説明

スクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法

【課題】スキージホルダにスキージが取り付けられていない状態でスクリーン印刷を開始してしまうことを防止することができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供すること目的とする。
【解決手段】スキージホルダ39が、スキージホルダ39に取り付けられたスキージ14がマスク13に接触したクランプ部材25aに当接する当接位置に位置しているか否かの検出を行うホルダ位置検出手段(ホルダ位置検出センサ50及び制御装置40のホルダ位置検出部40c)を備え、スキージホルダ39を下降させ、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダ39が当接位置PGに位置したことが検出されたときにスキージホルダ39の下降を停止させ、それから所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダ39が当接位置PGに位置していないことが検出された場合に、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていない旨の報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクの開口部を介して基板上の電極にペーストを転写するスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に半田ペースト等のペーストの印刷を行うスクリーン印刷機は、基板上の電極の配置に応じた複数の開口部が設けられたマスク、一対のクランプ部材により基板をクランプした状態で基板を上昇させ、基板及び一対のクランプ部材の上面をマスクの下面に接触させる基板保持移動手段、マスクの上方で水平面内方向に移動されるスキージベース、スキージベースに設けられたアクチュエータによりスキージベースの下方で昇降されるスキージを備え、基板の電極とマスクの開口部とが合致するように基板とマスクを接触させた後、スキージベースに対して下降させたスキージをクランプ部材上(マスクに接触させたクランプ部材上)に当接させてからスキージベースを水平面内方向に移動させ、マスク上に供給されたペーストをスキージによって掻き寄せることにより、マスクの開口部を介して電極にペーストを転写させるようになっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−49669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスクリーン印刷機では、スキージはマスクの大きさ等に応じてサイズを変更することができるようにするため、アクチュエータによりスキージベースの下方で昇降されるスキージホルダに着脱自在に取り付けられるようになっている。しかしながら、このため、オペレータがスキージホルダにスキージを取り付け忘れた場合などには、スキージホルダにスキージが取り付けられていない状態でスクリーン印刷作業を開始してしまうことがあり、基板の生産性を低下させるおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、スキージホルダにスキージが取り付けられていない状態でスクリーン印刷を開始してしまうことを防止することができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、基板上の電極の配置に応じた複数の開口部が設けられたマスクと、一対のクランプ部材により基板をクランプした状態で基板を上昇させ、基板上の電極とマスクの開口部とが合致するように基板及び一対のクランプ部材の上面をマスクの下面に接触させる基板保持移動手段と、マスクの上方で水平面内方向に移動されるスキージベースと、スキージベースに設けられたアクチュエータによりスキージベースの下方で昇降されるスキージホルダと、スキージホルダに着脱自在に取り付けられるスキージと、スキージホルダが、スキージホルダに取り付けられたスキージがマスクに接触したクランプ部材に当接する当接位置に位置しているか否かの検出を行うホルダ位置検出手段と、前記アクチュエータの作動制御を行ってスキージホルダを下降させ、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置したことが検出されたときにスキージホルダの下降を停止させるスキージ下降制御手段と、スキージホルダの下降が停止されてから所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置していることが検出された場合には、スキージベースを水平面内方向に移動させてマスクの開口部を介した基板上の電極へのペーストの転写を行い、スキージホルダの下降が停止されてから前記所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置していないことが検出された場合には、報知手段を介してスキージホルダにスキージが取り付けられていない旨の報知を行う制御手段とを備えた。
【0007】
請求項2に記載のスクリーン印刷方法は、基板上の電極の配置に応じた複数の開口部が設けられたマスクと、一対のクランプ部材により基板をクランプした状態で基板を上昇させ、基板上の電極とマスクの開口部とが合致するように基板及び一対のクランプ部材の上面をマスクの下面に接触させる基板保持移動手段と、マスクの上方で水平面内方向に移動されるスキージベースと、スキージベースに設けられたアクチュエータによりスキージベースの下方で昇降されるスキージホルダと、スキージホルダに着脱自在に取り付けられるスキージと、スキージホルダが、スキージホルダに取り付けられたスキージがマスクに接触したクランプ部材に当接する当接位置に位置しているか否かの検出を行うホルダ位置検出手段とを備えたスクリーン印刷機によるスクリーン印刷方法であって、前記アクチュエータの作動制御を行ってスキージホルダを下降させ、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置したことが検出されたときにスキージホルダの下降を停止させる工程と、スキージホルダの下降を停止させてから所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置していることが検出された場合に、スキージベースを水平面内方向に移動させてマスクの開口部を介した基板上の電極へのペーストの転写を行う工程と、スキージホルダの下降を停止させてから前記所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置していないことが検出された場合に、スキージホルダにスキージが取り付けられていない旨の報知を行う工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、下降させているスキージホルダが当接位置に位置したことが検出されたときにスキージホルダの下降を停止させるが、それから所定時間が経過した後、スキージホルダが当接位置に位置していないことが検出された場合には、スキージホルダにスキージが取り付けられていないとしてその旨の報知を行うようになっている。このため、スキージホルダにスキージが取り付けられていない状態でスクリーン印刷を開始してしまうことが防止でき、基板の生産性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の平面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の正面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスクホルダ及びマスクの平面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の制御系統を示すブロック図
【図6】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージホルダの下降動作を示す図
【図7】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージホルダの下降動作を示す図
【図8】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が実行するスクリーン印刷工程の流れを示すメインルーチンのフローチャート
【図9】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が実行するスクリーン印刷工程の流れを示すサブルーチンのフローチャート
【図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図11】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図13】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図14】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1、図2及び図3において、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基板2の表面の電極3上に部品(電子部品)4を実装して実装基板を生産する部品実装システム(図示せず)を構成する部品実装用装置の一種であり、上流側から投入された基板2を搬入して位置決めし、基板2の表面の電極3上に半田ペーストや導電性ペースト等のペーストPst(図3参照)を転写するスクリーン印刷を行って下流側に搬出する動作を連続実行するものである。以下、説明の便宜上、スクリーン印刷機1において基板2を搬送する水平面内方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向、上下方向をZ軸とする。更に、Y軸方向をスクリーン印刷機1の前後方向、X軸方向を横(左右)方向とし、前後方向のうち、スクリーン印刷機1に対してオペレータOP(図1)が作業を行う側(図1の紙面下方)をスクリーン印刷機1の前方、その反対側(図1の紙面上方)を後方とする。
【0011】
図1、図2及び図3において、スクリーン印刷機1は、基台11上に設けられた基板保持移動手段である基板保持移動ユニット12のほか、基板保持移動ユニット12の上方に設けられた金属製の薄板材料から成るプレート状のマスク13、前後一対のスキージ14及びカメラユニット15を備えている。
【0012】
図2及び図3において、基板保持移動ユニット12は、水平移動部21、昇降部22、コンベア部23、基板支持部24及び基板クランプ部25から成る。
【0013】
図2及び図3において、水平移動部21は、Yテーブル駆動モータMyの作動によって基台11に対してY軸方向に移動するYテーブル21a、Xテーブル駆動モータMxの作動によってYテーブル21aに対してX軸方向に移動するXテーブル21b、Xテーブル21bに対してZ軸回りに回転するθテーブル21c、θテーブル21cの上面に固定されたベーステーブル21d及びベーステーブル21dの上面から上方に延びて設けられた複数の昇降テーブルガイド21eから成る。
【0014】
図2及び図3において、昇降部22は、水平移動部21の複数の昇降テーブルガイド21eにガイドされてベーステーブル21dに対して昇降する昇降テーブル22a及び昇降テーブル22aの上面から上方に延びて設けられた複数の下受けユニット昇降ガイド22bから成る。
【0015】
図2及び図3において、コンベア部23は下受けユニット昇降ガイド22bの上端に取り付けられて昇降テーブル22aとともにベーステーブル21dに対して昇降する前後一対のベルトコンベア支持部材23aと、各ベルトコンベア支持部材23aに支持された前後一対のベルトコンベア23bから成っており、これら前後のベルトコンベア23bが同期して作動することにより、基板2のX軸方向への搬送がなされる。
【0016】
図2及び図3において、基板支持部24は、コンベア部23の下方において、下受けユニット昇降ガイド22bにガイドされて昇降する下受けユニット支持テーブル24a及び下受けユニット支持テーブル24aの上面に設けられた下受けユニット24bから成り、下受けユニット24bの上面には複数の下受けピン24cが上方に延びて設けられている。基板支持部24は、下受けユニット24bが下受けユニット支持テーブル24aとともに昇降テーブル22aに対して昇降し、複数の下受けピン24cを前後のベルトコンベア23bによって両端が支持された基板2の下面に当接させることによって基板2を下方から支持する。
【0017】
図2及び図3において、基板クランプ部25は、コンベア部23が備える前後のベルトコンベア支持部材23aそれぞれの上部にY軸方向に移動自在に設けられた前後一対のクランプ部材25a(図1も参照)から成り、前後のベルトコンベア23bによって両端部が支持され、下受けユニット24bによって下面が支持された基板2のY軸方向の両側部(両端面)を基板2の外方から挟んでクランプする。
【0018】
図1及び図2において、基板保持移動ユニット12を構成するコンベア部23の上流側には前後一対のベルトコンベア26aから成る基板搬入コンベア26が設けられており、コンベア部23の下流側には前後一対のベルトコンベア27aから成る基板搬出コンベア27が設けられている。基板搬入コンベア26は、スクリーン印刷機1の外部(上流側)から投入された基板2を搬入して基板保持移動ユニット12のコンベア部23に受け渡し、基板搬出コンベア27は、基板保持移動ユニット12のコンベア部23から受け渡された基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する。このように、基板搬入コンベア26、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア27は基板2の搬送を行う基板搬送路28(図1)として機能する。
【0019】
図1及び図2において、基台11上には基板搬入コンベア26及び基板搬出コンベア27をそれぞれY軸方向に跨ぐ一対の門型フレーム31が設けられており、これら一対の門型フレーム31によってマスクホルダ32が支持されている。
【0020】
図2、図3及び図4において、マスクホルダ32は、門型フレーム31に両端が取り付けられて基板保持移動ユニット12の上方をX軸方向に延びて配置された前後一対のガイド部材33と、一対のガイド部材33上をY軸方向に延びて設けられた左右一対のマスク支持レール34とから成る。マスク13はマスクホルダ32が備える左右一対のマスク支持レール34によって左右両端が支持されて基板保持移動ユニット12の上方に水平姿勢に保持される。
【0021】
図1及び図4において、マスク13は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠13wによって四辺が支持されており、マスク枠13wによって囲まれた矩形の領域には、基板2上の複数の電極3に対応した多数の開口部13a(パターン孔)が設けられている。すなわちマスク13は、基板2上の電極3の配置に応じた複数の開口部13aが設けられた構成となっている。
【0022】
図1において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側位置合わせ用マークmkが設けられている。一方、図4において、マスク13には、基板側位置合わせ用マークmkに対応して配置された2つ一組のマスク側位置合わせ用マークMKが設けられている。これら基板側位置合わせ用マークmkとマスク側位置合わせ用マークMKとが平面視において一致する状態で基板2をマスク13に接触させると、基板2の電極3とマスク13の開口部13aとが合致した状態となる。
【0023】
図2及び図3において、一対の門型フレーム31には、X軸方向に延びたX軸ステージ35の両端部がY軸方向にスライド自在に支持されている。X軸ステージ35上にはカメラ支持ステージ36がX軸方向に移動自在に設けられており、カメラ支持ステージ36には前述のカメラユニット15が取り付けられている。カメラユニット15は、撮像視野を下方に向けた第1カメラ15aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ15bを備えている。
【0024】
図1及び図2において、一対の門型フレーム31にはX軸方向に延びたスキージベース37の両端が支持されており、スキージベース37はマスク13の上方で門型フレーム31に沿って水平面内方向(Y軸方向)に往復移動自在となっている。
【0025】
図1、図2及び図3において、スキージベース37の上面中央部のY軸方向に対向する位置には2つのスキージ昇降シリンダ38が設けられている。これら2つのスキージ昇降シリンダ38からはそのピストンロッドから成るスキージ昇降軸38aがスキージベース37を上下方向に貫通して下方に延びている。
【0026】
図2及び図3において、各スキージ昇降シリンダ38が備えるスキージ昇降軸38aの下端にはX軸方向に延びたスキージ取り付け部であるスキージホルダ39が設けられており、各スキージホルダ39の下部には、スキージホルダ39に沿ってX軸方向に延びた「へら」状の部材から成る前述のスキージ14が着脱自在に取り付けられている。
【0027】
各スキージ昇降シリンダ38によりスキージ昇降軸38aが下方に突没作動されると、スキージ昇降軸38aの下端部に取り付けられたスキージホルダ39が(したがってスキージ14が)、スキージベース37に対して昇降する。すなわち各スキージホルダ39は(各スキージ14は)、スキージベース37に設けられたアクチュエータであるスキージ昇降シリンダ38によって、スキージベース37の下方で昇降される構成となっている。なお、マスク13とスキージベース37の上下方向の間隔は変化しないので、スキージ昇降軸38aを作動させると、スキージホルダ39(スキージ14)はマスク13に対して昇降することになる。
【0028】
基板2の搬送を行う基板搬送路28としての基板搬入コンベア26、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア27の各動作は、基台11内に設けられた制御装置40(図5)の作業実行制御部40a(図5)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路作動機構41(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0029】
基板保持移動ユニット12の水平移動部21の作動(Yテーブル21aのY軸方向への移動、Yテーブル21aに対するXテーブル21bのX軸方向への移動及びXテーブル21bに対するθテーブル21cの(すなわちベーステーブル21dの)Z軸回りの回転)は、制御装置40の作業実行制御部40aが前述のYテーブル駆動モータMyやXテーブル駆動モータMxを含むアクチュエータ等から成る水平面内方向移動機構42(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0030】
基板保持移動ユニット12の昇降部22の作動(ベーステーブル21dに対する昇降テーブル22aの昇降)動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成る上下方向移動機構43(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0031】
基板保持移動ユニット12の下受けユニット24bの昇降動作、すなわち昇降テーブル22aに対する下受けユニット支持テーブル24aの昇降動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成る下受けユニット昇降機構44(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0032】
基板保持移動ユニット12の基板クランプ部25の作動(前後のクランプ部材25aの開閉作動)による基板2のクランプ及びその解除動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成る基板クランプ部作動機構45(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0033】
基板保持移動ユニット12は、後述するように、一対のクランプ部材25aにより基板2をクランプした状態で基板2を上昇させ、基板2上の電極3とマスク13の開口部13aとが合致するように基板2及び一対のクランプ部材25aの上面をマスク13の下面に接触させるように動作される。
【0034】
カメラユニット15の水平面内での移動動作(一対の門型フレーム31に対するX軸ステージ35のY軸方向への移動動作及びX軸ステージ35に対するカメラ支持ステージ36のX軸方向への移動動作)は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータから成るカメラユニット移動機構46(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0035】
前後のスキージ14をY軸方向に往復移動させるスキージベース37の作動制御は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成るスキージベース移動機構47(図5)の制御を行うことによってなされる。また、各スキージ14のスキージベース37に対する昇降動作は、制御装置40の作業実行制御部40aがスキージベース37の上部に取り付けられた2つのスキージ昇降シリンダ38の作動制御を行うことによってなされる。
【0036】
カメラユニット15を構成する第1カメラ15aは、制御装置40の作業実行制御部40aに制御されて、基板保持移動ユニット12の基板支持部24及び基板クランプ部25から成る基板保持部によって保持された基板2の基板側位置合わせ用マークmkの撮像を行い、第2カメラ15bは、制御装置40の作業実行制御部40aに制御されて、マスク13に設けられたマスク側位置合わせ用マークMKの撮像を行う。第1カメラ15aの撮像によって得られた画像データと第2カメラ15bの撮像によって得られた画像データはともに制御装置40に入力され、画像認識部40b(図5)において画像認識処理がなされる。
【0037】
図5に示すように、スクリーン印刷機1には制御装置40に繋がる入出力装置としてのタッチパネル48が設けられており、オペレータOPは、このタッチパネル48から所定の操作を行うことにより、スクリーン印刷機1によるスクリーン印刷動作を行わせる操作や、実行中のスクリーン印刷機作業を停止させる操作等を行うことができるようになっている。
【0038】
図2及び図3に示すように、各スキージ昇降シリンダ38の内部には、そのスキージ昇降シリンダ38のピストンロッドであるスキージ昇降軸38aの下方へのストロークを検出することによってスキージベース37に対するスキージホルダ39の位置(スキージホルダ39の代表点の位置。例えば、スキージホルダ39の上面の位置)を検出するホルダ位置検出センサ50が設けられており、各ホルダ位置検出センサ50によるスキージベース37に対する各スキージホルダ39の位置の情報は制御装置40に入力されるようになっている(図5)。
【0039】
制御装置40のホルダ位置検出部40c(図5)は、ホルダ位置検出センサ50によって検出されるスキージベース37に対するスキージホルダ39の位置に基づいて、スキージホルダ39が、スキージホルダ39に取り付けられたスキージ14がクランプ部材25aの上面(マスク13に接触したクランプ部材25aの上面)に当接する当接位置PG(図6及び図7)に位置しているか否かの検出を行う。そして、制御装置40の作業実行制御部40aは、スキージ14をマスク13の上面に当接させるためにスキージホルダ39を下降させているときに、ホルダ位置検出部40cによってスキージホルダ39が当接位置PGに位置した(スキージホルダ39が当接位置PGに到達した)ことが検出されたとき(図6(a)及び図7(b))には、スキージ昇降シリンダ38に作動停止信号(スキージホルダ39の下降停止信号)を出力して、スキージホルダ39の下降を停止させるようになっている。
【0040】
ここで、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられている状態である場合(図6(a))、クランプ部材25a(マスク13に接触したクランプ部材25a)の上方からスキージホルダ39を下降させると、スキージホルダ39が当接位置PGに位置した(スキージホルダ39が当接位置PGに到達した)ところで(図6(b))、スキージ14がクランプ部材25a(マスク13に接触したクランプ部材25a)の上面に当接する。このため、制御装置40のホルダ位置検出部40cによりスキージホルダ39が当接位置PGに位置したことが検出された時点で制御装置40の作動実行制御部40aがスキージ昇降シリンダ38の作動停止信号(スキージホルダ39の下降停止信号)を出力すると、スキージホルダ39は当接位置PGで停止し、そこにとどまることになる(図6(c))。したがって制御装置40は、スキージホルダ39の下降停止信号を出力したときから一定時間経過した後においても、スキージホルダ39が当接位置PGに位置している状態を検知することになる。
【0041】
これに対し、例えば、オペレータOPがスキージホルダ39にスキージ14を取り付け忘れるなどしてスキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていない状態である場合(図7(a))、クランプ部材25aの上方からスキージホルダ39を下降させても、スキージホルダ39が当接位置PGに位置したところで(図7(b))、スキージ14がクランプ部材25aの上面に当接することはない。このため、制御装置40のホルダ位置検出部40cによりスキージホルダ39が当接位置PGに位置したことが検出された時点で、制御装置40の作動実行制御部40aがスキージ昇降シリンダ38の作動停止信号(スキージホルダ39の下降停止信号)を出力しても、スキージホルダ39は当接位置PGでは停止せず、当接位置PGを下方に超えた位置において停止することになる(図7(c))。したがって、制御装置40は、スキージホルダ39の下降停止信号を出力したときから一定時間経過した後では、スキージホルダ39が当接位置PGに位置していない状態を検知することになる。なお、図7(a),(b),(c)中には、実際には取り付けられていないスキージ14を破線によって示している。
【0042】
制御装置40は、スキージホルダ39の下降を停止させた後、ホルダ位置検出部40cによって、所定時間(この所定時間は数マイクロ秒程度の時間とする)を経過した後にスキージホルダ39が当接位置PGに位置していることが検出された場合には、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられているとして、マスク13の開口部13aを介した基板2上の電極3へのペーストPstの転写を行う。このペーストPstの転写は、具体的には、後述するように、スキージ14がマスク13上(クランプ部材25aと接触したマスク13上)に当接している状態から、スキージベース37を水平面内方向(Y軸方向)に移動させることにより、スキージ14をマスク13上で摺動させ、マスク13上に供給したペーストPstをスキージ14で掻き寄せることによって行う。
【0043】
一方、制御装置40は、スキージホルダ39の下降を停止させた後、ホルダ位置検出部40cによって、上記所定時間が経過した後にスキージホルダ39が当接位置PGに位置していないことが検出された場合には、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていないとして、その旨の情報(エラー情報)を、前述のタッチパネル48等を用いてオペレータOPに報知する。
【0044】
このように本実施の形態において、タッチパネル48は、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていない場合にその旨の報知を行う報知手段として機能する。
【0045】
次に、図8及び図9のフローチャート及び図10〜図14の説明図を加えてスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷作業の実行手順を説明する。ここで、図8はスクリーン印刷機1が実行するスクリーン印刷工程の流れを示すメインルーチンのフローチャートであり、図9はメインルーチンの中の一工程のサブルーチンのフローチャートである。
【0046】
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1によりスクリーン印刷作業を行う場合、制御装置40は先ず、このスクリーン印刷機1が備えるディスプレイ装置51(図5)を介した画像表示により、オペレータOPにペーストPstの供給を促す。オペレータOPは、現在マスク13上に残っているペーストPstを目視し、そのペーストPstの量に基づいてペーストPstの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行う。そして、ペーストPstの供給を行うべきと判断したときには、別途用意したペースト供給シリンジ(図示せず)により、マスク13上へのペーストPstの供給を行い、ペーストPstの供給が終わったら、このスクリーン印刷機1が備える動作開始ボタン52(図5)の操作を行う。オペレータOPは、ペーストPstの供給が不要と判断した場合においても、動作開始ボタン52の操作を行う。
【0047】
制御装置40はオペレータOPによって動作開始ボタン52が操作されたことを検知したら、基板搬入コンベア26とコンベア部23を連動作動させ、スクリーン印刷機1の上流側に設置された他の装置から送られてきた基板2をスクリーン印刷機1内に搬入したうえで、基板2をコンベア部23上の所定の作業位置に静止させる(図10(a)。図8に示すステップST1の基板搬入工程)。
【0048】
制御装置40は、ステップST1の基板搬入工程が終了したら、前後のクランプ部材25aを閉作動させて、コンベア部23上の基板2をY軸方向からクランプする(図10(b)。図中に示す矢印A1)。そして、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対する下降位置に位置させたまま、下受けユニット24bを上昇させる(図10(c)中に示す矢印B1)。
【0049】
制御装置40は、下受けユニット24bを上昇させることによって、下受けユニット24bの下受けピン24cを基板2の中央部の下面に下方から当接させて基板2を上方に押し上げ、基板2の両端部を前後のベルトコンベア23bから上方に離間させ、かつ、基板2の両端部(両側面)を前後のクランプ部材25aに対して摺動させながら基板2を上方に移動させる。そして、基板2の上面の高さがクランプ部材25aの上面と同じ高さとなったところで下受けユニット24bの上昇を停止させる。これにより基板2は基板保持部(基板支持部24及び基板クランプ部25)によって保持された状態となる(図10(c)。図8に示すステップST2の基板保持工程)。
【0050】
制御装置40は、ステップST2の基板保持工程が終了したら、カメラユニット移動機構46の作動制御を行い、X軸ステージ35をY軸方向に移動させるとともに、カメラ支持ステージ36をX軸方向に移動させることによって、第1カメラ15aを基板2に設けられた基板側位置合わせ用マークmkの直上に位置させる。そして、第1カメラ15aに基板側位置合わせ用マークmkの撮像を行わせてその画像データを取得し、基板2の位置を検出する(図11(a)。図8に示すステップST3の基板位置検出工程)。また制御装置40は、第2カメラ15bをマスク13に設けられたマスク側位置合わせ用マークMKの直下に位置させ、第2カメラ15bにマスク側位置合わせ用マークMKの撮像を行わせることによってその画像データを取得し、マスク13の位置を検出する(図11(b)。図8に示すステップST4のマスク位置検出工程)。
【0051】
制御装置40は、ステップST4のマスク位置検出工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21の作動制御を行って基板保持部(基板支持部24及び基板クランプ部25)により保持した基板2を水平面内方向に移動させ、基板側位置合わせ用マークmkとマスク側位置合わせ用マークMKが上下に対向するようにして、マスク13に対する基板2の水平面内方向の位置合わせを行う(図8に示すステップST5の位置合わせ工程)。
【0052】
制御装置40は、ステップST5の位置合わせ工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して上昇させることにより(図11(c)中に示す矢印C1)、基板2の上面(被印刷面)と両クランプ部材25aの上面をマスク13の下面に接触させる(図11(c)。図8に示すステップST6の接触工程)。これにより基板2の電極3とマスク13の開口部13aとが合致し、基板2はスキージ14によるペーストPstの転写作業が行われる位置に位置した状態となる。
【0053】
制御装置40はステップST6の接触工程が終了したら、2つのスキージ14のうちの一方のスキージ14を下降させて、そのスキージ14の下端をマスク13のクランプ部材25a(2つのクランプ部材25aのうちの一方)と接触している部分に上方から当接させる(図12(a)→図12(b)。図8に示すステップST7のスキージ当接工程)。
【0054】
このときマスク13に当接させるスキージ14は、スキージベース37が前方のクランプ部材25aの上方に位置しているときには(図12(a))、前方のスキージ14(図12(a),(b)における紙面左側のスキージ14)であり、スキージベース37が後方のクランプ部材25aの上方に位置しているときには、後方のスキージ14(図12(a),(b)における紙面右側のスキージ14)である。
【0055】
ここで、ステップST7のスキージ当接工程では、制御装置40は、図9のサブルーチンに示すように、先ず、作業実行制御部40aからスキージ昇降シリンダ38の作動制御を行ってスキージホルダ39を下降させる(図9に示すステップST21のホルダ下降工程)。
【0056】
制御装置40は、スキージ14を下降させ始めたら、ホルダ位置検出部40cにおいて、ホルダ位置検出センサ50により検出されるスキージホルダ39の位置をモニターすることにより、現在下降させているスキージホルダ39が前述の当接位置PGに位置した(到達した)状態の検出を行う(図9に示すステップST22の当接位置到達検出工程)。
【0057】
制御装置40は、現在下降させているスキージホルダ39が当接位置PGに位置した(到達した)状態を検知したら、作業実行制御部40aからスキージ昇降シリンダ38の作動制御を行って、スキージホルダ39の下降を停止させる(図9に示すステップST23のホルダ下降停止工程)。
【0058】
制御装置40は、ステップST23でスキージホルダ39の下降を停止させたら、図示しないタイマーによって時間計測を行いつつ、予め定めた所定時間待機する(図9に示すステップST24の下降停止後待機工程)。そして、スキージホルダ39の下降停止から所定時間が経過したら、ホルダ位置検出部40cにより、現在スキージホルダ39が当接位置PGに位置しているか否かの検出を行う(図9に示すステップST25のホルダ位置検出工程)。
【0059】
制御装置40は、ステップST25において、ホルダ位置検出部40cにより、スキージホルダ39が当接位置PGに位置していることが検出された場合(図6(c))には、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられているとして、このサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻る。
【0060】
一方、制御装置40は、ステップST25において、ホルダ位置検出部40cにより、スキージホルダ39が当接位置PGに位置していないことが検出された場合(図7(c))には、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていないとして、その旨の情報(エラー情報)を、前述のタッチパネル48を用いてオペレータOPに報知する(図9に示すステップST26の報知工程)。
【0061】
制御装置40は、ステップST26でオペレータOPへの報知を行ったら、作業実行制御部40aからスキージ昇降シリンダ38を作動させて、スキージホルダ39を上昇させる(図9に示すステップST27のホルダ上昇工程)。
【0062】
オペレータOPは、タッチパネル48にスキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていない旨の報知がなされた後、スキージホルダ39が上昇されたことを確認したら、スキージホルダ39にスキージ14を取り付け、タッチパネル48からスキージホルダ39にスキージ14を取り付けた旨を制御装置40に教示する所定の操作入力(スキージ取り付け終了操作入力)を行う。
【0063】
制御装置40は、スキージホルダ39を上昇させた後、オペレータOPによってタッチパネル48に上記スキージ取り付け終了操作入力がなされるまで待機し(図9に示すステップST28の操作入力待機工程)、オペレータOPによってタッチパネル48にスキージ取り付け終了操作がなされたことを検知した場合には、ステップST21〜ステップST25の工程を再度実行する。これにより、最初スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていなかった場合であっても、オペレータOPによってスキージホルダ39にスキージ14が取り付けられることとなり、また、オペレータOPによってスキージホルダ39にスキージ14が取り付けられた後は、改めて行われるステップST21〜ステップST23の工程によって、スキージ14はマスク13に当接されることとなる。
【0064】
制御装置40は、スキージ14をマスク13の上面に当接させたら、スキージベース37を移動させる。ここで、マスク13に当接させたスキージ14が前方のスキージ14であればスキージベース37を後方に移動させ(図13(a)中に示す矢印D1)、マスク13に当接させたスキージ14が後方のスキージ14であればスキージベース37を前方に移動させる(図13(b)中に示す矢印D2)。
【0065】
これによりスキージ14はマスク13に対して相対移動(摺動)し、マスク13上のペーストPstはスキージ14のペースト掻き寄せ面で掻き寄せられてマスク13の開口部13a内に押し込まれるので、基板2の電極3上にペーストPstが転写された状態となる(図8に示すステップST8のペースト転写工程)。
【0066】
制御装置40は、メインルーチンのステップST8のペースト転写工程が終了したら、スキージ14を上昇させて、スキージ14をマスク13から離間させる(図8に示すステップST9のスキージ離間工程)。
【0067】
制御装置40は、ステップST9のスキージ離間工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して下降させ(図14(a)中に示す矢印C2)、マスク13から基板2を離間させる(図14(a))。これにより版離れが行われる(図8に示すステップST10の版離れ工程)。
【0068】
制御装置40は、ステップST10の版離れ工程が終了したら、基板クランプ部25を作動させて基板2のクランプを解除したうえで(図14(b)中に示す矢印A2)、下受けユニット24bを昇降テーブル22aに対して下降させる(図14(c)中に示す矢印B2)。これにより基板2はコンベア部23上に降ろされて基板保持部(基板支持部24及び基板クランプ部25)による基板2の保持が解除される(図14(c)。図8に示すステップST11の基板保持解除工程)。
【0069】
制御装置40は、ステップST11の基板保持解除工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21を作動させ、基板搬出コンベア27に対するコンベア部23の位置調整を行ったうえで、コンベア部23と基板搬出コンベア27を連動作動させ、コンベア部23上の基板2を基板搬出コンベア27に受け渡してそのまま基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する(図8に示すステップST12の基板搬出工程)。
【0070】
制御装置40は、ステップST12の基板搬出工程が終了したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図8に示すステップST13の基板有無判断工程)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
【0071】
スクリーン印刷機1から搬出された基板2は、スクリーン印刷機1の下流側に位置する部品装着機等の他の部品実装用装置(図示せず)に受け渡される。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、スキージホルダ39が、スキージホルダ39に取り付けられたスキージ14がマスク13に接触したクランプ部材25aに当接する当接位置PGに位置しているか否かの検出を行うホルダ位置検出手段(ホルダ位置検出センサ50及び制御装置40のホルダ位置検出部40c)と、スキージ昇降シリンダ38の作動制御を行ってスキージホルダ39を下降させ、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダ39が当接位置PGに位置したことが検出されたときにスキージホルダ39の下降を停止させるスキージ下降制御手段としての制御装置40の作業実行制御部40aと、スキージホルダ39の下降が停止されてから所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダ39が当接位置PGに位置していることが検出された場合には、スキージベース37を水平面内方向に移動させてマスク13の開口部13aを介した基板2上の電極3へのペーストPstの転写を行い、スキージホルダ39の下降が停止されてから所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダ39が当接位置PGに位置していないことが検出された場合には、報知手段であるタッチパネル48を介してスキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていない旨の報知を行う制御手段(制御装置40)を備えたものとなっている。
【0073】
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法は、上記スクリーン印刷機1によるスクリーン印刷方法であり、スキージ昇降シリンダ38の作動制御を行ってスキージホルダ39を下降させ、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダ39が当接位置PGに位置したことが検出されたときにスキージホルダ39の下降を停止させる工程(ステップST21〜ステップST23の工程)と、スキージホルダ39の下降を停止させてから所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダ39が当接位置PGに位置していることが検出された場合に、スキージベース37を水平面内方向に移動させてマスク13の開口部13aを介した基板2上の電極3へのペーストPstの転写を行う工程(ステップST24、ステップST25及びステップST8)と、スキージホルダ39の下降を停止させてから所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダ39が当接位置PGに位置していないことが検出された場合に、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていない旨の報知を行う工程(ステップST24、ステップST25及びステップST26)を含むものとなっている。
【0074】
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1及びスクリーン印刷方法では、下降させているスキージホルダ39が当接位置PGに位置したことが検出されたときにスキージホルダ39の下降を停止させるが、それから所定時間が経過した後、スキージホルダ39が当接位置PGに位置していないことが検出された場合には、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていないとしてその旨の報知を行うようになっているので、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられていない状態でスクリーン印刷を開始してしまうことが防止でき、基板2の生産性の低下を防ぐことができる。
【0075】
なお、本実施の形態において、スキージ14が取り付けられているかどうかの検出の対象となっているスキージホルダ39をクランプ部材25aに対して下降させたときに、スキージホルダ39に取り付けられたスキージ14がクランプ部材25a上(前方のクランプ部材25aと接するマスク13上)に供給したペーストPst上に降りてしまい、ペーストPstの厚みの影響等によって、スキージ14がクランプ部材25aに当接した状態であるにも拘らず、スキージホルダ39が当接位置PGに位置していることが検出されないなどの不都合が起きる可能性がある場合には、スキージ14が取り付けられているかどうかの検出の対象となっているスキージホルダ39を、ペーストPstが供給された側とは反対側のクランプ部材25aの上方で下降させるようにする。例えば、ペースト供給シリンジによってペーストPstを前方のクランプ部材25a上に供給した場合には、スキージホルダ39にスキージ14が取り付けられているかどうかの検査は、後方のクランプ部材25aの上方で行うようにする。これによりスキージ14がペーストPst上に降りることはなく、上記不都合が解消される。
【0076】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、スクリーン印刷機1はスキージ14を2つ備えた構成であったが、スキージ14の数は2つに限られず、1つであってもよい。
【0077】
また、ホルダ位置検出手段は、スキージホルダ39が、スキージホルダ39に取り付けられたスキージ14がマスク13に接触したクランプ部材25aに当接する当接位置PGに位置しているか否かの検出を行うことができるものであればよく、上述の実施の形態に示したように、スキージベース37に対するスキージホルダ39の位置を検出する構成を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
スキージホルダにスキージが取り付けられていない状態でスクリーン印刷を開始してしまうことを防止することができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供する。
【符号の説明】
【0079】
1 スクリーン印刷機
2 基板
3 電極
12 基板保持移動ユニット(基板保持移動手段)
13 マスク
13a 開口部
14 スキージ
25a クランプ部材
37 スキージベース
38 スキージ昇降シリンダ(アクチュエータ)
39 スキージホルダ
40 制御装置(制御手段)
40a 作業実行制御部(スキージ下降制御手段)
40c ホルダ位置検出部(ホルダ位置検出手段)
48 タッチパネル(報知手段)
50 ホルダ位置検出センサ(ホルダ位置検出手段)
PG 当接位置
Pst ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の電極の配置に応じた複数の開口部が設けられたマスクと、
一対のクランプ部材により基板をクランプした状態で基板を上昇させ、基板上の電極とマスクの開口部とが合致するように基板及び一対のクランプ部材の上面をマスクの下面に接触させる基板保持移動手段と、
マスクの上方で水平面内方向に移動されるスキージベースと、
スキージベースに設けられたアクチュエータによりスキージベースの下方で昇降されるスキージホルダと、
スキージホルダに着脱自在に取り付けられるスキージと、
スキージホルダが、スキージホルダに取り付けられたスキージがマスクに接触したクランプ部材に当接する当接位置に位置しているか否かの検出を行うホルダ位置検出手段と、
前記アクチュエータの作動制御を行ってスキージホルダを下降させ、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置したことが検出されたときにスキージホルダの下降を停止させるスキージ下降制御手段と、
スキージホルダの下降が停止されてから所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置していることが検出された場合には、スキージベースを水平面内方向に移動させてマスクの開口部を介した基板上の電極へのペーストの転写を行い、スキージホルダの下降が停止されてから前記所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置していないことが検出された場合には、報知手段を介してスキージホルダにスキージが取り付けられていない旨の報知を行う制御手段とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
基板上の電極の配置に応じた複数の開口部が設けられたマスクと、一対のクランプ部材により基板をクランプした状態で基板を上昇させ、基板上の電極とマスクの開口部とが合致するように基板及び一対のクランプ部材の上面をマスクの下面に接触させる基板保持移動手段と、マスクの上方で水平面内方向に移動されるスキージベースと、スキージベースに設けられたアクチュエータによりスキージベースの下方で昇降されるスキージホルダと、スキージホルダに着脱自在に取り付けられるスキージと、スキージホルダが、スキージホルダに取り付けられたスキージがマスクに接触したクランプ部材に当接する当接位置に位置しているか否かの検出を行うホルダ位置検出手段とを備えたスクリーン印刷機によるスクリーン印刷方法であって、
前記アクチュエータの作動制御を行ってスキージホルダを下降させ、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置したことが検出されたときにスキージホルダの下降を停止させる工程と、
スキージホルダの下降を停止させてから所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置していることが検出された場合に、スキージベースを水平面内方向に移動させてマスクの開口部を介した基板上の電極へのペーストの転写を行う工程と、
スキージホルダの下降を停止させてから前記所定時間が経過した後、ホルダ位置検出手段によりスキージホルダが前記当接位置に位置していないことが検出された場合に、スキージホルダにスキージが取り付けられていない旨の報知を行う工程とを含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−76433(P2012−76433A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226336(P2010−226336)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】