説明

スイッチ用可動接点、可動接点付きシートおよびスイッチ装置

【課題】押圧突起を反転バネに接着固定するものにおいて、押圧突起が反転バネから外れることを防止することができるスイッチ用可動接点、可動接点付きシートおよびスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】押圧により反転可能な反転バネ14と、反転バネ14の外面に接着固定される押圧突起15とを有し、反転バネ14に、被接着部分において反転バネ14の外面から外部に向けて環状に突出し、押圧突起15が接着される被接着部分の曲げ剛性を高める環状突部23を設けることにより、被接着部分の撓みを抑制して、押圧突起15と被接着部分との間に介在する接着層28に生じる曲げ応力を減少させ、押圧突起15が反転バネ14から外れることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ用可動接点およびスイッチ装置に関し、特に、携帯電話などの小型の電子機器に組み込まれるスイッチ用可動接点、可動接点付きシートおよびスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチ装置に用いられるスイッチ用可動接点として、ドーム状に形成された反転バネの頂部に荷重を集中させて固定接点との接触性を向上させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このスイッチ用可動接点は、反転バネの頂部上面に円板状の押圧突起が設けられ、さらに反転バネおよび押圧突起を位置決め可能にエンボス加工された保持シートにより上方から覆われることで構成される。そして、スイッチ用可動接点の上方に配置された操作部材等が押圧されることで、押圧位置に位置ズレが生じた場合であっても押圧突起を介して反転バネの頂部に荷重が集中され、固定接点との接触性が向上される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−159553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような従来のスイッチ用可動接点においては、反転バネに対して押圧突起が位置ズレしないように、反転バネの頂部に押圧突起が接着剤等により接着固定されることが考えられる。この場合、従来のスイッチ用可動接点においては、操作の度に押圧突起と共に反転バネの頂部が変形し、押圧突起と反転バネとの間に介在する接着層に曲げ応力が生じて、押圧突起が反転バネから外れやすくなるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、押圧突起を反転バネに接着固定するものにおいて、押圧突起が反転バネから外れることを防止することができるスイッチ用可動接点、可動接点付きシートおよびスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスイッチ用可動接点は、押圧により反転可能な反転バネと、前記反転バネの外面に接着固定される押圧突起とを有し、前記反転バネは、前記押圧突起が接着される被接着部分の曲げ剛性を高める補強部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、反転バネの外面に押圧突起が固定されるため、反転バネの一部に荷重を集中させて固定接点との接触性を向上させることができる。また、補強部によって反転バネの被接着部分の曲げ剛性が高められて、反転バネの反転時に被接着部分の撓みが抑制されるため、押圧突起と被接着部分との間に介在する接着層に生じる曲げ応力が減少され、押圧突起が反転バネから外れることを防止することができる。
【0008】
また本発明は、上記スイッチ用可動接点において、前記補強部は、前記被接着部分において反転バネの外面から外部に向けて環状に突出する環状突部であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、接着剤により押圧突起を反転バネに接着固定する際に、環状突部に囲まれた部分が液貯めとして機能し、接着剤の外部への漏れが止められるため、押圧突起と反転バネとを均一に接着することができ、接着性を向上させることができる。
【0010】
また本発明は、上記スイッチ用可動接点において、前記反転バネの前記環状突部に囲まれた部分が略平坦に形成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、環状突部に囲まれた部分に接着剤が塗布された場合に、接着剤が均一に広がるため、押圧突起と反転バネとを均一に接着することができ、接着性を向上させることができる。
【0012】
また本発明は、上記スイッチ用可動接点において、前記押圧突起の押圧される被押圧面が略平坦に形成されたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、操作部材の押圧面が略平坦に形成されている場合に、操作部材との接触面積を広くとることができる。
【0014】
本発明の可動接点付きシートは、上記したスイッチ用可動接点と、複数の前記スイッチ用可動接点が粘着された粘着シートと、前記粘着シートの粘着面に剥離可能に貼着された剥離シートとを備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、押圧突起が反転バネから外れることを防止すると共に、複数のスイッチ用可動接点を有する可動接点付きシートとすることにより取扱および組立を容易とすることができる。
【0016】
本発明のスイッチ装置は、上記したスイッチ用可動接点または上記した可動接点付きシートと、前記スイッチ用可動接点が配置され、前記反転バネに離接される固定接点を有するスイッチ基台とを備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、押圧突起が反転バネから外れることを防止すると共に、反転バネと固定接点との接触性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、押圧突起を反転バネに接着固定するものにおいて、押圧突起が反転バネから外れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るスイッチ用可動接点の実施の形態を示す図であり、スイッチ装置の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るスイッチ用可動接点の実施の形態を示す図であり、可動接点の平面図である。
【図3】本発明に係るスイッチ用可動接点の実施の形態を示す図であり、可動接点の反転動作の説明図である。
【図4】本発明に係るスイッチ用可動接点の実施の形態を示す図であり、可動接点と操作キーとが位置ズレした状態での反転動作の説明図である。
【図5】本発明に係るスイッチ用可動接点の実施の形態を示す図であり、可動接点付きシートの製造工程の説明図である。
【図6】本発明に係るスイッチ用可動接点の実施の形態を示す図であり、可動接点付きシートのバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明を携帯電話に組み込まれるスイッチ装置に適用する場合について説明する。しかしながら、本実施の形態に係る可動接点の適用対象については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
【0021】
図1を参照して、スイッチ装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係るスイッチ装置1は、図示しない携帯電話の筐体内に組み込まれるものであり、複数の固定接点5を有する回路基板2と、回路基板2の各固定接点5に配置される複数の可動接点3と、各可動接点3を保持する保持シート4から構成されている。また、携帯電話の筐体には、回路基板2に対向するように図示しない操作パネルが設けられており、この操作パネルには固定接点5のそれぞれに対向するように操作キー8が配置されたキーマット部材7が設けられている(図3参照)。
【0023】
回路基板2は、絶縁性材料により上面視略矩形の板状に形成されており、上面には複数の固定接点5および図示しない導体パターンが形成されている。複数の固定接点5は、それぞれ環状の周辺固定接点12と、周辺固定接点12の中央に位置する円形状の中央固定接点11とから構成され、周辺固定接点12および中央固定接点11は導体パターンを介して図示しない制御部に接続されている。
【0024】
各可動接点3は、例えば、導電性のある金属板などの導電性材料により略ドーム状に形成された反転バネ14と、絶縁樹脂により円板状に形成された押圧突起15とを接着剤により固定して構成されている。各反転バネ14は、膨出方向を上方に向けて周辺固定接点12上に載置され、その中央部は中央固定接点11の上方に離間するように配置され、押圧操作による反転時に中央固定接点11と接触可能に構成されている。したがって、反転バネ14が押圧操作により反転すると、中央固定接点11と周辺固定接点12とが反転バネ14を介して導通する。なお、可動接点3の詳細構成については後述する。
【0025】
反転バネ14と押圧突起15との固定に用いられる接着剤は、紫外線硬化型樹脂(UV樹脂)であり、反転バネ14と押圧突起15との間に塗布された後に、紫外線を照射することで硬化される。なお、本実施の形態においては、接着剤により反転バネ14と押圧突起15とを固定する構成としたが、反転バネ14と押圧突起15とを接着固定するものであればよく、例えば、両面粘着テープ等により反転バネ14と押圧突起15とを接着固定する構成としてもよい。
【0026】
保持シート4は、上面視矩形状に形成されており、表面シート17と、スペーサシート18とを積層して構成されている。表面シート17は、ポリエステル等の絶縁フィルムで形成されており、複数の固定接点5に対応する位置にエンボス加工が施されて、複数の可動接点3を保持可能に上方に膨出した複数の接点保持部19が形成されている。また、表面シート17の下面には、全体的に接着剤が塗布されており、この接着剤により可動接点3が保持されると共に、スペーサシート18が一体化される。
【0027】
スペーサシート18は、ポリエステル等の絶縁フィルムで形成されており、表面シート17の複数の接点保持部19に対応する位置に図示しない複数の保持孔が形成されている。複数の可動接点3は、この複数の保持孔を介して表面シート17の接点保持部19に保持される。また、スペーサシート18の下面には、全体的に接着剤が塗布されており、このスペーサシート18の接着剤を介して保持シート4が複数の可動接点3を保持した状態で回路基板2の上面に貼着される。
【0028】
このように、保持シート4は、表面シート17の各接点保持部19に各可動接点3を保持した状態で、スペーサシート18を介して回路基板2に貼着されるため、各可動接点3が固定接点5に対して前後左右に位置決めされると共に、可動接点3が表面シート17に被覆されて塵埃等の侵入が防止される。なお、保持シート4の非貼着時においては、スペーサシート18の下面に剥離可能に図示しない剥離シートが貼着されており、可動接点付きの保持シートとして取扱および組立を容易としている。
【0029】
図2を参照して、可動接点について詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る可動接点の平面図であり、(a)は上面図、(b)はA−A線に沿う断面図である。
【0030】
図2に示すように、可動接点3は、反転バネ14の中央部分に接着剤により押圧突起15が接着固定され、押圧突起15を介して反転バネ14に係る荷重を中央部分に集中させるように構成されている。押圧突起15は、円板状に形成され、上端面が操作キー8に対向し、下端面が反転バネ14に接着固定されている。押圧突起15の上端面は、略平坦に形成されており、表面シート17を介して操作キー8の略平坦に形成された押圧面との接触面積が広くとられている。
【0031】
反転バネ14は、外周縁部から所定の角度で半径方向の内側に向かって立ち上がるスカート部21と、スカート部21に連なりドーム状に膨出したドーム部22とを有している。ドーム部22の中央部分は、押圧突起15が接着固定される被接着部分となっており、この被接着部分にはドーム部22の中心を囲むように上方に突出した環状突部23が形成されている。また、ドーム部22の環状突部23に囲まれた円形領域24には、ドーム内に向けて突出する複数の突起部25(本実施形態においては3つ)が形成されている。
【0032】
環状突部23は、ハーフパンチ加工によりドーム部22の厚みを超えない厚み、より具体的には、ドーム部22の厚みの略4分の3となるような厚みで突出され、外周面26および内周面27がドーム部22の上面から略直角に立ち上がるように形成されている。このように、環状突部23の外周面26および内周面27が、湾曲したドーム部22の上面から略直角に立ち上がるため、環状突部23の周辺の被接着部分における撓みに対する曲げ剛性が高められる。
【0033】
したがって、反転バネ14の反転時には、押圧突起15が接着された被接着部分が撓むことなく一体的に反転するため、反転バネ14と押圧突起15との間に介在する接着層28に生じる曲げ応力が大幅に減少され、反転バネ14から押圧突起15が外れるのが防止される。この場合、環状突部23がハーフパンチ加工により形成されているため、立ち上がり部分において、外周面26および内周面27をドーム部22の上面から略直角に立ち上げられ、環状突部23の周辺の被接着部分における曲げ剛性がより強化されている。
【0034】
また、環状突部23は、接着剤の液貯めとして機能し、接着剤の外部への漏れが止められ、押圧突起15が反転バネ14に均一に接着される。よって、接着剤の漏れにより押圧突起15と反転バネ14との間に極端な編肉が生じることがなく、押圧突起15と反転バネ14との接着性が向上される。この場合、環状突部23と共に液貯めを形成する円形領域24が略平坦に形成されおり、円形領域24に塗布された接着剤が均一に広がるように構成されている。
【0035】
環状突部23の突出端面は、略平坦に形成されており、押圧突起15が載置される。このように、押圧突起15は、環状突部23の突出端面に載置された状態で、接着剤により反転バネ14に接着固定されるため、反転バネ14の被接着部分に対して傾いて固定されることがない。
【0036】
複数の突起部25は、ドーム部22の中心を囲むように3箇所に形成されており、ドーム部22の反転時に中央固定接点11に接触可能に構成されている。このように、可動接点3は、中央固定接点11に対して3点で接触されるため、中央固定接点11上に塵埃等が付着した場合であっても、確実に中央固定接点11に接触することが可能となる。
【0037】
図3を参照して、可動接点の反転動作について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る可動接点の反転動作の説明図である。
【0038】
図3(a)に示すように、キーマット部材7に配置された操作キー8が押圧されていない初期状態においては、可動接点3の弾性力により押圧突起15および表面シート17を介してキーマット部材7が上方に持ち上げられている。この場合、反転バネ14の外周縁部が周辺固定接点12に接触し、複数の突起部25が中央固定接点11から離間している。この初期状態から操作キー8が押圧されると、反転バネ14がドーム部22の半径方向外側から中心に向かって徐々に撓み始め、ドーム部22の外面から立ち上がる環状突部23の周辺部分において撓みが抑制される。
【0039】
さらに、反転バネ14に加わる荷重が大きくなり所定の荷重以上になると、反転バネ14が反転し始める。反転バネ14が反転し始めると、反転バネ14の被接着部分が、撓むことなく中央固定接点11に対して平行状態を保ったまま中央固定接点11に接近する。そして、図3(b)に示すように、反転バネ14の反転が完了すると、複数の突起部25が中央固定接点11に接触され、中央固定接点11と周辺固定接点12とが反転バネ14を介して導通される。
【0040】
このとき、反転バネ14の径方向外側から起こる撓みが環状突部23の周辺部分によって抑制され、反転バネ14の被接着部分に生じる撓みが抑えられているため、押圧突起15と反転バネ14との間に介在された接着層28に生じる曲げ応力が大幅に減少される。したがって、操作キー8が繰り返し操作されても、接着層28に生じる曲げ応力が小さいため、反転バネ14から押圧突起15が外れることがない。
【0041】
また、上記したように、環状突部23により反転バネ14の被接着部分の剛性が高められ、反転時に反転バネ14の被接着部分が部分的に撓むことがないため、図4に示すように、押圧突起15の中心に対して操作キー8が位置ズレした状態で押圧操作が行われても、反転バネ14の良好な反転形状が得られ、中央固定接点11との接触性が向上される。
【0042】
図5を参照して、可動接点付きシートの製造工程について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る可動接点付きシートの製造工程の説明図である。
【0043】
図5(a)に示すように、帯状のフープ材に、打ち抜き加工により反転バネ14の外形形状が形成され、曲げ加工によりドーム部22、スカート部21および複数の突起部25が形成され、ハーフパンチ加工により環状突部23が形成される。このとき、反転バネ14は、複数の桟部によりフープ材に連結されている。
【0044】
次に、図5(b)に示すように、図示しないディスペンサにより環状突部23に囲まれた液貯めに接着剤が吐出される。次に、図5(c)に示すように、打ち抜き加工により円板状に打ち抜かれた押圧突起15が環状突部23の突出端面に載置される。そして、紫外線の照射により、接着剤が硬化されて押圧突起15が反転バネ14に接着固定され、可動接点3が形成される。この場合、接着剤が環状突部23から溢れ出るが、少量であるため押圧突起15と反転バネ14との間に極端な編肉が形成されることがない。
【0045】
なお、図5(b)、図5(c)において、ディスペンサにより反転バネ14に接着剤を吐出して押圧突起15と反転バネ14とを接着固定する構成としたが、押圧突起15の下面に接着剤を塗布して押圧突起15と反転バネ14とを接着固定する構成としてもよい。この構成により、ディスペンサの誤作動により接着剤が過剰に吐出されてフープ材に連結された多数の反転バネ14が全て不良品となることを防止することができる。
【0046】
次に、図5(d)に示すように、エンボス加工により保持シート4の表面シート17に接点保持部19が上方に膨出するように形成される。次に、図5(e)に示すように、フープ材から反転バネ14(可動接点3)が切断され、図5(f)に示すように、切断された可動接点3が表面シート17の接点保持部19の下面に貼着される。このようにして、可動接点付きシートが製造され、携帯電話等の回路基板に貼着されてスイッチ装置として利用される。
【0047】
この場合、図6に示すように、押圧突起15の厚みや表面シート17の接点保持部19の大きさを変えることにより、用途に合わせて可動接点付きシートが製造される。例えば、図6(b)、図6(d)、図6(f)に示すように、押圧突起15の厚みを厚くする形成することにより、押圧位置を高くすることが可能となる。また、図6(a)、図6(b)に示すように、表面シート17にエンボス加工を施すことなく、可動接点3を組み込むことにより、工数および製造コストを低減することが可能となる。
【0048】
また、図6(c)、図6(d)に示すように、表面シート17の接点保持部19を押圧突起15に対して広めに形成することにより、表面シート17に対する可動接点3の貼着作業を容易とすることが可能となる。さらに、図6(e)、図6(f)に示すように、表面シート17の接点保持部19を押圧突起15の大きさに合わせて形成することにより、表面シート17と可動接点3との密着性が向上され、表面シート17から可動接点3が脱落することが防止される。
【0049】
以上のように、本実施の形態に係るスイッチ装置1によれば、反転バネ14の外面に押圧突起15が固定されるため、反転バネ14の一部に荷重を集中させて中央固定接点11との接触性を向上させることが可能となる。また、環状突部23によって反転バネ14の被接着部分の曲げ剛性が高められて、反転バネ14の反転時に被接着部分の撓みが抑制されるため、押圧突起15と被接着部分との間に介在する接着層28に生じる曲げ応力が減少され、押圧突起15が反転バネ14から外れることを防止することが可能となる。
【0050】
なお、上記した実施の形態においては、環状突部を反転バネのドーム部から略直角に立ち上がる構成としたが、この構成に限定されるものではない。反転バネの外面から液貯めを形成するように突出していればよく、例えば、凸状に湾曲させて環状突部を形成する構成としてもよい。
【0051】
また、上記した実施の形態においては、補強部を環状突部で構成することとしたが、この構成に限定されるものではない。補強部は、反転バネの被接着部分の曲げ剛性を高めて、被接着部分の部分的な撓みを抑制するものであればどのような構成であってもよく、例えば、補強部を、反転バネの内面からドーム内に向かって突部を突出させて構成してもよいし、反転バネの外面から外方に突出する複数の円弧状の突部で構成してもよい。
【0052】
また、上記した実施の形態においては、環状突部の突出端面に押圧突起を載置して、反転バネと押圧突起とを接着固定する構成としたが、押圧突起を環状突部に囲まれた円形領域に収まるように配置して反転バネに接着固定する構成としてもよい。
【0053】
また、上記した実施の形態においては、押圧突起を絶縁樹脂により円板状に形成する構成としたが、この構成に限定されるものではない。反転バネの一部に荷重を集中させて反転バネと中央固定接点との接触性を向上させる構成であれば、どのような材料および形状であってもよい。
【0054】
また、上記した実施の形態においては、可動接点に中央固定接点に接触する複数の突起部を設ける構成としたが、この構成に限定されるものではない。可動接点に突起部を設けない構成にしてもよいし、一つの突起部を設ける構成としてもよい。
【0055】
また、上記した実施の形態においては、保持シートにより回路基板に可動接点が保持されたスイッチ装置を例示して説明したが、この構成に限定されるものではない。本発明に係る可動接点を用いるスイッチ装置であれば、どのような構成でもよい。
【0056】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明は、押圧突起を反転バネに接着固定するものにおいて、押圧突起が反転バネから外れることを防止することができるという効果を有し、特に、携帯電話などの小型の電子機器に組み込まれるスイッチ用可動接点、可動接点付きシートおよびスイッチ装置に有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 スイッチ装置
2 回路基板(スイッチ基台)
3 可動接点(スイッチ用可動接点)
4 保持シート(粘着シート)
5 固定接点
7 キーマット部材
8 操作キー
11 中央固定接点
12 周辺固定接点
14 反転バネ
15 押圧突起
17 表面シート(粘着シート)
18 スペーサシート(粘着シート)
21 スカート部
22 ドーム部
23 環状突部(補強部)
28 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧により反転可能な反転バネと、
前記反転バネの外面に接着固定される押圧突起とを有し、
前記反転バネは、前記押圧突起が接着される被接着部分の曲げ剛性を高める補強部が設けられたことを特徴とするスイッチ用可動接点。
【請求項2】
前記補強部は、前記被接着部分において反転バネの外面から外部に向けて環状に突出する環状突部であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ用可動接点。
【請求項3】
前記反転バネの前記環状突部に囲まれた部分が略平坦に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ用可動接点。
【請求項4】
前記押圧突起の押圧される被押圧面が略平坦に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスイッチ用可動接点。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のスイッチ用可動接点と、複数の前記スイッチ用可動接点が粘着された粘着シートと、前記粘着シートの粘着面に剥離可能に貼着された剥離シートとを備えたことを特徴とする可動接点付きシート。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のスイッチ用可動接点または請求項5に記載の可動接点付きシートと、前記スイッチ用可動接点が配置され、前記反転バネに離接される固定接点を有するスイッチ基台とを備えたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−250993(P2010−250993A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96773(P2009−96773)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】