説明

スカッフィング耐荷力を改善するためのコームポリマーの使用

本発明は、作動液において耐荷力を改善するための、主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーの使用に関する。更に、本発明は新規作動液を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐荷力を改善するためのコームポリマーの使用に関する。更に、本発明は改善された特性、特に傑出したエネルギー効率及び優れた耐荷力を有する作動液を記載する。
【0002】
作動油は、通常はISOクラス、例えばISO VG 46に分類され、このクラスは40℃での動粘性と同一視される(ISO 46=>KV40=46 mm2/s;ISO 32=>KV40=32 mm2/s)。より高い粘度指数を有するマルチグレードオイルは、所望するISOクラスの鉱油の代わりに低い粘度を有するオイルを採用する場合に得ることができ、かつ所望のKV40はVI(粘度指数)改善剤を用いて調節することができる。基油の粘度が低いほど、所定のKV40でのKV100は高くなる。すなわち、粘度指数及びそのために必要なVI改善剤の量は多くなる。この場合に、VI改善剤として通常のポリアルキルメタクリレート、スチレン−マレエートコポリマー、オレフィンコポリマー(いわゆるOCPs)及びポリイソブテンが使用される。
【0003】
油圧ポンプの吸込効率の改善は、特に、高い粘度指数を有する剪断安定性のマルチグレードオイルの使用により達成することができる。このような油は、低温での低粘度ひいてはそれによる高い機械効率により傑出している。ポンプ中での漏洩流は、この高い粘度範囲では両方の油において無視できるほど僅かである。より高い温度では、すなわち約80〜90℃の一般的な運転範囲内では、高いVIを有するマルチグレードオイルは、シングルグレードオイルよりも著しく高い粘度を有する。より高い粘度は、ポンプ中での漏洩流を少なくする。それによりポンプの吸込効率は高くなり、かつ機械効率は無視できるだけ低くなる。
【0004】
例えば、特許明細書WO 2005/108531には、ポリアルキル(メタ)アクリレートを有する作動油が記載されている。これらの添加剤の添加により油圧系の運転の際に温度上昇の減少が達成される。
【0005】
しかし、基油粘度を低下させる結果、耐荷力(またスカッフィング耐荷力とも称される)も低下する。オイルの耐荷力は、例えば、DIN 51354-2又はDIN ISO 14635-1によるFZG(Institute for Machine Elements−Gear Research Center of the Technical University of Munich)の歯車応力試験器を用いて決定される。報告されていることは、耐荷力、すなわち試験で初めに歯車に損傷を生じる負荷段階である、例えばLS10(負荷段階10→373 Nm)。スカッフィング耐荷力は、耐摩耗性添加剤もしくはEP-添加剤(極圧)の添加により著しく改善することができる。これらの添加剤は、基油粘度を低下させることと関連して耐荷力の減少を補償できるが、高いコストやその他の不利点と関連し、低い基油粘度を有する油は、通常は比較的に僅かな耐荷力を示す。ここで、耐摩耗性添加剤の添加により、制限された程度にしか耐荷力を増すことが出来ないことを強調しておく。
【0006】
原料の一般的な不足により、エネルギーを節約する技術に関心が高まっている。既に詳説したように、これは油圧系の分野、また特定の油圧オイルを使用する際に達成可能な効率の上昇を含む。他方で、この方法は油圧系に損傷を与えるべきではない。
【0007】
しかし、これまでに高い負荷段階は、比較的に高い粘度を有するオイルの使用又は、歯車装置及び/又はローラーベアリング用の特殊材料の使用によってしか達成されていない。しかし、両者の選択は不利な点を被り、新規材料の使用は費用がかかり、かつ更なる改善が望ましい。高粘性油の使用は、高い内部摩擦を生じ、かつそれにより高い燃料消費を生じる。従って、耐荷力を改善するために使用できる化合物が本質的に役立つであろう。これらの添加剤は、特に比較的に低い粘度の基油の場合でも、慣用の添加剤を大量に使用しても達成できない相当の改善を生じると同時に、低い出費で済み、かつ過量に使用する場合でも欠点を生じるべきではない。
【0008】
従来技術の観点から、本発明の対象は油圧オイルの耐荷力に改善を生じる添加剤(アンチスカッフィング)を提供することであった。この改善は、特に基油の低い粘度を有する油圧オイルの場合に特に達成されるべきである。
【0009】
更に、本発明の対象は油圧系の燃料消費の減少を生じるか、又はその使用が著しい効率の増大(すなわち高い生産性)を達成できる添加剤を提供することであった。
【0010】
従って、油圧系において、所定の耐荷力で著しく低いエネルギー消費を生じる油圧オイルが提供されるべきである。他方で、本発明の対象は油圧系の所定のエネルギー消費に関して、特に高い耐荷力を示す作動液を提供することであった。
【0011】
更に本発明の対象は、簡単かつ廉価に製造できる添加剤を提供すべきであり、その際に特に市販されている成分を使用すべきである。これに関連して、新たなプラント又は構造的に費用のかかるプラントを必要とせずに、製造が大工業的に行えるべきである。
【0012】
更に、本発明の目的は油圧液において多数の所望の特性をもたらす添加剤を提供することである。これにより種々の添加剤の数を最小限に抑えることができる。
【0013】
更に、該添加剤は油圧オイルの環境相容性にマイナスの効果を示すべきではない。
【0014】
その上、該添加剤は、相応して改質された油圧オイルを長期間にわたり使用できるように、使用の際に特に長い耐久性及び僅かな劣化を示すべきである。
【0015】
これらの対象ならびに詳しく説明されていないが、本明細書内の導入で議論した関連から容易に推論できるか又は認識できる更なる対象は、請求項1に記載の全ての特徴を有するコームコポリマーの使用により解決される。特に有利な解決法は、請求項4に記載の作動液により提供される。本発明による作動液の適切な変法は、請求項4に戻って参照する従属請求項で保護下にある。
【0016】
従って、本発明の対象は、主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーの、作動液の耐荷力を改善するための使用である。
【0017】
特別な利点は、本発明により提供される特殊な作動液により意外にも達成できる。更に、本発明の対象は少なくとも1つの潤滑油と、少なくとも1つのポリマーを有する作動液の提供であり、前記ポリマーが主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有し、かつ前記作動液が30分以下の抗乳化値を有するコームポリマーであることを特徴とする。
【0018】
これにより、予測できない方法で、作動液の耐荷力の改善を生じる(アンチスカッフィング)作動油用の添加剤を提供することに成功した。この改善は、基油の僅かな粘度を有する作動油の場合に特に達成できる。
【0019】
更に、本発明は油圧系の動力用燃料消費の減少につながる添加剤を提供する。
【0020】
従って、油圧系において所定の耐荷力の場合に、本発明により意外にも僅かなエネルギー消費を生じる作動油を提供することに成功した。他方では、油圧系の所定のエネルギー消費では、特に高い耐荷力を示す作動液を提供することができる。
【0021】
更に、この添加剤は簡単に、かつ廉価に製造することができ、その際に、特に市販されている成分を使用することができる。この場合に新たな又は構造的に費用のかかるプラントを必要とせずに、製造を大工業的に行うことができる。
【0022】
更に、本発明により使用すべきポリマーは、特に望ましい特性プロフィールを示す。従って、ポリマーは意外にも剪断安定性に形成できるので、作動油は極めて長い持続性を有する。更に、本発明により使用すべき添加剤は、潤滑剤において多くの望ましい特性を作用させることができる。例えば、著しく低い温度特性又は粘度特性を有する作動油を製造することができる。これにより、種々の添加剤の数を最小限に抑えることができる。更に、使用すべきコームポリマーは多くの添加剤を用いて補償される。これにより、作動油を種々の要求に合わせることができる。
【0023】
更に、使用すべき添加剤は作動油の環境相容性にマイナスの作用を示さない。
【0024】
本明細書で使用されるコームポリマーという用語は自体公知であり、その際に、ポリマー主鎖(頻繁には骨格又は"バックボーン"とも称される)には、長い側鎖が結合している。この場合には、本発明によるポリマーは、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する少なくとも1つの繰り返し単位を有する。
【0025】
"主鎖"という用語は、必ずしも主鎖の鎖長が側鎖よりも長いものを意味するわけではない。むしろこの用語は、この鎖の組成物も意味する。一方、側鎖はオレフィン性繰り返し単位、特に、アルケンもしくはアルカジエン、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、ブタジエン、イソプレンに由来する単位の極めて高い割合を有し、主鎖は、より極性の不飽和モノマーの大部分の割合から由来し、これは他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンモノマー、フマレート、マレエート、ビニルエステル及び/又はビニルエーテルを含む。
【0026】
繰り返し単位という用語は、当該分野で広く公知である。該コームポリマーは、有利には、マクロモノマーと低分子モノマーのラジカル重合により得ることができる。この場合に、共有結合の形成下に二重結合が開環する。それに応じて、使用されるモノマーから繰り返し単位が生じる。しかし、該コームポリマーはポリマー類似反応による転化及び/又はグラフト共重合により得ることもできる。この場合には、主鎖の反応した繰り返し単位は、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位に含まれる。同様に、本発明によるコームポリマーをグラフト共重合により製造する場合にも当てはまる。
【0027】
本発明は、有利に高い油溶性を有するコームポリマーを記載する。油溶性という用語は、基油と本発明によるコームポリマーの混合物(本発明によるコームポリマーの少なくとも0.1質量%、有利には少なくとも0.5質量%を有する)が顕微学的相形成なしに製造できることを意味する。この混合物中では、コームポリマーは分散及び/又は溶解した形で存在することができる。油溶性は、特に親油性側鎖ならびに基油の割合に依存する。この特性は当業者に公知であり、かつそれぞれの基油は、親油性モノマーの割合により簡単に調節できる。
【0028】
本発明によるコームポリマーは、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を含む。ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーは当該分野で公知である。この繰り返し単位には、ポリオレフィンに由来する少なくとも1つの基が含まれる。ポリオレフィンは当該分野で公知であり、その際に、これは元素の炭素と水素から成るアルケン及び/又はアルカジエン、例えば、C2〜C10−アルケン、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、ノルボルネン及び/又はC4〜C10−アルカジエン、例えば、ブタジエン、イソプレン、ノルボルナジエンの重合により得られる。ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位には、有利には、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の質量に対して、少なくとも70質量%、特に有利には少なくとも80質量%及びとりわけ有利には少なくとも90質量%のアルケン及び/又はアルカジエンに由来する基が含まれる。この場合に、ポリオレフィン性基は、特に、水素化されて存在していてもよい。アルケン及び/又はアルカジエンに由来する基の他に、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位は、更なる基を含んでいてもよい。これには、共重合可能なモノマーの僅かな割合が属する。このモノマーは自体公知であり、かつ特にアルキル(メタ)アクリレート、スチレンモノマー、フマレート、マレエート、ビニルエステル及び/又はビニルエーテルが含まれる。共重合可能なモノマーをベースとする基に対するこれらの割合は、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の重量に対して、有利には最大で30質量%、特に有利には最大で15質量%である。更に、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位は、出発基及び/又は末端を含み、これは官能化に使用されるか、又はポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の製造により条件付けられる。この出発基及び/又は末端基の割合は、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の質量に対して、有利には最大で30質量%、特に有利には最大で15質量%である。
【0029】
有利には、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の分子量の数平均は、500〜50000g/molの範囲内、特に有利には700〜10000g/molの範囲内、特に1500〜5500g/molの範囲内、とりわけ有利には4000〜5000g/molの範囲内である。
【0030】
これらの値は、低分子モノマーとマクロ分子のモノマーの共重合によりコームポリマーを製造する場合には、マクロ分子モノマーの特性により生じる。ポリマー類似反応の場合には、この特性は主鎖の反応した繰り返し単位を考慮に入れて、例えば使用したマクロアルコール及び/又はマクロアミンから生じる。グラフト重合の場合には、主鎖中に組み込まれずに形成されたポリオレフィンの割合からポリオレフィンの分子量分布が推測される。
【0031】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位は、有利には低い溶融温度を有し、その際に、これはDSCにより測定される。ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の溶融温度は、−10℃以下、特に有利には−20℃以下、とりわけ有利には−40℃以下である。DSCによる溶融温度が、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位では測定されないのがとりわけ有利である。
【0032】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の他に、本発明によるコームポリマーは、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を含む。"低分子"という用語は、コームポリマーの骨格の繰り返し単位の一部が、僅かな分子量しか有さないことを明確にする。分子量は、製造に応じて、ポリマーの製造に使用されるモノマーの分子量から生じることができる。低分子繰り返し単位もしくは低分子モノマーの分子量は、有利には最大で400g/mol、特に有利には最大で200g/mol、かつとりわけ有利には最大で150g/molである。これらのモノマーには、特にアルキル(メタ)アクリレート、スチレンモノマー、フマレート、マレエート、ビニルエステル及び/又はビニルエーテルが含まれる。
【0033】
有利な低分子モノマーには、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらのモノマーの混合物に由来するものが属する。これらのモノマーは当該分野で広く公知である。
【0034】
8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマーの例は、スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、α−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、ビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えば、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレンである。
【0035】
"(メタ)アクリレート"という用語には、アクリレート及びメタクリレートならびにアクリレートとメタクリレートの混合物が含まれる。アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートには、特に飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート;不飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えば、2−プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート;シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが属する。
【0036】
有利なアルキル(メタ)アクリレートは、アルコール基中に1〜8個、特に有利には1〜4個の炭素原子を有するものを含む。この場合に、アルコール基は線状又は分枝状であってよい。
【0037】
アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステルの例は、特にビニルホルミエート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレートであり、有利なビニルエステルは、アシル基中に2〜9個、特に有利には2〜5個の炭素原子を含む。この場合に、アシル基は線状又は分枝状であってよい。
【0038】
アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテルの例は、特に、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルである。有利なビニルエーテルは、アルコール基中に1〜8個、特に有利には1〜4個の炭素原子を含む。この場合に、アルコール基は線状又は分枝状であってよい。
【0039】
(ジ)エステルという表記は、モノエステル、ジエステルならびにエステル、特にフマル酸及び/又はマレイン酸のエステルの混合物に使用できることを意味する。アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレートには、特にモノメチルフマレート、ジメチルフマレート、モノエチルフマレート、ジエチルフマレート、メチルエチルフマレート、モノブチルフマレート、ジブチルフマレート、ジペンチルフマレート及びジヘキシルフマレートが属する。有利な(ジ)アルキルフマレートは、アルコール基中の1〜8個、特に有利には1〜4個の炭素原子を含む。この場合に、アルコール基は線状又は分枝状であってよい。
【0040】
アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートには、特にモノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、メチルエチルマレエート、モノブチルマレエート、ジブチルマレエートが属する。有利な(ジ)アルキルマレエートは、アルコール基中に1〜8個、特に有利には1〜4個の炭素原子を含む。この場合に、アルコール基は線状又は分枝状であってよい。
【0041】
予め記載した特に有利な繰り返し単位の他に、本発明によるコームポリマーは、更なるコモノマーに由来する更なる繰り返し単位を含むことができ、その際に、これらの割合は、繰り返し単位の質量に対して、有利には最大で20質量%、有利には最大で10質量%、特に有利には最大で5質量%である。
【0042】
これには、特にアルコール基中に11〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位、特に、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソ−プロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソ−プロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレートが属する。
【0043】
作動液における使用に関する意外な利点は、分散性モノマーに由来する繰り返し単位の僅かな割合を有するコームポリマーを用いて特に達成することができる。分散性モノマーの割合を有さないコームポリマーが有利である。分散性モノマーに由来する繰り返し単位の割合は、最大で2質量%、特に有利には最大で0.5質量%、とりわけ有利には最大で0.1質量%である。本発明の特殊な態様によれば、該コームポリマーは、分散性モノマーに由来する繰り返し単位を有さない。
【0044】
分散性モノマーは、潤滑油においてポリマー添加剤の官能化に長い間使用され、よって当業者には公知である(R. M. Mortier, S. T. Orszulik (ends.): "Chemistry and Technology of Lubricants", Blackie Academic & Professional, London第2版、1997参照)。好適に、特に式(I)
【化1】

[式中、
Rは、水素又はメチルであり、
Xは、酸素、硫黄又は式−NH−又はNRaのアミノ基であり、ここで、Raは、1〜10個、有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
1は、2〜50個、特に2〜30個、有利には2〜20個の炭素原子を含む、少なくとも1つ、有利には少なくとも2個のヘテロ原子を有する基であり、
2とR3は、独立に水素又は式−COX'R1'の基であり、ここで、X'は、酸素又は式−NH−又は−NRa'のアミノ基あり、ここでRa'は、1〜10個、有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり、かつR1'は、1〜50個、有利には1〜30個、特に有利には1〜15個の炭素原子を含む基である]
の複素環式ビニル化合物及び/又はエチレン性不飽和、極性エステル化合物を分散性モノマーとして使用できる。
【0045】
式(I)のエチレン性不飽和の極性エステル化合物の例は、特にアミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、複素環式(メタ)アクリレート及び/又はカルボニル含有(メタ)アクリレートである。
【0046】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートには、特に2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート及び1,10−デカンジオール(メタ)アクリレートが含まれる。
【0047】
カルボニル含有(メタ)アクリレートには、例えば、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、コハク酸−モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、N−(3−(メタ)アクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノン及びN−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0048】
複素環式(メタ)アクリレートには、特に2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート、1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノンが含まれる。
【0049】
アミノアルキル(メタ)アクリレートには、特にN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0050】
更に、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド分散性モノマーとして使用でき、その例は、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドである。
【0051】
更に、リン含有、ホウ素含有及び/又はケイ素含有(メタ)アクリレートを分散性モノマーとして使用でき、その例は、2−(ジメチルホスフェート)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスフィット)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル(メタ)アクリロイルホスホネート、ジプロピル(メタ)アクリロイルホスフェート、2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブチレン(メタ)アクリロイルエチルボレート、メチルジエチロキシ(メタ)アクリロイルエトキシシラン、ジエチルホスフェートエチル(メタ)アクリレートである。
【0052】
有利な複素環式ビニル化合物には、特に、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾールが含まれる。
【0053】
予め挙げたエチレン性不飽和モノマーは、個々に又は混合物として使用できる。もう1つの可能性は、主鎖の重合の間にモノマー組成物を変性し、定義づけられた構造、例えば、ブロックコポリマー又はグラフトポリマーを得ることである。
【0054】
本発明により使用すべきコームポリマーは、0.1mol%〜10mol%の範囲内、有利には0.3mol%〜6mol%の範囲のモル分枝度を有する。コームポリマーにより達成されるその分枝布度が、0.3mol%〜1.1mol%、有利には0.4mol%〜1.0mol%、特に有利には0.4mol%〜0.6mol%の範囲内であるのが特に有利である。コームポリマーのモル分枝度f分枝は、式
【数1】

[式中、
A=ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の種類数であり、
B=8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらの混合物から成るグループから選択される低分子モノマーに由来する繰り返し単位の種類数であり、
a=コームポリマー分子中の、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来するタイプaの繰り返し単位の数であり、
b=コームポリマー分子中の、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらのモノマーの混合物から成るグループから選択される低分子モノマーに由来するタイプbの繰り返し単位の数である]
により計算される。
【0055】
モル分枝度は、一般にコームポリマーが低分子モノマーとマクロモノマーの共重合により製造される場合には、使用されるモノマーの比に由来する。この場合に、計算のために、マクロモノマーの分子量の数平均を使用することができる。
【0056】
本発明の特別な態様によれば、コームポリマー、特にコームポリマーの主鎖は、特に−60〜110度の範囲内、有利には−30〜100℃の範囲内、特に有利には0〜90℃の範囲内、とりわけ有利には20〜80℃の範囲内のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、DSCにより決定される。ガラス転移温度は、相応のホモポリマーのガラス転移温度により、主鎖中の繰り返し単位の割合を考慮して概算することができる。
【0057】
本発明のコームポリマーは、有利には主鎖中に、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位、及び8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらのモノマーの混合物から成るグループから選択される低分子モノマーに由来する繰り返し単位を含む。その際に、モル分枝度は0.1mol%〜10mol%の範囲内であり、かつコームポリマーは、繰り返し単位の質量に対して、合計で少なくとも80質量%のポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位、及び8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらのモノマーの混合物から成るグループから選択される低分子モノマーに由来する繰り返し単位を含む。
【0058】
8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらのモノマーの混合物から成るグループから選択されるモノマーに由来する低分子の繰り返し単位、及びポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも80質量%、有利には少なくとも90質量%の割合で有するコームポリマーが特に有利である。この数値は、繰り返し単位の質量に対して示される。繰り返し単位の他に、ポリマーは、一般に連鎖開始反応及び停止反応により生じることができる開始基と末端基を含む。本発明の特殊な態様によれば、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらのモノマーの混合物から成るグループから選択されるモノマーに由来する低分子繰り返し単位、及びポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の少なくとも80質量%、有利には少なくとも90質量%の数値は、コームポリマーの全質量に対して示される。コームポリマーは、有利には繰り返し単位の全質量に対して、有利には5〜80質量%、特に有利には30〜70質量%のポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を有する。更なる態様によれば、繰り返し単位の全質量に対して、8〜30質量%、特に有利には10〜26質量%の、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーが有利である。当業者には、コームポリマーの多分散度が明らかである。従って、これらの数値は、全てのコームポリマーの平均値に対して示される。
【0059】
特に、20000〜1000000g/mol、特に有利には50000〜500000g/molの範囲内、とりわけ有利には150000〜450000g/molの範囲内の質量平均分子量Mwを有するコームポリマーが特に有利である。
【0060】
数平均分子量Mnは、有利には20000〜800000g/mol、特に有利には40000〜200000g/mol、及びとりわけ有利には50000〜150000g/molの範囲内である。
【0061】
更に好適であるコームポリマーは、これらの多分散度Mw/Mnが、1〜5の範囲内、特に有利には2.5〜4.5の範囲内であるものである。数平均及び質量平均分子量は、公知の方法、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。この方法は、WO 2007/025837[特許番号PCT/EP 2006/065060で欧州特許庁に2006年8月4日に提出されている]及びWO 2007/03238[特許番号PCT/EP 2007/003213で欧州特許庁に2006年4月7日に提出されている]に記載されている。その際に、ここに記載されている分子量を測定するための方法を開示の目的で本明細書中に組み込むことにする。
【0062】
本発明によるコームポリマーは種々の方法で測定できる。有利な方法は、自体公知の低分子モノマーとマクロ分子モノマーのラジカル共重合である。
【0063】
従って、これらのポリマーは特にラジカル重合により、ならびに制御されたフリーラジカル重合の関連法、例えば、ATRP(=Atom Tranfer Radical Polymerisation:原子移動ラジカル重合)又はRAFT(=Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer:可逆的付加開裂連鎖移動)により得られる。
【0064】
通常のフリーラジカル重合は、特にUllmanns's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版に記載されている。一般に、このために重合開始剤ならびに場合により鎖移動が使用される。
【0065】
使用可能な開始剤には、特に当該分野で広く公知のアゾ開始剤、例えば、AIBN及び1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、ならびにペルオキシ化合物、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンパーオキシド、t−ブチルパーオクトエート、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−パーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジクミルパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、前記化合物の2つ以上の混合物ならびに前記化合物と、同様にラジカルを形成できる記載されていない化合物の混合物が属する。鎖移動剤として、特に、油溶性メルカプタン、例えば、n−ドデシルメルカプタン又は2−メルカプトエタノール又は、ターピノールのようなテルペンのクラスから成る鎖移動剤が適切である。
【0066】
ATRP−法は、自体公知である。この場合に、これは"リビング"ラジカル重合であると想定されるが、メカニズムの記述により制限が行われるべきではない。この方法では、遷移金属化合物と、移動可能な原子基を有する化合物が反応する。この場合に、移動可能な原子基は、遷移金属化合物に移動し、これにより金属は酸化される。この反応の場合に、エチレン性基に付加されるラジカルが形成される。しかし、成長するポリマー鎖に原子基が再び移るように遷移金属化合物への原子基の移動は可逆的であり、それにより制御された重合系が形成される。それに応じて、ポリマーの構造、分子量及び分子量分布が制御される。
【0067】
これらの反応方法は、例えば、J-S. Wang等により、J. Am. Chem. Soc.第117巻、5614〜5615頁(1995)に、またMatyjaszewskiにより、Macromolecules、第28巻、7901〜7910頁(1995)に記載されている。更に、特許明細書WO 96/30421、WO 97/47661、WO 97/18247、WO 98/40415及びWO 99/10387には、予め説明したATRPの変法が開示されている。
【0068】
更に、本発明によるポリマーは例えば、RAFT法により得ることもできる。この方法は、例えば、WO98/01478及びWO 2004/083169に詳しく記載されている。
【0069】
重合は、常圧、減圧又は過圧で実施できる。重合温度は重要ではない。しかし、これは一般に−20℃〜200℃、有利には50℃〜150℃及び特に80℃〜130℃の範囲内である。
【0070】
重合は、溶剤を用いて又は溶剤を用いずに実施できる。この場合に、溶剤という用語は広い意味で解釈される。溶剤の選択は、使用されるモノマーの極性により行われ、その際に、有利には100N−油、ガス軽油及び/又は芳香族炭化水素、例えば、トルエン又はキシレンを使用できる。
【0071】
ラジカル共重合において本発明によるコームポリマーを製造するために使用される低分子モノマーは、一般に市販されている。
【0072】
本発明により使用可能なマクロモノマーは、末端であるのが好ましい1つのラジカル重合可能な二重結合を有するのが有利である。
【0073】
この場合に、二重結合はマクロモノマーの製造により条件付けられて存在する。従って、例えば、イソブチレンのカチオン重合の場合には、末端二重結合を有するポリイソブチレン(PIB)が生じる。
【0074】
更に、官能化ポリオレフィン性基は、適切な反応によりマクロモノマーに変換できる。
【0075】
例えば、少なくとも1つの不飽和エステル基を有する低分子モノマー、例えば、メチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートで、ポリオレフィンをベースとするマクロアルコール及び/又はマクロアミンに、エステル化又はアミノ分解を行うことができる。
【0076】
このエステル化反応は広く公知である。例えば、このために不均一触媒系、例えば、水酸化リチウム/水酸化カルシウム混合物(LiOH/CaO)、純粋な水酸化リチウム(LiOH)、リチウムメタレート(LiOMe)又はナトリウムメタノレート(NaOMe)又は均一触媒系、例えば、イソプロピルチタネート(Ti(OiPr)4)又は酸化ジオクチル錫(Sn(Oct)2O)を使用できる。反応は平衡反応である。従って、通常は遊離した低分子量アルコールは例えば蒸留により除去される。
【0077】
特に意外にも、ASTM1401による改善された水の分離(抗乳化)は、水酸化リチウム/酸化カルシウム−混合物(LiOH/CaO)又は純粋な水酸化リチウム(LiOH)によるエステル交換反応により触媒されることで達成される。この触媒により変換される反応混合物は、フィルターにより精製できる。意外な利点は、デプスフィルター(有利には、Seitz T 1000の商標名で得られる)の使用下に達成できることである。このように製造されるマクロモノマーは、意外にも、特に僅かな抗乳化値を有する作動液を生じる。
【0078】
更に、このマクロモノマーは例えば、メタクリル酸又は無水メタクリル酸から出発して、直接のエステル化又は直接のアミド化により得られ、有利には酸性触媒の使用下にp−トルエンスルホン酸又はメタンスルホン酸により、又は遊離メタクリル酸から出発してDCC−法(ジシクロヘキシルカルボジイミド)により得られる。
【0079】
更に、存在するアルコール又はアミドは、塩酸、例えば、塩化(メタ)アクリロイルとの反応によりマクロモノマーに変換される。
【0080】
更に、マクロアルコールを、カチオン重合されたPIBで生じるように、末端PIB−二重結合の反応により、無水マレイン酸(エン反応)及びそれに続くα,ω−アミノアルコールとの反応により製造できるという可能性もある。
【0081】
更に、適切なマクロモノマーを、末端PIB二重結合とメタクリル酸の反応により、又はスチレン上でのPIB二重結合のフリーデル・クラフツ−アルキル化により得ることもできる。
【0082】
予め記載したマクロモノマーの製造の際に、重合阻害剤、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−オキシル−ラジカル及び/又はヒドロキノンモノメチルエーテルを使用するのが有利である。
【0083】
予め記載した反応に使用すべき、ポリオレフィンをベースとするマクロアルコール及び/又はマクロアミンは、公知の方法で製造できる。
【0084】
更に、これらのマクロアルコール及び/又はマクロアミンは、部分的に市販されている。
【0085】
市販されているマクロアミンには、例えばKerocom(登録商標) PIBA 03が含まれる。Kerocom(登録商標) PIBA 03は、約75質量%までがNH2−官能化されたMn=1000g/molのポリイソブチレン(PIB)であり、これは脂肪性炭化水素中約65質量%の濃縮物として、BASF AG(ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン)社から提供されている。
【0086】
もう1つの製品は、Kraton Liquid(登録商標) L-1203であり、これはそれぞれ約50%のMn=4200g/molの1,2−繰り返し単位と1,4−繰り返し単位を有する、約98質量%までがOH−官能化された水素化ポリブタジエン(オレフィンコポリマーOCPとも称される)である[Kraton Polymers GmbH(エシュボルン、ドイツ)]。
【0087】
水素化ポリブタジエンをベースとする適切なマクロアルコールの更なる提供者は、Total(Paris)の兄弟会社としてのCray Valley(Paris)又はSartomer Company(Exton/PA/USA)である。
【0088】
マクロアミンの製造は、例えば、BASF AGのEP 0244616に記載されている。この場合に、マクロアミンの製造はポリイソブチレンのヒドロホルミル化及びアミン化により行われる。ポリイソブチレンは低温で結晶化を示さないという利点がある。
【0089】
有利なマクロアルコールは、更に公知の特許BASF AGに倣い、高い割合の末端α−二重結合を有する高反応性ポリイソブチレンHR-PIN(EP 0628575)のヒドロホウ素化(WO 2004/067583)によるか、又はヒドロホルミル化に続く水素化(EP 0277345)により製造されてもよい。ヒドロホウ素化は、ヒドロホルミル化及び水素化と比較して高いアルコール官能価を提供する。
【0090】
水素化ポリブタジエンをベースとする有利なマクロアルコールは、GB 2270317によりShell International Research Maatschappijにより得られる。約60%以上の1,2−繰り返し単位の高い割合は、著しく低い結晶温度を生じ得る。
【0091】
予め説明したマクロモノマーは、部分的に市販されている。それ例は、例えば Kraton Liquid(登録商標) L-1203から製造されたKraton Liquid(登録商標) L-1253であり、約96質量%までがメタクリレート官能化された水素化ポリブタジエンであり、かつそれぞれ約50%の1,2−繰り返し単位と1,4−繰り返し単位を有する(Kraton Polymers GmbH(エシュボルン、ドイツ))。
【0092】
Kraton Liquid(登録商標) L-1253の合成は、GB 2270317によりShell International Research Maatschappijにより行われる。
【0093】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマー及びこれらの製造は、EP 0621293とEP 0699694に記載されている。
【0094】
予め説明したマクロモノマー及び低分子モノマーのフリーラジカル共重合に加えて、本発明のコームポリマーは、ポリマー類似反応により得ることもできる。
【0095】
この場合に、ポリマーは初めに公知の方法で低分子モノマーから製造され、次に変換される。この場合に、コームポリマーの骨格は反応性モノマー、例えば、無水マレイン酸、メタクリル酸又はその他のグリシジルメタクリレート及びその他の非反応性単鎖骨格モノマーから合成されてもよい。この場合に、予め説明した開始系、例えば、t−ブチルパーベンゾエート又はt−ブチルパー−2−エチルヘキサノエートならびに調節剤、例えば、n−ドデシルメルカプタンを使用してもよい。
【0096】
更なる工程では、例えば、アルコール分解又はアミノ分解において、アームとも称される側鎖が生じてもよい。この反応では、予め説明したマクロアルコール及び/又はマクロアミンを使用してもよい。
【0097】
初めに形成される骨格ポリマーとマクロアルコール及び/又はマクロアミンの反応は、実質的に、予め説明したマクロアルコール及び/又はマクロアミンと低分子量化合物の反応に相応する。
【0098】
例えば、マクロアルコール及び/又はマクロアミンは、例えば、骨格中に存在する無水マレイン酸又はメタクリル酸官能性に自体公知のグラフト反応で、例えば、p−トルエンスルホン酸又はメタンスルホン酸の触媒下にエステル、アミド又はイミドを生じ、本発明のコームポリマーに変換できる。低分子量アルコール及び/又はアミン、例えば、n−ブタノール又はN−(3−アミノプロピル)モルホリンの添加により、特に無水マレイン酸骨格の場合には、ポリマー類似反応を完全な変換にすることができる。
【0099】
骨格中のグリシジル官能性の場合には、コームポリマーが生じるようにマクロアルコール及び/又はマクロアミンの添加を実施することができる。
【0100】
更に、マクロアルコール及び/又はマクロアミンをポリマー類似アルコール分解により反応させるか、又は単鎖エステル官能性を有する骨格とのアミノ分解により反応させて、コームポリマーを生じることができる。
【0101】
骨格ポリマーと高分子化合物の反応の他に、低分子モノマーと更なる低分子量モノマーの反応により得られる適切な官能化ポリマーは、コームポリマーの形成下に反応させることができる。この場合に、初めに製造された骨格ポリマーは、多重グラフト重合の開始剤として使用される多くの官能価を有する。
【0102】
例えば、イソブテンの多重カチオン重合が開始され、これはポリオレフィン側枝を有するコームポリマーを生じる。このようなグラフト共重合には、定義づけられた構造を有するコームポリマーを得るために予め説明したATRP及び/又はRAFT法も適切である。
【0103】
本発明により使用すべきコームポリマーは、本発明の特別な態様によれば僅かな割合のオレフィン性二重結合を有するのが有利である。ヨウ素価は、有利にはコームポリマー1g当たり0.2g以下、更に有利には0.1g以下である。この割合は、DIN53241により、真空中180℃にてキャリアー油と低分子量の残留モノマーを除去した24時間後に決定できる。
【0104】
特に有効なコームポリマーは、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも10質量%、及び1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を少なくとも5質量%、及び分散モノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも5質量%有する。
【0105】
有利な実施態様では、該コームポリマーは、少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を30〜60質量%、有利には35〜50質量%有していてもよい。これらの数値は、コームポリマーの繰り返し単位の全質量に対する。これらの数値は、コームポリマーの製造において、モノマーの質量比から生じる。これらのモノマーは予め説明してあるので、これらの詳細を参照することができる。
【0106】
スチレンモノマー及び1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートは予め説明してあり、その際に、n−ブチルメタクリレートは、VI作用を有する本発明の粘度指数を改善するコームポリマーを製造するために特に有利に使用できる。
【0107】
耐荷力の改善に関する特別な利点は、スチレンに由来する繰り返し単位と、n−ブチルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーにより特に達成できる。特に有利であるのは、スチレンに由来する繰り返し単位とn−ブチルメタクリレートに由来する繰り返し単位との質量比が10:1〜1:10の範囲内、特に有利には4:1〜1.5:1の範囲内であるVI作用を有する特別なコームポリマーである。
【0108】
本発明の特別な変法によれば、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーの分子量Mnの数平均とVI作用を有するコームポリマーの分子量の数平均Mnとの比は、1:10〜1:50の範囲内、特に有利には1:15〜1:45の範囲内である。
【0109】
意外な利点は、有利にはメチルメタクリレートに由来する繰り返し単位と、アルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーにより達成される。
【0110】
本発明で使用するためのコームポリマーは、作動液において使用される。作動液は、油圧系で使用するために適切である油圧系の運転温度で液体である組成物である。
【0111】
有利には、本発明による作動液は少なくとも1つの潤滑油を有する。
【0112】
潤滑油には、鉱油、合成油及び天然油が属する。
【0113】
鉱油は自体公知であり、かつ市販されている。これらは一般に石油又は原油から蒸留及び/又は精留及び場合によっては更なる精製法及び後処理法によって得られ、その際、鉱油の用語には、特に原油又は鉱油の高沸点フラクションが該当する。一般に、鉱油の沸点は5000Paで200℃よりも高く、有利には300℃よりも高い。頁岩油の低温乾留、歴青炭のコークス化、褐炭の空気遮断下での蒸留ならびに歴青炭又は褐炭の水素化による製造も同様に可能である。相応して、鉱油は起源により種々の割合の芳香族、環状、分枝及び線状の炭化水素を有する。
【0114】
一般に、原油又は鉱油中のパラフィンベース、ナフテン系及び芳香族フラクションは区別され、その際、パラフィンベースフラクションという用語は、長鎖又は高分枝イソアルカンに関し、ナフテン系フラクションはシクロアルカンに関する。更に鉱油は、起源及び後処理に応じて、種々の割合のn−アルカン、低分枝度を有するイソアルカン、いわゆるモノメチル分枝パラフィン及びヘテロ原子、特にO、N及び/又はS(極性はこれらに依存する)を有する化合物を有している。しかし、個々のアルカン分子は、長鎖の分枝基もシクロアルカン基ならびに芳香族フラクションも有することがあるので割り当てが難しい。本発明の目的に、例えば、DIN51378により割り当てを行うことができる。極性フラクションは、ASTM D 2007により決定することもできる。
【0115】
有利な鉱油中のn−アルカンの割合は、3質量%よりも少なく、O、N及び/又はS−含有化合物の割合は、6質量%よりも少ない。芳香族の割合及びモノメチル分枝パラフィンの割合は、一般にそれぞれ0〜40質量%の範囲内にある。重要な1実施態様によれば、鉱油には主として、一般に13を上回る、有利には18を上回る、とりわけ有利には20を上回る炭素原子数を有するナフテン系及びパラフィンベースのアルカンが含まれる。これらの化合物の割合は、それにより限定されるべきではないが、一般に≧60質量%、有利には≧80質量%である。好ましい鉱油は、芳香族の割合0.5〜30質量%、ナフテン系の割合15〜40質量%、パラフィンベースの割合35〜80質量%、n−アルカン3質量%まで、及び極性化合物0.05〜5質量%(それぞれ鉱油の全質量に対して)を有する。
【0116】
慣用の方法、例えば尿素分離及びシリカゲルでの液体クロマトグラフィーを用いて行われ、特に有利な鉱油の分析結果は、例えば次の成分を示す。ここで、パーセントの数値は、それぞれ使用された鉱油の全質量に対して示される:
約18〜31個の炭素原子数を有するn−アルカン:0.7〜1.0%、
約18〜31個の炭素原子数を有する僅かに分枝したアルカン:1.0〜8.0%、
約14〜32個の炭素原子数を有する芳香族化合物:0.4〜10.7%、
約20〜32個の炭素原子数を有するイソアルカン及びシクロアルカン:60.7〜82.4%、
極性化合物:0.1〜0.8%、
残分:6.9〜19.4%。
【0117】
鉱油の改善されたクラス(還元された硫黄含有量、還元された窒素含有量、高い粘度指数、低い流動点)は、鉱油の水素処理により得られる(ヒドロ異性化、水素化分解、水素処理、水素化仕上げ)。この場合に水素の存在では主に芳香族成分が減り、かつナフテン系のフラクションが形成される。鉱油の分析及び種々の組成物を有する鉱油のリストに関する重要な情報は、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、CD-ROM第5版、1997年"潤滑剤及び関連製品"に見出すことができる。
【0118】
合成油には、その他の有機エステル、例えば、ジエステル及びポリエステル、ポリアルキレングリコール、ポリエーテル、合成炭化水素、特にポリオレフィン(その内、ポリαオレフィン(PAO)が有利である)、シリコーン油及びペルフルオロアルキルエーテルが含まれる。更に、気体から液体(GTL)、石炭から液体(CTL)又はバイオマスから液体(BTL)に由来する合成基油を使用することもできる。これらは大抵、鉱油よりも幾分か高価であるが、その性能に関しては利点がある。
【0119】
天然油は、動物油又は植物油であり、例えば、牛脚油又はホホバ油である。
【0120】
潤滑油調製物用の基油は、API(American Petroleum Institute)によるグループに分けられる。鉱油は、グループI(水素処理なし)及び、飽和度、硫黄含有量及び粘度指数に応じてグループIIとIII(両方とも水素処理あり)に分けられる。PAOsは、グループIVに相応する。その他の油は全て、グループVにまとめられる。
【0121】
潤滑油(基油)として、ASTM445により40℃で測定して、3mm2/s〜100mm2/s、特に有利には13mm2/s〜65mm2/sの範囲内の粘度を有する油を使用できる。基油の使用により、エネルギー要求に関して意外な利点が達成できる。
【0122】
これらの潤滑油は混合物として使用でき、多方面で市販されている。
【0123】
潤滑油組成物もしくは作動液中のコームポリマーの濃度は、該組成物の全質量に対して有利には0.1〜40質量%の範囲内、特に有利には1〜30質量%の範囲内、殊に有利には2〜20質量%の範囲内、とりわけ有利には5〜15質量%の範囲内である。
【0124】
前記の成分の他に、潤滑油組成物は、他の添加剤及び添加物を含有することができる。これらの添加剤は、特にアルコール基中に1〜30個の炭素原子を有する線状ポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)をベースとする。これらの添加剤には、特にDI-添加剤(分散剤、洗浄剤、脱泡剤、腐食防止剤、抗酸化剤、耐摩耗性添加剤及び極圧添加剤、摩擦係数調整剤)、流動点改質剤(特に有利には、アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有するポリアルキル(メタ)アクリレートをベースとする)及び/又は染料が属する。
【0125】
更に、ここで記載した作動液は、通常のVI−改善剤との混合物の形で存在することもできる。これらには、特に水素化スチレン−ジエン−コポリマー(Shell Oil Company社のHSD、US4116917、US3772196及びUS4788316)、特にブタジエンとイソプレンをベースとするもの、またオレフィンコポリマーが属する(OCP、K. Marsden: "Literature Review of OCP Viscosity Modifiers"、Lubrication Science 1(1988), 265)。
【0126】
潤滑油、特にモーターオイル用のVI−改善剤及び流動点改善剤の組成物は、例えば、T. Mang, W. Dresel(eds.):"Lubricants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001;R. M. Mortier, S. T. Orszulik(eds.):"Chemistry and Technology of Lubricants", Blackie Academic & Professional, London 1992;又はJ. Bartz:"Additives for Lubricants"、Expert-Verlag, Renningen-Malmsheim 1994に記載されている。
【0127】
特に有利であるのは、その他の消泡剤であり、その際、これは多くの場合にシリコーン含有消泡剤とシリコーン不含消泡剤に分けられる。シリコーン含有消泡剤には、特に線状ポリ(ジメチルシロキサン)及び環状ポリ(ジメチルシロキサン)が含まれる。シリコーン不含消泡剤として、多くの場合にポリエーテル、例えば、ポリ(エチレングリコール)又はトリブチルホスフェートが使用される。特別な利点は、アルコキシル化(メタ)アクリレートに由来する単位を有するポリアルキル(メタ)アクリレートをベースとするコポリマーにより達成できる。
【0128】
特別な1実施態様によれば、本発明による潤滑油組成物は、腐食防止剤を有することができる。これらは、多くの場合に錆止め添加剤と金属不動態化剤/不活性化剤に分けられる。錆止め剤添加剤として、特にスルホネート、例えば、石油スルホネート又は(多くの場合に多塩基化された)合成アルキルベンゼンスルホネート、例えば、ジノニルナフテンスルホネート;カルボン酸誘導体、例えば、ラノリン(羊毛油)、酸化パラフィン、亜鉛ナフテネート、アルキル化コハク酸、4−ノニルフェノキシ−酢酸、アミド及びイミド(N−アシルサルコシン、イミダゾリン誘導体);アミン中和モノ−及びジアルキルリン酸エステル;モルホリン;ジシクロヘキシルアミン又はジエタノールアミンを使用できる。金属不動態化剤/活性剤には、特にベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジアルキル−2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール;N,N'−ジサリシリデンエチレンジアミン、N,N'−ジサリシリデンプロピレンジアミン;亜鉛ジアルキルジチオホスフェート及びジアルキルジチオカルバメートが含まれる。
【0129】
添加剤の更に有利なグループは、抗酸化剤である。抗酸化剤には、例えば、フェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(2,6-DTB)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);芳香族アミン、特にアルキル化ジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン(PNA)、ポリマー2,2,4−トリメチル−ジヒドロキノン(TMQ);硫黄及びリン含有化合物、例えば、金属ジチオホスフェート、例えば、亜鉛ジチオホスフェート(ZnDTP)、"OOS−トリエステル"=ジチオリン酸と、オレフィン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン、α−ピネン、ポリブテン、アクリル酸エステル、マレイン酸エステル(燃焼において無灰)からの活性化二重結合の反応生成物、有機硫黄化合物、例えば、ジアルキルスルフィド、ジアリールスルフィド、ポリスルフィド、変性チオール、チオフェン誘導体、キサンタン、チオグリコール、チオアルデヒド、硫黄含有カルボン酸;複素環式硫黄/窒素−化合物、特にジアルキルジメルカプトチアジアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール;亜鉛及びメチレン−ビス(ジアルキルジチオカルバメート);有機リン化合物、例えば、トリアリール及びトリアルキルホスフィット;有機銅化合物ならびに多塩基性カルシウム及びマグネシウムベースのフェノレート及びサリシレートが属する。
【0130】
有利な耐摩耗性添加剤(AW)及び極圧添加剤(EP)には、特にリン化合物、例えば、トリアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート、例えば、トリクレシルホスフェート、アミン中和モノ−及びジアルキルリン酸エステル、エトキシル化モノ−及びジアルキルリン酸エステル、ホスフィット、ホスホネート、ホスフィン;硫黄及びリン含有化合物、例えば、金属ジチオホスフェート、例えば、亜鉛C3〜12−ジアルキルジチオホスフェート(ZnDTPs)、アンモニウムジアルキルジチオホスフェート、アンチモンジアルキルジチオホスフェート、モリブデンジアルキルジチオホスフェート、鉛ジアルキルジチオホスフェート、"OOSトリエステル"=ジチオリン酸と、オレフィン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン、α−ピネン、ポリブテン、アクリル酸エステル、マレイン酸エステル、トリフェニルホスファーチオネート(TPPT)からの活性化二重結合の反応生成物;硫黄及び窒素含有化合物、例えば、亜鉛ビス(アミルジチオカルバメート)又はメチレンビス(ジ−n−ブチルジチオカルバメート);硫黄元素を有する硫黄化合物及びH2S−硫化炭化水素(ジイソブチレン、テルペン);硫化グリセリド及び脂肪酸エステル;多塩基化スルホネート;塩素化合物、又はグラファイト又はモリブデンジスルフィドのような固体が含まれる。
【0131】
更に有利な添加剤のグループは、摩擦係数調整剤である。摩擦係数調整剤として、特に機械的作用化合物、例えば、モリブデンジスルフィド、グラファイト(フッ素化されたものを含む)、ポリ(トリフルオロエチレン)、ポリアミド、ポリイミド;吸着層を形成する化合物、例えば、長鎖カルボン酸、脂肪酸エステル、エーテル、アルコール、アミン、アミド、イミド;トライボケミカル反応により層を形成する化合物、例えば、飽和脂肪酸、リン酸及びチオリン酸エステル、キサントゲネート、硫化脂肪酸;ポリマー様層を形成する化合物、例えば、エトキシル化ジカルボン酸部分エステル、ジアルキルフタル酸エステル、メタクリレート、不飽和脂肪酸、硫化オレフィン又は有機金属化合物、例えば、モリブデン化合物(モリブデンジチオホスフェート及びモリブデンジチオカルバメートMoDTC)及びZnDTPs、銅含有有機化合物とのこれらの組合せが使用される。
【0132】
予め記載した化合物の幾つかは、多数の機能を満たす。ZnDTPは、例えば主に耐摩耗性添加剤及び極圧添加剤であるが、抗酸化剤及び腐食防止剤(ここでは、金属不動態化剤/不活性化剤)の特徴も有する。
【0133】
先に説明した添加剤は、より詳細には特にT. Mang、W. Dresel(eds.);"Lubricants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001; R. M. Mortier, S.T. Orszulik(eds.);"Chemistry and Technology of Lubricants"に記載されている。
【0134】
本発明により請求された作動液の抗乳化値は、30分未満、有利には15分未満、より有利には10分未満、とりわけ有利には5分未満である。この特性により、本発明による作動液は特に高いエネルギー効率と極めて高い耐荷力を示す。抗乳化値は、ASTM D 1401により測定され、その際に、シリンダー内で水と作動液から成る混合物を製造し、かつ制御されてこれが乳化される。エマルションが分離するまでの時間(例えば、残りのエマルションの3ml未満が存在する)が測定される。
【0135】
有利な作動液は、ASTM D 445により40℃で測定して、10〜120mm2/sの範囲内、特に有利には22〜100mm2/sの範囲内の粘度を有する。100℃で測定された動粘性度KV100は、有利には少なくとも5.5mm2/s、より有利には少なくとも5.6mm2/s、特に有利には少なくとも5.8mm2/sである。
【0136】
本発明の特別な態様によれば、有利な作動液は、ASTM D 2270により測定して、100〜400の範囲内、特に有利には150〜350の範囲内、とりわけ有利には175〜275の範囲内の粘度指数を有する。
【0137】
好適な変法によれば、ASTM D2603 Ref.B(12.5分の超音波処理)による永久剪断安定性指数(PSSI)は、35以下、特に有利には20以下であることができる。DIN 51381(30サイクルBosch-Pump)による永久剪断安定性指数(PSSI)が、最大で5、有利には最大で2、特に有利には最大で1である更なる潤滑油組成物を有するのが有利である。
【0138】
本発明による作動液のスカッフィング耐荷力とも称される耐荷力は、DIN 51354-2もしくはDIN ISO 14635-1により、FZG(Gear Research Center of the Technical University of Munich)による歯車応力試験器で測定される。
【0139】
本発明の有利な作動液は、少なくとも8、特に有利には少なくとも11、とりわけ有利には少なくとも12の耐荷力又は負荷段階(load stage)を有する。
【0140】
本発明の作動液は、有利には粘度指数100を有する同じKV40の作動液よりも少なくとも2%高い、有利には少なくとも5%高い全体効率を示す。これらの値は、意外にも高温及び高圧で、特に100℃のポンプ入口温度及び250barの圧力で達成することができる。全体効率を決定する方法は、特にNeveu, C. D.等;2007年のSTLE(STLE=Society of Tribologists and Lubrication Engineers)の"Achieving Efficiency Improvements through Hydraulic Fluid Selection: Laboratory Prediction and Field Evaluation"に記載されている。
【0141】
これらの作動液は、ベーンセルポンプ、歯車ポンプ、ラジアルピストンポンプ、アキシアルピストンポンプ又は油圧モーターで特別な利点を示す。
【0142】
本発明を以降、実施例と比較例を参照に用いて説明するが、本発明は制限を受けるわけではない。
【0143】
マクロモノマーの製造
マクロアルコールとして、平均モル質量Mn=4800g/molを有するヒドロキシエチル末端化された水素化ポリブタジエンを使用した。全ての値をH-NMR(核共鳴スペクトル)により測定し、マクロモノマーのビニル含有量は55%であり、水素化度は>98.5%であり、及び−OH官能価は>90%であった。
【0144】
サーベル撹拌機、給気管、調整装置付き熱電対、加熱マントル、4mmラシヒリングを有する充填カラム、水蒸気分配器、トップサーモメター、還流冷却器及び基質冷却器が備わった2リットル撹拌容器中に、60℃で撹拌しながらマクロアルコール1200gをMMA400g中に溶かした。2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル32mgとヒドロキノンモノメチルエーテル320mgをこの溶液に加えた。安定化のために空気を通しながらMMAが還流するまで加熱(約110℃の塔底温度)した後に、共沸乾燥するためにMMA約20gを留去した。95℃まで冷却した後に、LiOH0.30gを添加し、かつ還流するまで再び加熱した。約1時間の反応時間の後に、メタノール形成により塔頂温度は約64℃まで下がった。形成されたメタノール/MMA共沸混合物は、約100℃の一定した塔頂温度が再び達成されるまで常に留去した。この温度では、該混合物は更に数時間後反応することができた。更に処理するために、真空下にMMAの塊を取り出し、かつ引き続き粘性の"粗マクロモノマー"をKPE 100N油514.3gの添加により希釈した。不溶性触媒の残分を圧濾過により分離した(Seitz T 1000デプスフィルター)。
【0145】
これは油中約1650gのマクロモノマー溶液を生じた。下記のコームポリマー合成に持ち込まれたKPE 100Nの含有量を相応して考慮に入れた。
【0146】
略語
以下の説明には、次の略語を使用した:
MM1:上記マクロアルコールのメタクリル酸エステル
AMA:線状C12〜C14アルコールのメタクリル酸エステル
BMA:n−ブチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
Sty:スチレン
BDtBPB:2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン。
【0147】
コームポリマーの製造
コームポリマー1
容器中で、以下の反応混合物を調合した:油中70%マクロモノマー溶液2.286g、AMA12.8g、BMA4.067g、Sty0.707g、MMA12.8g、Shell Risella 907(軽量ナフテン/パラフィン基油)2.773kg及びKPE 100N油0.808g。撹拌機、窒素ブランケット、サーモメター、調整油サーモスタット及び還流冷却器を備えた20リットル撹拌容器に、反応混合物2.1kgを予め装入し、撹拌しながら115℃まで加熱した。加熱段階の間に、不活性化のために容器に窒素を通した。115℃が達成された後に、BDtBPB1.26gを初期装入物に導入した:同時に、残りの反応混合物と、BDtBPB5.12gから成る供給を開始した。供給時間は3時間であり、反応温度は一定に115℃に保持した。供給終了から3時間及び6時間後に、もう1度、BDtBPB12.8gをそれぞれ添加し、翌日に反応器の内容物を油の添加により、固形分40%に希釈した。高粘性の透明な溶液16.0kgが得られた。
【0148】
コームポリマー2
容器中、以下の反応混合物を調合した:油中70%マクロモノマー溶液3.84kg、AMA12.8g、BMA1.139kg、Sty2.547kg、MMA12.8g、Shell Risella 907(軽量ナフテン/パラフィン基油)2.773kg及びKPE 100N油0.34kg。撹拌機、窒素ブランケット、サーモメター、調整油サーモスタット及び還流冷却器を備えた20リットル撹拌容器に、反応混合物2.1kgを予め装入し、かつ撹拌しながら120℃まで加熱した。加熱段階の間に、不活性化のために容器に窒素を通した。120℃が達成された後に、BDtBPB2.52gを初期装入物に添加し、同時に残りの反応混合物と、BDtBPB10.24gから成る供給を開始した。供給時間は3時間であり、反応温度は一定に120℃に保持した。供給終了から3時間及び6時間後に、もう1度、BDtBPB12.8gをそれぞれ添加し、翌日に反応器の内容物を油の添加により、固形分40%に希釈した。高粘性の透明な溶液16.0kgが得られた。
【0149】
例1と2及び比較例1と2
予め説明したコームポリマーの特性を、耐荷力の改善に関して試験した。このために、以下の表1に記載した組成物を製造し、その際に全成分を計量した後に80℃で少なくとも60分間撹拌した。透明な均一な溶液が得られた。使用した基油は、Exxon Mobil社製の種々の粘度の脱パラフィンしたラフィネートであり、使用した全ての油は、鉱油のAPI分類によればグループIに相応した。
【0150】
全ての油は、Aftom Chemical, Hitech 521社の市販のHydraulik DI-パッケージ(DI=洗浄剤抑制剤)同じ添加量を含有していた。このDIパッケージは、抗酸化剤、錆止め剤及び洗浄剤の他に、亜鉛含有−耐摩耗性成分ならびにEP添加剤を含有していた。
【0151】
表1には、組成物の全ての数値は質量パーセントで記載されている。
【0152】
表1:種々の作動液の耐荷力
【表1】

【0153】
比較例の調製物1と2は、基油粘度が下がるにつれて、同じDI添加の場合に調製物の耐荷力がどの程度劣ったかを示している。それに比べて、例1と2からは、極めて低い基油粘度にもかかわらず耐荷力が極めて高いことが明らかに分かる。従って、作動油中のコームポリマーの使用は、近年のマルチグレードオイルの摩耗特性が著しく改善することに貢献する。
【0154】
例3と比較例3と4
上記のコームポリマー1を有する本発明による作動液を、市販のViscoplex VI改善剤を有する調製物ならびにモノグレード油を有する調製物と比較して油圧ポンプ試験基準において、全体の作用グレードに関して試験した。試験構成及び方法は、Neveu, C. D.等の文献;2007年のSTLE(STLE=Society of Tribologists and Lubrication Engineers)の"Achieving Efficiency Improvements through Hydraulic Fluid Selection: Laboratory Prediction and Field Evaluation"に詳細に記載されているが、但し、Eaton Vickers V104Cポンプの代わりに、電気モーターを用いて1500rpmで一定に運転されたDension T6ベントポンプを使用した点を除く。全体のポンプ効率は、それぞれの場合に、ポンプ入口温度80℃と100℃で、150bar及び250barの3つの異なる圧力で決定した。評価に必要な計算式は、同様に、上記文献に詳しく記載されている。
【0155】
表2には、試験された作動液の粘性データが示され、かつ表3には、ポンプ効率試験の結果が示されている。
【0156】
表2:試験した作動液の粘性データ
【表2】

【0157】
表3:ポンプ効率試験の結果
【表3】

【0158】
表3に示されているように、本発明のコームポリマー調製物の効率は、低い粘度指数にもかかわらず計れる程度に高い。従って、コームポリマーの使用は改善された効率により油圧プラントの一次エネルギー要求を下げることに寄与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖中に、少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を含んでいるコームポリマーを、作動液の耐荷力を改善するために用いる使用。
【請求項2】
作動液は潤滑油を含んでいる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
作動液をベーンセルポンプ、歯車ポンプ、ラジアルピストンポンプ、アキシアルピストンポンプ又は油圧モーターにおいて使用する、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
少なくとも1つの潤滑油と少なくとも1つのポリマーを含んでいる作動液において、該ポリマーは、主鎖中に、少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を含んでいるコームポリマーであり、かつ該作動液は、30分未満の抗乳化値を有することを特徴とする、少なくとも1つの潤滑油と少なくとも1つのポリマーを含んでいる作動液。
【請求項5】
作動液は、15分未満の抗乳化値を有する、請求項4に記載の作動液。
【請求項6】
作動液は、コームポリマーを1〜30質量%含む、請求項4又は5に記載の作動液。
【請求項7】
コームポリマーは、主鎖中に、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位、及び8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらのモノマーの混合物から成るグループから選択される低分子モノマーに由来する繰り返し単位を含み、その際、モル分枝度は0.1〜10mol%の範囲内であり、かつコームポリマーは、繰り返し単位の質量に対して、合計して少なくとも80質量%のポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位、及び8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらのモノマーの混合物から成るグループから選択される低分子モノマーに由来する繰り返し単位を含む、請求項4から6までのいずれか1項に記載の作動液。
【請求項8】
モル分枝度は、0.3〜3.6の範囲内である、請求項7に記載の作動液。
【請求項9】
コームポリマーは、少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を20〜60質量%有する、請求項4から8までのいずれか1項に記載の作動液。
【請求項10】
コームポリマーは、スチレンに由来する繰り返し単位と、n−ブチルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有する、請求項4から9までのいずれか1項に記載の作動液。
【請求項11】
スチレンに由来する繰り返し単位とn−ブチルメタクリレートに由来する繰り返し単位との質量比は、4:1〜1.5:1の範囲内である、請求項10に記載の作動液。
【請求項12】
コームポリマーは、分散性モノマーに由来する繰り返し単位を最大で0.5質量%有する、請求項4から11までのいずれか1項に記載の作動液。
【請求項13】
コームポリマーは、50〜70ml/gの範囲内の限界粘度を有する、請求項4から12までのいずれか1項に記載の作動液。
【請求項14】
作動液は、40℃でASTM D445により測定して10〜120mm2/sの範囲内の粘度を有する、請求項4から13までのいずれか1項に記載の作動液。
【請求項15】
作動液は、ポリアルキル(メタ)アクリレートをベースとし、かつアルコキシル化(メタ)アクリレートに由来する単位を有するコポリマーである少なくとも1つの消泡剤を有する、請求項4から14までのいずれか1項に記載の作動液。
【請求項16】
請求項4から15までのいずれか1項に記載の作動液を、油圧系のエネルギー効率を改善するために用いる使用。
【請求項17】
請求項4から15までのいずれか1項に記載の作動液を、油圧系の耐荷力を改善するために用いる使用。

【公表番号】特表2012−520358(P2012−520358A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553377(P2011−553377)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051564
【国際公開番号】WO2010/102871
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(399020957)エボニック ローマックス アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (38)
【氏名又は名称原語表記】Evonik RohMax Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】