説明

スイッチ装置

【課題】主に自動車のストップランプの消点灯制御等に用いられるスイッチ装置に関し、車両への装着が容易で、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】スイッチ17の中空筒部13A外周または保持体18内周の、ねじ部13Bまたは18Bの少なくとも一方の端面を、上内方または下内方に傾斜させて、傾斜面13Cや18Cを設けることによって、保持体18に中空筒部13Aを嵌合する際、ねじ部13Bと18Bのねじ山同士が合った状態でも、傾斜面13Cや18Cにガイドされてねじ部13Bと18Bの嵌合が行われ、中空筒部13Aを所定の位置で保持体18に係止できるため、やり直し等がなく容易に車両への装着が行えると共に、中空筒部13Aからの作動体4先端の突出寸法が一定で、確実な操作が可能なスイッチ装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車のブレーキペダル操作時の、ストップランプの消点灯制御等に用いられる車両用のスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ブレーキペダルを踏み込んだ際にはストップランプを点灯させ、離した際には消灯させる、ブレーキペダルの操作に伴うストップランプの制御用として、主に押圧操作型のスイッチ装置が多く使用されている。
【0003】
このような従来のスイッチ装置について、図5〜図8を用いて説明する。
【0004】
図5は従来のスイッチ装置の断面図、図6は同部分斜視図であり、同図において、1は上面開口で略箱型の絶縁樹脂製のケース、2は銅合金等の固定接点で、複数の固定接点2がケース1の左右内側壁に対向して植設されると共に、ケース1底面からは固定接点2の下端が突出している。
【0005】
また、3は下面開口で略箱型の絶縁樹脂製のカバーで、このカバー3がケース1上面の開口部を覆うと共に、上面中央には上方へ突出する中空筒部3Aが形成され、中空筒部3A外周には対向する一対のねじ部3Bが設けられている。
【0006】
そして、4はカバー3内に上下動可能に収納された絶縁樹脂製の作動体、5は略コの字状で銅合金等の可動接点で、可動接点5の中間部が作動体4下面に保持されると共に、左右端がやや撓んだ状態で固定接点2に弾接し、左右の固定接点2が可動接点5を介して電気的に接続されて、スイッチ接点が形成されている。
【0007】
さらに、6はコイル状に巻回されたばねで、このばね6が作動体4下面とケース1内底面との間にやや撓んだ状態で装着されて、作動体4が上方に付勢されると共に、作動体4先端がカバー3中央の中空筒部3Aから上方へ突出して、スイッチ7が構成されている。
【0008】
また、8は絶縁樹脂製の保持体で、略円弧状の二つの部材が固着されて形成されると共に、中央の挿通孔8A内周には対向する一対のねじ部8Bが設けられ、この保持体8とスイッチ7からスイッチ装置が構成される。
【0009】
そして、このように構成されたスイッチ装置が、図7(a)の側面図に示すように、自動車のブレーキペダル21近傍の、シャーシ22の貫通孔22A内に、先ず保持体8が固着された後、図7(b)に示すように、保持体8の挿通孔8A内にスイッチ7の中空筒部3Aが挿入される。
【0010】
さらに、この後、図7(c)に示すように、中空筒部3Aから突出した作動体4先端をブレーキペダル21に押圧した状態で、スイッチ7を回転して、中空筒部3A外周の一対のねじ部3Bと、挿通孔8A内周の一対のねじ部8Bを嵌合させ、図7(d)に示すように、作動体4先端が中空筒部3Aから1〜2mm前後突出した状態で車両に装着される。
【0011】
また、ケース1底面から突出した固定接点2の下端が、コネクタやリード線(図示せず)等によって、車両のストップランプや電子回路(図示せず)等に接続される。
【0012】
つまり、図7(d)に示すように、ブレーキペダル21が踏み込まれていない状態では、作動体4がばね6を撓めながら下方へ押圧操作されると共に、可動接点5の左右端が固定接点2から離れ、左右の固定接点2が電気的に切断された状態となっているため、ストップランプは消灯した状態となっている。
【0013】
そして、ブレーキペダル21が踏み込まれると、ブレーキペダル21が作動体4先端から離れ押圧力が除かれるため、図5に示したように、ばね6の弾性復帰力によって作動体4が上方へ移動すると共に、可動接点5の左右端が固定接点2に弾接して接触し、左右の固定接点2が可動接点5を介して電気的に接続された状態となり、ストップランプが点灯するように構成されている。
【0014】
なお、上記のように保持体8によって、スイッチ7をシャーシ22に装着する際、図6に示すように、中空筒部3A外周のねじ部3Bや挿通孔8A内周のねじ部8Bの、端面3Cや8Cは周方向に対してほぼ垂直に形成されているため、図8(a)の部分断面図に示すように、ねじ部3Bと8Bのねじ山同士が合った状態で、このままスイッチ7を回転して嵌合を行うと、スイッチ7の取付け位置にずれが生じてしまう場合がある。
【0015】
すなわち、図8(b)に示すように、ねじ部3B上面がねじ部8B下面に当接した状態で嵌合された場合には、保持体8に対し中空筒部3Aが、図8(c)に示す位置に係止され、図8(d)に示すように、ねじ部3B下面がねじ部8B上面に当接した状態で嵌合された場合には、図8(e)に示す位置に中空筒部3Aが係止される。
【0016】
つまり、ねじ部3Bと8Bのねじ山が合った状態で、保持体8に中空筒部3Aを嵌合させた場合、各々のねじ山の当接の仕方によって、一山分のねじ山の間隔の寸法Lだけ、スイッチ7がシャーシ22に装着された状態で、中空筒部3Aから作動体4先端が突出する寸法に位置ずれが、例えばねじ山の間隔が1mm前後であった場合には、1mm前後の位置ずれが生じてしまう。
【0017】
したがって、このような位置ずれが生じた場合には、一旦スイッチ7を逆回転して保持体8から外し、ずれのない状態で再度、中空筒部3Aのねじ部3Bを保持体8のねじ部8Bに嵌合させる必要のあるものであった。
【0018】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2009−70593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置においては、中空筒部3Aのねじ部3Bや挿通孔8Aのねじ部8Bの、端面3Cや8Cは周方向に対してほぼ垂直に形成されているため、保持体8によってスイッチ7をシャーシ22に装着する際、ねじ部3Bと8Bのねじ山同士が合った状態で嵌合すると、中空筒部3Aから作動体4先端が突出する寸法に位置ずれが生じる場合があり、一旦スイッチ7を外して再度組立てを行う必要がある等、車両への装着が煩雑で手間がかかってしまうという課題があった。
【0021】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、車両への装着が容易に行え、確実な操作が可能なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために本発明は、スイッチの中空筒部外周または保持体内周のねじ部の少なくとも一方の端面を、上内方または下内方に傾斜させてスイッチ装置を構成したものであり、ねじ部の端面が上内方または下内方に傾斜して形成され、保持体に中空筒部を嵌合する際、中空筒部と保持体のねじ部のねじ山同士が合った状態でも、端面が上内方や下内方に面取りされた傾斜面にガイドされてねじ部の嵌合が行われ、中空筒部を所定の位置で保持体に係止できるため、やり直し等がなく容易に車両への装着が行えると共に、中空筒部からの作動体先端の突出寸法を一定に保つことができるため、確実な操作が可能なスイッチ装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、車両への装着が容易で、確実な操作が可能なスイッチ装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図
【図2】同部分斜視図
【図3】同ブレーキペダルの側面図
【図4】同部分断面図
【図5】従来のスイッチ装置の断面図
【図6】同部分斜視図
【図7】同ブレーキペダルの側面図
【図8】同部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0026】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0027】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図、図2は同部分斜視図であり、同図において、1は上面開口で略箱型のポリブチレンテレフタレートやABS等の絶縁樹脂製のケース、2は燐青銅や黄銅等の銅合金製の固定接点で、複数の固定接点2がケース1の左右内側壁に対向して植設されると共に、ケース1底面からは固定接点2の下端が突出している。
【0028】
また、13は下面開口で略箱型の絶縁樹脂または金属製のカバーで、このカバー13がケース1上面の開口部を覆い、上面中央には上方へ突出する中空筒部13Aが形成されると共に、この中空筒部13A外周には対向する一対のねじ部13Bが設けられ、ねじ部13Bの端面には上内方に面取りされて傾斜した傾斜面13Cが形成されている。
【0029】
そして、4はカバー13内に上下動可能に収納された絶縁樹脂製の作動体、5は略コの字状で燐青銅やベリリウム銅等の銅合金製の可動接点で、可動接点5の中間部が作動体4下面に保持されると共に、左右端がやや撓んだ状態で固定接点2に弾接し、左右の固定接点2が可動接点5を介して電気的に接続されて、スイッチ接点が形成されている。
【0030】
さらに、6はコイル状に巻回された鋼や銅合金線製のばねで、このばね6が作動体4下面とケース1内底面との間にやや撓んだ状態で装着されて、作動体4が上方に付勢されると共に、作動体4先端がカバー13中央の中空筒部13Aから上方へ突出して、スイッチ17が構成されている。
【0031】
また、18は絶縁樹脂製の保持体で、略円弧状の二つの部材が固着されて形成され、中央の挿通孔18A内周には対向する一対のねじ部18Bが設けられると共に、ねじ部18Bの端面には下内方に面取りされて傾斜した傾斜面18Cが形成され、この保持体18とスイッチ17からスイッチ装置が構成される。
【0032】
そして、このように構成されたスイッチ装置が、図3(a)の側面図に示すように、自動車のブレーキペダル21近傍の、シャーシ22の貫通孔22A内に、先ず保持体18が固着された後、図3(b)に示すように、保持体18の挿通孔18A内にスイッチ17の中空筒部13Aが挿入される。
【0033】
さらに、この後、図3(c)に示すように、中空筒部13Aから突出した作動体4先端をブレーキペダル21に押圧した状態で、スイッチ17を回転して、中空筒部13A外周の一対のねじ部13Bと、挿通孔18A内周の一対のねじ部18Bを嵌合させ、図3(d)に示すように、作動体4先端が中空筒部13Aから1〜2mm前後突出した状態で車両に装着される。
【0034】
また、ケース1底面から突出した固定接点2の下端が、コネクタやリード線(図示せず)等によって、車両のストップランプや電子回路(図示せず)等に接続される。
【0035】
つまり、図3(d)に示すように、ブレーキペダル21が踏み込まれていない状態では、作動体4がばね6を撓めながら下方へ押圧操作されると共に、可動接点5の左右端が固定接点2から離れ、左右の固定接点2が電気的に切断された状態となっているため、ストップランプは消灯した状態となっている。
【0036】
そして、ブレーキペダル21が踏み込まれると、ブレーキペダル21が作動体4先端から離れ押圧力が除かれるため、図1に示したように、ばね6の弾性復帰力によって作動体4が上方へ移動すると共に、可動接点5の左右端が固定接点2に弾接して接触し、左右の固定接点2が可動接点5を介して電気的に接続された状態となり、ストップランプが点灯するように構成されている。
【0037】
また、上記のように保持体18によって、スイッチ17をシャーシ22に装着する際、図2に示すように、中空筒部13A外周のねじ部13B端面には上内方に傾斜した傾斜面13Cが、挿通孔18A内周のねじ部18B端面には下内方に傾斜した傾斜面18Cが各々形成されているため、図4(a)の部分断面図に示すように、ねじ部13Bと18Bのねじ山同士が合った状態で嵌合した場合にも、スイッチ17を位置ずれなく所定の位置で保持体18に取付けられるようになっている。
【0038】
すなわち、図4(a)に示すように、ねじ部13Bと18Bのねじ山が合った状態で、保持体18に中空筒部13Aを嵌合させた場合でも、上内方に面取りされて傾斜した傾斜面13Cと、下内方に面取りされて傾斜した傾斜面18Cにガイドされて、図4(b)に示すように、ねじ部13B上面がねじ部18B下面に常に当接して嵌合が行われ、保持体18に対し中空筒部13Aが常に、図4(c)に示す位置に係止される。
【0039】
つまり、保持体18に中空筒部13Aを嵌合する際、ねじ部13B端面の上内方の傾斜面13Cと、ねじ部18B端面の下内方の傾斜面18Cが互いをガイドし、常にねじ部13B上面がねじ部18B下面に当接して嵌合が行われるため、ねじ部13Bと18Bのねじ山が合った状態で嵌合した場合でも、中空筒部13Aを常に図4(c)に示す、位置ずれのない所定の位置で保持体18に係止できるように構成されている。
【0040】
したがって、位置ずれを修正するために、一旦スイッチ17を外して再び保持体18に組立てる、といったやり直し等が不要となり、車両への装着が容易に行えると共に、中空筒部13Aからの作動体4先端の突出寸法も一定に保てるため、所定量のブレーキペダル21の操作で作動体4を上下動させ、可動接点5と固定接点2との確実な電気的接離を行うことが可能となる。
【0041】
なお、以上の説明では、上下動可能な作動体4下面に可動接点5の中間部を保持すると共に、可動接点5左右端を固定接点2に弾接させて、スイッチ接点を形成した構成について説明したが、リベット状の可動接点と固定接点を対向配置してスイッチ接点を形成した構成や、あるいは、作動体4に磁石を装着し、この磁気の変化をホール素子等で検出する構成等、様々なスイッチ接点を用いた構成としても、本発明の実施は可能である。
【0042】
また、以上の説明では、中空筒部13A外周のねじ部13B端面に上内方に傾斜した傾斜面13Cを、保持体18内周のねじ部18B端面に下内方に傾斜した傾斜面18Cを各々形成し、この上向きの傾斜面13Cと下向きの傾斜面18Cの両方で、ねじ部13Bと18Bをガイドして嵌合を行う構成について説明したが、中空筒部13Aまたは保持体18のいずれか一方の、ねじ部13Bか18B端面を上内方または下内方に傾斜させた構成としてもよい。
【0043】
このように本実施の形態によれば、スイッチ17の中空筒部13A外周または保持体18内周の、ねじ部13Bまたは18Bの少なくとも一方の端面を、上内方または下内方に面取りし傾斜させて、傾斜面13Cや18Cを設けることによって、保持体18に中空筒部13Aを嵌合する際、中空筒部13Aと保持体18のねじ部13Bと18Bのねじ山同士が合った状態でも、面取りされた傾斜面13Cや18Cにガイドされてねじ部13Bと18Bの嵌合が行われ、中空筒部13Aを所定の位置で保持体18に係止できるため、やり直し等がなく容易に車両への装着が行えると共に、中空筒部13Aからの作動体4先端の突出寸法を一定に保つことができるため、確実な操作が可能なスイッチ装置を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によるスイッチ装置は、車両への装着が容易で、確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に自動車のストップランプの消点灯制御用として有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 ケース
2 固定接点
4 作動体
5 可動接点
6 ばね
13 カバー
13A 中空筒部
13B ねじ部
13C 傾斜面
17 スイッチ
18 保持体
18A 挿通孔
18B ねじ部
18C 傾斜面
21 ブレーキペダル
22 シャーシ
22A 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒部外周にねじ部が形成されたカバー内に、上下動可能に収納された作動体の上下動に応じて、スイッチ接点が電気的接離を行うスイッチと、内周に上記中空筒部のねじ部に嵌合するねじ部が形成された保持体からなり、上記中空筒部外周または上記保持体内周のねじ部の少なくとも一方の端面を、上内方または下内方に傾斜させて形成したスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−190641(P2012−190641A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52672(P2011−52672)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】