説明

スイッチ装置

【課題】導光板を用いることなく視認の対象となる部分を照光させることができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1は、前面にパネル21を備える矩形箱状のケース2と、ケース2内に収納される基板3と、パネル21と基板3との間に配置され基板3と当接するラバー部材4と、パネル21の外面に貼り付けられるラベル5とを備える。基板3には、押釦スイッチ31と発光素子32とが実装される。ラバー部材4は、弾性および透光性を有する。ラバー部材4は、基板3上に配置後において、基板3と当接する支持部41と、支持部41と連続し押釦スイッチ31を押操作する可動部42を備える。ラベル5には透光性の有するマークが設けられ、ラバー部材4が発光素子32の光を導光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押操作される部分が弾性を有するラバー部材により形成され、視認の対象となる部分が照光するスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、押操作される部分が弾性を有するラバー部材により形成され、視認の対象となる部分が照光するスイッチ装置が提供されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたスイッチ装置において、ラバー部材は透光性を有しており、その一部であるキートップ(操作部)をケースから露出させて設けられている。上記のスイッチ装置は、操作部を押操作することにより操作される。
【0003】
特許文献1に記載されたスイッチ装置は、視認の対象となる部分としての操作部が照光するように構成されている。上記のスイッチ装置おいては、操作部を照光させるために、ケース内に収納された光源と導光板とが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−78416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の構成においては、光源から放射された光を導光板によりケース全体に導光させることにより、操作部が照光する。そのため、当該構成においては、操作部を照光させるために、光源に加えて導光板が余分に必要となっている。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであって、導光板を用いることなく視認の対象となる部分を照光させることができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスイッチ装置は、押釦スイッチを実装する基板と、弾性を有するとともに基板に当接する支持部および支持部に連続し押釦スイッチの押釦部を押操作する可動部を備えるラバー部材と、視認の対象を標示するマークを有するとともにラバー部材に重なるラベルと、基板に実装される発光素子とを備え、ラベルにおいて少なくともマークは透光性を有しており、ラバー部材は透光性を有し発光素子の光を導光することを特徴とする。
【0008】
このスイッチ装置において、ラバー部材は、支持部と可動部との間に基板側から窪んだ空洞部が形成されており、発光素子は、空洞部内に配置されることが望ましい。
【0009】
このスイッチ装置において、押釦スイッチは基板上に複数実装されており、ラバー部材は複数の可動部および支持部を一体に備えており、ラバー部材において隣接する空洞部は連通しており、空洞部内には、少なくとも1個の発光素子が配置されることがより望ましい。
【0010】
このスイッチ装置において、押釦スイッチはライトタッチスイッチであることがより望ましい。
【0011】
このスイッチ装置において、基板およびラバー部材はケースに収納されており、ケースは、一面がラバー部材とラベルとの間に配置されるトップケースと基板を支持するボトムケースとにより構成され、トップケースとボトムケースとの接続部分には防水性を有するシール部材が設けられることがより望ましい。
【0012】
ここに、「視認の対象」は、ラベルに示される種々の表記であって、操作部の位置だけでなく、操作部による操作対象を示す文字や記号(マーク)、あるいは目盛などを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、導光板を用いることなく視認の対象となる部分を照光させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態のスイッチ装置の縦断面図である。
【図2】同上の斜視図である。
【図3】同上の前方から見た分解斜視図である。
【図4】同上の後方から見た分解斜視図である。
【図5】同上の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態では、農機具に用いられるスイッチ装置を例示するが、このスイッチ装置を他の用途に用いることを妨げない。以下では、図2においてラベル5を設けてある面を前面として説明する。
【0016】
スイッチ装置1は、図3に示すように、前面にパネル21を備える矩形箱状のケース2(図2参照)と、ケース2内に収納される基板3と、パネル21と基板3との間に配置されるラバー部材4と、パネル21の前面に重ねて貼り付けられるラベル5とを備える。
【0017】
ケース2は、パネル21を備えるトップケース22と基板3を支持するボトムケース23とにより構成される。パネル21は、後述するラバー部材4の操作部422(図1参照)を露出させる複数個の開口窓211を有している(図3参照)。ケース2のトップケース22とボトムケース23との結合については後述する。
【0018】
図3に示すように、基板3の前面には、ストロークの小さい小型押釦スイッチであるライトタッチスイッチを用いた押釦スイッチ31と、可視光を放射するLED(発光ダイオード)である発光素子32とが実装される。本実施形態の押釦スイッチ31は、モーメンタリ(自動復帰型)のスイッチであり、押釦スイッチ31の前面には押釦部311が突出している。この押釦スイッチ31は、押釦部311を押操作中にのみオンになる。押釦スイッチ31および発光素子32の基板3上の配置関係については後述する。
【0019】
ラバー部材4は、ゴム弾性を有した透光性材料により形成される。ラバー部材4には、基板3に当接する支持部41が設けられ、支持部41の要所には後面側に開口した空洞部44が形成される。空洞部44の前壁は連結部43を形成し、連結部43は薄肉の可撓部45を介して円柱状に形成された可動部42を保持する。可撓部45は、可動部42における前後方向の中間部において可動部42の全周に亘って連続する。1個の空洞部44に少なくとも1個の可動部42が配置される。
【0020】
可動部42は、後端面の中央部が押釦スイッチ31における押釦部311の前面に当接しており、可動部42の前面である操作部422が押操作されると、可動部42を介して押釦スイッチ31の押釦部311が押操作される。また、可動部42は、図5に示すように、後端面の周部において周方向に離間した複数個の規制片42が突設されている。規制片42は、常時は、後端面が基板3から離れており、操作部422が押操作されることによって、可動部42が後方に移動したときには、後端面が基板3に当接することによって可動部42の後方への移動量を規制する。
【0021】
可撓部45は、前方に膨らんだ形状に湾曲しており、可動部42を支持部41に対して前方に付勢している。したがって、操作部422を押操作して可動部42を後方に移動させた後に、操作部422から押力を除去すると、押釦スイッチ31における押釦部311の復帰力とともに可撓部45の弾性による復帰力が可動部42に作用し、可動部42が元の位置に復帰する。
【0022】
以下、押釦スイッチ31および発光素子32とラバー部材4との配置関係について説明する。
【0023】
本実施形態では、図3に示すように、10個の押釦スイッチ31を基板3上に実装した例を示す。ラバー部材4には、各押釦スイッチ31にそれぞれ対応した10個の可動部42が設けられている。
【0024】
本実施形態においては、複数個の押釦スイッチ31が近接して基板3上に実装されている(図3においては、下方から2個、4個、2個、2個の押釦スイッチ31がそれぞれ近接している)。ここに、上記の押釦スイッチ31の配置に対応して、ラバー部材4において複数個の可動部42が近接して配置される(図3においては、下方から2個、4個、2個、2個の可動部42がそれぞれ近接している)。そのため、近接する各可動部42の周囲に形成される空洞部44は隣接しており、本実施形態においては近接する可動部42の周囲に形成される空洞部44を連通させる。これにより、図4に示すように、ラバー部材4には4つの空洞部44が形成される
発光素子32は、空洞部44にそれぞれ少なくとも1個配置されるように基板3上に実装される。図3に示すように、空洞部44に2個の押釦スイッチ31が配置される場合には、各押釦スイッチ31の中間(空洞部44の中央部)に1個の発光素子32が配置される。また、空洞部44に4個の押釦スイッチ31が配置される場合には、各2個の押釦スイッチ31(図3においては、上と右、左と下にある押釦スイッチ31)の間にそれぞれ1個ずつの発光素子32が配置される。つまり、本実施形態においては、6個の発光素子32が基板3上に実装される。
【0025】
ところで、可動部42および操作部422は透光性を有しており、可動部42は、発光素子32からの光を操作部422へ導光する(図5参照)。つまり、発光素子32からの光(図5において右上および左上へ向かう矢印)が、可動部42により操作部422へ向かう光(図5において各可動部42の上へ向かう矢印)となる。このように、発光素子32からの光を可動部42が導光することにより、操作部422を照光させる。
【0026】
ラベル5は、ケース2のパネル21の前面に重ねて貼り付けられている。図2に示すように、ラベル5には、ラベル5の他の部分より前方に浮き上がったドーム状のエンボス部51が設けられる。本実施形態においてエンボス部51は、ラバー部材4の操作部422と重複する箇所(10箇所)に設けられている(図3参照)。エンボス部51には、視認の対象としての記号や文字が表記された透光性のマーク(図示せず)が設けられる。
【0027】
また、エンボス部51は、前方から押操作することにより後退可能となっている。したがって、エンボス部51を押すことにより、操作部422が押され、可動部42の後端が押釦スイッチ31の押釦部311を押操作する。エンボス部51から押力を除去すると、エンボス部51は元の形状に戻る。ラベル5にエンボス部51を設けることによりクリック感が付与され、押操作するときの操作感覚を向上させることができる。
【0028】
ラベル5は、両面テープによりケース2のパネル21の外面に貼り付けられる。これにより、ラベル5のケース2への貼り替えが可能になり、様々な種類のマークを設けたラベル5を備えるスイッチ装置1の製作が容易になる。
【0029】
ここで、ケース2を構成するトップケース22とボトムケース23との結合の態様について説明する。
【0030】
トップケース22は、パネル21とその端縁から後方へ延びる上側部221とを備える。上側部221の後端縁は、全周に亘ってその中央部が前方に窪んで凹部222(図5参照)を形成している。また、パネル21の長手方向の一端(図3においては、下端)から延びる上側部221には、挿入孔223が設けられており、挿入孔223には、リード線6が挿入される。
【0031】
ケース2のボトムケース23は、矩形板状の底部231とその端縁から前方へ延びる下側部232とを備える。下側部232の前端縁には、前方へ延伸し下側部232の厚みより薄い挿入片233が形成される(図5参照)。
【0032】
トップケース22とボトムケース23とは、トップケース22の凹部222にボトムケース23の挿入片233を挿入し、ねじ止めすることにより結合される。上記の結合において、トップケース22の凹部222にシール部材としてシール剤(図示せず)を導入することにより、ケース2を封止してスイッチ装置1の防水性を高めることができる。シール部材としては、ゴム弾性を有する部材を用いてよい。
【0033】
また、隣接する4個の可動部42の操作部422が露出するパネル21の開口窓211は連通しており、パネル21には、十字窓212が形成される(図3参照)。
【0034】
本実施形態においては、視認の対象となる箇所としてラベル5のエンボス部51にマークを設けたが、ラベル5の他の箇所にマークを設けても良い。また、マークには光拡散材料を含有させてもよい。これにより、マークを正面以外の方向からも見やすくして効率的に照光させることができる。
【0035】
基板3の前面の一部または全面に白色または銀色などのレジストを形成してもよい。これにより、発光素子32から基板3側へ照射される光をラバー部材4のパネル21側へ反射させることができるため、ラバー部材4の操作部422を照光させることができる。
【0036】
ラバー部材4の前面には、各操作部422を取り囲みに前方に延びる凸部(図示せず)を設けても良い。これにより、ラバー部材4をケース2へ収納後、凸部がパネル21の内面に圧着されることにより防水性を高めることが可能となる。また、ラバー部材4には光拡散材料を含有させてもよい。これにより、操作部422を効率的に照光させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 スイッチ装置
2 ケース
22 トップケース
23 ボトムケース
3 基板
31 押釦スイッチ
311 押釦部
32 発光素子
4 ラバー部材
41 支持部
42 可動部
44 空洞部
5 ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押釦スイッチを実装する基板と、弾性を有するとともに前記基板に当接する支持部および前記支持部に連続し前記押釦スイッチの押釦部を押操作する可動部を備えるラバー部材と、視認の対象を標示するマークを有するとともに前記ラバー部材に重なるラベルと、前記基板に実装される発光素子とを備え、前記ラベルにおいて少なくとも前記マークは透光性を有しており、前記ラバー部材は透光性を有し前記発光素子の光を導光することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ラバー部材は、前記支持部と前記可動部との間に前記基板側から窪んだ空洞部が形成されており、前記発光素子は、前記空洞部内に配置されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記押釦スイッチは前記基板上に複数実装されており、前記ラバー部材は、複数の前記可動部および前記支持部を一体に備えており、前記ラバー部材において隣接する前記空洞部は連通しており、前記空洞部内には、少なくとも1個の前記発光素子が配置されることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記押釦スイッチはライトタッチスイッチであることを特徴とする請求項1〜3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記基板および前記ラバー部材はケースに収納されており、前記ケースは、一面が前記ラバー部材と前記ラベルとの間に配置されるトップケースと前記基板を支持するボトムケースとにより構成され、前記トップケースと前記ボトムケースとの接続部分には防水性を有するシール部材が設けられることを特徴とする請求項1〜4に記載のスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−133953(P2012−133953A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284004(P2010−284004)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(592070649)パナソニック電工SUNX竜野株式会社 (61)
【Fターム(参考)】