スクレーパ装置、ラミネート装置およびラミネート装置の制御方法
【課題】剥離シートに付着した付着物を除去できるスクレーパ装置、ラミネート装置およびラミネート装置の制御方法を提供する。
【解決手段】スクレーパ装置11は、掻き取り部41と、インデックスプランジャ42と、ホルダ43と、ホルダプレート44と、アルミフレーム取付用プレート37と、回転機構46,47とを有する。掻き取り部41はラミネート装置100に固定されておらず、ローラチェーン32により牽引されるため、任意の回数、剥離シート8上で掻き取り部41を移動させることができる。そのため、剥離シート8に付着したEVA24aを確実に掻き取ることができる。
【解決手段】スクレーパ装置11は、掻き取り部41と、インデックスプランジャ42と、ホルダ43と、ホルダプレート44と、アルミフレーム取付用プレート37と、回転機構46,47とを有する。掻き取り部41はラミネート装置100に固定されておらず、ローラチェーン32により牽引されるため、任意の回数、剥離シート8上で掻き取り部41を移動させることができる。そのため、剥離シート8に付着したEVA24aを確実に掻き取ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セル等をラミネート加工するラミネート装置およびその制御方法、ラミネート装置用のスクレーパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルの材料として、例えばシリコンが用いられる。シリコンは化学変化を起こしやすく、また物理的衝撃にも弱いので、シリコンをカバーガラスなどでラミネート加工して太陽電池モジュールを形成するのが一般的である。
【0003】
ラミネート加工を行うラミネート装置では、シリコンからなる太陽電池セルとカバーガラスとの間にEVA(エチレンビニルアセテート)等の充填材を充填した被ラミネート体をダイヤフラムで狭圧しつつ加熱し、充填材を融解させて太陽電池モジュールを形成する。この時、充填材が被ラミネート体から流れ出してダイヤフラム等に付着するのを防ぐために、太陽電池モジュールとダイヤフラムとの間に剥離シートが設けられる。
【0004】
特許文献1では、剥離シートに付着した充填材は、剥離シートを移動させる際に、ラミネート装置に固定されたスクレーパにより除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−238196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の手法では、スクレーパにより一度しか充填材を掻き取ることができず、剥離シートに付着した充填材を完全には除去できない。その結果、剥離シート上に残存する充填材が太陽電池モジュールの表面に転写されてしまい、太陽電池モジュールの表面をクリーニングしなければならない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、剥離シートに付着した付着物を除去できるスクレーパ装置、ラミネート装置およびラミネート装置の制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、下面が開口した上ケースと、前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、を備えるラミネート装置用のスクレーパ装置であって、前記剥離シートの表面に接触するように配置され、前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取る掻き取り部と、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に移動させる水平移動制御部と、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる垂直移動制御部と、を備えることを特徴とするスクレーパ装置が提供される。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、下面が開口した上ケースと、前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取るスクレーパ装置と、を備え、前記スクレーパ装置は、前記剥離シートの表面に接触するように配置され、前記付着物を掻き取る掻き取り部と、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に移動させる水平移動制御部と、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる垂直移動制御部と、を有することを特徴とするラミネート装置が提供される。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、下面が開口した上ケースと、前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取るスクレーパ装置と、を備えるラミネート装置の制御方法であって、前記ヒータ盤上に載置された前記被ラミネート体を、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧しながら加熱してラミネート加工を行う第1ステップと、前記剥離シートのうち、前記上ケースの上面に配置された部分の表面に掻き取り部を接触させる第2ステップと、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に少なくとも1往復させる第3ステップと、前記掻き取り部を前記剥離シートから離す第4ステップと、前記ラミネート加工の終了後に、前記剥離シートのうち前記被ラミネート体を狭圧していた部分を前記上ケースの上面に移動させる第5ステップと、を備え、前記第2乃至第4ステップは、前記第1ステップと並行して行うことを特徴とするラミネート装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、剥離シートに付着した付着物を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るラミネート装置100の平面図。
【図2】ラミネート装置100の側面図。
【図3】ラミネート加工の手順の一例を示すフローチャート。
【図4】被ラミネート体20が太陽電池モジュールの場合の断面図。
【図5】図1のP方向から見たスクレーパユニット36の正面図。
【図6】図1のQ方向から見たスクレーパユニット36の側面図。
【図7】スクレーパユニット36の平面図。
【図8】スクレーパユニット36の各部の斜視図。
【図9】回転機構46,47の平面図。
【図10】回転機構46,47の側面図。
【図11】掻き取り部41の拡大図。
【図12】重り49aを有するスクレーパユニット36の側面図。
【図13】スプリング49bを有するスクレーパユニット36の側面図。
【図14】エアシリンダ49cを有するスクレーパユニット36の側面図。
【図15】図1のラミネート装置100の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図16】ラミネート加工と並行して剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取る様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る、スクレーパ装置、ラミネート装置およびラミネート装置の制御方法の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るラミネート装置100の平面図であり、図2は、ラミネート装置100の側面図である。図1および図2に示すように、ラミネート装置100は、基台1と、下ケース2と、ヒータ盤3と、搬送シート4と、ローラ5a,5bと、上ケース6と、ダイヤフラム7と、剥離シート8と、シリンダ9と、リニアガイド10と、スクレーパ装置11と、回転ブラシ12と、掻き取り受け13とを備えている。
【0015】
下ケース2は基台1上に固定される。ヒータ盤3は下ケース2内の上部に設けられる。ローラ5aは、搬送シート4を下ケース2およびヒータ盤3に沿って、例えば反時計回りに移動させる。搬送シート4には、その右側に設けられる供給コンベア(不図示)から、例えば太陽電池モジュールとなる3組の被ラミネート体20が供給される。搬送シート4は被ラミネート体20を搬送して、ヒータ盤3上の所定の位置に載置する。ヒータ盤3は被ラミネート体20を加熱してラミネート加工を行い、例えば太陽電池モジュールを形成する。形成された太陽電池モジュールは、搬送シート4から、その左側に設けられる搬出コンベア(不図示)に搬出される。
【0016】
一方、上ケース6は下ケース2の上方に設けられる。上ケース6の下面側は開口しており、開口した部分にダイヤフラム7が設けられる。本明細書では、ダイヤフラム7および上ケース6の内壁面により囲まれた領域を上チャンバ14と呼ぶ。上ケース6には排吸気口および真空ポンプ(不図示)が設けられ、上チャンバ14内を真空にすることができる。ダイヤフラム7は膨張し、剥離シート8を介して被ラミネート体20を狭圧できるよう、シリコン系またはブチル系等の弾性および耐熱性がある材料が用いられる。
【0017】
剥離シート8はダイヤフラム7の下方から上チャンバ14の側方および上方を囲む領域内に移動可能に設けられる。剥離シート8は例えば2枚のガラスクロスシートを継いで無端帯状に形成される。そのため、2箇所の継ぎ目は他の部分より厚くなる。また、継ぎ目以外の部分も完全に平坦であるわけではなく、凹凸やうねりが生じる可能性がある。ローラ5bは、剥離シート8を上チャンバ14の外周に沿って、例えば時計回りに移動させる。ローラ5bは電気モータ等の不図示のアクチュエータにより駆動される。
【0018】
シリンダ9の先端は上ケース6に接続され、リニアガイド10に沿って伸縮する。シリンダ9が伸びると上ケース6が上昇して、被ラミネート体20または形成された太陽電池モジュールは開放される。一方、シリンダ9が縮むと上ケース6が下降して、搬送シート4上の被ラミネート体20と剥離シート8とが密着する。本明細書では、ダイヤフラム7および下ケース2の内壁面で囲まれる領域を下チャンバ15と呼ぶ。下ケース2には排吸気口および真空ポンプ(不図示)が設けられ、下チャンバ15内を真空にすることができる。
【0019】
スクレーパ装置11は後述するスクレーパユニット36を有する。スクレーパユニット36は剥離シート8の移動方向およびその反対方向に移動可能とされており、剥離シート8の上面に接触しながら移動することにより、剥離シート8に付着した付着物24aを掻き取る。回転ブラシ12は、掻き取られた付着物24aを剥離シート8上から除去し、掻き取り受け13で回収する。
【0020】
図3は、ラミネート加工の手順の一例を示すフローチャートである。まず、上ケース6を上昇させ、搬送シート4により太陽電池モジュール等の被ラミネート体20をヒータ盤3の上まで搬送する(ステップS1)。次に、上ケース6を下降させ、上ケース6と下ケース2を密閉する(ステップS2)。これにより、上ケース6および下ケース2の内部に、ダイヤフラム7によって仕切られた上チャンバ14および下チャンバ15が形成される。続いて、この上チャンバ14および下チャンバ15を真空にする(ステップS3)。
【0021】
この状態で上チャンバ14に大気を導入すると(ステップS4)、ダイヤフラム7が下方に膨張する。そして、膨張したダイヤフラム7により被ラミネート体20を狭圧しつつ、ヒータ盤3で被ラミネート体20を加熱する(ステップS5)。これにより被ラミネート体20はラミネートされ、太陽電池モジュールが形成される。その後、下チャンバ15に大気を導入し(ステップS6)、上チャンバ14を上昇させた後(ステップS7)、搬送シート4により太陽電池モジュールを搬出する(ステップS8)。
【0022】
図4は、被ラミネート体20が太陽電池モジュールの場合の断面図である。この被ラミネート体20の大きさは、例えば1m×1.5mである。被ラミネート体20は、太陽電池セル21と、電極22と、リード線23と、充填材であるEVA(エチレンビニルアセテート)24と、カバーガラス25とを有する。太陽電池セル21の材料は例えば多結晶シリコンである。リード線23は太陽電池セル21と電極22とを電気的に接続する。太陽電池モジュールが形成されると、太陽電池セル21により生成された電力はリード線23を介して電極22から取り出される。カバーガラス25は太陽電池セル21を保護するために設けられる。
【0023】
被ラミネート体20が加熱されると(図2のステップS5)、EVA24が融解し、被ラミネート体20の各層が接合されて太陽電池モジュールが形成される。このとき、EVA24の一部は被ラミネート体20から流れ出す。被ラミネート体20の上方には剥離シート8が設けられるため、流れ出したEVA24はダイヤフラム7にはほとんど付着しないが、剥離シート8の下面側に付着してしまう(図1の付着物24a)。
【0024】
そこで、本実施形態では、ラミネート装置100にスクレーパ装置11を設け、剥離シート8に付着したEVA24を掻き取るようにする。
【0025】
図1に示すように、スクレーパ装置11は、角パイプフレーム(支持部材)31と、ローラチェーン(水平移動制御部)32と、シリンダ取付用ブラケット33(不図示)と、エアシリンダ34と、アルミフレーム35(不図示)と、スクレーパユニット36と、アルミフレーム取付プレート37(不図示)とを有する。図1は、1本の角パイプフレーム31に2つのエアシリンダ34が取り付けられ、エアシリンダ34に1本のアルミフレーム35が取り付けられる。このアルミフレーム35に合計6つのスクレーパユニット36が取り付けられる例を示している。
【0026】
図1に示すように、角パイプフレーム31は剥離シート8の上方に、その移動方向と直角に設けられる。ローラチェーン32は角パイプフレーム31の両端に設けられて、角パイプフレーム31の両端を支持する。ローラチェーン32は、例えば不図示の電気モータにより剥離シート8の移動方向と同方向および逆方向に、剥離シート8の移動とは非同期に移動する。
【0027】
角パイプフレーム31はローラチェーン32に支持されるため、ローラチェーン32が移動すると、これに牽引されて角パイプフレーム31および角パイプフレーム31に固定されるスクレーパユニット36も移動する。なお、ローラチェーン32の他、ベルトまたはワイヤ等の牽引装置を用いてもよいし、角パイプフレーム31が自走可能であってもよい。
【0028】
図5は、図1のP方向から見たスクレーパユニット36の正面図であり、図6は、図1のQ方向から見たスクレーパユニット36の側面図であり、図7は、スクレーパユニット36の平面図である。また、図8は、スクレーパユニット36の各部の斜視図である。図8では、簡略化のために、部材の一部を省略している。スクレーパユニット36はシリンダ取付用ブラケット33、エアシリンダ34、アルミフレーム取り付けプレート37およびアルミフレーム35を介して、角パイプフレーム31に固定される。スクレーパユニット36は、掻き取り部41と、インデックスプランジャ42と、ホルダ43と、ホルダプレート44と、回転機構46,47とを有する。
【0029】
掻き取り部41は板状であり、例えばインデックスプランジャ42によりホルダ43に取り付けられる。インデックスプランジャ42のツマミを引くことにより、ワンタッチで簡易に掻き取り部41をホルダ43に脱着できる。ホルダ43はホルダプレート44および回転機構46,47を介して、アルミフレーム35に固定される。アルミフレーム35は、アルミフレーム取付用プレート37を介して、エアシリンダ34に固定される。エアシリンダ34はシリンダ取付用ブラケット33を介して角パイプフレーム31に取り付けられる。
【0030】
エアシリンダ34は、剥離シート8の移動方向と垂直、つまり上下方向に移動する。エアシリンダ34が下降すると、掻き取り部41が剥離シート8の表面に接触する。この状態でローラチェーン32に牽引されて掻き取り部41が移動することにより、剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取る。掻き取りが終了すると、エアシリンダ34は上昇し、ラミネート加工が終了していれば掻き取り部41が剥離シート8から離れた状態で、剥離シート8を移動させる。エアシリンダ34により掻き取り部41を上昇させる理由は、剥離シート8の継ぎ目が掻き取り部41に引っかかってしまうのを防ぐためである。
【0031】
剥離シート8は完全に平坦であるわけではなく、表面には凹凸やうねりが存在する。また、掻き取り部41の取付誤差があったり、磨耗により掻き取り部41の寸法が変化したりすることもある。そこで、エアシリンダ34による上下移動の他に、掻き取り部41を剥離シート8の移動方向と垂直に移動させる回転機構46と、掻き取り部41を剥離シート8の移動方向と垂直な面内で移動させる回転機構47とを設け、掻き取り部41の底部を確実に剥離シート8に接触させる。
【0032】
図9は、回転機構46,47の平面図であり、図10は、回転機構46,47の側面図である。回転機構46は、上ブラケット51と、下ブラケット52と、ベアリング53と、シャフト54とを有する。上ブラケット51はアルミフレーム35の下面に固定される。シャフト54は剥離シート8の移動方向に対して直角に、上ブラケット51に固定されている。下ブラケット52には、シャフト54を軸として回転自在なベアリング53が設けられる。下ブラケット52はベアリング53に固定されており、下ブラケット52の先端には回転機構47を介してホルダ43が接続される。
【0033】
剥離シート8に凸部があると、シャフト54を中心軸として掻き取り部41は上方に回転する。一方、剥離シート8に凹部があると、シャフト54を中心軸として掻き取り部41は下方に回転する。いずれの場合も、外部からの制御を要さず、掻き取り部41は剥離シート8の凹凸やうねりに追従し、掻き取り部41の底部と剥離シート8との接触を保つことができる。なお、掻き取り部41は回転して移動するため、掻き取り部41の底部と剥離シート8との接触角度が変化するが、この変化は実用上は問題とならない大きさである。
【0034】
一方、回転機構47は、ベアリング61と、シャフト62とを有する。シャフト62は、剥離シート8の移動方向と平行に、回転機構46の下ブラケット52に固定されている。シャフト62を軸としてベアリング61が回転自在に設けられる。ベアリング61にはホルダプレート44およびホルダ43を介して掻き取り部41が固定される。
【0035】
なお、回転機構46,47には、シリンダ34によりスクレーパユニット36を持ち上げた際に掻き取り部41が剥離シート8に接触しないように、回転範囲を制限するストッパ(不図示)が設けられている。
【0036】
図5に示すように、回転機構47により、掻き取り部41は剥離シート8の移動方向と垂直な面内で移動できるため、剥離シート8の凹凸やうねりに追従し、掻き取り部41の底部と剥離シート8との接触を保つことができる。
【0037】
シリンダ34より掻き取り部41を剥離シート8の移動方向と垂直に移動させる粗調移動制御部を構成する。粗調移動制御部はアクチュエータにより駆動されるものである。これに対し、回転機構(第1の回転機構部)46および回転機構(第2の回転機構部)47は、アクチュエータなしで、剥離シート8の凹凸やうねり等、剥離シート8の表面の形状に応じて掻き取り部41が剥離シート8の表面に接触するよう、掻き取り部41を剥離シート8の移動方向と垂直に移動させる微調移動制御部を構成する。
【0038】
また、図1では、6つのスクレーパユニット36内の掻き取り部41を一体に形成するのではなく、6つの掻き取り部41に分割している。そして、それぞれの掻き取り部41の長手方向は、剥離シート8の移動方向と直交する方向に配置される。そのため、回転機構46,47により6つの掻き取り部41が細かく移動できる。したがって、剥離シート8および掻き取り部41の形状に追従して掻き取り部41は回転移動し、より確実に掻き取り部41を剥離シート8に密着させることができる。これにより、剥離シート8に傷をつけることなく、EVA24aを掻き取ることができる。
【0039】
なお、図7に示すように、隣接する掻き取り部41は前後にずらして設けられ、互いにぶつかることはない。さらに、隣接する掻き取り部41の間に掻き取られない領域が生じないよう、例えば5mm程度、掻き取り部41の端部が前後に重なるように掻き取り部41が配置される。
【0040】
本実施形態では、回転機構46(第1の可動部)と回転機構47(第2の可動部)により可動部を構成する例を示したが、掻き取り部41の形状および剥離シート8に追従して掻き取り部41を移動させるものであればよく、必ずしも回転機構でなくてもよい。
【0041】
図11は、掻き取り部41の拡大図である。図示のように、掻き取り部41の少なくとも剥離シート8と接触する面に1本以上の溝48を設けるのが望ましい。この溝48により、剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取るエッジが増えるため、薄く張り付いたEVA24aを掻き取る機会が多くなり、より確実にEVA24aを除去できる。さらに、掻き取り部41を上下対称に形成することで、掻き取り部41が磨耗した時に上下を入れ替えて使用することができる。上下の両面を使用することで掻き取り部41の交換時期が延びるため、経済的に優れている。
【0042】
掻き取り部41の材質は、耐摩耗性および滑り性に優れた材質が適しており、例えばポリアミド樹脂等の合成樹脂が適している。
【0043】
また、掻き取り部41に荷重を加え、掻き取り部41と剥離シート8とがさらに密着するようにしてもよい。図12〜図14は、荷重部を有するスクレーパユニット36の側面図である。図12は、回転機構47上に重り49aを配置して掻き取り部41に荷重を加える例である。図13は、回転機構46のアルミフレーム35と下ブラケット52との間にスプリング49bを配置し、掻き取り部41に荷重を加える例である。上ブラケット51を下ブラケット52の上方にも形成しておき、上ブラケット51と下ブラケット52との間にスプリング49bを配置してもよい。図14は、エアシリンダ49cを回転機構47上に配置し、掻き取り部41に荷重を加える例である。掻き取り部41が十分に重い場合は、自重により掻き取り部41の底部が剥離シート8に密着するため、重り49a等の荷重部を設けなくてもよい。
【0044】
図15は、図1のラミネート装置100の処理動作の一例を示すフローチャートである。同図は、ラミネート加工を行うのと並行して、剥離シート8に付着したEVA24を掻き取る例である。
【0045】
搬送シート4が移動して、ヒータ盤3上に被ラミネート体20が載置されると、ラミネート加工およびEVA24aの掻き取りを開始する(ステップS11)。このステップS11は、図3のステップS3からS5の処理と並行して行われる。
【0046】
まず、エアシリンダ34が下降し、掻き取り部41を剥離シート8に接触させる(ステップS12)。このとき、掻き取り部41および剥離シート8の形状に追従して、回転機構46,47により掻き取り部41が回転移動し、掻き取り部41の底部は剥離シート8に密着する。次に、ローラチェーン32が剥離シート8の移動方向と平行に往復移動し、掻き取り部41を牽引する。これにより、剥離シート8に付着したEVA24aが掻き取られる(ステップS13)。
【0047】
図16は、ラミネート加工と並行して剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取る様子を示す図である。図示のように、上チャンバ14の下面側ではラミネート加工が行われ、太陽電池モジュールが形成される。これと同時に、上チャンバ14の上面側では剥離シート8に付着したEVA24aが掻き取られる。
【0048】
掻き取り部41を往復させる回数または時間を予め定めておき、その回数または時間だけ往復させる(ステップS14)。この往復回数または時間は、ラミネート加工に要する時間やEVA24aの除去に必要な往復回数、および、剥離シート8の耐久性等を考慮して定める。剥離シート8上で掻き取り部41を一度だけ移動させても、EVA24aを十分には除去できないため、剥離シート8上を掻き取り部41が少なくとも1往復するように設定する。ラミネート加工には、例えば10分程度を要するため、その間に掻き取り部41を1往復以上させる十分な時間を確保できる。
【0049】
予め定めた往復回数または時間が終了すると、エアシリンダ34が上昇し、掻き取り部41は剥離シート8から離れる(ステップS15)。
【0050】
ラミネート加工を行うと、剥離シート8の被ラミネート体20を狭圧していた部分にEVA24が流れ出て付着する。一方、EVAの掻き取りが終了すると、剥離シート8に付着したEVA24aは除去されている。
【0051】
一つの被ラミネート体をラミネート加工している間に、掻き取り部41は少なくとも一往復してEVA24aの掻き取りを行う。掻き取りが終わった段階では、まだラミネート加工は終わっていない可能性が高い。そこで、スクレーパ装置11は、ローラ5bの近くに待避する。
【0052】
ラミネート加工およびEVA24a掻き取りの終了後(ステップS16)、ローラ5bが回転して剥離シート8が移動する(ステップS17)。これにより、剥離シート8のうち、EVA24aが付着した部分は上ケース6の上面に配置される。一方、EVA24aが掻き取られた部分は上ケース6の下側に配置される。剥離シート8が移動するとき、エアシリンダ34により掻き取り部41は上昇して剥離シート8から離れているため、剥離シート8の継ぎ目が掻き取り部41に引っかかることはない。
【0053】
次の被ラミネート体20があれば(ステップS18)、ステップS11に戻り、EVAが掻き取られた部分を用いて新たな被ラミネート体20のラミネート加工と、剥離シート8に付着したEVA24aの掻き取りとが行われる。剥離シート8のうち、EVAが掻き取られた部分を用いてラミネート加工が行われるため、形成される太陽電池等のラミネート体の表面にEVAが転写されることはない。
【0054】
このように、本実施形態では、ラミネート装置100において、剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取るスクレーパ装置11を設ける。スクレーパ装置11の掻き取り部41はラミネート装置100に固定されておらず、ローラチェーン32により牽引されるため、任意の回数、剥離シート8上で掻き取り部41を移動させることができる。そのため、剥離シート8に付着したEVA24aを確実に掻き取ることができる。また、スクレーパ装置11の回転機構46,47により、掻き取り部41および剥離シート8の形状に追従して掻き取り部41の底部を剥離シート8に接触させることができる。さらに、ラミネート加工と並行してEVA24aの掻き取りを行うため、ラミネート加工のスループットを低下させることなく、剥離シート8に付着したEVA24aを効率よく掻き取ることができる。
【0055】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0056】
2 下ケース
3 ヒータ盤
4 搬送シート
6 上ケース
7 ダイヤフラム
8 剥離シート
11 スクレーパ装置
14 上チャンバ
15 下チャンバ
31 角パイプフレーム
32 ローラチェーン
34 エアシリンダ
36 スクレーパユニット
41 掻き取り部
42 インデックスプランジャ
46,47 回転機構
48 溝
49a 重り
49b スプリング
49c エアシリンダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セル等をラミネート加工するラミネート装置およびその制御方法、ラミネート装置用のスクレーパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルの材料として、例えばシリコンが用いられる。シリコンは化学変化を起こしやすく、また物理的衝撃にも弱いので、シリコンをカバーガラスなどでラミネート加工して太陽電池モジュールを形成するのが一般的である。
【0003】
ラミネート加工を行うラミネート装置では、シリコンからなる太陽電池セルとカバーガラスとの間にEVA(エチレンビニルアセテート)等の充填材を充填した被ラミネート体をダイヤフラムで狭圧しつつ加熱し、充填材を融解させて太陽電池モジュールを形成する。この時、充填材が被ラミネート体から流れ出してダイヤフラム等に付着するのを防ぐために、太陽電池モジュールとダイヤフラムとの間に剥離シートが設けられる。
【0004】
特許文献1では、剥離シートに付着した充填材は、剥離シートを移動させる際に、ラミネート装置に固定されたスクレーパにより除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−238196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の手法では、スクレーパにより一度しか充填材を掻き取ることができず、剥離シートに付着した充填材を完全には除去できない。その結果、剥離シート上に残存する充填材が太陽電池モジュールの表面に転写されてしまい、太陽電池モジュールの表面をクリーニングしなければならない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、剥離シートに付着した付着物を除去できるスクレーパ装置、ラミネート装置およびラミネート装置の制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、下面が開口した上ケースと、前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、を備えるラミネート装置用のスクレーパ装置であって、前記剥離シートの表面に接触するように配置され、前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取る掻き取り部と、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に移動させる水平移動制御部と、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる垂直移動制御部と、を備えることを特徴とするスクレーパ装置が提供される。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、下面が開口した上ケースと、前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取るスクレーパ装置と、を備え、前記スクレーパ装置は、前記剥離シートの表面に接触するように配置され、前記付着物を掻き取る掻き取り部と、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に移動させる水平移動制御部と、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる垂直移動制御部と、を有することを特徴とするラミネート装置が提供される。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、下面が開口した上ケースと、前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取るスクレーパ装置と、を備えるラミネート装置の制御方法であって、前記ヒータ盤上に載置された前記被ラミネート体を、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧しながら加熱してラミネート加工を行う第1ステップと、前記剥離シートのうち、前記上ケースの上面に配置された部分の表面に掻き取り部を接触させる第2ステップと、前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に少なくとも1往復させる第3ステップと、前記掻き取り部を前記剥離シートから離す第4ステップと、前記ラミネート加工の終了後に、前記剥離シートのうち前記被ラミネート体を狭圧していた部分を前記上ケースの上面に移動させる第5ステップと、を備え、前記第2乃至第4ステップは、前記第1ステップと並行して行うことを特徴とするラミネート装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、剥離シートに付着した付着物を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るラミネート装置100の平面図。
【図2】ラミネート装置100の側面図。
【図3】ラミネート加工の手順の一例を示すフローチャート。
【図4】被ラミネート体20が太陽電池モジュールの場合の断面図。
【図5】図1のP方向から見たスクレーパユニット36の正面図。
【図6】図1のQ方向から見たスクレーパユニット36の側面図。
【図7】スクレーパユニット36の平面図。
【図8】スクレーパユニット36の各部の斜視図。
【図9】回転機構46,47の平面図。
【図10】回転機構46,47の側面図。
【図11】掻き取り部41の拡大図。
【図12】重り49aを有するスクレーパユニット36の側面図。
【図13】スプリング49bを有するスクレーパユニット36の側面図。
【図14】エアシリンダ49cを有するスクレーパユニット36の側面図。
【図15】図1のラミネート装置100の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図16】ラミネート加工と並行して剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取る様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る、スクレーパ装置、ラミネート装置およびラミネート装置の制御方法の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るラミネート装置100の平面図であり、図2は、ラミネート装置100の側面図である。図1および図2に示すように、ラミネート装置100は、基台1と、下ケース2と、ヒータ盤3と、搬送シート4と、ローラ5a,5bと、上ケース6と、ダイヤフラム7と、剥離シート8と、シリンダ9と、リニアガイド10と、スクレーパ装置11と、回転ブラシ12と、掻き取り受け13とを備えている。
【0015】
下ケース2は基台1上に固定される。ヒータ盤3は下ケース2内の上部に設けられる。ローラ5aは、搬送シート4を下ケース2およびヒータ盤3に沿って、例えば反時計回りに移動させる。搬送シート4には、その右側に設けられる供給コンベア(不図示)から、例えば太陽電池モジュールとなる3組の被ラミネート体20が供給される。搬送シート4は被ラミネート体20を搬送して、ヒータ盤3上の所定の位置に載置する。ヒータ盤3は被ラミネート体20を加熱してラミネート加工を行い、例えば太陽電池モジュールを形成する。形成された太陽電池モジュールは、搬送シート4から、その左側に設けられる搬出コンベア(不図示)に搬出される。
【0016】
一方、上ケース6は下ケース2の上方に設けられる。上ケース6の下面側は開口しており、開口した部分にダイヤフラム7が設けられる。本明細書では、ダイヤフラム7および上ケース6の内壁面により囲まれた領域を上チャンバ14と呼ぶ。上ケース6には排吸気口および真空ポンプ(不図示)が設けられ、上チャンバ14内を真空にすることができる。ダイヤフラム7は膨張し、剥離シート8を介して被ラミネート体20を狭圧できるよう、シリコン系またはブチル系等の弾性および耐熱性がある材料が用いられる。
【0017】
剥離シート8はダイヤフラム7の下方から上チャンバ14の側方および上方を囲む領域内に移動可能に設けられる。剥離シート8は例えば2枚のガラスクロスシートを継いで無端帯状に形成される。そのため、2箇所の継ぎ目は他の部分より厚くなる。また、継ぎ目以外の部分も完全に平坦であるわけではなく、凹凸やうねりが生じる可能性がある。ローラ5bは、剥離シート8を上チャンバ14の外周に沿って、例えば時計回りに移動させる。ローラ5bは電気モータ等の不図示のアクチュエータにより駆動される。
【0018】
シリンダ9の先端は上ケース6に接続され、リニアガイド10に沿って伸縮する。シリンダ9が伸びると上ケース6が上昇して、被ラミネート体20または形成された太陽電池モジュールは開放される。一方、シリンダ9が縮むと上ケース6が下降して、搬送シート4上の被ラミネート体20と剥離シート8とが密着する。本明細書では、ダイヤフラム7および下ケース2の内壁面で囲まれる領域を下チャンバ15と呼ぶ。下ケース2には排吸気口および真空ポンプ(不図示)が設けられ、下チャンバ15内を真空にすることができる。
【0019】
スクレーパ装置11は後述するスクレーパユニット36を有する。スクレーパユニット36は剥離シート8の移動方向およびその反対方向に移動可能とされており、剥離シート8の上面に接触しながら移動することにより、剥離シート8に付着した付着物24aを掻き取る。回転ブラシ12は、掻き取られた付着物24aを剥離シート8上から除去し、掻き取り受け13で回収する。
【0020】
図3は、ラミネート加工の手順の一例を示すフローチャートである。まず、上ケース6を上昇させ、搬送シート4により太陽電池モジュール等の被ラミネート体20をヒータ盤3の上まで搬送する(ステップS1)。次に、上ケース6を下降させ、上ケース6と下ケース2を密閉する(ステップS2)。これにより、上ケース6および下ケース2の内部に、ダイヤフラム7によって仕切られた上チャンバ14および下チャンバ15が形成される。続いて、この上チャンバ14および下チャンバ15を真空にする(ステップS3)。
【0021】
この状態で上チャンバ14に大気を導入すると(ステップS4)、ダイヤフラム7が下方に膨張する。そして、膨張したダイヤフラム7により被ラミネート体20を狭圧しつつ、ヒータ盤3で被ラミネート体20を加熱する(ステップS5)。これにより被ラミネート体20はラミネートされ、太陽電池モジュールが形成される。その後、下チャンバ15に大気を導入し(ステップS6)、上チャンバ14を上昇させた後(ステップS7)、搬送シート4により太陽電池モジュールを搬出する(ステップS8)。
【0022】
図4は、被ラミネート体20が太陽電池モジュールの場合の断面図である。この被ラミネート体20の大きさは、例えば1m×1.5mである。被ラミネート体20は、太陽電池セル21と、電極22と、リード線23と、充填材であるEVA(エチレンビニルアセテート)24と、カバーガラス25とを有する。太陽電池セル21の材料は例えば多結晶シリコンである。リード線23は太陽電池セル21と電極22とを電気的に接続する。太陽電池モジュールが形成されると、太陽電池セル21により生成された電力はリード線23を介して電極22から取り出される。カバーガラス25は太陽電池セル21を保護するために設けられる。
【0023】
被ラミネート体20が加熱されると(図2のステップS5)、EVA24が融解し、被ラミネート体20の各層が接合されて太陽電池モジュールが形成される。このとき、EVA24の一部は被ラミネート体20から流れ出す。被ラミネート体20の上方には剥離シート8が設けられるため、流れ出したEVA24はダイヤフラム7にはほとんど付着しないが、剥離シート8の下面側に付着してしまう(図1の付着物24a)。
【0024】
そこで、本実施形態では、ラミネート装置100にスクレーパ装置11を設け、剥離シート8に付着したEVA24を掻き取るようにする。
【0025】
図1に示すように、スクレーパ装置11は、角パイプフレーム(支持部材)31と、ローラチェーン(水平移動制御部)32と、シリンダ取付用ブラケット33(不図示)と、エアシリンダ34と、アルミフレーム35(不図示)と、スクレーパユニット36と、アルミフレーム取付プレート37(不図示)とを有する。図1は、1本の角パイプフレーム31に2つのエアシリンダ34が取り付けられ、エアシリンダ34に1本のアルミフレーム35が取り付けられる。このアルミフレーム35に合計6つのスクレーパユニット36が取り付けられる例を示している。
【0026】
図1に示すように、角パイプフレーム31は剥離シート8の上方に、その移動方向と直角に設けられる。ローラチェーン32は角パイプフレーム31の両端に設けられて、角パイプフレーム31の両端を支持する。ローラチェーン32は、例えば不図示の電気モータにより剥離シート8の移動方向と同方向および逆方向に、剥離シート8の移動とは非同期に移動する。
【0027】
角パイプフレーム31はローラチェーン32に支持されるため、ローラチェーン32が移動すると、これに牽引されて角パイプフレーム31および角パイプフレーム31に固定されるスクレーパユニット36も移動する。なお、ローラチェーン32の他、ベルトまたはワイヤ等の牽引装置を用いてもよいし、角パイプフレーム31が自走可能であってもよい。
【0028】
図5は、図1のP方向から見たスクレーパユニット36の正面図であり、図6は、図1のQ方向から見たスクレーパユニット36の側面図であり、図7は、スクレーパユニット36の平面図である。また、図8は、スクレーパユニット36の各部の斜視図である。図8では、簡略化のために、部材の一部を省略している。スクレーパユニット36はシリンダ取付用ブラケット33、エアシリンダ34、アルミフレーム取り付けプレート37およびアルミフレーム35を介して、角パイプフレーム31に固定される。スクレーパユニット36は、掻き取り部41と、インデックスプランジャ42と、ホルダ43と、ホルダプレート44と、回転機構46,47とを有する。
【0029】
掻き取り部41は板状であり、例えばインデックスプランジャ42によりホルダ43に取り付けられる。インデックスプランジャ42のツマミを引くことにより、ワンタッチで簡易に掻き取り部41をホルダ43に脱着できる。ホルダ43はホルダプレート44および回転機構46,47を介して、アルミフレーム35に固定される。アルミフレーム35は、アルミフレーム取付用プレート37を介して、エアシリンダ34に固定される。エアシリンダ34はシリンダ取付用ブラケット33を介して角パイプフレーム31に取り付けられる。
【0030】
エアシリンダ34は、剥離シート8の移動方向と垂直、つまり上下方向に移動する。エアシリンダ34が下降すると、掻き取り部41が剥離シート8の表面に接触する。この状態でローラチェーン32に牽引されて掻き取り部41が移動することにより、剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取る。掻き取りが終了すると、エアシリンダ34は上昇し、ラミネート加工が終了していれば掻き取り部41が剥離シート8から離れた状態で、剥離シート8を移動させる。エアシリンダ34により掻き取り部41を上昇させる理由は、剥離シート8の継ぎ目が掻き取り部41に引っかかってしまうのを防ぐためである。
【0031】
剥離シート8は完全に平坦であるわけではなく、表面には凹凸やうねりが存在する。また、掻き取り部41の取付誤差があったり、磨耗により掻き取り部41の寸法が変化したりすることもある。そこで、エアシリンダ34による上下移動の他に、掻き取り部41を剥離シート8の移動方向と垂直に移動させる回転機構46と、掻き取り部41を剥離シート8の移動方向と垂直な面内で移動させる回転機構47とを設け、掻き取り部41の底部を確実に剥離シート8に接触させる。
【0032】
図9は、回転機構46,47の平面図であり、図10は、回転機構46,47の側面図である。回転機構46は、上ブラケット51と、下ブラケット52と、ベアリング53と、シャフト54とを有する。上ブラケット51はアルミフレーム35の下面に固定される。シャフト54は剥離シート8の移動方向に対して直角に、上ブラケット51に固定されている。下ブラケット52には、シャフト54を軸として回転自在なベアリング53が設けられる。下ブラケット52はベアリング53に固定されており、下ブラケット52の先端には回転機構47を介してホルダ43が接続される。
【0033】
剥離シート8に凸部があると、シャフト54を中心軸として掻き取り部41は上方に回転する。一方、剥離シート8に凹部があると、シャフト54を中心軸として掻き取り部41は下方に回転する。いずれの場合も、外部からの制御を要さず、掻き取り部41は剥離シート8の凹凸やうねりに追従し、掻き取り部41の底部と剥離シート8との接触を保つことができる。なお、掻き取り部41は回転して移動するため、掻き取り部41の底部と剥離シート8との接触角度が変化するが、この変化は実用上は問題とならない大きさである。
【0034】
一方、回転機構47は、ベアリング61と、シャフト62とを有する。シャフト62は、剥離シート8の移動方向と平行に、回転機構46の下ブラケット52に固定されている。シャフト62を軸としてベアリング61が回転自在に設けられる。ベアリング61にはホルダプレート44およびホルダ43を介して掻き取り部41が固定される。
【0035】
なお、回転機構46,47には、シリンダ34によりスクレーパユニット36を持ち上げた際に掻き取り部41が剥離シート8に接触しないように、回転範囲を制限するストッパ(不図示)が設けられている。
【0036】
図5に示すように、回転機構47により、掻き取り部41は剥離シート8の移動方向と垂直な面内で移動できるため、剥離シート8の凹凸やうねりに追従し、掻き取り部41の底部と剥離シート8との接触を保つことができる。
【0037】
シリンダ34より掻き取り部41を剥離シート8の移動方向と垂直に移動させる粗調移動制御部を構成する。粗調移動制御部はアクチュエータにより駆動されるものである。これに対し、回転機構(第1の回転機構部)46および回転機構(第2の回転機構部)47は、アクチュエータなしで、剥離シート8の凹凸やうねり等、剥離シート8の表面の形状に応じて掻き取り部41が剥離シート8の表面に接触するよう、掻き取り部41を剥離シート8の移動方向と垂直に移動させる微調移動制御部を構成する。
【0038】
また、図1では、6つのスクレーパユニット36内の掻き取り部41を一体に形成するのではなく、6つの掻き取り部41に分割している。そして、それぞれの掻き取り部41の長手方向は、剥離シート8の移動方向と直交する方向に配置される。そのため、回転機構46,47により6つの掻き取り部41が細かく移動できる。したがって、剥離シート8および掻き取り部41の形状に追従して掻き取り部41は回転移動し、より確実に掻き取り部41を剥離シート8に密着させることができる。これにより、剥離シート8に傷をつけることなく、EVA24aを掻き取ることができる。
【0039】
なお、図7に示すように、隣接する掻き取り部41は前後にずらして設けられ、互いにぶつかることはない。さらに、隣接する掻き取り部41の間に掻き取られない領域が生じないよう、例えば5mm程度、掻き取り部41の端部が前後に重なるように掻き取り部41が配置される。
【0040】
本実施形態では、回転機構46(第1の可動部)と回転機構47(第2の可動部)により可動部を構成する例を示したが、掻き取り部41の形状および剥離シート8に追従して掻き取り部41を移動させるものであればよく、必ずしも回転機構でなくてもよい。
【0041】
図11は、掻き取り部41の拡大図である。図示のように、掻き取り部41の少なくとも剥離シート8と接触する面に1本以上の溝48を設けるのが望ましい。この溝48により、剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取るエッジが増えるため、薄く張り付いたEVA24aを掻き取る機会が多くなり、より確実にEVA24aを除去できる。さらに、掻き取り部41を上下対称に形成することで、掻き取り部41が磨耗した時に上下を入れ替えて使用することができる。上下の両面を使用することで掻き取り部41の交換時期が延びるため、経済的に優れている。
【0042】
掻き取り部41の材質は、耐摩耗性および滑り性に優れた材質が適しており、例えばポリアミド樹脂等の合成樹脂が適している。
【0043】
また、掻き取り部41に荷重を加え、掻き取り部41と剥離シート8とがさらに密着するようにしてもよい。図12〜図14は、荷重部を有するスクレーパユニット36の側面図である。図12は、回転機構47上に重り49aを配置して掻き取り部41に荷重を加える例である。図13は、回転機構46のアルミフレーム35と下ブラケット52との間にスプリング49bを配置し、掻き取り部41に荷重を加える例である。上ブラケット51を下ブラケット52の上方にも形成しておき、上ブラケット51と下ブラケット52との間にスプリング49bを配置してもよい。図14は、エアシリンダ49cを回転機構47上に配置し、掻き取り部41に荷重を加える例である。掻き取り部41が十分に重い場合は、自重により掻き取り部41の底部が剥離シート8に密着するため、重り49a等の荷重部を設けなくてもよい。
【0044】
図15は、図1のラミネート装置100の処理動作の一例を示すフローチャートである。同図は、ラミネート加工を行うのと並行して、剥離シート8に付着したEVA24を掻き取る例である。
【0045】
搬送シート4が移動して、ヒータ盤3上に被ラミネート体20が載置されると、ラミネート加工およびEVA24aの掻き取りを開始する(ステップS11)。このステップS11は、図3のステップS3からS5の処理と並行して行われる。
【0046】
まず、エアシリンダ34が下降し、掻き取り部41を剥離シート8に接触させる(ステップS12)。このとき、掻き取り部41および剥離シート8の形状に追従して、回転機構46,47により掻き取り部41が回転移動し、掻き取り部41の底部は剥離シート8に密着する。次に、ローラチェーン32が剥離シート8の移動方向と平行に往復移動し、掻き取り部41を牽引する。これにより、剥離シート8に付着したEVA24aが掻き取られる(ステップS13)。
【0047】
図16は、ラミネート加工と並行して剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取る様子を示す図である。図示のように、上チャンバ14の下面側ではラミネート加工が行われ、太陽電池モジュールが形成される。これと同時に、上チャンバ14の上面側では剥離シート8に付着したEVA24aが掻き取られる。
【0048】
掻き取り部41を往復させる回数または時間を予め定めておき、その回数または時間だけ往復させる(ステップS14)。この往復回数または時間は、ラミネート加工に要する時間やEVA24aの除去に必要な往復回数、および、剥離シート8の耐久性等を考慮して定める。剥離シート8上で掻き取り部41を一度だけ移動させても、EVA24aを十分には除去できないため、剥離シート8上を掻き取り部41が少なくとも1往復するように設定する。ラミネート加工には、例えば10分程度を要するため、その間に掻き取り部41を1往復以上させる十分な時間を確保できる。
【0049】
予め定めた往復回数または時間が終了すると、エアシリンダ34が上昇し、掻き取り部41は剥離シート8から離れる(ステップS15)。
【0050】
ラミネート加工を行うと、剥離シート8の被ラミネート体20を狭圧していた部分にEVA24が流れ出て付着する。一方、EVAの掻き取りが終了すると、剥離シート8に付着したEVA24aは除去されている。
【0051】
一つの被ラミネート体をラミネート加工している間に、掻き取り部41は少なくとも一往復してEVA24aの掻き取りを行う。掻き取りが終わった段階では、まだラミネート加工は終わっていない可能性が高い。そこで、スクレーパ装置11は、ローラ5bの近くに待避する。
【0052】
ラミネート加工およびEVA24a掻き取りの終了後(ステップS16)、ローラ5bが回転して剥離シート8が移動する(ステップS17)。これにより、剥離シート8のうち、EVA24aが付着した部分は上ケース6の上面に配置される。一方、EVA24aが掻き取られた部分は上ケース6の下側に配置される。剥離シート8が移動するとき、エアシリンダ34により掻き取り部41は上昇して剥離シート8から離れているため、剥離シート8の継ぎ目が掻き取り部41に引っかかることはない。
【0053】
次の被ラミネート体20があれば(ステップS18)、ステップS11に戻り、EVAが掻き取られた部分を用いて新たな被ラミネート体20のラミネート加工と、剥離シート8に付着したEVA24aの掻き取りとが行われる。剥離シート8のうち、EVAが掻き取られた部分を用いてラミネート加工が行われるため、形成される太陽電池等のラミネート体の表面にEVAが転写されることはない。
【0054】
このように、本実施形態では、ラミネート装置100において、剥離シート8に付着したEVA24aを掻き取るスクレーパ装置11を設ける。スクレーパ装置11の掻き取り部41はラミネート装置100に固定されておらず、ローラチェーン32により牽引されるため、任意の回数、剥離シート8上で掻き取り部41を移動させることができる。そのため、剥離シート8に付着したEVA24aを確実に掻き取ることができる。また、スクレーパ装置11の回転機構46,47により、掻き取り部41および剥離シート8の形状に追従して掻き取り部41の底部を剥離シート8に接触させることができる。さらに、ラミネート加工と並行してEVA24aの掻き取りを行うため、ラミネート加工のスループットを低下させることなく、剥離シート8に付着したEVA24aを効率よく掻き取ることができる。
【0055】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0056】
2 下ケース
3 ヒータ盤
4 搬送シート
6 上ケース
7 ダイヤフラム
8 剥離シート
11 スクレーパ装置
14 上チャンバ
15 下チャンバ
31 角パイプフレーム
32 ローラチェーン
34 エアシリンダ
36 スクレーパユニット
41 掻き取り部
42 インデックスプランジャ
46,47 回転機構
48 溝
49a 重り
49b スプリング
49c エアシリンダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面が開口した上ケースと、
前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、
前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、を備えるラミネート装置用のスクレーパ装置であって、
前記剥離シートの表面に接触するように配置され、前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取る掻き取り部と、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に移動させる水平移動制御部と、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる垂直移動制御部と、を備えることを特徴とするスクレーパ装置。
【請求項2】
前記垂直移動制御部は、
前記掻き取り部をアクチュエータにて前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる粗調移動制御部と、
アクチュエータなしで前記剥離シートの表面の形状に応じて前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる微調移動制御部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のスクレーパ装置。
【請求項3】
前記微調移動制御部は、
前記剥離シートの移動方向とは直交する方向で、かつ前記剥離シートの面方向に伸びる回転軸回りに前記掻き取り部を回転させる第1の回転機構部と、
前記剥離シートの移動方向で、かつ前記剥離シートの面方向に伸びる回転軸回りに前記掻き取り部を回転させる第2の回転機構部と、を有し、
前記第1および第2の回転機構部のそれぞれは、前記剥離シートの表面の形状に応じた回転角度で前記掻き取り部を回転させることを特徴とする請求項2に記載のスクレーパ装置。
【請求項4】
前記掻き取り部の長手方向は、前記剥離シートの移動方向とは直交する方向に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項5】
前記剥離シートの移動方向とは直交する方向に沿って、複数の前記掻き取り部が順に配置され、隣接する2つの前記掻き取り部の各一部は、前記剥離シートの移動方向に重なるように配置されることを特徴とする請求項4に記載のスクレーパ装置。
【請求項6】
前記剥離シートの移動方向とは直交する方向に配置され、前記掻き取り部を支持した状態で前記剥離シートの移動方向およびその反対方向に移動可能な支持部材を備え、
前記垂直移動制御部は、前記支持部材を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項7】
前記上ケースの両端面側に設けられ、前記剥離シートの移動方向およびその反対方向に移動可能な前記支持部材の端部を支持するチェーン部材を備えることを特徴とする請求項6に記載のスクレーパ装置。
【請求項8】
前記チェーン部材は、前記剥離シートの移動とは非同期に前記支持部材を移動させることを特徴とする請求項7に記載のスクレーパ装置。
【請求項9】
前記掻き取り部に荷重をかけて、前記掻き取り部を前記剥離シートの上面に接触させる荷重部を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項10】
前記荷重部は、前記掻き取り部を前記剥離シートに押し付ける重り、スプリングまたはエアシリンダであることを特徴とする請求項9に記載のスクレーパ装置。
【請求項11】
前記掻き取り部の材質は合成樹脂であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項12】
前記掻き取り部の少なくとも前記剥離シートと接触する面には、少なくとも1本の溝が形成されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項13】
前記掻き取り部は、インデックスプランジャにより前記微調移動制御部に取り付けられることを特徴とする請求項2または3に記載のスクレーパ装置。
【請求項14】
下面が開口した上ケースと、
前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、
前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、
前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取るスクレーパ装置と、を備え、
前記スクレーパ装置は、
前記剥離シートの表面に接触するように配置され、前記付着物を掻き取る掻き取り部と、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に移動させる水平移動制御部と、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる垂直移動制御部と、を有することを特徴とするラミネート装置。
【請求項15】
下面が開口した上ケースと、
前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、
前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、
前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取るスクレーパ装置と、を備えるラミネート装置の制御方法であって、
前記ヒータ盤上に載置された前記被ラミネート体を、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧しながら加熱してラミネート加工を行う第1ステップと、
前記剥離シートのうち、前記上ケースの上面に配置された部分の表面に掻き取り部を接触させる第2ステップと、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に少なくとも1往復させる第3ステップと、
前記掻き取り部を前記剥離シートから離す第4ステップと、
前記ラミネート加工の終了後に、前記剥離シートのうち前記被ラミネート体を狭圧していた部分を前記上ケースの上面に移動させる第5ステップと、を備え、
前記第2乃至第4ステップは、前記第1ステップと並行して行うことを特徴とするラミネート装置の制御方法。
【請求項1】
下面が開口した上ケースと、
前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、
前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、を備えるラミネート装置用のスクレーパ装置であって、
前記剥離シートの表面に接触するように配置され、前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取る掻き取り部と、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に移動させる水平移動制御部と、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる垂直移動制御部と、を備えることを特徴とするスクレーパ装置。
【請求項2】
前記垂直移動制御部は、
前記掻き取り部をアクチュエータにて前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる粗調移動制御部と、
アクチュエータなしで前記剥離シートの表面の形状に応じて前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる微調移動制御部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のスクレーパ装置。
【請求項3】
前記微調移動制御部は、
前記剥離シートの移動方向とは直交する方向で、かつ前記剥離シートの面方向に伸びる回転軸回りに前記掻き取り部を回転させる第1の回転機構部と、
前記剥離シートの移動方向で、かつ前記剥離シートの面方向に伸びる回転軸回りに前記掻き取り部を回転させる第2の回転機構部と、を有し、
前記第1および第2の回転機構部のそれぞれは、前記剥離シートの表面の形状に応じた回転角度で前記掻き取り部を回転させることを特徴とする請求項2に記載のスクレーパ装置。
【請求項4】
前記掻き取り部の長手方向は、前記剥離シートの移動方向とは直交する方向に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項5】
前記剥離シートの移動方向とは直交する方向に沿って、複数の前記掻き取り部が順に配置され、隣接する2つの前記掻き取り部の各一部は、前記剥離シートの移動方向に重なるように配置されることを特徴とする請求項4に記載のスクレーパ装置。
【請求項6】
前記剥離シートの移動方向とは直交する方向に配置され、前記掻き取り部を支持した状態で前記剥離シートの移動方向およびその反対方向に移動可能な支持部材を備え、
前記垂直移動制御部は、前記支持部材を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項7】
前記上ケースの両端面側に設けられ、前記剥離シートの移動方向およびその反対方向に移動可能な前記支持部材の端部を支持するチェーン部材を備えることを特徴とする請求項6に記載のスクレーパ装置。
【請求項8】
前記チェーン部材は、前記剥離シートの移動とは非同期に前記支持部材を移動させることを特徴とする請求項7に記載のスクレーパ装置。
【請求項9】
前記掻き取り部に荷重をかけて、前記掻き取り部を前記剥離シートの上面に接触させる荷重部を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項10】
前記荷重部は、前記掻き取り部を前記剥離シートに押し付ける重り、スプリングまたはエアシリンダであることを特徴とする請求項9に記載のスクレーパ装置。
【請求項11】
前記掻き取り部の材質は合成樹脂であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項12】
前記掻き取り部の少なくとも前記剥離シートと接触する面には、少なくとも1本の溝が形成されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のスクレーパ装置。
【請求項13】
前記掻き取り部は、インデックスプランジャにより前記微調移動制御部に取り付けられることを特徴とする請求項2または3に記載のスクレーパ装置。
【請求項14】
下面が開口した上ケースと、
前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、
前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、
前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取るスクレーパ装置と、を備え、
前記スクレーパ装置は、
前記剥離シートの表面に接触するように配置され、前記付着物を掻き取る掻き取り部と、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に移動させる水平移動制御部と、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と垂直に移動させる垂直移動制御部と、を有することを特徴とするラミネート装置。
【請求項15】
下面が開口した上ケースと、
前記上ケースの下面側に設けられるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの下方から前記上ケースの側方および上方を囲む領域内に移動可能に配置される剥離シートと、
前記ダイヤフラムの下方の下チャンバ内に設けられ、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧され得る被ラミネート体を加熱してラミネート加工を行うヒータ盤と、
前記被ラミネート体のラミネート加工時に前記ヒータ盤からの熱で前記被ラミネート体から流れ出して前記剥離シートに付着した付着物を掻き取るスクレーパ装置と、を備えるラミネート装置の制御方法であって、
前記ヒータ盤上に載置された前記被ラミネート体を、前記剥離シートを介して前記ダイヤフラムにより狭圧しながら加熱してラミネート加工を行う第1ステップと、
前記剥離シートのうち、前記上ケースの上面に配置された部分の表面に掻き取り部を接触させる第2ステップと、
前記掻き取り部を前記剥離シートの移動方向と平行に少なくとも1往復させる第3ステップと、
前記掻き取り部を前記剥離シートから離す第4ステップと、
前記ラミネート加工の終了後に、前記剥離シートのうち前記被ラミネート体を狭圧していた部分を前記上ケースの上面に移動させる第5ステップと、を備え、
前記第2乃至第4ステップは、前記第1ステップと並行して行うことを特徴とするラミネート装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−804(P2012−804A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136035(P2010−136035)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(595013427)株式会社エヌ・ピー・シー (54)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(595013427)株式会社エヌ・ピー・シー (54)
【Fターム(参考)】
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