説明

スクリーン印刷板及びこれを利用した積層型セラミックキャパシタの製造方法及び積層型セラミックキャパシタ

【課題】本発明はスクリーン印刷板、これを利用した積層型セラミックキャパシタの製造方法及び積層型セラミックキャパシタに関する。
【解決手段】本発明は、複数の貫通孔を有するスクリーンメッシュと、上記複数の貫通孔の一部が埋められて形成されるマスク部と、上記マスク部により定義された少なくとも一つの印刷領域と、上記印刷領域の両方の周辺部から所定間隔を置いて対向配置された一対の壁部とを含むスクリーン印刷板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーン印刷板、これを利用した積層型セラミックキャパシタの製造方法及び積層型セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
積層型セラミックキャパシタ(Multi−Layered Ceramic Capacitor:MLCC)は、移動通信端末機、ノート型パソコン、コンピューター及び個人用携帯端末機(PDA)など数多くの電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充填または放電させる重要な役割をするチップ状のコンデンサであり、用いられる用途及び容量により多様なサイズと積層形態を有する。
【0003】
最近では、電子製品の小型化により、このような積層型セラミックキャパシタの超小型化及び超高容量化が求められており、超小型化のために内部電極及び誘電体層を薄くし、超高容量化のために多くの誘電体を積層した製品が製造されている。
【0004】
しかし、多い層の誘電体からなる積層型セラミックキャパシタは、シート上に内部電極膜を形成するためにスクリーン印刷板を介して導電性ペーストを充填する段階において、周辺部の吐出量が中央部より相対的に多いことがある。
【0005】
従って、内部電極膜の周辺部が上側に膨らんで、その厚さが中央部より厚くなる、いわゆる、サドル(saddle)現象が発生することがある。
【0006】
このようなサドル現象は、多層の誘電体からなる積層体を圧着する時、相対的に厚い内部電極膜の周辺部が、密度の均一化のために、中央部より多く延びる原因となり得る。従って、シートが全体的に薄くなり、製造された製品の信頼性が低下するという問題点が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当技術分野では、積層型セラミックキャパシタの誘電体を製造する時、内部電極膜で発生するサドル現象を改善するための新しい方案が求められて来た。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、複数の貫通孔を有するスクリーンメッシュと、上記複数の貫通孔の一部が埋められて形成されるマスク部と、上記マスク部により定義された少なくとも一つの印刷領域と、上記印刷領域の両方の周辺部から所定間隔を置いて対向配置された一対の壁部とを含むスクリーン印刷板を提供する。
【0009】
本発明の一実施例における上記壁部と上記印刷領域の周辺部との間隔は、30から100μmであることができる。
【0010】
本発明の一実施例における上記一対の壁部は、互いに並んで配置されることができる。
【0011】
本発明の一実施例における上記壁部の幅は、5から20μmであることができる。
【0012】
本発明の一実施例における上記印刷領域は、上記スクリーンメッシュに2列以上形成されることができる。
【0013】
このとき、上記各列の印刷領域は互いに並んで配列されることができ、上記印刷領域は第1列の第1印刷領域と隣接した第2列の第2印刷領域が互いにずれて配列されることができる。
【0014】
本発明の一実施例における上記壁部は、上記印刷領域の高さより低く形成され、シートに向かう上記壁部の端部と上記マスク部の一面が段差があるように形成されることができる。
【0015】
本発明の一実施例における上記壁部は、シートに向かう端部が膨らんで形成されることができる。
【0016】
本発明の一実施例における上記壁部は、シートに向かう端部が凹んで形成されることができる。
【0017】
本発明の一実施例における上記壁部は、シートに向かう端部の左右側の長さが異なるように形成されることができる。
【0018】
本発明の一実施例における上記壁部は、シートに向かう端部に凹凸部を有することができる。
【0019】
本発明の他の側面は、シート上に少なくとも一つの印刷領域を有するスクリーン印刷板を配置し、上記印刷領域に導電性ペーストを供給して上記シート上に内部電極膜を形成し、上記印刷領域の両方の周辺部から所定間隔を置いて配置された一対の壁部により上記導電性ペーストの一部の供給を遮断することを特徴とする積層型セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0020】
本発明の一実施例において、上記シートの上記壁部と対応する位置に、上記壁部の周辺の開放された貫通孔を通過した導電性ペーストにより、上記壁部のない部分に形成されたものと同じ高さの面を有するように内部電極膜を形成することができる。
【0021】
本発明の一実施例における上記スクリーン印刷板は、上記シートの上面から所定間隔離隔されて設けられることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施例によると、シート上に内部電極膜を形成する時、内部電極膜の上面に発生するサドル現象を抑制することで、作動信頼性が向上した積層型セラミックキャパシタを製造することができるという効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるスクリーン印刷板の概略的な構造を示す斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に適用されるシート及び本発明の一実施形態によるスクリーン印刷板を利用して形成された内部電極膜を図1のA−A線断面で示す断面図である。
【図4a】本発明の一実施形態によるスクリーン印刷板の壁部の形態を変えた実施例を示す断面図である。
【図4b】本発明の一実施形態によるスクリーン印刷板の壁部の形態を変えた実施例を示す断面図である。
【図4c】本発明の一実施形態によるスクリーン印刷板の壁部の形態を変えた実施例を示す断面図である。
【図4d】本発明の一実施形態によるスクリーン印刷板の壁部の形態を変えた実施例を示す断面図である。
【図4e】本発明の一実施形態によるスクリーン印刷板の壁部の形態を変えた実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に適用されるシート及び本発明の他の実施形態によるスクリーン印刷板と、該スクリーン印刷板を利用して形成された内部電極膜を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0025】
しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。
【0026】
また、本発明の実施形態は当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0027】
従って、図面における要素の形状及びサイズなどは、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上に同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0028】
また、類似する機能及び作用をする部分に対しては図面全体にわたって同じ符号を使用する。
【0029】
さらに、明細書の全体において、ある構成要素を「含む」とは、特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0030】
図1及び図2を参照すると、本実施形態によるスクリーン印刷板10は、複数の貫通孔14を有するスクリーンメッシュ13と、スクリーンメッシュ13の複数の貫通孔14の一部を埋めて非貫通状態にしたマスク部11と、スクリーンメッシュ13においてマスク部11により定義される貫通状態の印刷領域12と、印刷領域12内で両方の周辺部から所定間隔を置いて対向配置された一対の壁部20を含む。
【0031】
スクリーンメッシュ13はポリエステル又はステンレススチールなどの材質からなることができ、多数の微小開口された貫通孔14を有する網板状に形成されることができる。
【0032】
マスク部11はエマルジョンなどの乳剤からなる一定厚さの膜であることができ、スクリーンメッシュ13の上面に供給される導電性ペーストのうち、シート30の上面に印刷される部分だけを通過させ、残りの部分は遮断する役割を担う。このとき、シート30はセラミックグリーンシートであることができる。
【0033】
印刷領域12は、シート30上にスクリーン印刷板10を配置し、その上に導電性ペーストを供給した時、供給された導電性ペーストを下側に通過させ、シート30上にパターンを印刷して内部電極膜40を形成するためのものである。
【0034】
このとき、スクリーンメッシュ13に備えられる印刷領域12は、2列以上並べて形成することができる。また、チップに切断した時、異なる極性を有するように第1列の第1印刷領域と、第1印刷領域と隣接した第2列の第2印刷領域とをずらして配置することができる。
【0035】
壁部20は、スクリーンメッシュ13の貫通孔14のうち一部をエマルジョンなどの乳剤で埋めることで印刷領域12内に垂直方向に形成することができる。
【0036】
このような壁部20は、印刷領域12の周辺部で導電性ペーストの充填量が中央部より相対的に大きくなることを防ぐ役割をする。このとき、壁部20と印刷領域12の内側面との間隔は、導電性ペーストの吐出量を最適化することができる距離である30から100μmに設定することができる。
【0037】
従って、印刷領域12に吐出された導電性ペーストは、その周辺部で壁部20により供給が遮断され、印刷領域12の中央部と周辺部の充填量が略等しくなる。このとき、壁部20のシート30に向かう端部は周辺部に充填された導電性ペーストにより内部電極膜40が形成される時、内部電極膜の上面が突出することを押して抑制する遮断壁の役割もする。
【0038】
このような作用により、内部電極膜40の周辺部が膨らんで中央部より突出するサドル現象が防止され、これにより、内部電極膜40の厚さが最大限均一になることができる。
【0039】
よって、該内部電極膜40が備えられたシート30を複数個積層してセラミック積層体を形成するにおいて、内部電極膜40の上面は略平面であるため、内部電極膜40の形状が変形したり、焼成時に内部電極膜40内にクラックが発生することを防止し、製品の信頼性を向上させることができる。
【0040】
一方、壁部20の幅は狭すぎたり、広すぎると、上述のサドル現象を防止し、誘電体の特性を良好にする効果が現われないこともある。
【0041】
壁部20の幅を異ならせて複数のスクリーン印刷板を製作した後、各々のスクリーン印刷板10を利用して内部電極膜40が形成されたセラミックグリーンシート30を製作した。その後、該内部電極膜40の印刷パターンの形状を評価し、該シートを複数個積層してグリーンセラミック積層体を製作し、その特性を比較した結果を表1に示した。
【0042】
上記グリーンセラミック積層体は150〜1,000層のセラミックグリーンシート30を積層した後、圧着、切断、焼成、外部電極及びメッキなどの工程を順に行い、積層型セラミックキャパシタに製作し、印刷形状、静電容量、破壊電圧(BDV)及び出荷加速寿命などに対して評価した。
【0043】
【表1】

【0044】
<壁部の幅によるグリーンセラミック積層体の特性評価の結果>
上記表1を参照すると、従来例として、印刷領域に壁部が備えられないスクリーン印刷板を使用すると、上記印刷領域の周辺部で導電性ペーストの吐出量が上記印刷領域の中央部より相対的に多くなる。これによって、グリーンシート上に形成される内部電極膜の周辺部が中央部より相対的に突出したサドル形状を有するようになる。
【0045】
このようなサドル形状の内部電極膜を有するシートを複数個積層してグリーンセラミック積層体を製造した後、その特性を調べた。
【0046】
その結果、電気を保存することができる空間のサイズを示す静電容量は107%と最も高く示され、絶縁破壊される破壊電圧は75Vで、出荷加速寿命は31%であり、静電容量を除き、総じて性能が低いことが分かる。
【0047】
これと対比される実施例として、スクリーン印刷板10の壁部20の幅が5から20μmの範囲にあるものを例に挙げた。このような実施例の場合、印刷領域12の周辺部で導電性ペーストの吐出量が壁部20により調節される。従って、シート30上に形成される内部電極膜40の周辺部が中央部より相対的に突出するサドル現象を防止することができる。
【0048】
よって、シート30上に形成された内部電極膜40は周辺部と中央部の厚さの差が10%未満となる、上面が略平らな形状を有する。また、内部電極膜40の周辺部と中央部の厚さの差に因るクラックや層間剥離の発生を防止することができる。
【0049】
このような内部電極膜40を有するシート30を複数個積層してグリーンセラミック積層体を製造した後、その特性を調べた。
【0050】
その結果、静電容量において、実施例1の壁部20の幅が5μmである場合は106%で、実施例2の壁部20の幅が10μmである場合は104%で、実施例3の壁部20の幅が20μmである場合は101%であって、壁部20の幅が5から20μmにある実施例1から3は、静電容量が全て100%以上と優れることが分かる。
【0051】
また、破壊電圧において、実施例1の壁部20の幅が5μmである場合は85Vで、実施例2の壁部20の幅が10μmである場合は93Vで、実施例3の壁部20の幅が20μmである場合は87Vであって、壁部20の幅が5から20μmにある実施例1から3は、破壊電圧が全て85V以上を示すため、壁部のない従来例の75Vより破壊電圧が改善されたことが分かる。
【0052】
また、出荷加速寿命において、実施例1の壁部20の幅が5μmである場合は15%で、実施例2の壁部20の幅が10μmである場合は10%で、実施例3の壁部20の幅が20μmである場合は12%であって、壁部20の幅が5から20μmにある実施例1から3は、出荷加速寿命が全て15%以下を示すため、壁部のない従来例の31%より出荷加速寿命が改善されたことが分かる。
【0053】
上記の結果から、本実施例の場合、従来例に比べて絶縁抵抗の低下などを効率的に抑制することができ、信頼性の高い積層型セラミックキャパシタを製造することができる。
【0054】
一方、上記実施例と対比される比較例として、スクリーン印刷板の壁部の幅が30から50μmの範囲にあるものを例に挙げた。このような比較例の場合、上記印刷領域の周辺部で導電性ペーストの吐出量が上記印刷領域の中央部より相対的に少なくなる。よって、グリーンシート上に形成される内部電極膜の周辺部が中央部より相対的に凹んだ形状を有する。
【0055】
このような上面に凹部を有するシートを複数個積層してグリーンセラミック積層体を製造した後、その特性を調べた。
【0056】
その結果、静電容量において、比較例1の上記壁部の幅が30μmである場合は95%で、比較例2の上記壁部の幅が40μmである場合は92%で、比較例3の上記壁部の幅が50μmである場合は88%であって、上記壁部の幅が30から50μmにある比較例1から3は、静電容量が全て100%未満と低い。このような静電容量は上記壁部の幅が広くなるほど、次第に低下することが分かる。
【0057】
また、破壊電圧において、比較例1の上記壁部の幅が30μmである場合は81Vで、比較例2の壁部の幅が40μmである場合は74Vであって、比較例3の壁部の幅が50μmである場合は72Vであって、上記壁部の幅が30から50μmにある比較例1から3は、破壊電圧が全て実施例より低い85V未満で、このような破壊電圧は上記壁部の幅が広くなるほど、次第に低下することが分かる。
【0058】
また、出荷加速寿命において、比較例1の上記壁部の幅が30μmである場合は18%で、比較例2の上記壁部の幅が40μmである場合は27%で、比較例3の上記壁部の幅が50μmである場合は35%であって、上記壁部の幅が30から50μmにある比較例1から3は、出荷加速寿命が実施例1の最低数値である15%に至らない18%以上で、このような出荷加速寿命は上記壁部の幅が広くなるほど、著しく低下することが分かる。
【0059】
従って、本発明の一実施形態による実施例1から3は、従来例及び比較例1から3より優れた作動信頼性を有することが分かる。静電容量、破壊電圧及び出荷加速寿命を全て考慮すると、好ましい壁部20の幅は30μm以下、より好ましくは5から20μmである。結果的に、このような実施例1から3のグリーンセラミック積層体を利用して製作された積層型セラミックキャパシタは最適化された性能を有するものと期待される。
【0060】
一方、本実施形態では、この壁部20のシート30に向かう端部が平らな面を有するものを示して説明しているが、本発明の壁部は図4Aに示されているように壁部21のシート30に向かう面を凸面21aで形成したり、図4Bに示されているように壁部22のシート30に向かう面を凹面22で形成したり、図4C及び図4Dに示されているように壁部23、24のシート30に向かう面をその左右側の長さを異ならせて、少なくとも一側が傾いた形態で形成することができる。また、必要に応じて、図4Eに示されているように壁部25のシート30に向かう面を凹凸面25aで構成することができる。
【0061】
また、図5を参照すると、本発明の一実施形態による壁部26は、印刷領域12の高さより低く形成することができる。即ち、シート30に向かう端部との間に所定の隙間hができるように、壁部26の端部とマスク部11の一面が段差があるように形成することができる。
【0062】
この場合、隙間hは導電性ペーストの充填量を2次的に調節する役割をすることができるため、この隙間hの高さによって壁部26の幅を調節することが可能となる。従って、このような構造の壁部26を印刷領域12の狭いスクリーン印刷板10に適用する場合、壁部26の幅をさらに減らすなど設計がより容易になる。
【0063】
上記のように構成された本発明の一実施形態によるスクリーン印刷板を利用して積層型セラミックキャパシタを製造する方法の一実施形態を以下に説明する。
【0064】
セラミックパウダー、ポリマー及び溶剤を混合してスラリー(slurry)を製造した後、ドクターブレードなどの工法で塗布する。
【0065】
セラミックパウダーはBaTiO系物質を含むことができる。しかし、これに制限されず、BaTiOにカルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)などが一部共用された(Ba1−xCa)TiO、Ba(Ti1−yCa)O、(Ba1−xCa)(Ti1−y)Zr)OまたはBa(Ti1−yZr)Oなどを含むことができる。このとき、セラミックパウダーの平均粒径は1.0μm以下であることが好ましい。
【0066】
また、このようなセラミックパウダー物質にセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤を配合し、バスケットミル(basket mill)を利用してスラリーを製造することができる。
【0067】
その後、製造されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布して乾燥し、約数μmの厚さでセラミックグリーンシート30を製造する。
【0068】
セラミックグリーンシート30は基本材料であるセラミックパウダーとともに転移金属、希土類元素またはマグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などをさらに含んでよい。
【0069】
また、焼結温度を低くするために、ガラス成分の焼結調剤をさらに含んでよい。このガラス成分の焼結調剤は特定成分に制限されるものではなく、例えば、B、Ba、Ca、AlまたはLiなどの元素を含む二酸化ケイ素系ガラス成分であってよい。
【0070】
そして、このセラミックグリーンシート30上に約1〜2μmの厚さで導電性ペーストを印刷し内部電極膜40を形成する。このとき、導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷またはグラビア印刷方法などを用いることができる。また、導電性ペーストは銀(Ag)、鉛(Pb)、白金などの貴金属材料及びニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち一つの物質で形成されたり、このうち少なくとも2つの物質を混合して形成されることができる。
【0071】
本発明の一実施形態によるスクリーン印刷方法は、複数の貫通孔14を有するスクリーンメッシュ13を用意し、このスクリーンメッシュ13の貫通孔14の一部を埋めてマスク部11を形成し、このマスク部11により貫通孔14の一部が印刷領域12として定義される。そして、印刷領域12内に壁部20を備えてスクリーン印刷板10を製作する。
【0072】
このとき、印刷領域12はスクリーンメッシュ13に形成されたマスク部11に別途の露光または現象工程を通じて形成することができる。例えば、印刷領域12は、マスク部11上にフォトレジストを塗布し、フォトマスクを適用してUVなどを通じて露光してから現象するフォトリソグラフィ工程を通じて形成したり、マスク部11にレーザーまたはドライエッチング方法を用いて形成することができる。
【0073】
壁部20は、スクリーンメッシュ13の貫通孔14の一部をエマルジョンなどの乳剤を埋めることで印刷領域12内に垂直方向に形成することができる。また、壁部20は別途の露光または現象工程を通じて印刷領域12を形成する時、該当するマスク部11の一部領域を残して形成することができる。
【0074】
このような壁部20は、印刷領域12の周辺部で導電性ペーストの充填量が多くなることを防止する役割をする。壁部20と印刷領域12の内側面との間隔は、導電性ペーストの吐出量の多い領域に該当する30から100μmであることができる。
【0075】
結果的に、セラミックグリーンシート30上にスクリーン印刷板10を所定間隔G離隔して設け、該スクリーン印刷板10の印刷領域12またはその周りに導電性ペーストを塗布した後、スキージ(squeegee)などの加圧手段を利用してセラミックグリーンシート30上に内部電極膜40を印刷する。
【0076】
導電性ペーストは金属粉末、セラミック粉末及びシリカ(SiO)粉末を含んでよい。金属粉末はNi、Mn、Cr、Co、Alまたはこれらの合金を使用することができ、これに限定されない。また、平均粒径は50〜400nmが好ましい。
【0077】
内部電極膜40の厚さは用途によって適切に調節されることができ、0.1から1.0μmの範囲内であることが好ましい。
【0078】
従って、印刷領域12に吐出された導電性ペーストは、その周辺部で壁部20により注入が遮られ、印刷領域12の中央部と周辺部の充填量が略等しくなる。特に、壁部20はその端部が周辺部で吐出された導電性ペーストにより内部電極膜が形成される時、内部電極膜の上面が突出することを抑制する遮断壁の役割も担う。
【0079】
このとき、スクリーンメッシュ13の印刷領域12を通過する導電性ペーストが壁部20に遮られて壁部の該当位置では導電性ペーストが通過せず、その壁部20の周辺部を通じて供給されながら印刷領域12の全体充填量が調節され、内部電極膜40の上面が略平らに形成されることができる。このとき、壁部20は内部電極膜40の周辺部を押し、この周辺部が突出することを防止する役割もすることができる。
【0080】
その後、内部電極膜40が形成されたセラミックグリーンシート30をキャリアフィルムから剥離し、キャリアフィルムが剥離された複数のセラミックグリーンシート30を高温及び高圧で圧着し積層し、数十から数百層までバー(bar)状に積層して高積層化されたグリーンセラミック積層体を製造することが好ましい。
【0081】
次いで、グリーンセラミック積層体を切断工程を経て所定のサイズに切断し、グリーンチップを製造する。その後、仮焼、焼成、研磨、外部電極メッキなどの工程を経ると、最終的に積層型セラミックキャパシタが完成される。
【0082】
このとき、焼成は約1100℃以上の高温で行うことが好ましい。これは内部電極膜40としてNiなどの非金属を使用すると、低温である400℃から酸化が生じて焼結収縮が起こり、1000℃以上で急激に焼成される虞があるためである。
【0083】
もし、内部電極膜40が急激に焼成されると、内部電極膜40の過焼成により電極が凝集したり、切れることがあり、内部電極膜40の連結性及び容量が低下することがある。また、焼成後、クラックのような積層型セラミックキャパシタの内部構造の欠陥が発生することがある。
【0084】
従って、約400から500℃の比較的低い温度で焼結が始まる金属粉末の焼結開始温度を最大限遅延させて、誘電体との収縮差を最小化する必要がある。
【0085】
本発明は上述した実施形態及び添付の図面により限定されるものではなく、添付の請求の範囲により限定される。従って、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者により多様な形態の置換、変形及び変更が可能で、これも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0086】
10 スクリーン印刷板
11 マスク部
12 印刷領域
13 スクリーンメッシュ
14 貫通孔
20、21、22、23、24、25、26 壁部
30 シート
40 内部電極膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔を有するスクリーンメッシュと、
前記複数の貫通孔の一部が埋められて形成されるマスク部と、
前記マスク部により定義された少なくとも一つの印刷領域と、
前記印刷領域の両方の周辺部から所定間隔を置いて対向配置された一対の壁部と、
を含むスクリーン印刷板。
【請求項2】
前記壁部と前記印刷領域の周辺部との間隔は、30から100μmであることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷板。
【請求項3】
前記一対の壁部は、互いに並んで配置されたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷板。
【請求項4】
前記壁部の幅は、5から20μmであることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷板。
【請求項5】
前記印刷領域が前記スクリーンメッシュに2列以上形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷板。
【請求項6】
前記各列の印刷領域は互いに並んで配列されたことを特徴とする請求項5に記載のスクリーン印刷板。
【請求項7】
前記印刷領域は第1列の第1印刷領域と隣接した第2列の第2印刷領域が互いにずれて配列されたことを特徴とする請求項6に記載のスクリーン印刷板。
【請求項8】
前記壁部は前記印刷領域の高くより低く形成され、シートに向かう前記壁部の端部と前記マスク部の一面が段差があるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷板。
【請求項9】
前記壁部はシートに向かう端部が膨らんで形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷板。
【請求項10】
前記壁部はシートに向かう端部が凹んで形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷板。
【請求項11】
前記壁部はシートに向かう端部の左右側の長さが異なるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷板。
【請求項12】
前記壁部はシートに向かう端部に凹凸部を有することを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷板。
【請求項13】
シート上に少なくとも一つの印刷領域を有するスクリーン印刷板を配置し、前記印刷領域に導電性ペーストを供給して前記シート上に内部電極膜を形成し、前記印刷領域の両方の周辺部から所定間隔を置いて配置された一対の壁部により前記導電性ペーストの一部の供給を遮断することを特徴とする積層型セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項14】
前記シートのうち前記壁部と対応する位置に、前記壁部の周辺の開放された貫通孔を通過した導電性ペーストにより、前記壁部のない部分に形成されたものと同じ高さの面を有するように内部電極膜を形成することを特徴とする請求項13に記載の積層型セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記スクリーン印刷板は前記シートの上面から所定間隔離隔されて設けられることを特徴とする請求項13に記載の積層型セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項16】
請求項13から15の何れか1項の製造方法により製造された積層型セラミックキャパシタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−78932(P2013−78932A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87076(P2012−87076)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】