説明

スクリーン印刷用接着剤組成物

【課題】接着剤組成物を用いたスクリーン印刷により部材同士を接着して電子部品を製造する場合に、スクリーン版の孔のすみに接着剤組成物が残り難い接着剤組成物、すなわち転写性に優れた接着剤組成物を提供すること。特に、スクリーン版の孔が小さいのみでなく複雑な形状を有していても、優れた転写性を発揮する接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】本願発明のスクリーン印刷用接着剤組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤およびシリカビーズを含むスクリーン印刷用接着剤組成物であって、前記シリカビーズは、アスペクト比が0.5以上であり、平均粒径が10〜20μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷用接着剤組成物に関する。より詳しくは、本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤およびシリカビーズを含むスクリーン印刷用接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の製造工程においては、部材同士の接着が行われる。具体的には、一方の部材に接着剤組成物をスクリーン印刷等により塗布し、塗布された接着剤組成物を介して他方の部材を当接させ、接着剤組成物を加熱硬化して両者を接着する。
【0003】
たとえば、特許文献1では、エポキシ樹脂、硬化剤および無機質充填剤を含有する液状熱硬化性樹脂組成物を、半導体素子の基板および半導体素子搭載用の開口部を有する枠体に塗布し、塗布面間にリード端子を挟んだ状態で加熱圧着して、基板と枠体とを接合している。
【特許文献1】特開2007−197647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器の小型化が進んでいるため、部材同士の接着の際に、部材上において接着剤組成物を印刷できる面積も小さくなってきている。たとえば、スクリーン印刷により接着する場合は、スクリーン版の孔も小さくなってきている。この場合、接着剤組成物をスクリーン印刷すると、スクリーン版の孔のすみに接着剤組成物が残り、転写性が低下する問題がある。さらに、部材の形状が複雑であると、これに伴ってスクリーン版の孔の形状も複雑になる。この場合は、上記孔のすみに接着剤組成物がより残りやすく、転写性がより低下する問題がある。
【0005】
なお、電子機器以外においても、接着剤組成物を用いてスクリーン印刷し、部材同士を接着する場合に、スクリーン版の孔のすみに接着剤組成物が残り、うまく転写できないという問題がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、接着剤組成物を用いてスクリーン印刷し、部材同士を接着して構造体を製造する場合に、スクリーン版の孔のすみに接着剤組成物が残り難く、転写性に優れた接着剤組成物を提供することにある。特に、スクリーン版の孔が小さいのみでなく複雑な形状を有していても、優れた転写性を発揮する接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定のシリカビーズを用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明に係る接着剤組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤およびシリカビーズを含むスクリーン印刷用接着剤組成物であって、上記シリカビーズは、アスペクト比が0.5以上であり、平均粒径が10〜20μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であることを特徴とする。
【0008】
上記シリカビーズは、エポキシ樹脂100質量部に対して20〜100質量部の量で含まれることが好ましい。
本発明に係る構造体は、部材同士が接着された構造体であって、上記構造体が、一方の部材上に上記スクリーン印刷用接着剤組成物をスクリーン印刷し、印刷された接着剤組成
物上に他方の部材を当接させた後、該接着剤組成物を加熱硬化して部材同士が接着されたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る構造体の製造方法は、部材同士が接着された構造体の製造方法であって、一方の部材上に上記スクリーン印刷用接着剤組成物をスクリーン印刷し、印刷された接着剤組成物上に他方の部材を当接させた後、該接着剤組成物を加熱硬化して部材同士を接着する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
スクリーン印刷により部材同士を接着して構造体を製造する場合に、本発明の接着剤組成物を用いると、スクリーン版の孔のすみに接着剤組成物が残り難く、優れた転写性が発揮される。さらに、スクリーンの孔が小さいのみでなく複雑な形状を有していても、優れた転写性を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<スクリーン印刷用接着剤組成物>
まず、本発明に係るスクリーン印刷用接着剤組成物について具体的に説明する。本発明の接着剤組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤およびシリカビーズを含む。
【0012】
本発明の接着剤組成物に用いられるエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば、分子構造や分子量などは限定されないが、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0013】
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。脂環族エポキシ樹脂としては、具体的には、少なくとも一個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。脂肪族エポキシ樹脂としては、具体的には、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。上記エポキシ樹脂は、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記エポキシ樹脂は、常温(25℃)で液体のものもあれば固体のものもある。本発明において固体のエポキシ樹脂を用いる場合は、液体のエポキシ樹脂と混合し溶解して用いることが好ましい。これらのうちで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0014】
硬化剤は、加熱によりエポキシ樹脂を硬化できるものであればよい。このような硬化剤としては、たとえば、アミン系硬化剤、ジシアンジアミド系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、カプセル型イミダゾール系硬化剤、アミンイミド系硬化剤、ポリアミン塩系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤などの潜在性硬化剤が用いられる。硬化剤は、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
シリカビーズは、アスペクト比が0.5以上であり、平均粒径が10〜20μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下である。粒子径52μm以上の含有率は低いほど好ましく、したがってその下限は特に限定されることはないが、製造上の技術的な限界値は0.5質量%程度である。これらの要件を満たすシリカビーズは、ほどよい自重および大きさを有するとともに、当該シリカビーズを用いた接着剤組成物のチキソ性を増加させすぎることもない。したがって、上記シリカビーズを用いた接着剤組成物は、流動性に優れ、スクリーン版の小さい孔や複雑な形状の孔も容易に抜けることができるため、当該接着剤組成物はスクリーン版の孔のすみに残り難い。すなわち、上記シリカビ
ーズを用いた接着剤組成物は、転写性に優れる。また、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であると、印刷された接着剤組成物がスクリーン版の孔に対応した形状を好ましく保持できる。
【0016】
また、シリカビーズは、粒子径5μm以下(通常0.6〜5μm)の含有率が5質量%以下であることが好ましい。粒子径5μm以下の含有率は低いほど好ましく、したがってその下限は特に限定されることはないが、製造上の技術的な限界値は1質量%程度である。このようなシリカビーズを用いた接着剤組成物は、さらに流動性に優れ、スクリーン版の小さい孔や複雑な形状の孔もさらに容易に抜けることができるため、当該接着剤組成物はスクリーン版の孔のすみにさらに残り難くなる。すなわち、上記シリカビーズを用いた接着剤組成物によれば、転写性がさらに向上する。
【0017】
なお、アスペクト比は、粒子の形状指数の一つで、粒子の二次元投影像の長径と短径との比(短径/長径)であり、フロー式粒子像分析装置により測定される。平均粒径、なら
びに粒子径52μm以上の含有率および粒子径5μm以下の含有率は、粒度分布計により測定される。
【0018】
シリカビーズは、上記要件を満たしていればよく、湿式シリカ、乾式シリカ、溶融シリカの粒子のいずれであってもよい。アスペクト比は、製造されたシリカについて加温操作を行うことで調整できる。平均粒径、ならびに粒子径52μm以上の含有率および粒子径5μm以下の含有率を上記範囲に調節するため、製造されたシリカに風を当てて分級する方法、ふるいでふるって分級する方法が用いられる。
【0019】
硬化剤は、接着剤組成物を硬化できる量で含まれていればよいが、エポキシ樹脂100質量部に対して通常5〜40質量部の量で含まれていることが望ましい。シリカビーズは、エポキシ樹脂100質量部に対して通常20〜100質量部、好ましくは30〜50質量部の量で含まれていることが望ましい。シリカビーズが上記の量で含まれていると、得られた接着剤組成物の転写性がさらに向上でき、接着剤組成物が充分硬化できる。
【0020】
その他、本発明の接着剤組成物に含まれていてもよい成分としては、色剤が挙げられる。色剤が含まれていると、接着剤組成物が塗布されているか確認することができる。色剤は、接着剤組成物中に、エポキシ樹脂100質量部に対して0.3〜3質量部の量で含まれることが好ましい。また、接着剤組成物を硬化させるときに、エポキシ樹脂と硬化剤が分離して均一な硬化体が得られないときには、本発明の接着剤組成物は、フュームドシリカを少量含んでいてもよい。この場合、フュームドシリカの量の上限は、エポキシ樹脂100質量部に対して0.8質量部である。
【0021】
接着剤組成物は、上記成分を適宜混合して得られる。
本発明の接着剤組成物は、上述のように転写性に優れるため、部材同士が接着された電子部品を製造する際に好適に用いられる。
【0022】
<電子部品>
次に、本発明に係るスクリーン印刷用接着剤組成物を用いて部材同士が接着された電子部品について具体的に説明する。
【0023】
まず、部材10を準備する(図1参照)。なお、この段階では、部材10は、通常一つずつに切断される前の状態にあり、図1では、一つずつに切断される前の状態の一部を表している。部材10としては、セラミックス、樹脂材料が挙げられる。樹脂材料としては、具体的にはガラス入りエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などが好適に用いられる。
【0024】
次いで、一方の部材10の接着面に、本発明の接着剤組成物をスクリーン印刷により塗布する。ここでは、図1に示すように、エッチング加工などにより通孔12が穿設されたメタル製のスクリーン版14を用いる。なお、図1では、スクリーン版の断面の一部を表しており、また、メタル製以外のスクリーン版を用いてもよい。通孔12の幅(すなわち、接着剤組成物16を印刷する幅)は、たとえば50〜1000μmであり、通孔12の長さ(すなわち、接着剤組成物16を印刷する長さ)は、たとえば50〜3mmであり、通孔12の厚み(すなわち、接着剤組成物16から形成される層の厚み)は、たとえば20〜100μmである。また、通孔12の形状は、部材10の形状に依存するが、複雑な形状であってもよい。このスクリーン版14で部材10を覆い、スクリーン版14の表面に沿ってスキージ18を摺動させて、通孔12へ接着剤組成物16を充填する。本発明の接着剤組成物16は、上述のように特定のシリカビーズを含んでいるため、通孔12の大きさが小さかったり形状が複雑であったりしても容易に転写され、通孔12のすみに残り難い。部材10が小型である場合、小型部材では元々の接着面積が小さいことにより、通孔のすみの接着剤組成物まできれいに転写されていないと、大型部材の場合に比較して接着力の低下が著しい。しかしながら、本発明の接着剤組成物によれは、通孔のすみまできれいに転写されるため、得られた電子機器において、接着力が不足している不良品率を低減することができる。すなわち、本発明の接着剤組成物によれば、小型部材同士が接着された電子部品の生産性が向上できる。
【0025】
スクリーン版14を上方へ取り除くと、印刷された接着剤組成物16からなる接着剤組成物層が形成されている。本発明の接着剤組成物16を用いると、上述のように特定のシリカビーズを含んでいるため、該層の形状が好適に保持できる。
【0026】
次いで、図2に示すように、この印刷された接着剤組成物層上に他方の部材10を当接させる。この段階では、他方の部材10も、通常一つずつに切断される前の状態にある。その後、接着剤組成物16を加熱硬化する。加熱温度は、エポキシ樹脂が硬化できる限り制限されないが、通常100〜200℃である。また、加熱時間は、エポキシ樹脂が硬化できる限り制限されないが、上記加熱温度の範囲にて1〜90分加熱することが好ましい。これにより、接着剤組成物層が硬化物層となり、部材10同士が接着される。
【0027】
最後に、接着された部材10は一つずつに切断される。以上により、部材同士が硬化物層を介して接着された電子部品が製造される。
なお、本発明の接着剤組成物を用いれば、印刷後、スクリーン版の孔に対応した形状が好ましく保持できるため、硬化層は部材間を接着するための層としてだけでなくスペーサーとして利用することもできる。ここで、硬化物層の高さは、通常接着剤組成物に含まれるシリカビーズの粒径程度である。また、上記の製造方法によれば、接着とスペーサーの形成とを一度に行える利点もある。
【0028】
また、上記電子部品としては、具体的には、マイクロフォンなど積層型デバイスが挙げられる。上記マイクロフォンは、携帯電話、通常電話、ICレコーダー、デジタルカメラ、PDAなどの電子機器に好適に搭載される。
【0029】
また、上記電子部品の製造において、通孔の大きさが通常上記範囲にあれば、分割後における部材の接着面の面積は、特に限定されない。たとえば、小型マイクロフォンの場合は、分割後の部材10の底面は一辺が2〜3mmの四角形である。
【0030】
上記電子部品の製造方法は、部材同士が接着され積層された、電子部品以外の構造体の製造方法にも用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
[実施例1]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂100質量部、アスペクト比が0.9〜1.0の範囲にあり、平均粒径が15μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であるシリカビーズ30質量部およびアミン系硬化剤20質量部を混合して、接着剤組成物を調製した。
【0032】
部材(2×3mmの四角形)が集合した状態にある集合基板(ガラスエポキシ基板、4×6cmの四角形)を2枚用意した。また、通孔12が穿設されたメタル製のスクリーン版14を用意した(図3参照)。なお、図3は、スクリーン版を上から見たときの一部を表している。通孔12a、通孔12bおよび通孔12cの大きさは、それぞれ500×500μm、500×800μmおよび500×1800μmであり、スクリーン版14の厚みは50μmであった。なお、スクリーン版14には、4個の通孔12a、2個の通孔12bおよび2個の通孔12cの計8個からなる通孔12が複数並んでいた。このスクリーン版14で部材を覆い、スクリーン版14の表面に沿ってスキージ18を摺動させて、通孔12へ接着剤組成物16を充填した(図2参照)。
【0033】
次いで、図2に示すように、この印刷された接着剤組成物16からなる接着剤組成物層上に他方の部材10を当接させる。その後、接着剤組成物16を加熱硬化した。加熱温度は、150℃であり、加熱時間は30分であった。これにより、接着剤組成物層が硬化物層となり、部材10同士が接着された。
【0034】
最後に、接着された部材10を一つずつに切断した。以上により、部材同士が硬化物層を介して接着された構造体が得られた。
[実施例2〜6]
シリカビーズ30質量部の変わりに、シリカビーズ15質量部、20質量部、50質量部、100質量部または120質量部を用いた他は、実施例1と同様にして、構造体を作製した。
【0035】
(評価試験および結果)
(1)転写性
通孔へ接着剤組成物を充填した後部材上から外したスクリーン版について、通孔12a、通孔12bおよび通孔12cの角に接着剤組成物が残っているか、顕微鏡で観察した。また、印刷された接着剤組成物層の形状を顕微鏡で観察した。
【0036】
評価試験の結果を表1に示す。表1の符号は以下のことを表す。
A1:スクリーン版について、通孔の角に接着剤組成物は残っていなかった。接着剤組成物層の底面の形状は、通孔に対応した四角形であり、厚みは、スクリーン版の厚みと同じで均一であった。
【0037】
A2:スクリーン版について、通孔の角のいずれかに接着剤組成物が残っていた。接着剤組成物層の底面の形状は、四角形の角が丸くなっているところもあった。厚みは、スクリーン版の厚みより低くへこんでおり、均一ではないところがあった。
【0038】
A3:スクリーン版について、通孔の角のいずれかに接着剤組成物が残っていた。接着剤組成物層の底面の形状は、四角形の角が丸くなっているところもあった。厚みは、スクリーン版の厚みより高く盛り上がっており、均一ではないところがあった。
【0039】
(2)硬化層の観察
得られた構造体を樹脂埋めし、構造体の側面を該側面が出るまでやすりでこすった。次いで、構造体の側面を顕微鏡により観察し、硬化物層と部材との間を観察した。
【0040】
評価試験の結果を表1に示す。表1の符号は以下のことを表す。
A1:硬化物層と部材との間に隙間はなく密着していた。
A2:硬化物層と部材との間に隙間があり密着していないところもあった。
【0041】
A3:硬化物層と部材との間に隙間があり密着していないところがA2よりも多かった。ただし、A3の場合も、部材同士はしっかり接着していた。
【0042】
【表1】

[実施例7]
アスペクト比が0.9〜1.0の範囲にあり、平均粒径が15μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であるシリカビーズの変わりに、アスペクト比が0.5〜1.0の範囲にあり、平均粒径が15μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であるシリカビーズを用いた他は、実施例1と同様にして、構造体を作製した。
【0043】
[比較例1]
アスペクト比が0.9〜1.0の範囲にあり、平均粒径が15μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であるシリカビーズの変わりに、アスペクト比が0.1〜0.2の範囲にあり、平均粒径が15μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であるシリカビーズを用いた他は、実施例1と同様にして、構造体を作製した。
【0044】
(評価試験および結果)
上述した(1)および(2)について評価した。評価試験の結果を表2に示す。表2の符号は以下のことを表す。
(1)転写性
B1:スクリーン版について、通孔の角のほとんどに接着剤組成物が残っていた。接着剤組成物層の底面の形状は、四角形の角のほとんどが丸くなっており、また、幅が通孔よりも細くなっているところが多かった。厚みは、スクリーン版の厚みよりへこんでいるところおよび盛り上がってところが目立ち、均一ではなかった。
【0045】
(2)硬化物層の観察
B:硬化物層と部材との間に隙間があり密着していないところがA3よりも多かった。部
材同士が接着できていない構造体もあった。
【0046】
【表2】

[比較例2]
アスペクト比が0.9〜1.0の範囲にあり、平均粒径が15μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であるシリカビーズの変わりに、アスペクト比が0.9〜1.0の範囲にあり、平均粒径が30μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が10質量%であるシリカビーズを用いた他は、実施例1と同様にして、構造体を作製した。
【0047】
(評価試験および結果)
上述した(1)および(2)について評価した。評価試験の結果を表3に示す。表3の符号は以下のことを表す。
(1)転写性
B2:スクリーン版について、通孔の角のほとんどに接着剤組成物が残っていた。接着剤組成物層の底面の形状は、四角形の角のほとんどが丸くなっており、また、幅が通孔よりも細くなっているところが多かった。厚みは、スクリーン版の厚みより盛り上がってところが目立ち、均一ではなかった。
【0048】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本発明に係る接着剤組成物を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明に係る接着剤組成物を説明するための図である。
【図3】図3は、実施例で用いたスクリーン版を説明するための図である。
【符号の説明】
【0050】
10: 部品
12、12a、12b、12c: 通孔
14: スクリーン版
16: 接着剤組成物
18: スキージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂、硬化剤およびシリカビーズを含むスクリーン印刷用接着剤組成物であって、
前記シリカビーズは、アスペクト比が0.5以上であり、平均粒径が10〜20μmであり、かつ、粒子径52μm以上の含有率が1質量%以下であることを特徴とするスクリーン印刷用接着剤組成物。
【請求項2】
前記シリカビーズが、エポキシ樹脂100質量部に対して20〜100質量部の量で含まれることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷用接着剤組成物。
【請求項3】
部材同士が接着された構造体であって、
前記構造体が、一方の部材上に請求項1または2に記載のスクリーン印刷用接着剤組成物をスクリーン印刷し、印刷された接着剤組成物上に他方の部材を当接させた後、該接着剤組成物を加熱硬化して部材同士が接着されたことを特徴とする構造体。
【請求項4】
部材同士が接着された構造体の製造方法であって、
一方の部材上に請求項1または2に記載のスクリーン印刷用接着剤組成物をスクリーン印刷し、印刷された接着剤組成物上に他方の部材を当接させた後、該接着剤組成物を加熱硬化して部材同士を接着する工程を含むことを特徴とする構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−150410(P2010−150410A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330737(P2008−330737)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】