説明

スクリュー式射出装置及びその分解組立方法

【課題】スクリューの着脱作業を容易かつ効率良く行うことが可能なスクリュー式射出装置と、その分解組立方法とを提供する。
【解決手段】射出用ビルトイン型モータ9を構成するケーシング9aの端面に、射出用ビルトイン型モータ9の回転子9cに強嵌合されたスリーブ14と、ボールねじ機構10を構成するねじ軸12の一端とを締結するボルト15を外部から臨むことが可能な透孔17を開設する。透孔17は、ねじ軸12の回転中心を中心とする円周上に、ボルト15の回転軌跡とほぼ同一の曲率で形成する。透孔17を通してケーシング9a内に工具を差し込み、工具にてボルト15を押圧することにより、射出用ビルトイン型モータ9を手動にて操作する。これにより、電源が遮断されているときにも、射出用ビルトイン型モータ9の回転駆動が可能になり、スクリューの着脱作業が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に備えられるスクリュー式射出装置と、その分解組立方法とに係り、特に、射出用電動サーボモータとしてビルトイン型モータを備えたスクリュー式射出装置におけるスクリュー交換作業等を容易化する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に、本願出願人が先に提案したスクリュー式射出装置であって、射出用電動サーボモータとしてビルトイン型モータを備えたものを示す(例えば、特許文献1参照。)。この図から明らかなように、本願出願人が先に提案したスクリュー式射出装置は、連結バー101を介して連結され、所定距離をおいて対向に配置されたヘッドストック102及び保持プレート103と、後端部がヘッドストック102に固定された加熱シリンダ104と、加熱シリンダ104内に回転可能及び前後進可能に配設されたスクリュー105と、ヘッドストック102と保持プレート103との間を前後進する直動ブロック106と、直動ブロック106に搭載され、最内周に配置された円筒状のスリーブ(回転体)108aに、回転連結体107を介してスクリュー105の基端部がボルト締結された計量用ビルトイン型モータ108と、保持プレート103の外面に取り付けられた射出用ビルトイン型モータ109と、保持プレート103に軸受110を介して回転可能に保持され、基端部が射出用ビルトイン型モータ109のスリーブ109aに連結されたねじ軸111と、ねじ軸111に螺合され、一端が計量用ビルトイン型モータ108のスリーブ108aに連結されたナット体112とから主に構成されている。なお、ねじ軸111とこれに螺合されたナット体112とからなる機構を、ボールねじ機構という。
【0003】
ヘッドストック102、保持プレート103及び直動ブロック106は、ベースプレート113上に配設され、ベースプレート113は、射出成形機のベースフレーム114上に固定される。また、ベースフレーム114上には、図示しない固定側金型を取り付けた固定ダイプレート115が設定され、加熱シリンダ104の先端部に取り付けられたノズル104aの先端部が、固定ダイプレート115に開設されたノズル貫通孔115aを介して固定側金型に達している。ヘッドストック102、保持プレート103及び直動ブロック106は、ベースプレート113上に備えられた案内レール116及びこの案内レール116に摺動自在に装着された摺動ブロック117を介して前後進可能に設定されており、ノズル貫通孔115aに対するノズル104aの挿抜を可能にしている。なお、ベースプレート113、ベースフレーム114、固定ダイプレート115、案内レール116及び摺動ブロック117は、説明の都合上、特許文献1の掲載図に本願出願人が追加したものである。
【0004】
ところで、スクリュー105は、射出成形機の組立時のみならず、スクリュー105の破損時やメンテナンス時、それに成形品の樹脂材料や射出条件等の変更に応じたスクリュー105の交換時にも、加熱シリンダ104及び回転連結体107に対する着脱作業が必要となる。加熱シリンダ104及び回転連結体107からのスクリュー105の取り外し作業は、以下の手順で行われる。
【0005】
まず、ヘッドストック102、保持プレート103及び直動ブロック106を案内レール116に沿って後退し、固定ダイプレート115に開設されたノズル貫通孔115aからノズル104aを引き抜く。次に、ヘッドストック102、保持プレート103及び直動ブロック106を搭載したまま、ベースプレート113をベースフレーム114上で旋回し、ノズル104aを固定ダイプレート115と対向しない位置まで移動する(例えば、特許文献2の図5参照。)。しかる後に、ボルト締結されているスクリュー105の基端部を回転連結体107から取り外すと共に、加熱シリンダ104の先端部からノズル104aを取り外し、加熱シリンダ104のノズル取り付け端側からスクリュー105を取り出す。加熱シリンダ104及び回転連結体107へのスクリュー105の取り付け作業は、これと逆の手順で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−45891号公報
【特許文献2】特開2002−1756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、スクリュー105の基端部は、回転連結体107にボルト締結されているので、加熱シリンダ104及び回転連結体107に対するスクリュー105の着脱作業を実行するには、回転連結体107にスクリュー105を締結しているボルトの着脱が必要であり、このボルトの着脱作業を実行するためには、ヘッドストック102と回転連結体107との間に、適度の大きさの作業スペースを形成する必要がある。これらヘッドストック102と回転連結体107の間隔は、射出用ビルトイン型モータ109のスリーブ109aを回転することにより、これと一体に連結されたボルトねじ機構のねじ軸111を回転し、これに螺合されたボルトねじ機構のナット体112を移動することにより調整される。
【0008】
ところで、スクリュー105の着脱作業時には、安全のため、射出成形機への電源供給が断たれているので、射出用ビルトイン型モータ109のスリーブ109aを手動にて回転する必要がある。しかしながら、射出用ビルトイン型モータ109のスリーブ109aは、ケーシング109bによって囲まれており、ケーシング109bの端面の中心位置には、ロータリエンコーダ120が配設されるので、外部からスリーブ109aを手動にて回転操作することは困難であり、スクリュー105の着脱作業を効率良く行うことができないという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題を解消するためになされたものであり、その目的は、スクリューの着脱作業を容易かつ効率良く行うことが可能なスクリュー式射出装置と、その分解組立方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するため、スクリュー式射出装置に関しては、ベースフレーム上に固定されたベースプレートと、該ベースプレート上に案内レールを介して取り付けられたヘッドストック、保持プレート及び直動ブロックと、前記ヘッドストックに一端が固定された加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転可能かつ前後進可能に収納されたスクリューと、前記直動ブロックに搭載され、前記スクリューの一端と回転連結体を介して連結されて、前記スクリューを前記加熱シリンダ内で回転駆動する計量用モータと、前記直動ブロックとボールねじ機構を介して連結され、前記スクリューを前記加熱シリンダ内で前後進駆動する射出用ビルトイン型モータとを備えたスクリュー式射出装置において、前記射出用ビルトイン型モータのケーシングに、前記射出用ビルトイン型モータの回転部を外部から臨むことができる透孔を開設するという構成にした。
【0011】
一方、スクリュー式射出装置の分解組立方法に関しては、ベースフレーム上に固定されたベースプレートと、該ベースプレート上に案内レールを介して取り付けられたヘッドストック、保持プレート及び直動ブロックと、前記ヘッドストックに一端が固定された加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転可能かつ前後進可能に収納されたスクリューと、前記直動ブロックに搭載され、前記スクリューの一端と回転連結体を介して連結されて、前記スクリューを前記加熱シリンダ内で回転駆動する計量用モータと、前記直動ブロックとボールねじ機構を介して連結され、前記スクリューを前記加熱シリンダ内で前後進駆動する射出用ビルトイン型モータとを備えたスクリュー式射出装置の分解組立方法であって、前記射出用ビルトイン型モータとして、回転部を外部から臨むことのできる透孔がケーシングに開設されたものを用い、前記ヘッドストックに対する前記回転連結体の設定位置を変更する際、前記透孔を通して前記ケーシングの外部から前記ケーシングの内部に所要の工具を差し込み、該工具にて前記射出用ビルトイン型モータの回転部を回転するという構成にした。
【0012】
かかる構成によると、スクリュー式射出装置の分解組立時において、ヘッドストックに対する回転連結体の設定位置を変更する際、ケーシングに開設された透孔を通して、ケーシングの外部からケーシングの内部に所要の工具を差し込むことができるので、該工具を用いて射出用ビルトイン型モータの回転部を手動にて回転することが可能になり、ヘッドストックに対する回転連結体の設定位置を適宜変更することができる。よって、回転連結体に対するスクリューの取り付け取り外しを容易に行うことができ、スクリュー式射出装置の分解組立を容易化することができる。
【0013】
また本発明は、前記構成のスクリュー式射出装置において、前記透孔は、前記ケーシングの端面に開設され、その形状は、前記射出用ビルトイン型モータの回転部の回転中心軸を中心とする円弧状であるという構成にした。
【0014】
かかる構成によると、ケーシングに丸孔をあけた場合に比べて、1回の工具類の操作で回転できる回転部の回転量を大きくできるので、ヘッドストックに対する回転連結体の設定位置の調整を容易かつ迅速に行うことができる。
【0015】
また本発明は、前記構成のスクリュー式射出装置において、前記透孔を、前記射出用ビルトイン型モータの回転部に締結されたボルトの頭部と対向する位置に開設するという構成にした。
【0016】
かかる構成によると、透孔を通してケーシング内に差し込まれた工具類を、凸部であるボルトの頭部に係合しやすくなるので、回転部の回転操作を容易化でき、ヘッドストックに対する回転連結体の設定位置の調整を容易かつ迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、射出用ビルトイン型モータのケーシングに、射出用ビルトイン型モータの回転部を外部から臨むことができる透孔を開設し、ヘッドストックに対する回転連結体の設定位置を変更する際、透孔を通してケーシングの外部からケーシングの内部に所要の工具を差し込み、該工具にて射出用ビルトイン型モータの回転部を回転するので、射出用ビルトイン型モータの回転部を手動にて回転することが可能になる。よって、ヘッドストックに対する回転連結体の設定位置を適宜変更可能となり、回転連結体に対するスクリューの取り付け取り外し作業が容易になって、スクリュー式射出装置の分解組立を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】スクリューを射出後退限まで後退したときの状態を示す、実施形態に係るスクリュー式射出装置の断面図である。
【図2】スクリューを射出前進限まで前進したときの状態を示す、実施形態に係るスクリュー式射出装置の断面図である。
【図3】実施形態に係る射出用ビルトイン型モータの拡大断面図である。
【図4】実施形態に係る射出用ビルトイン型モータの拡大端面図である。
【図5】従来例に係るスクリュー式射出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るスクリュー式射出装置も、基本的な構成については、図5に示した従来のスクリュー式射出装置と同様であり、図1及び図2に示すように、連結バー1を介して連結され、所定距離をおいて対向に配置されたヘッドストック2及び保持プレート3と、後端部がヘッドストック2に固定された加熱シリンダ4と、加熱シリンダ4内に回転可能及び前後進可能に配設されたスクリュー5と、加熱シリンダ4の先端部に取り付けられた射出ノズル6と、ヘッドストック2と保持プレート3との間を前後進する直動ブロック7と、直動ブロック7に搭載され、スクリュー5を加熱シリンダ4内で回転駆動する計量用モータ8と、保持プレート3の外面に取り付けられ、スクリュー5を加熱シリンダ4内で前後進駆動する射出用ビルトイン型モータ9と、射出用ビルトイン型モータ9の回転力を直進力に変換して直動ブロック7に伝達するボールねじ機構10とから主に構成されている。なお、ボールねじ機構10は、保持プレート3に軸受11を介して回転可能に保持され、射出用ビルトイン型モータ9によって回転駆動されるねじ軸12と、該ねじ軸12に螺合され、一端が直動ブロック7に連結されたナット体13とから構成される。
【0020】
ヘッドストック2、保持プレート3及び直動ブロック7は、ベースフレーム21上に配設されたベースプレート22上に設置される。ベースプレート22の上面には、案内レール23が設けられており、ヘッドストック2、保持プレート3及び直動ブロック7の下面には、案内レール23に装着可能な摺動ブロック24が設けられていて、ヘッドストック2、保持プレート3及び直動ブロック7は、これら案内レール23及び摺動ブロック24を介して、ベースプレート22上に移動可能に配設される。ベースフレーム21に対するベースプレート22の取付方位は、ヘッドストック2、保持プレート3及び直動ブロック7をベースフレーム21上に固定された固定ダイプレート31と平行に向け、かつ、これら各部材の平行状態を維持したまま、ヘッドストック2、保持プレート3及び直動ブロック7を固定ダイプレート31に対して接近又は離隔できる方位に調整される。
【0021】
固定ダイプレート31のヘッドストック2側から見た背面には、図示しない固定側金型が取り付けられる。固定ダイプレート31には、ヘッドストック2との対向面から固定側金型の取付面まで貫通するノズル貫通孔32が開設されており、加熱シリンダ4の先端部に取り付けられた射出ノズル6を、固定ダイプレート31の背面側に取り付けられた固定側金型にタッチできるようになっている。
【0022】
自動連続運転中、即ち、成形品の製造中においては、図1及び図2に示すように、固定ダイプレート31に対してヘッドストック2、保持プレート3及び直動ブロック7が前進位置に配置され、加熱シリンダ4の先端部に取り付けられた射出ノズル6が、固定ダイプレート31に開設されたノズル貫通孔32を貫通して、図示しない固定側金型にタッチされている。また、成形品の製造は、ヘッドストック2及び加熱シリンダ4にそれぞれ穿設された原料樹脂供給穴を通して図示しないホッパから供給された原料樹脂を可塑化する可塑化工程と、可塑化された原料樹脂を金型キャビティ内に射出する射出工程とを繰り返すことによって行われるが、可塑化工程の最終段階においては、図1に示すように、ヘッドストック2に対して直動ブロック7が後退位置にあって、ヘッドストック2と直動ブロック7の間隔が大きくなっており、射出工程の最終段階においては、図2に示すように、ヘッドストック2に対して直動ブロック7が前進位置にあって、ヘッドストック2と直動ブロック7の間隔、ひいては、ヘッドストック2と直動ブロック7に取り付けられた回転連結体19の間隔が小さくなっている。このヘッドストック2と回転連結体19の間隔は、射出用ビルトイン型モータ9と一体に連結されたねじ軸12の回転により変化する。
【0023】
射出用ビルトイン型モータ9は、図3により詳細に示すように、円筒形状の外観を有するケーシング9aと、ケーシング9a内に固定された固定子9bと、固定子9bの内側に回転可能に設けられた回転子9cとからなり、回転子9cの内周面には、円筒形のスリーブ14が強嵌合などによって固定されている。スリーブ14には、ボールねじ機構10を構成するねじ軸12の一端が、ボルト15を用いて締結される。また、ケーシング9aの端面には、回転子9cの回転位置を検出するためのロータリエンコーダ16が取り付けられると共に、図4に示すように、ロータリエンコーダ16の取付位置の周囲であって、ボルト15の締結位置と対向する部分には、ねじ軸12の回転中心を中心とする円周上に、2つの円弧形の透孔17が対向に配置して開設されている。この透孔17の曲率は、ボルト15の回転軌跡とほぼ同一に設定される。このようにすると、ケーシング9aの外部からケーシング9a内に配置されたボルト15を臨むことができると共に、透孔17を通してケーシング9a内にドライバ等の工具を差し込むことができるので、工具をボルト15の頭部に引っ掛けることにより、容易にねじ軸12を所定の方向に回転することができる。これにより、ヘッドストック2と直動ブロック7の間隔の手動調整が可能となる。
【0024】
なお、透孔17の形状は円弧形に限定されるものではなく、円形その他の形状であってもよい。また、透孔17の開設位置に関しても、ボルト15の回転軌跡とほぼ同一に設定する必要は必ずしもなく、射出用ビルトイン型モータ9の回転部を外部から手動により回転できる位置であれば足りる。
【0025】
計量用モータ8は、射出用ビルトイン型モータ9と同様のビルトイン型モータを用いることもできるし、他種のモータを用いることもできる。図1及び図2には、計量用モータ8として、ビルトイン型モータ以外のモータを用いた例が示されている。この計量用モータ8の回転力は、ベルト18を介して、直動ブロック7に回転可能に備えられた回転連結体19に伝達される。回転連結体19には、スクリュー5の基端部が、ボルト20を用いて締結される。したがって、回転連結体19に対するスクリュー5の着脱を行う場合には、ヘッドストック2と直動ブロック7の間に、ボルト20を着脱するためのスペースを必要とする。
【0026】
以下、このように構成された実施形態に係るスクリュー式射出装置の分解組立方法について説明する。
【0027】
図2に示すように、最後の射出工程が完了したときには、ヘッドストック2に対して直動ブロック7が前進限の位置にあって、射出ノズル6が固定ダイプレート31に開設されたノズル貫通孔32内を貫通して、図示しない固定側金型にタッチしている。また、このときには、射出用ビルトイン型モータ9の回転力を直進力に変換するボールねじ機構10により、直動ブロック7が射出前進限まで前進しており、したがって、スクリュー5も射出前進限の位置にある。この状態では、加熱シリンダ4からスクリュー5を取り出す作業を行うことは不可能である。
【0028】
そこで、スクリュー式射出装置に供給される電源を遮断した後、案内レール23及び摺動ブロック24を利用して、ベースプレート22上で、ヘッドストック2、保持プレート3及び直動ブロック7を固定ダイプレート31に対して後退させ、射出ノズル6を固定ダイプレート31と干渉しない位置まで引き出す。次に、ベースプレート22をベースフレーム21に対して旋回させ、射出ノズル6を固定ダイプレート31と対向しない位置まで移動する。加熱シリンダ4からのスクリュー5の取り出しは、加熱シリンダ4の先端部から射出ノズル6を取り外し、かつ回転連結体19からスクリュー5を取り外した後に、スクリュー5を加熱シリンダ4の先端側から引き抜くことによって行われるが、上述のように、最後の射出工程が完了した状態では、直動ブロック7が射出前進限まで前進しており、ヘッドストック2と回転連結体19の間隔が狭くなっているので、スクリュー5を回転連結体19に締結しているボルト20の取り外しが不可能であるか、著しく困難である。
【0029】
スクリュー式射出装置に電源が供給されている状態では、射出用ビルトイン型モータ9を電動で回転駆動することにより、ヘッドストック2と直動ブロック7の間隔を容易に調整することができるが、分解組立作業中には安全性を確保するために電源が遮断されるので、射出用ビルトイン型モータ9を電動で回転駆動することができない。そこで、本実施形態では、射出用ビルトイン型モータ9のケーシング9aに開設された透孔17を通して、外部からケーシング9a内にドライバ等の工具を差し込み、工具をボルト15の頭部に引っ掛けることにより、射出用ビルトイン型モータ9を手動で所定の方向に回転して、ヘッドストック2と回転連結体19の間隔を調整する。
【0030】
加熱シリンダ4内へのスクリュー5の組立作業は、上記の分解作業と逆の手順で行われる。なお、上記したスクリューの分解組立作業は、スクリュー式射出装置の組立時にも応用できる。
【0031】
本実施形態に係るスクリュー式射出装置は、射出用ビルトイン型モータ9を構成するケーシング9aの端面に、射出用ビルトイン型モータ9の回転部を外部から臨むことができる透孔17を開設したので、該透孔17を通してケーシング9aに工具を差し込むことにより、射出用ビルトイン型モータ9を手動にて容易に回転駆動することができる。したがって、電源が供給されていない状態におけるヘッドストック2と回転連結体19の位置調整を容易化することができ、スクリュー式射出装置の分解組立作業を容易化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、射出成形機に適用されるスクリュー式射出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 連結バー
2 ヘッドストック
3 保持プレート
4 加熱シリンダ
5 スクリュー
6 射出ノズル
7 直動ブロック
8 計量用モータ
9 射出用ビルトイン型モータ
9a ケーシング
10 ボールねじ機構
12 ねじ軸
13 ナット体
14 スリーブ
15 ボルト
16 ロータリエンコーダ
17 透孔
18 ベルト
19 回転連結体
20 ボルト
21 ベースフレーム
22 ベースプレート
23 案内レール
24 摺動ブロック
31 固定ダイプレート
32 ノズル貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレーム上に固定されたベースプレートと、該ベースプレート上に案内レールを介して取り付けられたヘッドストック、保持プレート及び直動ブロックと、前記ヘッドストックに一端が固定された加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転可能かつ前後進可能に収納されたスクリューと、前記直動ブロックに搭載され、前記スクリューの一端と回転連結体を介して連結されて、前記スクリューを前記加熱シリンダ内で回転駆動する計量用モータと、前記直動ブロックとボールねじ機構を介して連結され、前記スクリューを前記加熱シリンダ内で前後進駆動する射出用ビルトイン型モータとを備えたスクリュー式射出装置において、
前記射出用ビルトイン型モータのケーシングに、前記射出用ビルトイン型モータの回転部を外部から臨むことができる透孔を開設したことを特徴とするスクリュー式射出装置。
【請求項2】
前記透孔は、前記ケーシングの端面に開設され、その形状は、前記射出用ビルトイン型モータの回転部の回転中心軸を中心とする円弧状であることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー式射出装置。
【請求項3】
前記透孔を、前記射出用ビルトイン型モータの回転部に締結されたボルトの頭部と対向する位置に開設したことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のスクリュー式射出装置。
【請求項4】
ベースフレーム上に固定されたベースプレートと、該ベースプレート上に案内レールを介して取り付けられたヘッドストック、保持プレート及び直動ブロックと、前記ヘッドストックに一端が固定された加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転可能かつ前後進可能に収納されたスクリューと、前記直動ブロックに搭載され、前記スクリューの一端と回転連結体を介して連結されて、前記スクリューを前記加熱シリンダ内で回転駆動する計量用モータと、前記直動ブロックとボールねじ機構を介して連結され、前記スクリューを前記加熱シリンダ内で前後進駆動する射出用ビルトイン型モータとを備えたスクリュー式射出装置の分解組立方法であって、
前記射出用ビルトイン型モータとして、回転部を外部から臨むことのできる透孔がケーシングに開設されたものを用い、前記ヘッドストックに対する前記回転連結体の設定位置を変更する際、前記透孔を通して前記ケーシングの外部から前記ケーシングの内部に所要の工具を差し込み、該工具にて前記射出用ビルトイン型モータの回転部を回転することを特徴とするスクリュー式射出装置の分解組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−161679(P2011−161679A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24529(P2010−24529)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000222587)東洋機械金属株式会社 (299)
【Fターム(参考)】