説明

スイッチ装置

【課題】大切なデータを失うことなく、安心して機器の電源をOFFにできるようなスイッチ装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明は、機器に使用されるスイッチ装置1であって、左右に傾動可能に設けられたハンドル3と、ハンドル3の傾動に伴って接触する第1可動接点41と第1固定接点45とを備えたメインスイッチ4と、ハンドル3の傾動に伴って接触、離間する第2可動接点55と第2固定接点52とを備えたシグナルスイッチ5と、第1可動接点41を第1固定接点45から離間させる離間手段6と、を備え、シグナルスイッチ5が信号を機器に送信し、この信号を受信した機器から送信される応答信号に基づき離間手段6が第1可動接点41を第1固定接点45から離間させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機等の機器に使用されるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等の機器に使用されるスイッチ装置として、左右に傾動可能なハンドルを操作して接点の開閉を行う、いわゆるロッカースイッチが周知である。
【0003】
このようなロッカースイッチには通常、電源回路と接続するメインスイッチが設けられ、このメインスイッチは、ハンドルが左右いずれか一方側に傾動した状態で接点が接触し、ハンドルが左右いずれか他方側に傾動した状態で接点が離間するように構成されている(特許文献1参照)。そして、操作者のハンドル操作に連動してメインスイッチのON/OFFの切換が行われ、これに伴ってメインスイッチに接続された電源回路のON/OFFの切換が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2641283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機器においては、稀にだがHDDの破壊によりデータがなくなる問題が発生する。主な原因として、ハンドルの操作によりメインスイッチが突然OFF状態となり、これに伴って、電源回路が突然遮断されることが考えられる。この点、上記した従来技術では、操作者のハンドル操作とメインスイッチのONからOFFへの切り替えが連動しているため、電源回路が突然遮断されることに起因する問題に対処することが困難であった。
【0006】
また、機器の中には、メインスイッチの他にキースイッチを備え、キースイッチをOFFにして機器のシャットダウン処理を行ってからメインスイッチをOFFにすれば、HDDの破壊によるデータの損失を抑制することができるように構成されたものが存在する。しかしながら、このような構成においても、キースイッチをOFFにする前にメインスイッチを誤ってOFFにしたような場合には、依然として上記のようなHDDの破壊を生じる虞があった。特に、近年の省エネ意識の高まりで、こまめにメインスイッチをOFFにする習慣が背景にあり、上記したようなメインスイッチのOFF動作に伴うHDDの破壊が生じやすくなっている。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、大切なデータを失うことなく、安心して機器の電源をOFFにできるようなスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した目的を達成するため、機器に使用されるスイッチ装置であって、左右に傾動可能に設けられたハンドルと、該ハンドルの傾動に伴って接触する第1可動接点と第1固定接点とを備えたメインスイッチと、前記ハンドルの傾動に伴って接触、離間する第2可動接点と第2固定接点とを備えたシグナルスイッチと、前記第1可動接点を前記第1固定接点から離間させる離間手段と、を備え、前記ハンドルが左右いずれか一方に傾動した状態で、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触するとともに前記第2可動接点が前記第2固定接点に接触し、前記一方に傾動した状態から左右いずれか他方に傾動した状態に前記ハンドルを移行させると、前記第1可動接点が前記第1固定接点との接触状態を保持するとともに前記第2可動接点が前記第2固定接点から離間し、この離間に伴って前記シグナルスイッチが信号を前記機器に送信し、この信号を受信した前記機器から送信される応答信号に基づき前記離間手段が前記第1可動接点を前記第1固定接点から離間させることを特徴とする。
【0009】
また、前記メインスイッチは、前記第1可動接点が一端部に設けられるとともに突起部が設けられた回転可能な可動片を備え、前記離間手段は、前記機器に接続されたリセットコイルと、該リセットコイルとの当接位置と離間位置との間で摺動可能とされ、前記リセットコイルに磁石の吸着力によって吸着され、前記突起部に係合可能なストッパーと、該ストッパーを前記リセットコイルとの前記離間位置側に付勢する付勢手段と、を備え、前記ハンドルが前記一方に傾動した状態で、前記付勢手段の付勢力に抗して前記磁石の吸着力により前記ストッパーが前記リセットコイルに吸着されて、前記ストッパーが前記リセットコイルとの前記当接位置に摺動し、前記一方に傾動した状態から前記他方に傾動した状態に前記ハンドルを移行させると、前記機器からの応答信号に基づいて前記リセットコイルに電流が流れ、この電流により発生する前記磁石の磁界を打ち消す方向の磁界により前記磁石の吸着力を低下させるか又は消失させ、これに伴って前記付勢手段の付勢力により前記ストッパーを前記リセットコイルとの前記当接位置から前記離間位置まで摺動させ、この摺動に伴って前記ストッパーが前記可動片の前記突起部に係合して前記可動片を回転させ、前記第1可動接点を前記第1固定接点から離間させるものであっても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大切なデータを失うことなく、安心して機器の電源をOFFにできるようなスイッチ装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るスイッチ装置において、メインスイッチ及びシグナルスイッチがONとなっている状態を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスイッチ装置を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスイッチ装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスイッチ装置において、メインスイッチがONとなり、シグナルスイッチがOFFとなっている状態を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスイッチ装置において、メインスイッチ及びシグナルスイッチがOFFとなっている状態を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスイッチ装置において、シグナルスイッチ及び微小電流回路がOFFになってからメインスイッチ及び電源回路がOFFになるまでの過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜図6を用いて、本発明の一実施形態に係るスイッチ装置1について説明する。本実施形態においては、スイッチ装置1を機器としての例えば複写機(図示せず)に装着する場合について説明する。なお、スイッチ装置1は、設置された向きや角度によって上下左右の向きが相違するが、便宜上、図1における図面手前側を前側として説明する。
【0013】
スイッチ装置1は、いわゆるロッカースイッチであって、スイッチ装置1の枠組を成すケース2と、ケース2内の上端部に配置されたハンドル3と、ハンドル3の下方から左下方にかけて設けられた前後一対のメインスイッチ4と、ハンドル3の右下方に設けられたシグナルスイッチ5と、メインスイッチ4とシグナルスイッチ5の間付近に設けられた離間手段6と、を備えている。なお、図2においてはハンドル3の記載が省略され、図3においてはケース2及びハンドル3の記載が省略されている。
【0014】
ケース2は、有底箱状の上ケース7及び下ケース8により構成されている。なお、上ケース7及び下ケース8の前後左右は、前板、後板、両側板により被覆されているが、図1、図4、図5においては、上ケース7及び下ケース8の内部構造を分かり易く表示するため、上ケース7の前板と下ケース8の前板の右端部を切り欠いて表示している。
【0015】
図2に最も良く示されるように、上ケース7の底板10の四隅には、左右方向に長い固定穴11が穿設されている。上ケース7は下ケース8よりも前後幅が大きくなるように構成されているため、上ケース7の底板10の左前隅及び右前隅に設けられた固定穴11は下ケース8よりも前方に位置し、上ケース7の底板10の左後隅及び右後隅に設けられた固定穴11は下ケース8よりも後方に位置している。
【0016】
上ケース7の底板10の前後方向中央には、左側部から右側部に亘って連通穴12が上下方向に設けられ、連通穴12の左方には取付穴13が上下方向に穿設され、連通穴12の右方には貫挿穴14が上下方向に穿設されている。
【0017】
上ケース7には、上端を開口部15とする凹部16が設けられ、凹部16の左端部には、クリップばね17が収納されている。クリップばね17の下部は上ケース7の底板10に設けられた取付穴13に挿通されている。クリップばね17の上部にはU字状の湾曲部18が設けられ、この湾曲部18の上方には、外方に向かって屈曲された内側屈曲部20と、この内側屈曲部20よりも僅かに下方において上方に向かって屈曲された外側屈曲部21とが、対向して設けられている。
【0018】
上ケース7の上端外周にはフランジ部22が設けられ、上ケース7の両側面には、フランジ部22の下方に、前後一対のバネ片23が外側に向かって突設されている。そして、複写機に設けられた穴(図示せず)にスイッチ装置1を装着した際には、バネ片23が穴の内面に当接して、穴からのスイッチ装置1の脱落を防止するように構成されている。
【0019】
下ケース8の左側部には固定板24が前後方向に設けられ、固定板24の右側面にばね受け25が設けられている。
【0020】
ハンドル3は、上ケース7の凹部16の開口部15を閉塞するようにして設けられている。ハンドル3の左右方向中央の前後両端には嵌合突起26が設けられ、この嵌合突起26が上ケース7の前後両端に穿設された嵌合孔(図示せず)に嵌合することにより、上ケース7にハンドル3が左右に傾動可能に支持されている。ハンドル3は横長形状に形成されており、ハンドル3の上面には下方に向かって弧状に湾曲する操作面27が設けられている。ハンドル3の下面の左右方向中央には突当溝28が設けられ、この突当溝28の右方には、突片30が設けられている。
【0021】
ハンドル3の下面の左右両端には、それぞれ左鍔部31及び右鍔部32が突設され、右鍔部32と突片30の間には、押圧突起29が突設されている。ハンドル3の下面には、左鍔部31の内側に切欠部33が設けられ、左鍔部31の内面には、切欠部33に臨むようにして係合凹部34が設けられている。左鍔部31の下端には、内方に向かって係止爪35が突設されている(図4、図5参照)。
【0022】
各メインスイッチ4は、上ケース7の下部の右側部から左端部にかけて設けられた可動片36と、可動片36の左下方に設けられたNO端子37と、NO端子37の右方に設けられたCOM端子38と、ハンドル3と可動片36の間に介装されるスプリング40と、により構成されている。なお、図1、図4、図5においては、COM端子38の後方の部材を表示するため、COM端子38の上部から下端部の記載が省略されている。各メインスイッチ4は、電源回路(図示せず)に接続されており、この電源回路には例えば6A〜16Aの電流が流れている。
【0023】
各可動片36は、リベット型の第1可動接点41が一端部に固定された腕部42と、この腕部42の上面の右側部に固定された突起部43と、により構成されている。突起部43は、平面視で略四角形の筒状に形成され、突起部43の上端縁の前部と後部には、それぞれ突出板44が突設されている。
【0024】
各NO端子37は、上ケース7の底板10の左前隅と左後隅に設けられた固定穴11にそれぞれ貫挿されており、左前隅の固定穴11に貫挿されたNO端子37は、上部から下端部までが下ケース8の左前方に露出し、左後隅の固定穴11に貫挿されたNO端子37は、上部から下端部までが下ケース8の左後方に露出している。各NO端子37の上端には、各可動片36の第1可動接点41と当接可能な位置に、リベット型の第1固定接点45が設けられている。
【0025】
各COM端子38は、上ケース7の底板10の右前隅と右後隅に設けられた固定穴11に貫挿されており、右前隅の固定穴11に貫挿されたCOM端子38は、上部から下端部までが下ケース8の右前方に露出し、右後隅の固定穴11に貫挿されたCOM端子38は、上部から下端部までが下ケース8の右後方に露出している。各COM端子38の上端は、各可動片36の腕部42の右側部、即ち、突起部43が固定された部分を、回転可能に支持している。
【0026】
各スプリング40は、上端部がハンドル3の突当溝28に挿入されるとともに下端部が可動片36の突起部43に挿入されている。各スプリング40は、左側又は右側にくの字状に屈曲した状態を保持するように形成されている。図1、図4、図5において、スプリング40の形状の一部を破線で示している。
【0027】
シグナルスイッチ5は、下ケース8の右下部に固定された収納体47と、この収納体47に下端部が収納されるアクチュエータ48と、を主体として構成されている。なお、図1、図4、図5においては、収納体47及びアクチュエータ48の前部の一部を切り欠いて表示している。シグナルスイッチ5は、微小電流回路(図示せず)に接続されており、この微小電流回路には、例えば5mA〜300mAの電流が流れている。
【0028】
収納体47は有底箱型形状を成しており、収納体47の上端は蓋体50により被覆され、蓋体50の上面には貫通穴51が上下方向に穿設されている(図3参照)。収納体47の内面左側には、上部から下端部まで、第2固定接点52が上下方向に設けられている。
【0029】
アクチュエータ48は、上ケース7の底板10に設けられた貫挿穴14及び蓋体50に設けられた貫通穴51に上下動可能に貫挿されている。アクチュエータ48の底面には、挿入溝53が凹設され、挿入溝53の天面と収納体47の収納溝51の下面の間には、シグナルスイッチ用付勢部材としてのコイルスプリング54が介装され、このコイルスプリング54によりアクチュエータ48が上側に付勢されている。アクチュエータ48の周面の下端左側には、第2固定接点52と摺接可能な位置に、第2可動接点55が圧入されている。
【0030】
離間手段6は、ケース2の前後方向中央に設けられた連結体56と、連結体56の右方に設けられたストッパー57と、連結体56の右下方に設けられた付勢手段としてのリターンスプリング58と、を主体として構成されている。
【0031】
連結体56は、上ケース7の底板10に設けられた連通穴12の左側部に貫挿されており、連結体56の上部には、リセットコイル(電磁石)60が設けられている。リセットコイル60は、コイル(図示せず)が外装されたコイル保持部61と、コイル保持部61に貫挿されるヨーク(鉄芯)62と、により構成されている。ヨーク62は、コイル保持部61内に貫挿される内側部分とコイル保持部61の前方に配置される外側部分とが上端で連結されて形成されており、ヨーク62の外側部分及び内側部分の下端右側には、接触片63が突設されている。なお、図1、図2、図4、図5においては、ヨーク62の外側部分の接触片63のみが図示されており、ヨークの内側部分の接触片63については図示されていない。リセットコイル60は複写機に接続されており、複写機からの信号に基づいてリセットコイル60に電流が流れて、リセットコイル60の周りに磁界が発生するようになっている。
【0032】
連結体56の下端には、支持片64が右方に向かって突設されており、支持片64には、上端縁に沿ってガイドレール65が水平に設けられている。
【0033】
ストッパー57は、上ケース7の底板10に設けられた連通穴12の右側部に貫挿されている。ストッパー57の上端部の前後両端にはそれぞれ延出部66が左方に向かって設けられ、前端の延出部66と後端の延出部66の間にはガイド溝67が設けられている。
【0034】
前端の延出部66の先端には、前方に向かって略直角に屈曲された係合片68が設けられ、この係合片68の右側面を、前側の可動片36の突起部43に設けられた後側の突出板44に係合可能としている。後端の延出部66の先端には、後方に向かって略直角に屈曲された係合片68が設けられ、この係合片68の右側面を、後側の可動片36の突起部43に設けられた前側の突出板44に係合可能としている。
【0035】
ストッパー57の上部右側には固定片69が設けられ、固定片69の下方に金属製の収納部70が設けられている。収納部70には磁石(図示せず)が収納されており、この磁石の吸着力によりストッパー57がリセットコイル60に吸着されて、ストッパー57の収納部70の左下端部に突設された当接片72がリセットコイル60のヨーク62に設けられた接触片63に当接している(図1、図2、図4参照)。
【0036】
ストッパー57の下部には、連結体56のガイドレール65と嵌合可能な嵌合凹部(図示せず)が設けられ、嵌合凹部がガイドレール65に嵌合されることにより、ストッパー57が、リセットコイル60との当接位置と離間位置の間で、ガイドレール65に沿って摺動可能となっている。ストッパー57の下端には左方に向かってばね受け71が設けられている。
【0037】
リターンスプリング58は、ガイドレール65の下方に、ガイドレール65と平行に設けられている。リターンスプリング58の左端部は、下ケース8の固定板24に設けられたばね受け25に固定されており、リターンスプリング58の右端部は、ストッパー57の下端に設けられたばね受け71に固定されている。そして、リターンスプリング58によりストッパー57がリセットコイル60との離間位置側に付勢されている。
【0038】
上述の如く構成されたスイッチ装置1を用いて、メインスイッチ4が取り付けられた電源回路及びシグナルスイッチ5が取り付けられた微小電流回路をONからOFFに切り替える動作について説明する。
【0039】
図1は、ハンドル3が右側に傾動した状態を示している。この状態では、可動片36の第1可動接点41が第1固定接点45に押圧接触しており、メインスイッチ4はON状態である。また、アクチュエータ48は、ハンドル3の右鍔部32により下方に押圧され、コイルスプリング54の付勢力に抗して下側に位置しており、第2可動接点55が第2固定接点52に摺動接触している。従って、シグナルスイッチ5もON状態である。
【0040】
また、ストッパー57は、収納部70に収納された磁石の吸着力により、リターンスプリング58の付勢力に抗してリセットコイル60に吸着されている。そのため、ストッパー57がリセットコイル60との当接位置に摺動しており、リセットコイル60の接触片63にストッパー57の当接片72が当接している。この時、収納部70に収納された磁石の吸着力は、リターンスプリング58の付勢力よりも大きい。
【0041】
この状態から、ハンドル3の操作面27の左側部分を押圧すると、ハンドル3の左側部分が下降するととともにハンドル3の右側部分が上昇し、図4に示されるように、ハンドル3が左側に傾動した状態となる。これに伴って、ハンドル3の左鍔部31がクリップばね17の内側屈曲部20と外側屈曲部21の間に挿入され、内側屈曲部20と外側屈曲部21に挟持される。同時に、左鍔部31の係合凹部34がクリップばね17の内側屈曲部20に係合するとともに、左鍔部31の係止爪35が内側屈曲部20の下側部分のクリップばね17に接触する。これにより、ハンドル3が左側へ傾動した状態が保持される。
【0042】
また、上述の如く右側に傾動した状態から左側に傾動した状態にハンドル3を移行させると、ハンドル3の右側部分が上昇し、アクチュエータ48がコイルスプリング54の付勢力により上昇する。これにより、第2可動接点55が第2固定接点52から離間してシグナルスイッチ5がOFF状態となり、これに伴って、微小電流回路がOFF状態となる。一方で、第1可動接点41は第1固定接点45との押圧接触状態を保持しており、メインスイッチ4及び電源回路はON状態を維持している。
【0043】
上記の如くシグナルスイッチ5及び微小電流回路がOFFになってから、メインスイッチ4及び電源回路がOFFになるまでの過程を図6に示す。まず、シグナルスイッチ5及び微小電流回路がOFFになると、シグナルスイッチ5がOFF信号を複写機に送信する。このOFF信号を受信した複写機は、シャットダウン処理を行った後、応答信号をスイッチ装置1に送信する。
【0044】
この応答信号に基づいて、スイッチ装置1のリセットコイル60に電流が流れ、この電流により、収納部70に収納された磁石の磁界を打ち消す方向の磁界がリセットコイル60の周りに発生し、収納部70に収納された磁石の吸着力を低下させる。これに伴って、リターンスプリング58の付勢力が、収納部70に収納された磁石の吸着力よりも大きくなる。そのため、図5に示されるように、リターンスプリング58の付勢力によりストッパー57がリセットコイル60との当接位置から離間位置まで摺動し、ストッパー57の当接片72がリセットコイル60の接触片63から離間する。
【0045】
このようにしてストッパー57がリセットコイル60との当接位置から離間位置まで摺動すると、これに伴って、ストッパー57の延出部66に設けられた係合片68が、可動片36の突出板44と係合し、可動片36を一方向(図示では時計回り)に回転させる。これにより、第1可動接点41が第1固定接点45から離間し、メインスイッチ4がOFFになり、電源回路もOFFになる。
【0046】
本実施形態においてはこのように、操作者がハンドル3を操作してもこれに連動して第1可動接点41が第1固定接点45から離間せず、複写機のシャットダウン処理が完了した後、複写機から送信される応答信号に基づいて、第1可動接点41が第1固定接点45から離間し、メインスイッチ4と電源回路がOFFになる。そのため、複写機のシャットダウン処理が完了する前に電源回路が突然OFF状態になって大切なデータを失うことがなく、安心して複写機の電源をOFFにすることができる。
【0047】
また、リセットコイル60に流れる電流により収納部70に収納された磁石の磁界を打ち消す方向の磁界を発生させることで磁石の吸着力を低下させ、これに伴って、コイルスプリング54の付勢力によりストッパー57をリセットコイル60との当接位置から離間位置まで摺動させている。このような構成を採用することで、メインスイッチ4のONからOFFへの切換を、自動で確実に行うことが可能となる。
【0048】
また、ハンドル3の位置を検出するためのシグナルスイッチ5をスイッチ装置1に内蔵しているため、ハンドル3が右側に傾動した状態から左側に傾動した状態に移行したことを確実に検知し、複写機にOFF信号を送信することができる。更に、複写機からの信号によりメインスイッチ4を強制的にONからOFFに切り換える構成であるため、一定時間操作しない状態が続いた場合のオートパワーOFF動作や異常検知時の安全対策に対応可能である。
【0049】
また、左鍔部31の係合凹部34をクリップバネ17の内側屈曲部20に係合させた状態で、内側屈曲部20と外側屈曲部21で左鍔部31を挟持することにより、ハンドル3の左側への傾動姿勢を保持している。このような構成を採用することにより、ハンドル3の左側への傾動姿勢が不用意に解除されるのを抑制することが可能となる。
【0050】
なお、上述の如くONからOFFに切り替えたメインスイッチ4を再びONに切り換えるには、リセットコイル60に電流を流すのを停止した状態で、ハンドル3の操作面27の右側部分を押圧する。この押圧により、ハンドル3の左鍔部31がクリップバネ17から分離し、ハンドル3が再度右側に傾動する。これに伴って、ハンドル3の突片30がスプリング40に接触し、右側に屈曲されたコイルスプリング54を左側に屈曲した状態に移行させる。このスプリング40の屈曲姿勢の移行に連動して、可動片36が他方向(図示では反時計回り)に回転し、図1に示されるように、第1可動接点41が第1固定接点45に再び押圧接触する。これにより、電源回路が再びON状態となる。
【0051】
また、上記の如くハンドル3が左側に傾動した状態から右側に傾動した状態に移行すると、ハンドル3の右鍔部32が下降し、コイルスプリング54の付勢力に抗してアクチュエータ48を下方に押し下げる。これにより、第2可動接点55が第2固定接点52に再び摺動接触し、微小電流回路が再びON状態となる。
【0052】
また、ハンドル3の押圧突起29がストッパー57の固定片69の右側面に当接し、ストッパー57を左方に押圧する。これにより、リターンスプリング58の付勢力に抗してストッパー57が左方に摺動し、収納部70に収納された磁石の吸着力でリセットコイル60に再度吸着し、ストッパー57の当接片72がリセットコイル60の接触片63に再度当接する。本実施形態ではこのように、メインスイッチ4のOFFからONへの切換を、ハンドル3の操作と連動して速やかに行うことができる。
【0053】
なお、本実施形態では前述の如く、上ケース7の凹部16の左端部に収納されたクリップばね17によりハンドル3の左側への傾動姿勢を保持しているが、他の異なる実施形態では、例えば、クリップばね17の代わりに磁石(図示せず)を凹部16の左端部に収納し、この磁石の吸着力により、ハンドル3の左端部に設けられた金属部分(図示せず)を吸着する構成としても良い。このような構成を採用することにより、ハンドル3がある程度まで左側へ傾動すれば、磁石の吸着力でハンドル3が吸着されてハンドル3の左側への傾動が補助されるため、ハンドル3の傾動姿勢の切換を容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 スイッチ装置
3 ハンドル
4 メインスイッチ
5 シグナルスイッチ
6 離間手段
36 可動片
41 第1可動接点
43 突起部
45 第1固定接点
52 第2固定接点
55 第2可動接点
57 ストッパー
58 リターンスプリング(付勢手段)
60 リセットコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に使用されるスイッチ装置であって、
左右に傾動可能に設けられたハンドルと、
該ハンドルの傾動に伴って接触する第1可動接点と第1固定接点とを備えたメインスイッチと、
前記ハンドルの傾動に伴って接触、離間する第2可動接点と第2固定接点とを備えたシグナルスイッチと、
前記第1可動接点を前記第1固定接点から離間させる離間手段と、
を備え、
前記ハンドルが左右いずれか一方に傾動した状態で、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触するとともに前記第2可動接点が前記第2固定接点に接触し、
前記一方に傾動した状態から左右いずれか他方に傾動した状態に前記ハンドルを移行させると、前記第1可動接点が前記第1固定接点との接触状態を保持するとともに前記第2可動接点が前記第2固定接点から離間し、この離間に伴って前記シグナルスイッチが信号を前記機器に送信し、この信号を受信した前記機器から送信される応答信号に基づき前記離間手段が前記第1可動接点を前記第1固定接点から離間させることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記メインスイッチは、
前記第1可動接点が一端部に設けられるとともに突起部が設けられた回転可能な可動片を備え、
前記離間手段は、
前記機器に接続されたリセットコイルと、
該リセットコイルとの当接位置と離間位置との間で摺動可能とされ、前記リセットコイルに磁石の吸着力によって吸着され、前記突起部に係合可能なストッパーと、
該ストッパーを前記リセットコイルとの前記離間位置側に付勢する付勢手段と、を備え、
前記ハンドルが前記一方に傾動した状態で、前記付勢手段の付勢力に抗して前記磁石の吸着力により前記ストッパーが前記リセットコイルに吸着されて、前記ストッパーが前記リセットコイルとの前記当接位置に摺動し、
前記一方に傾動した状態から前記他方に傾動した状態に前記ハンドルを移行させると、前記機器からの応答信号に基づいて前記リセットコイルに電流が流れ、この電流により発生する前記磁石の磁界を打ち消す方向の磁界により前記磁石の吸着力を低下させるか又は消失させ、これに伴って前記付勢手段の付勢力により前記ストッパーを前記リセットコイルとの前記当接位置から前記離間位置まで摺動させ、この摺動に伴って前記ストッパーが前記可動片の前記突起部に係合して前記可動片を回転させ、前記第1可動接点を前記第1固定接点から離間させることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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