説明

スイッチ装置

【課題】装置の小型化を図ることができ、しかも装置内部へのごみなどの異物の侵入を防止することができるスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】上ケース13の筒状部13aは、その上端部が開口しており、切片操作体15を回動可能に軸支する。筒状部13aは、互いに対向する一対の第1壁21と、この第1壁21と連接し、互いに対向する一対の第2壁22とを有する。第1壁21の略中央の上端部21aは、第2壁22の上端部22aよりも上方に位置しており、切片操作体15を回動可能に軸支する穴部21bが形成されている。操作体本体15aは、それぞれの第2壁22側に延在する突出部15eを有する。この突出部15eは、回動中心Xを中心とする略円弧状の形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ装置に関し、特にモータ駆動用のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ装置は、その用途により種々のタイプのものが製造されているが、このうち主として車載用のアンテナ昇降装置やパワーウィンドウなどのモータ駆動用のスイッチ装置としては、図5に示す構成のものがある。図5は、従来のスイッチ装置の構成を示す正面図である。
【0003】
図5に示すスイッチ装置は、外部機器と電気的に接続する端子102a,102bが取り付けられた下ケース101と、この下ケース101に揺動可能に収容された可動切片104と、可動切片104を操作する切片操作体105と、下ケース101と着脱可能に取り付けられ、切片操作体105を挿通する開口部を有する上ケース103と、切片操作体105と一体化し、上ケース103の開口部を覆う操作つまみ106とから主に構成されている。このスイッチ装置においては、操作つまみ106を矢印方向に動かすことにより、切片操作体105が矢印方向に動く。このとき、その動きにしたがって切片操作体105の先端105aが可動切片104上を摺動し、接点104aが端子102aと電気的に接続するか、接点104bが端子102bと電気的に接続する(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】実公平6−2180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5に示す従来のスイッチ装置においては、上ケース103の開口部に立壁103aを設け、操作つまみ106における上ケース103との接している部分に、立壁103aを覆うようにスカート部106aが設けられている。このスカート部106aにより、上ケース103の立壁103aと切片操作体105との間の隙間107にごみなどの異物が侵入することを防止している。しかしながら、図5に示すスイッチ装置においては、回動中心Yを中心に切片操作体105を傾倒させた状態でも立壁103aを覆うようにするためには、中立位置(傾倒させない状態)でも立壁103aの外側にまでスカート部106aを張り出させる必要があり、この張り出し部分のためにスイッチ装置の小型化を図ることができない。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、装置の小型化を図ることができ、しかも装置内部へのごみなどの異物の侵入を防止することができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスイッチ装置は、外部機器と電気的に接続される固定接点を配置した第1ケース部材と、前記第1ケース部材に取り付けられ、端部が開口している筒状部を有する第2ケース部材と、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とで構成する空間内に移動可能に収容され、移動することにより前記固定接点と接触する接点を有する可動切片と、前記第2ケース部材の前記筒状部に内挿された状態で前記筒状部に回動可能に取り付けられ、該回動動作により前記固定接点と前記可動切片とを択一的に電気的に接続/切断させる切片操作部材と、を具備し、前記筒状部は、互いに対向して前記切片操作部材を回動可能に軸支する一対の第1壁と、前記第1壁と連接し、互いに対向する一対の第2壁と、を有し、前記切片操作部材を軸支する回動中心の位置が前記第2壁の端部よりも上方であり、前記切片操作部材は、前記第2壁側に延在する前記回動中心を中心とする略円弧状の突出部を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、切片操作部材を軸支する回動中心の位置が第2壁の端部よりも上方であり、切片操作部材が、回動中心を中心とする略円弧状の形状を有する突出部を有する。この突出部は、回動中心の同心円の円弧を有するので、筒状部の第2壁に衝突することがなく、切片操作部材の傾倒をスムーズに行うことができる。しかも、回動中心の同心円の円弧を有することにより、突出部と第2壁の端部との間隔が一定となるので、中立位置、傾倒位置のいずれにおいても同様にごみなどの異物の侵入を防止することができる。
【0009】
本発明のスイッチ装置においては、前記突出部が前記第2壁の端部と前記回動中心との間に位置することが好ましい。
【0010】
本発明のスイッチ装置においては、前記第2壁の端部は、前記突出部の曲率半径と略同じ曲率半径を有する湾曲面を前記突出部と対向する位置に有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第2壁の端部と突出部との間のクリアランスを小さく設定することができ、また、その小さなクリアランスの長さを長くできるので、筒状部内部へのごみなどの異物の侵入をより効果的に防止することができる。
【0012】
本発明のスイッチ装置においては、前記突出部は、前記第2壁の内側の端部よりも外側に延在するように設けられていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、筒状部の開口よりも大きな外径を有する突出部を形成することができ、これにより、第2壁の端部と切片操作部材との間の隙間の上方を突出部の略円弧状の部分で覆うことができ、筒状部内への異物の侵入を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスイッチ装置においては、第2ケース部材の筒状部が、可動切片を操作する切片操作部材を回動可能に軸支する一対の第1壁と、第1壁と連接し、互いに対向する一対の第2壁と、を有し、切片操作部材を軸支する回動中心の位置が第2壁の端部よりも上方であり、切片操作部材は、第2壁側に延在する回動中心を中心とする略円弧状の突出部を有するので、装置の小型化を図ることができ、しかも装置内部へのごみなどの異物の侵入を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明者は、可動切片を操作する切片操作部材を傾倒させる際の回動中心と、切片操作部材を挿通させる上ケースの壁との間の位置関係に着目し、切片操作部材を軸支しない壁の先端よりも回動中心を高くし、しかも切片操作部材に回動中心と同心円の円弧を有する突出部を設けることにより、装置の小型化を図ることができ、しかも装置内部へのごみなどの異物の侵入を防止することができることを見出し本発明をするに至った。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態においては、車載用パワーウィンドウのモータ駆動用のスイッチ装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の構成を示す正面図である。図2は、図1に示すスイッチ装置の分解斜視図である。図3は、図1に示すスイッチ装置の一部を示す拡大図である。まず、図1から図3を用いて本実施の形態に係るスイッチ装置の構成について説明する。
【0017】
図1に示すスイッチ装置1は、第1端子11a〜第3端子11cが取り付けられた第1ケース部材である下ケース12と、この下ケース12と着脱可能に取り付けられた第2ケース部材である上ケース13と、上ケース13の筒状部13aに内挿された状態で回動可能に取り付けられ、第1端子11a、第3端子11cと電気的に接触するように下ケース12上に配置された可動切片14を操作する切片操作体15と、切片操作体15上に被せられた操作つまみ16とから主に構成されている。
【0018】
下ケース12は、図2に示すように、上方が開口した略直方体形状を有しており、それぞれ可動切片14を収容する2つの切片収容領域12a,12bを有する。それぞれの切片収容領域12a,12bの底部には、それぞれ第1端子11a,第2端子11b,第3端子11cが取り付けられている。これらの第1端子11a〜第3端子11cは、それぞれ下ケース12の側壁12cから延出しており、外部機器と電気的に接続可能になっている。また、第1端子11a及び第3端子11cの切片収容領域12a,12bにおいて露出された部分には、それぞれ可動切片14のフランジ部14a,14bと電気的に接続する接点17,18が設けられている。なお、切片収容領域12a,12bにおけるそれぞれの第1端子11a及び第3端子11cは、下ケース12の中心に対して180度回転した位置(点対称の位置)に設けられる。すなわち、図1において、図面に表示された切片収容領域12aでは、左から第1端子11a,第2端子11b,第3端子11cの順に配置され、図面に表示されない切片収容領域12bでは、左から第3端子11c,第2端子11b,第1端子11aの順に配置される。
【0019】
下ケース12の側壁12cには、後述する上ケース13の開口部と嵌合する突起12dが形成されている。下ケース12は、例えばプラスチック材料を用いて射出成形により形成される。このとき、下ケース12内を区画する仕切りや突起12dが一体に形成される。下ケース12に第1端子11a〜第3端子11cを取り付ける場合、下ケース12及び第1端子11a〜第3端子11cをそれぞれ別々に作製して下ケース12に第1端子11a〜第3端子11cを取り付けても良く、第1端子11a〜第3端子11cを金型に設置した状態で射出成形を行って一体に作製する、いわゆるインサート成形によって作製しても良い。
【0020】
可動切片14は、下ケース12のそれぞれの切片収容領域12a,12bに揺動可能に収容され、揺動することにより、後述する切片操作体15により第1端子11a,第3端子11cと択一的に電気的に接続する。それぞれの可動切片14は、細長い金属板で構成されており、断面略M字形状であって、その表面を切片操作体15が摺動する操作体摺動部14cと、第1端子11a又は第3端子11cとそれぞれ電気的に接続するフランジ部14a,14bとを有する。また、操作体摺動部14cの切片操作体15が摺動する面と反対側の面が第2端子11bと電気的に接続する突出部19に接触する。
【0021】
可動切片14の操作体摺動部14cの側面には、外側に延在する突起14dが形成されており、この突起14dが下ケース12の凹部(図示せず)と係合することにより、それぞれの可動切片14が下ケース12の切片収容領域12a,12bに位置決めされるようになっている。可動切片14は、下ケース12の切片収容領域12a,12bに収容できるような大きさを有しており、金属板をプレス加工や曲げ加工することにより作製することができる。
【0022】
このような構成の可動切片14は、フランジ部14a,14bが第1端子11aの接点17及び第3端子11cの接点18とそれぞれ対向するようにして下ケース12の切片収容領域12a,12bにそれぞれ載置される。その状態で可動切片14の操作体摺動部14cに切片操作体15が摺動することにより、可動切片14は、突出部19を支点としてシーソーのように揺動することが可能であり、第1端子11aの接点17と可動切片14のフランジ部14aとが電気的に接触あるいは切断し、同時に第3端子11cの接点18と可動切片14のフランジ部14bとが電気的に切断あるいは接触する。
【0023】
上ケース13は、下ケース12と着脱可能である本体部13bと、可動切片14上を摺動して可動切片14を操作する、後述する切片操作体15を内挿する筒状部13aとを有する。上ケース13の本体部13bは、下ケース12と略同じ大きさを有しており、下ケース12の側壁12cに形成された突起12dに対応する位置に開口部13cを有する。したがって、上ケース13の開口部13cに下ケース12の突起12dが嵌合することにより下ケース12に上ケース13が取り付けられる。また、開口部13cから突起12dを外すことにより下ケース12から上ケース13を取り外すことができる。なお、本実施の形態においては、下ケース12に突起12dを設け、上ケース13に開口部13cを設けて下ケース12と上ケース13を着脱する場合について説明しているが、下ケース12に開口部を設け、上ケース13に突起を設けて下ケース12と上ケース13を着脱するようにしても良い。さらには、上記の例においては、突起12dに開口部13cをいわゆるスナップインで結合させることによって下ケース12に上ケース13を取り付け、開口部13cの周囲の上ケース13の部分を変形させて下ケース12から上ケース13を取り外すことができる構成について説明しているが、本発明においては、下ケース12と上ケース13とを溶着して分離不可の構成にしても良い。
【0024】
図3に示すように、上ケース13の筒状部13aは、その上端部が開口しており、切片操作体15を回動可能に軸支する。すなわち、筒状部13aは、互いに対向する一対の第1壁(切片操作体15を軸支する壁)21と、この第1壁21と連接し、互いに対向する一対の第2壁(切片操作体15を軸支しない壁)22とを有する。第1壁21の略中央の上端部21aは、第2壁22の上端部22aよりも上方に位置しており、切片操作体15を回動可能に軸支する穴部21bが形成されている。したがって、切片操作体15を軸支する回動中心Xの位置(穴部21bの位置)が第2壁22の上端部22aよりも上方である。なお、上ケース13は、例えばプラスチック材料を用いて射出成形により形成される。
【0025】
切片操作体15は、図3に示すように、上ケース13の筒状部13aの開口内に挿入された状態で筒状部13aの第1壁21の穴部21bに回動可能に取り付けられている。したがって、切片操作体15は、回動中心Xを中心として矢印方向に揺動可能になっている。切片操作体15は、図2に示すように、両方の端部が開口しており、内部で仕切り(図示せず)を有する筒状の操作体本体15aと、操作体本体15aの下側の端部の開口部内に弾性部材(ここではばね15c)を介して取り付けられた押圧部材15bとを有する。操作体本体15aに弾性部材を介して押圧部材15bを取り付けることにより、押圧部材15bを可動切片14に弾性接触させることができ、可動切片14の揺動をスムーズに行うことができる。操作体本体15aの側壁には、突起15dが形成されており、この突起15dが上ケース13の筒状部13aの穴部21bに嵌合することにより切片操作体15が上ケース13に取り付けられる。
【0026】
また、操作体本体15aは、それぞれの第2壁22側に延在する突出部15eを有する。この突出部15eは、回動中心Xを中心とする略円弧状の形状を有する。さらに、この突出部15eは、第2壁22の上端部22aと回動中心Xとの間に位置する。すなわち、この突出部15eは、円柱形状であり、回動中心Xを中心とする同心円における下向きの円弧を形成するように延在している。なお、操作体本体15aは、上ケース13の筒状部13aに内挿できるような大きさで作製され、突出部15eは、この開口よりも大きく形成される。また、押圧部材15bは、操作体本体15aの開口内に挿入できる大きさで作製される。また、操作体本体15a及び押圧部材15bは、それぞれ例えばプラスチック材料を用いて射出成形により形成される。
【0027】
上ケース13の筒状部13aの第2壁22の端部22aは、操作体本体15aの突出部15eの曲率半径と略同じ曲率半径を有する湾曲面を有することが好ましい。すなわち、第2壁22の端部22aにおいて、操作体本体15aの突出部15eと対向する位置に湾曲面を有することが好ましい。このような構成にすることにより、第2壁22の端部22aと操作体本体15aの突出部15eとの間のクリアランスを小さく設定することができ、その小さなクリアランスの領域を長くすることができ、それにより、筒状部13a内部へのごみなどの異物の侵入をより効果的に防止することができる。
【0028】
このような切片操作体15の押圧部材15bの先端15fが可動切片14の操作体摺動部14aの表面を摺動することにより第1端子11a、第3端子11cと可動切片14のフランジ部14a,14bとをそれぞれ択一的に電気的に接続あるいは切断させる。すなわち、図1において、矢印A方向に切片操作体15を傾倒させることにより、第1端子11aの接点17と可動切片14のフランジ部14aとが電気的に接続し、接点18とフランジ部14bとが電気的に遮断する。矢印B方向に切片操作体15を傾倒させることにより、第3端子11cの接点18と可動切片14のフランジ部14bとが電気的に接続し、接点17とフランジ部14aとが電気的に遮断する。
【0029】
なお、本実施の形態においては、切片操作体15に突起15dを設け、上ケース13に穴部21bを設けて切片操作体15と上ケース13を着脱する場合について説明しているが、切片操作体15に穴部を設け、上ケース13に突起を設けて切片操作体15と上ケース13を着脱するようにしても良い。
【0030】
操作つまみ16は、切片操作体15の操作体本体15aの上側の開口部に取り付けられている。すなわち、操作つまみ16の内側には、操作体本体15aの上側の開口部15gに嵌合可能な大きさの突出部(図示せず)が形成されており、その突出部が開口部15gに嵌合することにより、切片操作体15に操作つまみ16が取り付けられる。これにより操作つまみ16が切片操作体15に固定され、操作つまみ16を操作することにより、切片操作体15が傾倒できるようになっている。
【0031】
このようなスイッチ装置は、第1端子11a〜第3端子11cを取り付けた下ケースの切片収容領域12a,12bに、フランジ部14a,14b及び操作体摺動部14cを形成した可動切片14を載置し、上ケース13の筒状部13aに切片操作部15を取り付けた状態で、下ケース12に上ケース13を取り付け、切片操作部15に操作つまみ16を取り付けることにより組み立てることができる。そして、図1に示すように、このスイッチ装置は、配線基板24に取り付けられる。本実施の形態におけるスイッチ装置は、パワーウィンドウ用のスイッチとして用いられるので、実際に、車両に取り付けられた際には、図1の下方が地面となるようにして取り付けられる。
【0032】
次に、上記構成を有するスイッチ装置の動作について説明する。図1及び図4は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の動作を説明するための図である。まず、操作つまみ16を動かさないと、操作つまみ16と結合している切片操作体15は中立位置にあり、切片操作体15の先端15fが操作体摺動部14cの谷部に位置し、フランジ部14aが接点17と接触しない。本実施の形態においては、固定接点17,18、突出部19は、電気的に独立しており、端子11bがモータに接続され、端子11aが電源に接続され、端子11cが接地点接続されている。このため、本スイッチ装置では、このような状態においてモータは回転しない。なお、切片収納領域12bに収納されている操作体摺動部14cも同様の状態となる。
【0033】
図4に示すように、操作つまみ16を矢印A方向に動かすと、操作つまみ16と結合している切片操作体15は回動中心Xを中心として傾倒する。このとき、切片操作体15の先端15fは矢印A方向と反対方向に揺動する。すなわち、切片操作体15の先端15fは、可動切片14の操作体摺動部14cを摺動する。また、操作体摺動部14cは、切片操作体15の先端15fと接触する面と反対側の面で突出部19と接触しているので、この突出部19を支点として可動切片14がシーソーのように揺動してフランジ部14aが下降して第1端子11aに設けられた接点17と接触する。これにより、可動切片14が第1端子11aと電気的に接続してモータが例えば正転する。なお、この際、切片収納領域12bに収納されている操作体摺動部14cは、先端15fが切片収納領域12aと反対に第3端子11c側に移動することになるので、図1の状態から接点の切り換えは行われない。同様にして、操作つまみ16を図1の矢印B方向に動かすと、操作つまみ16と結合している切片操作体15が回動中心Xを中心として傾倒し、切片操作体15の先端15fは矢印B方向と反対方向に揺動する。そして、操作つまみ16を矢印A方向に傾けた際と同様の動作を行って今度は切片収納領域12bの操作体摺動部14cは第1端子11aと接触して、モータが反転する。なお、本実施の形態においては、切片収納領域12a側の端子11aが端子11bと接触するとモータを正転させ、切片収納領域12b側の端子11aが端子11bと接触するとモータを反転させるように結線されているがその逆であっても良い。また、モータ制御に関しては公知技術であるので、その詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態に係るスイッチ装置においては、切片操作体15を軸支する回動中心Xの位置(穴部21bの位置)が第2壁22の上端部22aよりも上方であり、操作体本体15aは、回動中心Xを中心とする略円弧状の形状を有する突出部15eを有する。この突出部15eは、回動中心Xの同心円の円弧を有するので、筒状部13aの第2壁22に衝突することがなく、切片操作体15の傾倒をスムーズに行うことができる。しかも、回動中心Xの同心円の円弧を有することにより、突出部15eと第2壁22の上端部22aとの間隔が一定となるので、中立位置、傾倒位置のいずれにおいても同様にごみなどの異物の侵入を防止することができる。また、切片操作体15を軸支する回動中心の位置を、第2壁22の上端部22aよりも上方に位置させて、突出部15eが上端部22aよりも外側に延在するように設けられているので、筒状部13aの開口よりも大きな外径で突出部15eを形成することが可能となり、第2壁22の内壁と切片操作体15との間の隙間の上方を、略円弧状の突出部15eで覆うことができ、それにより筒状部13a内への異物の侵入を確実に防止することができる。なお、操作つまみ16を取り付けられる前の作業途中や操作つまみ16が実装された状態においては、筒状部13aの開口は上を向くことが多いため、本発明の構成により上側からの異物の侵入を防ぐことは、スイッチ装置内部への異物の侵入を防ぐことに繋がる。また、スイッチ装置内部に侵入する可能性のある隙間に繋がる外部の空間を減少させることができるので、この意味でもスイッチ装置内部への異物の侵入を防止することができる。また、本発明の構成においては、突出部15eは、上端部22aよりも上方に位置するので、組み立ても簡単に行うことができる。
【0035】
なお、本実施の形態においては、切片収納領域12a,12bにそれぞれ可動切片14、接点17,18、突出部19を設けた場合について説明しているが、切片収納領域の一方を省略しても良く、さらには、接点17,18の一方を省略しても良い。また、本実施の形態においては、可動切片14は揺動して接点17と接触するようにしているが、切片操作体15の揺動に伴って可動切片14がスライドして接点と接触及び離間するような構成にしても良い。また、本実施の形態においては、接点17,18を下ケース12に収容する場合について説明しているが、本発明においては、下ケース12と上ケース13で構成される空間内に可動切片、接点などが配置されていても良い。また、本実施の形態においては、略M字形状の可動切片を用いた場合について説明しているが、本発明においては板状体の可動切片を用いても良い。
【0036】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態においては、車載用パワーウィンドウのモータ駆動用のスイッチ装置の場合について説明しているが、本発明は、車載用パワーウィンドウ以外、例えば車載用アンテナ昇降装置などのモータ駆動用のスイッチ装置に同様に適用することが可能である。また、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の構成を示す正面図である。
【図2】図1に示すスイッチ装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示すスイッチ装置の一部を示す拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の動作を説明するための図である。
【図5】従来のスイッチ装置の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0038】
11a〜11c 第1端子〜第3端子
12 下ケース(第2ケース部材)
12a,12b 切片収容領域
12c 側壁
12d,14d,15d 突起
13 上ケース(第1ケース部材)
13a 筒状部
13b 本体部
13c,15g 開口部
14 可動切片
14a,14b フランジ部
14c 操作体摺動部
15 切片操作体(切片操作部材)
15a 操作体本体
15b 押圧部材
15c ばね
15e,19 突出部
15f 先端
16 操作つまみ
17,18 接点(固定接点)
21 第1壁
21a,22a 上端部
21b 穴部
22 第2壁
23 隙間
24 配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器と電気的に接続される固定接点を配置した第1ケース部材と、前記第1ケース部材に取り付けられ、端部が開口している筒状部を有する第2ケース部材と、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とで構成する空間内に移動可能に収容され、移動することにより前記固定接点と接触する接点を有する可動切片と、前記第2ケース部材の前記筒状部に内挿された状態で前記筒状部に回動可能に取り付けられ、該回動動作により前記固定接点と前記可動切片とを択一的に電気的に接続/切断させる切片操作部材と、を具備し、前記筒状部は、互いに対向して前記切片操作部材を回動可能に軸支する一対の第1壁と、前記第1壁と連接し、互いに対向する一対の第2壁と、を有し、前記切片操作部材を軸支する回動中心の位置が前記第2壁の端部よりも上方であり、前記切片操作部材は、前記第2壁側に延在する前記回動中心を中心とする略円弧状の突出部を有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記突出部が前記第2壁の端部と前記回動中心との間に位置することを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第2壁の端部は、前記突出部の曲率半径と略同じ曲率半径を有する湾曲面を前記突出部と対向する位置に有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記第2壁の内側の端部よりも外側に延在するように設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−202651(P2006−202651A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14591(P2005−14591)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】