スキャン条件設定装置、および医療装置
【課題】被検体を撮影するときのスキャン条件を容易に決定することができるスキャン条件決定装置、および医療装置を提供する。
【解決手段】データベース9に、項目のグループGに関するスキャン条件として、5つのスキャン条件SC1〜SC5を予め登録しておく。操作者14がスライダー124aの位置を目盛りM1〜M5のうちから選択することにより、スライダー124aの位置に対応したスキャン条件を選択することができる。スライダー124aの位置が右端の目盛りM5に近づくにつれて、スキャン条件SC1〜SC5は、スキャン時間よりも画質が優先されるように設定されている。したがって、操作者は、スライダー124aの位置を調節するだけで、画質が優先されるスキャン条件や、スキャン時間が優先されるスキャン条件を容易に設定することができる。
【解決手段】データベース9に、項目のグループGに関するスキャン条件として、5つのスキャン条件SC1〜SC5を予め登録しておく。操作者14がスライダー124aの位置を目盛りM1〜M5のうちから選択することにより、スライダー124aの位置に対応したスキャン条件を選択することができる。スライダー124aの位置が右端の目盛りM5に近づくにつれて、スキャン条件SC1〜SC5は、スキャン時間よりも画質が優先されるように設定されている。したがって、操作者は、スライダー124aの位置を調節するだけで、画質が優先されるスキャン条件や、スキャン時間が優先されるスキャン条件を容易に設定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャン条件を設定するスキャン条件設定装置、および医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体を撮影する場合、操作者は撮影条件を設定する必要がある。しかし、設定しなければならない撮影条件が多くなると、操作者の掛かる負担も大きくなる。そこで、撮影パラメータ等を迅速且つ容易に選択・設定可能にするための方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-225222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1による方法では、撮影種ごとに画像コントラストに支配的なパラメータを調整可能にしている。しかし、一般的には、パラメータを調整した場合、画像コントラストがどれ位変化するかを理解することは容易ではないので、好適な画像コントラストが得られるようにパラメータを調整することは難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑み、被検体を撮影するときのスキャン条件を容易に決定することができるスキャン条件決定装置、および医療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決する本発明の第1のスキャン条件設定装置は、
被検体をスキャンするときのスキャン条件を設定するスキャン条件設定装置であって、
スキャン時間と画質との組合せを複数備え、操作者の操作に応じて、前記スキャン時間と画質との複数の組合せの中から、一つの組合せを選択する選択手段と、
前記スキャン時間と画質との各組合せに対応するスキャン条件を記憶するスキャン条件記憶手段と、
を有し、
前記選択手段により選択されたスキャン時間と画質との組合せに対応するスキャン条件を、前記被検体をスキャンするときのスキャン条件として設定する。
また、本発明の第2のスキャン条件設定装置は、
被検体をスキャンするときのスキャン条件を設定するスキャン条件設定装置であって、
撮影領域の広さの違いを表す複数の選択肢を備え、操作者の操作に応じて、前記複数の選択肢の中から、一つの選択肢を選択する選択手段と、
前記複数の選択肢の各々に対応するスキャン条件を記憶するスキャン条件記憶手段と、
を有し、
前記選択手段により選択された選択肢に対応するスキャン条件を、前記被検体をスキャンするときのスキャン条件として設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1のスキャン条件設定装置では、スキャン時間と画質との各組合せに対応するスキャン条件を記憶している。したがって、操作者が、スキャン時間と画質との複数の組合せの中から、一つの組合せを選択するだけで、選択されたスキャン時間と画質との組合せに対応するスキャン条件が設定されるので、スキャン条件の設定を容易に行うことができる。
また、本発明の第2のスキャン条件設定装置では、撮影領域の広さとして選択可能な選択肢の各々に対応するスキャン条件を記憶している。したがって、操作者が、複数の選択肢の中から一つの選択肢を選択するだけで、選択された選択肢に対応するスキャン条件が設定されるので、スキャン条件の設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
【図2】操作者14がスキャン計画を立てるときのフローを説明する図である。
【図3】表示装置12に表示された表示画面の一例を示す図である。
【図4】表示ウィンドウ121に示されるスキャン条件の主な項目とその意味を示す図である。
【図5】操作者14がスキャン条件の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【図6】操作者14がスキャン条件の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【図7】項目「Scan Plane」の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【図8】項目「Scan Plane」の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【図9】操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更できる項目の説明図である。
【図10】スキャン時間と画質との関係を確認しながら項目のグループGに関するスキャン条件を自動的に変更できるようにするための表示ウィンドウ123の一例を示す図である。
【図11】スライダー124aの位置とスキャン条件との関係を説明する図である。
【図12】スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させた様子を示す図である。
【図13】表示ウィンドウ121に戻った後の表示画面を示す図である。
【図14】第2の実施形態におけるスライダーバー124を表示する表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
【0010】
磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置と呼ぶ)1は、磁場発生装置2、テーブル3、受信コイル4などを有している。
【0011】
磁場発生装置2は、被検体13が収容されるボア21と、超伝導コイル22と、勾配コイル23と、送信コイル24とを有している。超伝導コイル22は静磁場B0を印加し、勾配コイル23は勾配パルスを印加し、送信コイル24はRFパルスを送信する。
【0012】
テーブル3は、被検体13を搬送するためのクレードル31を有している。クレードル31によって、被検体13はボア21に搬送される。
【0013】
受信コイル4は、被検体13の腹部13aに取り付けられており、腹部13aからの磁気共鳴信号を受信する。
【0014】
MRI装置1は、更に、シーケンサ5、送信器6、勾配磁場電源7、受信器8、データベース9、中央処理装置10、入力装置11、および表示装置12を有している。
【0015】
シーケンサ5は、中央処理装置10の制御を受けて、RFパルスの情報(中心周波数、バンド幅など)を送信器6に送り、勾配磁場の情報(勾配磁場の強度など)を勾配磁場電源7に送る。
【0016】
送信器6は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、送信コイル24を駆動する。
【0017】
勾配磁場電源7は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、勾配コイル23を駆動する。
【0018】
受信器8は、受信コイル4で受信された磁気共鳴信号を信号処理し、中央処理装置10に伝送する。
【0019】
データベース9は、スキャン条件SC1〜SC5(後述する図11参照)を記憶する。
【0020】
中央処理装置10は、受信器8から受け取った信号に基づいて画像を再構成するなど、MRI装置1の各種の動作を実現するように、MRI装置1の各部の動作を総括する。また、中央処理装置は、操作者14が入力装置11を介して入力した情報に基づいて、データベース9に記憶されているスキャン条件SC1〜SC5の中から、必要なスキャン条件が表示されるように、表示装置12を制御する。中央処理装置10は、例えばコンピュータ(computer)によって構成される。尚、中央処理装置10は、本発明における選択手段の一例であり、所定のプログラムを実行することにより、選択手段として機能する。
【0021】
入力装置11は、操作者14の操作に応じて、種々の命令を中央処理装置10に入力する。表示装置12は種々の情報を表示する。
【0022】
MRI装置1は、上記のように構成されている。
操作者14は、MRI装置1を用いて被検体13をスキャンする場合、事前にスキャン計画を立てる。以下に、操作者14がどのようにしてスキャン計画を立てるかについて説明する。
【0023】
図2は、操作者14がスキャン計画を立てるときのフローを説明する図である。
【0024】
ステップS1において、操作者14は、入力装置11を操作して、表示装置12に、スキャン条件を設定するための画面を表示する(図3参照)。
【0025】
図3は、表示装置12に表示された表示画面の一例を示す図である。
【0026】
表示画面の左上には、被検体13を撮影するときに行われる7個のタスク12a〜12gが示されている。タスクとは、被検体13のスキャン条件などを規定している。例えば、タスク12dは、Flair(FLuid
Attenuated Inversion Recovery)法によって被検体13の頭部のT2強調画像を得る場合のスキャン条件などを規定している。表示画面を表示させた後、ステップS2に進む。
【0027】
ステップS2では、操作者14は、各タスク12a〜12gに関するスキャン条件などを確認する。例えば、操作者14がタスク12dに関するスキャン条件を確認したいと考えた場合、操作者14は入力装置11を操作してタスク12dを選択する。タスク12dが選択されることによって、表示画面の下段の表示ウィンドウ121に、タスク12dに関連するスキャン条件などが表示される。表示ウィンドウ121には、スキャン時間121aも表示される。図3では、スキャン時間STは、「2分58秒」である。スキャン条件は複数の項目を有している。以下に、スキャン条件の項目について説明する。
【0028】
図4は、表示ウィンドウ121に示されるスキャン条件の主な項目とその意味を示す図である。
【0029】
操作者14は、表示ウィンドウ121を参照することによって、スキャン条件を確認することができる。条件を確認した後、ステップS3に進む。
【0030】
ステップS3では、操作者14は、スキャン条件を手動で変更するか否かを決定する。
【0031】
操作者14は、スキャン条件の項目の2つの項目(# of TE(s) per Scan、およびEcho Train Length)については、設定内容を変更することはできないが、他の項目については、操作者14自身が設定内容を変更することができる。したがって、スキャン時間を短くしたい場合、操作者14は、例えば、項目「Phase」の値を小さくしたり、項目「Freq.FOV」の値を小さくすることによって、スキャン時間を短縮することができる。また、解像度を上げたい場合は、例えば、項目「Phase」の値を大きくすることによって、解像度を上げることができる。したがって、操作者14が、表示ウィンドウ121に表示されたスキャン条件の設定を手動で変更したいと考えた場合、ステップS4に進む。
【0032】
ステップS4では、操作者14はスキャン条件の設定の設定を変更する。
【0033】
図5および図6は、操作者14がスキャン条件の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【0034】
図5では、操作者14がスキャン条件の中の項目「Phase」の設定を変更する例が示されている。操作者14は、入力装置11を操作して、項目「Phase」の候補値を表示させる。図5では、項目「Phase」の候補値は、「224」の他に、「160」、「192」、「256」、および「512」がある。操作者14は、複数の候補値の中から一つの候補値を選択する。例えば、操作者14が候補値「192」を選択すると、項目「Phase」は、図6に示すように、「192」となる。図5と図6とを比較すると、項目「Phase」を「224」から「192」に変更することによって、スキャン時間121aが「2分58秒」から「2分28秒」に短縮されていることがわかる。
【0035】
図5および図6では、項目「Phase」の設定を変更する手順について説明されているが、別の項目の設定を変更する場合にも、同様の手順で調整することができる。以下に、別の項目の設定を変更する例として、項目「Scan Plane」の設定を変更する手順について説明する。
【0036】
図7および図8は、項目「Scan
Plane」の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【0037】
操作者14は、入力装置11を操作して、図7に示すように、項目「Scan Plane」の候補を表示させる。Scan
Planeの候補は、「Axial」の他に、「Coronal」、「Sagittal」、および「Oblique」が存在しているので、操作者14は、複数の候補の中から一つの候補を選択する。操作者14が候補値を選択すると、項目「Scan Plane」の欄には、選択された候補が表示される。図8には、「Sagittal」が選択されたときの画面が示されている。「Sagittal」は、スキャン面がサジタル面に設定されることを意味する。項目「Scan Pane」が「Sagittal」に設定されると、項目「Freq.Dir」は自動的に「S/I」に設定される(「S/I」は、周波数エンコード方向がSI方向に設定されたことを意味する)。
【0038】
以上の手順で、操作者14が、スキャン条件の内容を変更し終えると、図2のフローが終了する。
【0039】
しかし、スキャン条件の内容を変更した場合、画質に影響を与えてしまうことがある。一般に、スキャン条件の内容を変更したことにより、画質がどの程度の影響を受けるのかを予想することは容易ではない。したがって、スキャン条件の内容を変更することによって、スキャン時間は短縮できたものの、得られた画像の画質が操作者14の考えていた以上に悪い場合、再スキャンすることになり、トータルの撮影時間が逆に長くなってしまうことがある。これでは、被検体13に掛かる負担が逆に大きくなってしまうので、好ましくない。そこで、本実施形態では、表示ウィンドウ121に表示されているスキャン条件の主な項目については、操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更できるように構成されている。以下に、表示ウィンドウ121に表示されているスキャン条件の項目の中で、操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更できる項目について、図9を参照しながら説明する。
【0040】
図9は、操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更できる項目の説明図である。
【0041】
本実施形態では、表示ウィンドウ121に表示されているの項目の中の所定の項目のグループGについては、操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更することができる。尚、項目「Coil」や「Scan Plane」のように、操作者14が任意に設定内容を変更できる方が好ましい項目については、グループGには含まれていない。
【0042】
操作者14は、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、項目のグループGに関するスキャン条件を自動的に変更したいと考えた場合、ステップS3から、ステップS5に進む。
【0043】
ステップS5では、操作者14は、スキャン時間と画質との関係を確認しながら項目のグループGに関するスキャン条件を自動的に変更できるようにするための表示ウィンドウを表示させる(図10参照)。
【0044】
図10は、スキャン時間と画質との関係を確認しながら項目のグループGに関するスキャン条件を自動的に変更できるようにするための表示ウィンドウ123の一例を示す図である。
【0045】
表示画面には、表示ウィンドウを切り替えるためのウィンドウ切替ボタン122が設けられている。このボタン122を操作することによって、操作者14は、スキャン時間と画質との関係を確認しながら項目のグループG(図9参照)に関するスキャン条件を自動的に変更できるようにするための表示ウィンドウ123を表示することができる。
【0046】
表示ウィンドウ123には、スキャン時間と画質との関係を選択するためのスライダーバー124が表示されている。スライダーバー124は、スライダー124aと、スライダー124aが移動可能な範囲を規定するバー124bとを有している。バー124bには、画質とスキャン時間との関係を5段階で表すための目盛りM1〜M5が付されている。目盛りM1〜M5は、左端の目盛りM1から右端の目盛りM5に移動するに従って、画質は良くなるが、スキャン時間は長くなることを意味している。操作者14がスライダー124aの位置を調整することによって、項目のグループGに関するスキャン条件は自動的に調整される。以下に、スライダーの位置に応じて、スキャン条件がどのように調整されるかについて説明する。
【0047】
図11は、スライダー124aの位置とスキャン条件との関係を説明する図である。
【0048】
図11には、スキャン条件の中の主な項目のグループG(図9参照)が示されている。データベース9(図1参照)には、項目のグループGに関するスキャン条件として、5つのスキャン条件SC1〜SC5が予め登録されている。操作者14がスライダー124aを左端の目盛りM1に移動させると、スキャン条件SC1が選択される。スキャン条件SC1は、スキャン条件SC1〜SC5の中で、画質は最も悪いが、スキャン時間は最も短くなるように、項目のグループGの内容が設定されている。操作者14がスライダー124aを左端の目盛りM1から、目盛りM2、M3、M4、およびM5の順に移動させるに従って、スキャン条件SC2、SC3、SC4、およびSC5が順に選択される。スライダー124aの位置が右端の目盛りM5に近づくにつれて、スキャン条件SC1〜SC5は、スキャン時間よりも画質が優先されるように設定されている。スライダー124aを右端の目盛りM5に移動させると、スキャン条件SC5が選択される。スキャン条件SC5は、スキャン条件SC1〜SC5の中で、スキャン時間は最も長くなるが、画質が最もよくなるように、項目のグループGの内容が設定されている。
【0049】
図11に示すスキャン条件SC1〜SC5を決定する方法の一例としては、項目のグループGの設定条件を変更しながら多数の被検体13をスキャンし、実際に得られたMR画像の画質と、実際に掛かったスキャン時間とを考慮して決定する方法が考えられる。
【0050】
図10に示すように、表示ウィンドウ123を表示させた後、ステップS6に進む。
【0051】
ステップS6では、操作者14は、自分自身が望んでいるスキャン時間と画質との関係を考慮して、スライダー124aを移動させる。例えば、スキャン時間を少しでも短くすることが最優先される場合(急患を撮影する場合など)、画質をよくすることよりも、スキャン時間を短くすることが重要であるので、この場合、操作者14は、スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させる(図12参照)。
【0052】
図12は、スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させた様子を示す図である。
【0053】
スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させることにより、画質は悪いが最も短いスキャン時間でスキャンが行えるスキャン条件SC1が自動的に選択される。したがって、操作者14の望むように、被検体13の画像を短時間で得ることができる。また、操作者14自身が、表示ウィンドウ121(図3参照)内の項目の設定を個別に変更しなくても、操作者14がスライダー124aを左端の目盛りM1に移動させるだけでスキャン条件SC1が自動的に選択されるので、スキャン条件SC1を簡単に設定することができる。
【0054】
尚、操作者14は、スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させた場合に選択されるスキャン条件SC1の内容を確認することもできる。操作者14は、スキャン条件SC1の内容を確認したい場合、ウィンドウ切替ボタン122を操作し、スキャン条件を表示する表示ウィンドウ121に戻る(図13参照)。
【0055】
図13は、表示ウィンドウ121に戻った後の表示画面を示す図である。
【0056】
図13に示す表示ウィンドウ121を参照すると、項目のグループGについては、スキャン条件SC1が設定されていることがわかる。
【0057】
尚、上記の説明では、スキャン時間が最優先される場合について説明されているが、高品質の画像を得ることが最優先される場合もある。この場合、スキャン時間を短くすることよりも、画質をよくすることが重要であるので、操作者14は、スライダー124aを右端の目盛りM5に移動させる。したがって、スキャン時間は長いが画質が最もよくなるように設定されたスキャン条件SC5が選択されるので、操作者14が望むように、画質の良い画像を得ることができる。また、操作者14がスライダー124aを右端の目盛りM5に移動させるだけでスキャン条件SC5が自動的に選択されるので、スキャン条件SC5を簡単に設定することができる。操作者14は、スキャン条件SC5を確認したい場合は、ウィンドウ切替ボタン122をクリックし、表示ウィンドウ121に戻ればよい。
【0058】
また、画質とスキャン時間との両方が優先される場合は、操作者14は、スライダー124aを中央の目盛りM3に移動させる。この場合、画質もあまり悪くならず、且つスキャン時間もあまり長くならないように被検体13をスキャンするスキャン条件SC3を選択することができる。更に、操作者14は、必要に応じて、スライダー124aを目盛りM2又はM4に移動させることにより、スキャン条件SC2又はSC4を選択することもできる。
【0059】
(2)第2の実施形態
第1の実施形態では、スライダーバー124は、スキャン時間と画像との組合せを選択できるように構成されているが、第2の実施形態では、スライダーバー124は、撮影領域の広さを選択できるように構成されている。以下に、第2の実施形態におけるスライダーバー124について説明する。尚、第2の実施形態におけるハードウェア構成は、第1の実施形態と同じである。
【0060】
図14は、第2の実施形態におけるスライダーバー124を表示する表示画面の一例を示す図である。
【0061】
表示ウィンドウ123には、撮影領域FOVの広さを選択するためのスライダーバー124が表示されている。スライダーバー124は、スライダー124aと、スライダー124aが移動可能な範囲を規定するバー124bとを有している。バー124bには、撮影領域FOVの広さを、最も狭い「Small」から、最も広い「Large」まで、5つの選択肢の中から選択できるようにするための目盛りM1〜M5が付されている。目盛りM1〜M5は、左端の目盛りM1から右端の目盛りM5に移動するに従って、撮影領域FOVは次第に広くなることを意味している。データベース9(図1参照)には、目盛りM1〜M5の各々に対応する5つのスキャン条件(図示せず)が記憶されている。これらの5つのスキャン条件は、スライダーバー124によって設定された撮影領域FOVの広さに関わらず、スキャン時間および画質がほぼ同等になるように設定されている。したがって、操作者14は、スライダーバー124で、被検体13の体格に対応した撮影領域FOVを選択するだけで、被検体13の体格に適したスキャン条件で撮影することができる。また、操作者14がスライダー124aを移動させるだけでスキャン条件が自動的に選択されるので、スキャン条件を簡単に設定することができる。
【0062】
尚、第1および第2の実施形態では、磁気共鳴イメージング装置について説明されているが、本発明は、CT(Computed Tomography)装置など、他の医療装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 MRI装置
2 磁場発生装置
3 テーブル
4 受信コイル
5 シーケンサ
6 送信器
7 勾配磁場電源
8 受信器
9 データベース
10 中央処理装置
11 入力装置
12 表示装置
13 被検体
14 オペレータ
22 超伝導コイル
23 勾配コイル
24 送信コイル
31 クレードル
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャン条件を設定するスキャン条件設定装置、および医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体を撮影する場合、操作者は撮影条件を設定する必要がある。しかし、設定しなければならない撮影条件が多くなると、操作者の掛かる負担も大きくなる。そこで、撮影パラメータ等を迅速且つ容易に選択・設定可能にするための方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-225222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1による方法では、撮影種ごとに画像コントラストに支配的なパラメータを調整可能にしている。しかし、一般的には、パラメータを調整した場合、画像コントラストがどれ位変化するかを理解することは容易ではないので、好適な画像コントラストが得られるようにパラメータを調整することは難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑み、被検体を撮影するときのスキャン条件を容易に決定することができるスキャン条件決定装置、および医療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決する本発明の第1のスキャン条件設定装置は、
被検体をスキャンするときのスキャン条件を設定するスキャン条件設定装置であって、
スキャン時間と画質との組合せを複数備え、操作者の操作に応じて、前記スキャン時間と画質との複数の組合せの中から、一つの組合せを選択する選択手段と、
前記スキャン時間と画質との各組合せに対応するスキャン条件を記憶するスキャン条件記憶手段と、
を有し、
前記選択手段により選択されたスキャン時間と画質との組合せに対応するスキャン条件を、前記被検体をスキャンするときのスキャン条件として設定する。
また、本発明の第2のスキャン条件設定装置は、
被検体をスキャンするときのスキャン条件を設定するスキャン条件設定装置であって、
撮影領域の広さの違いを表す複数の選択肢を備え、操作者の操作に応じて、前記複数の選択肢の中から、一つの選択肢を選択する選択手段と、
前記複数の選択肢の各々に対応するスキャン条件を記憶するスキャン条件記憶手段と、
を有し、
前記選択手段により選択された選択肢に対応するスキャン条件を、前記被検体をスキャンするときのスキャン条件として設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1のスキャン条件設定装置では、スキャン時間と画質との各組合せに対応するスキャン条件を記憶している。したがって、操作者が、スキャン時間と画質との複数の組合せの中から、一つの組合せを選択するだけで、選択されたスキャン時間と画質との組合せに対応するスキャン条件が設定されるので、スキャン条件の設定を容易に行うことができる。
また、本発明の第2のスキャン条件設定装置では、撮影領域の広さとして選択可能な選択肢の各々に対応するスキャン条件を記憶している。したがって、操作者が、複数の選択肢の中から一つの選択肢を選択するだけで、選択された選択肢に対応するスキャン条件が設定されるので、スキャン条件の設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
【図2】操作者14がスキャン計画を立てるときのフローを説明する図である。
【図3】表示装置12に表示された表示画面の一例を示す図である。
【図4】表示ウィンドウ121に示されるスキャン条件の主な項目とその意味を示す図である。
【図5】操作者14がスキャン条件の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【図6】操作者14がスキャン条件の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【図7】項目「Scan Plane」の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【図8】項目「Scan Plane」の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【図9】操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更できる項目の説明図である。
【図10】スキャン時間と画質との関係を確認しながら項目のグループGに関するスキャン条件を自動的に変更できるようにするための表示ウィンドウ123の一例を示す図である。
【図11】スライダー124aの位置とスキャン条件との関係を説明する図である。
【図12】スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させた様子を示す図である。
【図13】表示ウィンドウ121に戻った後の表示画面を示す図である。
【図14】第2の実施形態におけるスライダーバー124を表示する表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
【0010】
磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置と呼ぶ)1は、磁場発生装置2、テーブル3、受信コイル4などを有している。
【0011】
磁場発生装置2は、被検体13が収容されるボア21と、超伝導コイル22と、勾配コイル23と、送信コイル24とを有している。超伝導コイル22は静磁場B0を印加し、勾配コイル23は勾配パルスを印加し、送信コイル24はRFパルスを送信する。
【0012】
テーブル3は、被検体13を搬送するためのクレードル31を有している。クレードル31によって、被検体13はボア21に搬送される。
【0013】
受信コイル4は、被検体13の腹部13aに取り付けられており、腹部13aからの磁気共鳴信号を受信する。
【0014】
MRI装置1は、更に、シーケンサ5、送信器6、勾配磁場電源7、受信器8、データベース9、中央処理装置10、入力装置11、および表示装置12を有している。
【0015】
シーケンサ5は、中央処理装置10の制御を受けて、RFパルスの情報(中心周波数、バンド幅など)を送信器6に送り、勾配磁場の情報(勾配磁場の強度など)を勾配磁場電源7に送る。
【0016】
送信器6は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、送信コイル24を駆動する。
【0017】
勾配磁場電源7は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、勾配コイル23を駆動する。
【0018】
受信器8は、受信コイル4で受信された磁気共鳴信号を信号処理し、中央処理装置10に伝送する。
【0019】
データベース9は、スキャン条件SC1〜SC5(後述する図11参照)を記憶する。
【0020】
中央処理装置10は、受信器8から受け取った信号に基づいて画像を再構成するなど、MRI装置1の各種の動作を実現するように、MRI装置1の各部の動作を総括する。また、中央処理装置は、操作者14が入力装置11を介して入力した情報に基づいて、データベース9に記憶されているスキャン条件SC1〜SC5の中から、必要なスキャン条件が表示されるように、表示装置12を制御する。中央処理装置10は、例えばコンピュータ(computer)によって構成される。尚、中央処理装置10は、本発明における選択手段の一例であり、所定のプログラムを実行することにより、選択手段として機能する。
【0021】
入力装置11は、操作者14の操作に応じて、種々の命令を中央処理装置10に入力する。表示装置12は種々の情報を表示する。
【0022】
MRI装置1は、上記のように構成されている。
操作者14は、MRI装置1を用いて被検体13をスキャンする場合、事前にスキャン計画を立てる。以下に、操作者14がどのようにしてスキャン計画を立てるかについて説明する。
【0023】
図2は、操作者14がスキャン計画を立てるときのフローを説明する図である。
【0024】
ステップS1において、操作者14は、入力装置11を操作して、表示装置12に、スキャン条件を設定するための画面を表示する(図3参照)。
【0025】
図3は、表示装置12に表示された表示画面の一例を示す図である。
【0026】
表示画面の左上には、被検体13を撮影するときに行われる7個のタスク12a〜12gが示されている。タスクとは、被検体13のスキャン条件などを規定している。例えば、タスク12dは、Flair(FLuid
Attenuated Inversion Recovery)法によって被検体13の頭部のT2強調画像を得る場合のスキャン条件などを規定している。表示画面を表示させた後、ステップS2に進む。
【0027】
ステップS2では、操作者14は、各タスク12a〜12gに関するスキャン条件などを確認する。例えば、操作者14がタスク12dに関するスキャン条件を確認したいと考えた場合、操作者14は入力装置11を操作してタスク12dを選択する。タスク12dが選択されることによって、表示画面の下段の表示ウィンドウ121に、タスク12dに関連するスキャン条件などが表示される。表示ウィンドウ121には、スキャン時間121aも表示される。図3では、スキャン時間STは、「2分58秒」である。スキャン条件は複数の項目を有している。以下に、スキャン条件の項目について説明する。
【0028】
図4は、表示ウィンドウ121に示されるスキャン条件の主な項目とその意味を示す図である。
【0029】
操作者14は、表示ウィンドウ121を参照することによって、スキャン条件を確認することができる。条件を確認した後、ステップS3に進む。
【0030】
ステップS3では、操作者14は、スキャン条件を手動で変更するか否かを決定する。
【0031】
操作者14は、スキャン条件の項目の2つの項目(# of TE(s) per Scan、およびEcho Train Length)については、設定内容を変更することはできないが、他の項目については、操作者14自身が設定内容を変更することができる。したがって、スキャン時間を短くしたい場合、操作者14は、例えば、項目「Phase」の値を小さくしたり、項目「Freq.FOV」の値を小さくすることによって、スキャン時間を短縮することができる。また、解像度を上げたい場合は、例えば、項目「Phase」の値を大きくすることによって、解像度を上げることができる。したがって、操作者14が、表示ウィンドウ121に表示されたスキャン条件の設定を手動で変更したいと考えた場合、ステップS4に進む。
【0032】
ステップS4では、操作者14はスキャン条件の設定の設定を変更する。
【0033】
図5および図6は、操作者14がスキャン条件の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【0034】
図5では、操作者14がスキャン条件の中の項目「Phase」の設定を変更する例が示されている。操作者14は、入力装置11を操作して、項目「Phase」の候補値を表示させる。図5では、項目「Phase」の候補値は、「224」の他に、「160」、「192」、「256」、および「512」がある。操作者14は、複数の候補値の中から一つの候補値を選択する。例えば、操作者14が候補値「192」を選択すると、項目「Phase」は、図6に示すように、「192」となる。図5と図6とを比較すると、項目「Phase」を「224」から「192」に変更することによって、スキャン時間121aが「2分58秒」から「2分28秒」に短縮されていることがわかる。
【0035】
図5および図6では、項目「Phase」の設定を変更する手順について説明されているが、別の項目の設定を変更する場合にも、同様の手順で調整することができる。以下に、別の項目の設定を変更する例として、項目「Scan Plane」の設定を変更する手順について説明する。
【0036】
図7および図8は、項目「Scan
Plane」の設定を変更する手順の一例を示す図である。
【0037】
操作者14は、入力装置11を操作して、図7に示すように、項目「Scan Plane」の候補を表示させる。Scan
Planeの候補は、「Axial」の他に、「Coronal」、「Sagittal」、および「Oblique」が存在しているので、操作者14は、複数の候補の中から一つの候補を選択する。操作者14が候補値を選択すると、項目「Scan Plane」の欄には、選択された候補が表示される。図8には、「Sagittal」が選択されたときの画面が示されている。「Sagittal」は、スキャン面がサジタル面に設定されることを意味する。項目「Scan Pane」が「Sagittal」に設定されると、項目「Freq.Dir」は自動的に「S/I」に設定される(「S/I」は、周波数エンコード方向がSI方向に設定されたことを意味する)。
【0038】
以上の手順で、操作者14が、スキャン条件の内容を変更し終えると、図2のフローが終了する。
【0039】
しかし、スキャン条件の内容を変更した場合、画質に影響を与えてしまうことがある。一般に、スキャン条件の内容を変更したことにより、画質がどの程度の影響を受けるのかを予想することは容易ではない。したがって、スキャン条件の内容を変更することによって、スキャン時間は短縮できたものの、得られた画像の画質が操作者14の考えていた以上に悪い場合、再スキャンすることになり、トータルの撮影時間が逆に長くなってしまうことがある。これでは、被検体13に掛かる負担が逆に大きくなってしまうので、好ましくない。そこで、本実施形態では、表示ウィンドウ121に表示されているスキャン条件の主な項目については、操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更できるように構成されている。以下に、表示ウィンドウ121に表示されているスキャン条件の項目の中で、操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更できる項目について、図9を参照しながら説明する。
【0040】
図9は、操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更できる項目の説明図である。
【0041】
本実施形態では、表示ウィンドウ121に表示されているの項目の中の所定の項目のグループGについては、操作者14が、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、自動的に設定内容を変更することができる。尚、項目「Coil」や「Scan Plane」のように、操作者14が任意に設定内容を変更できる方が好ましい項目については、グループGには含まれていない。
【0042】
操作者14は、スキャン時間と画質との関係を確認しながら、項目のグループGに関するスキャン条件を自動的に変更したいと考えた場合、ステップS3から、ステップS5に進む。
【0043】
ステップS5では、操作者14は、スキャン時間と画質との関係を確認しながら項目のグループGに関するスキャン条件を自動的に変更できるようにするための表示ウィンドウを表示させる(図10参照)。
【0044】
図10は、スキャン時間と画質との関係を確認しながら項目のグループGに関するスキャン条件を自動的に変更できるようにするための表示ウィンドウ123の一例を示す図である。
【0045】
表示画面には、表示ウィンドウを切り替えるためのウィンドウ切替ボタン122が設けられている。このボタン122を操作することによって、操作者14は、スキャン時間と画質との関係を確認しながら項目のグループG(図9参照)に関するスキャン条件を自動的に変更できるようにするための表示ウィンドウ123を表示することができる。
【0046】
表示ウィンドウ123には、スキャン時間と画質との関係を選択するためのスライダーバー124が表示されている。スライダーバー124は、スライダー124aと、スライダー124aが移動可能な範囲を規定するバー124bとを有している。バー124bには、画質とスキャン時間との関係を5段階で表すための目盛りM1〜M5が付されている。目盛りM1〜M5は、左端の目盛りM1から右端の目盛りM5に移動するに従って、画質は良くなるが、スキャン時間は長くなることを意味している。操作者14がスライダー124aの位置を調整することによって、項目のグループGに関するスキャン条件は自動的に調整される。以下に、スライダーの位置に応じて、スキャン条件がどのように調整されるかについて説明する。
【0047】
図11は、スライダー124aの位置とスキャン条件との関係を説明する図である。
【0048】
図11には、スキャン条件の中の主な項目のグループG(図9参照)が示されている。データベース9(図1参照)には、項目のグループGに関するスキャン条件として、5つのスキャン条件SC1〜SC5が予め登録されている。操作者14がスライダー124aを左端の目盛りM1に移動させると、スキャン条件SC1が選択される。スキャン条件SC1は、スキャン条件SC1〜SC5の中で、画質は最も悪いが、スキャン時間は最も短くなるように、項目のグループGの内容が設定されている。操作者14がスライダー124aを左端の目盛りM1から、目盛りM2、M3、M4、およびM5の順に移動させるに従って、スキャン条件SC2、SC3、SC4、およびSC5が順に選択される。スライダー124aの位置が右端の目盛りM5に近づくにつれて、スキャン条件SC1〜SC5は、スキャン時間よりも画質が優先されるように設定されている。スライダー124aを右端の目盛りM5に移動させると、スキャン条件SC5が選択される。スキャン条件SC5は、スキャン条件SC1〜SC5の中で、スキャン時間は最も長くなるが、画質が最もよくなるように、項目のグループGの内容が設定されている。
【0049】
図11に示すスキャン条件SC1〜SC5を決定する方法の一例としては、項目のグループGの設定条件を変更しながら多数の被検体13をスキャンし、実際に得られたMR画像の画質と、実際に掛かったスキャン時間とを考慮して決定する方法が考えられる。
【0050】
図10に示すように、表示ウィンドウ123を表示させた後、ステップS6に進む。
【0051】
ステップS6では、操作者14は、自分自身が望んでいるスキャン時間と画質との関係を考慮して、スライダー124aを移動させる。例えば、スキャン時間を少しでも短くすることが最優先される場合(急患を撮影する場合など)、画質をよくすることよりも、スキャン時間を短くすることが重要であるので、この場合、操作者14は、スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させる(図12参照)。
【0052】
図12は、スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させた様子を示す図である。
【0053】
スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させることにより、画質は悪いが最も短いスキャン時間でスキャンが行えるスキャン条件SC1が自動的に選択される。したがって、操作者14の望むように、被検体13の画像を短時間で得ることができる。また、操作者14自身が、表示ウィンドウ121(図3参照)内の項目の設定を個別に変更しなくても、操作者14がスライダー124aを左端の目盛りM1に移動させるだけでスキャン条件SC1が自動的に選択されるので、スキャン条件SC1を簡単に設定することができる。
【0054】
尚、操作者14は、スライダー124aを左端の目盛りM1に移動させた場合に選択されるスキャン条件SC1の内容を確認することもできる。操作者14は、スキャン条件SC1の内容を確認したい場合、ウィンドウ切替ボタン122を操作し、スキャン条件を表示する表示ウィンドウ121に戻る(図13参照)。
【0055】
図13は、表示ウィンドウ121に戻った後の表示画面を示す図である。
【0056】
図13に示す表示ウィンドウ121を参照すると、項目のグループGについては、スキャン条件SC1が設定されていることがわかる。
【0057】
尚、上記の説明では、スキャン時間が最優先される場合について説明されているが、高品質の画像を得ることが最優先される場合もある。この場合、スキャン時間を短くすることよりも、画質をよくすることが重要であるので、操作者14は、スライダー124aを右端の目盛りM5に移動させる。したがって、スキャン時間は長いが画質が最もよくなるように設定されたスキャン条件SC5が選択されるので、操作者14が望むように、画質の良い画像を得ることができる。また、操作者14がスライダー124aを右端の目盛りM5に移動させるだけでスキャン条件SC5が自動的に選択されるので、スキャン条件SC5を簡単に設定することができる。操作者14は、スキャン条件SC5を確認したい場合は、ウィンドウ切替ボタン122をクリックし、表示ウィンドウ121に戻ればよい。
【0058】
また、画質とスキャン時間との両方が優先される場合は、操作者14は、スライダー124aを中央の目盛りM3に移動させる。この場合、画質もあまり悪くならず、且つスキャン時間もあまり長くならないように被検体13をスキャンするスキャン条件SC3を選択することができる。更に、操作者14は、必要に応じて、スライダー124aを目盛りM2又はM4に移動させることにより、スキャン条件SC2又はSC4を選択することもできる。
【0059】
(2)第2の実施形態
第1の実施形態では、スライダーバー124は、スキャン時間と画像との組合せを選択できるように構成されているが、第2の実施形態では、スライダーバー124は、撮影領域の広さを選択できるように構成されている。以下に、第2の実施形態におけるスライダーバー124について説明する。尚、第2の実施形態におけるハードウェア構成は、第1の実施形態と同じである。
【0060】
図14は、第2の実施形態におけるスライダーバー124を表示する表示画面の一例を示す図である。
【0061】
表示ウィンドウ123には、撮影領域FOVの広さを選択するためのスライダーバー124が表示されている。スライダーバー124は、スライダー124aと、スライダー124aが移動可能な範囲を規定するバー124bとを有している。バー124bには、撮影領域FOVの広さを、最も狭い「Small」から、最も広い「Large」まで、5つの選択肢の中から選択できるようにするための目盛りM1〜M5が付されている。目盛りM1〜M5は、左端の目盛りM1から右端の目盛りM5に移動するに従って、撮影領域FOVは次第に広くなることを意味している。データベース9(図1参照)には、目盛りM1〜M5の各々に対応する5つのスキャン条件(図示せず)が記憶されている。これらの5つのスキャン条件は、スライダーバー124によって設定された撮影領域FOVの広さに関わらず、スキャン時間および画質がほぼ同等になるように設定されている。したがって、操作者14は、スライダーバー124で、被検体13の体格に対応した撮影領域FOVを選択するだけで、被検体13の体格に適したスキャン条件で撮影することができる。また、操作者14がスライダー124aを移動させるだけでスキャン条件が自動的に選択されるので、スキャン条件を簡単に設定することができる。
【0062】
尚、第1および第2の実施形態では、磁気共鳴イメージング装置について説明されているが、本発明は、CT(Computed Tomography)装置など、他の医療装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 MRI装置
2 磁場発生装置
3 テーブル
4 受信コイル
5 シーケンサ
6 送信器
7 勾配磁場電源
8 受信器
9 データベース
10 中央処理装置
11 入力装置
12 表示装置
13 被検体
14 オペレータ
22 超伝導コイル
23 勾配コイル
24 送信コイル
31 クレードル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体をスキャンするときのスキャン条件を設定するスキャン条件設定装置であって、
スキャン時間と画質との組合せを複数備え、操作者の操作に応じて、前記スキャン時間と画質との複数の組合せの中から、一つの組合せを選択する選択手段と、
前記スキャン時間と画質との各組合せに対応するスキャン条件を記憶するスキャン条件記憶手段と、
を有し、
前記選択手段により選択されたスキャン時間と画質との組合せに対応するスキャン条件を、前記被検体をスキャンするときのスキャン条件として設定する、スキャン条件設定装置。
【請求項2】
前記選択手段は、
表示装置に、スキャン時間と画質との複数の組合せの中から、一つの組合せを選択するためのスライダーバーを表示させる、請求項1に記載のスキャン条件設定装置。
【請求項3】
前記スライダーバーは、
前記スキャン時間と画質との複数の組合せの各々に対応する位置を規定するバーと、
前記バーに規定された位置に移動可能なスライダーと、
を有する、請求項2に記載のスキャン条件設定装置。
【請求項4】
前記スキャン条件には、繰返し時間、エコー時間、エコートレイン長、周波数エンコード方向のマトリックス数、および位相エンコード方向のマトリックス数、のうちのいずれかが含まれている、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のスキャン条件設定装置。
【請求項5】
被検体をスキャンするときのスキャン条件を設定するスキャン条件設定装置であって、
撮影領域の広さの違いを表す複数の選択肢を備え、操作者の操作に応じて、前記複数の選択肢の中から、一つの選択肢を選択する選択手段と、
前記複数の選択肢の各々に対応するスキャン条件を記憶するスキャン条件記憶手段と、
を有し、
前記選択手段により選択された選択肢に対応するスキャン条件を、前記被検体をスキャンするときのスキャン条件として設定する、スキャン条件設定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のスキャン条件設定装置を有する医療装置。
【請求項1】
被検体をスキャンするときのスキャン条件を設定するスキャン条件設定装置であって、
スキャン時間と画質との組合せを複数備え、操作者の操作に応じて、前記スキャン時間と画質との複数の組合せの中から、一つの組合せを選択する選択手段と、
前記スキャン時間と画質との各組合せに対応するスキャン条件を記憶するスキャン条件記憶手段と、
を有し、
前記選択手段により選択されたスキャン時間と画質との組合せに対応するスキャン条件を、前記被検体をスキャンするときのスキャン条件として設定する、スキャン条件設定装置。
【請求項2】
前記選択手段は、
表示装置に、スキャン時間と画質との複数の組合せの中から、一つの組合せを選択するためのスライダーバーを表示させる、請求項1に記載のスキャン条件設定装置。
【請求項3】
前記スライダーバーは、
前記スキャン時間と画質との複数の組合せの各々に対応する位置を規定するバーと、
前記バーに規定された位置に移動可能なスライダーと、
を有する、請求項2に記載のスキャン条件設定装置。
【請求項4】
前記スキャン条件には、繰返し時間、エコー時間、エコートレイン長、周波数エンコード方向のマトリックス数、および位相エンコード方向のマトリックス数、のうちのいずれかが含まれている、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のスキャン条件設定装置。
【請求項5】
被検体をスキャンするときのスキャン条件を設定するスキャン条件設定装置であって、
撮影領域の広さの違いを表す複数の選択肢を備え、操作者の操作に応じて、前記複数の選択肢の中から、一つの選択肢を選択する選択手段と、
前記複数の選択肢の各々に対応するスキャン条件を記憶するスキャン条件記憶手段と、
を有し、
前記選択手段により選択された選択肢に対応するスキャン条件を、前記被検体をスキャンするときのスキャン条件として設定する、スキャン条件設定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のスキャン条件設定装置を有する医療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−98128(P2011−98128A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255618(P2009−255618)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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