説明

スイッチ装置

【課題】回動動作に係る部品点数を増やすことなく、3回路以上の複数回路を同期させて切り換えること。
【解決手段】スイッチ装置1は、操作部材6と、中央固定接点52c及び周辺固定接点52a、52bと、中央共通固定接点53a、53b及び周辺共通固定接点51a、51bとを有する基台22と、中央可動接点8c及び周辺可動接点8a、8bを一体的に保持する第1駆動体ユニット90と、操作部材6からの押圧力を受け、連結部材12を介して第1駆動体ユニット90を回動させる第2駆動体11とを備え、周辺固定接点52a、52b、周辺可動接点8a、8b及び周辺共通固定接点51a、51bとの間でそれぞれ周辺導通経路を形成し、中央固定接点52c、中央可動接点8c、連結部材12、第2駆動体11及び中央共通固定接点53a、53bとの間で中央導通経路を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、特に、操作部材に対する押圧操作に応じて作動するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作部材の押圧操作に応じて2回路を同期させて切り換えるスイッチ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このスイッチ装置には、2つの切換接点及びこれら切換接点に対応する2つのコモン接点が並設された基台と、2つの切換接点に摺接する2つの可動接点が一端側に並設された第1駆動体と、一端側で操作部材からの押圧を受けると共に2つのコモン接点にそれぞれ接触する第1駆動体の他端側を支点にして当該第1駆動体を回動させる第2駆動体と、が備えられている。第1駆動体の他端側の2つの支点間には、引っ張りばねからなる連結部材の一端が接続され、第2駆動体の一端側には連結部材の他端が接続されている。このスイッチ装置においては、所定位置まで操作部材が押圧されると、引っ張りばねの付勢力により第2駆動体が第1駆動体を回動させ、2つの可動接点が2つの切換接点に同一タイミングで摺接される。これにより、2つの切換接点が2つのコモン接点にそれぞれ導通され、2回路が同期して切り換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/032814号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したようなスイッチ装置において3回路を同期させて切り換えようとした場合には、切換接点及びコモン接点で形成される3つの導通経路間に、2つの連結部材をそれぞれ設けることが考えられる。しかしながら、この場合には、回動動作に係る部品点数が増加すると共に、各連結部材を構成する2つの引っ張りばねの付勢力のバランスが悪い場合には、3つの可動接点を3つの切換接点に同一タイミングで摺接させることができない虞があった。
【0005】
一方、回動動作に係る部品点数を増加させないようにした場合には、いずれか一方の導通経路間にのみ連結部材が設けられるので、安定した回動動作が行えず、連結部材に近い側の可動接点に比べて、連結部材から遠い側の可動接点が遅れて切換接点に摺接する虞があった。すなわち、回路切換の同期タイミングにおけるバラつきが大きくなってしまう問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みて為されたものであり、回動動作に係る部品点数を増やすことなく、3回路以上の複数回路を同期させて切り換えることができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスイッチ装置は、押圧操作を受け付ける操作部材と、中央固定接点及び当該中央固定接点の周辺に所定間隔を有して並設された複数の周辺固定接点と、前記中央固定接点に対応する中央共通固定接点及び前記複数の周辺固定接点に対応する複数の周辺共通固定接点とを有する基台と、前記中央固定接点に摺接する中央可動接点及び前記複数の周辺固定接点に摺接する複数の周辺可動接点を一端側に有する一方、前記中央可動接点が設けられた一端側と反対側の中央他端側と前記複数の周辺可動接点が設けられた一端側と反対側の複数の周辺他端側とを露出させた状態で、前記中央可動接点及び前記複数の周辺可動接点を一体的に保持する第1駆動部材と、一端側で前記操作部材からの押圧力を受けると共に、連結部材を介して前記複数の周辺共通固定接点に摺接する前記複数の周辺他端側を支点として前記第1駆動部材を回動させる第2駆動部材と、を備え、前記複数の周辺固定接点は、前記複数の周辺可動接点に摺接して前記複数の周辺共通固定接点との間でそれぞれ周辺導通経路を形成すると共に、前記中央固定接点は、前記中央可動接点に摺接して前記連結部材及び前記第2駆動部材を介して前記中央共通固定接点との間で中央導通経路を形成することを特徴とする。
【0008】
上記スイッチ装置によれば、複数の周辺固定接点は、複数の周辺可動接点が摺接して複数の周辺共通固定接点との間でそれぞれ周辺導通経路を形成し、中央固定接点は、中央可動接点が摺接して連結部材及び第2駆動部材を介して中央共通固定接点との間で中央導通経路を形成するので、回動動作に係る部品点数を増やすことなく、複数回路を同期させて切り換えることができる。
【0009】
上記スイッチ装置において、前記連結部材は、一端側が前記第1駆動部材の前記中央他端側に係止され、他端側が前記第2駆動部材の一端側に係止された引っ張りばねからなり、前記第2駆動部材は、前記中央共通固定接点に接触する他端側を支点として回動され、前記第1駆動部材、前記引っ張りばね及び前記第2駆動部材は、前記操作部材が所定位置まで押圧された場合に、前記引っ張りばねの付勢力により前記第2駆動部材が他端側を支点として回動すると共に前記第1駆動部材が前記周辺他端側を支点として回動して前記中央可動接点及び前記複数の周辺可動接点を駆動するスナップアクション機構を構成することが好ましい。
【0010】
この場合には、スナップアクション機構を備えたことから、操作部材が所定位置まで押圧されると引っ張りばねの付勢力によって、第1駆動部材に設けられた中央可動接点及び周辺可動接点を瞬時に駆動することができるので、複数回路を同期させて切り換える場合には、回路切換の同期タイミングのバラつきを低減することができる。
【0011】
上記スイッチ装置において、前記引っ張りばねの両端は、前記第1駆動体の中央他端側及び前記第2駆動体の一端側に、複数点で接触して係止されることが好ましい。
【0012】
この場合には、引っ張りばねの両端が複数点で接触されるので、引っ張りばねの接触信頼性を向上させ、引っ張りばねを導通経路として確実に機能させることができる。
【0013】
上記スイッチ装置において、前記複数の周辺導通経路は2つの周辺導通経路からなり、当該2つの周辺導通経路及び前記中央導通経路はそれぞれ電気的に独立した導通経路から形成され、前記2つの周辺導通経路の中間位置に、前記導通経路の一部を構成する前記引っ張りばねを含む前記中央導通経路が形成されることが好ましい。
【0014】
この場合には、電気的に独立した2つの周辺導通経路及び中央導通経路を形成するので、スナップアクション動作に係る部品点数を増加させることなく、3回路を同期させて切り換えることができる。また、周辺導通経路間に単一の中央導通経路を形成するので、スナップアクション機構を構成する引っ張りばねを中央位置に配置することができ、安定したスナップアクション動作が可能である。
【0015】
上記スイッチ装置において、前記周辺共通固定接点及び前記中央共通固定接点は、少なくとも前記中央固定接点が前記基台に支持される樹脂材料とは異なる樹脂材料で前記基台に支持されることが好ましい。
【0016】
この場合には、回動動作の影響を強く受ける中央共通固定接点や周辺共通固定接点を支持する樹脂材料を、それ以外の固定接点を支持する樹脂材料と変えることができる。例えば、スナップアクション機構によるスナップアクション動作の際に、引っ張りばねからの荷重(付勢力)を強く受けると共に回動支点が形成される中央共通固定接点及び周辺共通固定接点は、他の固定接点に比べて剛性の高い樹脂材料で支持する一方、スナップアクション機構の回動支点が形成されず引っ張りばねからの荷重も受けない固定接点は、剛性の低い樹脂材料で支持することが可能である。これにより、固定接点の用途・機能に応じて樹脂材料を選択でき、無駄な材料コストを削減することができる。
【0017】
上記スイッチ装置において、前記中央共通固定接点は複数の中央共通固定接点からなり、前記第2駆動部材の他端側は、前記複数の中央共通固定接点にそれぞれ常時接触し、前記第1駆動部材の複数の周辺他端側は、前記複数の周辺共通固定接点にそれぞれ常時接触することが好ましい。
【0018】
この場合には、第1駆動部材及び第2駆動部材の回動支点の位置ずれを極力抑え、複数の回動支点により安定してスナップアクション動作を行うことができる。
【0019】
上記スイッチ装置において、前記中央共通固定接点は、前記周辺固定接点と前記周辺共通固定接点との間に配置され、当該3つの固定接点が、一直線上に並んで配置されていることが好ましい。
【0020】
この場合には、スナップアクション動作に供される固定接点が一直線上に並んで配置されるので、安定してスナップアクション動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の周辺固定接点が複数の周辺可動接点に摺接して複数の周辺共通固定接点との間でそれぞれ周辺導通経路を形成し、中央固定接点が中央可動接点に摺接して連結部材及び第2駆動部材を介して中央共通固定接点との間で中央導通経路を形成するので、回動動作に係る部品点数を増やすことなく、複数回路を同期させて切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の外観を示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【図3】実施の形態に係るスイッチ装置における支持体及び固定接点が固定された基台の斜視図である。
【図4】実施の形態に係るスイッチ装置が有する第1駆動体ユニットの斜視図である。
【図5】実施の形態に係るスイッチ装置が有する第1駆動体ユニットの斜視図である。
【図6】実施の形態に係るスイッチ装置が有する第2駆動体の斜視図である。
【図7】実施の形態に係るスイッチ装置の第1駆動体ユニットと第2駆動体とを一体化させた状態の斜視図である。
【図8】実施の形態に係るスイッチ装置において、スナップアクション機構が組み付けられた基台の斜視図である。
【図9】実施の形態に係るスイッチ装置において、スナップアクション機構が組み付けられた基台の上面図である。
【図10】実施の形態に係るスイッチ装置において、スナップアクション機構が組み付けられた基台の側面図である。
【図11】実施の形態に係るスイッチ装置における押圧操作に伴う動作について説明するための側面図である。
【図12】実施の形態に係るスイッチ装置における押圧操作に伴う動作について説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係るスイッチ装置の分解斜視図である。図1に示すように、実施の形態に係るスイッチ装置1は、箱状のハウジング2の上面の一部から後述する操作部材6の一部を突出させ、当該突出部分で操作者等からの押圧操作を受け付けるように構成されている。ハウジング2から突出した操作部材6の一部には、ハウジング2内への埃や水等の異物の侵入を防止するためのカバー3が取り付けられている。
【0024】
図2に示すように、スイッチ装置1は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して形成されるハウジング2を備えている。ハウジング2は、下方側に開口した箱状を有する上部ケース21と、上部ケース21の開口に対応する形状を有し、スイッチ装置1の内底面を構成する板状の基台22とから構成されている。これらの上部ケース21と基台22とを組み合わせることで、ハウジング2の内部には、スイッチ装置1の構成部品を収納する収納部が形成されている。
【0025】
上部ケース21の上面には、後述する操作部材6の軸部62の上端部が貫通可能な開口部211が形成されている。また、ケース2の上面であって、開口部211の内周には、カバー3の外縁部が嵌め込まれる溝部212が形成されている。
【0026】
基台22は、平面視長方形状に形成されており、その上面に上部ケース21の開口に応じた形状の突出面221が設けられている。上部ケース21は、この突出面221を開口で収容することで適切に位置決めされる。この突出面221の周囲には、外方側に突出する複数の突起221aが設けられている。上部ケース21を基台22に被せると、これら突起221aが上部ケース21の内壁面に圧入されることで上部ケース21が基台22に取り付けられる。また、突出面221には、基台22の長手方向に沿って延在する3つの開口部222a、222c、222bが、短手方向に所定間隔を設けて並んで形成されている。これらの開口部222a、222c、222bには、後述する支持体4a、4c、4bがそれぞれ配置される。
【0027】
ハウジング2内に形成された収納部には、基台22に固定される複数の支持体4a、4b、4c及び固定接点5a、5b、5cが配置されると共に、操作者等による押圧操作を受け付ける操作部材6及び操作部材6に対する押圧操作に応じて作動するスナップアクション機構7が収納される。詳細は後述するが、スナップアクション機構7は、複数の可動接点8a、8b、8cが保持体10により一体的に保持された第1駆動体ユニット90と、第1駆動体ユニット90を回動させる第2駆動体11と、これらの第1駆動体ユニット90と第2駆動体11とに両端部が取り付けられた引っ張りばね(コイルばね)12とで構成される。なお、第1駆動体ユニット90は第1駆動部材を構成し、第2駆動体11は第2駆動部材を構成し、引っ張りばね12は連結部材を構成する。
【0028】
支持体4aは、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して形成され、基台22の開口部222aに対応する略直方形状に形成された土台部41aと、この土台部41aから上方に突出した突出部42aとを有している。突出部42aには、土台部41aの長辺方向に沿って、3つの突出片421a〜423aが所定の間隔を設けて直線状に形成されている。支持体4aは、土台部41aが開口部222aに配置されて一体化されると共に、インサート成形された固定接点5aの一部を突出部42aで支持するように構成されている。なお、支持体4bは、基台22の開口部222b内に配置されると共に固定接点5bがインサート成形される点を除いて支持体4aと同一の構成を有するため、図に土台部41bのように符号bを付して、その説明を省略する。また、詳細は後述するが、これら支持体4a及び4bは、スナップアクション機構7の回動支点が形成される固定接点5a及び5bを支持すると共に引っ張りばね12からの荷重(付勢力)を強く受けるため、支持体4cに比べて剛性の高い樹脂材料で構成されることが好ましい。これにより、スナップアクション動作を安定して繰り返すことが可能となる。
【0029】
支持体4cは、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して形成され、基台22の開口部222cに対応する略直方形状に形成された土台部41cと、この土台部41cから上方に突出した突出部42cとを有している。突出部42cには、土台部41cの長辺方向に沿って、2つの突出片421c及び422cが所定の間隔を設けて直線状に形成されている。支持体4cは、土台部41cが開口部222cに配置されて一体化されると共に、インサート成形された固定接点5cの一部を突出部42cで支持するように構成されている。この支持体4cは、スナップアクション機構7の回動支点が形成されず引っ張りばね12からの荷重も受けないため、上記支持体4a及び4bに比べて剛性の低い樹脂材料で構成してもよい。これにより、材料コストを削減することが可能である。
【0030】
これらの支持体4a、4b、4cは、いわゆる二重成形により基台22に一体化して形成される。この二重成形では、支持体4a、4b、4cを形成する際に固定接点5a、5b、5cをインサート成形して支持体4a、4b、4cを成形形成した後、更に支持体4a、4b、4cの土台部41a、41b、41cを開口部222a、222b、222cに対応した位置でインサート成形して基台22が成形される。なお、基台22に支持体4a、4b、4cを設ける方法は、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、固定接点5a、5b、5cをインサート成形した支持体4a、4b、4cを基台22の開口部222a、222b、222cに配置し、接着剤等により固定して一体化させるようにしても良い。また、固定接点5a、5bをインサート成形した支持体4a、4bを成形形成した後、更に支持体4a、4bの土台部41a、41bを開口部222a、222bに対応した位置でインサート成形して基台22が開口部222cを有する状態で成形され、固定接点5cをインサート成形した支持体4cを開口部222cに配置し、接着剤等により固定して一体化させるようにしても良い。
【0031】
固定接点5aは、支持体4aにインサート成形される2つのコモン接点51a及び53aと切換接点52aとを有している。コモン接点51a及び53aと切換接点52aとは、支持体4aの長手方向に沿って所定の距離で離間して立設されており、コモン接点51aと切換接点52aとの略中間位置にコモン接点53aが設けられている。なお、詳細は後述するが、コモン接点51aは、第1駆動体9aの他端側が接触して回動支点となる周辺共通固定接点を構成し、切換接点52aは、周辺可動接点を構成する可動接点8aが摺接する周辺固定接点を構成する。そして、切換接点52aに可動接点8aが摺接することで、切換接点52aとコモン接点51aとの間に導通経路(周辺導通経路)が形成される。
【0032】
コモン接点51aは、突出片423aから上方側に延出し、後述する第1駆動体9aの支点部92aと接触する接触部511aと、この接触部511aから切換接点52aと反対側に折れ曲がり、その端部から下方側に延出する端子部512aとを有している。
【0033】
切換接点52aは、突出片421aから突出する第1切換接点521aと、突出片422aの近傍に埋設され、第1切換接点521aの近傍に配置された第2切換接点522aとを有している。これら第1切換接点521aと第2切換接点522aとは別体に形成されている。第1切換接点521aは、可動接点8aが摺接する摺接部523aと、この摺接部523aから下方側に延出する端子部524aとを有している。一方、第2切換接点522aは、可動接点8aが摺接する摺接部525aと、この摺接部525aの下端部からコモン接点51a側に折れ曲がり、その端部から下方側に延出する端子部526aとを有している。この場合、第1切換接点521aの摺接部523aの下端部と、第2切換接点522aの摺接部525aの上端部とは接近して配置されている。後述する可動接点8aの接点部83aが、スナップアクション機構7のスナップアクション動作に伴って摺接部523aと摺接部525aとの間を移動することにより、回路状態が切り換えられるように構成されている。
【0034】
コモン接点53aは、突出片422aからコモン接点51a側に延出し、後述する第2駆動体11の支点部114aと接触する接触部531aと、この接触部531aから切換接点52aと反対側に折れ曲がり、その端部から下方側に延出する端子部532aとを有している。コモン接点53aは、切換接点52cに対応する中央共通固定接点を構成している。なお、詳細は後述するが、切換接点52cに可動接点8cが摺接することで、切換接点52cとコモン接点53aとの間に、第2駆動体11及び引っ張りばね12を介して導通経路(中央導通経路)が形成される。
【0035】
また、固定接点5bも、固定接点5aと同様に、支持体4bにインサート成形される2つのコモン接点51b及び53bと切換接点52bとを有している。コモン接点51b及び53bと切換接点52bとは、支持体4bの長手方向に沿って所定の距離で離間して立設されており、コモン接点51bと切換接点52bとの略中間位置にコモン接点53bが設けられている。なお、詳細は後述するが、コモン接点51bは、第1駆動体9bの他端側が接触して回動支点となる周辺共通固定接点を構成し、切換接点52bは、周辺可動接点を構成する可動接点8bが摺接する周辺固定接点を構成する。そして、切換接点52bに可動接点8bが摺接することで、切換接点52bとコモン接点51bとの間に導通経路(周辺導通経路)が形成される。なお、コモン接点51b及び切換接点52bの構成については、固定接点5aと同一構成であるため、その説明を省略する。
【0036】
コモン接点53bは、コモン接点53aと同様に、突出片422bからコモン接点51b側に延出し、後述する第2駆動体11の支点部114bと接触する接触部531bと、この接触部531bから切換接点52bと反対側に折れ曲がり、その端部から下方側に延出する端子部532bとを有している。コモン接点53bは、切換接点52cに対応するもう一つの中央共通固定接点を構成している。そして、切換接点52cに可動接点8cが摺接することで、切換接点52cとコモン接点53bとの間に、第2駆動体11及び引っ張りばね12を介して導通経路(中央導通経路)が形成される。
【0037】
固定接点5cは、支持体4cにインサート成形される切換接点52cを有している。この切換接点52cは、可動接点8cが摺接する中央固定接点を構成し、切換接点52cに可動接点8cが摺接することで、切換接点52cとコモン接点53a及び53bとの間に第2駆動体11及び引っ張りばね12を介して導通経路(中央導通経路)が形成される。
【0038】
切換接点52cは、突出片421cから突出する第1切換接点521cと、突出片422cの近傍に埋設され、第1切換接点521cの近傍に配置された第2切換接点522cとを有している。これら第1切換接点521cと第2の切換接点522cとは別体に形成されている。第1切換接点521cは、可動接点8cが摺接する摺接部523cと、この摺接部523cから下方側に延出する端子部524cとを有している。一方、第2切換接点522cは、可動接点8cが摺接する摺接部525cと、この摺接部525cの下端部から第1切換接点521cと反対側に折れ曲がり、その端部から下方側に延出する端子部526cとを有している。この場合、第1切換接点521cの摺接部523cの下端部と、第2切換接点522cの摺接部525cの上端部とは接近して配置されている。後述する可動接点8cの接点部83cが、スナップアクション機構7のスナップアクション動作に伴って摺接部523cと摺接部525cとの間を移動することにより、回路状態が切り換えられるように構成されている。
【0039】
本実施の形態では、第1切換接点521aがノーマルクローズ接点を構成する一方、第2切換接点522aがノーマルオープン接点を構成する。後述する可動接点8aの接点部83aが摺接部523aに接触している場合は、ノーマルクローズ接点としての第1切換接点521aとコモン接点51aとを導通させる一方、可動接点8aの接点部83aが摺接部525aに接触する場合は、ノーマルオープン接点としての第2切換接点522aとコモン接点51aとを導通させた回路に切り換えるように構成されている。また、これと同様の回路をコモン接点51bと切換接点52b(第1切換接点521b、第2切換接点522b)との間でも備えている。さらに、これと同様の回路をコモン接点53a(53b)と切換接点52c(第1切換接点521c、第2切換接点522c)との間でも備えている。そして、後述するスナップアクション機構7の作動によって瞬時に可動接点8a、8b、8cを駆動し、これらの回路を同期させて切り換えるように構成されている。
【0040】
操作部材6は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して形成され、概して矩形状の押圧部61と、この押圧部61の上面に立設された円柱状の軸部62とを有している。押圧部61は、操作部材6に対する押圧操作に応じて第2駆動体11の一端を押圧する。押圧部61の下面には、第2駆動体11の一端を収容する収容部(図示省略)が設けられている。軸部62は、上部ケース21の開口部211からその上端部を突出して配置され、押圧操作を受け付ける。軸部62の上端部近傍には、その外周に溝部621が形成されている。この溝部621には、上述したカバー3の上面に形成された孔31の内縁部が配置される。なお、図2においては、説明の便宜上、カバー3を操作部材6の上方側に配置しているが、実際には上部ケース21の外側に配置される。
【0041】
ここで、本実施の形態に係るスイッチ装置1の要部の構成について説明する。図3は、本実施の形態に係るスイッチ装置1における支持体4及び固定接点5が固定された基台22の斜視図である。図4及び図5は、本実施の形態に係るスイッチ装置1が有する第1駆動体ユニット90の斜視図である。なお、図4においては、第1駆動体ユニット90から保持体10を省略している。図6は、本実施の形態に係るスイッチ装置1が有する第2駆動体11の斜視図である。
【0042】
図3に示すように、支持体4a、4c、4bは、基台22の開口部222a、222c、222bにそれぞれ配置される。この場合、支持体4a、4c、4bの土台部41a、41c、41bの上面は、突出面221の上面と同一の高さに配置され、突出部42a、42c、42bのみが突出面221の上方側に突出した状態となっている。なお、突出部42a、42c、42bは、基台22の短辺に沿って所定の距離を挟んで並設されている。
【0043】
このように基台22に配置された支持体4aには、固定接点5aが埋設されている。コモン接点51aは、接触部511aが突出片423aの上端部から突出するように配置されている。接触部511aにおける突出片423aの上端部近傍には、切換接点52a側に凹部513aが形成されている。この凹部513aは、後述する第1駆動体9aの支点部92aを収容する部分である。この凹部513aで第1駆動体9aの支点部92aを収容することで、接触部511aは、第1駆動体9aを回動可能に支持するものとなっている。
【0044】
切換接点52aのうち、第1切換接点521aは、摺接部523aが突出片421aの上端部から側面部にかけて突出するように配置されている。第2切換接点522aは、摺接部525aが突出片421aの側面から突出するように配置されている。突出片421aの側面には、摺接部523aと摺接部525aとの間に配置される絶縁片424aが設けられている。この絶縁片424aは、操作部材6に対する押圧操作に伴って上下動する可動接点8aの導通状態を一時的に遮断する部分である。この絶縁片424aは、摺接部523a及び摺接部525aと同一平面を構成するように設けられており、可動接点8aの接点部83aが摺接部523aと摺接部525aとの間でスムーズに摺動することができるものとなっている。
【0045】
突出片422aは、突出片421aと突出片423aとの間に設けられている。突出片422aには、コモン接点53aが、接触部531aを突出片423a側に突出するように配置されている。接触部531aの突出片423a側(コモン接点51a側)の側面には、凹部532aが設けられている。この凹部532aで第2駆動体11の支点部114aを収容することで、突出片422aは、第2駆動体11を回動可能に支持するものとなっている。なお、この凹部532aは、コモン接点51aに設けられた凹部513aよりも下方側の位置に設けられている。
【0046】
支持体4bに埋設された固定接点5bは、支持体4aに埋設された固定接点5aと同様に配置されている。すなわち、コモン接点51bは、接触部511bが突出片423bの上端部から突出するように配置され、接触部511bにおける突出片423bの上端部近傍には、切換接点52b側に凹部513bが形成されている。この凹部513bは、後述する第1駆動体9bの支点部92bを収容する部分である。この凹部513bで第1駆動体9bの支点部92bを収容することで、接触部511bは、第1駆動体9bを回動可能に支持するものとなっている。
【0047】
切換接点52bのうち、第1切換接点521bは、摺接部523bが突出片421bの上端部から側面部にかけて突出するように配置されている。第2切換接点522bは、摺接部525bが突出片421bの側面から突出するように配置されている。突出片421bの側面には、摺接部523bと摺接部525bとの間に配置される絶縁片424bが設けられている。この絶縁片424bは、操作部材6に対する押圧操作に伴って上下動する可動接点8aの導通状態を一時的に遮断する部分である。この絶縁片424bは、摺接部523b及び摺接部525bと同一平面を構成するように設けられており、可動接点8bの接点部83bが摺接部523bと摺接部525bとの間でスムーズに摺動することができるものとなっている。
【0048】
突出片422bは、突出片421bと突出片423bとの間に設けられている。突出片422bには、コモン接点53bが、接触部531bを突出片423b側に突出するように配置されている。接触部531bの突出片423b側(コモン接点51b側)の側面には、凹部532bが設けられている。この凹部532bで第2駆動体11の支点部114bを収容することで、突出片422bは、第2駆動体11を回動可能に支持するものとなっている。なお、この凹部532bは、コモン接点51bに設けられた凹部513bよりも下方側の位置に設けられている。
【0049】
また、支持体4cには、固定接点5cが埋設されている。切換接点52cのうち、第1切換接点521cは、摺接部523cが突出片421cの上端部から側面部にかけて突出するように配置されている。第2切換接点522cは、摺接部525cが突出片421cの側面から突出するように配置されている。突出片421cの側面には、摺接部523cと摺接部525cとの間に配置される絶縁片424cが設けられている。この絶縁片424cは、操作部材6に対する押圧操作に伴って上下動する可動接点8cの導通状態を一時的に遮断する部分である。この絶縁片424cは、摺接部523c及び摺接部525cと同一平面を構成するように設けられており、可動接点8cの接点部83cが摺接部523cと摺接部525cとの間でスムーズに摺動することができるものとなっている。
【0050】
図4に示すように、第1駆動体ユニット90は、平面視略長方形状の導体板で構成された2つの第1駆動体9a、9bと、第1駆動体9a、9bよりも小さい平面視略長方形状の導体板で構成された第1駆動体9cを備えている。第1駆動体9a、9bの間に第1駆動体9cが配置され、第1駆動体9a、9b、9cは、互いに各導体板の一端側を揃えた状態で並べて配置されている。第1駆動体9a、9bの他端側には、突出片91a、91bが設けられている。突出片91a、91bの端部は、その内側部分が外側部分よりも短く設けられており、この内側部分の端面に支点部92a、92bが設けられている。これらの支点部92a、92bは、上述した接触部511a、511bに設けられた凹部513a、513bに当接し、第1駆動体9a、9bの回動支点を構成するものとなっている。
【0051】
また、第1駆動体9a、9bの対向する側面部には、切り欠き部93a、93bが対向する位置に形成されている。これらの切り欠き部93a、93bは、第1駆動体9a、9bの下面に取り付けられる可動接点8a、8bの位置決めの際に利用される。また、導体板の下面において、これらの切り欠き部93a、93bと導体板の一端側との間には、下方側に突出形成された円形突出部94a、94bが設けられている(図4(b))。これらの円形突出部94a、94bは、可動接点8a、8bを第1駆動体9a、9bの下面に取り付ける際に利用される。なお、これらの円形突出部94a、94bは、第1駆動体9a、9bをプレス加工などにより形成され、導体板上面には対応する部分に凹部95a、95bが設けられている(図4(a))。
【0052】
第1駆動体9cの他端側中央には、引っ張りばね12の一端が係止される開口部91cが板厚方向に貫通形成されている。この開口部91cは、長径と短径とを有する略楕円状に形成されている。開口部91cの長径方向における他端側(第1駆動体9cの他端側)の対向する内周壁面は、所定角度で交差するように形成されている。そのため、スナップアクション機構7の作動に伴い、開口部91cに係止された引っ張りばね12が付勢されると、引っ張りばね12の一部が対向する内周壁面に対してそれぞれ接触される。従って、引っ張りばね12が開口部91cの内周面に複数点で接触するので、引っ張りばね12の接触信頼性を向上させ、引っ張りばね12を導通経路として確実に機能させることができる。また、導体板の下面において、開口部91c近傍には、下方側に突出形成された円形突出部92cが設けられている(図4(b))。これらの円形突出部92cは、可動接点8cを第1駆動体9cの下面に取り付ける際に利用される。なお、これらの円形突出部92cは、第1駆動体9cをプレス加工などにより形成され、導体板上面には対応する部分に凹部93cが設けられている(図4(a))。
【0053】
このように、導体板に形成された開口部9cに引っ張りばね12の一端を取り付けていることから、後述する保持体10が引っ張りばね12の付勢力により変形する事態を発生し難くすることができ、第1駆動体9a、9b、9cに設けられた可動接点8a、8b、8cの位置精度を確保することが可能となっている。特に、第1駆動体9cを構成する導体板を補強部として利用していることから、特別な部材を用意することなく保持体10を補強することが可能となっている。なお、保持体10を補強する補強部材としては、第1駆動体9cとは別の部材を利用しても良い。
【0054】
可動接点8a、8b、8cは、弾性を有する薄肉の板状部材にプレス加工及び折り曲げ加工を施すことで形成される。可動接点8a、8bは、平面視略長方形状に形成され、接点部83a、83bが形成される一端側が幅狭に形成されている。可動接点8a、8bの長手方向には、円形の開口部82a、82bが設けられている。可動接点8a、8bは、円形の開口部82a、82bで第1駆動体9a、9bの円形突出部94a、94bを収容することで第1駆動体9a、9bの下面に位置決めされる。そして、例えば、円形突出部94a、94bをかしめることで可動接点8a、8bが第1駆動体9a、9bの下面に取り付けられる。このように可動接点8a、8bを第1駆動体9a、9bにかしめることで取り付けるようにしているので、第1駆動体9a、9bと可動接点8a、8bとを別材料で構成することができ、第1駆動体9a、9bの材料に制限されず、各部材の機能・用途に応じて好適な材料で構成することができる。
【0055】
可動接点8a、8bは、側面視U字状の片を一対有し、その第1駆動体9a、9b側の上端部で連結されたクリップ状で、第1駆動体9a、9bと反対側(自由端側)のそれぞれの先端に接点部83a、83bが設けられている。つまり、これらの接点部83a、83bの先端部は、可動接点8a、8bの上方側に延出しており、所定の距離を挟んで対向して配置されている。これらの接点部83a、83bの間には、上述した切換接点52a、52bが配置され、接点部83a、83bは、切換接点52a、52bの摺接部523a、523b、525a、525bを挟んで摺接可能に構成されている。
【0056】
一方、可動接点8cは、平面視略長方形状に形成され、接点部83cが形成される一端側が幅狭に形成されるとともに、他端側が第1駆動体9cの開口部91cを避けるように凹状に形成されている。可動接点8cも、可動接点8a、8bと同様に、円形突出部92cに対応する位置に、円形の開口部82cが設けられている。可動接点8cは、円形の開口部82cで第1駆動体9cの円形突出部92cを収容することで第1駆動体9cの下面に位置決めされる。そして、可動接点8a、8bと同様に、例えば、円形突出部92cをかしめることで可動接点8cが第1駆動体9cの下面に取り付けられる。
【0057】
また、可動接点8cも、可動接点8a、8bと同様に、側面視U字状の片を一対有し、その第1駆動体9c側の上端部で連結されたクリップ状で、第1駆動体9cと反対側(自由端側)の先端に接点部83cが設けられている。この接点部83cの先端部は、可動接点8cの上方側に延出しており、所定の距離を挟んで対向して配置されている。これらの接点部83cの間には、上述した切換接点52cが配置され、接点部83cは、切換接点52cの摺接部523c、525cを挟んで摺接可能に構成されている。
【0058】
これら可動接点8a、8b、8cにおいては、その下方側部分を開放した構成とすることができるので、スイッチ装置1に可動接点8a、8b、8cを組み付ける際に切換接点52a、52b、52cと可動接点8a、8b、8cの接点部83a、83b、83cとの接触により接点部83a、83b、83cが破損する事態を防止できるものとなっている。
【0059】
第1駆動体ユニット90においては、上記のように配置される第1駆動体9a、9b、9cに対して、第1駆動体9a、9b、9cの一部を露出させるようにして保持体10が配置される。すなわち、図5に示すように、第1駆動体9a、9b、9cにおける可動接点8a、8b、8cの接点部83a、83b、83cが形成された一端側、支点部92a、92bが形成された突出片91a、91bの一部、並びに、開口部91cの近傍の一部を露出した状態で保持体10が配置される。すなわち、第1駆動体9a、9b、9c及び可動接点8a、8b、8cは、接点部83a、83、83c、支点部92a、92b、及び開口部91cを露出した状態で、保持体10に一体的に保持される。保持体10は、例えば、絶縁性の樹脂材料により第1駆動体9a、9b及び可動接点8a、8bをインサート成形して構成される。この場合、可動接点8a、8b、8cにおいては、図5(b)に示すように、第1駆動体9a、9b、9cに対する取付部分、すなわち、円形突出部94a、94b、92cを収容した開口部82a、82b、82c近傍が保持体10に埋設されることから、これら可動接点8a、8b、8cが強固に第1駆動体9a、9b、9cの下面に固定されることとなる。このため、可動接点8a、8b、8cが外れたり、位置ずれしたりする事態を防止することができる。
【0060】
特に、第1駆動体ユニット90においては、第1駆動体9a、9b、9cと、切換接点52a、52b、52cの摺接部523a、523b、523c、525a、525b、525cに摺接する可動接点8a、8b、8cとを別材料で構成している。第1駆動体9a、9b、9cは、可動接点8a、8b、8cの材料よりも高い剛性を有するものとなっている。これにより、第1駆動体ユニット90は、引っ張りばね12を保持する剛性を確保しながら、摺接部523a、523b、523c、525a、525b、525cに摺接する可動接点8a、8b、8cとしての所望の弾性を確保することができるものとなっている。
【0061】
第2駆動体11は、例えば、金属材料を機械加工して形成される。第2駆動体11は、図6に示すように、平面視略T字状に形成されている。第2駆動体11の一端側は、上方側に折り曲げられており、その上端部で操作部材6の押圧を受ける被押圧部111が構成されている。この被押圧部111の下方部分には、開口部112が設けられている。この開口部112には、第1駆動体9cの開口部91cに一端が取り付けられた引っ張りばね12の他端が取り付けられるように構成されている。開口部112に取り付けられた引っ張りばね12の他端の一部は、被押圧部111に設けられた略V字状の切り欠き部111aにより係止されている。この切り欠き部111aは、内側に向かって切り欠き幅を狭めるように傾斜して形成されている。そのため、スナップアクション機構7の作動に伴い、切り欠き部111aに係止された引っ張りばね12が付勢されると、引っ張りばね12の一部が対向する傾斜面に対してそれぞれ接触される。従って、引っ張りばね12の一部が切り欠き部111aの傾斜面に複数点で接触するので、引っ張りばね12の接触信頼性を向上させ、引っ張りばね12を導通経路として確実に機能させることができる。
【0062】
第2駆動体11の他端側の両側部には、被押圧部111と離間する方向に屈曲した平面視略L字状の屈曲部113a、113bが形成されている。屈曲部113a、113bの自由端側の端部は、その外側部分が内側部分よりも短く設けられており、この外側部分の端面に支点部114a、114bが設けられている。これらの支点部114a、114bは、上述した接触部531a、532aに設けられた凹部531a、531bにそれぞれ当接し、第2駆動体11の回動支点を構成するものとなっている。また、第2駆動体11の他端側において、屈曲部113a及び113b間には、被押圧部111と離間する方向に突出した突出部115a、115bが形成され、これら突出部115a,115b間には凹部115cが形成されている。従って、第2駆動体11は、両突出部115a、115bが突出片422cを避け、凹部115cに突出片422cを通過させるようにして回動可能に構成されている。
【0063】
本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、図7に示すように、これらの第1駆動体ユニット90と第2駆動体11とが一体化される。図7は、本実施の形態に係るスイッチ装置1の第1駆動体ユニット90と第2駆動体11とを一体化させた状態の斜視図である。図7に示すように、引っ張りばね12の一端は、第1駆動体ユニット90における保持体10から露出した第1駆動体9cの開口部91cに取り付けられている。一方、引っ張りばね12の他端は、第2駆動体11の切り欠き部111aを経由させ開口部112に取り付けられている。そして、第2駆動体11は、第1駆動体ユニット90の下方側で第1駆動体9cと対向するように配置されている。そして、一体化された状態の第1駆動体ユニット90及び第2駆動体11が基台22に組み付けられることで、スナップアクション機構7が組み立てられるように構成されている。この場合、第1駆動体ユニット90及び第2駆動体11を一体化させた状態で取り扱うことができるので、これを組み付ける際の作業効率を向上させることが可能となる。
【0064】
ここで、このようにスナップアクション機構7が組み付けられた基台22の構成について、図8〜図10を用いて説明する。図8及び図9は、本実施の形態に係るスイッチ装置1において、スナップアクション機構7が組み付けられた基台22の斜視図及び上面図である。図10は、本実施の形態に係るスイッチ装置1において、スナップアクション機構7が組み付けられた基台22の側面図である。図10(a)においては、図9に示す右方側から見た側面を示し、図10(b)においては、図9に示す左方側から見た側面を示している。
【0065】
図8及び図9に示すように、基台22に組み付けられた状態において、第1駆動体ユニット90は、同図に示す左方側に向けて上向いた状態で保持される一方、第2駆動体11は、同図に示す右方側に向けて上向いた状態で保持される。第1駆動体ユニット90の下面に配置された可動接点8a、8b、8cは、図8及び図9に示す左上方側に延出しており、その接点部83a、83b、83cは、切換接点52a、52b、52cの摺接部523a、523b、523cに摺接した状態とされている。
【0066】
また、図9及び図10に示すように、固定接点5a、5b、5c(コモン接点51a、51b及び切換接点52a、52c、52b)は、基台22に所定間隔を有して並設されている。第1駆動体ユニット90は、第1駆動体9a、9b、9cをそれぞれ固定接点5a、5b、5cに対応する位置に配置すると共に、可動接点8a、8b、8cをそれぞれ切換接点52a、52b、52cを挟み込む位置に配置している。また、第2駆動体11は、第1駆動体ユニット90の下方側であって、その中央部分を通過するように配置され、第1駆動体9cに設けられた開口部91cに係止された引っ張りばね12を介して接続されている。本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、このようにスナップアクション機構7が組み付けられた基台22に対して、操作部材6を収納部内に配置した状態で上部ケース21が取り付けられる。
【0067】
次に、本実施の形態に係るスイッチ装置1における操作部材6に対する押圧操作に伴う動作について説明する。図11及び図12は、本実施の形態に係るスイッチ装置1における押圧操作に伴う動作について説明するための側面図である。なお、図11及び図12においては、説明の便宜上、上部ケース21、カバー3及び操作部材6を省略している。
【0068】
操作部材6に押圧操作が行われていない状態(初期状態)においては、スイッチ装置1は、図11に示す状態となっており、可動接点8a、8b、8cは、同図に示す左上方側に延出しており、その接点部83a、83b、83cは、切換接点52a、52b、52cの摺接部523a、523b、523cを挟み込んで摺接した状態となっている。この場合、第1切換接点521aが、可動接点8aの接点部83aに摺接されて、コモン接点51aとの間で導通経路(周辺導通経路)が形成されるので、ノーマルクローズ接点としての第1切換接点521aとコモン接点51aとを有する回路が導通した状態となっている。同様に、第1切換接点521bが、可動接点8bの接点部83bに摺接されて、コモン接点51bとの間で導通経路(周辺導通経路)が形成されるので、ノーマルクローズ接点としての第1切換接点521bとコモン接点51bとを有する回路が導通した状態となっている。また、第1切換接点521cが、可動接点8cの接点部83cに摺接されて、第1駆動体9c、引っ張りばね12及び第2駆動体11を介してコモン接点53a及び53bとの間で導通経路(中央導通経路)が形成されるので、ノーマルクローズ接点としての第1切換接点521cとコモン接点53a及び53bとを有する回路も導通した状態となっている。
【0069】
操作部材6で押圧操作を受け付け、被押圧部111が下方側に押し込まれると、図12に示すように、引っ張りばね12の付勢力に抗して、第2駆動体11が支点部114a、114bを回動支点として矢印A方向に回動していく。しかしながら、所定の限界位置まで第2駆動体11が回動するまでは、第1駆動体ユニット90は、初期位置(図11に示す位置)に停止したままの状態となっている。従って、可動接点8a、8b、8cの接点部83a、83b、83cは、摺接部523a、523b、523cに摺接した状態を維持している。
【0070】
そして、所定の限界位置まで第2駆動体11が回動すると、第1駆動体ユニット90及び第2駆動体11に作用する引っ張りばね12の付勢力の方向が反転し、第1駆動体ユニット90が下方側に引っ張られ、図12に示すように、瞬時に第1駆動体ユニット90が支点部92a、92bを回動支点として矢印C方向に回動する。この場合、可動接点8a、8b、8cの接点部83a、83b、83cは、絶縁片424a、424b、424cを通過して摺接部525a、525b、525cに摺接した状態となる。これにより、ノーマルオープン接点としての第2切換接点522a、522b、522cと、コモン接点51a、51b、53a及び53bとを有する回路が導通した状態に切り換えられることとなる。すなわち、第2切換接点522aが可動接点8aの接点部83aに摺接されて、コモン接点51aとの間で導通経路(周辺導通経路)が形成されるので、ノーマルオープン接点としての第2切換接点522aとコモン接点51aとを有する回路が導通状態となる。同様に、第2切換接点522bが可動接点8bの接点部83bに摺接されて、コモン接点51bとの間で導通経路(周辺導通経路)が形成されるので、ノーマルオープン接点としての第2切換接点522bとコモン接点51bとを有する回路が導通状態となる。また、第2切換接点522cが可動接点8cの接点部83cに摺接されて、第1駆動体9c、引っ張りばね12及び第2駆動体11を介してコモン接点53a及び53bとの間で導通経路(中央導通経路)が形成されるので、ノーマルオープン接点としての第2切換接点522cとコモン接点53a及び53bとを有する回路も導通状態となる。この場合において、可動接点8a、8b、8cは、保持体10で連結された第1駆動体9a、9b、9cに設けられているため、実質的に同一タイミングで切換接点52a、52b、52c上を摺動し、摺接部525a、525b、525cに摺接することとなる。
【0071】
一方、操作部材6に対する押圧操作が解除されると、図11に示すように、引っ張りばね12の付勢力に応じて、支点部114a、114bを回動支点として第2駆動体11が矢印B方向に回動していく。しかしながら、所定の限界位置まで第2駆動体11が回動するまでは、第1駆動体ユニット90は、図12に示す位置に停止したままの状態となっている。従って、可動接点8a、8b、8cの接点部83a、83b、83cは、摺接部525a、525b、525cに摺接した状態を維持している。
【0072】
そして、所定の限界位置まで第2駆動体11が回動すると、第1駆動体ユニット90及び第2駆動体11に作用する引っ張りばね12の付勢力の方向が反転し、引っ張りばね12を介して第1駆動体ユニット90が上方側に引っ張られ、瞬時に第1駆動体ユニット90が支点部92a、92bを回動支点として矢印D方向に回動し、初期位置に復帰する(図11)。この場合、可動接点8a、8b、8cの接点部83a、83b、83cは、絶縁片424a、424b、424cを通過して摺接部523a、523b、523cに摺接した状態となる。これにより、ノーマルクローズ接点としての第1切換接点521a、521b、521cと、コモン接点51a、51b、53a及び53bとを有する回路が導通した状態に切り換えられることとなる。この場合においても、可動接点8a、8b、8cは、実質的に同一のタイミングで切換接点52a、52b、52c上を摺動し、摺接部523a、523b、523cに摺接することとなる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態に係るスイッチ装置1によれば、切換接点52a、52bは、可動接点8a、8bに摺接してコモン接点51a、51bとの間でそれぞれ周辺導通経路を形成し、切換接点52cは、可動接点8cに摺接して連結部材を構成する引っ張りばね12及び第2駆動体11を介してコモン接点53a及び53bとの間で中央導通経路を形成する。従って、回動動作部品である引っ張りばね12及び第2駆動体11を導通経路の一部として機能させるので、回動動作に係る部品点数を増やすことなく、複数回路を同期させて切り換えることができる。特に、スナップアクション機構7を備えたため、操作部材6が所定位置まで押圧されると引っ張りばね12の付勢力によって、第1駆動体ユニット90に設けられた可動接点8c及び可動接点8a、8bを瞬時に駆動することができるので、複数回路を同期させて切り換える場合には、回路切換の同期タイミングのバラつきを低減することができる。
【0074】
また、保持体10から露出した第1駆動体9cに設けられた開口部91cに引っ張りばね12の一端を取り付け、引っ張りばね12の付勢力により保持体10が変形する事態を発生し難くしているため、一体的に保持された第1駆動体9a、9b、9cに設けられた可動接点8a、8b、8cの位置精度を確保して適切なタイミングで複数回路を切り換えることが可能となる。
【0075】
さらに、第1駆動体9a、9b、9cに対する可動接点8a、8b、8cの取付部分を保持体10に埋設し、可動接点8a、8b、8cを強固に第1駆動体9a、9b、9cに固定していることから、可動接点8a、8b、9cが外れたり、ずれたりする事態を防止でき、一体的に連結された第1駆動体9a、9b、9cに設けられた可動接点8a、8b、8cの位置精度を確保して適切なタイミングで複数回路を切り換えることが可能となる。
【0076】
さらに、引っ張りばね12を第1駆動体9aと第1駆動体9bの中間位置に設けられた第1駆動体9c及び第2駆動体11に取り付けていることから、第1駆動体9a、9b、9cに設けられた可動接点8a、8b、8cを同一の引っ張りばね12の付勢力により駆動することができるので、回路切換えの同期タイミングのバラつきをより低減することが可能となる。
【0077】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0078】
例えば、上記実施の形態においては、第1駆動体ユニット90において、3つの第1駆動体9a、9b、9cを備える場合について説明しているが、第1駆動体9の個数についてはこれに限定されるものではなく、切換対象となる回路の数量に応じて3つ以上の第1駆動体9を備えるようにしても良い。また、3つの第1駆動体9a、9b、9cを別体に構成した場合について説明しているが、各第1駆動体9a、9b、9cが独立した導通回路を形成するものであれば、一体に構成してもよい。
【0079】
また、上記実施の形態においては、第1駆動体9a、9b、9cに可動接点8a、8b、8cを取り付ける場合について説明しているが、可動接点8a、8b、8cの構成についてはこれに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、第1駆動体9a、9b、9cに可動接点8a、8b、8cを設けるようにしても良い。
【0080】
さらに、上記実施の形態においては、第1駆動体9a、9b、9cを保持体10により一体的に保持した第1駆動体ユニット90と、第2駆動体11とを有するスナップアクション機構7を有するスイッチ装置1について説明しているが、本発明は、スナップアクション機構7を有する構成に限定されるものではない。例えば、連結部材を介して回動動作を行い可動接点8a、8b、8cを駆動させるものであれば、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 スイッチ装置
2 ハウジング
21 上部ケース
22 基台
4a、4b、4c 支持体
41a、41b、41c 土台部
42a、42b、42c 突出部
421a〜423a、421b〜423b、421c、422c 突出片
424a、424b、424c 絶縁片
425a、425b 凹部
5a、5b、5c 固定接点
51a、51b コモン接点(周辺共通固定接点)
53a、53b コモン接点(中央共通固定接点)
511a、511b、531a、531b 接触部
512a、512b 端子部
513a、513b、532a、532b 凹部
52a、52b、52c 切換接点
521a、521b 第1切換接点(周辺固定接点)
521c 第1切換接点(中央固定接点)
522a、522b 第2切換接点(周辺固定接点)
522c 第2切換接点(中央固定接点)
6 操作部材
61 押圧部
7 スナップアクション機構
8a、8b 可動接点(周辺可動接点)
8c 可動接点(中央可動接点)
83a、83b、83c 接点部
9a、9b、9c 第1駆動体
90 第1駆動体ユニット(第1駆動部材)
91a、91b 突出片
91c 開口部
92a、92b 支点部
10 保持体
11 第2駆動体(第2駆動部材)
111 被押圧部
111a 切り欠き部
112 開口部
114a、114b 支点部
12 引っ張りばね(連結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作を受け付ける操作部材と、
中央固定接点及び当該中央固定接点の周辺に所定間隔を有して並設された複数の周辺固定接点と、前記中央固定接点に対応する中央共通固定接点及び前記複数の周辺固定接点に対応する複数の周辺共通固定接点とを有する基台と、
前記中央固定接点に摺接する中央可動接点及び前記複数の周辺固定接点に摺接する複数の周辺可動接点を一端側に有する一方、前記中央可動接点が設けられた一端側と反対側の中央他端側と前記複数の周辺可動接点が設けられた一端側と反対側の複数の周辺他端側とを露出させた状態で、前記中央可動接点及び前記複数の周辺可動接点を一体的に保持する第1駆動部材と、
一端側で前記操作部材からの押圧力を受けると共に、連結部材を介して前記複数の周辺共通固定接点に摺接する前記複数の周辺他端側を支点として前記第1駆動部材を回動させる第2駆動部材と、を備え、
前記複数の周辺固定接点は、前記複数の周辺可動接点に摺接して前記複数の周辺共通固定接点との間でそれぞれ周辺導通経路を形成すると共に、前記中央固定接点は、前記中央可動接点に摺接して前記連結部材及び前記第2駆動部材を介して前記中央共通固定接点との間で中央導通経路を形成することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記連結部材は、一端側が前記第1駆動部材の前記中央他端側に係止され、他端側が前記第2駆動部材の一端側に係止された引っ張りばねからなり、
前記第2駆動部材は、前記中央共通固定接点に接触する他端側を支点として回動され、
前記第1駆動部材、前記引っ張りばね及び前記第2駆動部材は、前記操作部材が所定位置まで押圧された場合に、前記引っ張りばねの付勢力により前記第2駆動部材が他端側を支点として回動すると共に前記第1駆動部材が前記周辺他端側を支点として回動して前記中央可動接点及び前記複数の周辺可動接点を駆動するスナップアクション機構を構成することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記引っ張りばねの両端は、前記第1駆動部材の中央他端側及び前記第2駆動部材の一端側に、複数点で接触して係止されることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記複数の周辺導通経路は2つの周辺導通経路からなり、当該2つの周辺導通経路及び前記中央導通経路はそれぞれ電気的に独立した導通経路から形成され、
前記2つの周辺導通経路の中間位置に、前記導通経路の一部を構成する前記引っ張りばねを含む前記中央導通経路が形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記周辺共通固定接点及び前記中央共通固定接点は、少なくとも前記中央固定接点が前記基台に支持される樹脂材料とは異なる樹脂材料で前記基台に支持されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記中央共通固定接点は複数の中央共通固定接点からなり、
前記第2駆動部材の他端側は、前記複数の中央共通固定接点にそれぞれ常時接触し、
前記第1駆動部材の複数の周辺他端側は、前記複数の周辺共通固定接点にそれぞれ常時接触することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記中央共通固定接点は、前記周辺固定接点と前記周辺共通固定接点との間に配置され、当該3つの固定接点が、一直線上に並んで配置されていることを特徴とする請求項6に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−64548(P2012−64548A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210119(P2010−210119)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】