説明

スイッチ装置

【課題】 回転操作部の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部を回転させても、円滑に且つ良好に回転操作部を回転させてスイッチ動作させることができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 楽器本体1の上部ケース2と、この上部ケース2に弾力的に変位可能に保持された可動支持部10と、この可動支持部10に回転自在に配置された回転操作部11と、可動支持部10に設けられて回転操作部11の回転操作に伴う回転位置を検出する検出部12とを備えている。従って、回転操作部11の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部11を回転操作する際に、その回転操作時における押圧力によって、可動支持部10を回転操作部11および検出部12と共に上部ケース2に対して弾力的に傾けることができるので、可動支持部10、回転操作部11、および検出部12の全てを常に一定の状態に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転操作に伴う回転位置を検出する回転式のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、回転式のスイッチ装置としては、特許文献1に記載されているように、指針表示部に操作ノブが設けられた回転操作部と、この回転操作部を回転可能に保持する操作パネルである筐体と、この筐体に設けられて回転操作部の回転位置を検出するスイッチ部とを備えた構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−347135号公報
【0004】
この種のスイッチ装置は、操作パネルである筐体に回転操作部を回転可能に保持するため、回転操作部の指針表示部に設けられた操作円筒部と、筐体に設けられて回転操作部の操作円筒部が回転可能な状態で挿入する環状の保持溝部とを備えている。
【0005】
この場合、回転操作部の操作円筒部は、その内周面が筐体の保持溝部内における小径側の内周面に摺動可能に接触し、操作円筒部の外周面が筐体の保持溝部内における大径側の内周面に固定表示部の筒状部を介して摺動可能に接触し、この状態で回転可能に保持されている。また、回転操作部の指針表示部には、スイッチ部のスイッチ軸が装着する小径の取付ボスが設けられている。
【0006】
これにより、このスイッチ装置は、回転操作部を回転させると、回転操作部における指針表示部の取付ボスに装着されたスイッチ部のスイッチ軸が回転操作部の回転に伴って回転し、このスイッチ軸の回転位置を回転操作部の回転位置としてスイッチ部で検出するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような回転式のスイッチ装置では、スイッチ部が筐体に固定されていると共に、回転操作部の操作円筒部が筐体の保持溝部内に固定表示部の筒状部を介して挿入された状態で回転可能に保持されているため、回転操作部の操作ノブがスイッチ部のスイッチ軸を中心に回転しなければ、回転操作部を円滑に回転させることができないという問題がある。
【0008】
すなわち、このような回転式のスイッチ装置では、回転操作部の操作ノブの回転中心からずれた箇所を指で押しながら操作ノブを回転させると、回転操作部がスイッチ部のスイッチ軸に対して傾くように押し下げられると共に、回転操作部の操作円筒部が筐体の保持溝部内において傾くように押し下げられながら回転するため、回転操作部の操作円筒部が筐体の保持溝部内における小径側の内周面と大径側の内周面とに傾くように接触して摺動することになり、回転操作部が円滑に回転しないという問題がある。
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、回転操作部の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部を回転させても、円滑に且つ良好に回転操作部を回転させてスイッチ動作させることができるスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、筐体と、この筐体の外部に露出した状態で前記筐体に弾力的に変位可能に保持された可動支持部と、前記筐体の外部に露出した状態で前記可動支持部に回転自在に配置された回転操作部と、前記筐体の内部に位置した状態で前記可動支持部に設けられ、前記回転操作部の回転操作に伴う回転位置を検出する検出部と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、回転操作部の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部を回転させると、その回転操作時における押圧力によって、筐体に対して可動支持部を回転操作部および検出部と共に弾力的に傾けることができるので、可動支持部、回転操作部、および検出部の全てを常に一定の状態に保つことができる。このため、回転操作部の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部を回転させても、円滑に且つ良好に回転操作部を回転させてスイッチ動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明を電子鍵盤楽器に適用した一実施形態を示した平面図である。
【図2】図1に示された電子鍵盤楽器のA−A矢視における拡大断面図である。
【図3】図2に示された電子鍵盤楽器のスイッチ装置を示した要部の拡大断面図である。
【図4】図3に示されたスイッチ装置を示した要部の拡大平面図である。
【図5】図3に示されたスイッチ装置を回転操作した状態を示した要部の拡大断面図である。
【図6】図3に示された実施形態における摺動突起部の変形例を示した要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜図5を参照して、この発明を電子鍵盤楽器に適用した一実施形態について説明する。
この電子鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、楽器本体1を備えている。この楽器本体1は、上部ケース2と下部ケースである鍵盤シャーシ3とで構成されている。
【0014】
鍵盤シャーシ3は、図2に示すように、下部ケースを兼ねるものである。この鍵盤シャーシ3の前部側(図2では左側)に位置する上面には、図1および図2に示すように、複数の鍵4が並列に配列されている。この複数の鍵4は、白鍵と黒鍵とであり、その各後端部(図2では右端部)が鍵盤シャーシ3上にそれぞれ上下方向に回転可能に取り付けられている。
【0015】
上部ケース2は、図1および図2に示すように、複数の鍵4の各後端部(図2では右端部)の上方から鍵盤シャーシ3の後端部に亘る箇所、および複数の鍵4の配列方向(図1では左右方向)における両側部に対応する箇所に位置する鍵盤シャーシ3上に配置されている。これにより、上部ケース2は、複数の鍵4がそれぞれ上方に露出するように構成されている。
【0016】
この上部ケース2には、図1に示すように、スピーカ部5、表示部6、スイッチ部7が設けられている。スピーカ部5は、複数のスピーカ5a〜5cを備え、これらが上部ケース2における鍵4の配列方向の両側にそれぞれ設けられている。表示部6は、液晶表示パネルやEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、上部ケース2のほぼ中央部に化粧パネル6aを介して設けられ、鍵盤楽器に必要な各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。
【0017】
スイッチ部7は、図1に示すように、電源スイッチ、音量スイッチ、音色スイッチなどの鍵盤楽器に必要な各種のスイッチを備えているほか、回転式のスイッチ装置8をも備えている。この場合、スイッチ部7は、図1に示すように、各種のスイッチが上部ケース2に分散して設けられている。回転式のスイッチ装置8は、上部ケース2における表示部6の近傍に位置する箇所に設けられている。
【0018】
この回転式のスイッチ装置8は、ジョブダイヤルスイッチなどの回転式のスイッチであり、図2および図3に示すように、楽器本体1の上部ケース2に弾力的に変位可能に保持された可動支持部10と、この可動支持部10に回転自在に配置された回転操作部11と、可動支持部10に設けられて回転操作部11の回転操作に伴う回転位置を検出する検出部12と、を備えている。
【0019】
可動支持部10は、図3に示すように、回転操作部11が回転可能に配置される操作収納部13と、検出部12を搭載するための搭載ボス部14と、上部ケース2に対して変位可能に取り付けられる取付部15とを備えている。操作収納部13は、図3および図4に示すように、円筒状に形成され、その外周部13aの上部が上部ケース2に設けられた円形状の開口部2a内に配置されるように構成されている。
【0020】
また、この操作収納部13の下部には、図3に示すように、底部13bが設けられており、この底部13bの中央部には、貫通孔13cが設けられている。搭載ボス部14は、操作収納部13における底部13bの下面にその下側に向けて突出して設けられており、この搭載ボス部14の内部には、その下側に解放されたねじ孔14aが設けられている。
【0021】
また、可動支持部10の取付部15は、図3に示すように、操作収納部13の外周部13aにおける下部からその下側に垂下された下り部15aと、この下り部15aの下端部が円周方向における外周側に向けて突出した取付片15bとを備えている。この取付部15は、その取付片15bが上部ケース2の下面に設けられた取付ボス16の下面に配置されるように構成されている。この取付片15bには、上部ケース2の取付ボス16に設けられたねじ孔16aに対応するねじ挿入孔15cが設けている。
【0022】
この場合、取付部15は、図3に示すように、取付片15bが上部ケース2の取付ボス16に対して弾性保持機構17によって弾力的に変位可能に取り付けられるように構成されている。すなわち、この弾性保持機構17は、可動支持部10を上部ケース2の取付ボス16に弾力的に押し付けるばね部材18と、上部ケース2の取付ボス16に対して可動支持部10の取付片15bを取り付けると共にこの取付片15bに対するばね部材18のばね力を調整する連結調整ねじ19とを備えている。
【0023】
ばね部材18は、図3に示すように、コイルばねなどの弾性付勢部材であり、可動支持部10の取付片15における下面に配置され、この状態で取付片15を上部ケース2の取付ボス16に弾力的に押し付けるように構成されている。連結調整ねじ19は、その頭部側(図3では下側)にワッシャー19aが配置され、この状態でばね部材18の下側からばね部材18を通して可動支持部10の取付片15bのねじ挿入孔15cに挿入し、この挿入した先端部が上部ケース2の取付ボス16のねじ孔16aに螺合するように構成されている。
【0024】
これにより、弾性保持機構17は、図3に示すように、連結調整ねじ19を上部ケース2の取付ボス16のねじ孔16aに螺合させて締め付けることにより、ばね部材18がそのばね力によって可動支持部10における取付部15の取付片15bを上部ケース2の取付ボス16に弾力的に押し付けるように構成されている。
【0025】
この場合、弾性保持機構17は、図3に示すように、上部ケース2の取付ボス16のねじ孔16aに対するねじ部材18の締め付け力を調整することにより、可動支持部10の取付片15bを上部ケース2の取付ボス16に押し付けるためのばね部材18のばね力が調整されるように構成されている。
【0026】
これにより、可動支持部10は、図3および図5に示すように、上部ケース2の開口部2aから露出した操作収納部13が押し下げられると、取付部15の取付片15bが弾性保持機構17のばね部材18のばね力に抗して押し下げられ、これに伴って可動支持部10全体が上部ケース2の内部(図3では下側)に向けて変位するように構成されている。
【0027】
この場合、可動支持部10は、図5に示すように、操作収納部13がその中心部から偏って押し下げられた際に、その偏った方向(図5では左側)に位置する取付部15の取付片15bが弾性保持機構17のばね部材18のばね力に抗して押し下げられることにより、可動支持部10全体が片側に傾くように、例えば図5において左下がりに傾くように変位する構成になっている。
【0028】
一方、可動支持部10内に配置される回転操作部11は、図3および図4に示すように、可動支持部10の操作収納部13内に回転可能な状態で配置される円形状の操作部20と、この操作部20の下面における中心部に設けられた円筒状の装着ボス部21とを備えている。円形状の操作部20は、可動支持部10の操作収納部13の内径よりも少し小さい円板状に形成され、その外周部が操作収納部13の内周面に接触することなく、操作収納部13内に回転可能な状態で配置されるよう構成されている。
【0029】
この操作部20の上面には、図4に示すように、指先が挿入する小円形状の操作凹部20aが中心部からずれた位置に設けられている。また、この操作部20の下面には、図3に示すように、操作収納部13の底部13b上に接触して摺動する摺動突起部20bが設けられている。この摺動突起部20bは、操作収納部13の貫通孔13cよりも大きい円筒状に形成され、その下端部が円形状に形成されている。
【0030】
これにより、回転操作部11は、図3に示すように、操作部20が上方から押された際に、摺動突起部20bが可動支持部10の操作収納部13における底部13bを押し下げることにより、弾性保持機構17におけるばね部材18のばね力に抗して可動支持部10を押し下げるように構成されている。
【0031】
この場合、回転操作部11は、図5に示すように、操作部20の中心部から偏った位置の操作凹部20aが操作されて回転操作部11が回転する際に、回転操作部11の偏った位置が押圧されながら回転すると、この偏った位置に対応する摺動突起部20bが可動支持部10の操作収納部13における底部13bを押し下げることにより、可動支持部10を傾けるように変位させる構成になっている。
【0032】
また、円筒状の装着ボス部21は、図3に示すように、操作部20の下面における中心部から垂下され、その下端部が可動支持部10の操作収納部13の底部13bに設けられた貫通孔13cを通して操作収納部13の下側に突出するように構成されている。この装着ボス部21は、操作収納部13の底部13bの貫通孔13cよりも十分に小さい小径の円筒状に形成されており、その内部には、キー部21aが軸方向(図3では上下方向)に沿って設けられている。
【0033】
一方、検出部12は、図3に示すように、回転操作部11の回転動作に伴う回転位置を検出するスイッチ部22と、このスイッチ部22が取り付けられる基板23とを備え、この基板23が可動支持部10の搭載ボス部14に取り付けられるように構成されている。スイッチ部22は、ロータリースイッチであり、スイッチ本体24と、このスイッチ本体24に回転可能に取り付けられたスイッチ軸25とを備えている。
【0034】
スイッチ本体24は、図3に示すように、スイッチ軸25の回転動作に応じて回転位置を検出するものであり、基板23上に取り付けられている。スイッチ軸25は、スイッチ本体24内から上方に突出し、この突出した上端部が回転操作部11の装着ボス部21内に挿入して装着され、これにより回転操作部11を支持した状態で回転操作部11と共に回転するように構成されている。
【0035】
この場合、スイッチ軸25は、図3に示すように、その外周面にキー溝25aが軸方向(図3では上下方向)に沿って設けられ、このキー溝25aに装着ボス部21内に設けられたキー部21aが挿入することにより、装着ボス部21と一体的に回転するように構成されている。また、基板23は、可動支持部10の搭載ボス部14の下面にビス23aによって取り付けられている。
【0036】
これにより、検出部12は、図3に示すように、回転操作部11の操作部20が回転操作されると、その回転が装着ボス部21を介してスイッチ軸25に伝達されることにより、スイッチ軸25が回転し、このスイッチ軸25の回転に応じてスイッチ本体24が回転操作部11の回転動作に伴うスイッチ軸25の回転位置を検出するように構成されている。
【0037】
この場合、検出部12は、図5に示すように、回転操作部11の操作部20の中心部から偏った位置の操作凹部20aが操作されて回転操作部11が回転する際に、回転操作部11の偏った位置が押圧されることにより、この回転操作部11およびスイッチ軸25が傾き、このスイッチ軸25の傾きに伴ってスイッチ本体24および基板23が傾くように構成されている。
【0038】
次に、このようなスイッチ装置8を楽器本体1に組み付ける場合について説明する。
この場合には、まず、検出部12のスイッチ部22を基板23に取り付けて検出部12を組み立て、この組み立てられた検出部12を可動支持部10に回転操作部11と共に組み付ける。
【0039】
このときには、検出部12の基板23を可動支持部10の搭載ボス部14の下に配置して、スイッチ部22のスイッチ軸25を可動支持部10の操作収納部13における底部13bの貫通孔13cに挿入させて操作収納部13内に突出させる。この状態で、回転操作部11を可動支持部10の操作収納部13内に上方から配置し、回転操作部11の装着ボス部21にスイッチ部22のスイッチ軸25を対応させて差し込む。
【0040】
このときには、図3に示すように、スイッチ軸25のキー溝部25aに装着ボス部21内のキー部21aを相対的に挿入させて装着させる。すると、回転操作部11の操作部20が操作収納部13内に配置されると共に、操作部20の摺動突起部20bの下端部が操作収納部13の底部13b上に接触可能な状態になる。これにより、回転操作部11と検出部12のスイッチ部22とが可動支持部10を挟んだ状態で連結される。
【0041】
この後、検出部12の基板23を可動支持部10の搭載ボス部14にビス23aによって取り付ける。すると、図3に示すように、検出部12のスイッチ部22が可動支持部10に固定されると共に、このスイッチ部22によって回転操作部11も可動支持部10に対して回転可能な状態で取り付けられる。
【0042】
この状態では、回転操作部11の操作部20の下面に設けられた摺動突起部20bの下端部が可動支持部10の操作収納部13内の底部13b上に摺動可能に接触する。また、回転操作部11の操作部20の上面が可動支持部10の操作収納部13の外周部13aの上端面とほぼ同一平面となる。このような状態で、操作部20が操作収納部13内に回転可能に配置される。
【0043】
そして、回転操作部11および検出部12が取り付けられた可動支持部10を楽器本体1の上部ケース2内における下面に取り付ける。このときには、可動支持部10における操作収納部13の外周部13aを上部ケース2の円形状の開口部2a内に挿入させ、この状態で可動支持部10における取付部15の取付片15bを上部ケース2の下面に設けられた取付ボス16の下面に配置する。このときには、上部ケース2の取付ボス16のねじ孔16aに可動支持部10の取付片15bのねじ挿入孔15cを対応させる。
【0044】
この状態で、可動支持部10の取付片15bの下側に弾性保持機構17のばね部材18を配置し、このばね部材18の下側から連結調整ねじ19を上部ケース2の取付ボス16に取り付ける。このときには、連結調整ねじ19にワッシャー19aを配置し、この連結調整ねじ19の先端側をばね部材18および可動支持部10の取付片15bのねじ挿入孔15cに挿入させ、この挿入した連結調整ねじ19の先端部を上部ケース2の取付ボス16のねじ孔16aに螺入させて、連結調整ねじ19を締め付ける。
【0045】
これにより、可動支持部10が上部ケース2にばね部材のばね力によって弾力的に取り付けられる。このときには、可動支持部10の操作収納部13内に配置された回転操作部11を回転操作する際に、この回転操作部11、検出部12、および可動支持部10の全体が下側に変位可能な状態になるように、上部ケース2の取付ボス16に対する連結調整ねじ18の締付力を調整する。
【0046】
次に、このような回転式のスイッチ装置8の作用について説明する。
このスイッチ装置8の回転操作部11を操作する際には、回転操作部11の操作部20の上面に設けられた操作凹部20aに指先を挿入させて操作部20を、その面方向に回転させる。すると、回転操作部11の操作部20の下面に設けられた摺動突起部20bが可動支持部10の操作収納部13における底部13b上を摺動しながら回転操作部11が操作収納部13内で回転する。
【0047】
これにより、図3に示すように、回転操作部11の装着ボス部21が操作部20と共に回転し、この装着ボス部21に装着されたスイッチ部22のスイッチ軸25が回転操作部11の回転と同時に回転する。これにより、スイッチ部22のスイッチ本体24がスイッチ軸25の回転動作に応じた回転位置を検出する。
【0048】
この場合、操作部20の操作凹部20aが操作部20の中心部から偏った位置に設けられているため、この操作凹部20aに指先を挿入させて回転操作部11を回転させる際に、操作部20が指先によって傾くように押し下げられながら回転すると共に、回転操作部11の装着ボス部21も傾くように押し下げられながら回転する。
【0049】
このときには、可動支持部10の操作収納部13の底部13b上を接触しながら摺動する摺動突起部20bのうち、操作部20の操作凹部20aに対応する箇所の摺動突起部20bが可動支持部10の操作収納部13の底部13bを弾性保持機構17のばね部材18のばね力に抗して押し下げる。
【0050】
これにより、回転操作部11の中心部から偏った箇所の操作凹部20aに近い取付部15の取付片15bが弾性保持機構17のばね部材18のばね力に抗して押し下げられる。このため、可動支持部10全体が上部ケース2に対して傾いた状態で下側に変位する。このように、可動支持部10が上部ケース2に対して傾いたときには、この可動支持部10に対して取り付けられた回転操作部11および検出部12も可動支持部10と共に一体に傾く。
【0051】
このため、回転操作部11の操作部20は、その下面の摺動突起部20bが可動支持部10の操作収納部13の底部13b上に接触した状態を維持すると共に、操作部20の上面と操作収納部13の底部13bとが互いに平行な状態を維持する。また、回転操作部11の装着ボス部21とスイッチ部22のスイッチ軸25とは、その両方の軸中心が一致した状態を維持する。
【0052】
これにより、可動支持部10、回転操作部11、および検出部12が上部ケース2に対して傾いた状態においても、回転操作部11が可動支持部10の操作収納部13内で円滑に回転すると共に、この回転操作部11の回転に応じてスイッチ軸25が円滑に回転するので、回転操作部11の回転動作に応じてスイッチ部22のスイッチ本体24が回転操作部11の回転位置を良好に検出する。
【0053】
また、このときには、上部ケース2に対して可動支持部10が回転操作部11および検出部12と共に傾くので、可動支持部10と回転操作部11との間の隙間が広くならず、常に一定の間隔を維持することができ、このため回転操作部11を回転操作する際に、可動支持部10と回転操作部11との間の隙間に指先を挟んで怪我をする恐れがなく、安全に回転操作部11を回転操作することができる。
【0054】
このように、この回転式のスイッチ装置8によれば、楽器本体1の上部ケース2と、この上部ケース2の外部に露出した状態で上部ケース2に弾力的に変位可能に保持された可動支持部10と、上部ケース2の外部に露出した状態で可動支持部10に回転自在に配置された回転操作部11と、上部ケース2の内部に位置した状態で可動支持部10に設けられ、且つ回転操作部11の回転操作に伴う回転位置を検出する検出部12と、を備えているので、回転操作部11の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部11を回転させても、円滑に且つ良好に回転操作部11を回転させて検出部12を良好にスイッチ動作させることができる。
【0055】
すなわち、この回転式のスイッチ装置8では、回転操作部11の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部11を回転させると、その回転操作時における押圧力によって、可動支持部10を上部ケース2に対して回転操作部11および検出部12と共に傾けることができるので、可動支持部10、回転操作部11、および検出部12の全てを常に一定の状態に保つことができる。このため、この回転式のスイッチ装置8では、回転操作部11の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部11を回転させても、円滑に且つ良好に回転操作部11を回転させて検出部12を良好にスイッチ動作させることができる。
【0056】
この場合、上部ケース2に対して可動支持部10が回転操作部11および検出部12と共に傾くので、可動支持部10と回転操作部11との間の隙間に指先を挟んで怪我をする恐れがなく、安全に回転操作部11を回転操作することができる。また、回転操作部11に外部から衝撃が加わった際に、その衝撃を可動支持部10によって吸収することができるので、外部の衝撃から検出部12を良好に保護することができる。
【0057】
また、この回転式のスイッチ装置8は、回転操作部11の回転操作時における押圧力に応じて可動支持部10を弾力的に変位させる弾性保持機構17を備えていることにより、回転操作部11の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部11を回転させる際に、回転操作部11の回転操作時における偏った押圧力が回転操作部11に加わると、その偏った押圧力に応じて弾性保持機構17が可動支持部10を上部ケース2に対して確実に且つ良好に傾けることができる。
【0058】
すなわち、この弾性保持機構17は、可動支持部10を上部ケース2に弾力的に押し付けるばね部材18と、上部ケース2に対して可動支持部10を取り付けると共にこの可動支持部10に対するばね部材18のばね力を調整する連結調整ねじ19と、を備えているので、回転操作部11の回転操作時における偏った押圧力が回転操作部11に加わると、その偏った押圧力に応じて弾性保持機構17のばね部材18が伸縮して可動支持部10を上部ケース2に対して良好に傾けることができる。
【0059】
また、この弾性保持機構17では、連結調整ねじ19によって可動支持部10を上部ケース2に対して取り付ける際に、連結調整ねじ19による締め付け力を調整することにより、ばね部材18のばね力を調整することができるので、上部ケース2に対する可動支持部10の押し付け力を調整することができ、これにより回転操作部11に加わる押圧力に応じて上部ケース2に対する可動支持部10の変位量を良好に調整することができる。
【0060】
さらに、このスイッチ装置8では、回転操作部11に摺動突起部20bが設けられ、この摺動突起部20bが可動支持部10に接触して摺動するように構成されているので、この摺動突起部20bによって回転操作部11を可動支持部10に対して円滑に且つ良好に回転させることができるほか、回転操作部11の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部11を回転させても、摺動突起部20bによって円滑に且つ良好に回転操作部11を回転させて検出部12を良好にスイッチ動作させることができる。
【0061】
この場合、摺動突起部20bは、回転操作部11の操作部20の下面に設けられ、その下端部が可動支持部10の操作収納部13内の上面に接触した状態で、回転操作部10の回転動作に応じて操作収納部13内の上面上を摺動するように構成されているので、この摺動突起部20bによって回転操作部11の操作部20の下面と可動支持部10の操作収納部13内の上面との間隔を常に一定に保つことができ、これにより回転操作部11の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部11を回転させても、円滑に且つ良好に回転操作部11を回転させることができる。
【0062】
なお、上述した実施形態では、回転操作部11に摺動突起部20bを設け、この摺動突起部20bを可動支持部10に接触させて摺動するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば図6に示す変形例のように、可動支持部10の操作収納部13内の上面に摺動突起部30を設け、この摺動突起部30の上端部を回転操作部11の操作部20の下面に接触させて摺動するように構成しても良い。
【0063】
このように構成しても、回転操作部11の操作部20の下面と可動支持部10の操作収納部13内の上面との間隔を常に一定に保つことができ、これにより回転操作部11の回転中心からずれた位置を押しながら回転操作部11を回転させても、円滑に且つ良好に回転操作部11を回転させることができる。
【0064】
また、上述した実施形態およびその変形例では、回転操作部11の操作部20と可動支持部10の操作収納部13との一方に摺動突起部20b、30を設けた場合について述べたが、必ずしも摺動突起部20b、30を設ける必要はない。このように摺動突起部20b、30が設けられていない場合には、検出部12のスイッチ部22のスイッチ軸25によって回転操作部11を可動支持部10の操作収納部13内に回転可能な状態で保持するように構成すれば良い。
【0065】
このように構成した場合には、回転操作部11の中心部から偏った箇所の操作凹部20aを操作して回転操作部11を回転させた際に、回転操作部11の装着ボス部21によって検出部12のスイッチ部22および基板23が傾くように押し下げられ、この検出部12の基板23によって可動支持部10が回転操作部11の操作部20と同じ方向に傾くように押し下げられるので、回転操作部11の中心部から偏った箇所の操作凹部20aに近い取付部15の取付片15bを弾性保持機構17のばね部材18のばね力に抗して押し下げることができ、上述した実施形態と同様、可動支持部10全体を上部ケース2に対して傾くように変位させることができる。
【0066】
また、上述した実施形態およびその変形例では、弾性保持機構17の各ばね部材18がコイルばねなどの弾性付勢部材である場合について述べたが、必ずしもばね部材18である必要はなく、例えばゴムやエラストマーなどの弾性材料からなる弾性部材を付勢部材として用いた構成であっても良い。
【0067】
さらに、上述した実施形態およびその変形例では、電子鍵盤楽器に適用した場合について述べたが、必ずしも電子鍵盤楽器である必要はなく、例えば電気ギターなどの電子楽器にも適用することができるほか、必ずしも電子楽器に適用する必要はなく、回転位置を検出するスイッチ装置を備えた電子機器に広く適用することができる。
【0068】
以上、この発明の一実施形態およびその各変形例について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0069】
(付記)
請求項1に記載の発明は、筐体と、この筐体の外部に露出した状態で前記筐体に弾力的に変位可能に保持された可動支持部と、前記筐体の外部に露出した状態で前記可動支持部に回転自在に配置された回転操作部と、前記筐体の内部に位置した状態で前記可動支持部に設けられ、且つ前記回転操作部の回転操作に伴う回転位置を検出する検出部と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0070】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記回転操作部の回転操作時における押圧力に応じて前記可動支持部を弾力的に変位させる弾性保持機構を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0071】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスイッチ装置において、前記弾性保持機構は、前記可動支持部を前記筐体に弾力的に押し付ける付勢部材と、前記筐体に対して前記可動支持部を取り付けると共にこの可動支持部に対する前記付勢部材の付勢力を調整する連結調整部材と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0072】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記可動支持部と前記回転操作部との一方には、その他方に接触した状態で摺動する摺動突起部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【符号の説明】
【0073】
1 楽器本体
2 上部ケース
2a 開口部
3 鍵盤シャーシ
4 鍵
8 スイッチ装置
10 可動支持部
11 回転操作部
12 検出部
13 操作収納部
14 搭載ボス部
15 取付部
16 取付ボス
17 弾性保持機構
18 ばね部材
19 連結調整ねじ
20 操作部
20b、30 摺動突起部
21 装着ボス部
22 スイッチ部
23 基板
24 スイッチ本体
25 スイッチ軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
この筐体の外部に露出した状態で前記筐体に弾力的に変位可能に保持された可動支持部と、
前記筐体の外部に露出した状態で前記可動支持部に回転自在に配置された回転操作部と、
前記筐体の内部に位置した状態で前記可動支持部に設けられ、且つ前記回転操作部の回転操作に伴う回転位置を検出する検出部と、
を備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、前記回転操作部の回転操作時における押圧力に応じて前記可動支持部を弾力的に変位させる弾性保持機構を備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ装置において、前記弾性保持機構は、前記可動支持部を前記筐体に弾力的に押し付ける付勢部材と、前記筐体に対して前記可動支持部を取り付けると共にこの可動支持部に対する前記付勢部材の付勢力を調整する連結調整部材と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記可動支持部と前記回転操作部との一方には、その他方に接触した状態で摺動する摺動突起部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−243613(P2012−243613A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113311(P2011−113311)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】