説明

スクリーン版およびこれを用いたタッチパネルの製造方法

【課題】タッチパネルの製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができるスクリーン版を実現する。
【解決手段】スクリーン版1の基材1Aは、タッチパネルに備えられた上側基板と下側基板とを、タッチパネルの入力部で所定の間隔に維持させるスペーサをスクリーン印刷により形成するための孔2が複数設けられた領域2Aを備えているとともに、領域2Aの周囲に、タッチパネルの入力部の外側の領域に設けられる配線を絶縁させる絶縁層をスクリーン印刷により形成するための孔3が複数設けられた領域3Aを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを製造する際に用いられるスクリーン版およびこれを用いたタッチパネルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、PDA(Personal Digital Assistant)、MP3プレーヤー、カーナビゲーションなどのように多機能性を有する電子機器を操作するための入力手段としてタッチパネルが広く用いられるようになっている。タッチパネルを備えているこれらの電子機器においては、一般的に入力可能な操作に対応するアイコンなどの図柄や文字などを表示するため、透明なタッチパネルの背面に、上記図柄や文字などを必要に応じて変えることが可能な表示手段または、固定図柄や文字などを表示する表示シートなどが設けられる。
【0003】
したがって、電子機器の操作者は、種々の入力可能な操作に対応するアイコンなどの図柄や文字などを見ながら、入力手段であるタッチパネルを直接操作することができるので、タッチパネルを用いることにより、誰にでも使いやすいユーザインタフェースを提供することができる。
【0004】
また、タッチパネルのタッチの検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、音波の吸収を利用した超音波方式、発光素子が発する赤外光を遮断、あるいは反射光を受光素子で受けることで触れた位置を検出する赤外線方式、電磁誘導を利用した電磁誘導方式などが知られている。
【0005】
その中でも、抵抗膜方式は、製作の容易性などから一般的に幅広く用いられている。
【0006】
図8は、従来の抵抗膜方式のタッチパネル100の基本構成を示す断面模式図である。
【0007】
抵抗膜方式のタッチパネル100は、図示されているように、上側の透明な基板111の入力面111aを押圧することにより、ドット状スペーサ140によって所定の間隔130を空けて対向している透明な基板111に設けられた上部透明電極121と、透明な基板112に設けられた下部透明電極122とが、押圧された箇所にて互いに接触し、接触した際に流れる電流を検出器150で測定することにより、タッチの検出を行う構成である。
【0008】
図9は、従来のタッチパネルに備えられた下側基板の製造工程図である。
【0009】
また、図10は、従来のタッチパネルに備えられた上側基板の製造工程を説明するための製造工程図である。
【0010】
図11は、上記下側基板と上記上側基板とを貼り合わせて製作された従来のタッチパネルの概略構成を示す断面図である。
【0011】
特許文献1には、フォトリソ法により、ドット状スペーサ207と絶縁部領域210とを、同時に形成する製造方法について記載されている。
【0012】
以下、図9を参照しながら、上記製造方法について詳しく説明する。
【0013】
図9(a)および図9(b)に図示されているように、まず、透明な絶縁基材203の上面全面に、透明な抵抗膜205を全面的に形成する。
【0014】
次に、図9(c)に図示されているように、抵抗膜205上に透明な絶縁性被膜206を全面的に形成した。
【0015】
その後、図9(d)に図示されているように、フォトリソ法にて、絶縁性被膜206の入力部領域をパターン化してドット状または格子状のスペーサ207を形成すると同時に、入力部領域外を絶縁部領域210として残存させた。
【0016】
最後に、図9(e)に図示されているように、入力部領域の両端に平行な一対の帯状電極208を形成して下側基板201を得た。
【0017】
一方、上側基板202は、次のようにして製造する。
【0018】
以下、図10を参照しながら、その製造方法について詳しく説明する。
【0019】
図10(a)および図10(b)に図示されているように、まず、透明な可撓性絶縁基材204の上面全面に、透明な抵抗膜205を全面的に形成する。
【0020】
次に、図10(c)に図示されているように、入力部領域を残して抵抗膜205をエッチング除去する。
【0021】
次いで、図10(d)に図示されているように、抵抗膜205の両端に平行な一対の帯状電極208を形成する。また、この各帯状電極208と接続するリード線209および貼り合わせ後に下側基板201の各帯状電極208と接続するリード線209をそれぞれ形成して上側基板202とする。
【0022】
最後に、図11に図示されているように、以上のようにして得られた下側基板201と上側基板202とをそれぞれの電極間方向を90度ずらして重ね、周縁を接着剤211により貼り合わせるとともに、下側基板201の帯状電極208と上側基板202のリード線209とを導電性接着剤212により接続させることにより、抵抗膜方式の透明タッチパネルを得ることができる。
【0023】
上記構成によれば、フォトリソ法にて、上記スペーサ207を形成するため、絶縁性被膜206を利用し、絶縁性被膜206の入力部領域をパターン化してスペーサ207を形成すると同時に入力部領域外を絶縁部領域210として残存させるので、スペーサ207の形成工程とは別途に絶縁部領域210の形成工程(コーティングや貼り付けなど)を必要としないので、工程が簡素になると記載されている。
【0024】
また、ドット状スペーサの形成方法としては、基板の電極表面にUV硬化樹脂層を形成し、露光パターニングするフォトリソ法、電極表面に絶縁層を設けてエッチングする方法やスクリーン印刷法などが知られている。
【0025】
特許文献2には、上記ドット状スペーサの形成方法の中でも、生産性がよい、微小径のドット状スペーサの形成方法として、メタルスクリーン版を用いたスクリーン印刷法について記載されている。
【0026】
上記方法によれば、図8に図示されているように、形状の整った半球状の合成樹脂の微小なドット状スペーサ140を平面である透明な基板112上に生産性良く、安定して設
けることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開平7−282674号公報(1995年10月27日公開)
【特許文献2】特開平8−94995号公報(1996年4月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたフォトリソ法により、ドット状スペーサ207と絶縁部領域210とを、同時に形成する製造方法においては、フォトリソ法を用いているため、工程数が多くなり、高コストになってしまうという問題があるとともに、さらに、現像工程において、現像液によって抵抗膜205が腐食されたり、抵抗膜205の表面が変性されたりする惧れがある。特に、押圧箇所の検出を抵抗膜205の抵抗値の変化で行なうような、抵抗膜方式のタッチパネルにおいては、抵抗膜205の抵抗変化を引き起こす原因ともなり得るフォトリソ法を用いることは好ましくない。
【0029】
なお、上記特許文献1に記載された方法は、タッチパネルが狭額縁化され、上下の配線が重なるような構成である場合には、適用が困難である。すなわち、上記特許文献1に記載された方法は、図10(d)に図示されているように、上記リード線209が重ならないように上側基板202側にのみ設けられている場合に適用することができる。
【0030】
図12は、スクリーン印刷法によって形成された従来のタッチパネル160の外形図を示す。
【0031】
図示されているように、基板間を所定の間隔に維持させるドット状スペーサ161と、上下電極の配線162・163のリークを回避するために設けられる絶縁層164とは、その形状などの仕上がりが異なるため、図13(a)に図示されている上記ドット状スペーサ形成用のスクリーン版165を用いた上記ドット状スペーサの形成工程と、図13(b)に図示されている上記絶縁層形成用のスクリーン版166を用いた上記絶縁層の形成工程とは、別の工程となっている。
【0032】
すなわち、上記特許文献2に記載されたメタルスクリーン版を用いたスクリーン印刷法は、微小なドット状スペーサ140を平面である透明な基板112上に生産性良く、安定して設けることができるが、入力部領域外の配線の上下リークを回避するために設ける必要がある絶縁層を上記ドット状スペーサ140の形成工程と同時に設けることについては、全く考慮されてないので、上記絶縁層は、別工程にて形成する必要があるので、工程を簡素にすることができないという問題がある。
【0033】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、タッチパネルの製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができるスクリーン版を提供することを目的とする。
【0034】
また、製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができるタッチパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明のスクリーン版は、上記の課題を解決するために、基材が、タッチパネルに備えられた上側基板と下側基板とを、タッチパネルの入力部で所定の間隔に維持させるスペーサをスクリーン印刷により形成するための第1の孔が複数設けられた第1の領域を備えて
いるとともに、上記第1の領域の周囲に、上記タッチパネルの入力部の外側の領域に設けられる配線を絶縁させる絶縁層をスクリーン印刷により形成するための第2の孔が複数設けられた第2の領域を備えていることを特徴としている。
【0036】
上記構成によれば、一つの基材に、上記スペーサを形成するための第1の孔と絶縁層を形成するための第2の孔とが設けられている。すなわち、同じスクリーン版に上記した2種類の孔が形成されている。
【0037】
よって、上記スクリーン版を用いることにより、従来は別々の工程にて設けていたスペーサと絶縁層とを同時に形成することができ、製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができる。
【0038】
また、上記スクリーン版を用いた場合においては、現像工程を必要としないため、タッチパネルに備えられた抵抗膜が腐食されたり、上記抵抗膜の表面が変性されたりする惧れを抑制することができる。
【0039】
本発明のスクリーン版において、上記第1の孔は点状であり、上記第2の孔は、上記第1の孔より大きく設けられているとともに、上記第2の領域に複数列並んで設けられていることが好ましい。
【0040】
上記第1の孔は、表示領域であるタッチパネルの入力部に該当する上記スクリーン版における第1の領域に設けられるため、微細であることが求められる。このため、上記第1の孔は、点状であることが好ましい。一方、上記第2の孔は、非表示領域であるタッチパネルの配線部に該当する上記スクリーン版における第2の領域に、上下基板を貼り合わせたとき、重なり合う配線のリークを避けるために設けられるため、スクリーン印刷により上記第2の孔を通じて塗布される絶縁材料によって形成される絶縁層が、上記上下基板の貼り合わせ後、配線全体を覆うように、上記第1の孔より大きく設けられることが好ましい。
【0041】
本発明において、上記第2の孔は、上記したようにタッチパネルの入力部の外側の領域に設けられる配線を絶縁させる絶縁層をスクリーン印刷により形成するためのものであり、上記第2の領域は、上記タッチパネルの絶縁層形成領域に対応して設けられることは言うまでもない。上記第2の孔は、上記第2の領域に複数設けられていることから、その大きさの上限は、製造すべきタッチパネルの規格によって自ずと制限される。しかしながら、上記第2の孔は、このように制限された大きさを有しているとしても、第2の孔の形状が大きければ大きいほど、スクリーン版としての強度は低下する。
【0042】
そこで、上記したように、上記第2の孔を、上記第2の領域に複数列並んで設けることで、上記第2の領域には、孔と孔との間(より具体的には列と列の間)に線状の隙間(孔が設けられていない部分)が形成される。よって、上記の構成によれば、上記スクリーン版の強度を維持しつつ、その耐久性を向上させることができるので、上記スクリーン版を用いることにより、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0043】
また、上記構成によれば、上記第2の孔は、上記第1の孔に比べて、孔の大きさが大きく設けられているため、上記したように上下基板の貼り合わせ後に配線全体が覆われる量の絶縁材料を塗布することができるとともに、上記第1の孔と上記第2の孔とで異なる量の絶縁材料を塗布することができる。よって、表示領域であるタッチパネルの入力部において、上記第1の孔によって形成されるスペーサによる透過率の低下を抑制することができる。
【0044】
本発明のスクリーン版において、上記第2の孔は、スクリーン印刷における印刷方向を長手方向とする長方形状に形成されていることが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、上記絶縁層を形成するために設けられた長方形の孔の長手方向とスクリーン印刷する方向とが平行であるため、スキージで上記タッチパネル用スクリーン版を基板に押しつけるように掃引するスクリーン印刷時において、上記スキージと上記長方形の孔とが接触する部分を減らすことができる。
【0046】
よって、上記スクリーン版は、強度を維持しつつ、その耐久性を向上させることができるので、上記スクリーン版を用いることにより、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0047】
本発明のスクリーン版において、上記第2の孔は、タッチパネルの上側基板と下側基板とを貼り合わせたときに、これら上側基板と上記下側基板とにそれぞれ備えられた配線が互いに重なる部分にのみ設けられていることが好ましい。
【0048】
タッチパネルの上側基板と下側基板とにそれぞれ備えられた配線が互いに重ならない部分には絶縁膜を形成する必要はない。このため、上記構成によれば、上記タッチパネル用スクリーン版の強度を維持しつつ、その耐久性を向上させることができるので、上記タッチパネル用スクリーン版を用いることにより、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0049】
本発明のスクリーン版において、上記第2の孔は、タッチパネルの上側基板と下側基板とを貼り合わせたときに、これら上側基板と上記下側基板とにそれぞれ備えられた配線が互いに重なる部分を有する辺においては、重なる部分を有しない辺に比べて、該辺における上記第2の孔の総面積が大きくなるように設けられていることが好ましい。
【0050】
上記構成によれば、タッチパネルの上側基板と上記下側基板とに備えられた配線が、重なる部分を有する辺においては、該辺における上記第2の孔の総面積が大きくなるように上記タッチパネル用スクリーン版の基材に、上記第2の孔を設けている。すなわち、上記配線が重なる部分を有しない辺においては、例えば、上記基材に部分的に前記第2の領域が存在しない領域を設け、上記第2の領域の面積、厳密には上記第2の孔の総面積を、小さくするようにしている。
【0051】
よって、上記タッチパネル用スクリーン版において、第1の領域の周囲に設けられた第2の領域は、上記基材の各辺全てで同じ面積を有しているのではなく、辺によって、他の辺に設けられた第2の領域よりも面積が小さい。厳密には、第2の孔の総面績が小さい。このため、強度を維持しつつ、その耐久性を向上させることができるので、上記タッチパネル用スクリーン版を用いることにより、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0052】
本発明のスクリーン版は、上記基材が、金属からなることが好ましい。すなわち、本発明のタッチパネル用スクリーン版は、メタルスクリーン版であることが好ましい。
【0053】
基材に布を用いたスクリーン版では、スクリーンの布の目が、例えばドット状のスペーサを形成するための孔などに比べて粗いため、上記スペーサとして例えばドット状のスペーサを形成する場合、そのようなスペーサを均一形状に形成することが困難であるとともに、繰り返し使用する場合は、上記スクリーンの布の目が、スペーサの原料によって徐々に埋まって行き、スペーサの形状が徐々に変わっていく惧れがある。
【0054】
上記構成によれば、上記基材として金属からなる基材を用いているため、上記基材の耐久性、すなわち当該スクリーン版そのものの耐久性を向上させることができ、さらなる低
コスト化を図ることができる。
【0055】
また、さらには、上述した布のスクリーン版を用いた時に発生し得る問題を抑制することができる。
【0056】
本発明のタッチパネルの製造方法は、上記の課題を解決するために、抵抗膜と、上記抵抗膜に接続された配線とが設けられている上側基板と下側基板とを備え、上記上側基板と下側基板とが互いに貼り合わせられたタッチパネルの製造方法であって、上記抵抗膜はタッチパネルの入力部に設けられており、上記配線は、上記抵抗膜が設けられていない、上記タッチパネルの入力部の外側の領域に設けられており、本発明にかかる上記スクリーン版を用いてスクリーン印刷することで、上記上側基板および下側基板の何れか一方における、上記抵抗膜上に、上記上側基板と下側基板とを所定の間隔に維持させるスペーサを形成すると同時に、上記配線上に、上記配線を絶縁させる絶縁層を形成することを特徴としている。
【0057】
上記構成によれば、スクリーン印刷法を用いることにより、上記スペーサと上記絶縁層とを、同時に形成することができる。
【0058】
よって、製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができる。
【0059】
また、スクリーン印刷法を用いた場合においては、現像工程を必要としないため、タッチパネルに備えられた抵抗膜が腐食されたり、上記抵抗膜の表面が変性されたりする惧れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0060】
本発明のスクリーン版は、以上のように、基材が、タッチパネルに備えられた上側基板と下側基板とを、タッチパネルの入力部で所定の間隔に維持させるスペーサをスクリーン印刷により形成するための第1の孔が複数設けられた第1の領域を備えているとともに、上記第1の領域の周囲に、上記タッチパネルの入力部の外側の領域に設けられる配線を絶縁させる絶縁層をスクリーン印刷により形成するための第2の孔が複数設けられた第2の領域を備えているものである。
【0061】
それゆえ、タッチパネルの製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができるという効果を奏する。
【0062】
また、本発明のタッチパネルの製造方法は、上記スクリーン版を用いてスクリーン印刷することで、上記上側基板および下側基板の何れか一方における、上記抵抗膜上に、上記上側基板と下側基板とを所定の間隔に維持させるスペーサを形成すると同時に、上記配線上に、上記配線を絶縁させる絶縁層を形成する方法である。
【0063】
それゆえ、製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン版を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態のタッチパネルの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態のタッチパネルの製造プロセスを説明するためのプロセス図である。
【図4】(a)は、本発明の他の実施の形態のスクリーン版を示す平面図であり、(b)は、上記スクリーン版を用いて形成されたドット状スペーサおよび絶縁層と配線との位置関係を示す図である。
【図5】(a)は、本発明のさらに他の実施の形態のスクリーン版を示す平面図であり、(b)は、上記スクリーン版を用いて形成されたドット状スペーサおよび絶縁層と配線との位置関係を示す図である。
【図6】(a)は、本発明のさらに他の実施の形態のスクリーン版を示す平面図であり、(b)は、上記スクリーン版において、絶縁層を形成するための孔が設けられてない箇所の配線の一例を示す図である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態のスクリーン版の一例を示す平面図である。
【図8】従来の抵抗膜方式のタッチパネルの基本構成を示す断面模式図である。
【図9】従来のタッチパネルに備えられた下側基板の製造工程を説明するための製造工程図である。
【図10】従来のタッチパネルに備えられた上側基板の製造工程を説明するための製造工程図である。
【図11】図9の下側基板と図10の上側基板とを貼り合わせて製作された従来のタッチパネルの概略構成を示す断面図である。
【図12】スクリーン印刷法によって形成された従来のタッチパネルの外形図を示す。
【図13】(a)は、従来のドット状スペーサ形成用のスクリーン版を示し、(b)は、従来の絶縁層形成用のスクリーン版を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などはあくまで一実施形態に過ぎず、これらによってこの発明の範囲が限定解釈されるべきではない。
【0066】
本発明のスクリーン版は、タッチパネルの製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができるタッチパネル用スクリーン版である。
【0067】
また、本発明の一実施の形態のタッチパネルの製造方法は、製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができるタッチパネルの製造方法である。
【0068】
〔実施の形態1〕
以下、図1〜3に基づいて、本発明の一実施の形態のタッチパネルの構成について説明する。
【0069】
図1は、本発明の一実施の形態のスクリーン版を示す平面図である。
【0070】
また、図2は、本発明の一実施の形態のタッチパネルの概略構成を示す図である。
【0071】
図2に図示されているように、上記タッチパネル20は、透明で可撓性を有する上側基板4と透明である下側基板5とを備えており、上記上側基板4には、抵抗膜6と上記抵抗膜6と接続されている配線8とが設けられており、上記下側基板5には、抵抗膜6と上記抵抗膜6と接続されている配線9とが設けられている。
【0072】
なお、本実施の形態においては、上記透明で可撓性を有する上側基板4としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる透明フィルムを用いたが、これに限定されることはなく、複数枚のフィルムを重ね合わせた積層体などを用いることもできる。
【0073】
一方、上記下側基板5としては、ガラス基板を用いた。
【0074】
さらに、図示されているように、上記下側基板5上に設けられた上記抵抗膜6と上記配線9上には、それぞれドット状スペーサ10と絶縁層11とが設けられている。
【0075】
上記ドット状スペーサ10は、上記上側基板4と上記下側基板5とを、所定の間隔に維持させ、上記絶縁層11は、上記配線8と上記配線9とを絶縁させる。上記抵抗膜6はタッチパネル20の入力部に設けられている。また、上記配線8・9並びに絶縁層11は、上記抵抗膜6が設けられていない、上記タッチパネル20の入力部の外側の領域に設けられている。
【0076】
以下、図1に基づいて、本実施の形態にかかるスクリーン版(スクリーン印刷用版)について説明する。
【0077】
図1に図示されているように、本実施の形態にかかるスクリーン版1は、該スクリーン版1の基盤となる基材1A(スクリーン版基材)を備えている。
【0078】
基材1Aには、スクリーン印刷用の孔として、2種類の孔2・3が、それぞれ複数設けられている。孔2(第1の孔)は、ドット形状を有しており、孔3(第2の孔)は、長方形を有している。
【0079】
上記孔2(第1の孔)は、上記タッチパネル20に備えられた上側基板4と下側基板5とを、タッチパネルの入力部で所定の間隔に維持させるドット状スペーサ10をスクリーン印刷により形成するための孔である。
【0080】
上記孔3(第2の孔)は、上記上側基板4と上記下側基板5とに備えられた配線8・9を絶縁させる絶縁層11をスクリーン印刷により形成するための孔である。
【0081】
本実施の形態においては、孔2(第1の孔)は、ドット形状に、孔3(第2の孔)は、長方形にそれぞれ設けられているが、これに限定されることはなく、上記孔2・3を両方ともドット形状または長方形に形成してもよい。
【0082】
上記基材1Aには、上記孔2が複数設けられた領域2A(第1の領域)と、上記孔3が複数設けられた領域3A(第2の領域)とを備えている。
【0083】
なお、本実施の形態においては、上記領域2Aには、複数の孔2が点在しており、上記領域3Aには、複数の孔3が複数列並んで設けられているが、上記孔2・3の配列がこれに限定されることはない。
【0084】
また、領域2Aは、基材1Aの中央部に設けられている。領域2Aは、スクリーン印刷時に、基材1Aを、タッチパネル20を構成する上側基板4または下側基板5と重ね合わせたきに、抵抗膜6と重なる領域(つまり、タッチパネル20の入力部に対応した領域)に相当する。
【0085】
領域3Aは、領域2Aの周囲に設けられている。上記領域3Aは、領域2Aの各辺(外縁)に沿って設けられている。上記領域2Aの各辺に沿って設けられた各領域3Aは、それぞれ帯状に形成されている。孔3は、この帯状の領域3Aに、それぞれ複数設けられている。図1に示す例では、これら領域3Aは、基材1Aを平面(基材1Aに垂直な方向)から見たときに、全体視で、領域2Aを取り囲むように枠状(額縁状)に形成されている。
【0086】
このように、本実施の形態によれば、一つの基材1Aに、ドット状スペーサ10を形成
するための孔2と絶縁層11を形成するための孔3とが設けられている。すなわち、同じスクリーン版1に、上記した2種類の孔2・3が形成されている。
【0087】
よって、上記スクリーン版1を用いることにより、従来は別々の工程にて設けていたドット状スペーサ10と絶縁層11とを同時に形成することができ、製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができる。
【0088】
また、上記スクリーン版1を用いた場合においては、現像工程を必要としないため、上記タッチパネル20に備えられた上記抵抗膜6が腐食されたり、上記抵抗膜6の表面が変性されたりする惧れを抑制することができる。
【0089】
また、本実施の形態のスクリーン版1において、上記第1の孔2は点状であり、上記第2の孔3は、上記第1の孔2より大きく設けられているとともに、上記第2の領域3Aに複数列並んで設けられていることが好ましい。
【0090】
上記第1の孔2は、表示領域であるタッチパネル20の入力部に該当する上記スクリーン版1における第1の領域2Aに設けられるため、微細であることが求められる。このため、上記第1の孔2は、点状であることが好ましい。一方、上記第2の孔3は、非表示領域であるタッチパネル20の配線部に該当する上記スクリーン版1における第2の領域3Aに、上下基板4・5を貼り合わせたとき、重なり合う配線8・9のリークを避けるために設けられるため、スクリーン印刷により上記第2の孔3を通じて塗布される絶縁材料によって形成される絶縁層11が、上記上下基板4・5の貼り合わせ後、配線8・9全体を覆うように、上記第1の孔2より大きく設けられることが好ましい。
【0091】
上記第2の孔3は、上記したようにタッチパネル20の入力部の外側の領域に設けられる配線8・9を絶縁させる絶縁層11をスクリーン印刷により形成するためのものであり、上記第2の領域3Aは、上記タッチパネル20の絶縁層形成領域に対応して設けられることは言うまでもない。上記第2の孔3は、上記第2の領域3Aに複数設けられていることから、その大きさの上限は、製造すべきタッチパネル20の規格によって自ずと制限される。しかしながら、上記第2の孔3は、このように制限された大きさを有しているとしても、第2の孔3の形状が大きければ大きいほど、スクリーン版1としての強度は低下する。
【0092】
そこで、上記したように、上記第2の孔3を、上記第2の領域3Aに複数列並んで設けることで、上記第2の領域3Aには、孔と孔との間(より具体的には列と列の間)に線状の隙間(孔が設けられていない部分)が形成される。よって、上記の構成によれば、上記スクリーン版1の強度を維持しつつ、その耐久性を向上させることができるので、上記スクリーン版1を用いることにより、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0093】
また、上記構成によれば、上記第2の孔3は、上記第1の孔2に比べて、孔の大きさが大きく設けられているため、上記したように上下基板4・5の貼り合わせ後に配線8・9全体が覆われる量の絶縁材料を塗布することができるとともに、上記第1の孔2と上記第2の孔3とで異なる量の絶縁材料を塗布することができる。よって、表示領域であるタッチパネル20の入力部において、上記第1の孔2によって形成されるスペーサ10による透過率の低下を抑制することができる。
【0094】
なお、上記絶縁材料の塗布量は、上記孔3の配置並びに大きさを調節することで調節が可能である。したがって、上記第2の孔3の配置並びに大きさは、上記したように上下基板4・5の貼り合わせ後に配線8・9全体が覆われる適切な量の絶縁材料を塗布することができるように、タッチパネル20の規格に応じて適宜設定すればよく、特に限定される
ものではない。
【0095】
また、上記孔3の形状および配置の例としては、図示してないが、正方形状の孔がマトリクス状に配置された構成であってもよく、正方形状あるいは長方形状の孔が千鳥状に配置された構成であってもよい。
【0096】
また、上記スクリーン版1は、メタルスクリーン版であることが好ましい。本実施の形態では、上記基材1Aとして、ステンレスからなる、平板状の基材(金属基板)を用いている。
【0097】
なお、上記金属としては、ステンレスに限定されることはなく、従来からメタルスクリーン版に用いられる公知の金属を用いることができる。すなわち、上記金属の種類は、特に限定されない。
【0098】
基材に布を用いたスクリーン版では、スクリーンの布の目が、例えば、一般的な大きさのドット状スペーサを形成するための孔などに比べて粗いため、上記したようにスペーサとしてドット状スペーサ10を形成する場合、該ドット状スペーサ10を均一形状に形成することが困難であるとともに、繰り返し使用する場合は、上記スクリーンの布の目が、ドット状スペーサの原料によって徐々に埋まって行き、ドット状スペーサ10の形状が徐々に変わっていく惧れがある。
【0099】
このため、上記したように基材1Aとしてステンレスなどの金属からなる基材を用いることで、上記基材1Aの耐久性、すなわち上記スクリーン版1そのものの耐久性を向上させることができ、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0100】
また、さらには、上述した布のスクリーン版を用いた時に発生し得る問題を抑制することができる。
【0101】
なお、上記スクリーン版1は、上記基材1の表面に、防錆性や耐溶剤性などを付与する目的で、各種処理が施されていてもよい。また、上記基材1の表面に、このような性能を有する、図示しないフィルムや被膜などの機能性膜が設けられている構成を有していてもよい。なお、基材1Aの表面にこのような機能性膜が設けられている場合、これら機能性膜にも上記基材1Aに設けられたスクリーン印刷用の孔と同じ形状の孔が設けられていることは言うまでもない。
【0102】
以下、図3に基づいて、上記タッチパネル20の概略的な製造プロセスについて説明する。
【0103】
<タッチパネル20の製造プロセス>
図3は、本発明の一実施の形態のタッチパネル20の製造プロセスを説明するためのプロセス図である。
【0104】
図3(a)に図示されているように、まず、透明なガラス基板(下側基板5)の上面全面に、抵抗膜6を形成する。
【0105】
上記抵抗膜6としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)などの透明な金属酸化物をスパッタ法などで形成した透明導電膜を用いることができ、本実施の形態においては、ITOをスパッタ法で形成した膜を用いた。
【0106】
次に、図3(b)に図示されているように、上記抵抗膜6上に、レジスト7を所望のパターンに形成した。
【0107】
上記レジスト7に所望のパターンを形成する方法としては、上記レジスト7が、感光性レジストである場合は、露光・現像工程によって、所望のパターンを形成することができるが、所望のパターンを有するスクリーン版を用いて、スクリーン印刷することもできる。本実施の形態においては、上記抵抗膜6への現像液による影響や工程の簡素化などを考慮し、スクリーン印刷法を用いた。
【0108】
その後、上記レジスト7のパターンをマスクとして、上記抵抗膜6をエッチングし、上記抵抗膜6のパターニングを行った。上記抵抗膜6のパターニング後、上記レジスト7を、レジスト剥離液で除去し、図3(c)に図示されているように、上記透明なガラス基板(下側基板5)に、所望のパターンを有する上記抵抗膜6を形成した。
【0109】
なお、上記レジスト剥離液としては、塩酸系の剥離液を使用することができる。但し、上記レジスト剥離液としては、上記抵抗膜6への影響が小さいものを用いることが好ましい。
【0110】
なお、上記抵抗膜6をパターニングする方法としては、上述した方法以外にも、上記抵抗膜6を全面に形成した状態から必要なところだけをレーザーカッターを用いて切断する方法を用いることもできる。
【0111】
次いで、図3(d)に図示されているように、上記抵抗膜6が設けられてない部分(上記タッチパネル20における入力領域以外)に、上記抵抗膜6に接続された配線9が設けられている。
【0112】
本実施の形態においては、上記配線9として、銀配線を用いたが、これに限定されることはなく、低抵抗配線であれば何れも用いることができる。
【0113】
次に、図3(e)に図示されているように、既に上述した図1に図示したスクリーン版1を用いて、上記ドット状スペーサ10と上記絶縁層11とを、同時に形成した。すなわち、上記抵抗膜6上には、ドット状スペーサ10を、上記配線9上には、絶縁層11を、それぞれスクリーン印刷法にて同時に形成した。
【0114】
本実施の形態において、上記ドット状スペーサ10と上記絶縁層11との形成には、熱硬化性樹脂組性物を用いているが、光硬化性樹脂組性物を用いてもよい。
【0115】
熱硬化性樹脂組性物を用いる場合は、スクリーン印刷後に所定の熱処理をすればよく、一方、光硬化性樹脂組性物を用いる場合には、スクリーン印刷後に露光処理をすればよい。
【0116】
上記熱硬化性樹脂組性物としては、例えば、エポキシ系樹脂などのモノマーやオリゴマと有機溶媒との混合物を用いることが可能であり、上記光硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂などのモノマーやオリゴマと有機溶媒と光開始剤との混合物を用いることが可能である。
【0117】
本実施の形態においては、上記ドット状スペーサ10と上記絶縁層11とを、上記透明なガラス基板(下側基板5)側に設けたが、透明フィルム(上側基板4)側に設けることもできる。
【0118】
上記スクリーン印刷法を用いることにより、製造工程を簡素化できるとともに、低コスト化を実現することができる。
【0119】
また、上記スクリーン印刷法を用いた場合においては、現像工程を必要としないため、タッチパネル20に備えられた上記抵抗膜6が腐食されたり、上記抵抗膜6の表面が変性されたりする惧れを抑制することができる。
【0120】
すなわち、上記タッチパネル20に備えられた上記両基板4・5の何れか一方の基板において、上記抵抗膜6上には、ドット状スペーサ10が、上記配線8または、上記配線9上には、絶縁層11が、上記抵抗膜6が変性されないように、それぞれ設けられている。
【0121】
上記構成によれば、上記タッチパネル20に備えられた上記抵抗膜6が、変性される惧れを抑制することができるので、特に、押圧箇所の検出を抵抗膜の抵抗値の変化で行なう方式のタッチパネルにおいては、タッチの検出精度をさらに向上させることができる。
【0122】
最後に、図3(f)に図示されているように、図3(a)から図3(d)までの工程により作製された透明フィルム(上側基板4)と、上記透明なガラス基板(下側基板5)とを図示されてない接着剤により貼り合わせて、上記タッチパネル20を得た。
【0123】
なお、本実施の形態では、スペーサとして、上記したようにドット状スペーサ10を形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば上記孔2の形状を適宜変更することで、格子状など、スクリーン印刷で形成できる各種形状のスペーサの形成に適用することができる。なお、上記孔3の形状についても、適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【0124】
また、図1では、領域2Aを、一般的なタッチパネルの入力部の形状に合わせて矩形状(例えば長方形状)としたが、上記領域2Aの形状は、タッチパネル20の入力部の形状に合わせて形成すればよく、特に限定されるものではない。
【0125】
〔実施の形態2〕
つぎに、図4〜7に基づいて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、実施の形態1におけるスクリーン版1の耐久性を向上させた変形例を示すものである。
【0126】
なお、説明の便宜上、上記の実施の形態1の図面に示した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0127】
図4(a)は、本発明の他の実施の形態のスクリーン版1aを示す平面図であり、図4(b)は、上記スクリーン版1aを用いて形成されたドット状スペーサおよび絶縁層と配線との位置関係を示す図である。
【0128】
また、図5(a)は、本発明のさらに他の実施の形態のスクリーン版1bを示す平面図であり、図5(b)は、上記スクリーン版1bを用いて形成されたドット状スペーサおよび絶縁層と配線との位置関係を示す図である。
【0129】
図4(a)に図示されているように、本実施の形態のスクリーン版1aにおいては、領域2Aの各辺にそれぞれ対向して設けられた各領域3Aに、上記絶縁層11を形成するための孔3aが、長方形に形成されているとともに、上記長方形の長手方向と図示されているスクリーン印刷する方向D1とが平行に設けられていることが好ましい。すなわち、図4(a)に図示されているように、スクリーン印刷する方向D1と、長方形を有する上記
孔3aの長手方向とを一致させることが好ましい。
【0130】
同様に、図5(a)に図示されている本発明のさらに他の実施の形態のスクリーン版1bにおいても、各領域3Aに、上記絶縁層11を形成するための孔3bが、長方形に形成されているとともに、上記長方形の長手方向と図示されているスクリーン印刷する方向D2とが平行に設けられていることが好ましい。
【0131】
上記構成によれば、上記絶縁層11を形成するために設けられた長方形の孔3a・3bの長手方向とスクリーン印刷する方向D1・D2とが平行であるため、スキージで上記スクリーン版1a・1bを基板5に押しつけるように掃引するスクリーン印刷時において、上記スキージと上記長方形の孔3a・3bとが接触する部分を減らすことができる。
【0132】
よって、上記スクリーン版1a・1bは、強度を維持しつつ、その耐久性を向上させることができるので、上記スクリーン版1a・1bを用いることにより、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0133】
また、図4(a)・(b)および図5(a)・(b)に図示されているように、上記スクリーン版1a・1bにおいて、上記絶縁層11を形成するための孔3a・3bは、上記上側基板4と上記下側基板5とに備えられた配線8・9が、上記両基板4・5を貼り合わせた時に、互いに重なる部分を有する辺(図中、下辺および右辺)においては、互いに重なる部分を有しない辺(図中、上辺および左辺)に比べて、該辺に対応する領域3Aの面積が大きくなるように設けられていることが好ましい。つまり、図中、領域2Aの下辺および右辺に位置する領域3Aにおける上記孔3a・3bの総面積は、領域2Aの上辺および左辺に位置する領域3Aにおける孔3a・3bの総面積よりも大きくなるように設けられていることが好ましい。なお、以下の説明において、スクリーン版1a・1bにおける、「上辺」、「下辺」、「右辺」、「左辺」とは、各基材1Aにおける領域2Aの「上辺」、「下辺」、「右辺」、「左辺」の各辺を示す。
【0134】
図4(b)および図5(b)に図示されているように、上記上側基板4に備えられた配線8と、上記下側基板5に備えられた配線9とは、下辺および右辺にて重なっている。よって、このような場合における、好ましいスクリーン版1a・1bの形状を、図4(a)および図5(a)に示す。
【0135】
図4(a)に図示されているように、上記スクリーン版1aおいて、下辺は、上辺より上記孔3aの総面積が大きくなるように設けられており、また、右辺は、左辺より上記孔3aの総面積が大きくなるように設けられている。
【0136】
図5(a)に図示された上記スクリーン版1bにおいても、同様に、下辺は、上辺より上記孔3bの総面積が大きくなるように設けられており、また、右辺は、左辺より上記孔3bの総面積が大きくなるように設けられている。
【0137】
したがって、上記スクリーン版1a・1bは、上記孔3a・3bの総面積が小さい領域を備えており、強度を維持しつつ、その耐久性を向上させることができるので、上記スクリーン版1a・1bを用いることにより、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0138】
図6(a)は、本発明のさらに他の実施の形態のスクリーン版1cを示す平面図であり、図6(b)は、上記スクリーン版1cにおいて、上記絶縁層11を形成するための孔3cが設けられてない箇所の配線8・9の一例を示す。
【0139】
上記スクリーン版1cにおいては、上記絶縁層11を形成するための孔3cは、上記上
側基板4と上記下側基板5とに備えられた配線8・9が、上記両基板4・5を貼り合わせたときに、互いに重なる部分にのみ、設けられていることが好ましい。
【0140】
すなわち、図6(a)に図示されているように、上記スクリーン版1cにおいて、上記孔3cが設けられてない箇所(図中、丸囲みされている箇所)においては、図6(b)に図示されているように、上記両基板4・5を貼り合わせた時に、上記上側基板4に備えられた配線8と上記下側基板5に備えられた配線9とが重なっていない。
【0141】
上記構成によれば、上記スクリーン版1cにおいて、上記配線8・9が、重ならない部分には、上記絶縁層11を形成するための孔3cを設ける必要がないため、上記スクリーン版1cの強度を維持しつつ、その耐久性を向上させることができるので、上記スクリーン版1cを用いることにより、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0142】
図7は、本発明のさらに他の実施の形態のスクリーン版1dの一例を示す平面図である。
【0143】
図示されているように、上記スクリーン版1dには、基材1Aに、8個の領域2Aと、各領域2Aの周囲に、各領域2Aの各辺に対向して設けられた複数の領域3Aが設けられている。したがって、上記スクリーン版1dを用いることにより、生産性を向上させることができる。
【0144】
本発明は上記した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、タッチパネルの製造方法およびタッチパネルに適用することができる。
【符号の説明】
【0146】
1 スクリーン版
1a スクリーン版
1b スクリーン版
1c スクリーン版
1d スクリーン版
1A 基材
2 孔(第1の孔)
2A 領域(第1の領域)
3 孔(第2の孔)
3a 孔(第2の孔)
3b 孔(第2の孔)
3A 領域(第2の領域)
4 フィルム(上側基板)
5 ガラス基板(下側基板)
6 抵抗膜
7 レジスト
8、9 配線
10 ドット状スペーサ(スペーサ)
11 絶縁層
20 タッチパネル
D1、D2 スクリーン印刷方向(印刷方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材が、
タッチパネルに備えられた上側基板と下側基板とを、タッチパネルの入力部で所定の間隔に維持させるスペーサをスクリーン印刷により形成するための第1の孔が複数設けられた第1の領域を備えているとともに、
上記第1の領域の周囲に、上記タッチパネルの入力部の外側の領域に設けられる配線を絶縁させる絶縁層をスクリーン印刷により形成するための第2の孔が複数設けられた第2の領域を備えていることを特徴とするスクリーン版。
【請求項2】
上記第1の孔は点状であり、
上記第2の孔は、上記第1の孔より大きく設けられているとともに、上記第2の領域に複数列並んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン版。
【請求項3】
上記第2の孔は、スクリーン印刷における印刷方向を長手方向とする長方形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクリーン版。
【請求項4】
上記第2の孔は、タッチパネルの上側基板と下側基板とを貼り合わせたときに、これら上側基板と上記下側基板とにそれぞれ備えられた配線が互いに重なる部分にのみ設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のスクリーン版。
【請求項5】
上記第2の孔は、タッチパネルの上側基板と下側基板とを貼り合わせたときに、これら上側基板と上記下側基板とにそれぞれ備えられた配線が互いに重なる部分を有する辺においては、重なる部分を有しない辺に比べて、該辺における上記第2の孔の総面積が大きくなるように設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のスクリーン版。
【請求項6】
上記基材は、金属からなることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のスクリーン版。
【請求項7】
抵抗膜と、上記抵抗膜に接続された配線とが設けられている上側基板と下側基板とを備え、上記上側基板と下側基板とが互いに貼り合わせられたタッチパネルの製造方法であって、
上記抵抗膜はタッチパネルの入力部に設けられており、上記配線は、上記抵抗膜が設けられていない、上記タッチパネルの入力部の外側の領域に設けられており、
請求項1から6の何れか1項に記載のスクリーン版を用いてスクリーン印刷することで、
上記上側基板および下側基板の何れか一方における上記抵抗膜上に、上記上側基板と下側基板とを所定の間隔に維持させるスペーサを形成すると同時に、
上記配線上に、上記配線を絶縁させる絶縁層を形成することを特徴とするタッチパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−205177(P2010−205177A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52592(P2009−52592)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】