説明

スイッチ装置

【課題】リレーなどの別部品を必要とせずに手動操作から遅れて機器の主電源をオフすることができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】第1ハンドル2がオフ位置からオン位置に操作されると第2ハンドル3もオフ位置からオン位置に揺動(変位)して主接点部4をオンする。一方、第1ハンドル2がオン位置からオフ位置に操作されても第2ハンドル3は揺動(変位)しない。そして、外部から入力される制御信号により、リセット機構部6が第2ハンドル3をオン位置からオフ位置へ揺動(変位)させて主接点部4をオフする。故に、リレーなどの別部品を必要とせずに手動操作(第1ハンドル2の押操作)から遅れて電気機器の主電源をオフすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルによる手動操作と外部信号による遠隔操作が可能なスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドルによる手動操作と外部信号による遠隔操作が可能なスイッチ装置として、特許文献1記載のリセット機構付きスイッチがある。特許文献1記載の従来例は、ケースにハンドルが揺動自在に取り付けられ、ハンドルの揺動により、固定端子、可動片、反転ばねを備えたスイッチ機構のオンオフ状態が切り換えられるスイッチ装置、いわゆるロッカースイッチあるいはタンブラスイッチと呼ばれるものである。この従来例が備えるリセット機構は、永久磁石、励磁コイル、復帰ばね、鉄芯、ヨークがコイルボビンに一体化されてなり、ケースに取り付けられる。そして、このリセット機構は、鉄芯がヨークに吸着されたスイッチ機構のオン状態時に、外部信号により励磁コイルに通電されると、鉄芯のヨークへの吸着力が減少して復帰ばねの付勢力により鉄芯が上方に変位してハンドルを反転揺動させ、スイッチ機構をオフする。
【0003】
ところで、特許文献1に記載されているリセット機構付きスイッチは、OA機器の主電源を入切(オンオフ)するスイッチに使用されている。この種のOA機器としては、例えば、ファックス機能、プリンタ機能、ネットワーク通信機能などが搭載されたデジタル複写機(いわゆるデジタル複合機)がある。デジタル複合機では、大量のデータを保存するために大容量の記憶装置(ハードディスク装置)が搭載されているが、ハードディスク装置へのデータの書き込み中に主電源がオフされると、書き込み中のデータが破損するといった不具合の生じる虞がある。
【0004】
そこで従来は、主電源用のスイッチと並列にリレーが接続され、当該スイッチが手動操作されて主電源がオンとなるが、オン状態でスイッチが手動操作された場合には主電源がオフにならないようになっていた。つまり、デジタル複合機の制御装置(マイクロコンピュータ)が主電源用のスイッチのオフ操作を検出すると、ハードディスク装置へのデータ書き込みが終了した後に前記リレーを駆動して主電源をオフしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−14981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例では主電源用のスイッチとは別にリレーが必要であり、部品点数の増加によるコスト上昇やリレーの設置スペースの増加といった問題が生じていた。なお、ハンドルの操作後に接点が遅れて動作するスイッチ(遅延スイッチ)もあるが、この種の遅延スイッチは遅延時間が比較的に長時間(数分〜十数分)であり、且つ外部から遅延時間を変更することができないため、上述のようなOA機器の主電源用のスイッチに用いるには不適である。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、リレーなどの別部品を必要とせずに手動操作から遅れて機器の主電源をオフすることができるスイッチ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスイッチ装置は、オン位置とオフ位置の間で変位自在に設けられた第1ハンドルと、オン位置とオフ位置の間で変位自在に設けられるとともに前記第1ハンドルがオフ位置からオン位置へ変位する際に当該第1ハンドルと連動してオフ位置からオン位置に変位する第2ハンドルと、主電源の電路に挿入されて前記第2ハンドルがオン位置のときに前記電路を閉じ且つ前記第2ハンドルがオフ位置のときに前記電路を開く主接点部と、前記第1ハンドルのオン位置とオフ位置に応じて開閉する信号接点部と、外部から入力される制御信号により前記第2ハンドルをオン位置からオフ位置へ変位させるリセット機構部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このスイッチ装置において、前記第1ハンドルから前記第2ハンドルに対して、前記第1ハンドルが手動操作力を受けてオフ位置からオン位置へ変位する際に前記第2ハンドルをオフ位置からオン位置へ変位させる向きの操作力を伝える操作力伝達手段を備えることが好ましい。
【0010】
このスイッチ装置において、前記第1ハンドル及び前記第2ハンドルが共通の軸の回りに揺動自在に設けられるとともに前記第2ハンドルが前記第1ハンドルに覆われ、前記操作力伝達手段は、前記手動操作力を受けて揺動する前記第1ハンドルから前記第2ハンドルへ、前記軸の径方向に沿った押圧力を伝達することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスイッチ装置は、リレーなどの別部品を必要とせずに手動操作から遅れて機器の主電源をオフすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の動作を説明するための説明図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上における主接点部及び信号接点部の双方がオフ状態のときの断面図である。
【図4】同上における主接点部及び信号接点部の双方がオフ状態のときの断面図である。
【図5】同上における主接点部及び信号接点部の双方がオン状態のときの断面図である。
【図6】同上における主接点部及び信号接点部の双方がオン状態のときの断面図である。
【図7】同上における主接点部がオン状態且つ信号接点部がオフ状態のときの断面図である。
【図8】同上における主接点部がオン状態且つ信号接点部がオフ状態のときの断面図である。
【図9】同上を主電源用のスイッチに用いた電気機器の概略回路図である。
【図10】同上の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、従来技術で説明したロッカースイッチに本発明の技術思想を適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明の技術思想が適用可能なスイッチ装置はロッカースイッチに限定されるものではなく、ハンドルがオン位置とオフ位置の間で変位自在であるスイッチ全般に適用可能である。
【0014】
本実施形態のスイッチ装置(ロッカースイッチ)は、図2に示すようにケース1、第1ハンドル2、第2ハンドル3、主接点部4、信号接点部5、リセット機構部6、第1反転ばね7、第2反転ばね8などを備えている。なお、以下の説明では、図2において上下左右前後の各向きを規定している。
【0015】
ケース1は、上面が開口する矩形箱状の第1ケース部10と、第1ケース部10の下面より下向きに突出する第2ケース部11とが一体に形成された合成樹脂成形体からなる。なお、第2ケース部11は、前後方向の幅寸法が第1ケース部10よりも狭くなっている。
【0016】
第1ケース部10の内底面(内側下面)には左右方向に延びた平板状の2つの隔壁12,12が上向きに突設されている。そして、前後方向において2つの隔壁12,12に挟まれた第1ケース部10の内部空間が第2ケース部11の内部空間と繋がっており、この内部空間に信号接点部5とリセット機構部6が収納される。
【0017】
また、前後方向において第1ケース部10の前後の壁と隔壁12,12に挟まれた第1ケース部10の内部空間には、それぞれ主接点部4,4が収納される。主接点部4は、一対の主端子40,40と、可動接触子41とを有する。主端子40は、第1ケース部10の底面に設けられた貫通溝(図示せず)を通してケース1の外に突出する端子板40Aと、端子板40Aの上端部に一体に設けられて第1ケース部10内に収納される端子片40Bとが金属板によって形成されてなる。そして、右側に配置される主端子40の端子片40B上面に主固定接点42が形成されている。
【0018】
可動接触子41は、下向きに凹む反転ばね保持部41Aと、反転ばね保持部41Aの右側上端部より右上向きに突出するばね片41Bとが金属板によって一体に形成され、ばね片41Bの先端部に主可動接点43が形成されてなる。そして、可動接触子41は、反転ばね保持部41Aで保持する第2反転ばね8のばね力により、反転ばね保持部41Aの下面が左側の主端子40における端子片40Bと弾接している(図3参照)。したがって、主可動接点43が主固定接点42と接触することにより、主接点部4における一対の主端子40,40が可動接触子41を介して導通することになる(図5参照)。
【0019】
ここで、コイルばねからなる第2反転ばね8,8の上端部は各々第2ハンドル3に保持される。第2ハンドル3は、下面が開口する角筒状に形成された一対の保持部30,30と、これら一対の保持部30,30の上端部を連結する板状の連結部31と、前側の保持部30の前面及び後側の保持部30の後面よりそれぞれ突設されている円柱形状の軸32,32とが合成樹脂成形体として一体に形成されている。なお、連結部31は、各保持部30,30の上端より左側に突出して形成されている。そして、第2反転ばね8,8は、それぞれの上端部が保持部30,30の下面開口より内部に挿入されて保持される(図3参照)。
【0020】
第2ハンドル3は、各保持部30,30に突設されている軸32,32が、第1ケース部10の前壁及び後壁の上端部に貫設されている軸受孔13,13に嵌合されることにより、ケース1に対して軸32,32の回りに揺動自在に取り付けられる。このとき、一対の保持部30,30はそれぞれ第1ケース部10の前後の壁と隔壁12,12に挟まれた内部空間に配置され、連結部31は一対の隔壁12,12に挟まれた内部空間に配置される。但し、第2反転ばね8,8は、第2ハンドル3の保持部30,30と可動接触子41,41の反転ばね保持部41A,41Aとに圧縮された状態で保持される。
【0021】
第1ハンドル2は、下面が開口した矩形箱形の操作部20と、操作部20の前後両側の下端より下向きに突出する略半円形の突出片21,21と、操作部20の内底面中央より下向きに突設された角筒状の保持部22とが合成樹脂成形体として一体に形成されている(図4参照)。操作部20は、左右両端の高さが中央よりも高くなった形状(いわゆる波形)に形成されている。また、突出片21,21の左右方向における中央部分には、下端に開口した溝23が形成されている。さらに、操作部20の前後両側の壁には、突出片21,21の溝23,23と繋がる半円形の軸受部24,24が形成されている。この軸受部24,24の直径が第2ハンドル3の軸32,32の直径よりも僅かに大きい寸法となっている。したがって、軸受部24,24に軸32,32が嵌合されることにより、第1ハンドル2がケース1に対して軸32,32の回りに揺動自在に取り付けられる。なお、保持部22は、下面開口より挿入される第1反転ばね7の上端部を保持する。また、軸受部24,24の形状は半円形に限定されるものではなく、半円よりも円に近い形状や完全な円形であっても構わない。
【0022】
信号接点部5は、第1反転ばね7を介して第1ハンドル2に連結された可動体50と、金属材料によって細い棒状に形成された一対の信号端子51,51とを有している。可動体50は、直方体形状の合成樹脂成形体からなり、上面に開口した孔52から挿入される第1反転ばね7の下端部を保持する(図4参照)。一対の信号端子51,51は、上端部がほぼ直角に曲成されており、可動体50の前後方向の幅寸法を超えない程度の間隔を空けて並置される。一方、可動体50の下面には、信号端子51,51の上端部と接離自在に接触する薄膜状の可動接点(図示せず)が形成されている。したがって、可動体50が右側に倒れた状態では、一対の信号端子51,51の上端部が可動体50の下面に形成されている可動接点に接触して信号端子51,51が導通する(図6参照)。一方、可動体50が左側に倒れた状態では、一対の信号端子51,51の上端部が可動接点に接触しないために信号端子51,51が導通しない(図4参照)。なお、可動体50は金属等の導電性を有する材料で形成されてもよく、その場合、可動体50そのものが可動接点となるから、別途、薄膜状の可動接点を形成する必要は無い。
【0023】
リセット機構部6は、ベース60、コイルボビン61、励磁コイル62、コイル端子63,63、永久磁石(図示せず)、可動鉄心64、復帰ばね65、ヨーク66、信号端子保持部67などを具備している。ベース60は幅細の平板状に形成され、前後左右の両端部から下向きに突出し且つ先端に係合爪を有する複数(4つ)の係合片60Aが設けられている。コイルボビン61は角筒状であって、ベース60の左端部より上向きに突設されている。また、コイルボビン61の上部には、永久磁石を保持する永久磁石保持部61Aと、復帰ばね65の下端部を保持する円錐台形状の復帰ばね保持部61Bとが上下方向に並べて設けられている。励磁コイル62は、コイルボビン61の外周面に巻線が巻回されてなり、巻線の両端がベース60に支持されたコイル端子63,63にはんだ付けされる。
【0024】
コイルボビン61には復帰ばね保持部61Bからベース60にかけて上下方向に貫通する角孔状の貫通孔61Cが形成され、この貫通孔61Cに可動鉄心64が挿通されている(図4参照)。可動鉄心64は、磁性材料によって短冊状に形成され、その上端部には左右方向に突出する突部64A,64Aが設けられている。そして、コイルばねからなる復帰ばね65は、下端部が復帰ばね保持部61Bに外挿されて保持されるとともに、上端が可動鉄心64の突部64A,64Aに係止され、可動鉄心64を上向きに弾性付勢している(図4参照)。
【0025】
永久磁石保持部61Aは、板状に形成された一対の永久磁石を、前後方向において貫通孔61Cを挟んで対向させるように保持している。但し、貫通孔61Cには可動鉄心62が挿通されているので、各永久磁石は可動鉄心62とも対向している。
【0026】
ヨーク66は、コイルボビン61の前面及び後面、下面をそれぞれ覆うように設けられている。つまり、ヨーク66の前後両側の上端部が、永久磁石保持部61Aに保持された各永久磁石と前後方向に対向し、ヨーク66の底部がコイルボビン61の貫通孔61Cを通して可動鉄心62の下端部と上下方向に対向している。
【0027】
而して、励磁コイル62に励磁電流が流れていない状態(非励磁状態)において、復帰ばね65のばね力に抗して可動鉄心62が下向きに移動させられると、永久磁石の磁力によって可動鉄心62の下端部がヨーク66の底部に吸着される。この状態では可動鉄心62に下向きの力が印加されていなくても、永久磁石の磁力が復帰ばね65のばね力に勝っているために可動鉄心62が上向きに移動することはない。そして、励磁コイル62に励磁電流が流れると、永久磁石の磁力を打ち消す向きの電磁力が発生するため、復帰ばね65のばね力が勝り、可動鉄心62が上向きに移動することになる。
【0028】
信号端子保持部67は、直方体形状の主部67Aと、主部67Aの上部左側面より左向きに突出する直方体形状の突起部67Bとからなる。主部67Aは、一対の信号端子51,51を保持するとともに各信号端子51,51の上端部を上面に露出させている(図4参照)。また、突起部67Bの上面が主部67Aの上面よりも一段下がっており、主部67Aと突起部67Bとの間に形成された段部を跨ぐように信号接点部5の可動体50が配置されている。したがって、可動体50が主部67Aの上面に乗り上げていれば、可動体50の可動接点が信号端子51,51の上端部と接触し(図6参照)、可動体50が主部67Aと突起部67Bの双方に当接していれば、可動体50下面の可動接点が信号端子51,51の上端部に接触しない(図4参照)。
【0029】
上述したリセット機構部6は、第2ケース部11の底に設けられている係合孔11Aにベース60の係合片60Aが挿通され、係合片60A先端の係合爪が第2ケース部11の外側の底面に係合することで第2ケース部11に取り付けられる(図4参照)。なお、本実施形態のスイッチ装置は主接点部4を2つ備える2極スイッチ(両切りスイッチ)として構成されているが、主接点部4を1つしか備えない単極スイッチ(片切りスイッチ)として構成されてもよい。
【0030】
次に、本実施形態のスイッチ装置の動作を説明する。但し、以下の説明で使用する「オン状態」は主接点部4の主固定接点42と主可動接点43が接触導通している状態を指し、「オフ状態」は主固定接点42と主可動接点43が離れている(不導通の)状態を指している。なお、左右の方向は図2における左右の方向と逆になっている。
【0031】
図3及び図4は、何れもオフ状態におけるスイッチ装置の断面図を示している。オフ状態においては、第1ハンドル2及び第2ハンドル3が双方とも左に倒れているが、信号接点部5の可動体50は第1ハンドル2とは逆に右に倒れている。したがって、一対の信号端子51,51は不導通となっている。なお、第1反転ばね7並びに第2反転ばね8は、それぞれ第1ハンドル2及び第2ハンドル3と同じ向きに屈曲している。
【0032】
オフ状態において第1ハンドル2の右端部に下向きの手動操作力を受けると、第1ハンドル2が時計回りに揺動する。このとき、第2ハンドル3は、第1ハンドル2の内底面に当接している連結部31において下向きの力(操作力)を受けるため、第1ハンドル2とともに時計回りに揺動する。すなわち、本実施形態では第2ハンドル3の連結部31と、連結部31に当接する第1ハンドル2の内底部とが操作力伝達手段に相当する。第1ハンドル2及び第2ハンドル3が時計回りに揺動すると、第1反転ばね7及び第2反転ばね8がそれぞれ反転して右向きに屈曲し、可動体50及び可動接触子41がそれぞれ反時計回りに揺動する。その結果、図5に示すように主接点部4がオフ状態からオン状態に切り換わるとともに、図6に示すように可動体50の可動接点を介して一対の信号端子51,51が短絡される、つまり、信号接点部5がオン状態となる。なお、第2ハンドル3が時計回りに揺動することにより、連結部31の先端から下向きに突設されている押圧部33が可動鉄心62を下向きに押圧するので、可動鉄心62が下向きに移動してヨーク66に吸着される。
【0033】
オン状態において第1ハンドル2の左端部が押操作されると、第1ハンドル2が反時計回りに揺動する。しかしながら、オン状態においては第2ハンドル3の連結部31が軸32の右側でのみ第1ハンドル2の内底面に当接しているため、第1ハンドル2が反時計回りに揺動しても、第1ハンドル2から第2ハンドル3へは下向きの力が作用しない。よって、第2ハンドル3がオン状態のままであるから、主接点部4もオン状態に維持される(図7参照)。但し、第1ハンドル2が反時計回りに揺動することで可動体50が時計回りに揺動し、可動体50の可動接点が一対の信号端子51,51から離れることで信号接点部5がオフ状態となる(図8参照)。
【0034】
主接点部4がオン且つ信号接点部5がオフの状態からコイル端子63,63に励磁電流が流れると、上述したように可動鉄心62が復帰ばね65のばね力によって上向きに移動する。そして、第2ハンドル3は、押圧部33が可動鉄心62から上向きに力を受けることにより、反時計回りに揺動する。第2ハンドル3が反時計回りに揺動すれば、第2反転ばね8が左向きに屈曲し、可動接触子41が時計回りに揺動して主接点部4がオフ状態に切り換わる(図3参照)。
【0035】
図9は、本実施形態のスイッチ装置Aを主電源用のスイッチに使用した電気機器(例えば、デジタル複合機などのOA機器)の概略回路図である。電源プラグ100からAC/DC変換器101への給電路102,102にそれぞれスイッチ装置Aの主接点部4,4が挿入されている。電源プラグ100及び給電路102,102を介して商用交流電源から供給される交流電力がAC/DC変換器101で直流電力に変換されてコントロール回路103に給電される。コントロール回路103はCPUやメモリなどで構成されており、スイッチ装置Aを含む電気機器全体の制御を行う。また、この電気機器にはハードディスク装置104が設けられており、電気機器に関わる種々のデータがコントロール回路103からハードディスク装置104に書き込まれ且つ読み出される。また、スイッチ装置Aの信号接点部5は、コントロール回路103の入力ポート(図示せず)とグランドの間に挿入されている。さらに、スイッチ装置Aのリセット機構部6が具備するコイル端子63,63がコントロール回路103の出力ポート(図示せず)に接続されている。
【0036】
次に、図1及び図9を参照してスイッチ装置Aの動作を説明する。時刻t=t1に第1ハンドル2が押操作されてオフ位置からオン位置に揺動(変位)したとすると、第1ハンドル2に連動して第2ハンドル3もオフ位置からオン位置に揺動(変位)し、主接点部4並びに信号接点部5が双方ともオフからオンに切り換わる。そして、主接点部4がオンすることで商用交流電源から電気機器のAC/DC変換器101に交流電力が供給され、コントロール回路103やハードディスク装置104が動作を開始する。ここで、信号接点部5がオンしているためにコントロール回路103の入力ポートにはローレベルの信号(オン信号)が入力されている。そして、コントロール回路103は、入力ポートにオン信号が入力されているときは出力ポートから制御信号(リセット信号)を出力しない。
【0037】
時刻t=t2に第1ハンドル2が押操作(手動操作)されてオン位置からオフ位置に揺動(変位)すると、信号接点部5がオンからオフに切り換わり、コントロール回路103の入力ポートにハイレベルの信号(オフ信号)が入力される。このとき、第2ハンドル3は揺動しないので、主接点部4がオン状態に維持される。
【0038】
一方、コントロール回路103は、入力ポートにオフ信号が入力されたことで第1ハンドル2がオン位置からオフ位置に操作されたと判断し、ハードディスク装置104へのデータの書き込みが完了した後、時刻t=t3に出力ポートからパルス状の制御信号を出力する。制御信号が出力されると、スイッチ装置Aのコイル端子63,63に励磁電流が流れてリセット機構部6が動作する。リセット機構部6が動作すれば、第2ハンドル3がオン位置からオフ位置に揺動(変位)して主接点部4がオフする。そして、主接点部4がオフすると、AC/DC変換器101が停止してコントロール回路103及びハードディスク装置104が停止する。
【0039】
上述のように本実施形態のスイッチ装置Aが電気機器の主電源用のスイッチに用いられれば、リレーなどの別部品を必要とせずに手動操作(第1ハンドル2の押操作)から遅れて電気機器の主電源をオフすることができる。また、第1ハンドル2の内底部が第2ハンドル3の連結部31を押圧することにより、第2ハンドル3をオフ位置からオン位置に揺動(変位)させるための操作力が伝達されるので、簡単な構造で操作力を伝達することができる。しかも、第1ハンドル2と第2ハンドル3が共通の軸32,32の回りに揺動自在に設けられ、前記操作力が軸32,32の径方向(上下方向)に沿った押圧力として伝達されるので、第1ハンドル2及び第2ハンドル3をスムーズに揺動(変位)させることができる。
【0040】
ところで、第1ハンドル2がオン位置にあるときにリセット機構部6が動作すれば、第2ハンドル3がオン位置からオフ位置に揺動するとともに第2ハンドル3の連結部31に押圧された第1ハンドル2もオン位置からオフ位置に揺動する。したがって、図10に示すように主接点部4及び信号接点部5が何れもオンの状態、すなわち、第1ハンドル2及び第2ハンドル3が双方ともオン位置にある状態で制御信号が出力されてリセット機構部6が動作すれば、主接点部4と信号接点部5を同時にオフされる。例えば、電気機器の不動作状態が所定時間以上継続したときにコントロール回路103が制御信号を出力し、自発的に主電源をオフして省エネルギ化を図ることができる。
【符号の説明】
【0041】
2 第1ハンドル
3 第2ハンドル
4 主接点部
5 信号接点部
6 リセット機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オン位置とオフ位置の間で変位自在に設けられた第1ハンドルと、オン位置とオフ位置の間で変位自在に設けられるとともに前記第1ハンドルがオフ位置からオン位置へ変位する際に当該第1ハンドルと連動してオフ位置からオン位置に変位する第2ハンドルと、主電源の電路に挿入されて前記第2ハンドルがオン位置のときに前記電路を閉じ且つ前記第2ハンドルがオフ位置のときに前記電路を開く主接点部と、前記第1ハンドルのオン位置とオフ位置に応じて開閉する信号接点部と、外部から入力される制御信号により前記第2ハンドルをオン位置からオフ位置へ変位させるリセット機構部とを備えることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1ハンドルから前記第2ハンドルに対して、前記第1ハンドルが手動操作力を受けてオフ位置からオン位置へ変位する際に前記第2ハンドルをオフ位置からオン位置へ変位させる向きの操作力を伝える操作力伝達手段を備えることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1ハンドル及び前記第2ハンドルが共通の軸の回りに揺動自在に設けられるとともに前記第2ハンドルが前記第1ハンドルに覆われ、前記操作力伝達手段は、前記手動操作力を受けて揺動する前記第1ハンドルから前記第2ハンドルへ、前記軸の径方向に沿った押圧力を伝達することを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate