説明

スクリュ周り清浄機能を有する舗装機械

【課題】 従来の舗装機械は、スクリュやその周囲の清浄をその都度作業員の手で行っていたため、手間が掛かっていた。
【解決手段】 アスファルトフィニッシャ1は、スクリュ11より高いリアフレーム12の上部およびデフレクタ13の上部に位置してスクリュ11やその周りのリアフレーム12およびデフレクタ13に舗装材付着防止剤または清浄剤を撒布する撒布機構を備える。このため、スクリュ11やその周りのリアフレーム12およびデフレクタ13に舗装材付着防止剤または清浄剤が撒布されることで、スクリュ11やその周りのリアフレーム12およびデフレクタ13が洗浄され、また、これら各部に舗装材が付着するのが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面上に落下した舗装材を路面幅方向に撒き拡げるスクリュを備えた舗装機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスクリュを備えた舗装機械としては、例えばアスファルトフィニッシャがある。アスファルトフィニッシャは、ホッパに投入されたアスファルト合材をコンベヤにより後方へ搬送して路面に落下させ、リアフレームに支持されたスクリュで路面幅方向に撒き拡げる。路面に撒き拡げられた合材は、スクリード装置前方のデフレクタおよびストライクオフにより供給量が調整されて、タンパ装置に供給される。タンパ装置は、タンパモータの駆動によりタンパエッジを上下動させて、路面に撒かれた合材を突き固める。突き固められた合材はスクリードプレートで敷き均される。
【0003】
ストライクオフおよびスクリードプレートは、例えば、特許文献1に開示されるように、加熱装置によって加熱されるため、舗装面が平滑にアイロン仕上げされると共に、合材が付着するのが防止される。また、ストライクオフおよびスクリードプレートの加熱の際の余熱によりタンパエッジも加熱されて、タンパエッジに合材が付着するのも防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−252012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のアスファルトフィニッシャは、ストライクオフやタンパエッジに合材が付着するのは防止されるが、合材を路面幅方向に撒き拡げるスクリュやその周りのリアフレームおよびデフレクタには合材が付着してしまう。このため、従来、スクリュの上方を覆っている機体カバーを作業員が取り外してスクリュやその周囲に付着防止剤または清浄剤を噴霧機にて噴霧することにより、スクリュやその周囲に合材が付着してしまうのが予め防止されたり、付着した合材が取り除かれていた。従って、上記従来のアスファルトフィニッシャは、スクリュやその周囲の清浄をその都度作業員の手で行っていたため、手間が掛かっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
スクリュ軸が回転されることで路面上に落下した舗装材をスクリュ軸の外周に設けられたスクリュ羽根によって路面幅方向に撒き拡げるスクリュと、
スクリュを車体の後方に支持するスクリュに沿って設けられたリアフレームと、
スクリード装置の前方におけるスクリュと所定の間隔をあけた後方にスクリュに沿ってリアフレームと対向して設けられたデフレクタと、
スクリュより高いリアフレームの上部に位置してスクリュおよびデフレクタに噴出口が向けられたノズル、またはスクリュより高いデフレクタの上部に位置してスクリュおよびリアフレームに噴出口が向けられたノズルの少なくとも一方を有し、ノズルから舗装材付着防止剤または清浄剤を撒布する撒布機構と
を備えて、スクリュ周り清浄機能を有する舗装機械を構成した。
【0007】
この構成によれば、リアフレームの上部に位置するノズルからスクリュおよびデフレクタに、または、デフレクタの上部に位置するノズルからスクリュおよびリアフレームに、舗装材付着防止剤または清浄剤が撒布機構によって撒布されることで、スクリュおよびその周りのデフレクタ、またはスクリュおよびその周りのリアフレームに舗装材が付着するのが防止され、または付着した舗装材が取り除かれる。このため、従来のように、スクリュの上方を覆っている機体カバーを作業員が取り外してスクリュ周りを露出させ、噴霧機にて噴霧する手間を掛けることなく、スクリュ周りの清浄が行える。
【発明の効果】
【0008】
この結果、本発明によるスクリュ周り清浄機能を有する舗装機械によれば、スクリュ周りを清浄したり、舗装材の付着防止をする保守に、手間が掛からなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるアスファルトフィニッシャの構成を示す一部側面図である。
【図2】図1に示すアスファルトフィニッシャの車体をA線に沿って破断して矢視方向から見た平面図である。
【図3】図1に示すアスファルトフィニッシャが備える撒布機構の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明によるスクリュ周り清浄機能を有する舗装機械をアスファルトフィニッシャに適用した場合における、本発明を実施するための一形態について説明する。
【0011】
図1は、この一実施の形態によるアスファルトフィニッシャ1の一部側面図であり、図2は、アスファルトフィニッシャ1の車体をA線に沿って破断して矢視方向から見た平面図である。
【0012】
アスファルトフィニッシャ1は、アスファルト加熱混合物であるアスファルト合材(以下、合材という)が舗装材として供給されるホッパ2が車体の前部に設けられている。ホッパ2の底には、ホッパ2に供給された合材を搬送するコンベヤが設けられており、コンベヤの後方の車体下部にはスクリュ11が設けられている。スクリュ11は、図2に示すように、スクリュ11に沿って設けられたリアフレーム12によって車体の後方に支持されている。スクリュ11は、機械中心線Cに垂直な車体の幅方向左右にスクリュ軸11aL,11aRが設けられ、進行方向左側のスクリュ軸11aLの外周にスクリュ羽根11bL、進行方向右側のスクリュ軸11aRの外周にスクリュ羽根11bRが設けられている。スクリュ11は、スクリュ軸11aL,11aRが定速回転されることでスクリュ羽根11bL,11bRが旋回し、コンベヤから供給されて路面R上に落下した合材をスクリュ羽根11bL,11bRによって路面Rの幅方向に撒き拡げる。スクリュ11と所定の間隔をあけた後方には、スクリュ11に沿ってリアフレーム12と対向してデフレクタ13が設けられている。スクリュ11によって路面R上に敷き拡げられた合材は、デフレクタ13の下端部に設けられたデフレクタエッジによって所定量に絞られ、タンパ14によって突き固められる。デフレクタ13の後方には、タンパ14によって突き固められた合材をベースプレートで展圧して敷き均し、舗装面を平滑に仕上げるスクリード装置5が設けられている。アスファルトフィニッシャ1は、車体の前方に設けられた図示しない一対の前輪および車体の後方に設けられた一対の後輪7L,7Rによって進行方向である図1および図2の右方に走行し、スクリード装置5を牽引する。また、車体上部の図示しない運転席には操作部が設けられており、操作部には、アスファルトフィニッシャ1の走行を操作する走行スイッチや、スクリード装置5を操作する操作レバーや操作スイッチなどが設けられている。
【0013】
また、アスファルトフィニッシャ1の車体には、図2に示す洗浄液タンク21が搭載されている。この洗浄液タンク21には洗浄液が収納されており、この洗浄液は、スクリュ11やその周りのリアフレーム12およびデフレクタ13に合材が付着するのを防止する舗装材付着防止剤、および付着した合材を除去して清浄する清浄剤として用いられる。洗浄液タンク21にはポンプ22が設けられており、ポンプ22にはホース23を介してバルブ24が接続されている。バルブ24には、ホース25aを介して配管26a、ホース25bを介して配管26bが接続されている。配管26aには、図1に示すように、スクリュ11より高いリアフレーム12の上部に位置し、スクリュ11およびデフレクタ13に噴出口が向けられたノズル30aが設けられている。また、配管26bには、スクリュ11より高いデフレクタ13の上部に位置し、スクリュ11およびリアフレーム12に噴出口が向けられたノズル30bが設けられている。ノズル30a,30bは、図2に示すように、各配管26a,26bに所定間隔で複数設けられ、洗浄液タンク21に収納されている洗浄液を撒布する。洗浄液タンク21、ポンプ22、ホース23、バルブ24、ホース25a,25b、配管26a,26bおよびノズル30a,30bは、舗装材付着防止剤および清浄剤を撒布する撒布機構を構成している。
【0014】
図3(a)は、アスファルトフィニッシャ1が備える上述した撒布機構の構成を示したブロック図である。なお、図3において図1および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0015】
洗浄液タンク21に収納されている洗浄液は、ポンプ22が発生する送圧力によってホース23を介してバルブ24へ送出される。バルブ24は、通常閉じていてホース23からの洗浄液の流れを阻止している。ポンプ22と洗浄液タンク21との間には、バルブ24が開いていない状態において、洗浄液をポンプ22から洗浄液タンク21に戻し、洗浄液タンク21とポンプ22との間で循環させるリリーフ経路33が設けられている。バルブ24は、運転席などに備えられたスイッチ32の操作に応じて、ホース23からの洗浄液を流路を切り換えて流す。つまり、スイッチ32の操作により、スクリュ11およびデフレクタ13に洗浄液を撒布する信号を受けると、バルブ24は、ホース23からの洗浄液をホース25a側に切り換えて流し、配管26aに設けられた各ノズル30aからスクリュ11およびデフレクタ13に洗浄液を噴霧して撒布させる。また、スイッチ32の操作により、スクリュ11およびリアフレーム12に洗浄液を撒布する信号を受けると、バルブ24は、ホース23からの洗浄液をホース25b側に切り換えて流し、配管26bに設けられた各ノズル30bからスクリュ11およびリアフレーム12に洗浄液を噴霧して撒布させる。また、スイッチ32の操作により、スクリュ11、リアフレーム12、およびデフレクタ13に洗浄液を撒布する信号を受けると、バルブ24は、ホース23からの洗浄液をホース25a,25bの双方に流し、各配管26a,26bに設けられた各ノズル30a,30bからスクリュ11、リアフレーム12、およびデフレクタ13に洗浄液を噴霧して撒布させる。
【0016】
このような本実施形態によるアスファルトフィニッシャ1によれば、上記のように、スイッチ32が操作されてポンプ22から送出される洗浄液がバルブ24によりホース25a,25bの双方に流されると、リアフレーム12の上部に位置するノズル30aからスクリュ11およびデフレクタ13に、デフレクタ13の上部に位置するノズル30bからスクリュ11およびリアフレーム12に舗装材付着防止剤または清浄剤が上述した撒布機構によって撒布されることで、スクリュ11やその周りのリアフレーム12およびデフレクタ13に舗装材が付着するのが防止され、または付着した舗装材が取り除かれる。このため、従来のように、スクリュ11の上方を覆っている機体カバーを作業員が取り外してスクリュ周りを露出させ、噴霧機にて噴霧する手間を掛けることなく、スクリュ周りの清浄が行える。この結果、本実施形態によるスクリュ周り清浄機能を有するアスファルトフィニッシャ1によれば、スクリュ周りを清浄したり、合材の付着防止をする保守に、手間が掛からなくなる。
【0017】
なお、上記実施形態では、ポンプ22を駆動状態にしておき、スイッチ32の操作に応じてバルブ24を開いて、洗浄液の流路を切り換えて各ノズル30a,30bから洗浄液を撒布する構成としたが、本発明はこれに限られることはない。例えば、図3(b)に示すように、スイッチ32をポンプ22に接続し、バルブ24を開いた状態にしておき、スイッチ32の操作に応じてポンプ22を駆動制御するように構成してもよい。この構成では、スイッチ32がオン操作されるとポンプ22から洗浄液が送出されてホース23を経由してバルブ24へ送出され、各ノズル30a,30bから洗浄液が撒布される。この構成によっても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0018】
また、上記実施形態では、リアフレーム12の上部およびデフレクタ13の上部にノズル30aおよびノズル30bの両方を設ける構成について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、リアフレーム12の上部またはデフレクタ13の上部のいずれか一方にノズル30aまたはノズル30bを設ける構成にしてもよい。この構成によれば、リアフレーム12の上部に位置するノズル30aからスクリュ11およびデフレクタ13に、または、デフレクタ13の上部に位置するノズル30bからスクリュ11およびリアフレーム12に、舗装材付着防止剤または清浄剤が撒布機構によって撒布されることで、スクリュ11およびその周りのデフレクタ13、またはスクリュ11およびその周りのリアフレーム12に舗装材が付着するのが防止され、または付着した舗装材が取り除かれる。このため、この構成によっても、従来のように、スクリュ11の上方を覆っている機体カバーを作業員が取り外してスクリュ周りを露出させ、噴霧機にて噴霧する手間を掛けることなく、スクリュ周りの清浄が行え、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0019】
また、上記実施形態では、車輪式のアスファルトフィニッシャ1に本発明を適用した場合について説明したが、クローラ式のアスファルトフィニッシャに本発明を適用してもよい。この場合においても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【産業上の利用可能性】
【0020】
上記の実施形態においては、本発明によるスクリュ周り清浄機能を有する舗装機械をアスファルトフィニッシャに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、リミキサやリペーバといった路上表層再生機などの舗装機械に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1…アスファルトフィニッシャ
11…スクリュ
11aL,11aR…スクリュ軸
11bL,11bR…スクリュ羽根
12…リアフレーム
13…デフレクタ
21…洗浄液タンク
22…ポンプ
23,25a,25b…ホース
24…バルブ
26a,26b…配管
30a,30b…ノズル
32…スイッチ
33…リリーフ経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュ軸が回転されることで路面上に落下した舗装材を前記スクリュ軸の外周に設けられたスクリュ羽根によって路面幅方向に撒き拡げるスクリュと、
前記スクリュを車体の後方に支持する前記スクリュに沿って設けられたリアフレームと、
スクリード装置の前方における前記スクリュと所定の間隔をあけた後方に前記スクリュに沿って前記リアフレームと対向して設けられたデフレクタと、
前記スクリュより高い前記リアフレームの上部に位置して前記スクリュおよび前記デフレクタに噴出口が向けられたノズル、または前記スクリュより高い前記デフレクタの上部に位置して前記スクリュおよび前記リアフレームに噴出口が向けられたノズルの少なくとも一方を有し、前記ノズルから舗装材付着防止剤または清浄剤を撒布する撒布機構と
を備えるスクリュ周り清浄機能を有する舗装機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−219921(P2011−219921A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86674(P2010−86674)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】