説明

スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器

【課題】電源スイッチをOFFするコントローラ手段が動作しない場合でも確実にOFF可能で、システムや機器の使用者も異常状態を認識すること。
【解決手段】スイッチの接点OFFは外部からの制御のみで可能なスイッチや機器において、外部からの制御が不可能に陥った場合には、この異常状態を検知すると共に使用者がスイッチのOFF操作をしたことを検知してからスイッチの接点OFFを実行するような構成としたり、同使用者がスイッチのOFF操作をしたことを検知した後に使用者が強制OFF操作ボタンを押したことを検知した場合にスイッチの接点OFFを実行するような構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号を通電/遮断したり、電源を通電/遮断するスイッチ装置を備えたスイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器に関する技術である。更に詳細には、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器は、スイッチのON操作に対しては同時にスイッチ接点が閉じてON状態になるが、スイッチのOFF操作に対しては同時にスイッチ接点が開いてOFF状態にならないと共に、スイッチのON/OFFの操作状態を認識でき、スイッチ外部のユニットに情報伝達可能なスイッチ装置である。そして、スイッチ接点のOFFは、スイッチのON/OFFの操作状態を認識したスイッチ外のユニットから接点のOFFに対する準備が完了した信号を受けた後にスイッチ接点が開いてOFF状態にするスイッチ装置である。また、更にスイッチの操作状態およびスイッチ接点がON状態の場合に、スイッチ外のユニットからの信号によって、スイッチの操作状態およびスイッチ接点を同時にOFF状態に変更可能なスイッチ装置である。このようなスイッチ装置のスイッチ接点のOFFは、スイッチ外部からの制御が必要であるが、CPU暴走等で制御不能となった場合でも、スイッチ接点のOFFを確実に実施でき、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の電気信号の遮断や電源の遮断を可能とする技術である。
【背景技術】
【0002】
AC電源の通電/遮断を行う従来技術として、例えば、以下のような技術が挙げられる。第1の従来技術は、電源スイッチのON/OFF操作によって、AC接点が閉/開されてAC電源の通電/遮断を行うものである。第2の従来技術は、例えば、プロジェクタ装置等において、メインスイッチを備えず、押しボタンスイッチで機器を立上げたり、押しボタンスイッチで使用後の機器のOFF準備をするものであり、OFF準備完了後にACプラグをコンセントから抜く。
【0003】
一般的には、これら第1の従来技術や第2の従来技術が主流であるが、例えば、第1の従来技術では、突然電源スイッチをON→OFF操作した場合、HDD動作中やDC電源の冷却中や加熱部の冷却中等で、機器のOFF準備ができていないタイミングでAC電源供給が停止すると、機器を破壊してしまうという問題がある。
【0004】
また、第2の従来技術では、第1の従来技術と同様に、機器のOFF準備は確実にできるが、ACプラグがコンセントにささっている限り、押しボタンスイッチ検知用の電力消費を始めON準備のためのAC電力を常に消費することとなり、省エネルギー化を図れず、また使用者にとって使いにくいという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するため、第3の従来技術では、トイレの換気扇スイッチの動作をAC電源の通電/遮断に採用し、同時に別スイッチや検知手段で、スイッチ操作のON/OFF状態を検知して、OFF検知した場合は、速やかに機器のOFF準備処理を実行して、その後に換気扇スイッチのゼンマイ仕掛けのタイマーによるAC電源の遮断に備える。
【0006】
この第3の従来技術では、AC電源の遮断に対しては確実に機器のOFF準備処理が完了できる点や無駄な電力を消費しない点は優れているが、機械的構造が多少複雑であることや製造コストが高くなるという問題がある。さらには、機器のOFF準備が短時間で完了した場合でもAC電源の遮断までは所定の時間を要するため、若干の無駄な電力消費が生じる場合がある。
【0007】
このような問題を解決するため、第4の従来技術では、電源スイッチのAC接点と並列にリレー接点を設け、スイッチユニットとして、スイッチとリレーとを組み合わせて、電子的なタイマ手段を備えた方式である。この第4の従来技術によれば、第3の従来技術の問題は改善できるが、スイッチユニットが現状の電源スイッチの数倍の大きさになってしまう点やAC接点回路が2倍必要な点や、電源スイッチON中はリレーの励磁電流を常に流すと共にタイマ動作用の無駄な電力消費も常に生じるという問題がある。また、機器のOFF準備が短時間で完了した場合でもAC電源の遮断までは所定の時間がかかるので、若干の無駄な電力消費が生じる問題は依然解決されない。
【0008】
このため、第5の従来技術では、上記第4の従来技術におけるスイッチとリレーを別個に分離して、スイッチ部に更にスイッチ操作のON/OFF状態を検知できる別スイッチや検知手段)を備え、また、タイマを搭載せず、OFF検知した後に機器のOFF準備処理を完了してから、リレーの励磁電源をOFF制御する方式を採用している。
【0009】
この第5の従来技術では、スイッチ操作のOFF状態を検知した場合、機器のOFF準備処理を確実に実行、完了して、完了直後にAC電源の遮断を実行できるという確実性がある点で優れている。しかしながら、この第5の従来技術では、AC接点回路が2倍必要な点や、電源スイッチのON中はリレーの励磁電流を常に流して無駄な電力消費が生じるという問題は解決できていない。また、別スイッチや検知手段によるスペースが増加するという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、(1)電源スイッチの突然のOFFに対しても機器を安全に停止させることができ、(2)機器を使用しない時は電源スイッチによってAC電源の遮断が可能であり、(3)機器の動作中の無駄電力が少なく、(4)機器のOFFモード中の無駄電力が少なく、(5)スイッチや必要部品の所要スペースを極力小さくすることができ、(6)さらなる低コストで製造することができ、(7)CPU暴走等で制御不能となった場合でも、スイッチ接点のOFFを確実に実施できるとともに異常状態を使用者が認識できるスイッチ装置、スイッチ装置システム、およびスイッチ装置またはスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、スイッチ装置であって、ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、を備え、前記第2機構は、前記電気信号の制御が可能か否かを表す第1の信号、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した信号である第2の信号の論理積である第3の信号と、前記電気信号である第4の信号と、の論理和である第5の信号を出力し、前記第1の信号が、前記電気信号の制御が不可能であることを表す場合は、前記第3の信号を前記第5の信号として出力することにより、前記第1の電気接点をONからOFFへ変更し、前記第1の信号が、前記電気信号の制御が可能であることを表す場合は、前記第4の信号を前記第5の信号として出力することにより、前記第1の電気接点をONからOFFへ変更すること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明は、スイッチ装置であって、ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、前記スイッチ操作部がON側に位置し、かつ前記第1の電気接点がON状態の場合に、前記スイッチ装置に入力される電気信号のOFF→ON→OFFによって、前記第1の電気接点をONからOFFに変更するとともに、前記スイッチ操作部をON側からOFF側へ変更する第3機構と、を備え、前記第2機構は、前記電気信号の制御が可能か否かを表す第1の信号、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した信号である第2の信号の論理積である第3の信号と、前記電気信号である第4の信号と、の論理和である第5の信号を出力し、前記第1の信号が、前記電気信号の制御が不可能であることを表す場合は、前記第3の信号を前記第5の信号として出力することにより、前記第1の電気接点をONからOFFへ変更し、前記第1の信号が、前記電気信号の制御が可能であることを表す場合は、前記第4の信号を前記第5の信号として出力することにより、前記第1の電気接点をONからOFFへ変更すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源スイッチの突然のOFFに対しても機器を安全に停止させることができ、機器を使用しない時は電源スイッチによってAC電源の遮断が可能であり、機器の動作中の無駄な電力が少なく、機器のOFFモード中の無駄電力が少なく、スイッチや必要部品の所要スペースを極力小さくすることができ、さらなる低コストで製造することができ、CPU暴走等で制御不能となった場合でも、スイッチ接点のOFFを確実に実施できるとともに異常状態を使用者が認識できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施の形態1のスイッチ装置のスイッチ本体部の機械的構造を示す模式図である。
【図2】図2は、実施の形態1のスイッチ装置において第1の電気接点を閉状態(接点ON)から開状態(接点OFF)にする機構の構造を示す模式図である。
【図3】図3は、実施の形態1のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。
【図4】図4は、実施の形態1のコントローラによる制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施の形態2のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。
【図6】図6は、実施の形態3のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。
【図7】図7は、実施の形態4のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。
【図8】図8は、実施の形態5のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。
【図9】図9は、実施の形態6のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるスイッチ装置システムおよびスイッチ装置システムを備えた機器の実施の形態を詳細に説明する。なお、言うまでも無いが、以下の実施の形態は本発明の一例を説明するものであって、本発明の範囲を逸脱しないで当業者が各種の変更や変形や改善を加えることは可能であり、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のスイッチ装置のスイッチ本体部10の機械的構造を示す模式図である。図1では、スイッチ操作部1がONとなった状態を示している。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態のスイッチ本体部10は、スイッチ操作部1と、第1のスイッチ接点レバ21、22と、第2のスイッチ接点レバ3とを主に備えている。また、本実施の形態のスイッチ本体部10は、第1の電気接点として、第1のスイッチ接点レバ21に対応した第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d、および第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)をスイッチ操作部1の下部1bの下方に備えている。
【0018】
また、本実施の形態のスイッチ本体部10は、第2の電気接点として、第2のスイッチ接点レバ3に対応した第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)をスイッチ操作部1の下部1bの下方に備えている。
【0019】
実施の形態1のスイッチ装置は、第1の電気接点が、スイッチ操作部1がON状態の場合では、常に閉状態(接点ON)となるが、スイッチ操作部1のON→OFF操作では、第1の電気接点が閉→開状態(接点OFF)せず、第2の電気接点は、スイッチ操作部1がON状態の場合では、常に閉状態(接点ON)となるとともに、スイッチ操作部1がOFF状態の場合では、常に第2の電気接点が開状態(接点OFF)となるものである。ここで、第2の電気接点は、一般的なスイッチ装置(スイッチ操作部のON/OFF操作に同期して電気接点の閉状態(接点ON)/開状態(接点OFF)が変化する機構)と同様である。
【0020】
スイッチ操作部1は、その下部1bと一体型の構造となっており、ON/OFFの動作を、支点1aを中心軸として利用者に押下されることにより回動可能となっている。
【0021】
スイッチ操作部1の下部1bは、図1に示すように、第1のスイッチの接点レバ側接点21cと反対側の部分において、第1のスイッチ接点レバ21、22に対向する部分を切り欠いている。このため、スイッチ操作部1の下部1bの下面は第1のスイッチ接点レバ21、22の上面に当接不能となっている。一方、スイッチ操作部1の下部1bは、図1に示すように、第2のスイッチの接点レバ側接点と反対側の部分で第2のスイッチ接点レバ3に対向する部分はこのような切り欠き部を備えていない。このため、スイッチ操作部1の下部1bの下面は第2のスイッチ接点レバ3の上面に当接可能であり、後述するように、スイッチ操作部1をOFFに押下した状態で、スイッチ操作部1の下部1bの下面は、第2のスイッチ接点レバ3のみを押下し、第1のスイッチ接点レバ21、22を押下しない構造となっている。
【0022】
スイッチ操作部1がON側の状態では、スイッチ操作部1の下部1b全体は、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22と第2のスイッチ接点レバ3と接していて、このON状態で、第1のスイッチ接点レバ21に対応した第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d同士、および、第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)同士、さらに、第2のスイッチ接点レバ3に対応した第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)同士が接触状態を維持する。これにより、3つの第1のスイッチ接点レバ21、22、および第2のスイッチ接点レバ3のそれぞれに対応した3つの電気接点が閉状態(接点ON状態)となり、回路電流が流れる。
【0023】
第1のスイッチ接点レバ21に対応したスイッチ接点回路について具体的に説明すると、第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体側の端子21eと、第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体21bと、第1のスイッチの接点レバ導体21aと、第1のスイッチの接点レバ側接点21cと、第1のスイッチの端子側接点21dと、第1のスイッチのON−OFF接点側の端子21fが電気的に導通することにより、回路電流が流れる。第1のスイッチ接点レバ22、および第2のスイッチ接点レバ3に対応した2つのスイッチ接点回路についても同様(図示省略)である。
【0024】
一方、スイッチ操作部1がON側→OFF側に押下されると、スイッチ操作部1の下部1bは奥側の第2のスイッチ接点レバ3の全面とは接しているので、スイッチ操作部1のONからOFFへの操作とともに、第2のスイッチ接点レバ3も回動して、第2のスイッチ接点レバ3に対応した第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)同士の接触状態を解除され、開状態(接点OFF)となる。
【0025】
また、スイッチ操作部1の下部1bの第1のスイッチ接点レバ21および第1のスイッチ接点レバ22側は切り欠き部を有しているので、スイッチ操作部1をOFF状態に押下されても、スイッチ操作部1の下部1bは、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22とに接することはなく、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22は押し下げられない。このため、この状態では、第1のスイッチ接点レバ21に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d同士、および第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)同士は接触状態、すなわち閉状態(接点ON)を維持する。
【0026】
このようなスイッチ機構とすることで、第2のスイッチ接点レバ3に対応した第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)同士の接触状態をスイッチ内部あるいはスイッチ外部で検知すれば、スイッチ操作部1がON側かOFF側のどちらに操作されているか検知することができる。
【0027】
また、本実施の形態では、スイッチ操作部1がON側かOFF側のどちらに操作されているか検知する手段として、第2のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第2のスイッチの端子側接点(図示省略)同士の接触状態の検知としているが、これに限定されるものではない。例えば、スイッチ操作部1と連動して稼働するフォトインタラプタの受光状態を変化させる遮光板を設けて検知するように構成することができる。
【0028】
また、第2のスイッチの接点レバ側接点と第2のスイッチの端子側接点からなる第2の電気接点は、スイッチ操作部1のON/OFF操作に同期して電気接点が開(OFF)/閉(ON)するように構成し、第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21dからなる第1の電気接点を、スイッチ操作部1のONからOFF操作に同期せずに電気接点が閉状態に維持するように構成してもよい。
【0029】
次に、スイッチ操作部1がONからOFFに操作された際に、第1の電気接点を閉状態(接点ON)から開状態(接点OFF)にする機構について説明する。
【0030】
図2は、実施の形態1のスイッチ装置において第1の電気接点を閉状態(接点ON)から開状態(接点OFF)にする機構の構造を示す模式図である。図2では、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22の下方部分のみを示している。また、図2では、スイッチ操作部1をOFF操作した場合で、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流していない状態を示している。
【0031】
スイッチ操作部1がONからOFFに操作された場合は、上述したとおり、第2の電気接点(第2のスイッチの接点レバ側接点と第2のスイッチの端子側接点)は開状態となるが、第1の電気接点(第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d、および第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略))は、接触状態を維持し、閉状態(接点ON)となっている。
【0032】
図1で示したスイッチ本体部10には、図2に示すように、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄板(磁性体)29が、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22の下部に接合されている。これにより、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22は連動して動作する。
【0033】
また、図2に示すように、図1で示したスイッチ本体部10には、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心4aがスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bを巻回した状態で、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄板(磁性体)29と対峙して配置されている。ここで、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心4aとスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bとは電磁石を構成し、後述する回路構成によって電流をスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに流すと、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心4aが磁化する。従って、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流すことによって、スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心4aとスイッチ接点レバON→OFF可動用鉄板(磁性体)29の間に電磁吸引力が作用し、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22の図2における右側部分を引き下げる。これにより、第1の電気接点、すなわち、第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d、および第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)の接触状態は解除されて開状態(接点OFF)となる。ここで、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに流す電流は、直流、交流のいずれでも良い。
【0034】
なお、上記の説明では、スイッチ操作部1がOFF側に操作されている場合について説明したが、スイッチ操作部1がON側に操作されている場合については、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流した場合は、第1の電気接点の接触状態が解除されると共に、第1のスイッチ接点レバ21と第1のスイッチ接点レバ22の図2における左側部分を引き上げる力でスイッチ操作部1をON側からOFF側に変更できるようにしても良い。
【0035】
また、上記のスイッチ構造として、第1のスイッチ接点レバ21がON側やOFF側のどちらに可動しても第1のスイッチの接点レバ導体21aと第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体21bは常に接触している。第1のスイッチ接点レバ22や第2のスイッチ接点レバ3についても同様である。
【0036】
このようなスイッチ構成とすれば、いつスイッチ操作部1がON→OFFされてもスイッチ内部の第1のスイッチ接点はONのままであるので、第1の電気接点が突然遮断されることが無い。従って、スイッチのOFF状態を検知してから、機械を安全に停止させたり、途中の動作を完了することができる。また、従来技術のように、リレー接点を励磁電流でONに維持することも必要ないので、無駄な電力消費も生じない。このため、機械の動作中やOFFモード中でも第1のスイッチ接点回路維持のエネルギーは不要である。なぜなら、接点のONは、スイッチ操作部1のOFF→ONの操作で、第1の電気接点の接触維持が完了しているからである。
【0037】
第1の電気接点の接点OFFは、第2の電気接点で、スイッチ操作部1のON→OFFを検知したら、シャットダウン前処理を実行した後に第1の電気接点を電磁石(後述する実施の形態2ではバイメタル等)でOFFにすることができる。シャットダウン前処理とは、各種機器でAC入力電圧供給を遮断される前に各種機器を安全停止させるための処理である。従って、機器を使用しない場合は、第1の電気接点を接点OFFにして無駄な消費電力を低減するとともに電源遮断が可能である。
【0038】
また、従来技術のように、スイッチと並列なリレー回路は不要である。第1の電気接点そのものがスイッチ機能と従来技術のリレーの機能を同時に担っている。従って、小型化やコスト的に有利なスイッチ装置や該スイッチ装置を備えた機器が実現できる。
【0039】
次に、電磁石に通電して第1の電気接点を開状態にするための回路構成について説明する。図3は、実施の形態1のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。
【0040】
本実施の形態の回路構成は、図3に示すように、5VE電源301と、コントローラ302と複合メインスイッチ303とを主に備えている。
【0041】
5VE電源301は、DC低圧の制御用電源であり、制御部が動作している時は常にDC5V等の出力電圧を供給することが求められる電源である。複合メインスイッチ303は、ACSD(ACシャットダウン)スイッチ304と電磁石と信号スイッチ(4)とを備えている。図3において、電磁石はスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bのみを図示している。
【0042】
信号スイッチ(4)は、第2の電気接点としての第2のスイッチの接点レバ側接点と第2のスイッチの端子側接点(ともに図示省略)に相当する。従って、信号スイッチ(4)は、上述したとおり、スイッチ操作部1のON操作に対して連動して閉状態(接点ON)になるとともに、スイッチ操作部1のOFF操作に対して連動して開状態(接点OFF)となる。コントローラ302は、この信号スイッチ(4)のON/OFF状態を検知することにより、スイッチ操作部1がON側かOFF側のどちらに操作されているかを検知することができる。また、コントローラ302は制御部であるので動作中は常にDC5V等の出力電圧を供給することが求められる。
【0043】
ACSDスイッチ304は、スイッチ回路(1)、(2)を備えている。ここで、スイッチ回路(1)、(2)は、それぞれ第1の電気接点としての第1のスイッチの接点レバ側接点21cと第1のスイッチの端子側接点21d、および図1に示される第1のスイッチ接点レバ22に対応する第1のスイッチの接点レバ側接点(図示省略)と第1のスイッチの端子側接点(図示省略)に相当する。
【0044】
スイッチ操作部1がON操作されるとこのスイッチ回路(1)、(2)がON状態、すなわち閉状態となり、これにより商用電源のAC入力306からAC電力が5VE電源(DC低圧の制御用電源)301に供給される。一方、スイッチ操作部1がOFF操作された場合には、突然のAC電力遮断を回避するため、上述した機構により、第1の電気接点としてのスイッチ回路(1)、(2)の接点は直ちに開状態とならない。
【0045】
図3において、2点鎖線矢印は、スイッチ操作部1の動作に対して電気接点が連動して動作するON/OFF状態を示す。従って、スイッチ回路(1)、(2)は、同回路らが開状態(接点OFF)でのスイッチ操作部1のONに対してのみ連動して閉状態(接点ON)となる。(一度閉状態(接点ON)となったスイッチ回路(1)、(2)はその後のスイッチ操作部1のON/OFF操作に対して、接点状態は閉状態(接点ON)を維持する。)スイッチ回路(1)、(2)を開状態(接点OFF)とするには、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流すこと(説明後術)で可能である。
【0046】
図3における点線の矢印は、一瞬の電磁石の力によるスイッチ接点をONからOFFにすることができることを示している。スイッチ回路(1)、(2)の接点が相当する。すなわち、スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bが通電されると、スイッチ回路(1)、(2)が開状態となる。
【0047】
コントローラ302は、5VE電源301に接続されている。コントローラ302は、信号スイッチ(4)の開/閉状態を検知している。コントローラ302は、信号スイッチ(4)の開状態を検知した場合、速やかにシャットダウン前処理を実行する。ここで、シャットダウン前処理としては、画像形成装置では、ハードディスクドライブ装置(HDD)の途中処理の完了や読み書き停止や画像形成作業の完了や冷却ファンの一定時間回転や各種可動物のホームポジション停止などが該当する。また、電気機器や工作機械や医療機器や自動車や輸送機器等の場合には、シャットダウン前処理としては、データの記録処理や仕掛かりジョブの完了や安全停止処理等が該当する。
【0048】
コントローラ302は、シャットダウン前処理の実行を完了したら、電磁石に対して電磁石ON信号を出力して、電磁石のスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流を流して電磁石をONにする。これにより、第1の電気接点としてのスイッチ回路(1)、(2)の接点が開状態となり、接点OFFとなる。
【0049】
ここで、電磁石ON信号は、電磁石を通電してONにすることにより第1の電気接点を開状態(接点OFF)にするための電気信号であり、電磁石に通電する通電電流そのものを電磁石ON信号として用いる他、電磁石の電流をOFF→ONに切り替えるための制御信号を電磁石ON信号として構成すること(例えば後述する図5の実施の形態1の変形例1)ができるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
ここで、コントローラ302の電磁石のON制御は、例えば0.1秒等の一瞬で十分である。このため、電磁石のON制御の動作で消費されるエネルギーは極めて微小で済む。ここで、コントローラ302による電磁石のON制御を短時間にすることは好ましいが、本実施の形態の場合、電磁石のON制御を継続しても、スイッチ回路(1)、(2)の接点を開状態にすると、AC入力306から5VE電源301への電力供給が停止するので、コントローラ302による電磁石に対する通電のエネルギーも自動的に消滅する。どちらの構成の場合でも、コントローラ302は、スイッチ操作部1がOFF操作されたことを検知して、シャットダウン(ACスイッチ接点開放)のシーケンスを決定することができる。
【0051】
次に、スイッチ操作部1がON側からOFF側に操作された場合において、このようなコントローラ302による第1の電気接点の接点ON(閉状態)から接点OFF(開状態)への制御について詳細に説明する。図4は、実施の形態1のコントローラ302による制御処理の手順を示すフローチャートである。ここで、図4に示す制御処理は、コントローラ制御のメインルーチンの中で毎回実行されるように構成する他、例えば20ms毎等の一定時間毎に実行するように構成することができる。
【0052】
まず、コントローラ302は、第2の電気接点、すなわち信号スイッチ(4)の開閉状態を検知することにより、スイッチ操作部1がON側/OFF側のいずれの位置にあるかを検知する(ステップS11)。ここで、コントローラ302側でGND以外の電圧に入力信号を抵抗を介してプルアップやプルダウンすることにより信号スイッチ(4)の開閉検知を行うことができる。具体的には、コントローラ302は、信号スイッチ(4)が閉状態であることを検知した場合には、スイッチ操作部1はON側に位置していると検知し、信号スイッチ(4)が開状態であることを検知した場合には、スイッチ操作部1はOFF側に位置していることを検知する。
【0053】
そして、スイッチ操作部1がON側に位置している場合は(ステップS11:ON)、コントローラ302は次回の処理まで待機する。一方、スイッチ操作部1がOFF側に位置している場合は(ステップS11:OFF)、コントローラ302は、シャットダウン前処理が完了しているか否か、あるいはシャットダウン前処理が不要か否かを判断する(ステップS12)。
【0054】
そして、シャットダウン前処理が完了していないあるいはシャットダウン前処理が必要と判断した場合(ステップS12:No)、コントローラ302はシャットダウン前処理を開始済みか否かを判断する(ステップS13)。そして、コントローラ302は、シャットダウン前処理を開始済みである場合には(ステップS13:Yes)、シャットダウン前処理を継続し(ステップS14)、次回の処理まで待機する。一方、コントローラ302は、シャットダウン前処理を開始済みでない場合には(ステップS13:No)、シャットダウン前処理を開始し(ステップS15)、次回の処理まで待機する。このような処理を行うのは、直ちに、第1の電気接点を開状態にすると突然のAC電力遮断となって問題になるためである。
【0055】
ステップS12において、コントローラ302は、シャットダウン前処理が完了している、あるいはシャットダウン前処理が不要と判断した場合には(ステップS12:Yes)、直ちに第1の電気接点を開状態にしても問題にならないため、第1の電気接点であるスイッチ回路(1)、(2)を開状態するための電磁石ON信号を出力済みか否か判断する(ステップS16)。そして、コントローラ302は、電磁石ON信号を出力済みでない場合には(ステップS16:No)、電磁石ON信号(電磁石に通電する通電電流や、電磁石の電流をOFF→ONに切り替えるための制御信号等)を出力し(ステップS17)、次回の処理まで待機する。これにより、電磁石のスイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4bに電流が流れ、電磁石がONになる。
【0056】
ステップS16において、コントローラ302は、電磁石ON信号を出力済みの場合(ステップS16:Yes)、ステップS17における電磁石ON信号の出力から一定時間が経過したかどうかを確認する(ステップS18)。そして、一定時間の経過が確認できない場合には(ステップS18:No)、次回の処理まで待機する。一方、ステップS18において、一定時間の経過が確認できた場合は(ステップS18:Yes)、電磁力によって、第1の電気接点であるスイッチ回路(1)、(2)が開状態となり、接点OFFとなっているので、電磁石OFF信号を出力して(ステップS19)、次回の処理まで待機する。ここで、電磁石OFF信号とは、電磁石の通電をやめて電磁石をOFFするための信号であり、通電電流を停止する他、電磁石の電流をON→OFFに切り替えるための制御信号等を電磁石OFF信号として用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
なお、本実施の形態では、電磁石ON信号の出力から一定時間経過したら電磁石OFF信号を出力しているが(ステップS18、S19)、電磁石ON信号を出力済みである場合(ステップS16:Yes)、これらのステップS18、S19を行わずに、次回の処理まで待機するように構成してもよい。この後の第1の電気接点(スイッチ回路(1)、(2))の接点OFFによって、AC入力306から5VE電源301への電力供給が停止するので、コントローラ302による電磁石に対する通電のエネルギーも自動的に消滅するからである。図4のフローチャートでは、点線四角領域を実線円領域に変更可能である。
【0058】
また、スイッチ操作部1がON側の位置にある場合でも、コントローラ302の判断によって、コントローラ302からシャットダウン実行信号を入力した場合に、電磁石(スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル4b)をON制御して、これにより強制的に第1の電気接点をONからOFFに変更するとともに、スイッチ操作部1をON側からOFF側へ変更するように構成してもよい。
【0059】
このように本実施の形態では、スイッチ操作部1がON側からOFF側に操作された場合でも直ちに第1の電気接点を開状態とせずに接点ONを維持し、シャットダウン前処理を完了してから電磁石を通電して第1の電気接点を開状態にして接点OFFとしているので、スイッチ操作部1の突然のOFF操作に対してもスイッチ装置を搭載した機器を安全に停止させることができる。また、機器を使用しない時には、スイッチ装置によってAC電源の遮断を行うことができる。また、機器の動作中および電源OFF時の無駄な電力消費が少ないので、電力消費を削減することができる。また、スイッチや必要部品の所要スペースが極力小さいため、スイッチ装置の省スペース化を図ることができる。さらに、従来技術と比較して、製造コストをさらに低減したスイッチ装置を提供することができる。
【0060】
すなわち、実施の形態1では、上述の(1)〜(7)の課題のうち、(1)〜(6)の課題を解決できる。(1)〜(6)に加えて(7)の課題を解決する方法については以下の各実施の形態で説明する。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態1のようなスイッチ装置では、第1の電気接点のONからOFFへの変更は、スイッチ外部からの電気信号によるOFF→ON→OFFの制御が必要である。もしも、万が一CPU暴走等で第1の電気接点のONからOFFへの変更制御が不能となった場合でも、第1の電気接点をONからOFFへ確実にできる手段が必要である。
【0062】
例えば、コントローラ302の暴走対策として、コントローラ302のウォッチドッグ信号(WD信号)や通信異常信号のいずれかが発生した場合に、電磁石をONにしてAC電力を遮断する手段が考えられる。
【0063】
このような手段によると、CPU暴走等の場合等で第1の電気接点のONからOFFへの変更制御が不能となった場合には、第1の電気接点をONからOFFへ変更できる。しかし、スイッチ装置システムやスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の使用者は、異常に気付くことができないまま、スイッチ装置システムやスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器が自動的に正常状態としてのOFF状態になる。CPU暴走等でスイッチ装置システムやスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器に異常が発生した場合は、使用者もその異常について認識することが好ましい。
【0064】
そこで、本実施の形態では、CPU暴走等により、第1の電気接点のONからOFFへの変更が制御不能となった場合でも、第1の電気接点をONからOFFへ変更して、スイッチ装置をOFF状態にできるようにする。さらに、スイッチ装置システムやスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の異常状態を使用者が認識できるスイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器を実現する。
【0065】
図5は、実施の形態2のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。本実施の形態のスイッチでは、コントローラ302が正常動作していて、必要時に電磁石ON/OFF信号(第4の信号)を出力できる状態の場合は、この信号の制御によって、論理和回路1901を通して、電磁石通電が可能であり、スイッチの第1の電気接点をON状態からOFF状態に変更できる。この場合は、図示される、電磁石通電の制御不可能信号(第1の信号)は「L」である。
【0066】
電磁石通電の制御不可能信号とは、第1の電気接点をON状態からOFF状態に変更するための電気信号の制御が可能か否かを表す信号の一例である。例えば、電磁石通電の制御不可能信号は、コントローラ302の暴走等により電磁石通電の制御ができなくなった場合にコントローラ302から出力される信号である。電磁石通電の制御不可能信号は、例えば、コントローラ302が正常動作しているときに「L」となり、コントローラ302が正常動作していないときに「H」となる。
【0067】
また、スイッチ操作部1のOFF検知信号(第2の信号)も、信号スイッチ(2次側)がON(コントローラ302が動作している場合は5VE電源301にAC電力が供給されるためにスイッチONが必要)であるので、GND側に接続されて「L」である。従って、第3の信号も「L」である。
【0068】
スイッチ操作部1がOFF操作された場合でも、コントローラ302が正常動作していれば、電磁石通電の制御不可能信号(第1の信号)は「L」である。スイッチ操作部1のOFF検知信号(第2の信号)は、信号スイッチ(2次側)はOFFなので、5Vへのプルアップ抵抗を介した信号となって「H」となる。しかる後に、コントローラ302は、シャットダウン処理を完了後、電磁石ON/OFF信号(第4の信号)を「H」出力して、第1の電気接点(スイッチ回路(1)、(2))をON状態からOFF状態に変更でき、システム全体がOFF状態となる。
【0069】
一方、万が一コントローラ302が正常動作していない場合は、電磁石ON/OFF信号の出力が制御できない状態であるので、電磁石ON/OFF信号(第4の信号)は不確定となる。従って、この信号が「L」に固定された場合は、この信号により第1の電気接点をON状態からOFF状態に変更することはできない。この場合は、図示される、電磁石通電の制御不可能信号(第1の信号)は「H」となる。またスイッチ操作部1のOFF検知信号(第2の信号)も信号スイッチ(2次側)がONであるので、「L]である。従って、第3の信号もこの時点では「L]である。しかる後にスイッチ装置や機器の使用者が異常に気付いて、スイッチ操作部1のOFF操作をすると、スイッチ操作部1のOFF検知信号(第2の信号)は「H」となる。すると、電磁石通電の制御不可能信号(第1の信号)およびスイッチ操作部1のOFF検知信号(第2の信号)は共に「H」となるので、図示される論理積回路1902の出力信号(第3の信号)も「H」となる。論理積回路1902の出力信号(第3の信号)「H」は、論理和回路1901の入力に伝達され、論理和回路1901のから第5の信号「H」として出力される。このことによって、第1の電気接点(スイッチ回路(1)、(2))をON状態からOFF状態に変更でき、システム全体をOFF状態にすることができる。
【0070】
このように、本実施の形態によれば、CPU暴走等でスイッチ装置システムやスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器に異常が発生した場合でも、すぐに第1の電気接点をONからOFFへ変更しない。スイッチ装置システムやスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の使用者が異常に気付いて、スイッチ装置のOFF操作をした後に、第1の電気接点がONからOFFになり、スイッチ装置をOFF状態にできる。このため、スイッチ装置システムやスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器の異常状態を使用者が認識できるスイッチ装置システム、およびスイッチ装置システムを備えたスイッチ装置機器を実現できる。
【0071】
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。前述の実施の形態と同様の部分については説明を省略する。後述する図7〜図9に付いても同様である。
【0072】
実施の形態2の回路構成図(図5)との違いは、電磁石通電の制御不可能信号(第1の信号)をさらに詳細化した点である。すなわち、本実施の形態の電磁石通電の制御不可能信号(第1の信号)は、CPU通信不可能異常信号とウォッチドッグタイマ異常信号とを論理和回路1903に入力して得られる出力信号である。CPU通信不可能異常信号は、コントローラ302やシステムや機器のCPU(図示省略)が通信できない状態になっている場合に発生する信号である。ウォッチドッグタイマ異常信号は、コントローラ302やシステムや機器のCPU(図示省略)のウォッチドッグタイマが一定時間毎にクリアされない異常状態を示す信号である。
【0073】
従って、実施の形態3でも実施の形態1と同様に第1の信号はコントローラ302が正常制御可能か制御不可能かを判断する信号として扱える。
【0074】
(実施の形態4)
図7は、実施の形態4のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。実施の形態2の回路構成図(図5)との違いは、第1の信号としての電磁石通電の制御不可能信号を、強制的にスイッチをOFFする(別のスイッチ操作によって)強制OFF信号(図7では第6の信号)に置き換えた点である。強制OFFスイッチ1904は、図示されるように5Vがプルダウンされていて、強制OFF指示として押下されることにより「H」状態となる押しボタンスイッチである。
【0075】
このような構成とすることで、CPU暴走時等の異常時の処理としては、システムや機器の使用者が異常に気付いて、スイッチOFFして、さらに、強制OFFスイッチ1904を押さない限り正常復帰しないので、使用者は確実にシステムや機器の異常を認識することができる。
【0076】
(実施の形態5)
図8は、実施の形態5のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。実施の形態4の回路構成図(図7)との違いは、実施の形態4の論理積回路1902の入力信号条件として、電磁石通電の制御不可能信号(第7の信号)を追加した点である。
【0077】
このような構成とすることで、CPU暴走時等の異常時の処理としては、システムや機器の使用者が異常に気付いて、スイッチOFFして、さらに、強制OFFスイッチ1904を押さない限り正常復帰しないと共に、使用者が誤って異常判断をした場合はスイッチの第1の電気接点をON状態からOFF状態に変更できない。このため、使用者の誤判断によるシステムや機器の突然のAC遮断を防止できる。
【0078】
(実施の形態6)
図9は、実施の形態6のスイッチの接点の動作や信号の流れを説明する回路構成図である。実施の形態5の回路構成図(図8)との違いは、電磁石通電の制御不可能信号(第7の信号)をさらに詳細化した点である。すなわち、本実施の形態の電磁石通電の制御不可能信号(第7の信号)は、CPU通信不可能異常信号とウォッチドッグタイマ異常信号とを論理和回路1903に入力して得られる出力信号である。
【0079】
以上、各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
【0080】
なお、図1および2で示された各構成部品の位置関係や方向や大きさ等についても種々の変形が可能である。また、各実施の形態で示した図は本発明の本質を説明するためのものであって、本発明の範囲外のスイッチの詳細部分等の図示や説明は省略してある。例えば、スイッチ接点の接触状態を確実なものにするために、スイッチ操作部1の下部とスイッチ接点レバ21や22や3との間にバネを設ける等の構成がスイッチとして必要なことはいうまでも無い。
【0081】
また、上記実施の形態では、第1の電気接点としては、AC入力306のON/OFFを例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態1〜6のスイッチ装置、スイッチ装置と外部ユニットとからなるスイッチ装置システムを、バッテリ搭載機器の自動車や輸送機器、画像形成装置、電気機器、工作機械、医療機器等へ適用することも可能である。また、スイッチ内部でのAC/DCや使用電圧の差によって、安全上や機能上必要な空間距離や沿面距離を確保することが必要になる。
【符号の説明】
【0082】
1 スイッチ操作部
1a 支点
1b 下部
21、22 第1のスイッチ接点レバ
21a、22a 第1のスイッチの接点レバ導体
21b、22b 第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体
21c 第1のスイッチの接点レバ側接点
21d、22d 第1のスイッチの端子側接点
21e、22e 第1のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体側の端子
21f、22f 第1のスイッチのON−OFF接点側の端子
3 第2のスイッチ接点レバ
3e 第2のスイッチの接点レバ動作時常時接触導体側の端子
3f 第2のスイッチのON−OFF接点側の端子
4a スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄心
4b スイッチ接点レバON→OFF可動用電磁石コイル
10 スイッチ本体部
29 スイッチ接点レバON→OFF可動用鉄板
301 5VE電源
302 コントローラ
303 複合メインスイッチ
304 ACSDスイッチ
306 AC入力
1901、1903 論理和回路
1902 論理積回路
1904 強制OFFスイッチ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2002−8490号公報
【特許文献2】特開2002−159143号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ装置であって、
ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、
前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、
前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、を備え、
前記第2機構は、
前記電気信号の制御が可能か否かを表す第1の信号、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した信号である第2の信号の論理積である第3の信号と、前記電気信号である第4の信号と、の論理和である第5の信号を出力し、
前記第1の信号が、前記電気信号の制御が不可能であることを表す場合は、
前記第3の信号を前記第5の信号として出力することにより、前記第1の電気接点をONからOFFへ変更し、
前記第1の信号が、前記電気信号の制御が可能であることを表す場合は、
前記第4の信号を前記第5の信号として出力することにより、前記第1の電気接点をONからOFFへ変更すること、
を特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
スイッチ装置であって、
ONまたはOFF操作されるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部がON側にあるか、OFF側にあるかを検知する検知部と、
前記スイッチ操作部をOFFからONに操作するのと同時に、1回路以上の第1の電気接点をON状態に形成する第1機構と、
前記スイッチ操作部を、ONからOFFに操作すると、前記スイッチ操作部はOFF側になる一方、1回路以上の前記第1の電気接点はON状態を維持し、前記第1の電気接点のONからOFFへの変更は、電気信号のOFF→ON→OFFによって行う第2機構と、
前記スイッチ操作部がON側に位置し、かつ前記第1の電気接点がON状態の場合に、前記スイッチ装置に入力される電気信号のOFF→ON→OFFによって、前記第1の電気接点をONからOFFに変更するとともに、前記スイッチ操作部をON側からOFF側へ変更する第3機構と、を備え、
前記第2機構は、
前記電気信号の制御が可能か否かを表す第1の信号、および、前記スイッチ操作部がOFF側にあることを検知した信号である第2の信号の論理積である第3の信号と、前記電気信号である第4の信号と、の論理和である第5の信号を出力し、
前記第1の信号が、前記電気信号の制御が不可能であることを表す場合は、
前記第3の信号を前記第5の信号として出力することにより、前記第1の電気接点をONからOFFへ変更し、
前記第1の信号が、前記電気信号の制御が可能であることを表す場合は、
前記第4の信号を前記第5の信号として出力することにより、前記第1の電気接点をONからOFFへ変更すること、
を特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1の信号は、CPUが正常通信をしていないことを示すCPU通信不可能異常信号と、ウォッチドッグタイマが一定時間毎にクリアされない異常状態を示すウォッチドッグタイマ異常信号と、の論理積を表す信号であること
を特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記第1の信号は、強制的にスイッチをOFFすることが指示されたことを表す強制OFF信号であること
を特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記第3の信号は、前記第1の信号と、前記第2の信号と、強制的にスイッチをOFFすることが指示されたことを表す強制OFF信号と、の論理積であること
を特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記第1の信号は、CPUが正常通信をしていないことを示すCPU通信不可能異常信号と、ウォッチドッグタイマが一定時間毎にクリアされない異常状態を示すウォッチドッグタイマ異常信号と、の論理積を表す信号であること
を特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のスイッチ装置を備えた画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のスイッチ装置を備えた電気機器。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のスイッチ装置を備えた医療機器。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のスイッチ装置を備えた工作機械。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のスイッチ装置を備えた自動車。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のスイッチ装置を備えた輸送機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−199030(P2012−199030A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61649(P2011−61649)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】