スクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械
【課題】耐摩耗性を失うことなく加熱エネルギー伝達効率及び加熱均一性に優れたスクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械を提供する。
【解決手段】路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置7のスクリードプレート3を加熱するためのスクリードプレート加熱装置であって、シーズヒータ14a,14b及び14cと、シーズヒータ14a,14b及び14cをロー付けした鋼部材15a,15b及び15cとを備える。鋼部材15a,15b及び15cは、スクリードプレート3にスポット溶接又はすみ肉溶接の断続溶接によって接合される。
【解決手段】路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置7のスクリードプレート3を加熱するためのスクリードプレート加熱装置であって、シーズヒータ14a,14b及び14cと、シーズヒータ14a,14b及び14cをロー付けした鋼部材15a,15b及び15cとを備える。鋼部材15a,15b及び15cは、スクリードプレート3にスポット溶接又はすみ肉溶接の断続溶接によって接合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装機械に用いられるスクリード装置において、スクリードプレートを加熱するためのスクリードプレート加熱装置に関し、より特定的には、電気によってスクリードプレートを加熱するためのスクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリードプレートは、アスファルト合材などを敷き均して平滑に仕上るためのスクリード装置の重要な構成品である。スクリード装置は、舗装面を平滑に転圧仕上げすると共に、アスファルト合材などがスクリードプレートに付着するのを防ぐため、スクリードプレート加熱装置によってスクリードプレートを加熱する。
【0003】
従来、液化石油ガス(LPG)を燃料としたバーナによってスクリードプレートを加熱するスクリードプレート加熱装置が実用化されていた。また、特許文献1に示すように、高周波誘導コイルを用いたスクリード加熱装置も提案されている。また、特許文献2に示すように、電気抵抗を持ったコイルを中に有する金属材料でできた電気加熱部によって、スクリードプレートを加熱するスクリード加熱装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−252012号公報
【特許文献2】特表2003−519733号公報
【特許文献3】特開2007−105197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液化石油ガス(LPG)を燃料としたバーナは、LPGガスをバーナノズルから噴射燃焼する。しかし、バーナによるスクリードプレートの加熱の場合、エネルギー伝達効率が低く、スクリードプレートを均一に加熱するのが困難であった。さらに、延焼事故防止のための対策を講じる必要があった。
【0006】
特許文献1に記載のスクリード加熱装置は、特許文献1の段落0009に記載されているように、スクリードプレートの上面に絶縁性のあるスペーサを設け、スペーサの上に高周波誘導コイルを設け、さらに高周波誘導コイルの上に絶縁性の押え部材を設ける構成となっている。スクリードプレート、スペーサ、高周波誘導コイル、及び押え部材は、スクリードプレートに設けられたスタッドボルトとナットによって、固定される。したがって、特許文献1のスクリード加熱装置の場合、高周波誘導コイルで発生した熱は、スペーサを介してスクリードプレートに伝達されることとなる。よって、発生した熱のロスが生じる。結果、特許文献1に記載のスクリード加熱装置の加熱エネルギー伝達効率は低く、実用化に際しては、不十分である。
【0007】
特許文献2に記載のスクリード加熱装置は、特許文献2の段落0025及び図5に記載されているように、スクリードプレート上に、熱伝導性プレートと、電気加熱部とを設けて、電気加熱部で発生した熱を、スクリードプレートに伝達する。スクリードプレートに設けられたスタッドボルトを介して、熱伝導性プレート及び電気加熱部が、サブフレームによって押さえつけられて固定される。しかし、特許文献2に記載のスクリード加熱装置は、構造が複雑である。さらに、スクリードプレート、熱伝導性プレート、及び電気加熱部の間に、空隙ができてしまう。したがって、特許文献2に記載のスクリード加熱装置の加熱エネルギー伝達効率は低く、実用化に際しては、不十分である。なお、特許文献1に記載のスクリード加熱装置においても、同様の空隙が生じ、加熱エネルギー伝達効率が不十分となる。
【0008】
ここで、道路舗装機械とは異なる技術分野であるが、スクリードプレートのような鋼板をシーズヒータで加熱する装置として、特許文献3に開示されているプレート加熱装置がある。特許文献3では、鋼板を加工してシーズヒータを埋設してロー付し、伝熱性を高めた調理用プレート加熱装置が提案されている。一般に、ロー付けに必要な加熱温度として、700℃以上が必要である。このような高温でロー付けを行う場合には、シーズヒータだけでなく母材側の調理用プレートも加熱しなければならない。道路舗装機械で用いられるスクリードプレートは、耐摩耗性を向上させるために、熱処理が施されている。したがって、スクリードプレートに直接シーズヒータを埋設してロー付けするために、スクリードプレートを700℃以上に加熱すれば、スクリードプレートの耐摩耗性向上のための焼き入れ効果が失われてしまう。したがって、特許文献3に記載されている技術をそのまま道路舗装機械に適用したとしたら、耐摩耗性を失った鋼板を用いたスクリードプレートができてしまうことになる。よって、特許文献3に記載されている技術をそのまま道路舗装機械に適用することはできない。
【0009】
それゆえ、本発明の目的は、耐摩耗性を失うことなく加熱エネルギー伝達効率及び加熱均一性に優れたスクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置のスクリードプレートを加熱するためのスクリードプレート加熱装置であって、シーズヒータと、シーズヒータをロー付けした鋼部材とを備え、鋼部材は、スクリードプレートに溶接されることを特徴とする。好ましくは、スクリードプレートに溶接による熱影響、特にアスファルト合材と接触するスクリードプレートの下面に熱影響を与えない方法によって、溶接されるとよい。
【0011】
好ましくは、鋼部材に面するシーズヒータの一面は、平坦であるとよい。また、スクリードプレートと鋼部材とは、すみ肉溶接又はスポット溶接によって溶接されるとよい。また、スクリードプレートの上面に、断熱塗装及び/又は断熱材を有するとよい。
【0012】
また、本発明は、アスファルト合材を敷き均すスクリード装置であって、スクリードプレートと、上記のスクリードプレート加熱装置とを備える。また、本発明は、アスファルト合材を敷き均すためのスクリード装置を具備する道路舗装機械であって、スクリード装置は、スクリードプレートと、上記のスクリードプレート加熱装置とを備える。
【0013】
また、本発明は、路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置の製造方法であって、鋼部材にシーズヒータをロー付けする工程と、シーズヒータがロー付けされた鋼部材を、スクリードプレートに溶接する工程とを備える。また、本発明は、路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すためのスクリード装置を具備する道路舗装機械の製造方法であって、スクリード装置を製造する際、鋼部材にシーズヒータをロー付けし、シーズヒータがロー付けされた鋼部材を、スクリードプレートに溶接することを特徴とする。また、本発明は、上記道路舗装機械を用いて、アスファルト合材を敷き均して道路を舗装することを特徴とする、道路舗装方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シーズヒータと鋼部材とがロー付けされて、鋼部材とスクリードプレートとが溶接される。したがって、シーズヒータを鋼部材にロー付けする際の熱が、スクリードプレートに伝達しない。よって、ロー付けによって、スクリードプレートの耐摩耗性が低下することはない。ゆえに、耐摩耗性の低下をできる限り押さえる溶接方法を用いて、鋼部材をスクリードプレートに溶接すればよい。ロー付け及び溶接によって、シーズヒータ、鋼部材、及びスクリードプレートの間の熱伝達を効率の良い固体伝達にできる。結果、耐摩耗性を失うことなく加熱エネルギー伝達効率及び加熱均一性に優れたスクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械を提供することが可能となる。
【0015】
シーズヒータの一面を平坦にすれば、鋼部材への熱の伝導率が向上する。スクリードプレートと鋼部材とをスポット溶接によって溶接すれば、スクリードプレートの耐摩耗性の低下を防ぐことが可能となる。スクリードプレートの上面に、断熱塗装及び/又は断熱材を設ければ、シーズヒータの熱をスクリードプレートに効率よく伝達することができるとともに、バイブレータを加熱するのを防止することができる。また、本発明の道路舗装機械を用いて舗装すれば、LPGガスによる延焼事故を防止することができるので安全な道路舗装が可能となる。また、熱伝達効率を高めることができるので、省エネルギーで道路舗装を行うことが可能となる。
【0016】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る道路舗装機械1の構成を示す概略正面図である。
【図2】図2は、スクリード装置7の内部構造を示す概略断面図である。
【図3A】図3Aは、シーズヒータ14a,14b及び14cの一例を示す断面図である。
【図3B】図3Bは、シーズヒータ14a,14b及び14cの一例を示す断面図である。
【図3C】図3Cは、シーズヒータ14a,14b及び14cの一例を示す断面図である。
【図4A】図4Aは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す平面図である。
【図4B】図4Bは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す正面図である。
【図4C】図4Cは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す右側面図である。
【図5A】図5Aは、3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す平面図である。
【図5B】図5Bは、3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す右側面図である。
【図6A】図6Aは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す平面図である。
【図6B】図6Bは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す正面図である。
【図6C】図6Cは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す右側面図である。
【図7A】図7Aは、他の例の3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す平面図である。
【図7B】図7Bは、他の例の3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す右側面図である。
【図8】図8は、他の鋼部材15aをスクリードプレート3に接合したときの断面図である。
【図9】図9は、すみ肉溶接を断続溶接したときの様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る道路舗装機械1の構成を示す概略正面図である。図1において、道路舗装機械1は、車体2と、ホッパ30と、前輪4と、コンベア5と、スクリュー6と、スクリード装置7と、レベリングアーム8と、後輪9とを備える。ホッパ30は、図示しないダンプカーなどから供給されるアスファルト合材を収容する。ホッパ30内のアスファルト合材は、コンベア5によって、スクリード7の前に搬送される。スクリュー6は、搬送されたアスファルト合材を進行方向左右に敷き伸ばす。スクリュー6によって敷き伸ばされたアスファルト合材は、スクリード装置7によって、敷き均される。レベリングアーム8は、スクリード装置7の高さを調整して、アスファルト合材をなめらかに敷き均す。
【0019】
図2は、スクリード装置7の内部構造を示す概略断面図である。図2において、スクリード装置7は、バイブレータ11と、スクリードフレーム16と、スクリードプレート3と、鋼部材15a,15b及び15cと、シーズヒータ14a,14b及び14cと、断熱塗装12と、断熱材13とを含む。バイブレータ11は、図示しない制御部によって、振動するように制御される。スクリードフレーム16は、スクリード7全体が振動するように、バイブレータ11の振動を伝達する。スクリードプレート3は、熱処理された耐摩耗性鋼板からできている。たとえば、スクリードプレート3は、長辺の長い矩形面形状を有している。スクリードプレート3には、鋼部材15a,15b及び15cが接合されている。鋼部材15a,15b及び15cには、シーズヒータ14a,14b及び14cが接合されている。シーズヒータ14a,14b及び14cが発する熱が、鋼部材15a,15b及び15cを介して、スクリードプレート3に伝達する。スクリードプレート3、鋼部材15a,15b及び15c、並びにシーズヒータ14a,14b及び14cの表面には、断熱塗装12が施されている。スクリードプレート3、鋼部材15a,15b及び15c、並びにシーズヒータ14a,14b及び14cの上部には、断熱材13が設けられている。断熱塗装12及び断熱材13は、少なくともどちらか一方が設けられていたらよい。断熱塗装12及び/又は断熱材13によって、シーズヒータ14a,14b及び14cからスクリードプレート3への熱の伝達効率を上げることができる。また、断熱塗装12及び/又は断熱材13によって、シーズヒータ14a,14b及び14c並びにスクリードプレート3からの上部への放熱を防ぐことができるので、シーズヒータ14a,14b及び14cが発する熱が上部に放熱されることなく、スクリードプレート3の加熱に供される。
【0020】
図3A、図3B及び図3Cは、シーズヒータ14a,14b及び14cの一例を示す断面図である。図3A、図3B及び図3Cに示すように、シーズヒータ14a,14b及び14cは、金属パイプ内に絶縁粉末で絶縁された発熱線を有する。発熱線に電気を流すことによって、発熱線が発熱する。発熱線が発する熱は、絶縁粉末を介して、金属パイプに伝達する。なお、シーズヒータ14a,14b及び14cの構成は、あくまでも一例にすぎず、図3A,図3B及び図3Cに示す構成に限られるものではない。
【0021】
図3A,図3B及び図3Cに示すように、シーズヒータ14a,14b及び14cの少なくとも一面は平坦部を有する。当該平坦部が、鋼部材15a,15b及び15cに接する。これによって、シーズヒータ14a,14b及び14cから鋼部材15a,15b及び15cへの熱伝導効率が向上し、結果、全体的な熱伝導効率が向上する。
【0022】
次に、シーズヒータ14a,14b及び14c、鋼部材15a,15b及び15c、並びにスクリードプレート3の接合構造について、詳述する。図4Aは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す平面図である。図4Bは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す正面図である。図4Cは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す右側面図である。図4Cに示すように、シーズヒータ14aの一部又は全部は、平板状の鋼板である鋼部材15aにロー付けによって接合される。ロー付けによって接合された鋼部材15aとシーズヒータ14aとによって、スクリードプレート3を加熱するスクリードプレート加熱装置17が得られる。鋼部材15b及び15c並びにシーズヒータ14b及び14cについても同様にして、ロー付けされる。なお、図4A〜図4Cにおいて、鋼部材15a,15b及び15cは、平らになっているが、スクリードプレート3の形状に合わせて、一部が折り曲げられていてもよい。
【0023】
図5Aは、3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す平面図である。図5Bは、3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す右側面図である。図5Aに示すように、各スクリードプレート加熱装置17は、スクリードプレート3の長辺に対して略平行に並べられて、鋼部材15a,15b及び15cにおける複数の箇所でスポット溶接される。スポット溶接を用いれば、スクリードプレート3の下面(舗装施工時にアスファルト合材と接触する面)まで、耐摩耗性をできる限り低下させないように溶接することができる。これにより、スクリードプレート加熱装置17とスクリードプレート3との接合によって、スクリードプレート3の耐摩耗性低下を最小限にとどめることが可能となる。ただし、本発明において、スクリードプレート3とスクリードプレート加熱装置17との溶接は、スポット溶接に限られるものではない。溶接熱による耐摩耗性低下をスクリードプレート3の下面にまでできる限り及ぼさないことができる溶接であれば、スポット溶接以外に、断続溶接やプラグ溶接、スロット溶接等を用いてもよい。たとえば、すみ肉溶接によっても、溶接熱による耐摩耗性低下をできる限り抑えることができる。すみ肉溶接を用いる場合、好ましくは、断続溶接することによって、溶接熱によるスクリードプレート3の耐摩耗性低下をさらに防止することができる。図9は、すみ肉溶接を断続溶接したときの様子を示す平面図である。このように、スポット溶接以外の方法によって、スクリードプレート3とスクリードプレート加熱装置17とを溶接してもよい。
【0024】
このように、本発明の一実施形態では、まず、シーズヒータ14a,14b及び14cを鋼部材15a,15b及び15cにロー付けして、スクリードプレート加熱装置17を製造する。次に、得られたスクリードプレート加熱装置17の鋼部材15a,15b及び15cを、スクリードプレート3に溶接する。したがって、シーズヒータ14a,14b及び14cをロー付けする際の熱は、スクリードプレート3には、加えられない。スクリードプレート3に加えられる熱は、鋼部材15a,15b及び15cをスクリードプレート3に溶接する際の熱のみである。ゆえに、少なくともスクリードプレート3の下面の耐摩耗性が低下しないような溶接方法を用いて、鋼部材15a,15b及び15cをスクリードプレート3に溶接すればよい。また、シーズヒータ14a,14b及び14cと、鋼部材15a,15b及び15cと、スクリードプレート3とは、溶接によって、接合されているので、従来のように、スタッドボルトとナットによって固定される空隙を生じる形態に比べ、シーズヒータ・鋼部材・スクリードの間の熱伝達を最も効率の良い固体伝達にできる。よって、加熱エネルギーの伝達効率及び加熱の均一性を向上させることができる。したがって、本発明の一実施形態によって、摩耗性を失うことなく加熱エネルギー伝達効率及び加熱均一性に優れたスクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械が提供されることとなる。
【0025】
なお、スクリードプレート加熱装置17の構造は、上記の例に限られるものではない。図6Aは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す平面図である。図6Bは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す正面図である。図6Cは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す右側面図である。なお、図6A〜図6Cにおいて、図4A〜図4Cに示すスクリードプレート加熱装置17と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付す。なお、図6A〜図6Cにおいて、鋼部材15a,15b及び15cは、平らになっているが、スクリードプレート3の形状に合わせて、一部が折り曲げられていてもよい。図6A〜図6Cに示すように、鋼部材15a,15b及び15cは、平板状の鋼板に限定されるものではなく、ロの字状に内側がくりぬかれた鋼部材であってもよい。シーズヒータ14a,14b及び14cは、鋼部材15a,15b及び15cの形状に合わせて、金属パイプが折り曲げられている。シーズヒータ14a,14b及び14cの一部又は全部は、鋼部材15a,15b及び15cにロー付けによって接合される。
【0026】
図7Aは、他の例の3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す平面図である。図7Bは、他の例の3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す右側面図である。各スクリードプレート加熱装置17は、スクリードプレート3の長辺方向を複数の領域に区分するように並べられて、鋼部材15a,15b及び15cにおける複数の箇所でスポット溶接される。なお、スポット溶接の代わりに、すみ肉溶接を断続溶接してもよい。
【0027】
図6A〜図6C及び図7A〜図7Bに示すように、鋼部材及びシーズヒータの形状は、特に限定されるものではない。
【0028】
また、鋼部材は、平板状に限らず、シーズヒータを固定しやすい形状を有していてもよい。図8は、他の鋼部材15aをスクリードプレート3に接合したときの断面図である。図8に示すように、鋼部材15aは、シーズヒータ14aを固定するための凹部150を上面に有しており、凹部150にシーズヒータ14aを入れて、ロー付けによってシーズヒータ14aを鋼部材15aに接合してもよい。鋼部材15aは、平板部151において、スクリードプレート3とスポット溶接される。なお、スポット溶接の代わりに、すみ肉溶接を断続溶接してもよい。図8のように、本発明において、鋼部材は、平板状に限られるものではない。図8のように、鋼部材15aに、シーズヒータ14aを固定するための凹部150を設ければ、シーズヒータ14の固定強度が増すとともに、シーズヒータ14aの熱を、できる限り放熱させることなく鋼部材15aに伝達させることも可能となる。また、鋼部材の厚みは、図示した例に限定されず、本発明において特に限定されない。
【0029】
なお、上記実施形態において、スクリードプレート加熱装置17は、3つであるとしたが、これに限られるものではないことは言うまでもない。
【0030】
なお、本発明のスクリードプレート加熱装置は、アスファルトフィニッシャ以外にも、リペーバやリミキサー等、スクリード装置によってアスファルト舗装を行う道路舗装機械全般に利用可能である。
【0031】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、道路舗装機械等に利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 道路舗装機械
2 車体
30 ホッパ
4 前輪
5 コンベア
6 スクリュー
7 スクリード装置
8 レベリングアーム
9 後輪
11 バイブレータ
12 断熱塗装
13 断熱材
14a,14b,14c シーズヒータ
15a,15b,15c 鋼部材
16 スクリードフレーム
17 スクリードプレート加熱装置
150 凹部
151 平板部
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装機械に用いられるスクリード装置において、スクリードプレートを加熱するためのスクリードプレート加熱装置に関し、より特定的には、電気によってスクリードプレートを加熱するためのスクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリードプレートは、アスファルト合材などを敷き均して平滑に仕上るためのスクリード装置の重要な構成品である。スクリード装置は、舗装面を平滑に転圧仕上げすると共に、アスファルト合材などがスクリードプレートに付着するのを防ぐため、スクリードプレート加熱装置によってスクリードプレートを加熱する。
【0003】
従来、液化石油ガス(LPG)を燃料としたバーナによってスクリードプレートを加熱するスクリードプレート加熱装置が実用化されていた。また、特許文献1に示すように、高周波誘導コイルを用いたスクリード加熱装置も提案されている。また、特許文献2に示すように、電気抵抗を持ったコイルを中に有する金属材料でできた電気加熱部によって、スクリードプレートを加熱するスクリード加熱装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−252012号公報
【特許文献2】特表2003−519733号公報
【特許文献3】特開2007−105197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液化石油ガス(LPG)を燃料としたバーナは、LPGガスをバーナノズルから噴射燃焼する。しかし、バーナによるスクリードプレートの加熱の場合、エネルギー伝達効率が低く、スクリードプレートを均一に加熱するのが困難であった。さらに、延焼事故防止のための対策を講じる必要があった。
【0006】
特許文献1に記載のスクリード加熱装置は、特許文献1の段落0009に記載されているように、スクリードプレートの上面に絶縁性のあるスペーサを設け、スペーサの上に高周波誘導コイルを設け、さらに高周波誘導コイルの上に絶縁性の押え部材を設ける構成となっている。スクリードプレート、スペーサ、高周波誘導コイル、及び押え部材は、スクリードプレートに設けられたスタッドボルトとナットによって、固定される。したがって、特許文献1のスクリード加熱装置の場合、高周波誘導コイルで発生した熱は、スペーサを介してスクリードプレートに伝達されることとなる。よって、発生した熱のロスが生じる。結果、特許文献1に記載のスクリード加熱装置の加熱エネルギー伝達効率は低く、実用化に際しては、不十分である。
【0007】
特許文献2に記載のスクリード加熱装置は、特許文献2の段落0025及び図5に記載されているように、スクリードプレート上に、熱伝導性プレートと、電気加熱部とを設けて、電気加熱部で発生した熱を、スクリードプレートに伝達する。スクリードプレートに設けられたスタッドボルトを介して、熱伝導性プレート及び電気加熱部が、サブフレームによって押さえつけられて固定される。しかし、特許文献2に記載のスクリード加熱装置は、構造が複雑である。さらに、スクリードプレート、熱伝導性プレート、及び電気加熱部の間に、空隙ができてしまう。したがって、特許文献2に記載のスクリード加熱装置の加熱エネルギー伝達効率は低く、実用化に際しては、不十分である。なお、特許文献1に記載のスクリード加熱装置においても、同様の空隙が生じ、加熱エネルギー伝達効率が不十分となる。
【0008】
ここで、道路舗装機械とは異なる技術分野であるが、スクリードプレートのような鋼板をシーズヒータで加熱する装置として、特許文献3に開示されているプレート加熱装置がある。特許文献3では、鋼板を加工してシーズヒータを埋設してロー付し、伝熱性を高めた調理用プレート加熱装置が提案されている。一般に、ロー付けに必要な加熱温度として、700℃以上が必要である。このような高温でロー付けを行う場合には、シーズヒータだけでなく母材側の調理用プレートも加熱しなければならない。道路舗装機械で用いられるスクリードプレートは、耐摩耗性を向上させるために、熱処理が施されている。したがって、スクリードプレートに直接シーズヒータを埋設してロー付けするために、スクリードプレートを700℃以上に加熱すれば、スクリードプレートの耐摩耗性向上のための焼き入れ効果が失われてしまう。したがって、特許文献3に記載されている技術をそのまま道路舗装機械に適用したとしたら、耐摩耗性を失った鋼板を用いたスクリードプレートができてしまうことになる。よって、特許文献3に記載されている技術をそのまま道路舗装機械に適用することはできない。
【0009】
それゆえ、本発明の目的は、耐摩耗性を失うことなく加熱エネルギー伝達効率及び加熱均一性に優れたスクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置のスクリードプレートを加熱するためのスクリードプレート加熱装置であって、シーズヒータと、シーズヒータをロー付けした鋼部材とを備え、鋼部材は、スクリードプレートに溶接されることを特徴とする。好ましくは、スクリードプレートに溶接による熱影響、特にアスファルト合材と接触するスクリードプレートの下面に熱影響を与えない方法によって、溶接されるとよい。
【0011】
好ましくは、鋼部材に面するシーズヒータの一面は、平坦であるとよい。また、スクリードプレートと鋼部材とは、すみ肉溶接又はスポット溶接によって溶接されるとよい。また、スクリードプレートの上面に、断熱塗装及び/又は断熱材を有するとよい。
【0012】
また、本発明は、アスファルト合材を敷き均すスクリード装置であって、スクリードプレートと、上記のスクリードプレート加熱装置とを備える。また、本発明は、アスファルト合材を敷き均すためのスクリード装置を具備する道路舗装機械であって、スクリード装置は、スクリードプレートと、上記のスクリードプレート加熱装置とを備える。
【0013】
また、本発明は、路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置の製造方法であって、鋼部材にシーズヒータをロー付けする工程と、シーズヒータがロー付けされた鋼部材を、スクリードプレートに溶接する工程とを備える。また、本発明は、路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すためのスクリード装置を具備する道路舗装機械の製造方法であって、スクリード装置を製造する際、鋼部材にシーズヒータをロー付けし、シーズヒータがロー付けされた鋼部材を、スクリードプレートに溶接することを特徴とする。また、本発明は、上記道路舗装機械を用いて、アスファルト合材を敷き均して道路を舗装することを特徴とする、道路舗装方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シーズヒータと鋼部材とがロー付けされて、鋼部材とスクリードプレートとが溶接される。したがって、シーズヒータを鋼部材にロー付けする際の熱が、スクリードプレートに伝達しない。よって、ロー付けによって、スクリードプレートの耐摩耗性が低下することはない。ゆえに、耐摩耗性の低下をできる限り押さえる溶接方法を用いて、鋼部材をスクリードプレートに溶接すればよい。ロー付け及び溶接によって、シーズヒータ、鋼部材、及びスクリードプレートの間の熱伝達を効率の良い固体伝達にできる。結果、耐摩耗性を失うことなく加熱エネルギー伝達効率及び加熱均一性に優れたスクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械を提供することが可能となる。
【0015】
シーズヒータの一面を平坦にすれば、鋼部材への熱の伝導率が向上する。スクリードプレートと鋼部材とをスポット溶接によって溶接すれば、スクリードプレートの耐摩耗性の低下を防ぐことが可能となる。スクリードプレートの上面に、断熱塗装及び/又は断熱材を設ければ、シーズヒータの熱をスクリードプレートに効率よく伝達することができるとともに、バイブレータを加熱するのを防止することができる。また、本発明の道路舗装機械を用いて舗装すれば、LPGガスによる延焼事故を防止することができるので安全な道路舗装が可能となる。また、熱伝達効率を高めることができるので、省エネルギーで道路舗装を行うことが可能となる。
【0016】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る道路舗装機械1の構成を示す概略正面図である。
【図2】図2は、スクリード装置7の内部構造を示す概略断面図である。
【図3A】図3Aは、シーズヒータ14a,14b及び14cの一例を示す断面図である。
【図3B】図3Bは、シーズヒータ14a,14b及び14cの一例を示す断面図である。
【図3C】図3Cは、シーズヒータ14a,14b及び14cの一例を示す断面図である。
【図4A】図4Aは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す平面図である。
【図4B】図4Bは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す正面図である。
【図4C】図4Cは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す右側面図である。
【図5A】図5Aは、3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す平面図である。
【図5B】図5Bは、3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す右側面図である。
【図6A】図6Aは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す平面図である。
【図6B】図6Bは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す正面図である。
【図6C】図6Cは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す右側面図である。
【図7A】図7Aは、他の例の3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す平面図である。
【図7B】図7Bは、他の例の3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す右側面図である。
【図8】図8は、他の鋼部材15aをスクリードプレート3に接合したときの断面図である。
【図9】図9は、すみ肉溶接を断続溶接したときの様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る道路舗装機械1の構成を示す概略正面図である。図1において、道路舗装機械1は、車体2と、ホッパ30と、前輪4と、コンベア5と、スクリュー6と、スクリード装置7と、レベリングアーム8と、後輪9とを備える。ホッパ30は、図示しないダンプカーなどから供給されるアスファルト合材を収容する。ホッパ30内のアスファルト合材は、コンベア5によって、スクリード7の前に搬送される。スクリュー6は、搬送されたアスファルト合材を進行方向左右に敷き伸ばす。スクリュー6によって敷き伸ばされたアスファルト合材は、スクリード装置7によって、敷き均される。レベリングアーム8は、スクリード装置7の高さを調整して、アスファルト合材をなめらかに敷き均す。
【0019】
図2は、スクリード装置7の内部構造を示す概略断面図である。図2において、スクリード装置7は、バイブレータ11と、スクリードフレーム16と、スクリードプレート3と、鋼部材15a,15b及び15cと、シーズヒータ14a,14b及び14cと、断熱塗装12と、断熱材13とを含む。バイブレータ11は、図示しない制御部によって、振動するように制御される。スクリードフレーム16は、スクリード7全体が振動するように、バイブレータ11の振動を伝達する。スクリードプレート3は、熱処理された耐摩耗性鋼板からできている。たとえば、スクリードプレート3は、長辺の長い矩形面形状を有している。スクリードプレート3には、鋼部材15a,15b及び15cが接合されている。鋼部材15a,15b及び15cには、シーズヒータ14a,14b及び14cが接合されている。シーズヒータ14a,14b及び14cが発する熱が、鋼部材15a,15b及び15cを介して、スクリードプレート3に伝達する。スクリードプレート3、鋼部材15a,15b及び15c、並びにシーズヒータ14a,14b及び14cの表面には、断熱塗装12が施されている。スクリードプレート3、鋼部材15a,15b及び15c、並びにシーズヒータ14a,14b及び14cの上部には、断熱材13が設けられている。断熱塗装12及び断熱材13は、少なくともどちらか一方が設けられていたらよい。断熱塗装12及び/又は断熱材13によって、シーズヒータ14a,14b及び14cからスクリードプレート3への熱の伝達効率を上げることができる。また、断熱塗装12及び/又は断熱材13によって、シーズヒータ14a,14b及び14c並びにスクリードプレート3からの上部への放熱を防ぐことができるので、シーズヒータ14a,14b及び14cが発する熱が上部に放熱されることなく、スクリードプレート3の加熱に供される。
【0020】
図3A、図3B及び図3Cは、シーズヒータ14a,14b及び14cの一例を示す断面図である。図3A、図3B及び図3Cに示すように、シーズヒータ14a,14b及び14cは、金属パイプ内に絶縁粉末で絶縁された発熱線を有する。発熱線に電気を流すことによって、発熱線が発熱する。発熱線が発する熱は、絶縁粉末を介して、金属パイプに伝達する。なお、シーズヒータ14a,14b及び14cの構成は、あくまでも一例にすぎず、図3A,図3B及び図3Cに示す構成に限られるものではない。
【0021】
図3A,図3B及び図3Cに示すように、シーズヒータ14a,14b及び14cの少なくとも一面は平坦部を有する。当該平坦部が、鋼部材15a,15b及び15cに接する。これによって、シーズヒータ14a,14b及び14cから鋼部材15a,15b及び15cへの熱伝導効率が向上し、結果、全体的な熱伝導効率が向上する。
【0022】
次に、シーズヒータ14a,14b及び14c、鋼部材15a,15b及び15c、並びにスクリードプレート3の接合構造について、詳述する。図4Aは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す平面図である。図4Bは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す正面図である。図4Cは、鋼部材15aとシーズヒータ14aとが接合されたときの様子を示す右側面図である。図4Cに示すように、シーズヒータ14aの一部又は全部は、平板状の鋼板である鋼部材15aにロー付けによって接合される。ロー付けによって接合された鋼部材15aとシーズヒータ14aとによって、スクリードプレート3を加熱するスクリードプレート加熱装置17が得られる。鋼部材15b及び15c並びにシーズヒータ14b及び14cについても同様にして、ロー付けされる。なお、図4A〜図4Cにおいて、鋼部材15a,15b及び15cは、平らになっているが、スクリードプレート3の形状に合わせて、一部が折り曲げられていてもよい。
【0023】
図5Aは、3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す平面図である。図5Bは、3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す右側面図である。図5Aに示すように、各スクリードプレート加熱装置17は、スクリードプレート3の長辺に対して略平行に並べられて、鋼部材15a,15b及び15cにおける複数の箇所でスポット溶接される。スポット溶接を用いれば、スクリードプレート3の下面(舗装施工時にアスファルト合材と接触する面)まで、耐摩耗性をできる限り低下させないように溶接することができる。これにより、スクリードプレート加熱装置17とスクリードプレート3との接合によって、スクリードプレート3の耐摩耗性低下を最小限にとどめることが可能となる。ただし、本発明において、スクリードプレート3とスクリードプレート加熱装置17との溶接は、スポット溶接に限られるものではない。溶接熱による耐摩耗性低下をスクリードプレート3の下面にまでできる限り及ぼさないことができる溶接であれば、スポット溶接以外に、断続溶接やプラグ溶接、スロット溶接等を用いてもよい。たとえば、すみ肉溶接によっても、溶接熱による耐摩耗性低下をできる限り抑えることができる。すみ肉溶接を用いる場合、好ましくは、断続溶接することによって、溶接熱によるスクリードプレート3の耐摩耗性低下をさらに防止することができる。図9は、すみ肉溶接を断続溶接したときの様子を示す平面図である。このように、スポット溶接以外の方法によって、スクリードプレート3とスクリードプレート加熱装置17とを溶接してもよい。
【0024】
このように、本発明の一実施形態では、まず、シーズヒータ14a,14b及び14cを鋼部材15a,15b及び15cにロー付けして、スクリードプレート加熱装置17を製造する。次に、得られたスクリードプレート加熱装置17の鋼部材15a,15b及び15cを、スクリードプレート3に溶接する。したがって、シーズヒータ14a,14b及び14cをロー付けする際の熱は、スクリードプレート3には、加えられない。スクリードプレート3に加えられる熱は、鋼部材15a,15b及び15cをスクリードプレート3に溶接する際の熱のみである。ゆえに、少なくともスクリードプレート3の下面の耐摩耗性が低下しないような溶接方法を用いて、鋼部材15a,15b及び15cをスクリードプレート3に溶接すればよい。また、シーズヒータ14a,14b及び14cと、鋼部材15a,15b及び15cと、スクリードプレート3とは、溶接によって、接合されているので、従来のように、スタッドボルトとナットによって固定される空隙を生じる形態に比べ、シーズヒータ・鋼部材・スクリードの間の熱伝達を最も効率の良い固体伝達にできる。よって、加熱エネルギーの伝達効率及び加熱の均一性を向上させることができる。したがって、本発明の一実施形態によって、摩耗性を失うことなく加熱エネルギー伝達効率及び加熱均一性に優れたスクリードプレート加熱装置並びにそれを用いたスクリード装置及び道路舗装機械が提供されることとなる。
【0025】
なお、スクリードプレート加熱装置17の構造は、上記の例に限られるものではない。図6Aは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す平面図である。図6Bは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す正面図である。図6Cは、スクリードプレート加熱装置17の他の例を示す右側面図である。なお、図6A〜図6Cにおいて、図4A〜図4Cに示すスクリードプレート加熱装置17と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付す。なお、図6A〜図6Cにおいて、鋼部材15a,15b及び15cは、平らになっているが、スクリードプレート3の形状に合わせて、一部が折り曲げられていてもよい。図6A〜図6Cに示すように、鋼部材15a,15b及び15cは、平板状の鋼板に限定されるものではなく、ロの字状に内側がくりぬかれた鋼部材であってもよい。シーズヒータ14a,14b及び14cは、鋼部材15a,15b及び15cの形状に合わせて、金属パイプが折り曲げられている。シーズヒータ14a,14b及び14cの一部又は全部は、鋼部材15a,15b及び15cにロー付けによって接合される。
【0026】
図7Aは、他の例の3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す平面図である。図7Bは、他の例の3つのスクリードプレート加熱装置17がスクリードプレート3に接合されたときの様子を示す右側面図である。各スクリードプレート加熱装置17は、スクリードプレート3の長辺方向を複数の領域に区分するように並べられて、鋼部材15a,15b及び15cにおける複数の箇所でスポット溶接される。なお、スポット溶接の代わりに、すみ肉溶接を断続溶接してもよい。
【0027】
図6A〜図6C及び図7A〜図7Bに示すように、鋼部材及びシーズヒータの形状は、特に限定されるものではない。
【0028】
また、鋼部材は、平板状に限らず、シーズヒータを固定しやすい形状を有していてもよい。図8は、他の鋼部材15aをスクリードプレート3に接合したときの断面図である。図8に示すように、鋼部材15aは、シーズヒータ14aを固定するための凹部150を上面に有しており、凹部150にシーズヒータ14aを入れて、ロー付けによってシーズヒータ14aを鋼部材15aに接合してもよい。鋼部材15aは、平板部151において、スクリードプレート3とスポット溶接される。なお、スポット溶接の代わりに、すみ肉溶接を断続溶接してもよい。図8のように、本発明において、鋼部材は、平板状に限られるものではない。図8のように、鋼部材15aに、シーズヒータ14aを固定するための凹部150を設ければ、シーズヒータ14の固定強度が増すとともに、シーズヒータ14aの熱を、できる限り放熱させることなく鋼部材15aに伝達させることも可能となる。また、鋼部材の厚みは、図示した例に限定されず、本発明において特に限定されない。
【0029】
なお、上記実施形態において、スクリードプレート加熱装置17は、3つであるとしたが、これに限られるものではないことは言うまでもない。
【0030】
なお、本発明のスクリードプレート加熱装置は、アスファルトフィニッシャ以外にも、リペーバやリミキサー等、スクリード装置によってアスファルト舗装を行う道路舗装機械全般に利用可能である。
【0031】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、道路舗装機械等に利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 道路舗装機械
2 車体
30 ホッパ
4 前輪
5 コンベア
6 スクリュー
7 スクリード装置
8 レベリングアーム
9 後輪
11 バイブレータ
12 断熱塗装
13 断熱材
14a,14b,14c シーズヒータ
15a,15b,15c 鋼部材
16 スクリードフレーム
17 スクリードプレート加熱装置
150 凹部
151 平板部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置のスクリードプレートを加熱するためのスクリードプレート加熱装置であって、
シーズヒータと、
前記シーズヒータをロー付けした鋼部材とを備え、
前記鋼部材は、前記スクリードプレートに溶接されることを特徴とする、スクリードプレート加熱装置。
【請求項2】
前記鋼部材に面する前記シーズヒータの一面は、平坦であることを特徴とする請求項1に記載のスクリードプレート加熱装置。
【請求項3】
前記スクリードプレートと前記鋼部材とは、すみ肉溶接によって溶接されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスクリードプレート加熱装置。
【請求項4】
前記スクリードプレートと前記鋼部材とは、スポット溶接によって溶接されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスクリードプレート加熱装置。
【請求項5】
前記スクリードプレートの上面に、断熱塗装及び/又は断熱材を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のスクリードプレート加熱装置。
【請求項6】
路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置であって、
スクリードプレートと、
請求項1〜5のいずれかに記載のスクリードプレート加熱装置とを備えることを特徴とする、スクリード装置。
【請求項7】
アスファルト合材を敷き均すためのスクリード装置を具備する道路舗装機械であって、
前記スクリード装置は、スクリードプレートと、請求項1〜5のいずれかに記載のスクリードプレート加熱装置とを備えることを特徴とする、道路舗装機械。
【請求項8】
アスファルト合材を敷き均すスクリード装置の製造方法であって、
鋼部材にシーズヒータをロー付けする工程と、
前記シーズヒータがロー付けされた前記鋼部材を、スクリードプレートに溶接する工程とを備えることを特徴とする、スクリード装置の製造方法。
【請求項9】
路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すためのスクリード装置を具備する道路舗装機械の製造方法であって、
前記スクリード装置を製造する際、
鋼部材にシーズヒータをロー付けし、
前記シーズヒータがロー付けされた前記鋼部材を、スクリードプレートに溶接することを特徴とする、道路舗装機械の製造方法。
【請求項10】
請求項7に記載の道路舗装機械を用いて、アスファルト合材を敷き均して道路を舗装することを特徴とする、道路舗装方法。
【請求項1】
路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置のスクリードプレートを加熱するためのスクリードプレート加熱装置であって、
シーズヒータと、
前記シーズヒータをロー付けした鋼部材とを備え、
前記鋼部材は、前記スクリードプレートに溶接されることを特徴とする、スクリードプレート加熱装置。
【請求項2】
前記鋼部材に面する前記シーズヒータの一面は、平坦であることを特徴とする請求項1に記載のスクリードプレート加熱装置。
【請求項3】
前記スクリードプレートと前記鋼部材とは、すみ肉溶接によって溶接されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスクリードプレート加熱装置。
【請求項4】
前記スクリードプレートと前記鋼部材とは、スポット溶接によって溶接されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスクリードプレート加熱装置。
【請求項5】
前記スクリードプレートの上面に、断熱塗装及び/又は断熱材を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のスクリードプレート加熱装置。
【請求項6】
路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すスクリード装置であって、
スクリードプレートと、
請求項1〜5のいずれかに記載のスクリードプレート加熱装置とを備えることを特徴とする、スクリード装置。
【請求項7】
アスファルト合材を敷き均すためのスクリード装置を具備する道路舗装機械であって、
前記スクリード装置は、スクリードプレートと、請求項1〜5のいずれかに記載のスクリードプレート加熱装置とを備えることを特徴とする、道路舗装機械。
【請求項8】
アスファルト合材を敷き均すスクリード装置の製造方法であって、
鋼部材にシーズヒータをロー付けする工程と、
前記シーズヒータがロー付けされた前記鋼部材を、スクリードプレートに溶接する工程とを備えることを特徴とする、スクリード装置の製造方法。
【請求項9】
路面に敷いたアスファルト合材を敷き均すためのスクリード装置を具備する道路舗装機械の製造方法であって、
前記スクリード装置を製造する際、
鋼部材にシーズヒータをロー付けし、
前記シーズヒータがロー付けされた前記鋼部材を、スクリードプレートに溶接することを特徴とする、道路舗装機械の製造方法。
【請求項10】
請求項7に記載の道路舗装機械を用いて、アスファルト合材を敷き均して道路を舗装することを特徴とする、道路舗装方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−7466(P2012−7466A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111810(P2011−111810)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000235163)範多機械株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000235163)範多機械株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
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