説明

スクイズ式泡吐出容器

【課題】気液混合室を不要とした簡易な構造を備えており、広いスペースにおいて内溶液と空気とを混合して発泡させることにより、泡質のバラツキが抑制された安定した状態で内溶液を泡状の液体として吐出させることのできる泡吐出器を提供する。
【解決手段】可撓性を備える胴部13を有する容器本体12と、容器本体12の口首部14に設けられた泡吐出部15とからなり、起泡剤を含む内溶液11を収容して用いるスクイズ式泡吐出容器10であって、容器本体12は、泡吐出部15に設けられた、泡微細化手段16を有する微細化吐出流路17を介してのみ外気と連通しており、容器本体12を振って内部の空気と内溶液11とを混合して発泡させ、胴部13を押圧することにより、内溶液11を泡状にして吐出するようになっている。泡吐出部15は、キャップ部18と一体として形成されており、容器本体12に着脱可能に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ式泡吐出容器に関し、特に、可撓性を有する胴部を備える容器本体と、容器本体の口首部に設けられた泡吐出部とからなり、起泡剤を含む内溶液を収容して用いるスクイズ式泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤等の起泡剤を含む内溶液を空気と混合して発泡させ、さらにネット(網目)や多孔質体からなる泡微細化手段(泡均質化手段)を通過させて均質でクリーミーな泡状の液体とした後に、吐出口から吐出させるようにした泡吐出容器が種々開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
これらの泡吐出容器は、起泡剤を含む内溶液と空気とを混合する気液混合室、容器本体から内溶液を気液混合室に導入する液体導入通路、容器本体から空気を気液混合室に導入する空気導入通路、気液混合室の下流側に連通する泡均質化手段を備える泡流出通路、泡流出通路に連通して外部に開口する泡吐出通路等を含んで構成されている。
【特許文献1】実開昭60−186053号公報
【特許文献2】実開平5−54304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の泡吐出容器では、気液混合室に内溶液や空気を導入する液体導入通路及び空気導入通路を別途に設ける必要があると共に、気液混合室においてこれらを合流させるものであるため、その構造が複雑になる。また、狭い気液混合室において内溶液と空気とを混合して発泡させるものであるため、例えば内溶液が泡立った状態で気液混合室に導入されること等により、泡質にバラツキを生じやすくなる。
【0005】
本発明は、気液混合室を不要とした簡易な構造を備えており、広いスペースにおいて内溶液と空気とを混合して発泡させることにより、泡質のバラツキが抑制された安定した状態で内溶液を泡状の液体として吐出させることのできる泡吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、可撓性を備える胴部を有する容器本体と、該容器本体の口首部に設けられた泡吐出部とからなり、起泡剤を含む内溶液を収容して用いるスクイズ式泡吐出容器であって、前記容器本体は、前記泡吐出部に設けられた、泡微細化手段を有する微細化吐出流路を介してのみ外気と連通しており、前記容器本体を振って内部の空気と前記内溶液とを混合して発泡させ、前記胴部を押圧することにより、前記内溶液を泡状にして吐出するスクイズ式泡吐出容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスクイズ式泡吐出容器によれば、気液混合室を不要とした簡易な構造を備えており、広いスペースにおいて内溶液と空気とを混合して発泡させることにより、泡質のバラツキが抑制された安定した状態で内溶液を泡状の液体として吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係るスクイズ式泡吐出容器10は、起泡剤として例えば界面活性を含む内容液11を、例えば容器本体12の胴部13を把持して容器10を振った後に、把持した胴部13を挟み込むようにズクイズして押圧変形させるだけ簡単な操作によって、均質でクリーミーな泡状の液体として内容液11を吐出するための簡易な容器として用いられる。
【0009】
すなわち、本実施形態のスクイズ式泡吐出容器10は、可撓性を備える胴部13を有する容器本体12と、容器本体12の口首部14に設けられた泡吐出部15とからなり、起泡剤を含む内溶液11を収容して用いるスクイズ式の吐出容器であって、容器本体12は、泡吐出部15に設けられた、泡微細化手段16を有する微細化吐出流路17を介してのみ外気と連通しており、容器本体12を振って内部の空気と内溶液11とを混合して発泡させ、胴部13を押圧することにより、内溶液11を泡状にして吐出するようになっている。
【0010】
また、本実施形態では、泡吐出部15は、キャップ部18と一体として形成されており、キャップ部18を容器本体12の口首部14に装着することにより容器本体12に着脱可能に取り付けられている。
【0011】
本実施形態では、容器本体12は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂からなる有底筒形状を備える成形品である。容器本体12は、下端面が底部19によって閉塞された例えば円形又は楕円形の中空断面形状を備える胴部13と、胴部13の上端面に肩部21を介して一体接合されて、胴部13から上方に突出する円筒形状の口首部14とによって構成される。
【0012】
胴部13は、例えば手や指で把持して挟み込むよう押圧した際に、容易に押しつぶされて変形できる程度の可撓性を有している。また押圧した状態を解放した際に、その弾性によって容易に元の形状に復帰できる程度の形状復元性を備えている。
【0013】
口首部14は、例えば手や指で挟み込むよう押圧しても、容易に押しつぶされない程度の保形剛性を備えている。また口首部14の外周面には、雄ネジ突条22が設けられている。この雄ネジ突条22に雌ネジ突条23を螺着することにより、泡吐出部15と一体として形成されたキャップ部18が装着固定される。
【0014】
本実施形態では、キャップ部18及び泡吐出部15は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を用いて一体として形成される。キャップ部18は、円板形状の天面部24と天面部24の周縁部分から下方に延設する円筒形状のスカート部25とからなる。スカート部25の内周面には、容器本体12の口首部14の雄ネジ突条22に螺着する雌ネジ突条23が設けられている。また天面部24から下方に突出して、スカート部25と同心状に配置されたインンーリング26が設けられている。このインナーリング26は、キャップ部18が容器本体12の口首部14に装着された際に、口首部14の上端開口の縁部内周面と密着して強固なシール性を発揮する。これによって、容器本体12の中空内部は、泡吐出部15に設けられた微細化吐出流路17を介してのみ外気と連通することになる。
【0015】
泡吐出部15は、キャップ部18の天面部24の中央部分を貫通するようにして配置されると共に、略L字形状に折れ曲がって形成された円筒パイプ状の部分である。泡吐出部15は、キャップ部18の天面部24との接合基端部分が天面部24よりも僅かに下方に突出して、流路入口部27を形成していると共に、先端部が吐出口部28として外気に向けて開口している。また泡吐出部15の中空内部は、容器本体12の内部で発泡した内溶液を微細化又は均質化しつつ吐出口部28に向けて送り出すための、泡微細化手段16を備える微細化吐出流路17となっている。
【0016】
泡微細化手段16は、内容液11を発泡させて生成した泡をクリーミーな状態に微細化又は均質化するための部材として公知の各種のものを使用することができる。具体的には、50〜150μm程度の微細な網目を有するネットや、多数の微細な連通孔を有するスポンジ、焼結体等の多孔質体を用いることができる。また泡微細化手段16として、好ましくは網目の大きさが一定のネットを用いることにより、生成した泡の均質化を容易に図ることが可能になる。
【0017】
泡微細化手段16は、容器本体12の胴部13への押圧操作によって、発泡した内容液11が微細化吐出流路17を経て吐出口部28に向けて圧送される際に、泡の抵抗体として機能し、各網目や各連通孔の周囲の摩擦力や表面張力によって通過する泡の速度を抑制すると共に、各網目や各連通孔を通過させることにより発泡した内容液11を微細化又は均質化して、クリーミーな泡を生成する。本実施形態では、泡微細化手段16は、微細化吐出流路17の流路入口部27と吐出口部28との2箇所に設けられている。
【0018】
また、本実施形態では、容器本体12に収容される起泡剤を含む内容液11は、25℃での粘度が1〜100Pa・sとなっている。容器本体12に収容される起泡剤を含む内容液11が、1〜100Pa・sの粘度を有していることにより、容器10を振った際に、内溶液11と空気が容易に混合し、発泡しやすくなるという利点が得られる。
【0019】
そして、上述の構成を備える本実施形態のスクイズ式泡吐出容器10では、例えば容器本体12の胴部13を把持して容器10を振った後に、把持した胴部13を挟み込むようにズクイズして押圧変形させるだけ簡単な操作によって、均質でクリーミーな泡状の液体として内容液11を容易に吐出することができる。すなわち、容器10を振ることによって、収容された起泡剤を含む内容液11は、容器本体12の内部で周囲の空気と混合されて容易に発泡する。また、内容液11が発泡した状態で、胴部13を押圧して変形させれば、容器本体12の内部の圧力が増加して、発泡した内容液11が微細化吐出流路17を経て吐出口部28に向けて押し出されることになり、押し出された内容液11は、泡微細化手段16を通過して微細化又は均質化されることにより、クリーミーな泡の状態となって吐出口部28から吐出されることになる。
【0020】
したがって、本実施形態のスクイズ式泡吐出容器10によれば、気液混合室を不要とした簡易な構造であるにもかかわらず、容器本体12を振って胴部13をスクイズするだけの簡単な操作によって、容器本体12の内部の広いスペースにおいて内溶液11を空気と混合して発泡させつつ、泡質のバラツキが抑制された安定した状態で、内溶液11を泡状の液体として吐出させることが可能になる。
【0021】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、泡吐出部をキャップ部と一体として形成して、容器本体の口首部に着脱可能に取り付ける必要は必ずしもなく、泡吐出部は、容器本体の口首部に一体として設けることもできる。泡吐出部を容器本体の口首部に着脱可能に取り付ければ、内溶液を容器本体に補充しながら、スクイズ式泡吐出容器を長期に渡って使用することが可能になる。また、起泡剤を含む内溶液として、種々のものを容器本体に収容して発泡させることができ、界面活性剤等を含む化粧料や液体洗剤の他、染毛剤等であっても良い。アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素水を含有する第2剤との混合液であって、第1剤又は第2剤が起泡剤を含むものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係るスクイズ式泡吐出容器の構成を説明する略示断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 スクイズ式泡吐出容器
11 起泡剤を含む内容液
12 容器本体
13 胴部
14 口首部
15 泡吐出部
16 泡微細化手段
17 微細化吐出流路
18 キャップ部
22 雄ネジ突条
23 雄ネジ突条
24 天面部
25 スカート部
27 流路入口部
28 吐出口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を備える胴部を有する容器本体と、該容器本体の口首部に設けられた泡吐出部とからなり、起泡剤を含む内溶液を収容して用いるスクイズ式泡吐出容器であって、
前記容器本体は、前記泡吐出部に設けられた、泡微細化手段を有する微細化吐出流路を介してのみ外気と連通しており、
前記容器本体を振って内部の空気と前記内溶液とを混合して発泡させ、前記胴部を押圧することにより、前記内溶液を泡状にして吐出するスクイズ式泡吐出容器。
【請求項2】
前記泡吐出部は、キャップ部と一体として形成されており、該キャップ部を前記容器本体の口首部に装着することにより前記容器本体に着脱可能に取り付けられる請求項1記載のスクイズ式泡吐容器。
【請求項3】
前記起泡剤を含む内溶液は、25℃での粘度が1〜100Pa・sである請求項1又は2に記載のスクイズ式泡吐出容器。
【請求項4】
前記泡微細化手段は、ネット、又はスポンジ、焼結体等の多孔質体である請求項1〜3のいずれかに記載のスクイズ式泡吐出容器。

【図1】
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【公開番号】特開2009−154884(P2009−154884A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332054(P2007−332054)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】