説明

スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を設定する超音波システムおよび方法

【課題】スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を自動的に設定して、最適化された4次元超音波映像を提供することができる超音波システムおよび方法を提供すること。
【解決手段】超音波システム100は、予め定められたスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を考慮して、少なくとも1つの関心物体を含む対象体に超音波信号を送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数のフレームのそれぞれに対応する超音波データを取得する超音波データ取得部120と、前記超音波データ取得部120に連結されて、前記超音波データを用いて前記対象体のボリュームデータを形成し、前記ボリュームデータを用いて前記対象体の複数の2次元超音波映像を形成し、前記複数の2次元超音波映像に対する前記関心物体の輪郭に基づいて前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を再設定するプロセッサ130とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波システムに関し、特に、スキャン角度(scan angle)、スキャン深さ(scan depth)およびスキャン速度(scan speed)を自動で設定する超音波システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムは、無侵襲および非破壊特性を有しており、対象体内部の情報を得るために医療分野で広く用いられている。超音波システムは、対象体を直接切開して観察する外科手術の必要がなく、対象体の内部組織を高解像度の映像で医師に提供することができるため、医療分野で非常に重要なものとして用いられている。
【0003】
3次元の超音波映像を用いた超音波システムは、2次元超音波映像では提供することができない空間情報や解剖学的な形態情報を提供してくれる。即ち、この超音波システムは、超音波信号を対象体に送信して対象体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信してボリュームデータを形成し、ボリュームデータをレンダリングして3次元超音波映像を形成する。
【0004】
一方、超音波システムは、対象体の3次元超音波映像をリアルタイムで且つ連続的に形成するリアルタイム3次元超音波映像、すなわち、4次元超音波映像を提供している。このような4次元超音波映像は、スキャン角度(scan angle)、スキャン深さ(scan depth)およびスキャン速度(scan speed)によって、その画質が変ることがある。ここで、スキャン角度は、超音波プローブ内の変換素子がスイング(swing)することができる範囲を示し、スキャン深さは、超音波信号を送受信する深さを示し、スキャン速度は、1つのフレームを得るための速度、すなわち、フレームレートを示す。
【0005】
従来は、スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度はユーザによって手動で調節されていた。すなわち、ユーザが4次元超音波映像の状態を把握した後に、スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を調節していた。従って、最適化された4次元超音波映像を得るために、スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を自動的で設定することができる超音波システムおよび方法が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−259764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、スキャン角度(scan angle)、スキャン深さ(scan depth)およびスキャン速度(scan speed)を自動で設定して、最適化された4次元超音波映像を提供することができる超音波システムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における超音波システムは、予め定められたスキャン角度(scan angle)、スキャン深さ(scan depth)およびスキャン速度(scan speed)を考慮して、少なくとも1つの関心物体を含む対象体に超音波信号を送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数のフレームのそれぞれに対応する超音波データを取得する超音波データ取得部と、前記超音波データ取得部に連結されて、前記超音波データを用いて前記対象体のボリュームデータを形成し、前記ボリュームデータを用いて前記対象体の複数の2次元超音波映像を形成し、前記複数の2次元超音波映像に対する前記関心物体の輪郭に基づいて前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を再設定するプロセッサとを備える。
【0009】
また、本発明におけるスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度の設定方法は、a)予め定められた、スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を考慮して、少なくとも1つの関心物体を含む対象体に超音波信号を送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数のフレームのそれぞれに対応する超音波データを取得する段階と、b)前記複数の超音波データを用いて前記対象体のボリュームデータを形成する段階と、c)前記ボリュームデータを用いて前記対象体の複数の2次元超音波映像を形成する段階と、d)前記複数の2次元超音波映像に対する前記関心物体の輪郭に基づいて前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を再設定する段階とを備える。
【0010】
また、本発明における、スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を設定する方法を行うためのプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記方法が、a)予め定められた、前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を考慮して、少なくとも1つの関心物体を含む対象体に超音波信号を送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数のフレームのそれぞれに対応する超音波データを取得する段階と、b)前記複数の超音波データを用いて前記対象体のボリュームデータを形成する段階と、c)前記ボリュームデータを用いて前記対象体の複数の2次元超音波映像を形成する段階と、d)前記複数の2次元超音波映像に対する前記関心物体の輪郭に基づいて前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を再設定する段階とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、スキャン角度(scan angle)、スキャン深さ(scan depth)およびスキャン速度(scan speed)を自動で設定でき、最適化された4次元超音波映像を提供することができるだけでなく、ユーザの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。
【図3】フレームのスキャン方向を示す例示図である。
【図4】本発明の実施例におけるプロセッサの構成を示すブロック図である。
【図5】ボリュームデータの例を示す例示図である。
【図6】本発明の実施例によって、スキャン角度(scan angle)およびスキャン深さ(scan depth)を自動で設定する順序を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例によって、スキャン速度(scan speed)を自動で設定する順序を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、超音波システム100は、ユーザ入力部110、超音波データ取得部120、プロセッサ130、格納部140およびディスプレイ部150を備える。
【0015】
ユーザ入力部110は、ユーザからの入力情報を受信する。本実施例において、入力情報は、対象体の診断部位(例えば、胎児など)を示すアプリケーション(application)を選択するための入力情報を含む。しかし、入力情報は、必ずしもこれに限定されない。ユーザ入力部110は、コントロールパネル(control panel)、マウス(mouse)、キーボード(keyboard)などを含む。
【0016】
超音波データ取得部120は、少なくとも1つの関心物体を含む対象体に超音波信号を送信し、対象体から反射される超音波信号(すなわち、超音波エコー信号)を受信して超音波データを取得する。
【0017】
図2は、本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。図2を参照すると、超音波データ取得部120は、送信信号形成部121、複数の電気音響変換素子(transducer element:以下単に変換素子と呼ぶ)(図示せず)を含む超音波プローブ122、ビームフォーマ123および超音波データ形成部124を備える。
【0018】
送信信号形成部121は、変換素子および集束点を考慮して、図3に示すように、リアルタイム3次元超音波映像、すなわち、4次元超音波映像に対応するフレームF(1≦i≦N)のそれぞれを得るための送信信号を形成する。
【0019】
超音波プローブ122は、送信信号形成部121から送信信号が提供されると、送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して受信信号を形成する。受信信号は、アナログ信号である。超音波プローブ122は、3Dメカニカルプローブ(three-dimensional mechanical probe)を含む。しかし、超音波プローブ122は、必ずしもこれに限定されない。
【0020】
ビームフォーマ123は、超音波プローブ122から受信信号が提供されると、受信信号をアナログデジタル変換してデジタル信号を形成する。また、ビームフォーマ123は、変換素子および集束点を考慮して、デジタル信号を受信集束させて受信集束信号を形成する。
【0021】
超音波データ形成部124は、ビームフォーマ123から受信集束信号が提供されると、受信集束信号を用いて該当フレームF(1≦i≦N)に対応する超音波データを形成する。また、超音波データ形成部124は、超音波データを形成するのに必要な様々な信号処理(例えば、利得(gain)調節など)を受信集束信号に行うことができる。
【0022】
再び図1を参照すると、プロセッサ130は、ユーザ入力部110および超音波データ取得部120に連結される。プロセッサ130は、超音波データ取得部120から提供される超音波データを用いてボリュームデータを形成する。また、プロセッサ130は、ユーザ入力部110から提供される入力情報に基づいて、ボリュームデータを用いてスキャン角度(scan angle)、スキャン深さ(scan depth)およびスキャン速度(scan speed)を設定する。また、プロセッサ130は、ボリュームデータを用いて4次元超音波映像を形成する。
【0023】
図4は、本発明の実施例におけるプロセッサの構成を示すブロック図である。プロセッサ130は、ボリュームデータ形成部131、第1の映像形成部132、輪郭検出部133および設定部134を備える。また、プロセッサ130は、第2の映像形成部135をさらに備える。
【0024】
ボリュームデータ形成部131は、超音波データ取得部120から超音波データが提供されると、超音波データを用いて、図5に示すようにボリュームデータ210を形成する。
【0025】
図5は、ボリュームデータ210の例を示す例示図である。ボリュームデータ210は、輝度値を有する複数のボクセル(voxel)(図示せず)を含む。図5において、符号221〜223は、互いに直交するA断面、B断面およびC断面を示す。また、図5において、軸(axial)方向は、超音波プローブ112の変換素子を基準として超音波信号の進行方向を、横(lateral)方向は、スキャンライン(scanline)の移動方向を、また、エレベーション(elevation)方向は、3次元超音波映像の深さ方向であって、フレームのスキャン方向を示す。
【0026】
第1の映像形成部132は、ボリュームデータ形成部131からボリュームデータ210が提供されると、ボリュームデータ210を用いて2次元超音波映像を形成する。本実施例において、2次元超音波映像は、ボリュームデータ210をなす複数のフレームのうち、最初のフレームに対応する2次元超音波映像(第1の2次元超音波映像)、最後のフレームに対応する2次元超音波映像(第2の2次元超音波映像)および最初のフレームと最後のフレームに垂直な垂直フレームに対応する2次元超音波映像(第3の2次元超音波映像)を含む。ここで、垂直フレームは、B断面に対応するフレームであってもよい。また、2次元超音波映像は、A断面221、B断面222およびC断面223のそれぞれに対応する2次元超音波映像を含むことができる。
【0027】
輪郭検出部133は、第1の映像形成部132から提供される第1〜第3の2次元超音波映像のそれぞれに輪郭検出を行って関心物体の輪郭を検出する。輪郭は、ソーベル(Sobel)マスク、プレウィット(Prewitt)マスク、ロバート(Robert)マスク、キャニー(Canny)マスクなどのような輪郭検出マスクを用いて検出することができる。また、輪郭は、構造テンソル(Structure tensor)を用いた固有値(eigen value)の差から検出することもできる。
【0028】
設定部134は、ユーザ入力部110から提供される入力情報に基づいて、輪郭検出部133で検出された輪郭を用いてスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を設定する。設定部134については、図6を参照して詳細に説明する。
【0029】
第2の映像形成部135は、ボリュームデータ形成部131からボリュームデータ210が提供されると、ボリュームデータ210をレンダリングして4次元超音波映像を形成する。レンダリングは、レイキャスティング・レンダリング(ray-casting rendering)、表面レンダリング(surface rendering)などを含む。
【0030】
再び図1を参照すると、格納部140は、超音波データ取得部120で 取得された超音波データを格納する。また、格納部140は、プロセッサ130で形成されたボリュームデータ210を格納する。
【0031】
ディスプレイ部150は、プロセッサ130で形成された4次元超音波映像を表示する。また、ディスプレイ部150は、プロセッサ130で形成された2次元超音波映像を表示する。
【0032】
以下、添付した図面を参照して、スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を自動で設定する手順を詳細に説明する。
【0033】
図6は、本発明の実施例によって、スキャン角度およびスキャン深さを自動で設定する順序を示すフローチャートである。図6を参照すると、超音波データ取得部120は、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数のフレームのそれぞれに対応する超音波データを取得する(S102)。このとき、超音波データ取得部120は、予め定められたスキャン角度およびスキャン深さに基づいて超音波データを取得する。
【0034】
ボリュームデータ形成部131は、超音波データ取得部120から超音波データが提供されると、超音波データを用いてボリュームデータ210を形成する(S104)。
【0035】
第1の映像形成部132は、ボリュームデータ形成部131から提供されるボリュームデータ210を用いて、最初のフレームおよび最後のフレームを検出し(S106)、最初のフレームおよび最後のフレームのそれぞれに対応する2次元超音波映像(第1および第2の2次元超音波映像)を形成する(S108)。
【0036】
輪郭検出部133は、第1の映像形成部132から提供される2つの2次元超音波映像に輪郭検出を行って関心物体の輪郭を検出する(S110)。設定部134は、輪郭検出部133で関心物体の輪郭が検出されたかどうかを判断する(S112)。
【0037】
輪郭が検出されていないと判断されると、設定部134は、スキャン角度を予め定められた角度(例えば、5°)だけ減少させるスキャン角度の再設定を行う(S114)。従って、関心物体の輪郭が検出されるまで、超音波データ取得部120は、設定部134で再設定されたスキャン角度を考慮して超音波データを取得し、ボリュームデータ形成部131は、超音波データ取得部120から提供される超音波データを用いてボリュームデータを形成し、第1の映像形成部132は、ボリュームデータ形成部131から提供されるボリュームデータを用いて、最初のフレームおよび最後のフレームのそれぞれに対応する2次元超音波映像を形成する。
【0038】
一方、段階S112において、輪郭が検出されたと判断されると、第1の映像形成部132は、ボリュームデータに対して最初および最後のフレームに垂直な垂直フレームを検出し(S116)、垂直フレームに対応する2次元超音波映像(第3の2次元超音波映像)を形成する(S118)。輪郭検出部133は、第1の映像形成部132で形成された垂直フレームに対応する2次元超音波映像に輪郭検出を行って関心物体の輪郭を検出する(S120)。
【0039】
設定部134は、ユーザ入力部110から提供される入力情報に基づいて、最初および最後のフレームのそれぞれに対応する2次元超音波映像の輪郭と、垂直フレームに対応する2次元超音波映像の輪郭との間で連結性の有無を判断する(S122)。輪郭間の連結性は、公知の様々な方法を通じて判断することができるので、本実施例では詳細に説明しない。一例として、輪郭間の連結性は、類似度算出を通じて判断することができる。
【0040】
段階S122において、最初および最後のフレームのそれぞれに対応する2次元超音波映像の輪郭と、垂直フレームに対応する2次元超音波映像の輪郭との間で連結性があると判断されると、すなわち、同一の関心物体(例えば、胎児)の輪郭であると判断されると、設定部134は、次に、スキャン角度の増加可能性の有無を判断する(S124)。
【0041】
段階S124において、スキャン角度が増加できると判断されると、設定部134は、スキャン角度を予め定められた角度(例えば、5°)だけ増加させるスキャン角度の再設定を行う(S126)。そして、「開始」に戻り、上述したような段階S102以降の段階を繰り返す。
【0042】
一方、段階S124において、スキャン角度をこれ以上増加することができないと判断されると、設定部134は、スキャン深さと予め定められたしきい値とを比較して、スキャン深さの増加有無を判断する(S128)。
【0043】
段階S128において、スキャン深さを増加させることができると判断されると、設定部134は、スキャン深さを予め定められた長さ(例えば、1cm)だけ増加させるスキャン深さの再設定を行う(S130)。そして、「開始」に戻り、上述したような段階S102以降の段階を繰り返す。
【0044】
一方、段階S122において、最初および最後のフレームのそれぞれに対応する2次元超音波映像の輪郭と、垂直フレームに対応する2次元超音波映像の輪郭との間で、連結性がないと判断、すなわち、相違した関心物体(例えば、胎児と子宮壁)であると判断されると、または、段階S128において、スキャン深さをこれ以上増加させることができないと判断されると、設定部134は、垂直フレームに対応する2次元超音波映像の輪郭が最初および最後のフレームのそれぞれに対応する2次元超音波映像にも存在するかどうかを判断する(S132)。
【0045】
段階S132において、垂直フレームに対応する2次元超音波映像の輪郭が最初および最後のフレームのそれぞれに対応する2次元超音波映像にも存在すると判断されると、設定部134は、スキャン角度およびスキャン深さの設定を終了する。
【0046】
一方、段階S132において、垂直フレームに対応する2次元超音波映像の輪郭が最初および最後のフレームのそれぞれに対応する2次元超音波映像に存在しないと判断されると、設定部134は、スキャン角度を予め定められた角度だけ減少させるスキャン角度の再設定を行う(S114)。そして、「開始」に戻り、上述したような段階S102以降の段階を繰り返す。
【0047】
図7は、本発明の実施例によって、スキャン速度を自動で設定する順序を示すフローチャートである。図7を参照すると、超音波データ取得部120は、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数のフレームのそれぞれに対応する超音波データを取得する(S202)。このとき、超音波データ取得部120は、予め定められたスキャン速度に基づいて超音波データを取得する。
【0048】
ボリュームデータ形成部131は、超音波データ取得部120から超音波データが提供されると、超音波データを用いてボリュームデータを形成する(S204)。第1の映像形成部132は、ボリュームデータ形成部131から提供されるボリュームデータを用いて、A断面221、B断面222およびC断面223を検出し(S206)、A断面221、B断面222およびC断面223のそれぞれに対応する2次元超音波映像を形成する(S208)。
【0049】
輪郭検出部133は、第1の映像形成部132から提供される2次元超音波映像に輪郭検出を行って関心物体の輪郭を検出する(S210)。設定部134は、ボリュームデータ形成部131でN番目(Nは1以上の整数)に形成されたボリュームデータ(以下、第Nのボリュームデータという)に対する2次元超音波映像と、(N+1)番目に形成されたボリュームデータ(以下、第(N+1)のボリュームデータという)に対する2次元超音波映像との間の変化量を算出する(S212)。本実施例において、変化量は、同一の断面(A〜C断面)の2次元超音波映像に対する輪郭面積(輪郭面積を算出することができる場合)の差、または輪郭傾き(輪郭面積を算出することができない場合)の差を含む。
【0050】
設定部134は、算出された変化量と予め定められたしきい値とを比較して(S214)、変化量がしきい値以上であると判断されると、すなわち、対象体の動きが速いと判断されると、スキャン速度を増加させる(S216)。
【0051】
一方、変化量がしきい値未満であると判断されると、すなわち、対象体の動きが遅いと判断されると、設定部134は、スキャン速度を減少させる(S218)。
【0052】
前述した実施例では、A断面221、B断面222およびC断面223のそれぞれに対応する2次元超音波映像を用いてスキャン速度を調節するものと説明したが、他の実施例では、A断面221、B断面222およびC断面223のうちのいずれか1つの断面の2次元超音波映像を用いて、スキャン速度を調節することができる。
【0053】
また、上述した実施例では、説明の便宜のために、スキャン角度およびスキャン深さとスキャン速度を別途に設定するものとして説明したが、スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を同時に設定することができるということは、当業者であれば十分に理解することができるものである。
【0054】
以上、本発明のスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を設定する超音波システムおよび方法を説明したが、当該方法は、コンピュータで読出し可能な記録媒体に記録させることができる。この記録媒体は、コンピュータシステムによって読み出されるデータが保存される全ての種類の記録装置を含む。このコンピュータで読み出し可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CDROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ格納装置などの他、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じた伝送)の形態で具現されるものも含む。また、コンピュータで読み出し可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散され、読み出しをコードにより行うようにすることも可能である。上述した実施例を具現するための機能的なプログラム、コードおよびコードセグメント方法は、本発明が属する技術分野の各プログラマにとっては容易に推定されることである。
【0055】
本発明は、望ましい実施例によって説明および例示をしたが、当業者であれば添付した特許請求の範囲の事項および範疇を逸脱することなく、様々な変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
100 超音波システム
110 ユーザ入力部
120 超音波データ取得部
121 送信信号形成部
122 超音波プローブ
123 ビームフォーマ
124 超音波データ形成部
130 プロセッサ
131 ボリュームデータ形成部
132 第1の映像形成部
133 輪郭検出部
134 設定部
135 第2の映像形成部
140 格納部
150 ディスプレイ部
210 ボリュームデータ
221 A断面
222 B断面
223 C断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められたスキャン角度(scan angle)、スキャン深さ(scan depth)およびスキャン速度(scan speed)を考慮して、少なくとも1つの関心物体を含む対象体に超音波信号を送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数のフレームのそれぞれに対応する超音波データを取得する超音波データ取得部と、
前記超音波データ取得部に連結されて、前記超音波データを用いて前記対象体のボリュームデータを形成し、前記ボリュームデータを用いて前記対象体の複数の2次元超音波映像を形成し、前記複数の2次元超音波映像に対する前記関心物体の輪郭に基づいて前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を再設定するプロセッサと
を備えることを特徴とする超音波システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記超音波データを用いて前記ボリュームデータを形成するボリュームデータ形成部と、
前記ボリュームデータを用いて前記複数の2次元超音波映像を形成する映像形成部と、
前記複数の2次元超音波映像のそれぞれに輪郭検出を行って、前記関心物体の前記輪郭を検出する輪郭検出部と、
前記検出された輪郭を用いて前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を再設定する設定部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記映像形成部は、前記ボリュームデータから最初のフレームおよび最後のフレームを検出し、前記検出された最初のフレームに対応する第1の2次元超音波映像および前記検出された最後のフレームに対応する第2の2次元超音波映像を形成し、
前記複数の2次元超音波映像は、前記第1の超音波映像および前記第2の超音波映像を含むことを特徴とする請求項2に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記設定部は、前記関心物体の前記輪郭が検出されたかどうかを判断し、前記関心物体の前記輪郭が検出されていないと判断されると、前記スキャン角度を予め定められた角度だけ減少させることを特徴とする請求項3に記載の超音波システム。
【請求項5】
前記関心物体の前記輪郭が検出されていると判断されると、
前記映像形成部は、前記ボリュームデータに対して前記最初のフレームおよび前記最後のフレームに垂直な垂直フレームを検出し、前記垂直フレームに対応し、前記複数の2次元超音波映像に含まれる第3の2次元超音波映像を形成し、
前記輪郭検出部は、前記垂直フレームに対応する前記第3の2次元超音波映像に輪郭検出を行って前記関心物体の前記輪郭を検出し、
前記設定部は、前記第1の2次元超音波映像および前記第2の2次元超音波映像のそれぞれに対応する前記関心物体の前記輪郭と、前記第3の2次元超音波映像の前記関心物体の前記輪郭との間で連結性の有無を判断して、連結性があると判断されると、前記スキャン角度および前記スキャン深さのうちのいずれか1つを増加させることを特徴とする請求項4に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記設定部は、前記スキャン角度の増加可能性の有無を判断して、前記スキャン角度を増加させることができると判断されると、前記スキャン角度を予め定められた角度だけ増加させ、前記スキャン角度を増加させることができないと判断されると、前記スキャン深さを予め定められた長さだけ増加させることを特徴とする請求項5に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記映像形成部は、前記ボリュームデータから互いに直交する複数の断面を検出し、前記複数の断面のそれぞれに対応する2次元超音波映像を形成することを特徴とする請求項2に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記ボリュームデータは、前記ボリュームデータ形成部で、N(Nは1以上の整数)番目に形成された第Nのボリュームデータと、(N+1)番目に形成された第(N+1)のボリュームデータとを含み、
前記設定部は、前記第Nのボリュームデータに対する前記2次元超音波映像と、前記第(N+1)のボリュームデータに対する前記2次元超音波映像との間の変化量を算出し、前記変化量と予め定められたしきい値とを比較して、前記変化量が前記しきい値以上であると判断されると、前記スキャン速度を増加させ、前記変化量が前記しきい値未満であると判断されると、前記スキャン速度を減少させることを特徴とする請求項7に記載の超音波システム。
【請求項9】
前記変化量は、前記輪郭の面積の差または前記輪郭の傾きの差を含むことを特徴とする請求項8に記載の超音波システム。
【請求項10】
a)予め定められた、スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を考慮して、少なくとも1つの関心物体を含む対象体に超音波信号を送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数のフレームのそれぞれに対応する超音波データを取得する段階と、
b)前記複数の超音波データを用いて前記対象体のボリュームデータを形成する段階と、
c)前記ボリュームデータを用いて前記対象体の複数の2次元超音波映像を形成する段階と、
d)前記複数の2次元超音波映像に対する前記関心物体の輪郭に基づいて前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を再設定する段階と
を備えることを特徴とするスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度設定方法。
【請求項11】
前記段階c)は、
前記ボリュームデータから最初のフレームおよび最後のフレームを検出する段階と、
前記検出された最初のフレームに対応する第1の2次元超音波映像および前記検出された最後のフレームに対応する第2の2次元超音波映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする請求項10に記載のスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度設定方法。
【請求項12】
前記段階d)は、
d1)前記第1の2次元超音波映像および前記第2の2次元超音波映像のそれぞれに輪郭検出を行う段階と、
d2)前記段階d1)において前記関心物体の前記輪郭が検出されたかどうかを判断する段階と、
d3)前記関心物体の前記輪郭が検出されていないと判断されると、前記スキャン角度を予め定められた角度だけ減少させる段階と
を備えることを特徴とする請求項11に記載のスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度設定方法。
【請求項13】
前記段階d2)において前記関心物体の前記輪郭が検出されたと判断されると、
e)前記ボリュームデータに対して前記最初のフレームおよび前記最後のフレームに垂直な垂直フレームを検出する段階と、
f)前記垂直フレームに対応する第3の2次元超音波映像を形成する段階と、
g)前記第3の2次元超音波映像に輪郭検出を行って、前記関心物体の前記輪郭を検出する段階と、
h)前記第1の2次元超音波映像および前記第2の2次元超音波映像の前記輪郭と、前記第3の2次元超音波映像の前記輪郭との間で連結性の有無を判断する段階と、
i)前記連結性があると判断されると、前記スキャン角度および前記スキャン深さのうちのいずれか1つを増加させる段階と
を備えることを特徴とする請求項12に記載のスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度設定方法。
【請求項14】
前記段階i)は、
前記スキャン角度の増加可能性の有無を判断する段階と、
前記スキャン角度を増加させることができると判断されると、前記スキャン角度を増加させる段階と、
前記スキャン角度を増加させることができないと判断されると、前記スキャン深さを増加させる段階と
を備えることを特徴とする請求項13に記載のスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度設定方法。
【請求項15】
前記段階c)は、
前記ボリュームデータから互いに直交する複数の断面を検出する段階と、
前記複数の断面のそれぞれに対応する2次元超音波映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする請求項10に記載のスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度設定方法。
【請求項16】
前記ボリュームデータは、N(Nは1以上の整数)番目に形成された第Nのボリュームデータと、(N+1)番目に形成された第(N+1)のボリュームデータとを含み、
前記段階d)は、
前記複数の断面のそれぞれに対応する前記2次元超音波映像に輪郭検出を行って、前記関心物体の前記輪郭を検出する段階と、
前記段階b)において、前記第Nのボリュームデータに対する前記2次元超音波映像と、前記第(N+1)のボリュームデータに対する前記2次元超音波映像との間の変化量を算出する段階と、
前記変化量と予め定められたしきい値とを比較する段階と、
前記変化量が前記しきい値以上であると判断されると、前記スキャン速度を増加させ、前記変化量が前記しきい値未満であると判断されると、前記スキャン速度を減少させる段階と
を備えることを特徴とする請求項15に記載のスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度設定方法。
【請求項17】
前記変化量は、前記輪郭の面積の差または前記輪郭の傾きの差を含むことを特徴とする請求項16に記載のスキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度設定方法。
【請求項18】
スキャン角度、スキャン深さおよびスキャン速度を設定する方法を行うためのプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記方法は、
a)予め定められた、前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を考慮して、少なくとも1つの関心物体を含む対象体に超音波信号を送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数のフレームのそれぞれに対応する超音波データを取得する段階と、
b)前記複数の超音波データを用いて前記対象体のボリュームデータを形成する段階と、
c)前記ボリュームデータを用いて前記対象体の複数の2次元超音波映像を形成する段階と、
d)前記複数の2次元超音波映像に対する前記関心物体の輪郭に基づいて前記スキャン角度、前記スキャン深さおよび前記スキャン速度を再設定する段階と
を備えることを特徴とするコンピュータ読み出し可能記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−143250(P2011−143250A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2303(P2011−2303)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(597096909)三星メディソン株式会社 (269)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】