説明

スクリーン処理装置

【課題】汚水から固形成分を効率よく除去できるような、スクリーン処理装置を得る。
【解決手段】固形成分を含む汚水を受け入れる汚水槽39と、汚水槽内の汚水から固形成分を捕集するバースクリーンユニット9と、捕集された固形成分を受け入れて分解処理する分解処理槽6と、分解処理槽内で分解処理されて残る水分から油分を分離して水分を排出させる油水分離槽8とを備えてし渣分解処理装置が構成される。分解処理槽が、多数の通過孔を有した半円筒状の分解処理水通過孔付底板27を有した処理槽本体と、この処理槽本体の空間内に回転可能に配設された攪拌翼25を備え、処理槽本体の空間内に入れられた固形成分を攪拌翼25により攪拌して好気性微生物により分解処理する。分解処理槽6の下側に、分解処理されて発生する水分を底板27の通過孔を通過させて受容する貯水槽7と、貯留水内に気泡を供給して分解処理槽内を曝気させる曝気用の散気管32が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活排水、特に、生ゴミ等の固形成分を含む汚水のスクリーン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭で発生する生ゴミ類をディスポーザにより粉砕して生活排水と共に排出されるようになってきており、固形成分を含む汚水の処理方法が問題となっている。現在では一般的に、このように排出された汚水を浄化槽において順次浄化するようなシステムが採用されている。このシステムでは汚水に含まれる固形成分が汚泥となって浄化槽に堆積してその処理能力を低下させるという問題があり、汚泥の除去の能力、コストが大きいという問題がある。このようなことから、例えば、特許文献1には汚水から固形成分を除去する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3436266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような固形成分処理装置によれば、汚水から固形成分を除去でき、汚水の浄化システムを効果的に用いることができるのであるが、その装置による固形成分の除去効率を一層高めることが求められている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みたもので、汚水から固形成分を効率よく除去できるようなスクリーン処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のスクリーン処理装置は、固形成分を含む汚水を受け入れる汚水槽と、前記汚水槽内の汚水から固形成分を捕集する固形成分捕集手段(例えば、実施形態におけるバースクリーンユニット9)と、前記固形成分捕集手段により捕集された固形成分を受け入れて分解処理する分解処理槽と、前記分解処理槽内で分解処理されて残る水分から油分を分離して水分を排出させる油水分離槽とを備えて構成される。そして、前記分解処理槽が、多数の通過孔を有した半円筒状の底板を有した処理槽本体(例えば、実施形態における分解処理水通過孔付底板27)と、前記処理槽本体の空間内に回転可能に配設された攪拌手段(例えば、実施形態における攪拌翼25)と、前記攪拌手段を回転駆動する回転駆動手段(例えば、実施形態における回転駆動モータ20)とから構成され、前記処理槽本体の空間内に前記固形成分捕集手段により捕集された固形成分を受け入れるとともに前記攪拌手段により攪拌して前記固形成分を好気性微生物により分解処理するように構成される。また、前記処理槽本体の前記底板の下側に、前記処理槽本体内において分解処理されて発生する水分を前記底板の通過孔を通過させて受容する貯水槽と、前記貯水槽内に貯留された水分内に気泡を供給して前記貯水槽内を曝気させる曝気手段(例えば、実施形態における超微細気泡散気管32)とが設けられ、さらに、前記貯水槽内の水分が前記油水分離槽を通って排出させるときに前記貯水槽内の水位が前記底板の下面と略同一もしくはこれより低くなるように設定されている。
【0007】
また、本発明に係るスクリーン処理装置においては、処理槽本体の半円筒状の底板の外側に対向する位置に設けられ、貯水槽から、曝気手段により供給された気泡を含む水分を得て、底板に水分を噴射する水噴射手段(例えば、実施形態におけるジェットノズル30)を備えることが好ましい。
【0008】
そして、貯水槽及び汚水槽の上部に開口を有し、貯水槽から汚水槽へ水分を供給することが可能な汚水槽循環水路(例えば、実施形態における第2水路102)が設けられていることが好ましい。
【0009】
さらに、貯水槽及び分解処理槽の上部に開口を有し、貯水槽から分解処理槽へ水分を供給することが可能な分解処理槽循環水路(例えば、実施形態における第3水路103)が設けられていることが好ましい。
【0010】
なお、攪拌手段は、攪拌手段が回転する回転軸から離れる方向に延びて設けられる複数の攪拌軸と、攪拌軸のそれぞれの先端に設けられた攪拌翼とから構成され、複数の攪拌軸は、回転軸に対して垂直な方向から見て、回転軸の両端から中央に向かう方向に順に設けられることが好ましく、更に、攪拌翼は、攪拌軸の回転方向に対して所定の角度だけ傾けて攪拌軸に取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上記構成の本発明によると、固形成分捕集手段により捕集されて分解処理槽内に受け入れられた汚水中の固形成分は、攪拌手段により攪拌され、好気性微生物と貯水槽の曝気による空気(酸素)の作用により、水分とCOに分解され、水分は油水分離槽において油分が除去されて外部に排出されることとなり、汚水内の固形成分を効果的に分離処理することができる。
【0012】
また、本発明に係るスクリーン処理装置においては、水噴射手段により、曝気手段から供給された気泡を含んだ水分が処理槽本体に噴射されるように構成されることにより、フリーラジカル(不対電子を有する原子や分子)を発生させることが可能になり、このフリーラジカルにより汚水内の固形成分を酸化分解することができ分解能力を向上させることができる。
【0013】
そして、第2水路が設けられ貯水槽から汚水槽へ水分を供給することが可能になることにより、スクリーン処理装置の内部に貯留された水分の一部又は全てを、汚水槽を介して外部へ排出することが可能になるため、スクリーン処理装置のメンテナンス性を高めることができる。
【0014】
さらに、第3水路が設けられ貯水槽から分解処理槽の上部へ水分を供給することが可能になることにより、汚水槽に貯留された汚濁物質を再度分解処理槽に送りこむことが可能になるため、汚濁物質の分解能力を向上させることができる。
【0015】
なお、攪拌手段が攪拌軸と攪拌翼とで構成される場合、攪拌軸が、回転軸に対して
垂直な方向から見て、回転軸の両端から中央に向かう方向に順に設けられることにより、汚濁物質を中央方向に移送し、回転駆動手段等にかかる負荷を低減させることができる。更に、攪拌翼が、攪拌軸の回転方向に対して所定の角度だけ傾けて攪拌軸に取り付けられることにより、汚濁物質を中央へ集める量を加減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るスクリーン処理装置の全体構成を示す正面断面図である。
【図2】上記スクリーン処理装置の全体構成を示すと共に、循環水路及び汚泥戻し配管が設けられた構成を示す側面断面図である。
【図3】上記スクリーン処理装置に汚水を供給する部分の構成を示す断面図である。
【図4】上記スクリーン処理装置の内部構造を示す断面図である。
【図5】上記スクリーン処理装置の超微細気泡散気管の構成及び供給されたエアーから気泡を生成する様子を示す部分断面図である。
【図6】上記スクリーン処理装置の分解処理槽における攪拌翼及び攪拌軸の変形例を示した図である。(a)は、攪拌翼及び攪拌軸を断面a〜hにより切断したときのそれぞれの部分断面図である。(b)は、攪拌翼及び攪拌軸を回転軸の軸方向から見た図であり、(c)は、1個の攪拌軸の先端部分及び攪拌翼付近を拡大した三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る生活排水等の汚水を処理するためのスクリーン処理装置について、図面を参照しながら説明する。まず、図3に示すように、汚泥等の固形成分を含んだ汚水が汚水流入管1から汚水貯水槽2内に貯留され、汚水ポンプ3により、汚水管4を介してスクリーン処理装置に送り込まれるようになっている。本実施形態におけるスクリーン処理装置の全体構成を図1、図2に示しており、スクリーン処理装置は、その上方に位置して汚水管4と連通する固液分離槽5と、その下部に位置する分解処理槽6と、さらにその下部に位置する貯水槽7と、貯水槽7に繋がる油水分離槽8とを備えて構成されている。なお、この装置において、図1及び図3の○囲みA同士が配管接続されている。
【0018】
固液分離槽5には、図2に示すように、汚水から固形成分を捕集して分解処理槽6に送り込むバースクリーンユニット9と、汚水管4から送りこまれた汚水を貯留する汚水槽39とが設けられており、汚水槽39には装置の外部へ排水するための排水管19と、その上部に汚水槽39から溢れた水を排出するためのオーバーフロー管18が設けられている。固液分離槽5は、側方に開口を有して分解処理槽6に繋がっており、バースクリーンユニット9により汚水槽39内の汚水から固形成分が捕集されこの開口から分解処理槽6に送られるようになっている。
【0019】
バースクリーンユニット9は、複数の帯状部材を幅方向に並べてベルト状に形成したバースクリーン10と、バースクリーン10に所定間隔で幅方向に延びて設けられたくし刃14とを備えている。バースクリーン10は、回転駆動するスプロケット12及びくし刃駆動チェーン13を用いて駆動モータ11により駆動され、くし刃14により固形成分のみを捕集して分解処理槽6に送り込むようになっている。また、バースクリーンユニット9の上先端部に加圧温水を供給する圧送湯水管17及び加圧温水を噴射するジェットノズル15が設けられ、圧送湯水管17を通って供給される加圧温水はジェットノズル15からジェット噴流状にされ吹き掛けられることにより捕集された固形成分は確実に開口内に落下されるようになっている。なお、上述したジェット噴流の吹き付け間隔及び水量は任意に調整可能になっている。
【0020】
分解処理槽6には、図1に示すように、その内部に受容された固形成分を攪拌する攪拌翼25と、攪拌翼25を径方向に延びた先端位置に有する複数の攪拌軸26と、攪拌軸26を回転させる回転軸24等が設けられている。回転軸24は、スプロケット21,22及び駆動チェーン23を介して攪拌用回転駆動モータ20により回転されるようになっている。このように分解処理槽6において攪拌運動を発生させて、汚濁物質における有機物の細胞膜、細胞壁等を物理的に(摩擦、衝撃により)分解することが可能になっている。
【0021】
また、分解処理槽6の内部には、後に詳述する菌床材(不図示)が設けられており、この菌床材に酸素を使用して有機物を分解する好気性微生物(不図示)が着床されている。上述したように攪拌運動により破壊された汚濁物質は、好気性微生物によりさらに二酸化炭素と水に分解されるようになっている。なお、菌床材としては、入手しやすさ、通気性の良さ、化学反応の反応性、吸着性、及び微生物との親和性の高さから、籾殻を使用することが望ましい。籾殻を使用し上記攪拌運動を行うと、籾殻の主成分であるシリカ(SiO)により分解された汚濁物質を凝集させることが可能になり汚濁物質から二酸化炭素と水を効率良く分解することが可能になる。
【0022】
また、分解処理槽6は、その外壁が加温ヒーター34及び断熱材35で囲まれるように構成され、攪拌翼25により攪拌された固形成分は加温ヒーター34により所定温度に加温されながら、好気性微生物により分解処理される。分解された二酸化炭素は、分解処理槽6の上部に設けられた排気管38等から外部に排出され、水分は攪拌翼25の下方に設けられた分解処理水通過孔付底板27の通過孔を通ってその下側に設けられた貯水槽7内に流下されるようになっている。なお、分解処理水通過孔付底板27としては、例えば、パンチングメタルを用いることができる。
【0023】
上述したように加温する理由は、特に冬期の外気温低下による分解処理槽6内の温度低下を考慮し、適正な温度に設定した温水を使用することにより分解処理槽6内における好気性微生物の活動を活発化させ、汚濁物質の分解能力を増大させるようにしているからである。なお、このように微生物を付着させこの微生物に汚濁物質を分解させる技術のことを生物膜法と称し、本実施形態では生物膜法を応用した技術であるいわゆる散水ろ床方式を用いている。
【0024】
貯水槽7内には、図2に示すように、後述する加圧水を供給する圧送水用ポンプ28と、圧送水用ポンプ28により後に詳述する圧送水管29を通って送られた加圧水を噴出するジェットノズル30と、汚濁物質を曝気するためのエアーを後述する超微細気泡散気管32に供給する曝気用ポンプ31と、曝気用ポンプ31により供給されたエアーからマイクロバブル(直径が50μm以下の超微細気泡)を生成する超微細気泡散気管32とが設けられている。ジェットノズル30は、分解処理水通過孔付底板27の底外面に対向して設けられており、ジェットノズル30から分解処理水通過孔付底板27にマイクロバブルを含んだ加圧水が吹き付けられるようになっている。
【0025】
超微細気泡散気管32は、その表面に多数の微細な(直径が50μm以下)通気孔が形成され、その表面は例えばセラミックスや通気性フォーム製等のメンブレンチューブから成る。図5に示すように、エアーが超微細気泡散気管32の管内に供給されると表面のメンブレンチューブが、通気孔をエアが通過することにより膨張しエアーがマイクロバブルに変化し貯水槽7の水中にマイクロバブルを発生させる。このマイクロバブルは貯水槽7の水と共に後述する第1水路101を通ってジェットノズル30に送られ噴射される。そしてマイクロバブルを含んだ加圧水は分解処理槽6の内部空間に送られ、このマイクロバブルにより内部の固形成分が曝気されるようになっている。このため、貯水槽7は曝気槽とも称される。
【0026】
以上のように構成されることにより、ジェットノズル30から吹き付けられる加圧水は、分解処理水通過孔付底板27へ吹き付けられた際に、その通過孔の目詰まりを防止するとともに、衝撃圧により汚濁物質を破壊分解する。さらに、超微細気泡散気管32のマイクロバブルが汚濁物質にキャビテーションを発生させ摩擦、剪断を生じさせることによって、汚濁物質における有機物の細胞を効率良く破壊することが可能になっている。なお、マイクロバブルを吹き付けると、フリーラジカル(不対電子をもつ原子や分子)が発生し、このフリーラジカルにより汚濁物質を化学的に分解(酸化分解)することができる。この効果を用いた汚濁物質の分解方法をキャビテーションマイクロバブル可溶法と称する。
【0027】
油水分離槽8は、貯水槽7の横に繋がって設けられており、図1に示すように上下から交互に延びる隔壁36を有しており、分解処理槽6にて分解処理された水分がこの隔壁36の間を通過するようになっている。このような構成にすることにより、上記分解処理された水分から油分を分離することが可能になっており、分離された油分のみが隔壁36に付着するようになっている。このように油分が分離された水分のみが排水管37から排出されるようになっている。なお、この排水管37の高さ位置により油水分離槽8及びこれに繋がる貯水槽7の水面位置が決定されるが、この水面位置は分解処理水通過孔27の下面と略同一もしくはこれより低くなるような高さとなっており、水面が分解処理水通過孔付底板27の下面より上側に、すなわち、分解処理槽6に達することなく水が入り込まないように構成されている。
【0028】
以上、図1〜図5を用いて、本実施形態におけるスクリーン処理装置の構成について説明したが、上記内容に加え、本実施形態におけるスクリーン処理装置の圧送水管29は、加圧水を循環して使用できるように構成されており、さらには、後述する固形分を直接分解処理槽6へ投入可能にする汚泥戻し配管41が設けられている。圧送水管29は、図2に示すように、第1水路101、第2水路102、及び第3水路103により構成されている。このうち、第1水路101は、回転軸24が延びる方向と直角な方向に複数本延びて配設されており、分解処理水通過孔付底板27に対し2方向から加圧水を噴射することが可能になっている。この第1水路101を介してジェットノズル30から加圧水を噴射することにより、汚濁物質を洗浄し分解処理水通過孔付底板27の通過孔の目詰まりを防止するとともに、上述したように、衝撃圧により汚濁物質を破壊分解しキャビテーションマイクロバブル可溶法の効果を得られ、さらに攪拌によりマイクロバブルの気泡濃度及び酸素の濃度を均一にすることができるようになっている。
【0029】
また、第2水路102は、図2に示すように、汚水槽39の上部に開口して設けられ、第2水路102により、圧送水用ポンプ28により供給された水の一部又は全てが汚水槽39の上部に流出し排水管19を介して外部に排水されるようになっている。よって、貯水槽7に投入されている液体の全てを容易にスクリーン処理装置の外部に排出することが可能になり、装置のメンテナンス作業を容易に行うことができる。さらに、第3水路103は、図2に示すように、バースクリーンユニット9の汚濁物質が落下する位置より下方且つ分解処理槽6の上方に開口して設けられ、圧送水用ポンプ28により供給された水の一部が分解処理槽6の上部にも排出されるようになっている。この第3水路103により貯水槽7の水を再度分解処理槽6に送り込むことが可能になり、貯水槽7に溜まった汚泥も分解処理槽6に投入できるようになるため、装置に投入された汚濁物質をより確実に分解することができる。
【0030】
なお、第1水路101と第2及び第3水路102,103の分岐点と、その分岐点の上方に設けられた第2水路102と第3水路103の分岐点にそれぞれ内部の水量等を変更することが可能な三方弁の第1バルブ51及び第2バルブ52が設けられている。この第1及び第2バルブ51,52は、手動または自動で開閉弁できるようになっており、第1及び第2バルブ51,52の開閉弁を調整することにより第1〜第3水路101,102,103を流れる液体の量を任意に調節できるようになっている。
【0031】
汚泥戻し配管41は、図2に示すように、バースクリーンユニット9の汚濁物質が落下する位置より下部且つ分解処理槽6の上部に連通して設けられ、汚水管4及びバースクリーンユニット9を経由して投入することが困難な固形物をこの汚泥戻し配管41から投入することができるようになっている。上述した固形物としては、例えば水処理施設の沈殿槽(不図示)からスクリューコンベア等により圧送された不定形な脱水ケーキ(汚泥を脱水した後に残る最終汚泥)等があり、これらの脱水ケーキも分解処理槽6にて分解処理することが可能になっている。
【0032】
なお、本実施形態で説明した分解処理槽6の攪拌翼25及び攪拌軸26については、代わりに図6に示すような攪拌翼125及び攪拌軸126を回転軸24に設けることが可能になっている。攪拌翼125は、図6(a)に示すように、分解処理槽6の内部で物質を均一に混合させるため軸方向の左右両端から中央に向かう方向に順に設けられている。よって、分解処理槽6の左右両端付近に溜まっている物質を中央に集めることが可能となり、攪拌軸126、駆動チェーン23、及び攪拌用回転駆動モータ20にかかる負荷を低減させることができる。また、図6(c)に示すように、攪拌翼125はその回転方向に対して角度θだけ傾けて攪拌軸126に取り付けることが可能になっている。このθの値を調節することで物質を中央へ集める量を加減することができる。
【0033】
以上、本実施形態におけるスクリーン処理装置においては、超微細気泡散気管32により生成されたマイクロバブルを含んだ水をジェットノズル30により、分離処理水通過孔付底板27を介して噴射することにより、汚濁物質を物理的に破壊できるとともに、キャビテーションマイクロバブル可溶法により、汚濁物質を化学的に分解することも可能になり、汚濁物質の分解をより効率良く行うことができる。
【0034】
また、上述したように、第1〜第3水路101,102,103が設けられることにより、装置内で水を循環して使用できるのは勿論、特に第2水路102により容易に装置内の水を一部又は全て抜くことが可能になるとともに、第3水路103により汚濁物質を複数回分解処理槽6に投入することが可能になり、装置のメンテナンス性を向上させることが可能になるとともに、汚濁物質の分解能力をさらに高めることができる。さらに、上述したように、汚泥戻し配管41が設けられることにより、汚水管4から収集できなかった固形物(脱水ケーキ等)をも分解処理することが可能になる。
【符号の説明】
【0035】
5 固液分離槽
6 分解処理槽
7 貯水槽
8 油水分離槽
9 バースクリーンユニット(固形成分捕集手段)
20 攪拌用回転駆動モータ(回転駆動手段)
25,125 攪拌翼(攪拌手段)
26,126 攪拌軸(攪拌手段)
27 分解処理水通過孔付底板(処理槽本体)
30 ジェットノズル(水噴射手段)
32 超微細気泡散気管(曝気手段)
39 汚水槽
101 第1水路(貯水槽循環水路)
102 第2水路(汚水槽循環水路)
103 第3水路(分解処理槽循環水路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形成分を含む汚水を受け入れる汚水槽と、前記汚水槽内の汚水から固形成分を捕集する固形成分捕集手段と、前記固形成分捕集手段により捕集された固形成分を受け入れて分解処理する分解処理槽と、前記分解処理槽内で分解処理されて残る水分から油分を分離して水分を排出させる油水分離槽とを備え、
前記分解処理槽が、多数の通過孔を有した半円筒状の底板を有した処理槽本体と、前記処理槽本体の空間内に回転可能に配設された攪拌手段と、前記攪拌手段を回転駆動する回転駆動手段とから構成され、前記処理槽本体の空間内に前記固形成分捕集手段により捕集された固形成分を受け入れるとともに前記攪拌手段により攪拌して前記固形成分を好気性微生物により分解処理するように構成され、
前記処理槽本体の前記底板の下側に、前記処理槽本体内において分解処理されて発生する水分を前記底板の通過孔を通過させて受容する貯水槽と、前記貯水槽内に貯留された水分内に気泡を供給して前記分解処理槽内を曝気させる曝気手段とが設けられ、
前記貯水槽内の水分が前記油水分離槽を通って排出させるときに前記貯水槽内の水位が前記底板の下面と略同一もしくはこれより低くなるように設定されていることを特徴とするスクリーン処理装置。
【請求項2】
前記処理槽本体の前記半円筒状の底板の外側に対向する位置に設けられ、
前記貯水槽から、前記曝気手段により供給された気泡を含む水分を得て、前記底板に前記水分を噴射する水噴射手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン処理装置。
【請求項3】
前記貯水槽及び前記汚水槽の上部に開口を有し、
前記貯水槽から前記汚水槽へ水分を供給することが可能な汚水槽循環水路が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクリーン処理装置。
【請求項4】
前記貯水槽及び前記分解処理槽の上部に開口を有し、
前記貯水槽から前記分解処理槽へ水分を供給することが可能な分解処理槽循環水路が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスクリーン処理装置。
【請求項5】
前記攪拌手段は、前記攪拌手段が回転する回転軸から離れる方向に延びて設けられる複数の攪拌軸と、前記攪拌軸のそれぞれの先端に設けられた攪拌翼とから構成され、
前記複数の攪拌軸は、前記回転軸に対して垂直な方向から見て、前記回転軸の両端から中央に向かう方向に順に設けられ、
前記攪拌翼は、前記攪拌軸の回転方向に対して所定の角度だけ傾けて前記攪拌軸に取り付けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスクリーン処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−498(P2010−498A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105700(P2009−105700)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(592219536)和光機械工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】