説明

スイッチ構造

【課題】簡単で、しかも信頼性が高いスイッチ機構を提供する。
【解決手段】本発明に係るスイッチ機構は、光検知手段と、該光検知手段に対する光の入射を許容する位置と遮る位置を自在に移動する遮光手段とを備え、該遮光手段を、回路基板に貫通させるとともに、該遮光手段と別体の操作部に連動させている。該光検知手段を複数備え、該遮光手段は、該複数の光検知手段に対する光の入射を許容する位置と遮る位置を自在に移動するものであってもよく、また、該遮光手段を複数備えるものであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押ボタンスイッチやスライドスイッチ等の、外力付与によりオンオフの切り替えを行う場合に好適なスイッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
オンオフの切り替えを行うスイッチ構造については、様々な形態のものが考案されており、また、様々な目的に応じた使用を可能とするために、小型化の試みもなされている。
【0003】
例えば、特開平9−73836号公報には、操作部の押圧操作によりホルダを進退移動させ接点の接離によりスイッチ動作を行う押しボタンスイッチが開示されている。そして、オン状態にあるホルダをオフ状態(初期位置)へ戻すためのリターンばねを、操作部及びホルダの端面に収まる形状とし、操作部とホルダとの間に配設することで大型化を防ぐ技術が開示されている。
【0004】
また、特開2004−241202号公報には、互いに接続しない2つの接点を備える基板に固定された金属製のドーム状のクリックバネ(メタルドーム)を、押圧操作で凹ませて接点を接触させることによりスイッチ動作を行うキースイッチモジュール構造が開示されている。そして、第1スイッチ接点を備えた第1回路基板に貫通孔を設け、この第1回路基板を、第2スイッチ接点を備えた第2回路基板上に、第2スイッチ接点が貫通孔を通じて露出されるように積層することでクリックバネのストロークを長くし、小型化を可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−73836号公報
【特許文献2】特開2004−241202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スイッチに関する従来の技術は、それぞれ目的とされる用途については好適であるが、それぞれの技術が全ての場合に適用できるとは限らなかった。そして、コストを考慮した簡素な構造であることに加え、高い信頼性が求められる状況に対しては、その要求を満足できるスイッチ構造がなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、簡単で、しかも信頼性が高いスイッチ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスイッチ構造は、光検知手段と、該光検知手段に対する光の入射を許容する位置と遮る位置を自在に移動する遮光手段とを備え、該遮光手段を、回路基板に貫通させるとともに、該遮光手段と別体の操作部に連動させている。
【0009】
本発明に係るスイッチ構造は、該光検知手段を複数備え、該遮光手段は、該複数の光検知手段に対する光の入射を許容する位置と遮る位置を自在に移動するものであってもよい。
【0010】
また、該遮光手段を複数備えるものであってもよい。
【0011】
更に、該複数の光検知手段は、該回路基板の表裏両面に設けられていてもよい。
【0012】
更にまた、該複数の光検知手段には、双方の入射が同時に許容され又は遮られる状態を経て、一方の光の入射が許容されると同時に、他方の光の入射が遮られた状態となる一対が少なくとも一つ含まれていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るスイッチ構造では、光検知手段への光の入射を許容し或いは遮り光検知手段の出力を変化させることでオンオフの切り替えを行う。そして、この切り替えを行うための遮光手段は、回路基板を貫通させ取り付けられるため、回路基板の付属物とすることができる。しかも、遮光手段は別体の操作部に連動しているため、遮光手段と操作部をそれぞれ離した位置で自由に配置することができる。そのため、遮光手段や操作部に相当する切替用作動部位を全て内包させた従来のスイッチモジュールよりも、簡単な構造となる。また、光検知手段を採用したことにより、接点が機械的に接離する構造よりも、信頼性を高めることができる。
【0014】
更に、遮光手段は別体の操作部に連動しているため、スイッチ構造を一つのモジュールとして筐体内に収容する場合には、オンオフ処理に直接寄与する遮光手段を筐体外部に露出させる必要がなく、光検知手段と遮光手段を筐体で密閉することが可能となる。そのため、筐体の構造も簡単となり、また外部からの埃の侵入を防ぐことで信頼性の更なる向上を図ることもできる。
【0015】
更にまた、遮光手段の、光の入射を許容する位置と遮る位置との距離には回路基板の厚みが含まれているため、この回路基板の厚みを利用して、切り替えのストロークを短くすることができる。例えば、光検知手段を回路基板に埋め込み或いは貫通させて固定することにより、回路基板上へ固定した場合よりも、光の入射を許容する位置と遮る位置との距離(ストローク)を短くすることができる。
【0016】
光検知手段の数に制限はなく、複数であってもよい。その場合、簡単な構造でありながら多様な出力を行うことが可能となる。なお、光検知手段を複数備える場合、複数の光検知手段の遮光は、一つの遮光手段で行ってもよい。ただし、一つの遮光手段で遮光できる数には制限があるため、遮光手段の数は必要に応じ増やしてもよい。
【0017】
また、光検知手段を複数備える場合、それらを回路基板の表裏両面に設けることとすれば、回路基板を貫通して移動する遮光手段の一つの動きを二つの出力に対応させることができ、遮光手段の数をあまり増やすことができない場合にも有効である。また、複数の光検知手段を配置するために要する面積が小さくなるため、小型化を図る必要がある場合にも有効である。
【0018】
更に、光検知手段を複数備える場合、双方の入射が同時に許容され又は遮られる状態を経て、一方の光の入射が許容されると同時に、他方の光の入射が遮られた状態となる一対があれば、この対を使用して、メーク・ブレークスイッチの機能を持たせることが可能となる。メーク・ブレークスイッチとは、複数の接点を、無接点状態(断線状態)とすることなく切り替えることのできるスイッチである。従来、この種のスイッチの構造は、高い信頼性が必要とされ複雑なものとなっていたが、この場合、簡単な構造で、従来のメーク・ブレークスイッチと同じ動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るスイッチ構造の実施例の概略を示し、(a)は操作部に押力が加わっていない状態の側断面図、(b)は操作部に押力が加わった状態の側断面図である。
【図2】図1に示す実施例の光検知手段及び発光手段の固定位置を変更した他の実施例の概略を示す側断面図である。
【図3】図1に示す実施例において、光検知手段1、遮光手段2及び発光手段4の数を4つに増やした他の実施例の概略を示す平面図である。
【図4】光検知手段を複数備える場合の他の実施例における要部の概略を示し、(a)は回路基板の表面に設けられた光検知手段への光の入射を遮っている状態の側断面図、(b)は回路基板の裏面に設けられた光検知手段への光の入射を遮っている状態の側断面図である。
【図5】光検知手段を複数備える場合の更に他の実施例における要部の概略を示し、(a)は回路基板の表面に設けられた光検知手段への光の入射のみを遮っている状態の側断面図、(b)は回路基板の表裏両面に設けられた両光検知手段への光の入射を遮っている状態の側断面図、(c)は回路基板の裏面に設けられた光検知手段への光の入射のみを遮っている状態の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明に係るスイッチ構造の実施例の概略を示し、(a)は操作部に押力が加わっていない状態の側断面図、(b)は操作部に押力が加わった状態の側断面図である。なお、図中には、この実施例の説明に必要な要素のみを示されており、その他の要素の図示は省略されている。
【0021】
このスイッチ構造は、光検知手段1と、この光検知手段1に対する光の入射を許容する位置と遮る位置を自在に移動する遮光手段2とを備える。光検知手段1は、受光した状態で通電或いは断線する公知の光センサーで、回路基板3に取り付けられている。また、この光検知手段1に対し光を照射する発光手段4が、光検知手段1に対向する位置で回路基板3に取り付けられている。なお、発光手段3には、公知の発光ダイオードが採用されている。
【0022】
、遮光手段2は、回路基板3を貫通し、回路基板3の下方に配設されているリンク部材5に連結されている。リンク部材5は、遮光手段2と別体の操作部6にも連結されるとともに、この構造全体を支える支持部材7に弾性部材8を介して固定され、、操作部6に押力が加わると支持部材7に接近する方向へ移動し、押力が除かれると弾性部材8の弾発力で移動前の状態に戻るものとなっている。そして、遮光手段2は、このリンク部材5と一体に移動することで操作部6と連動し、操作部6に押力が加わっていない状態では図1(a)に示すように発光手段4から光検知手段2への光の入射を遮り、操作部6に押力が加わった状態では図1(b)に示すように発光手段4から光検知手段1への光の入射を許容する。このスイッチ構造では、このように、発光手段4から光検知手段1への光の入射を許容し或いは遮り光検知手段1の出力を変化させることでオンオフの切り替えを行う。
【0023】
上記のように、このスイッチ構造では、オンオフの切り替えを行うための遮光手段2は、回路基板3を貫通させ取り付けられるため、回路基板3の付属物とすることができる。しかも、遮光手段2は別体の操作部6に連動しているため、遮光手段2と操作部6をそれぞれ離した位置で自由に配置することができる。そのため、遮光手段2や操作部6に相当する切替用作動部位を全て内包させた従来のスイッチモジュールよりも、簡単な構造となる。また、光検知手段1を採用したことにより、接点が機械的に接離する構造よりも、信頼性を高めることができる。
【0024】
光検知手段1、遮光手段2及び発光手段3には、筐体9が被せられ、その内部に収容されている。遮光手段2は、別体の操作部6に連動しているため、筐体9外部に露出させる必要がなく、光検知手段1及び発光手段1と共に筐体9で密閉することが可能となる。そのため、簡単な構造の筐体9で覆うだけで、外部からの埃の侵入を防ぐことができ、信頼性の更なる向上を図ることができる。
【0025】
また、遮光手段2の、光の入射を許容する位置(図1(b)に示す位置)と遮る位置(図1(a)に示す位置)との距離には回路基板3の厚みが含まれているため、この回路基板3の厚みを利用して、切り替えのストロークを短くすることができる。図2は、図1に示す実施例の光検知手段及び発光手段の固定位置を変更した他の実施例の概略を示す側断面図である。この実施例に示すように、光検知手段2が回路基板3を貫通するように固定されていれば、回路基板3上へ固定した場合よりも、光の入射を許容する位置と遮る位置との距離(ストローク)を図中のLだけ短くすることができる。なお、図2において、図1と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明は省略する。また、図中の想像線は、光検知手段2を回路基板3の上へ固定した場合における光の入射を許容する状態のリンク部材5の下面位置である。
【0026】
図1又は図2に示す実施例において、光検知手段2の数に制限はなく、複数であってもよい。また、光検知手段を複数備える場合、複数の光検知手段の遮光は、一つの遮光手段で行ってもよく、或いは、遮光手段の数を必要に応じ増やしてもよい。図3は、図1に示す実施例において、光検知手段1、遮光手段2及び発光手段4の数を4つに増やした他の実施例の概略を示す平面図である。なお、図3においても、図1及び図2に示す実施例と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明は省略する。
【0027】
図3に示すように、光検知手段1の数を増やすことにより、簡単な構造でありながら多様な出力を行うことが可能となる。なお、図3に示す遮光手段2は、その全てが同一のリンク部材5に連結され全て同じ動きをするものとなっているが、操作部6の数を増やし、各操作部6の連結している別々のリンク部材5に連結してもよい。
【0028】
図4は、光検知手段を複数備える場合の他の実施例における要部の概略を示し、(a)は回路基板の表面に設けられた光検知手段への光の入射を遮っている状態の側断面図、(b)は回路基板の裏面に設けられた光検知手段への光の入射を遮っている状態の側断面図である。なお、図4においても、図1〜3に示す実施例と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明は省略する。
【0029】
このスイッチ構造は、複数の光検知手段1を回路基板3の表裏両面に設けたものである。この場合、回路基板3を貫通して移動する遮光手段2の一つの動きを二つの出力に対応させることができ、遮光手段2の数をあまり増やすことができない場合にも有効である。また、複数の光検知手段1を配置するために要する面積が小さくなるため、小型化を図る必要がある場合にも有効である。
【0030】
図5は、光検知手段を複数備える場合の更に他の実施例における要部の概略を示し、(a)は回路基板の表面に設けられた光検知手段への光の入射のみを遮っている状態の側断面図、(b)は回路基板の表裏両面に設けられた両光検知手段への光の入射を遮っている状態の側断面図、(c)は回路基板の裏面に設けられた光検知手段への光の入射のみを遮っている状態の側断面図である。なお、図5においても、図1〜4に示す実施例と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明は省略する。
【0031】
この実施例では、図示しない操作部に押力が加わらない状態では、図5(a)に示すように、回路基板3の裏面に取り付けられた光検知手段1bへの光の入射が許容され、表面に取り付けられた光検知手段1aへの光の入射が遮られるが、操作部に押力が加わると、遮光手段2はその操作部に連動して図5(b)に示す状態となる。この状態では、表面に取り付けられた光検知手段1aへの光の入射が引き続き遮られるとともに、裏面に取り付けられた光検知手段1bへの光の入射も同時に遮られる。そして、操作部に引き続き押力が加わると、遮光手段2は更に図5(c)に示す状態となる。この状態では、表面に取り付けられた光検知手段1aへの光の入射が許容される一方、裏面に取り付けられた光検知手段1bへの光の入射は引き続き遮られる。
【0032】
このように、回路基板3の表面及び裏面に取り付けられた双方の光検知手段1a、1bへの光の入射が同時に遮られる状態を経て、一方の光の入射が許容されると同時に、他方の光の入射が遮られた状態となるため、簡単な構造でありながら、メーク・ブレークスイッチの機能を持たせることが可能となる。なお、表面及び裏面に取り付けられた双方の光検知手段1a、1bへの光の入射が同時に遮られる状態は、双方への光の入射が同時に許容される状態に代えても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1、1a、1b 光検知手段
2 遮光手段
3 回路基板
4 発光手段
5 リンク部材
6 操作部
7 支持部材
8 弾性部材
9 筐体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検知手段と、該光検知手段に対する光の入射を許容する位置と遮る位置を自在に移動する遮光手段とを備え、該遮光手段を、回路基板に貫通させるとともに、該遮光手段と別体の操作部に連動させたことを特徴とするスイッチ構造。
【請求項2】
該光検知手段を複数備え、該遮光手段は、該複数の光検知手段に対する光の入射を許容する位置と遮る位置を自在に移動する請求項1に記載のスイッチ構造。
【請求項3】
該遮光手段を複数備える請求項2に記載のスイッチ構造。
【請求項4】
該複数の光検知手段は、該回路基板の表裏両面に設けられている請求項2または3に記載のスイッチ構造。
【請求項5】
該複数の光検知手段には、双方の入射が同時に許容され又は遮られる状態を経て、一方の光の入射が許容されると同時に、他方の光の入射が遮られた状態となる一対が少なくとも一つ含まれる請求項2、3または4に記載のスイッチ構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−225334(P2010−225334A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69152(P2009−69152)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(501194514)株式会社 エニイワイヤ (37)
【Fターム(参考)】