説明

スコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物、そのような移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品

本発明は、スコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品に関する。本発明の架橋性組成物は、架橋性ポリマーと、スコーチ防止物質と、移行防止物質との溶融ブレンド反応生成物を含む。スコーチ防止物質は極性ニトロキシドであり、移行防止物質は剥離可能なオルガノクレーである。本発明の架橋性組成物はフリーラジカル開始剤をさらに含む。本発明の架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法は:(1)架橋性ポリマーを選択するステップと;(2)極性ニトロキシドスコーチ防止物質を選択するステップと;(3)剥離可能なオルガノクレーを選択するステップと;(4)スコーチ防止物質及びオルガノクレーを架橋性ポリマー中に溶融ブレンドするステップと;(5)それによってオルガノクレーを少なくとも部分的に剥離させて、1つ又はそれ以上の高アスペクト比粒子にするステップと;(6)それによってスコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物を生成するステップとを含む。本発明により製造された物品は、本発明の架橋性組成物の架橋反応生成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年6月8日に出願され、「スコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物、そのような移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品」(「CROSSLINKABLE COMPOSITIONS HAVING REDUCED SCORCH INHIBITOR MIGRATION, METHOD OF REDUCING SUCH MIGRATION, AND ARTICLES MADE THEREFROM」)と題される米国仮特許出願第60/942,685号明細書(この教示は、本明細書において以下に完全に再現されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する非仮出願である。
【0002】
本発明は、スコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物、そのような移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品に関する。
【背景技術】
【0003】
熱活性化フリーラジカル開始剤、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物を使用して、エラストマー性及び熱可塑性の材料を架橋、すなわち硬化させることは一般に公知である。しかし、このような熱活性化フリーラジカル開始剤の使用によって、早期架橋(premature crosslinking)、すなわちスコーチ(scorch)が、最終架橋ステップの前の配合及び/又は加工中に開始することがある。従来の配合方法、例えば粉砕(milling)、バンバリー(Banbary)、又は押出成形を使用する場合、スコーチが発生するのは、時間−温度の関係によってある条件となり、その結果フリーラジカル開始剤の熱分解が起こり、それによって、配合したポリマー塊の中でゲル粒子を形成し得る架橋反応が開始する場合である。これらのゲル粒子は、配合された材料の加工性及び最終生成物の均一性に悪影響を与えることがある。
【0004】
スコーチを最小限にするための広く受け入れられている方法の1つは、配合及び/又は他の加工ステップが最終硬化ステップの前に首尾良く終了できるように、十分高い活性化温度を有するフリーラジカル開始剤を選択することである。典型的なこの種類の開始剤は、高い10時間半減期温度を有する開始剤である。この方法の欠点は硬化時間が長くなり、そのため処理効率(throughput)が減少することである。より高い硬化温度を使用して長い硬化時間を相殺することができるが、より高いエネルギーコストを招くことになる。より高い硬化温度は、材料の熱安定性に悪影響を与える場合もある。
【0005】
スコーチを最小限にする別の方法は、配合及び/又は加工の温度を下げて、架橋剤のスコーチ安全域を改善することである。しかしながらこの方法は、関与するポリマー及び/又はプロセスに依存して範囲が限定される場合がある。さらに、より低温での硬化には、より長い硬化時間が必要であるので、結果として処理効率が低くなる。より低い温度では材料の粘度が増加することもあり、それによって混合がより困難となる場合があり、ポリマーの凝固点に到達する危険性も増加し得る。
【0006】
スコーチを最小限にするさらに別の方法は、スコーチ防止剤を組成物に混入することである。例えば、英国特許第1,535,039号明細書(特許文献1)には、有機ヒドロペルオキシドとエチレンポリマーとを含むスコーチ抵抗性組成物が記載されている。米国特許第3,751,378号明細書(特許文献2)には、N−ニトロソジフェニルアミン又はN,N’−ジニトロソ−パラ−フェニルアミンをスコーチ遅延剤として使用して、多官能性アクリレート架橋性モノマーに混入することで、長いムーニー(Mooney)スコーチ時間を種々のエラストマー配合物に付与することが記載されている。米国特許第3,202,648号明細書(特許文献3)には、ニトライト類、例えばイソアミルニトライト、tert−デシルニトライトなどのポリエチレン用スコーチ防止剤としての使用が記載されている。米国特許第3,954,907号明細書(特許文献4)には、スコーチの防止としての単量体ビニル化合物の使用が記載されている。米国特許第3,335,124号明細書(特許文献5)には、芳香族アミン、フェノール系化合物、メルカプトチアゾール化合物、ビス(N,N−二置換−チオカルバモイル)スルフィド、ヒドロキノン類、及びジアルキルジチオカルバメート化合物の使用が記載されている。米国特許第4,632,950号明細書(特許文献6)には、二置換ジチオカルバミン酸の2種類の金属塩の混合物であって、その1つの金属塩が銅を主成分とする混合物の使用が記載されている。
【0007】
フリーラジカル、特に過酸化物の開始剤を含有する組成物中に使用される一般に使用されるスコーチ防止剤の1つは、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルであり、4−ヒドロキシ−TEMPO又はH−TEMPOとしても知られている。4−ヒドロキシ−TEMPOを添加することで、溶融加工温度における架橋性ポリマーのフリーラジカル架橋をクエンチすることによって、スコーチが最小限になる。しかし、このニトロキシドスコーチ防止剤は、1つ又はそれ以上の過酸化物開始剤を使用して架橋する多くの一般的なポリマーとは非相溶性となる傾向にある。これらのポリマーとしては、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ビニルアセテート含有率が約10重量パーセント未満であるエチレンビニルアセテート(EVA)、アクリレート含有率が約10重量パーセント未満である不飽和アクリレート、例えば、メチル、エチル、又はブチルアクリレートなどが挙げられる。この非相溶性の結果として、4−ヒドロキシ−TEMPOは、ペレット化又はシート化された生成物の表面に移行する傾向にあり、取扱上の問題、例えばダスティング、分離、粘着性などが生じ得る。さらに、このような生成物は、そのスコーチ防止効率を経時的に失うことがあり、そのためその貯蔵寿命が低下し得る。この移行の問題は、ニトロキシドをポリマーとブレンドして濃縮物又はマスターバッチを形成する場合に通常顕著になり、完全に配合された生成物中のニトロキシド濃度も制限され得る。
【0008】
フィラーは、拡散物質のトーチュアシティ(tortuacity)を増加させることによって、添加剤の移行を妨害できることが一般に知られている。例えば、非晶質シリカは添加剤の移行を最大33%減少させることができる。しかし、添加剤の移行のより高いレベルの減少が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】英国特許第1,535,039号明細書
【特許文献2】米国特許第3,751,378号明細書
【特許文献3】米国特許第3,202,648号明細書
【特許文献4】米国特許第3,954,907号明細書
【特許文献5】米国特許第3,335,124号明細書
【特許文献6】米国特許第4,632,950号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
スコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物の開発における研究努力にも関わらず、スコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物が依然として必要とされており、さらに、スコーチ防止剤の移行を減少させる方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、スコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物、架橋性組成物におけるスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品に関する。本発明の架橋性組成物は、架橋性ポリマーと、スコーチ防止物質と、移行防止物質(migration inhibiting agent)との溶融ブレンド反応生成物(melt blending reaction product)を含む。スコーチ防止物質は極性ニトロキシドであり、移行防止物質は剥離可能なオルガノクレー(organo clay)である。本発明の架橋性組成物はフリーラジカル開始剤をさらに含むことができる。本発明の架橋性組成物中のスコーチ防止剤移行を減少させる方法は:(1)架橋性ポリマーを選択するステップと;(2)極性ニトロキシドスコーチ防止物質を選択するステップと;(3)剥離可能なオルガノクレーを選択するステップと;(4)スコーチ防止物質及びオルガノクレーを架橋性ポリマー中に(into)溶融ブレンドするステップと;(5)それによって、オルガノクレーを少なくとも部分的に剥離させて、1つ又はそれ以上の高アスペクト比粒子にするステップと;(6)それによってスコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物を生成するステップとを含む。本発明により製造された物品は、本発明の架橋性組成物の架橋反応生成物を含む。
【0012】
一実施形態では、本発明は、架橋性ポリマーと、極性ニトロキシドスコーチ防止物質と、剥離可能なオルガノクレーと、場合によりフリーラジカル開始剤との溶融ブレンド反応生成物を含む、架橋性組成物を提供する。
【0013】
別の一実施形態では、本発明は、架橋性組成物の生成方法であって:(1)架橋性ポリマーを選択するステップと;(2)極性ニトロキシドスコーチ防止物質を選択するステップと;(3)剥離可能なオルガノクレーを選択するステップと;(4)場合によりフリーラジカル開始剤を選択するステップと;(5)極性スコーチ防止物質と、オルガノクレーと、場合によりフリーラジカル開始剤とを架橋性ポリマー中に溶融ブレンドするステップと;(6)それによってオルガノクレーを少なくとも部分的に剥離させて、1つ又はそれ以上の高アスペクト比粒子にするステップと;(7)それによってスコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物を生成するステップとを含む方法をさらに提供する。
【0014】
別の一実施形態では、本発明は、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法であって:(1)架橋性ポリマーを選択するステップと;(2)極性ニトロキシドスコーチ防止物質を選択するステップと;(3)剥離可能なオルガノクレーを選択するステップと;(4)場合によりフリーラジカル開始剤を選択するステップと;(5)極性スコーチ防止物質と、オルガノクレーと、場合によりフリーラジカル開始剤とを架橋性ポリマー中に溶融ブレンドするステップと;(6)それによってオルガノクレーを少なくとも部分的に剥離させて、1つ又はそれ以上の高アスペクト比粒子にするステップと;(7)それによってスコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物を生成するステップとを含む方法をさらに提供する。
【0015】
別の一実施形態では、本発明は、本発明の架橋性組成物の架橋反応生成物を含む物品をさらに提供する。
【0016】
別の一実施形態では、本発明は、架橋性ポリマーが、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、超低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリブタジエン、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロエラストマー、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0017】
別の一実施形態では、本発明は、フリーラジカル開始剤が過酸化物であることを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0018】
別の一実施形態では、本発明は、過酸化物が、ジアルキルペルオキシド類、ジアシルペルオキシド類、及びパーケタール類(perketals)からなる群より選択される有機過酸化物であることを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0019】
別の一実施形態では、本発明は、極性ニトロキシドスコーチ防止物質が、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)、4−オキソ−2,2,6,6,テトラメチルピペルジン−N−オキシル(4-oxo-2,2,6,6,tetramethylpiperdine-N-oxyl)(4−オキソ−Tempo)、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0020】
別の一実施形態では、本発明は、オルガノクレーが少なくとも2つの脂肪酸置換を有することを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0021】
別の一実施形態では、本発明は、架橋性組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして60〜98重量パーセントの架橋性ポリマーを含むことを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0022】
別の一実施形態では、本発明は、架橋性組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして1〜10重量パーセントの極性ニトロキシドスコーチ防止物質を含むことを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0023】
別の一実施形態では、本発明は、架橋性組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして1〜10重量パーセントのオルガノクレーを含むことを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0024】
別の一実施形態では、本発明は、架橋性組成物が、架橋性組成物の重量を基準にして60〜98重量パーセントの架橋性ポリマー、場合により0〜20重量パーセントのフリーラジカル開始剤、1〜10重量パーセントの極性スコーチ防止物質、及び1〜10重量パーセントのオルガノクレーを含むことを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0025】
別の一実施形態では、本発明は、オルガノクレーが1つ又はそれ以上の高アスペクト比のオルガノクレー粒子を含むことを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0026】
別の一実施形態では、本発明は、架橋性組成物が、他のポリマー、及び/又は添加剤、例えばフィラー、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、プロセス油、過酸化物などとブレンドされるマスターバッチであることを除けば、先行する実施形態のいずれかによる、架橋性組成物、架橋性組成物の生成方法、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品を提供する。
【0027】
本発明を説明する目的で、代表的な形態で図面を示しているが、本発明が、図示される厳密な構成及び手段に限定されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】スコーチ防止剤の移行と、使用されるクレーの種類及び濃度との間の関係を示す第1のグラフである。
【図2】スコーチ防止剤の移行と、使用されるクレーの種類及び濃度との間の関係を示す第1のグラフである。
【図3】5重量パーセントの剥離したクロイサイト(Cloisite)(登録商標)15a、5重量パーセントのH−TEMPO、及び90重量パーセントのノーデル(Nordel)(登録商標)3722を含む本発明の架橋性組成物の透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】2.5重量パーセントの剥離したクロイサイト(登録商標)15a、5重量パーセントのH−TEMPO、及び92.5重量パーセントのノーデル(登録商標)3722を含む本発明の架橋性組成物の透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、スコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法、及びそれより製造された物品に関する。本発明の架橋性組成物は、架橋性ポリマーと、スコーチ防止物質と、移行防止物質との溶融ブレンド反応生成物を含む。スコーチ防止物質は極性であり、移行防止物質は剥離可能なオルガノクレーである。本発明の架橋性組成物はフリーラジカル開始剤をさらに含むことができる。本発明の架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法は:(1)架橋性ポリマーを選択するステップと;(2)極性ニトロキシドスコーチ防止物質を選択するステップと;(3)剥離可能なオルガノクレーを選択するステップと;(4)スコーチ防止物質及びオルガノクレーを架橋性ポリマー中に溶融ブレンドするステップと;(5)それによって、オルガノクレーを少なくとも部分的に剥離させて、高アスペクト比粒子にするステップと;(6)それによってスコーチ防止剤の移行が減少した架橋性組成物を生成するステップとを含む。本発明による物品は、本発明の架橋性組成物の架橋反応生成物を含む。
【0030】
本発明の架橋性ポリマーは、例えば炭化水素系ポリマー(hydrocarbon-based polymer)である。代表的な炭化水素系ポリマーとしては、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/α−オレフィンコポリマー、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、エチレン/スチレンインターポリマー、エチレン/不飽和エステルコポリマー、ハロゲン化ポリエチレン、プロピレンコポリマー、天然ゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレン/ジエンコポリマー、及びニトリルゴム、並びにそれらのブレンドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、架橋性ポリマーはオレフィン系ポリマー(olefin-based polymer)である。架橋性ポリマーは、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、超低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリブタジエン、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロエラストマー、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0031】
好適なエチレンポリマーに関して、架橋性ポリマーは一般に:(1)高度分岐(highly branched);(2)不均一線状(heterogeneous linear);(3)均一分岐線状(homogeneously branched linear);及び(4)均一分岐で実質的に線状(homogeneously branched substantially linear)、の4つの主要な部類に分類されるに入る。これらのポリマーは、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン又はバナジウム系シングルサイト触媒、あるいは幾何拘束シングルサイト触媒(constrained geometry single-site catalysts)を使用して調製することができる。
【0032】
高度分岐エチレンポリマーとしては低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。これらのポリマーはフリーラジカル開始剤を使用して高温及び高圧において調製することができる。あるいは、これらは、配位触媒(coordination catalyst)を使用して高温及び比較的低圧において調製することができる。これらのポリマーは0.910〜0.940g/cmの範囲内の密度を有する。
【0033】
不均一線状エチレンポリマーとしては、線状低密度(linear low density)ポリエチレン(LLDPE)、超低密度(ultra-low density)ポリエチレン(ULDPE)、極低密度(very low density)ポリエチレン(VLDPE)、及び高密度(high density)ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。線状低密度エチレンポリマーは、0.850〜0.940g/cmの範囲内の密度、及び0.01〜100g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有する。好ましくは、メルトインデックス(I)は0.1〜50g/10分の間である。また、好ましくは、LLDPEは、エチレンと、3〜18個の炭素原子、より好ましくは3〜8個の炭素原子を有する1つ又はそれ以上の他のα−オレフィンとのインターポリマーである。好ましいコモノマーとしては、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
超低密度ポリエチレン及び極低密度ポリエチレンは交換可能であることが公知である。これらのポリマーは0.870〜0.910g/cmの範囲内の密度を有する。高密度エチレンポリマーは、一般に、0.941〜0.965g/cmの範囲内の密度を有するホモポリマーである。
【0035】
均一分岐線状エチレンポリマーとしては、均一LLDPEが挙げられる。均一に分岐した(uniformly branched)/均一な(homogeneous)ポリマーは、コモノマーが所与のインターポリマー分子中にランダムに分布し、インターポリマー分子が、そのインターポリマー中で類似したエチレン/コモノマー比を有するポリマーである。
【0036】
均一分岐で実質的に線状のエチレンポリマーとしては、(a)C〜C20オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、及び4−メチル−1−ペンテンのホモポリマー、(b)エチレンと、少なくとも1つのC〜C20α−オレフィン、C〜C20アセチレン系不飽和モノマー、C〜C18ジオレフィン、又はそれらのモノマーの組み合わせとのインターポリマー、並びに(c)エチレンと、C〜C20α−オレフィン、ジオレフィン、又はアセチレン系不飽和モノマーの少なくとも1つと、他の不飽和モノマーとのインターポリマーが挙げられる。これらのポリマーは、一般に0.850〜0.970g/cmの範囲内の密度を有する。好ましくは、密度は0.850〜0.955g/cmの範囲内、より好ましくは0.850〜0.920g/cmの範囲内である。
【0037】
代表的なエチレン/スチレンインターポリマーとしては、オレフィンモノマー(すなわち、エチレン、プロピレン、又はα−オレフィンモノマー)と、ビニリデン芳香族モノマー、ヒンダード(hindered)脂肪族ビニリデンモノマー、又は脂環式ビニリデンモノマーとの重合によって調製された実質的にランダムなインターポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適なオレフィンモノマーは、2〜20個、好ましくは2〜12個、より好ましくは2〜8個の炭素原子を含有する。好ましいこのようなモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンが挙げられる。最も好ましいものは、エチレン、及びエチレンとプロピレン又はC4〜8α−オレフィンとの組み合わせである。場合により、エチレン/スチレンインターポリマー重合成分は、エチレン系不飽和モノマー、例えば歪んだ環状オレフィン(strained ring olefins)を含むこともできる。歪んだ環状オレフィンの例としては、ノルボルネン、並びにC1〜10アルキル置換又はC6〜10アリール置換ノルボルネンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明において有用な代表的なエチレン/不飽和エステルコポリマーは従来の高圧技術によって調製することができる。不飽和エステルは、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、又はビニルカルボキシレートであってよい。このアルキル基は1〜8個の炭素原子を有することができ、好ましくは1〜4個の炭素原子を有することができる。上記カルボキシレート基は2〜8個の炭素原子を有することができ、好ましくは2〜5個の炭素原子を有することができる。コポリマーのエステルコモノマーに起因する比率は、コポリマーの重量を基準にして5〜50重量パーセントの範囲内であってよく、好ましくは15〜40重量パーセントの範囲内である。アクリレート及びメタクリレートの例は、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートである。ビニルカルボキシレートの例は、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、及びビニルブタノエートである。エチレン/不飽和エステルコポリマーのメルトインデックスは0.5〜50g/10分の範囲内であってよい。
【0039】
本発明において有用な代表的なハロゲン化エチレンポリマーとしては、フッ素化、塩素化、及び臭素化オレフィンポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ベースオレフィンポリマーは、2〜18個の炭素原子を有するオレフィンのホモポリマー又はインターポリマーであってよい。好ましくは、このオレフィンポリマーは、エチレンと、プロピレン又は4〜8個の炭素原子を有するα−オレフィンモノマーとのインターポリマーである。好ましいα−オレフィンコモノマーとしては、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンが挙げられるが、これらに限定されるものではない(are note limited to)。好ましくは、ハロゲン化オレフィンポリマーは塩素化ポリエチレンである。
【0040】
本発明において有用なプロピレンポリマーの例としては、プロピレンホモポリマー、及びプロピレンとエチレン又は別の不飽和コモノマーとのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。コポリマーはさらに、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。典型的には、ポリプロピレンコポリマーは、コポリマーの重量を基準にして、プロピレンから誘導される単位を少なくとも約60重量パーセントの量で含む。好ましくは、プロピレンモノマーは、コポリマーの少なくとも約70重量パーセントであり、より好ましくは少なくとも約80重量パーセントである。
【0041】
本発明に適した天然ゴムとしては、イソプレンの高分子量ポリマーが挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましくは、天然ゴムは数平均重合度が約5000であり広い分子量分布を有する。
【0042】
有用なスチレン/ブタジエンゴムとしては、スチレンとブタジエンとのランダムコポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。典型的には、これらのゴムはフリーラジカル重合によって生成される。本発明のスチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマーは、例えば相分離系(phase-separated system)であってよい。本発明において有用なスチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマーは、例えばスチレン/ブタジエン/スチレンコポリマーの水素化により調製することができる。
【0043】
本発明において有用なポリブタジエンゴムは、好ましくは1,4−ブタジエンのホモポリマーである。好ましくは、本発明において有用なブチルゴムは、イソブチレンとイソプレンとのコポリマーである。イソプレンは、典型的にはコポリマーの重量を基準にして1.0〜3.0重量パーセントの範囲内の量で使用される。
【0044】
本発明の場合、ポリクロロプレンゴムは、一般に2−クロロ−1,3−ブタジエンのポリマーである。好ましくは、このゴムはエマルジョン重合によって生成される。さらに、この重合は、ポリマー中に架橋を組み込むために硫黄の存在下で行うことができる。
【0045】
好ましくは、本発明において有用なニトリルゴムは、ブタジエンとアクリロニトリルとのランダムコポリマーである。
【0046】
他の有用な架橋性ポリマーとしては、シリコーンゴム及びフルオロカーボンゴムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。シリコーンゴムとしては、−Si−O−Si−O−の形態のシロキサン主鎖(backbone)を有するゴムが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明において有用なフルオロカーボンゴムとしては、フリーラジカル架橋が可能な硬化部位モノマーを有する、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、及びテトラフルオロエチレンのコポリマー又はターポリマーが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0047】
架橋性ポリマーは、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、超低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリブタジエン、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロエラストマー、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
【0048】
本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして99重量パーセント未満の架橋性ポリマーを含む。99重量パーセント未満のすべての個別の値及び部分的範囲が本発明に含まれ本明細書において開示され、例えば本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして60〜98重量パーセントの架橋性ポリマーを含むことができ、又は別の場合には、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして80〜98重量パーセントの架橋性ポリマーを含むことができる。
【0049】
本発明において有用なスコーチ防止剤は、例えば極性ニトロキシドスコーチ防止物質である。代表的な極性ニトロキシドスコーチ防止剤としては、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)、4−オキソ−2,2,6,6,テトラメチルピペルジン−N−オキシル(4−オキソ−Tempo)、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の架橋性組成は、例えば、架橋性組成物の重量を基準にして0.5〜10重量パーセントのスコーチ防止剤を含むことができる。0.5〜10重量パーセントのすべての個別の値及び部分的範囲が本発明に含まれ本明細書において開示され、例えば、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして0.5〜7重量パーセントのスコーチ防止剤を含むことができ、又は別の場合には、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして0.5〜5重量パーセントのスコーチ防止剤を含むことができ、又は別の場合には、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして2〜5重量パーセントのスコーチ防止剤を含むことができる。
【0050】
移行防止物質(migration inhibiting agent)は例えばオルガノクレーであってよい。オルガノクレーは、例えば、粘土鉱物、一般にスメクタイト族、例えばベントナイト、モンモリロナイト、ヘトライト(hetorite)、サポナイトなどの粘土鉱物から誘導されるオルガノフィリック(orgnophillic)陽イオン改質クレーであって、天然粘土鉱物中に存在する無機の交換可能な陽イオン、一般にアルカイ(alkai)金属又はアルカリ土類金属陽イオンを、陽イオン(cat-ion)交換されたクレー表面を疎水性にするのに十分な炭素原子を有する少なくとも1つの炭化水素基をそれぞれ含む有機陽イオンによって置換することによって誘導される改質クレーであってよい。オルガノクレー粒子は、例えば、厚さが2nm未満、好ましくは1nm未満であり、直径が10〜1000nmである積み重ねられた小板で構成されるサンドイッチ構造を有する結晶性物質であってよい。小板間の間隔は、例えば1nm未満であってよい。オルガノクレー成分は、剥離することができ、すなわちオルガノクレー粒子は、少なくとも部分的に又は完全に分離(exfoliated)又は層間剥離(delaminated)して、ポリマーマトリックス中、すなわち架橋性ポリマー中に分散する。剥離又は層間剥離した小板は、互いに10〜500ナノメートルの範囲内の距離で離れることができる。剥離又は層間剥離した小板は高アスペクト比粒子となることができ、すなわち剥離又は層間剥離した小板は10:1以上の範囲内の表面積/厚さの比を有し、又は別の場合には、剥離又は層間剥離した小板は10:1〜20:1以上の範囲内の表面積/厚さの比を有する。本発明の架橋性組成物は、例えば、架橋性組成物の重量を基準にして0.5〜10重量パーセントのオルガノクレーを含むことができる。0.5〜10重量パーセントのすべての個別の値及び部分的範囲が本発明に含まれ本明細書において開示され、例えば、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして0.5〜7重量パーセントのオルガノクレーを含むことができ、又は別の場合には、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして0.5〜5重量パーセントのオルガノクレーを含むことができ、又は別の場合には、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして2〜5重量パーセントのオルガノクレーを含むことができる。このようなオルガノクレーは、商品名クロイサイト15aとして米国テキサス州のサザン・クレー・プロダクツ・インコーポレイテッド(Southern Clay Products Inc.)より市販されている。
【0051】
本発明の実施に使用されるフリーラジカル開始剤としては、比較的不安定で容易に破壊され少なくとも2つのラジカルとなる、あらゆる熱活性化化合物が挙げられる。代表的なこの種類の化合物としては、過酸化物、特に有機過酸化物、及びアゾ開始剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋剤として使用される代表的なフリーラジカル開始剤としては、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、及びジペルオキシケタール開始剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
ジアルキルペルオキシドのグループ中、代表的な開始剤としては、ジクミルペルオキシド;ジ−tert−ブチルペルオキシド;tert−ブチルクミルペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−アミルペルオキシ)−ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3;2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−アミルペルオキシ)ヘキシン−3;α,α−ジ[(tert−ブチルペルオキシ)−イソプロピル]−ベンゼン;ジ−tert−アミルペルオキシド;1,3,5−トリ−[(tert−ブチルペルオキシ)−イソプロピル]ベンゼン;1,3−ジメチル−3−(tert−ブチルペルオキシ)ブタノール;1,3−ジメチル−3−(tert−アミルペルオキシ)ブタノール;及びこれらの開始剤の2種類以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
ジペルオキシケタール開始剤のグループ中、代表的な開始剤としては、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;n−ブチル4,4−ジ(tert−アミルペルオキシ)バレレート;エチル3,3−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ブチレート;2,2−ジ(tert−アミルペルオキシ)プロパン;3,6,6,9,9−ペンタメチル−3−エトキシカルボニルメチル−1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)−バレレート;エチル−3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)−ブチレート;及びこれらの開始剤の2種類以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
ジアシルペルオキシド開始剤のグループ中、代表的な開始剤としてはジアシペルオキシド(diacyperoxide)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0055】
代表的なアゾ開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2−アセトキシプロパン)が挙げられるが、これに限定されるものではない。他の好適なアゾ開始剤としては、米国特許第3,862,107号明細書及び第4,129,531号明細書に記載のものが挙げられる。2種類以上のフリーラジカル開始剤の混合物を、本発明の範囲内の開始剤として共に使用することもできる。さらに、フリーラジカルは、剪断エネルギー、熱、又は放射線によって形成することができる。
【0056】
本発明の架橋性組成物は、例えば、架橋性組成物重量を基準にして0.1〜20重量パーセントのフリーラジカル開始剤を含むことができる。0.1〜20重量パーセントのすべての個別の値及び部分的範囲が本発明に含まれ本明細書において開示され、例えば、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして0.5〜10重量パーセントのフリーラジカル開始剤を含むことができ;又は別の場合には、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして0.5〜5重量パーセントのフリーラジカル開始剤を含むことができ;又は別の場合には、本発明の架橋性組成物は、架橋性組成物重量を基準にして0.5〜2重量パーセントのフリーラジカル開始剤を含むことができる。
【0057】
さらに、本明細書で上述した2種類以上の架橋性ポリマーのブレンドを使用することができる。本発明の架橋性組成物は、当業者に公知の種々の他の添加剤、例えば、限定するものではないが、フィラー、例えばカーボンブラック、二酸化チタン、及びアルカリ土類金属炭酸塩、並びにモノマー助剤、例えばトリアリルシアヌレート、アリルジグリコールカーボネート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパン、ジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、及び種々のアリル系化合物をさらに含有することができる。メタクリレート及びアクリレート化合物を、前述の種々の架橋性ポリマーに別に加えることもできる。本発明の架橋性組成物は、従来の添加剤、例えば酸化防止剤、安定剤、可塑剤、プロセス油などを含有することもできる。
【0058】
スコーチ防止剤、移行防止物質、及び場合によりフリーラジカル開始剤は、ポリマーマトリックス中、すなわち架橋性ポリマー中で、従来の配合手段、例えば、限定するものではないが、吹き付け、浸漬、及び溶融配合を使用することによって混合される。スコーチ防止剤、移行防止物質、及び場合によりフリーラジカル開始剤は、例えば、ポリマーマトリックス中、すなわち架橋性ポリマー中で、溶融配合によって混合される。スコーチ防止剤は、架橋性ポリマー中に直接ブレンドすることもできるし、1つ又はそれ以上の他の成分、すなわち移行防止物質又はフリーラジカル開始剤と配合し、続いて架橋性ポリマーマトリックス中にブレンドすることもできる。好ましい一実施形態では、スコーチ防止剤、移行防止物質、及び場合によりフリーラジカル開始剤を架橋性ポリマーと配合してマスターバッチを形成し、次にこのマスターバッチを残りのポリマーと溶融ブレンドして、均一な組成物が形成される。溶融配合方法は、連続的であってもバッチ式であってもよい。
【0059】
溶融ブレンドプロセスでは、スコーチ防止剤及び移行防止物質の、ポリマーマトリックス中、すなわち架橋性ポリマー中への溶融ブレンド及び分散は、あらゆる従来方法によって行うことができる。例えば、スコーチ防止剤及び移行防止物質の、ポリマーマトリックス中への溶融ブレンド及び分散は、押出機、例えば、一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機、バーベンダー(Barbender)ミキサー、バンバリーミキサーなどによって行うことができる。この溶融ブレンドプロセスは、少なくとも5秒の範囲内の滞留時間(residence time)を有することができ、例えば、溶融ブレンドプロセスは1分〜20分の範囲内の滞留時間を有することができ、又は別の場合には、溶融ブレンドプロセスは4〜20分の範囲内の滞留時間を有することができる。
【0060】
別の溶融ブレンドプロセスでは、スコーチ防止剤、移行防止物質、及び場合によりフリーラジカル開始剤の、ポリマーマトリックス中、すなわち架橋性ポリマー中への溶融ブレンド及び分散を、あらゆる従来方法によって行うことができる。例えば、スコーチ防止剤、移行防止物質、及び場合によりフリーラジカル開始剤の、ポリマーマトリックス中への溶融ブレンド及び分散は、押出機、例えば、一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機、バーベンダーミキサー、バンバリーミキサーなどによって行うことができる。この溶融ブレンドプロセスは、少なくとも5秒の範囲内の滞留時間を有することができ、例えば、溶融ブレンドプロセスは1分〜20分の範囲内の滞留時間を有することができ、又は別の場合には、溶融ブレンドプロセスは4〜20分の範囲内の滞留時間を有することができる。
【0061】
本発明による架橋性組成物は、種々の異なる用途に使用することができる。代表的な用途としては、ワイヤーケーブル外被、靴の部品、ホース及びチューブ、ベルト、並びに床張り材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。種々の従来方法を使用して、本発明の架橋性組成物を異なる物品に変形することができる。このような方法としては、押出成形、成形、スロットキャスティング、フィルム押出などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0062】
以下の実施例によって本発明を説明するが、これらの実施例は本発明の範囲の限定を意図したものではない。本発明の実施例は、ニトロキシドスコーチ防止剤、例えばH−TEMPO及びそのアミン前駆体を架橋性ポリマー組成物中で使用してオルガノクレーを剥離させることで、スコーチ防止剤の架橋性ポリマーからの移行が減少し、架橋性組成物の機械的性質が改善されることを示す。
【0063】
配合成分は以下のものを含む:
【0064】
ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)より市販されるノーデル(商標)3722は、70.5重量パーセントのエチレン(ASTM−D 3900)、29重量パーセントのプロピレン(ASTM−D 3900)、及び0.5重量パーセントのエチリデンノルブロネン(ethylidenenorbronene)(ASTM−D 6047)を含む半結晶質ポリマー組成物であり、密度は約0.87g/cm(ASTM−D 297)である。
【0065】
ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより市販されるノーデル(商標)4640は、55重量パーセントのエチレン(ASTM−D 3900)、40重量パーセントのプロピレン(ASTM−D 3900)、及び5.0重量パーセントのエチリデンノルブロネン(ethylidenenorbronene)(ASTM−D 6047)を含む半非晶質エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)であり、密度は約0.86g/cm(ASTM−D 297)である。
【0066】
H−TEMPOは4_ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルであり、CAS番号2226−96−2であり、英国のAHマークス・アンド・カンパニー・リミテッド(AH Marks and Company Limited)より市販されている。
【0067】
クロイサイト(登録商標)15aは、アルキル第4級ベントナイトであり、CAS番号68953−58−2であり、テキサス州のサザン・クレー・プロダクツ・インコーポレイテッドより市販されている。
【0068】
クロイサイト(登録商標)30bは、アルキル第4級アンモニウムベントナイトであり、CAS番号341537−63−1であり、テキサス州のサザン・クレー・プロダクツ・インコーポレイテッドより市販されている。
【0069】
クロイサイト(登録商標)NAは、水和アルミニウムシリケート、モンモリロナイトであり、CAS番号1318−93−0であり、テキサス州のサザン・クレー・プロダクツ・インコーポレイテッドより市販されている。
【0070】
[実施例1]
実施例1を以下の手順により調製した。実施例1の処方を表Iに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。実施例1のスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図1に示している。
【0071】
[実施例2]
実施例2を以下の手順により調製した。実施例2の処方を表Iに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。実施例2のスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図1に示している。
【0072】
[実施例3]
実施例3を以下の手順により調製した。実施例3の処方を表Iに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。実施例3のスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図1に示している。
【0073】
(比較例A)
比較例Aを以下の手順により調製した。比較例Aの処方を表Iに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。比較例Aのスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図1に示している。
【0074】
(比較例B)
比較例Bを以下の手順により調製した。比較例Bの処方を表Iに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。比較例Bのスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図1に示している。
【0075】
(比較例C)
比較例Cを以下の手順により調製した。比較例Cの処方を表Iに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。比較例Cのスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図1に示している。
【0076】
[実施例4]
実施例4を以下の手順により調製した。実施例4の処方を表2に示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。実施例4のスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図2に示している。
【0077】
[実施例5]
実施例5を以下の手順により調製した。実施例5の処方を表IIに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。実施例5のスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図2に示している。
【0078】
[実施例6]
実施例6を以下の手順により調製した。実施例6の処方を表IIに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。実施例6のスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図2に示している。
【0079】
(比較例D)
比較例Dを以下の手順により調製した。比較例Dの処方を表IIに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。比較例Dのスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図2に示している。
【0080】
(比較例E)
比較例Eを以下の手順により調製した。比較例Eの処方を表IIに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。比較例Eのスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図2に示している。
【0081】
(比較例F)
比較例Fを以下の手順により調製した。比較例Fの処方を表IIに示す。架橋性ポリマーのペレットをバーベンダーミキサー中に投入し、溶融するまで20〜50rpm及び80〜120℃の範囲内の初期温度で混合した。スコーチ防止剤及び移行防止剤を加え、同じ温度及び速度でさらに混合した。比較例Fのスコーチ防止剤の移行を測定し、結果を図2に示している。
【0082】
(試験方法)
試験方法は以下のものを含む:
【0083】
スコーチ防止剤の移行を以下の手順により測定した。寸法が89mm×44mm×4mm、表面積が89cm、重量が約13gのプラークを作成した。次にプラーク表面をHPLCグレードの水又はアセトニトリル(ACN)で洗浄する。HPLCを使用してTEMPO化合物の形成量を測定する。このプラークサンプルを空の200ml結晶化皿(crystallization dish)中に入れる。この200ml結晶化皿を約70ml HPLCグレードの水又はACNで満たす。プラーク全体をこの溶媒中に浸漬することによって、プラークを洗浄する。溶液を100mlメスフラスコに入れる。追加の溶媒を加えて、溶液の体積を増加させ、100mlにする。この溶液に対するHPLCを、適切なTEMPO方法、例えばTEMPO−W.mを使用して行って、移行した量を求める。HPLC分析の条件を以下に示す。
【表1】

【0084】
スコーチは、以下の手順により測定した。最初に樹脂を実験室規模(45グラム)のバーベンダーミキサーに投入し、次に他の添加剤、例えば過酸化物を加え、35rpm、90℃において5分間混合する。次に混合物を取り出し、シートにプレス加工した後、冷却する。前ステップで作製したシートからサンプルを切り取り、レオメーター、例えば、アルファ・テクノロジーズ(Alpha Technologies)MDR 2000(ASTM−D5289)の硬化性能分析用チャンバー中に入れる。このMDR 2000を140℃で30分間運転し、Ts 0.1及びTs 1の両方を求めて、スコーチ防止特性を測定する。Ts 0.1は、測定トルクがポリマーの初期トルクから0.1フィートポンド(foot pound)上昇するのに要する時間である。同様にTs 1は、トルクがポリマーの初期トルクから1フィートポンド上昇するのに要する時間である。これらのTs値は誘導時間(induction time)の指標となり、この時間は、トルクの増加によってポリマーの顕著な架橋が観察される時間である。
【0085】
本発明は、本発明の意図及び本質的な特性から逸脱しない他の形態で具体化することができ、したがって、以上の明細書ではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきであり、その理由は本発明の範囲(scope of the invention)を示すからである。
【表2】


【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性ポリマーと;
極性ニトロキシドであるスコーチ防止物質と;
剥離可能なオルガノクレーである移行防止物質
との溶融ブレンド反応生成物を含む、架橋性組成物。
【請求項2】
前記架橋性ポリマーが、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、超低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリブタジエン、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロエラストマー、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項3】
前記極性スコーチ防止物質が、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)、及び4−オキソ−2,2,6,6,テトラメチルピペルジン−N−オキシル(4−オキソ−Tempo)からなる群より選択される、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
前記オルガノクレーが少なくとも2つの脂肪酸置換を有する、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
前記オルガノクレーが、第4級アンモニウム塩で改質された天然モンモリロナイトである、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして80〜98重量パーセントの前記架橋性ポリマーを含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして1〜10重量パーセントの前記スコーチ防止物質を含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項8】
前記組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして1〜10重量パーセントの前記移行防止物質を含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項9】
前記組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして80〜98重量パーセントの前記架橋性ポリマー、1〜10重量パーセントの前記スコーチ防止物質、及び1〜10重量パーセントの前記移行防止物質を含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項10】
前記剥離オルガノクレーが、1つ又はそれ以上の高アスペクト比オルガノクレー粒子を含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項11】
前記組成物がフリーラジカル開始剤をさらに含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項12】
前記フリーラジカル開始剤が過酸化物である、請求項11に記載の架橋性組成物。
【請求項13】
前記過酸化物が、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、及びジペルオキシケタール開始剤からなる群より選択される、請求項12に記載の架橋性組成物。
【請求項14】
架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法であって:
架橋性ポリマーを選択するステップと;
スコーチ防止物質を選択するステップであって、前記スコーチ防止物質が極性ニトロキシドであるステップと;
移行防止物質を選択するステップであって、前記移行防止物質が剥離可能なオルガノクレーであるステップと;
前記スコーチ防止物質及び前記移行防止物質を前記架橋性ポリマー中に溶融ブレンドするステップと;
それによって前記オルガノクレーを少なくとも部分的に剥離させて、1つ又はそれ以上の高アスペクト比粒子にするステップと;
それによってスコーチ防止物質の移行が減少した前記架橋性組成物を生成するステップとを含む、方法。
【請求項15】
前記架橋性ポリマーが、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、超低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリブタジエン、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロエラストマー、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項16】
前記スコーチ防止物質が、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)、及び4−オキソ−2,2,6,6,テトラメチルピペルジン−N−オキシル(4−オキソ−Tempo)からなる群より選択される、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項17】
前記剥離オルガノクレーが少なくとも2つの脂肪酸置換を有する、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項18】
前記オルガノクレーが、第4級アンモニウム塩で改質された天然モンモリロナイトである、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項19】
前記組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして80〜98重量パーセントの前記架橋性ポリマーを含む、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項20】
前記組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして1〜10重量パーセントの前記スコーチ防止物質を含む、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項21】
前記組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして1〜10重量パーセントの前記剥離オルガノクレーを含む、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項22】
前記組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして80〜98重量パーセントの前記架橋性ポリマー、1〜10重量パーセントの前記スコーチ防止物質、及び1〜10重量パーセントの前記クレーを含む、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項23】
フリーラジカル開始剤を選択するステップと;
前記フリーラジカル開始剤、前記スコーチ防止物質、及び前記移行防止物質を前記架橋性ポリマー中に溶融ブレンドするステップ
とをさらに含む、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項24】
前記組成物が、前記架橋性組成物の重量を基準にして1〜20重量パーセントの前記フリーラジカル開始剤を含む、請求項14に記載の、架橋性組成物中のスコーチ防止剤の移行を減少させる方法。
【請求項25】
架橋性ポリマーと;
極性スコーチ防止物質であるスコーチ防止物質と;
剥離可能なオルガノクレーである移行防止物質
との反応生成物を含む架橋性組成物の;
架橋反応生成物を含む物品。
【請求項26】
架橋性組成物の製造方法であって:
架橋性ポリマーを選択するステップと;
スコーチ防止物質を選択するステップであって、前記スコーチ防止物質が極性スコーチ防止物質であるステップと;
移行防止物質を選択するステップであって、前記移行防止物質が剥離可能なオルガノクレーであるステップと;
前記スコーチ防止物質及び前記移行防止物質を前記架橋性ポリマー中に溶融ブレンドするステップと;
それによって前記オルガノクレーを少なくとも部分的に剥離させて、1つ又はそれ以上の高アスペクト比粒子にするステップと;
それによってスコーチ防止物質の移行が減少した前記架橋性組成物を生成するステップとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−529254(P2010−529254A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511232(P2010−511232)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/062818
【国際公開番号】WO2008/154096
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(591123001)ユニオン カーバイド ケミカルズ アンド プラスティックス テクノロジー エルエルシー (85)
【Fターム(参考)】