押さえられ位置決めされている。
【0005】
上記のドーム押えシート113は、例えばポリエチレンもしくはポリエステルシートからなるシート材113Aと、このシート材113Aの下面に塗布した例えばアクリル系もしくはシリコン系粘着材からなる粘着剤層113Bとから構成されるものであり、スイッチ用ドーム111を保持する粘着剤層113Bはそのまま基板107の表面に貼り付けられる粘着剤と同じである。
【0006】
上記のスイッチ用ドーム111は、導電性材料としての例えばステンレスもしくは銅系金属の板材を加工することによって得られる。さらに、スイッチ用ドーム111は上記の接点部109Aをほぼ中央にして覆うように、つまり椀型形状の凹面の中心方向側に前記接点部109Aが位置するように配置されている。
【0007】
さらに、電子機器用スイッチ101は、上記のドーム押えシート113の上方に、スイッチシート103を押し込むためのアクチュエータとしての例えばキーマット105が図示しないスプリング等の付勢手段により図15において常時上方へ付勢されており、プリント配線基板107から離間した位置に配置されている。
【0008】
キーマット105はシリコンラバーもしくはウレタンシートにポリカーボネイト等の硬質プラスチックを付帯させたものである。また、キーマット105には、例えば特許文献1に示されている携帯電話機に使用されているものと基本的に同様であり、スイッチ用ドーム111を押し込むための突起部105Aを有している。
【0009】
また、スイッチシート103とキーマット105は、位置決め穴などを用いて、キーマット105の突起部105Aが直接もしくは間接的にスイッチ用ドーム111の直上に位置するように組み立てられる。
【0010】
したがって、上記のキーマット105が人の指で押し込まれると、ドーム押えシート113の上からスイッチ用ドーム111の頂点付近が押し下げられる。スイッチ用ドーム111はその頂点付近が反転して凹むように押し込まれて接点部109Aに接触して導通状態になり、電子機器用スイッチ101がON状態となる。上記のように、スイッチ用ドーム111が反転して凹む際に、クリック感が得られるようになっている。
【0011】
図16を参照するに、スイッチ用ドーム111を押した際の荷重−変位曲線が図示されている。操作感触性は極大値の荷重P1、極小値の荷重P2、ストロークS2によって評価される。押し込む力は極大値P1、座屈感触はクリック率〔=(P1−P2)/P1〕にて評価され、押し込み深さはS2にて評価される。一般的に、クリック率が高い値ほど、また押し込み深さS2が大きいほど良好な感触となる。
【0012】
また、他の従来の電子機器用スイッチとしては、特許文献2に示されているように、スイッチシートはスイッチ用ドームが椀型形状の頭頂部に突出部を有しており、このスイッチ用ドームがドーム押えシートにより貼着されて基板上に押さえられ位置決めされる。なお、前記突出部はスイッチ用ドームを例えば金属板材をプレス成形する際に一体成形で形成されるものである。
【0013】
したがって、キーマットが人の指で押し込まれると、ドーム押えシートの上からスイッチ用ドームの突出部を介して頂点付近が反転して凹むように押し込まれる。
【0014】
また、他の従来の電子機器用スイッチとしては、特許文献3に示されているように、スイッチシートは椀型形状のスイッチ用ドームがドーム押えシートにより貼着されて基板上に押さえられ位置決めされており、前記ドーム押えシートの上には円柱状の突起がスイッチ用ドームの頭頂部に相当する位置に粘着剤で貼着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平11−331329号公報
【特許文献2】特開2001−135189号公報
【特許文献3】特開2002−216582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、図15に示されている従来の電子機器用スイッチ101は、下記の問題点を有している。
【0017】
(1)スイッチ用ドーム111は、表1に示されているように、一般的にスイッチ用ドーム111の中心部から離れた位置(この実施の形態では「打鍵オフセット位置」という)で押される、所謂「偏心押し」されるほど、操作感触性及び耐久性が低下する。このことから、スイッチ用ドーム111の部材の高い寸法精度及び部材間の高い組み立て位置精度が要求される。
【表1】
【0018】
(2)キーマット105とドーム押えシート113は、それぞれ、位置決めのための位置決め穴が必要なことから、小さいスイッチにも位置決め穴を設ける必要があり、小エリア化が困難である。
【0019】
(3)スイッチ用ドーム111の寸法が小さくなるにつれて押し込み時の偏心距離が与える操作感触劣化の影響は大きくなる。そのため、近年のスイッチモジュールの小型化に伴うスイッチ用ドーム111の小型により、寸法の高精度化が要求される。つまり、部材の要求寸法精度は一層高くなるという問題点があった。
【0020】
(4)スイッチ用ドーム111を押し込むためのキーマット105に付帯する突起部105Aが必要であり、これに伴って薄型化が困難であり、高コストとなる。
【0021】
(5)部材間の位置精度のばらつきが発生しやすいため、スイッチ用ドーム111ごとに感触が異なり、全体的に操作感触の大きなばらつきが発生する。
【0022】
また、特許文献2に示されている従来の電子機器用スイッチは、スイッチ用ドームの頭頂部の突出部は一体成形であるので、小型化に伴って突出部の高さや大きさの精度を高くすることが難しく、薄型化が困難であり、高コストとなる。
【0023】
また、特許文献3に示されている従来の電子機器用スイッチは、経年使用などによる粘着力低下によって、円柱状の突起が潰れたり、脱落したりするという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記発明が解決しようとする課題を達成するために、この発明のスイッチシートは、シート材の内面に粘着剤層を塗布してなるドーム押えシートと、
このドーム押えシートの内面の所定位置に配置する単独または複数のスイッチ用ドームであって、基板上の接点部をほぼ中央にして覆うように配置可能で、且つ前記接点部に接離可能な可撓性を備えた椀型形状の導電性材料からなるスイッチ用ドームと、
前記単独または複数の各スイッチ用ドームの頭頂部と前記ドーム押えシートとの間に介在した突起物と、で構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
また、この発明のスイッチシートは、前記スイッチシートにおいて、前記各スイッチ用ドームの頭頂部の突起物を覆う前記ドーム押えシートの部分に突起物用エンボス加工処理がされていることが好ましい。
【0026】
また、この発明のスイッチシートは、前記スイッチシートにおいて、前記突起物が、円柱形状もしくは立方体形状であると共に、シリコンラバー、金属、ポリエステルのいずれかの材質であることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明によれば、複数の各スイッチ用ドームの頭頂部と前記ドーム押えシートとの間に突起物を介在したので、スイッチ用ドームの中心から広い範囲でクリック率が高い値を示すことになる。したがって、たとえスイッチ用ドームの中心から離れた位置で押しても、従来の突起部を不要とするアクチュエータによって前記突起物を介して確実にスイッチ用ドームの頭頂部を下方へ押すことができる。その結果、アクチュエータとスイッチシートの部材間の高い組み立て寸法精度を確保することができるために組立容易となり、コスト削減ができる。
【0028】
また、上記の理由で、操作感触のばらつきが小さいもので、良好な操作感触が得られると共に、偏心押しがなくなるのでスイッチ用ドームの耐久性を向上できる。
【0029】
また、アクチュエータは突起部を不要とするので、アクチュエータの薄肉化が可能となり、電子機器用スイッチの小サイズ化及び薄肉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(A)は、この発明の実施の形態のスイッチシートを用いた電子機器用スイッチの部分的な断面図で、(B)は(A)のスイッチシートを押したときの状態説明図である。
【図2】図1(A)のスイッチシートを用いた電子機器用スイッチの断面図である。
【図3】この発明の実施の形態のスイッチシートの製造方法を示す概略的な斜視図である。
【図4】(A)は比較例のスイッチシートの断面図で、(B)はこの実施の形態の例のスイッチシートの断面図である。
【図5】(A)は直径φ1.0mmのアクチュエータで比較例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図6】(A)は直径φ1.0mmのアクチュエータでこの実施の形態の例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図7】(A)は直径φ1.5mmのアクチュエータで比較例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図8】(A)は直径φ1.5mmのアクチュエータでこの実施の形態の例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図9】(A)は直径φ2.0mmのアクチュエータで比較例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図10】(A)は直径φ2.0mmのアクチュエータでこの実施の形態の例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図11】(A)は直径φ2.6mmのアクチュエータで比較例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図12】(A)は直径φ2.6mmのアクチュエータでこの実施の形態の例のスイッチシートを押したときの打鍵オフセット位置とP1及びP2の荷重とのグラフで、(B)は(A)におけるクリック率のグラフである。
【図13】図5〜図12の結果に基づいてそれぞれの条件におけるクリック率40%以上の安定範囲の大きさを示すグラフである。
【図14】図5〜図12により、比較例とこの実施の形態の例のスイッチシートのクリック率の全体的な傾向を比較したグラフである。
【図15】従来のスイッチシートを用いた電子機器用スイッチの断面図である。
【図16】スイッチ用ドームを押した際の荷重−変位曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0032】
図1(A),(B)を参照するに、この実施の形態に係るスイッチシート1は、携帯電話、デジタルカメラ、PDA、MD、CDプレーヤ、その他の電子機器に用いられる電子機器用スイッチ3に備えられるものである。電子機器用スイッチ3は、PCB(Printed Circuit Board)もしくはFPC(Flexible Printed Circuit)などのプリント配線基板5に導電性材料からなる接点部7Aが備えられ、この接点部7Aの周りに接点部7Bが環状に備えられており、前記接点部7Aと接点部7Bとの導通をON・OFFせしめるために、スイッチシート1とこのスイッチシート1を押し込むためのアクチュエータとしての例えばキーマット9とから構成されている。
【0033】
スイッチシート1には、前記接点部7Aと接点部7Bとの導通をON・OFFせしめるスイッチ用ドーム11が設けられている。このスイッチ用ドーム11としての例えばメタルドームは、前記接点部7Aに接離可能な可撓性を備えて例えば直径4mm〜6mmの椀型形状で、導電性材料からなっており、その外周を接点部7Bに接続して載置されるものである。上記のスイッチ用ドーム11は、その椀型形状の凸面側が例えば樹脂シートからなるドーム押えシート13により基板5上に押さえられ位置決めされている。
【0034】
また、上記のスイッチ用ドーム11は、導電性材料としての例えばステンレスもしくは銅系金属の板材を加工することによって得られる。さらに、上記の接点部7Aをほぼ中央にして覆うように、つまり椀型形状の凹面の中心方向側に前記接点部7Aが位置するように配置されている。したがって、スイッチ用ドーム11の頂点が下方へ押圧されると、頂点付近が反転して凹むように押し込まれて接点部7Aに接触し、導通するように位置している。
【0035】
また、前記複数の各スイッチ用ドーム11の頭頂部と前記ドーム押えシート13との間には突起物15が介在している。この突起物15の形状は、スイッチ用ドーム11の頭頂部に押圧力を集中させるものであれば良い。好ましくは、円柱形状もしくは直方体を含む立方体形状で、上面が平坦なものが良好である。その理由としては、上面が平坦であることにより、プランジャがずれた際にも同一平面で受けることが可能になるからである。
【0036】
上記の突起物15の突起高さは、スイッチ用ドーム11のストロークの1/3〜2/3程度が良好である。例えば、ストローク0.16mmのスイッチ用ドーム11に対して突起物15の突起高さが0.05mmから1.0mm程度が良好である。その理由としては、0.05mm未満であると、押し込み量が不足し、スイッチがONに達しないことがある。1.0mmを越えると、横ずれの力を受けやすくなり耐久性が劣るためである。
【0037】
さらに、突起物15の大きさは、スイッチ用ドーム11の直径に対して1/4〜3/4程度が良好である。例えば、直径4mmのスイッチ用ドーム11に対して突起直径が1.0mmから3.0mm程度が良好である。その理由としては、1.0mm未満であると、縦長ににり不安定に成りやすく、3.0mmを越えると、ドームの押下禁止範囲付近に達して、感触・寿命に悪影響を及ぼすためである。
【0038】
また、突起物15の材質は、シリコンラバー、金属、ポリエステルのいずれでも良い。その理由としては、アクチュエータのシリコンラバー以上の硬度があれば機能を発揮するからである。
【0039】
この実施の形態のドーム押えシート13は、例えば、シート材13Aが厚さ25〜75μmのポリエチレンもしくはポリエステルシートと、粘着剤層13Bがアクリル系もしくはシリコン系粘着材にて構成されている。この実施の形態ではドーム押えシート13は一層構造であり、スイッチ用ドーム11を保持する部分は粘着剤層13Bがなく、それ以外の部分が粘着剤層13Bで基板5の表面に貼り付けられる構成である。しかし、ドーム押えシート13の一面の全体に粘着剤層13Bが設けられていても良い。
【0040】
また、上記のドーム押えシート13には、上記の単独または複数の各スイッチ用ドーム11の接触部分に当該スイッチ用ドーム11を覆う形状のドーム用エンボス17(窪み)が処理されていることが望ましい。つまり、前記ドーム用エンボス17は、ドーム押えシート13の内側に凹部が形成され、且つドーム押えシート13の外側に凸部が形成されるもので、例えば前記凹部がスイッチ用ドーム11を覆い被さるように形成されることが望ましい。
【0041】
さらに加えて、各スイッチ用ドーム11の頭頂部に突起物15を配置する位置に、前記突起物15を覆う形状の突起物用エンボス19が処理されていることが望ましい。つまり、前記突起物用エンボス19は、ドーム用エンボス17のほぼ中央に設けられるもので、ドーム押えシート13の内側に凹部が形成され、且つドーム押えシート13の外側に凸部が形成されるもので、例えば上記の突起物15が前記凹部に嵌め込まれるように形成されることが望ましい。
【0042】
さらに、電子機器用スイッチ3について説明すると、キーマット9は上記のスイッチシート1の上方に図示しないスプリング等の付勢手段により図1(A)において常時上方へ付勢されており、プリント配線基板5から離間した位置に配置されている。
【0043】
上記構成により、上記のキーマット9の補強部9Aの部分が人の指で押し込まれると、図1(B)に示されているように、ドーム押えシート13の上からスイッチ用ドーム11の頭頂部の突起物15を介してスイッチ用ドーム11が下方へ押し下げられる。このスイッチ用ドーム11は頭頂部付近が反転して凹むように押し込まれて接点部7Aに接触して導通状態になり、電子機器用スイッチ3がON状態となる。上記のように、スイッチ用ドーム11が反転して凹む際に、良好なクリック感が得られるようになっている。このクリック感についての詳しくは後述する。
【0044】
図2には図1(A)のスイッチシート1を用いた電子機器用スイッチの断面図を示したものであり、図1(A)における部品と同じ部品には同じ符号を付してあり、図1(A)のスイッチシート1を複数用いただけであり、詳細な説明を省略する。
【0045】
次に、この発明の実施の形態のスイッチシート1の製造方法について説明する。
【0046】
図3を参照するに、ドーム押えシート13は、厚さ25〜75μmのポリエステル(PET)フィルムシートからなるシート材13Aと、このフィルムシートからなるシート材13Aの裏面に粘着剤層13Bを設けたものであり、複数のスイッチ用ドーム11を配置する所定の位置に複数のドーム用エンボス17とこのドーム用エンボス17のほぼ中央に突起物用エンボス19が形成されている。なお、複数のドーム用エンボス17と突起物用エンボス19は、例えばオス・メス型のプレス成形により同時にエンボス加工される。
【0047】
また、突起物15は、例えば厚さ125mmのポリエステル(PET)フィルムを金型で打ち抜き加工により製作されたものである。
【0048】
また、スイッチ用ドーム11は例えば材質がステンレス鋼・リン青銅の板材をプレス加工により椀型形状に加工したものである。
【0049】
スイッチシート1は、上記のドーム押えシート13と突起物15とスイッチ用ドーム11がそれぞれ図示しない治具を用いて図3に示されているように対応する位置に位置決めされて貼り合わされることにより、容易に製造することができる。
【0050】
次に、この実施の形態のスイッチシート1の効果性を説明するために、比較例としてのスイッチシート21と、この実施の形態の例のスイッチシート1を製作した。
【0051】
比較例のスイッチシート21は、図4(A)に示されているようにスイッチ用ドーム11の外面がシート材13Aの内面に粘着剤層13Bを設けたドーム押えシート13で覆われたものであり、突起物15及び突起物用エンボス19が無いものである。一方、この実施の形態の例のスイッチシート1は、図4(B)に示されているようにスイッチ用ドーム11の外面がシート材13Aの内面に粘着剤層13Bを設けたドーム押えシート13で覆われたものであり、スイッチ用ドーム11の頭頂部と前記ドーム押えシート13との間に突起物15が介在され、且つドーム押えシート13のスイッチ用ドーム11の頭頂部に該当する部分には突起物用エンボス19が設けられたものである。すなわち、比較例のスイッチシート21とこの実施の形態の例のスイッチシート1との違いは突起物15及び突起物用エンボス19があるか否かであり、他の構成の部材形状及び材質は同じである。
【0052】
また、突起物15は高さhが例えば0.125mmで、かつ直径dが例えば1.5mmである。突起物用エンボス19は高さHが例えば0.126mmで、かつ直径Dが例えば2.3mmである。
【0053】
上記の各スイッチシート1,21に対して直径が例えばφ1.0mm、φ1.5mm、φ2.0mm、φ2.6mmのアクチュエータで押圧したときに、スイッチ用ドーム11の中心から外周方向に離れた位置(いわゆる「打鍵オフセット位置」という)における極大値の荷重P1、極小値の荷重P2を測定し、その結果をグラフに図示した。また、上記の測定した極大値の荷重P1、極小値の荷重P2によりクリック率を計算し、その結果をグラフに図示した。その結果は、図5〜図12に示されている。
【0054】
なお、図5〜図12では、基本的には突起物15の有無により突起物用エンボス19の有無が生じるので、比較例のスイッチシート21は単に「エンボス無し」と記載し、この実施の形態の例のスイッチシート1は単に「エンボス有り」と記載している。
【0055】
なお、従来の技術で説明したように、スイッチ用ドーム11を押した際の荷重−変位曲線が図16に示されており、操作感触性は極大値の荷重(P1)、極小値の荷重(P2)、ストローク(S2)によって評価される。押し込む力は極大値P1、座屈感触はクリック率〔=(P1−P2)/P1〕にて評価され、押し込み深さはS2にて評価される。一般的に、クリック率が高い値ほど、また押し込み深さS2が大きいほど良好な感触となる。
【0056】
図5(A)、(B)では、比較例のスイッチシート21に対して直径φ1.0mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.5mmである。これと比較して、図6(A)、(B)では、この実施の形態の例のスイッチシート1に対して直径φ1.0mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.6mmである。
【0057】
図7(A)、(B)では、比較例のスイッチシート21に対して直径φ1.5mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.6mmである。これと比較して、図8(A)、(B)では、この実施の形態の例のスイッチシート1に対して直径φ1.5mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.8mmである。
【0058】
図9(A)、(B)では、比較例のスイッチシート21に対して直径φ2.0mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.6mmである。これと比較して、図10(A)、(B)では、この実施の形態の例のスイッチシート1に対して直径φ2.0mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は1.6mmである。
【0059】
図11(A)、(B)では、比較例のスイッチシート21に対して直径φ2.6mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は0.7mmである。これと比較して、図12(A)、(B)では、この実施の形態の例のスイッチシート1に対して直径φ2.6mmのアクチュエータで押したとき、クリック率40%以上の安定範囲は1.8mmである。
【0060】
上記の図5(A)、(B)〜図12(A)、(B)の結果をまとめると、表2に示されているようになり、これをグラフに表すと、図13に示されるようになる。
【表2】
【0061】
すなわち、エンボス無しのスイッチシート21のP1及びP2は、エンボス有りのスイッチシート1より不安定である。また、エンボス無しのスイッチシート21のP2のグラフの曲線の傾斜度は、エンボス有りのスイッチシート1のP2より大きい。その結果、表2及び図13に示されているように、エンボス有りのスイッチシート1のクリック率40%以上の安定範囲は、エンボス無しのスイッチシート21のクリック率40%以上の安定範囲より大きいものであった。
【0062】
以上のことから、この実施の形態のスイッチシート1は下記の効果を奏する。
【0063】
(1)複数の各スイッチ用ドーム11の頭頂部と前記ドーム押えシート13との間に突起物15を介在したので、従来のキーマット9の突起部の代わりに、スイッチシート1に付帯する突起物15が同等の機能を果たすことができ、その結果、キーマット9とスイッチシート1に要求される位置決め精度を低くできる。
【0064】
図14は前述した図5〜図12の全体的な傾向としてまとめたもので、スイッチシート1、21の偏心押し(打鍵オフセット)とクリック率の特性が示されているように、この実施の形態の例の突起物有り(エンボス有り)のスイッチシート1はスイッチ用ドーム11の中心から広い範囲でクリック率40%以上の高い値を示している。一方、比較例の突起物無し(エンボス無し)のスイッチシート21はクリック率40%以上の高い値を示しているのは殆どスイッチ用ドーム11の中心付近の範囲である。
【0065】
(2)上記の(1)の理由で、アクチュエータであるキーマット9とスイッチシート1の公差を大きくすることが可能となったので、前記公差を大きくしても部材間の高い組み立て寸法精度を確保することができるために組立容易となり、その結果、コスト削減が可能となった。
【0066】
(3)上記の(1)の理由で、スイッチシート1はキーマット9とスイッチシート1において位置ずれを起こしても、スイッチ用ドーム11ごとの操作感触のばらつきが小さいものである。換言すれば、全体的に安定した良好な操作感触が得られるようになった。
【0067】
(4)上記の(1)の理由で、偏心押しがなくなるので、スイッチ用ドーム11の耐久性が向上した。
【0068】
この点については、比較例のスイッチシート21とこの実施の形態の例のスイッチシート1におけるスイッチ用ドーム11の耐久性の比較をすると、表1のごとく100万回までの打鍵で破断確率が1/4程度まで改善される。
【0069】
(5)従来では、シリコンラバー等の軟質材料からなるキーマット105および突起部105Aにてスイッチ用ドーム11の頭頂部を押していたため、キーマット105および突起物105Aの薄肉化が困難であったが、この実施の形態ではキーマット9に突起部をつける必要性がなくなったため、キーマット9の薄肉化が可能となり、スイッチモジュール(電子機器用スイッチ3)の小サイズ化、薄肉化が可能となった。
【0070】
この点については、比較例のスイッチシート21とこの実施の形態の例のスイッチシート1との小型化及び薄肉化の状況を比較をすると、従来のラバーシートの突起2〜0.3mm程度が不要となり、替わって1〜0.05mmの突起15に置き換わるため、1〜0.25mmの肉薄化が計られる。
【0071】
(6)ドーム押えシート13に突起物用エンボス19を設けたことにより、突起物15は脱落したり、ずれたりすることなく、確実にドーム押えシート13の頭頂部に位置することになるので、安定したクリック率を保持できる。
【0072】
また、製造時に突起15が容易に正規位置に納まり、生産性・歩留まり向上の効果を奏する。すなわち、より低価格の製品供給が可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 スイッチシート(この実施の形態の例))
3 電子機器用スイッチ
5 プリント配線基板
7A,7B 接点部
9 キーマット(アクチュエータ)
9A 補強部
11 スイッチ用ドーム
13 ドーム押えシート
13A シート材
13B 粘着剤層
15 突起物
17 ドーム用エンボス
19 突起物用エンボス
21 スイッチシート(比較例)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチシートと、前記スイッチシートを押し込むためのキーマットとを備えるスイッチモジュールの製造方法であって、
前記スイッチシートは、
シート材の内面に粘着剤層を設けてなるドーム押えシートと、
このドーム押えシートの内面の所定位置に配置する単独または複数のスイッチ用ドームであって、基板上の接点部をほぼ中央にして覆うように配置可能で、且つ前記接点部に接離可能な可撓性を備えた椀型形状の導電性材料からなるスイッチ用ドームと、
前記単独または複数の各スイッチ用ドームの頭頂部と前記ドーム押えシートとの間に介在し、前記各スイッチ用ドームの頭頂部に設けられる突起物と、を備え、
前記ドーム押えシートに、前記突起物を覆う部分にエンボス加工処理をし、前記突起物が嵌め込まれる凹状の突起物用エンボスを形成する工程と、
前記突起物用エンボスに前記突起物を嵌め込む工程と、
前記ドーム押えシートの前記粘着剤層を、前記各スイッチ用ドームの表面と前記基板の表面とに貼り付ける工程と、
を有することを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記キーマットは、前記スイッチシートと対向する面が平らに形成されていることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記突起物が、円柱形状もしくは立方体形状であると共に、シリコンラバー、金属、ポリエステルのいずれかの材質であることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記突起物の突起高さは、前記スイッチ用ドームのストロークの1/3〜2/3であることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記突起物の大きさは、前記スイッチ用ドームの直径に対して1/4〜3/4であることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記ドーム押えシートは、前記シート材の内面全体に前記粘着剤層を設けてなることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1つに記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記ドーム押えシートは、前記スイッチ用ドームを保持する部分は粘着剤層がなく、前記スイッチ用ドームを保持する部分以外の部分が粘着剤層で前記基板の表面に貼り付けられていることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項1】
スイッチシートと、前記スイッチシートを押し込むためのキーマットとを備えるスイッチモジュールの製造方法であって、
前記スイッチシートは、
シート材の内面に粘着剤層を設けてなるドーム押えシートと、
このドーム押えシートの内面の所定位置に配置する単独または複数のスイッチ用ドームであって、基板上の接点部をほぼ中央にして覆うように配置可能で、且つ前記接点部に接離可能な可撓性を備えた椀型形状の導電性材料からなるスイッチ用ドームと、
前記単独または複数の各スイッチ用ドームの頭頂部と前記ドーム押えシートとの間に介在し、前記各スイッチ用ドームの頭頂部に設けられる突起物と、を備え、
前記ドーム押えシートに、前記突起物を覆う部分にエンボス加工処理をし、前記突起物が嵌め込まれる凹状の突起物用エンボスを形成する工程と、
前記突起物用エンボスに前記突起物を嵌め込む工程と、
前記ドーム押えシートの前記粘着剤層を、前記各スイッチ用ドームの表面と前記基板の表面とに貼り付ける工程と、
を有することを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記キーマットは、前記スイッチシートと対向する面が平らに形成されていることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記突起物が、円柱形状もしくは立方体形状であると共に、シリコンラバー、金属、ポリエステルのいずれかの材質であることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記突起物の突起高さは、前記スイッチ用ドームのストロークの1/3〜2/3であることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記突起物の大きさは、前記スイッチ用ドームの直径に対して1/4〜3/4であることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記ドーム押えシートは、前記シート材の内面全体に前記粘着剤層を設けてなることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1つに記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記ドーム押えシートは、前記スイッチ用ドームを保持する部分は粘着剤層がなく、前記スイッチ用ドームを保持する部分以外の部分が粘着剤層で前記基板の表面に貼り付けられていることを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−109272(P2012−109272A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−44282(P2012−44282)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【分割の表示】特願2006−350436(P2006−350436)の分割
【原出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【分割の表示】特願2006−350436(P2006−350436)の分割
【原出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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