説明

スイッチ

【課題】ストッパ部と当接部とにより回転ノブの一定以上の回転操作を規制すると共に径方向のガタを抑制することを可能とする。
【解決手段】固定ノブ12とこの固定ノブ12に対する相対移動によりスイッチ動作を行わせる第2回転ノブ33と、固定ノブ12に設けられ前記第2回転ノブ33を相対移動方向に当接させるストッパ部39と、第2回転ノブ33の可動側ストッパーリブ37に設けられストッパ部39に当接する当接部37tとを備えたスイッチであって、ストッパ部39に、当接部37tを回転半径方向へ係止する係止部39tを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動するスイッチノブの端位置における無用の揺動を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車のステアリング・コラムに装着される車両用のレバー・スイッチ装置としては、特許文献1に記載されたものがある。このレバー・スイッチでは、回転ノブであるアッパーノブの回転ポジションを節度機構により行っている。この節度機構は、固定ノブであるロアーノブに設けられた節度板とアッパーノブに設けられた弾性体とからなっている。アッパーノブを回転操作させると、節度板の節度山谷部に弾性体の節度突起が弾接してアッパーノブの回転ポジションが位置決めされる。
【0003】
かかる節度機構の始点と終点は、節度突起が節度板の壁面に回転方向に当接することで決定される。しかし、節度突起が、節度板の壁面の回転方向に当接するのみでは、径方向のガタつきを押さえることができないという問題がある。
【0004】
また、同様なものとして図3から図5に示すようなものもある。図3は、車両用のレバー・スイッチの概観図である。図4は、従来例のレバー・スイッチの図3におけるA−A矢視に対応し、(A)は、固定側ストッパーリブと可動側ストッパーリブとが離れた状態の断面図、(B)は、固定側ストッパーリブと可動側ストッパーリブとが当接した状態の断面図、(C)は、同当接した状態の拡大断面図である。図5は、図4(C)に対応し固定側ストッパーリブと可動側ストッパーリブとの当接状態でのガタつき方向を表す拡大断面図である。
【0005】
このレバー・スイッチには、固定ノブ12を挟んで第1,第2回転ノブ11,13が備えられている。第1回転ノブ11は、ライトスイッチをオンオフ操作するためのものである。第2回転ノブ13は、フォグランプスイッチをオンオフ操作するためのものである。
【0006】
前記固定ノブ12には、ストッパ部として固定側ストッパーリブ19が設けられている。前記第2回転ノブ13は、レバー・ガイド21に対して回転可能に備えられ、この第2回転ノブ13には、当接部として可動側ストッパーリブ17が一体に設けられている。
【0007】
なお、固定ノブ12と第2回転ノブ13との間には、不図示の節度機構が設けられ、第2回転ノブ13の回転操作の節度を出すようになっている。
【0008】
したがって、図4(A)の操作前の状態から第2回転ノブ13を回転操作しフォグランプスイッチをオンオフさせるとき、節度機構により第2回転ノブ13の節度をもった操作を行わせることができ、回転操作方向において可動側ストッパーリブ17が固定側ストッパーリブ19に図4(B)のように当接し、第2回転ノブ13のそれ以上の回転操作を規制することができる。
【0009】
しかし、可動側ストッパーリブ17と固定側ストッパーリブ19とは、図4(C)のように径方向に沿った平坦面で当接するにすぎないため、固定ノブ12側の固定側ストッパーリブ19に対し第2回転ノブ13側の可動側ストッパーリブ17が図5の矢印のように当接面に沿った方向へ相対移動し、レバー・ガイド21と第2回転ノブ13との間の隙間分だけ径方向にガタが発生する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−255593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、ストッパ部と当接部とにより回転ノブの一定以上の回転操作を規制することはできるが、径方向にガタを招く点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のスイッチは、ストッパ部と当接部とにより回転ノブの一定以上の回転操作を規制すると共に径方向のガタを抑制するために、固定ノブとこの固定ノブに対する相対移動によりスイッチ動作を行わせる回転ノブと、前記固定ノブに設けられ前記回転ノブを相対移動方向に当接させるストッパ部と、前記回転ノブに設けられストッパ部に当接する当接部とを備えたスイッチであって、前記ストッパ部に、前記当接部を回転半径方向へ係止する係止部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスイッチは、固定ノブとこの固定ノブに対する相対移動によりスイッチ動作を行わせる回転ノブと、前記固定ノブに設けられ前記回転ノブを相対移動方向に当接させるストッパ部と、前記回転ノブに設けられストッパ部に当接する当接部とを備えたスイッチであって、前記ストッパ部に、前記当接部を回転半径方向へ係止する係止部を設けた。
【0014】
このため、回転ノブの回転操作により固定ノブのストッパ部に回転ノブの当接部が当接するとき、係止部により回転半径方向へ係止され、回転ノブの径方向へのガタつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は、固定側ストッパーリブと可動側ストッパーリブとが当接した状態を示すレバー・スイッチの断面図、(B)は、同係止部の拡大断面図である。(実施例)
【図2】(A)(B)(C)は、それぞれ変形例に係る係止部の拡大断面図である。
【図3】車両用のレバー・スイッチの概観図である。(従来例・実施例)
【図4】図3におけるA−A矢視に対応し、(A)は、固定側ストッパーリブと可動側ストッパーリブとが離れた状態の断面図、(B)は、固定側ストッパーリブと可動側ストッパーリブとが当接した状態の断面図、(C)は、同当接した状態の拡大断面図である。(従来例)
【図5】図4(C)に対応し固定側ストッパーリブと可動側ストッパーリブとの当接状態でのガタつき方向を表す拡大断面図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0016】
ストッパ部と当接部とにより回転ノブの一定以上の回転操作を規制すると共に径方向のガタを抑制するという目的を、当接部をストッパ部に回転半径方向へ係止する係止部により実現した。
【実施例】
【0017】
自動車のステアリング・コラムに取り付けられる本実施例の車両用レバー・スイッチも、基本的には図3に示すものであり、本実施例の車両用レバー・スイッチとして説明に用いる。
【0018】
図1(A)は、固定側ストッパーリブと可動側ストッパーリブとが当接した状態を示すレバー・スイッチの断面図、(B)は、同係止部の拡大断面図である。
【0019】
図1のように、本実施例においても、前記固定ノブ12(図3参照)側には、ストッパ部として固定側ストッパーリブ39が周方向で2対、4箇所に設けられている。前記図3の第2回転ノブ13に対応する本実施例の第2回転ノブ33は、レバー・ガイド41に対して回転可能に備えられ、この第2回転ノブ33には、1対の可動側ストッパーリブ37が一体に弧状に設けられている。
【0020】
なお、固定ノブ12と第2回転ノブ33との間には、不図示の節度機構が設けられ、第2回転ノブ33の回転操作の節度を出すようになっている。
【0021】
したがって、操作前の状態から第2回転ノブ33を回転操作しフォグランプスイッチをオンオフさせるとき、節度機構により第2回転ノブ33の節度をもった操作を行わせることができ、回転操作方向において可動側ストッパーリブ37が固定側ストッパーリブ39に図1(A)のように当接し、第2回転ノブ33のそれ以上の回転操作を規制することができる。
【0022】
一方、本実施例の車両用レバー・スイッチでは、図1(A)(B)のように、ストッパ部である固定側ストッパーリブ39に、可動側ストッパーリブ37を回転半径方向へ係止する係止部39tが設けられている。
【0023】
この係止部39tは、本実施例において断面形状が半円の凹状に形成され、可動側ストッパーリブ37に、前記半円の凹状に係合する断面形状が半円の当接部37tが凸状に設けられている。係止部39tは、可動側ストッパーリブ37の周方向両端縁に対応して長さが設定されている。当接部37tは、円弧状の可動側ストッパーリブ37の周方向両端縁に形成されている。
【0024】
なお、前記係止部39tを断面形状が半円の凸状に形成し、当接部37tを係止部39tの凸状に嵌合する凹状に形成してもよい。
【0025】
図4(A)の場合と同様の操作前の状態から第2回転ノブ33を回転操作しフォグランプスイッチをオンオフさせるとき、節度機構により第2回転ノブ33の節度をもった操作を行わせることができ、回転操作方向において可動側ストッパーリブ37が固定側ストッパーリブ39に図1(B)のように当接し、第2回転ノブ33のそれ以上の回転操作を規制することができる。
【0026】
そして、可動側ストッパーリブ37と固定側ストッパーリブ39とは、凹状の係止部39tに凸状の当接部37tが嵌合するから径方向にも密に当接し、径方向の位置決めも確実に行われる。
【0027】
このため、固定ノブ12側の固定側ストッパーリブ39に対し第2回転ノブ33側の可動側ストッパーリブ37が径方向へ相対移動することはなく、レバー・ガイド41と第2回転ノブ33との間に隙間があっても径方向にガタが発生するのを抑制し、確実な操作感を得ることができる。
[変形例]
図2(A)(B)(C)は、本発明実施例の変形例に係り、図1(B)に対応した係止部の拡大断面図である。
【0028】
図2(A)は、係止部39tbを、断面形状が三角形の凹状とし、可動側ストッパーリブ37に前記三角形の凹状に係合する断面形状が三角形の当接部37tbを凸状に設けた。
【0029】
この変形例では、係止部39tb及び当接部37tb間のくさび効果で、固定側ストッパーリブ39に対する可動側ストッパーリブ37の位置決めをより確実に行わせることができる。
【0030】
図2(B)は、係止部39tcを、断面形状が三角形の凹状とし、可動側ストッパーリブ37に前記三角形の凹状に係合する端面が平坦な断面形状がほぼ矩形の当接部37tcを凸状に設けた。この場合、当接部37tcの凸状は、可動側ストッパーリブ37の端縁に径方向同厚で形成されているが、前記凹状に嵌合する意味において凸状としている。
【0031】
この変形例でも、係止部39tc及び当接部37tc間の若干のくさび効果で、固定側ストッパーリブ39に対する可動側ストッパーリブ37の位置決めを確実に行わせることができる。
【0032】
図2(C)は、係止部39tdを、断面形状が断付き形状の凹状とし、可動側ストッパーリブ37に前記断付き形状の凹状に係合する端面が平坦な断面形状がほぼ矩形の当接部37tdを凸状に設けた。この場合、当接部37tdの凸状は、可動側ストッパーリブ37の端縁に径方向同厚で形成されているが、前記凹状に嵌合する意味において凸状としている。
【0033】
この変形例では、図1(A)の対角位置にある一対の係止部39td及び当接部37td間の協動により径方向への移動を阻止し、位置決めを確実に行わせることができる。
[実施例の効果]
本発明実施例の車両用のレバー・スイッチは、固定ノブ12とこの固定ノブ12に対する相対移動によりスイッチ動作を行わせる第2回転ノブ33と、前記固定ノブ12に設けられ前記第2回転ノブ33を相対移動方向に当接させるストッパ部39と、前記第2回転ノブ33の可動側ストッパーリブ37に設けられストッパ部39に当接する当接部37t(37tb,37tc,37td)とを備えたスイッチであって、前記ストッパ部39に、前記当接部37t(37tb,37tc,37td)を回転半径方向へ係止する係止部39t(39tb,39tc,39td)を設けた。
【0034】
このため、第2回転ノブ33の回転操作により固定ノブ12のストッパ部39に第2回転ノブ33の当接部37t(37tb,37tc,37td)が当接するとき、係止部39t(39tb,39tc,39td)により回転半径方向へ係止され、第2回転ノブ33の径方向へのガタつきを抑制することができる。
[その他]
なお、回転ノブとしては、フォグランプスイッチをオンオフ操作する第2回転ノブ33に限らず、その他の回転ノブにも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 レバー・スイッチ
12 固定ノブ
33 第2回転ノブ(回転ノブ)
37 可動側ストッパーリブ
37t,37tb,37tc,37td 当接部
39 固定側ストッパーリブ(ストッパ部)
39t,39tb,39tc,39td 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ノブと、この固定ノブに対する相対回転によりスイッチ動作を行わせる回転ノブと、
前記固定ノブに設けられ前記回転ノブを相対回転方向に当接させるストッパ部と、
前記回転ノブに設けられストッパ部に当接する当接部とを備えたスイッチであって、
前記ストッパ部に、前記当接部を回転半径方向へ係止する係止部を設けた、
ことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチであって、
前記係止部は、断面形状が半円の凹状又は凸状に形成され、前記当接部を前記半円の凹状又は凸状に係合する断面形状が半円の凸状又は凹状に形成した
ことを特徴とするスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−3421(P2011−3421A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146066(P2009−146066)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】