説明

スタンド型イメージスキャナ装置、その初期診断装置

【課題】照度の計測器等を用いずに、設置場所の照明環境が適切か否かを判定する。
【解決手段】基準媒体の画像が所定の階調値となるように露出時間やゲイン量を設定し(S12)、この設定値から周囲の照明光量を推定する(S14)。また、影の強さを算出する(S15)。そして、S14,S15の結果を、予め設定されている判定マトリックスに当て嵌めることで、周囲の照明環境が適切か否かを判定する(S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンド型イメージスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イメージスキャナとして、オートフィーダ型、フラットベッド型、スタンド型等の様々な種類のイメージスキャナが知られている。このうち、スタンド型のイメージスキャナは、オートフィーダ型やフラットベッド型等とは異なり、外光を遮断する機構を持たず、照明装置を備えないで、周囲の光源(例えば天井の蛍光灯など)から照射される光を用いて撮像対象物(原稿など)の画像を撮像する。
【0003】
図18は、スタンド型イメージスキャナ(以下、省略してスタンドスキャナと記す場合もある)の外観図である。
図示のスタンドスキャナ100は、台座101、この台座101に取り付けられたスタンド102から成る。スタンド102は、足部102aとヘッド部102bから成り、ヘッダ部102bは台座101上方の所定の高さに位置する。ヘッダ部102bは不図示のイメージセンサ、レンズ等から成る撮像部102’を備えている。尚、スタンドスキャナ100は、更に図示しない情報処理装置を有していてもよく、撮像画像の表示や後述する各種補正等は、この情報処理装置が行ってもよい。
【0004】
台座101上には撮像対象物(原稿など)が搭載され、この原稿上の文字等を上記撮像部102’で撮像する。これは、上記周囲の光源からの光が原稿等に照射されてその反射光が撮像部102’に入射することで、撮像されるものである。
【0005】
撮影した画像は、例えば電子データ化して格納するためだけに用いる他、OCR処理を行って文字・数字を認識させることで、文字・数字等の入力作業を削減させる用途にも用いることができる。
【0006】
ここで、特に、OCR処理の認識精度を向上させるためには、設置場所の照明環境を問わず、一定の明るさで撮像することと、画像に影などの不必要な情報が出来るだけ入らないようにすることが重要である。
【0007】
例えば、図19に示すように、比較的明るい環境下で撮影した場合でも、比較的暗い環境下で撮影した場合でも、ほぼ同じ画像が得られることが望まれる。
スタンド型イメージスキャナの場合、周囲の光源に依存するため、例えば明るい環境下と暗い環境下とでは、撮像画像の明るさ(階調)が異なるものとなり、そのままでは同じ画像を得ることができない。その為、例えばスタンドスキャナの設置時に調整を行うようにしている。
【0008】
すなわち、設置者等は、所定の基準媒体(キャリブレーションシート;たとえば白紙など)を台座101上に置き、これを撮像部102’で撮像させる。これより、スタンドスキャナ100(その上記情報処理装置)は、この撮像画像が、予め設定されている所定の明るさ(階調)の画像となるように、露出時間やゲインを適切に決定・設定する処理を行う。更に、撮像画像中に影部分が存在する場合には(例えば上記スタンド102の影等)、影を画像補正(影補正)することで、設置環境毎の差異を吸収して、明るい環境下でも暗い環境下でも、更に影があっても、ほぼ同じ画像が得られるようにできる(この様な機能は、キャリブレーション機能等と呼ばれている)。
【0009】
上記キャリブレーション機能について、図20に示す具体例を用いて説明する。
図20(a)、(b)は、上記基準媒体(白紙など)を撮影した画像である。図20(a)が最初の撮像画像であり、図20(b)が露出時間やゲインを調整後の撮像画像である。更にこの図20(b)の撮像画像に対して影補正した画像を図20(c)に示す。
【0010】
図20(a)、(b)の画像例では、楕円部分以外は影となっている。例えば階調が0〜255の256段階とし、0が最も暗く、255が最も明るい。上記基準媒体が白紙の場合には階調は255付近となるはずであり、ここでは250になるものとする。しかし、図20(a)の画像は比較的暗い環境下で撮影されている為、楕円部分の明るさは例えば200程度で、影の部分は当然それよりも暗くて例えば150程度となっている。
【0011】
これより、まず、最も明るい部分(ここでは楕円部分)の階調が所定値(ここでは250)となるように、露出時間やゲインを調整する。例えば、露出時間やゲインを所定量変化させて、変化させる都度撮影して楕円部分の階調が所定値になったか否かをチェックする処理を繰り返す。この様な調整が完了したときの撮像画像が、図20(b)に示すものである。
【0012】
これによって、楕円部分の階調は所定値となったが、影部分は図20(a)に比べれば明るくなっているが、まだ不十分である。この為、更に、影部分の画像の補正を行うことで、補正後の画像は図20(c)に示すように基準媒体の画像全体が、所定の階調(250)となっている。尚、影部分の画像の補正処理については、ここでは特に説明しない。
【0013】
これによって、明るい環境下であっても暗い環境下であっても、更に影があっても、基準媒体に関して図20(c)のような所定画像(階調値が全て所定値(たとえば250)となっている画像)が得られるようになる。
【0014】
ここで、例えば、特許文献1,2に開示されている従来技術が知られている。
特許文献1の従来技術は、明るさを測定する複数の明るさ検出器(照度計等と思われる)を被写体の近傍に配置し、2つの検出器により測定された明るさの差が、所定値よりも大きい場合に警報を発する。警報が発せられた場合、画像読取装置を移動させるか、遮蔽物を移動させる。
【0015】
また、特許文献2の従来技術は、原稿へ向けて発光する光源を有するスタンドスキャナにおいて、較正データを生成する際に、テスト原稿の画像を撮影する。このとき、較正データとして、検出素子毎にデータを計測している。スタンドスキャナにおけるデータの較正を行う例であり、撮影面の明るさの分布(影の補正量)を計測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−12467号公報
【特許文献2】特開2002−330336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記従来技術の露出時間やゲインの調整や影部分の階調補正に関しては、設定できる露出時間や補正できる影の量(濃さ)には、ある程度の調整幅(自由度)があるが、過度の調整/補正を行うと、幾つかの弊害が生じる。具体例を以下に列挙する。
【0018】
・露出時間やゲインの限界
・暗すぎる環境では、露出時間を過度に長くとる必要がある為、撮影に要する時間が長く掛かってしまう。また、被写体が動く場合には画像ブレが発生し易くなる。また、ゲインを過度に掛けることで、画像のS/N比が悪化し、ノイズが出易くなる。
・明るすぎる環境では、露出時間を過度に短くとる必要があるため、蛍光灯のフリッカ(ちらつき)を拾い易くなる。
【0019】
・影補正の限界
・濃すぎる影の場合、本来の画像データに対して補正すべき割合の量が過度に大きくなるため、補正後の画像にノイズが多くなり易くなる。
【0020】
従来は、上記弊害を回避するために、設置者や使用者等が、装置1台1台について、照明環境を事前に調査し、過度に調整・補正が必要な環境ではないことを確認する必要があった。しかしながら、事前調査に関しては以下の問題があった。
・照度を計測する専用の計測器を要するため、手間が掛かり不便。
・測定者によって結果がばらついたり曖昧になったりと、測定の精度に問題が生じる。
・調査の結果、設置場所が適切でなかった場合の対処方法が不明である。
【0021】
上記特許文献1の従来技術の場合、明るさ検出器が必要となり、余計な構成とコストが増えることになる。また、明るさ検出器は、載置された原稿面の明るさを検出していない(その近辺の明るさを検出しているだけである)。また、影の補正を行っていない。また、そもそも、特許文献1は、設置時の初期設定に係る技術ではない。
【0022】
上記特許文献2の従来技術の場合、そもそも独自の光源を有しており、スタンド型イメージスキャナではないのであるから、上記スタンド型イメージスキャナに関する問題を解決するようなものではない。
【0023】
本発明の課題は、スタンド型イメージスキャナに係わり、照度を計測する専用の計測器を必要とすることなく、自動的に、設置場所の照明環境が適切か否かを判定することができるスタンド型イメージスキャナ装置、その初期診断装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明のスタンド型イメージスキャナ装置は、周囲の光源から照射される光を用いて撮像対象物の画像を撮像する撮像部を有するスタンド型イメージスキャナ装置であって、前記撮像対象物としての所定の基準媒体を前記撮像部が撮像して成る基準媒体画像を入力する入力手段と、該基準媒体画像において影部分以外が所定の階調値となるように露出時間または/及びゲイン量を調整して、調整後の基準媒体画像を得る階調値調整手段と、該調整後の露出時間または/及びゲイン量に基づいて前記照射光による照明光量の推定値を算出する照明光量算出手段と、前記調整後の基準媒体画像において前記所定の階調値となっていない部分である前記影部分に関して、影の強さを算出する影の強さ算出手段と、予め各照明光量と各影の強さとの各組み合わせに応じて、周囲の照明環境の適切性を示す判定内容が登録された判定内容記憶手段と、前記照明光量算出手段で算出された前記照明光量の推定値と、前記影の強さ算出手段で算出された影の強さとの組み合わせに応じて、前記判定内容記憶手段を参照して該当する判定内容を取得することで、周囲の照明環境が適切か否かを判定する周囲環境適切性判定手段とを有する。
【発明の効果】
【0025】
本発明のスタンド型イメージスキャナ装置、その初期診断装置等によれば、スタンド型イメージスキャナに係わり、照度を計測する専用の計測器を必要とすることなく、自動的に、設置場所の照明環境が適切か否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)、(b)は、スタンド型イメージスキャナ装置の構成図である。
【図2】全体処理フローチャート図である。
【図3】ステップS14の詳細フローチャート図である。
【図4】(a)〜(c)は、各種判定マトリックスの具体例である。
【図5】ステップS18の詳細フローチャート図である。
【図6】(a)、(b)は、ステップS31の処理について説明する為の具体例である。
【図7】(a)〜(d)は、ステップS32の処理について説明する為の具体例である。
【図8】(a)は領域外の影の強さの推定例、(b)は適切な設置場所の推定例を示す図である。
【図9】判定結果表示例である。
【図10】(a)はブロック生成、(b)、(c)は行平均値の算出・格納例である。
【図11】(a)、(b)は、列平均値の算出・格納例である。
【図12】(a)、(b)は、拡張領域の行平均値の算出・格納例である。
【図13】(a)、(b)は、拡張領域の列平均値の算出・格納例である。
【図14】拡張領域の各ブロックの影の強さの推定例である。
【図15】適切な設置場所を推定する処理を説明する為の図(その1)である。
【図16】適切な設置場所を推定する処理を説明する為の図(その2)である。
【図17】適切な設置場所を推定する処理を説明する為の図(その3)である。
【図18】従来のスタンド型イメージスキャナの外観図である。
【図19】従来の各環境下での画像取得について説明する為の図である。
【図20】(a)は撮像画像、(b)は露出時間等を調整後の画像、(c)は更に影補正した画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例のスタンド型イメージスキャナ装置の構成図である。
図1(a)には概略的な外観図を示し、図1(b)には主にカメラボード3の詳細構成例を示す。これ自体は上記従来構成と略同様である。
【0028】
すなわち、本例のスタンド型イメージスキャナ装置は、図示の通り、台座部1、支柱部2、カメラボード3、レンズ4等を有し、また図1(a)では省略しているが図1(b)に示すように更に制御PC(パソコン)5、LCDモニタ6等を有するものであってよい。
【0029】
既に説明した従来技術と略同様に、台座部1に不図示の撮像対象物(原稿や基準媒体など)を置いて、これをカメラボード3、レンズ4等から成る撮像部で上方から撮影する。撮像部は、周囲の光源(例えば天井の蛍光灯など)から照射される光を用いて撮像対象物(原稿など)の画像を撮像する。尚、周囲の光源としては、他にも例えば太陽光などが考えられるが、ここでは主に蛍光灯等を想定している。
【0030】
図1(b)に示すように、カメラボード3は、イメージセンサ11、制御CPU12、RAM13等を有する。イメージセンサ11は、例えば二次元エリアセンサ(CCDやCMOSセンサ等)であり、上記レンズ4と接続している。制御CPU12は、通信機能部として例えばUSBコントローラ12aを有しており、USBインタフェース7を介して上記制御PC5等と通信可能となっている。
【0031】
上記撮像対象物からの反射光は、レンズ4を介してイメージセンサ11で受光後、制御CPU12によってイメージデータに変換されてRAM13に転送・格納される。つまり、撮像対象物の撮像画像(例えば印刷されている文字/画像等)が、RAM13に格納される。
【0032】
制御CPU12は、制御PC5からの指示に応じて、RAM13に格納されたイメージデータを、USBコントローラ12a、USBインタフェース7を介して上記制御PC5へ転送する。また、ユーザは、例えば撮影指示等の何らかの指示・操作を行う場合、制御PC5の不図示のキーボード/マウス等を操作する。この指示は、制御PC5からUSBインタフェース7を介して制御CPU12に転送されることになる。
【0033】
図2は、全体処理フローチャート図である。
尚、この図2の処理や後述する他のフローチャート図(図3、図5等)の処理は、制御CPU12が実行してもよいし、制御PC5が実行してもよいし、両者が役割分担しながら実行してもよい。
【0034】
何れにしても、制御CPU12や制御PC5は、不図示の不揮発性の記憶装置(ROMやフラッシュメモリ、あるいはハードディスク等)を有しており、この記憶装置には予め所定のアプリケーションプログラムが記憶されている。制御CPU12がこのアプリケーションプログラムを読み出し実行してもよいし、制御PC5内の不図示のCPUが、このアプリケーションプログラムを読み出し実行してもよい。尚、本例の処理機能を有するコンピュータ装置(制御CPU12や制御PC5)を、初期診断装置と呼んでも良い。尚、制御PC(パソコン)5は、たとえば汎用のパソコン等であってよく、不図示のCPU、メモリ、ハードディスク、通信機能部、入力部(キーボード、マウス等)等を有している。
【0035】
図2において、ユーザが、上記台座部1上に上記基準媒体(白紙など)をセットし、撮影・調整指示を出すと(ステップS11)、まず基準媒体の撮影を行って、この撮像画像の階調値が、予め設定されている所定値(例えば上記250等;尚、250±αなど、マージンを含んでもよい)となっているか否かを判定する。そして、所定値となっていない場合には所定値となるまで、露出時間やゲイン量を所定量ずつ変更しながら上記撮影と判定を繰り返す(ステップS12)。階調値が所定値となったときの露出時間やゲイン量を設定値とする。尚、撮像画像全体で階調値が一定ではない場合には、最も階調値が高い部分が上記所定値(250等)となるように調整を行う。
【0036】
階調値が比較的高い部分と低い部分とがある場合には、階調が比較的低い部分を影とみなし、影の補正量を算出する(ステップS13)。この処理自体は、上述した通り従来技術であり、ここでは特に説明しない。この補正量が大きいほど影が強いことを意味する。
【0037】
そして、上記ステップS12で設定した露出時間やゲイン量から、周囲の照明光量を推定する(ステップS14)。この処理については後に詳細に説明する。
また、影の強さを算出する(ステップS15)。この処理についても後に詳細に説明する。
【0038】
そして、上記ステップS14、S15の処理結果を、後述する判定マトリックスに当てはめることで、周囲の照明環境が適切であるか否かを判定する(ステップS16)。この処理についても後に詳細に説明する。
【0039】
上記ステップS16の判定結果を、LCDモニタ6に表示してもよいが、本例では図示の処理を行うものとする。すなわち、周囲の照明環境が適切であると判定した場合には(ステップS17,YES)、当該判定結果をLCDモニタ6に表示する(ステップS19)。一方、周囲の照明環境が適切ではないと判定した場合には(ステップS17,NO)、ステップS18の処理を行ったうえでこの処理結果とともに判定結果をLCDモニタ6に表示する(ステップS19)。
【0040】
ステップS18の処理は、上記ステップS14、S15の処理結果等に基づいて、設置場所の変更方法を推定する処理である。この処理についても後に詳しく説明する。
以下、上記ステップS14、S15,S16、S18の各処理について、詳しく説明する。
【0041】
まず、ステップS14の「照明光量の推定処理」について説明する。
まず、予め実験等によって、露出時間及びゲイン量に対応する照明光量を求めておく。これは、各機種毎に任意の1つの照明光量に対応する露出時間及びゲイン量を求めておけばよい。この実験では、勿論、基準媒体を使用するものであり、その撮像画像の階調値が上記所定値(250等)となるように露出時間及びゲイン量を調整するものである。また、照明光量は照度計等を用いて測定するものであってよい。
【0042】
上記のように1つの組み合わせのみを予め実測により求めて設定しておけば、すべて比例計算で求めることができる。
例えば、ある装置に関して事前に以下の実測結果(基準値)が得られたものとする。
・800ルクス環境下で、露出時間50ms、且つ、ゲイン6dB(2倍ゲイン)
【0043】
また、上記ステップS12における設定値が、仮に、露出時間が25ms、ゲインが0dBであったものとする。
【0044】
ここで、図3に、ステップS14の詳細フローを示す。
図3の処理について、上記具体例も用いつつ説明する。
図3において、まず、露出時間に関する上記基準値(50ms)と設定値(25ms)との比を、上記照明光量の基準値(800ルクス)に乗算する(ステップS21)。すなわち、
照明光量の基準値×(露出時間の基準値/露出時間の設定値)
を求める。
【0045】
上記の例の場合、800×(50/25)(dB)=1600(ルクス)
が求められることになる。
続いて、ゲインに関する上記基準値(6dB)と設定値(0dB)との差を、上記ステップS21の演算結果に乗算する(ステップS22)。
【0046】
上記の例の場合は、1600×(6−0)=3200(ルクス)
となる。
尚、よく知られているように、6dBは2倍ゲインを意味し、また例えば0dBは1倍ゲインを意味する。
上記ステップS22の演算結果を、推定照明光量に決定する(ステップS23)。上記の例では、推定照明光量は3200(ルクス)となる。
【0047】
続いて、上記ステップS15の「影の強さの推定」処理について説明する。
この処理の基本は、基準媒体に係わる階調の比率を算出することで影の強さの比率を求めるものである。そのうち、最大となる比率を、影の強さとして推定する。すなわち、影の強さは、例えば以下の式を用いて算出するものである。尚、以下の式における階調値は、何れも基準媒体に係わる階調値である。
影の強さ(%)={(最大階調値−最小階調値)/最大階調値}×100
【0048】
尚、これは、上記露出時間及びゲイン量を調整した後の階調値と考えてよい。この場合、基本的に、最大階調値は上記所定値(本例では250)となっているはずである。そして、基本的に、最小階調値は影の部分における階調値であるはずである。仮に、最小階調値が200であるものとした場合、影の強さは、
影の強さ={(250−200)/250}×100=20(%)となる。
【0049】
尚、上記基準媒体の階調値は、基準媒体の撮像画像における各ドット(画素)毎の階調値であってもよいし、後述する各ブロック(複数のドットより成る)毎の階調値であってもよい。
【0050】
尚、上記ステップS13の処理(影の補正量を算出する処理)は、例えば上記の例では階調値‘200’が‘250’になるようにする何らかの補正量(例えば乗算する係数等)を求めるものとなる。
【0051】
次に、上記ステップS16の判定処理(周囲の照明環境が適切であるか否かの判定)について説明する。これは、上記の通り、予め設定されている判定マトリックスを用いるものである。本例では図4に示す3種類の判定マトリックスが予め設定されている。図4(a)は照明光量に関する判定用、図4(b)は影の強さに関する判定用、図4(c)は総合判定用である。
【0052】
まず、図4(a)の照明光量用の判定マトリックス、図4(b)の影の強さ用の判定マトリックスで、それぞれ、一次判定を行う。続いて、これら一次判定結果を用いて図4(c)の総合判定用マトリックスで二次判定を行って、これを最終的な総合判定結果とする。このように二段階の判定を用いることで、各々独立した判定結果とそれらをまとめた判定結果を示すことができ、ユーザが直観的に理解し易い判定結果の提示を行うことができる。
【0053】
また、各一次判定の際に後述する重み係数を得て、これを二次判定の際に用いるようにしてもよい。
図4(a)に示す照明光量用の判定マトリックス20は、各推定照明光量21に対応付けて、判定22及び重み付け係数23が登録されている。各推定照明光量21は、図示のように例えば300〜500ルクス、500〜800ルクス等のように推定照明光量の範囲を示すものである。そして、各推定照明光量の範囲毎に、判定22及び重み付け係数23が登録されている。判定22は図示の例では×、△、○、◎の4段階評価であり、×が最も悪く、◎が最もよい。また、重み付け係数23は、これら判定22を、1,2,3,4等の数値によって示すものと考えてよい。図示の例では、重み付け係数23の値が大きいほど評価が高いことになる。
【0054】
上記ステップS14で得た推定照明光量を上記判定マトリックス20に当てはめて、該当するレコードの判定22及び重み付け係数23を取得する。上記一例では推定照明光量は3200ルクスであるので、推定照明光量21が「3000ルクス以上」のレコードが該当レコードであり、従って判定22は×、重み付け係数23は‘1’が、照明光量に関する判定結果として得られることになる。
【0055】
図4(b)に示す影の強さ用の判定マトリックス30は、各影の強さ31に対応付けて、判定32及び重み付け係数33が登録されている。影の強さ31は、図示のように例えば30%未満、30%以上50%未満等の影の強さの範囲を示す。判定32及び重み付け係数33は、上記判定22及び重み付け係数23と略同様であり、ここでの説明は省略する。但し、4段階ではなく3段階の判定となっている点では異なることになる。
【0056】
図示の例では、上記の一例(影の強さが20%)の場合には、影の強さ31が“30%未満”が該当レコードとなるので、このレコードの判定32=“○”、重み付け係数33=“3”が、影の強さに関する判定結果として得られることになる。
【0057】
そして、図4(c)に示す総合判定用マトリックス40は、縦方向が「影の強さの判定」41、横方向が「周囲の照明光量の判定」42のマトリックスとなっており、これら縦と横との組み合わせに応じた総合判定が、図示のように登録されている。図示の例では、例えば、照明光量の判定が◎または○で且つ影の強さの判定が○の場合には、総合判定は◎となる。また、影の強さの判定が△であっても照明光量の判定が◎の場合には、総合判定は◎となる。
【0058】
「影の強さの判定」41には上記影の強さ用の判定マトリックス30による判定結果を当てはめ、「周囲の照明光量の判定」42には上記照明光量用の判定マトリックス20による判定結果を当てはめることで、総合判定結果を求める。例えば上記の例では、照明光量の判定が×で、影の強さの判定は○であるので、総合判定結果は図示の例では△となることになる。
【0059】
また、総合判定結果は、図示の◎、○、△、×による4段階の評価だけでなく、更に重み付け係数による評価も付随させてもよい。あるいは、重み付け係数による評価のみを総合判定結果としてもよい。重み付け係数による評価(総合重み付け係数と呼ぶものとする)は、照明光量、影の強さの各重み付け係数同士を加算することで得られる。上記の例では、照明光量の重み付け係数は‘1’、影の強さの重み付け係数は‘3’であるので、総合重み付け係数=1+3=4となる。これより、総合判定結果は「△(4)」等とすることになるが、上記の通り、この例に限らない。
【0060】
尚、上記のことから、図4(c)に示すように、総合判定結果は、例えば「◎(7)」、「◎(6)」等のように、同じ“◎”であっても更に詳細に判定したものが得られることになる。これは、換言すれば、総合判定に関しては7段階の評価を行うものと見做すこともできる。
【0061】
上記総合判定用マトリックス40に登録されている内容(上記◎、○、△、×による4段階の評価や重み付け係数)は、例えば、周囲の照明環境の適切性を示す判定内容等と見做すことができる。特に本例では、上記総合判定用マトリックス40には、各照明光量(その各範囲)と各影の強さ(その各範囲)との組み合わせに応じて、周囲の照明環境の適切性を示す判定内容等が、予め登録されているものと言える。
【0062】
尚、換言すれば、上記照明光量用の判定マトリックス20には、各照明光量(その範囲)に応じた周囲の照明環境の適切性を示す判定内容が登録されているものと言うこともできる。同様に、上記影の強さ用の判定マトリックス30には、各影の強さ(その範囲)に応じた照明環境の適切性を示す判定内容が登録されているものと言うこともできる。
【0063】
そして、上記照明光量用の判定マトリックス20を用いて求めた「照明光量の推定値に応じた判定内容」と、上記影の強さ用の判定マトリックス30を用いて求めた「影の強さに応じた判定内容」との組み合わせに応じて、上記総合判定用マトリックス40を参照して該当する判定内容を取得することで、周囲の照明環境が適切か否かを判定する。これは、上記ステップS16やS17で判定するものである。
【0064】
ここで、上記ステップS16、S17(以下、ステップS17等と記す)の判定方法は、○、△等の4段階評価を用いてもよいし、総合重み付け係数を用いても良い。例えば4段階評価を用いる場合、ステップS17等の判定は、総合判定結果が例えば○または◎の場合にはYes、△または×の場合にはNo等と判定することになる。
【0065】
また、例えば総合重み付け係数を用いる場合にはステップS17等の判定は例えば「総合重み付け係数≧閾値A?」等とする。閾値Aは、予め設定される任意の数値であり、例えば閾値A=‘5’が設定されていた場合にはステップS17等の判定は「総合重み付け係数≧5?」となる。よって、この例では、総合重み付け係数が5,6,7の何れかの場合にはステップS17等の判定結果はYESとなり、総合重み付け係数が1,2,3,4の何れかの場合にはステップS17等の判定結果はNOとなることになる。
【0066】
勿論、ステップS17等の判定方法は、上述した例に限らず、他の方法であってもよい。
次に、以下、上記ステップS18の処理、すなわち設置場所の変更方法の推定処理について説明する。
【0067】
図5は、ステップS18の詳細フローである。
図5の処理は、まず、上記基準媒体の撮像画像における影の強さの分布を算出する(ステップS31)。続いて、ステップS31で求めた基準媒体上の影の強さの分布に基づいて、基準媒体の画像領域の外側における影の分布を推定する(ステップS32)。これによって、基準媒体画像の領域内外の影の分布が求められる。
【0068】
そして、上記基準媒体画像の領域内外の影の分布に、上記周囲の照明光量の推定結果(本例では3200)を組み合わせて、上記基準媒体画像の領域内外の照明の分布を推定する(ステップS33)。照明の分布とは、例えば後述する一例では、後述する各ブロック毎の照明光量を意味するが、この例に限らない。
【0069】
そして、上記照明(照明光量)の分布と影の分布とを組み合わせて、最適な設置場所を推定する(推奨設置位置を求める)(ステップS34)。これは、例えば後述する一例では、上記照明(照明光量)の分布と影の分布とに基づいて、各ブロック毎の評価(上記○、△等による判定等)を行い、この評価に基づいて最適な設置場所を推定するものであるが、この例に限らない。
【0070】
以下、上記図5の各ステップの処理について、詳細に説明する。
尚、以下の説明における縦、横とは、図6に示すx方向が横方向、y方向が縦方向を意味するものとする。
【0071】
まず、ステップS31の処理について説明する。
まず、基準媒体(白紙など)の撮像画像を、例えば図6(a)に示すように多数のブロックに分割する。図6(a)の例では、横10×縦14(10列×14行)の140個のブロックに分割している。勿論、ブロック数(分割数)や分割の仕方は、任意で構わない。例えば同じ140ブロックであっても、横14×縦10等としても構わない。尚、本例ではブロック単位の処理を例にするが、この例に限るものではなく、例えばドット(画素)単位での処理を行っても良い。尚、ここでは基本的に、1つのブロックは複数のドット(画素)より成るものとしている。
【0072】
続いて、各ブロックの影の強さ(%)を求める。これは、まず、各ブロックの階調値を求める。これは、各ブロック毎に、そのブロック内の全ドット(画素)の階調値の総和を求めて、この総和をドット数(画素数)で除算することで(階調値の総和÷ドット数)、すなわち平均値を求めることで、そのブロックの階調値を求める。更に、求めた各ブロックの階調値のなかで最も値が大きいものを、「各ブロックの階調値の最大値」とする。そして、以下の式によって、各ブロックの影の強さを算出する。
各ブロックの影の強さ(%)={(「各ブロックの階調値の最大値」−各ブロックの階調値)/「各ブロックの階調値の最大値」}×100
【0073】
仮に最大値を250とした場合、任意のブロックの階調値が200であったならば、そのブロックの影の強さは20%であり、他の任意のブロックの階調値が150であったならばそのブロックの影の強さは40%となる。当然、その階調値が最大値であるブロックの影の強さは、0%となる。
【0074】
上記のように基準媒体の画像(基準媒体の領域)に係わる全てのブロックについて影の強さを求めることで、例えば図6(b)に示すような結果が得られる。図示の例では、各ブロックの影の強さ(%)は、例えば右上のブロックが0%、左下のブロックが50%等となっている。勿論、これら以外の他のブロックに関しても(図示していないが)そのブロックの影の強さが算出されている。この例では、右上のブロックが上記「階調値が最大値のブロック」であることになる。左下のブロックは仮に上記最大値が250であったならば、その階調値は125であることになる。
【0075】
次に、上記ステップS32の処理について、図7(a)〜(d)を参照して説明する。
尚、以下の説明では、上記縦、横の代わりに、上記行、列の表現を用いるものとする。よって、図6に示す例は、列の数が10列、行の数が14行の140個のブロックより成るものと言える。また、上下左右とは、図上における上下左右を意味するものとする。
【0076】
この処理では、まず、行、列それぞれについて、両端の2行と両端の2列の各行毎、各列毎の上記影の強さの平均値を求める。
すなわち、まず、図7(a)に示すように、上記10列のうちの両端の列それぞれについて、その列の影の強さの平均値を求める。これは、各列毎に、その列に属する全てのブロック(14行であるので、ブロック数は14個となる)の影の強さの総和を求め、この総和をブロック数(14)で割ることで(影の強さの総和÷ブロック数)、その列の影の強さの平均値が得られる。
【0077】
図示の例では、列毎の影の強さの平均値は、左端の列が25%、右端の列が15%となっている。
同様に、図7(b)に示すように、上記14行のうちの両端の各行それぞれについて、その行の影の強さの平均値を求める。これは、各行毎に、その行に属する全てのブロック(10列であるので、ブロック数は10個となる)の影の強さの総和を求め、この総和をブロック数(10)で割ることで(影の強さの総和÷ブロック数)、その行の影の強さの平均値が得られる。図示の例では、行毎の影の強さの平均値は、上端の行が10%、下端の行が30%となっている。
【0078】
そして、上記両端の2行と両端の2列の各行、各列毎の影の強さの平均値に基づいて、図7(c)、図7(d)に示すようにして基準媒体の領域外の影の強さの推定を行う。
まず、上記図7(a)の処理結果に基づいて、図7(c)に示すように、図上左右方向の領域外の影の強さを推定する。すなわち、図示のように基準媒体の左右両端の影の強さの平均値は分かっており、ここでは基準媒体内も基準媒体外も、影の強さは図示のように直線状に変化するものと見做す。これより、基準媒体の領域内も領域外も、この直線(その傾き等)に基づいて、各所の(各ブロックの)影の強さを推定できる。具体的なコンピュータ処理は、後に説明する。
【0079】
尚、上記直線状の例に限らず、例えば二次曲線、3次曲線等で推定しても構わない。
同様にして、上記図7(b)の処理結果に基づいて、図7(d)に示すように、図上上下方向の領域外の影の強さを推定することができる。具体的なコンピュータ処理は、後に説明する。
【0080】
基準媒体の領域外においても上記基準媒体内のブロックと同じ形・大きさのブロックを形成し、これら領域外の各ブロック毎に、上述したようにして求めた左右方向の推定値と上下方向の推定値とを掛け合わせることで、そのブロックの影の強さの推定値を求める。これについても具体例(具体的なコンピュータ処理)は、後に説明する。
【0081】
以上が上記ステップS31,S32の処理に相当し、これによって例えば図8(a)に示すように、領域外の任意のブロックの影の強さの推定値は、100%となっている。図示していないが、領域外にはこのブロックに限らず多数のブロックが形成されており、それぞれ、影の強さ(各ブロックの影の強さ)が推定される。詳しくは後述する。
【0082】
次に、上記基準媒体の領域内及び領域外の全てのブロックについて、各々、そのブロックの影の強さの推定値に、上記ステップS14で推定した周囲の照明光量(本例では3200)を掛け合わせることで、領域外まで含めた全てのブロックについてそのブロックに照射される照明光量を推定する。これは、例えば下記の式を用いて算出する。
各ブロックの照明光量=(推定照明光量)×{(100−各ブロックの影の強さ)/100}
以上が上記ステップS33の処理に相当する。
【0083】
そして、上記ステップS34では、例えば、まず、上記基準媒体の領域内外の全てのブロック毎に、それぞれ、そのブロックについて算出されていた上記「各ブロックの影の強さ」と上記「各ブロックの照明光量」とに基づいて、例えば上記図4(a)〜(c)の判定マトリックスを用いて、そのブロックに関する総合判定を行う。この総合判定処理自体は、既に説明した総合判定処理(一次判定と二次判定等;○、△等による評価)と略同様であってよい。
【0084】
上述した処理によって、上記基準媒体の領域内外の全てのブロックについて、それぞれ、総合判定結果(○、△等による評価等)が得られたら、例えば図8(b)に示す例のように基準媒体の領域を示す枠(点線で示す枠;基準媒体画像と同じ形・大きさの枠)を任意に移動させつつ、移動させる毎に枠内の全ブロックの上記「総合判定結果」に基づくその位置の評価(後述する総得点等)を求めて、これをそのときの枠の位置(座標)と共に記憶しておく。そして、最も評価が高い(後述する総得点が最も高い)位置を、最適な(適切な)位置として記憶し、表示する。
【0085】
ここで図8(b)を最適位置(推奨設置位置)の表示例と見做してもよく、例えば現在の基準媒体の位置(枠)を点線で示すと共に、推奨設置位置を実線で示す表示を行うことで、ユーザはどの方向にどの程度移動させればよいのかを直感的に把握できるようになる。
【0086】
尚、これは、台座部1上の基準媒体はそのままの状態で、台座部1等含む装置全体を移動させることで、基準媒体が図8(b)に示すように移動することを意味しており、台座部1上の基準媒体のみを移動させるという意味ではない。
【0087】
尚、この様な推奨設置位置の表示以外の表示としては、例えば図9に示すような表示を行ってよい。
この例では、照明光量、影の強さそれぞれについて、数値と判定結果(一次判定)を表示し、更に総合判定結果を表示している。
【0088】
以下、図10以降を参照して、上記設置場所の変更方法の(適切な設置場所の)推定処理について、詳細に説明する。これは、特に具体的なコンピュータ処理例について説明するものである。
【0089】
まず図6(a)で述べた通り基準媒体内の領域を複数の(多数の)ブロックに分割するが、これに関して図10(a)に示すように各ブロックを行と列とによって識別する。図示の例では、1行目からn行目までのn行と、1列目からm列目までのm列の、n行m列のブロック群であるものとする。そして、例えば左上角のブロックを「1行目1列目ブロック」、左下角のブロックは「n行目1列目ブロック」、右上角のブロックは「1行目m列目ブロック」、右下角のブロックは「n行目m列目ブロック」と記すものとする。
【0090】
そして、上記図6(b)のように得られた、基準媒体の領域内の各ブロック毎の影の強さを用いて、例えば図10(b)に示すように各行毎の影の強さの平均値を求めて、これを例えば図10(c)に示すように行平均値として一時的に記憶する。
【0091】
すなわち、まず図10(b)に示すように、上記1行目〜n行目までの各行毎に、その行の全てのブロックの影の強さの総和を求めて、これを列数(ここではm)で除算することで、その行の影の強さの平均値(行平均値というものとする)を求める。例えば、図示のように、1行目の行平均値は、{(1行目1列目ブロックの影の強さ)+(1行目2列目ブロックの影の強さ)+・・・+(1行目m列目ブロックの影の強さ)}/m
によって求められる。
【0092】
同様に、例えばn行目の行平均値は、{(n行目1列目ブロックの影の強さ)+(n行目2列目ブロックの影の強さ)+・・・+(n行目m列目ブロックの影の強さ)}/m
によって求められる。
【0093】
そして、上記のように求められた各行毎の「行平均値」を求めたら、これを例えば図10(c)に示すテーブル50に格納する。このテーブル50は、各行番号51毎に、行平均値52が格納される。行番号51は、例えば1行目であれば‘1’、n行目であれば‘n’というように、何行目であるかを示す数値である。行平均値52には、行番号51の行について算出された上記「行平均値」が格納される。
【0094】
列に関しても、上記行と同様にして各列毎に影の強さの平均値を求めて、これを一時的に記憶する。
すなわち、上記図6(b)のように得られた、基準媒体の領域内の各ブロック毎の影の強さを用いて、例えば図11(a)に示すように各列毎の影の強さの平均値を求めて、これを例えば図11(b)に示すように列平均値として一時的に記憶する。
【0095】
すなわち、まず図11(a)に示すように、上記1列目〜m列目までの各列毎に、その列の全てのブロックの影の強さの総和を求めて、これを行数(ここではn)で除算することで、その列の影の強さの平均値(列平均値というものとする)を求める。例えば、図示のように、1列目の列平均値は、{(1行目1列目ブロックの影の強さ)+(2行目1列目ブロックの影の強さ)+・・・+(n行目1列目ブロックの影の強さ)}/n
によって求められる。
【0096】
同様に、例えばm列目の列平均値は、{(1行目m列目ブロックの影の強さ)+(2行目m列目ブロックの影の強さ)+・・・+(n行目m列目ブロックの影の強さ)}/n
によって求められる。
【0097】
そして、上記のように求められた各列毎の「列平均値」を求めたら、これを例えば図11(b)に示すテーブル60に格納する。このテーブル60は、各列番号61毎に、列平均値62が格納される。列番号61は、例えば1列目であれば‘1’、m列目であれば‘m’というように、何列目であるかを示す数値である。列平均値62には、列番号61の列について算出された上記「列平均値」が格納される。
【0098】
以上で、図7(a)で説明した各列毎の影の強さの平均値の算出・記憶、図7(b)で説明した各行毎の影の強さの平均値の算出・記憶処理について、具体的なコンピュータ処理方法について説明した。
【0099】
そして、上記図7(c)、(d)で説明したように、左右方向、上下方向それぞれについて、基準媒体の領域外の領域(拡張領域というものとする)の各ブロックに係る行、列それぞれについて、各行毎の影の強さの平均値、各列毎の影の強さの平均値の推定を行う。
【0100】
まず、上記拡張領域の各行について説明する。
まず、拡張領域の各行に上記行番号を付与する。これは上記の例では領域内の行数はn行となっているので、例えばここでは上下にそれぞれn行分の拡張領域を設けることで、上下方向では領域内も含めて3×n行分を処理対象とする。そして、拡張領域の各行に対しても行番号を付与する。すなわち、領域内の行番号は‘1’〜‘n’となっているので、上方向の拡張領域に関しては‘1’から−1ずつ減らすことで、行番号=0、−1、−2、−3、・・・、−n+2,−n+1までのn行分の行番号を付与する。下方向の拡張領域についても同様に、‘n’から+1ずつ増やすことで、行番号=n+1、n+2、n+3、・・・、2n−1,2nまでのn行分の行番号を付与する。
【0101】
そして、上記拡張領域の各行の「行平均値」を、その行の行番号と、上記領域内の両端の行(1行目とn行目)の「行平均値」とを用いて、下記の式によって算出する。
行平均値={(行番号−1)×(n行目の行平均値−1行目の行平均値)/(n−1)}+1行目の行平均値
【0102】
尚、上記算出式において、仮に1行目の行平均値を求める場合、(行番号−1)が‘0’になることから、“1行目の行平均値”が残ることになる。同様に、n行目の行平均値を求める場合、
行平均値={(10−1)×(n行目の行平均値−1行目の行平均値)/(10−1)}+1行目の行平均値
=(n行目の行平均値−1行目の行平均値)+1行目の行平均値
=n行目の行平均値
となる。
【0103】
領域外の各行についても同様にして、その行の行平均値を上記算出式によって求めることができる。一例を図12(a)に示す。
図12(a)に示すように、例えば−n+1行目の行の行平均値は、
{(−n+1−1)×(n行目の行平均値−1行目の行平均値)/(n−1)}+1行目の行平均値
によって求めることができる。
【0104】
同様に、例えば2n行目の行平均値は、
{(2n−1)×(n行目の行平均値−1行目の行平均値)/(n−1)}+1行目の行平均値
によって求めることができる。
【0105】
尚、上記算出式から以下の近似式を求めて、この近似式を用いて領域外の各行の行平均値を求めるようにしてもよい。
実際の処理の際には上記nの値、及び1行目とn行目の行平均値は分かるので、仮に、n=10、1行目の行平均値=25(%)、10行目の行平均値=15(%)とした場合、上記算出式は、
行平均値={(行番号−1)×(15−25)/(10−1)}+25
=−10/9×行番号+10/9+25
≒26−行番号(%)
という近似式とすることができる。
【0106】
これより、例えば、行番号=0の行の行平均値は26、行番号=2n(=20)の行の行平均値は6となる。尚、この近似式を用いて上記1行目とn行目(行番号が1とn)の行の行平均値を求めると、それぞれ、25(%)、16(%)となり、上記25(%)、15(%)とほぼ同じ値が得られる。
【0107】
そして、上記拡張領域の各行の行番号及び行平均値を、上記テーブル50に追加する。これによって、テーブル50は、例えば図12(b)に示す状態となる。すなわち、行番号が、−n+1、−n+2、・・・、0、1、2、・・・、n−1、n、n+1、n+2、・・・、2n−1、2nまでの3n行分の各行について、それぞれ、その行の行番号51に対応付けてその行の行平均値52が格納された状態となる。
【0108】
列に関しても、上記行の場合と略同様にして、拡張領域の各列の列平均値を求めて、これを列番号と共に上記テーブル60に追加格納することになる。
まず、拡張領域の各列に上記列番号を付与する。これは上記の例では領域内の列数はm列となっているので、例えばここでは左右にそれぞれm列分の仮想領域を拡げることで、左右方向では領域内も含めて3×m列分を処理対象とする。そして、拡張領域の各列に対しても列番号を付与する。
【0109】
すなわち、領域内の列番号は‘1’〜‘m’となっているので、左方向の拡張領域に関しては‘1’から−1ずつ減らすことで、列番号=0、−1、−2、−3、・・・、−m+2,−m+1までのm列分の列番号を付与する。右方向の拡張領域についても同様に、‘m’から+1ずつ増やすことで、列番号=m+1、m+2、m+3、・・・、2m−1,2mまでのm列分の列番号を付与する。
【0110】
そして、上記拡張領域の各列の「列平均値」を、その列の列番号と、上記領域内の両端の列(1列目とm列目)の「列平均値」とを用いて、下記の式によって算出する。
列平均値={(列番号−1)×(m行目の列平均値−1列目の列平均値)/(m−1)}+1列目の列平均値
【0111】
上記算出式を用いた前記拡張領域の各列の列平均値の算出例を、図13(a)に示す。
図13(a)に示すように、例えば−m+1列目の列の列平均値は、
{(−m+1−1)×(m列目の列平均値−1列目の列平均値)/(m−1)}+1列目の列平均値
によって求めることができる。
【0112】
同様に、例えば2m列目の列平均値は、
{(2m−1)×(m列目の列平均値−1列目の列平均値)/(m−1)}+1列目の列平均値
によって求めることができる。
【0113】
尚、列の場合も上記行の場合と略同様に、上記算出式から近似式(ここでは特に記述しない)を求めて、この近似式を用いて拡張領域の各列の列平均値を求めるようにしてもよい。
【0114】
そして、上記拡張領域の各列の列番号及び列平均値を、上記テーブル60に追加する。これによって、テーブル60は、例えば図13(b)に示す状態となる。すなわち、列番号61が、−m+1、−m+2、・・・、0、1、2、・・・、m−1、m、m+1、m+2、・・・、2m−1、2mまでの3m列分の各列について、それぞれ、その列の列平均値62が格納された状態となる。
【0115】
以上説明した処理によって求めた上記テーブル50、テーブル60に基づいて、上記拡張領域の各ブロックの影の強さを推定する。
すなわち、以下の算出式によって、拡張領域の各ブロックの影の強さ(推定値)を求める。
【0116】
任意のブロックの影の強さ=(そのブロックの行の行平均値)×(そのブロックの列の列平均値)/100
但し、「行番号が1〜nの範囲内で且つ列番号が1〜m」の範囲内であるブロックに関しては、これは上記基準媒体の領域内のブロックであるので、上記算出式により算出は行わずに、上述したステップS32の処理結果を用いるものとする。
【0117】
この様にして、例えば図14に示す全てのブロックについて、そのブロックの影の強さ(推定値)を求める。
このようにして、例えば図14に示す“−n+1行目〜2n行目”ד−m+1列目〜2m列目”の3n×3mの領域(基準媒体の領域と拡張領域とを含む領域;全領域というものとする)の全てのブロックの影の強さが求められたら、当該全領域内の全てのブロックについて、各々、そのブロックの総合判定結果を求める。
【0118】
これは、上述した処理により各ブロック毎に、そのブロックの照明光量と影の強さが求められているので、これに基づいて各ブロック毎に例えば図4に示す判定マトリックスを用いて、照明光量についての判定、影の強さについての判定を行い、更にこれら2つの判定結果に基づいて総合判定を行う。
【0119】
そして、例えば上記基準媒体の領域に相当する枠(n×mの枠)を任意の位置に動かして、その位置における枠内の全ブロックの上記図4のマトリックスによる判定結果(総合判定結果)に基づいて、その位置の評価を行う。尚、動かす枠は、上記基準媒体の領域に相当する枠に限るものではなく、任意の大きさの枠であってもよい。
【0120】
理想としては、枠内の全ブロックの判定結果が全て◎(総合判定が◎)となる位置(総合判定が○以下となるブロックが1つもない位置)を探索する。この場合には、全ブロックの総合判定が◎となる枠の位置座標を記憶し、この位置座標を推奨位置として表示する。但し、この様な理想的な場所が存在しない場合も有り得るので、最も判定結果が良い(適切な)位置を、推奨位置として表示することになる。これについて以下図15〜図17を参照して説明する。
【0121】
図15〜図17は、適切な設置場所を推定する処理を説明する為の図(その1)、(その2)、(その3)である。
まず、既に述べたように、上記全領域内の全てのブロックについて、それぞれ、そのブロックの総合判定結果と求めており、その結果の一例が図15に示す通りであるものとする。尚、これは、上記全領域(基準媒体画像の領域内外)における、総合判定内容の分布を求めたものと言うこともできる。
【0122】
そして、予め設定されている任意の大きさの領域(縦nブロック、横mブロック)を、予め設定されている初期位置に配置する。例えば、図16(a)に示す例では、n=8、m=8の大きさ(縦8ブロック×横8ブロック)の領域を示す図示の枠が、図示の初期位置すなわち全領域における左上隅に配置されている。尚、この“n×m領域”の大きさは、例えば上記基準媒体の領域の大きさとするが、この例に限らない。
【0123】
そして、まず、上記初期位置において、領域内(枠内)の全てのブロックについて、そのブロックの総合判定を例えば下記のように点数化し(予め設定・記憶してある)、全ブロックの点数の総和を求め、この総和をその位置(ここでは初期位置)の総点数として記憶する。その後、枠の位置を初期位置から徐々にズラしながら、各位置における総得点(評価点と言える)を算出・記憶する。算出した総得点(評価点)は、そのときの位置情報に対応付けて記憶する。
×・・・1点
△・・・2点
○・・・3点
◎・・・4点
【0124】
例えば、上記縦8ブロック×横8ブロックの領域(枠)をある位置に配置したとき、枠内の64個のブロックのうち、10個のブロックが×、20個のブロックが△、30個のブロックが○、4個のブロックが◎であったとするならば、この位置における上記総点数は、
10×1+20×2+30×3+4×4=156
となる。
【0125】
但し、これは一例であり、この例に限らない。例えば、図4(c)等で説明した通り、総合判定結果としては、○、△等の判定だけでなく重み付け係数も得られているので、この重み付け係数の数値を、そのまま用いて、上記総得点の計算を行うようにしてもよい。
【0126】
図16、図17に示す例では、まず上記図16(a)に示す初期位置(左端かつ上端)における上記総得点を算出したら、続いて例えば図16(b)に示すように枠を横方向(右方向)に1ブロック分ズラした位置において、上記初期位置と同様に総得点を算出して記憶する。その後も、枠の位置を右方向へ1ブロック分ずつズラしながら、各位置における総得点を算出して記憶する。尚、逐一述べないが、既に述べた通り、各総得点はそのときの枠の位置情報に対応付けて記憶される。尚、枠の位置情報は、例えば枠の左上隅(左端且つ上端)の行番号且つ列番号等であるが、この例に限らない。
【0127】
上述した処理を繰り返すことで枠の位置が図16(c)に示すように右端に達したら、この右端位置における総得点を算出・記憶した後、枠を左端に戻すと共に縦方向(下方向)に1ブロック分ズラした位置に配置する。すなわち、図17(a)に示す位置へと配置する。そして、この位置における総得点を算出・記憶し、更に上記と同様に枠の位置を右方向へ1ブロック分ずつズラしながら、各位置における総得点を算出して記憶する。そして、右端に達したら、上記と同様に、左端に戻すと共に下方向に1ブロック分ズラす。
【0128】
以上の処理を繰り返すことで、最終的に、枠の位置は図17(b)に示す位置(右端かつ下端)となり、この位置において総得点を算出して記憶する。そして、記憶してある全ての総得点同士を比較することで、最も値が大きい総得点を探し出す。そして、当該最高点の総得点に対応する位置情報を取得する。図示の例では、図17(c)に示す位置(右端且つ上端)の総得点が、最高点であり、この位置を示す位置情報が取得され、この位置が最適な(適切な)設置位置と推定され記憶される。
【0129】
そして、上記推定・記憶された最適な(適切な)設置位置を、例えば図8(b)に示すようにして表示する。
尚、枠の位置の移動方法は、図16、図17に示す例に限らない。任意の大きさの枠を任意に移動させて、各位置における上記評価点を求めればよい。
【0130】
以上説明したように、本例のスタンド型イメージスキャナ装置、その初期診断装置等によれば、スタンド型イメージスキャナに係わり、照度を計測する専用の計測器を必要とすることなく、自動的に、設置場所の照明環境が適切か否かを判定することができる。自動的で行うので、従来のように手間が掛かることはなく、更に従来のように測定者によって結果がばらついたり曖昧になったりと測定の精度が一定ではない等という問題が生じるようなことはなく、一定の精度をもって設置場所の照明環境の推定(照明光量や影の強さの推定)を行うことでき、これに基づいて的確な評価(適切か否か)を行うことができる。
更に、設置場所の照明環境が不適切と判定された場合には、自動的に推奨設置位置を求めて表示等することができる。推奨設置位置は、上記の通り、最適な(適切な)設置位置と言うことができるものである。更に、図8に示すようなユーザが直感的に分かり易いような推奨設置位置の表示を行うことができる。
スタンド型イメージスキャナの設置作業が効率的に行えるようになり、ユーザの手間を軽減できるようになる。
【0131】
本手法では、照度計等を用いずに、基準媒体画像に基づいて周囲からの基準媒体に対する光量(周囲の照明光量)を推定できる。更に、影の強さを推定している。これらは何れも原稿面の状態を示す上記基準媒体画像に基づいて推定される。
【0132】
一方、上記特許文献1等の従来技術の場合、明るさ検出器が必要であるし、この明るさ検出器は原稿の近傍の明るさを検出しているだけであり(原稿面の明るさそのものではない)、更に原稿等に影が掛かっていても明るさ検出器に影が掛かっているとは限らない(当然、その逆も有り得る)。更に特許文献1では影部分の画像の補正を行うことはできない。
【0133】
本手法では、スタンド型イメージスキャナの設置場所の照明環境の評価の際に、上記推定した周囲の照明光量と影の強さとを相互に関連付けて、より正確な周囲環境の推定(評価)を行うことができる。例えば、従来のような明るさだけを要素とした評価方法では不十分であった例えば「明るさは仕様範囲内ぎりぎりだが、影が無く均一な照明環境のため、撮影には適している環境」や「明るさは妥当だが一部に非常に強い影があるため、撮影の際に悪影響がでる」等といった環境に対しても、的確な評価が行えることが(より実運用に即した評価が行えることが)期待できる。
【符号の説明】
【0134】
1 台座部
2 支柱部
3 カメラボード
4 レンズ
5 制御PC(パソコン)
6 LCDモニタ
7 USBインタフェース
11 イメージセンサ
12 制御CPU
12a USBコントローラ
13 RAM
20 照明光量用の判定マトリックス
21 推定照明光量
22 判定
23 重み付け係数
30 影の強さ用の判定マトリックス
31 影の強さ
32 判定
33 重み付け係数
40 総合判定用マトリックス
41 「影の強さの判定」
42 「周囲の照明光量の判定」

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の光源から照射される光を用いて撮像対象物の画像を撮像する撮像部を有するスタンド型イメージスキャナ装置であって、
前記撮像対象物としての所定の基準媒体を前記撮像部が撮像して成る基準媒体画像を入力する入力手段と、
該基準媒体画像において影部分以外が所定の階調値となるように露出時間または/及びゲイン量を調整して、調整後の基準媒体画像を得る階調値調整手段と、
該調整後の露出時間または/及びゲイン量に基づいて前記照射光による照明光量の推定値を算出する照明光量算出手段と、
前記調整後の基準媒体画像において前記所定の階調値となっていない部分である前記影部分に関して、影の強さを算出する影の強さ算出手段と、
予め各照明光量と各影の強さとの各組み合わせに応じて、周囲の照明環境の適切性を示す判定内容が登録された判定内容記憶手段と、
前記照明光量算出手段で算出された前記照明光量の推定値と、前記影の強さ算出手段で算出された影の強さとの組み合わせに応じて、前記判定内容記憶手段を参照して該当する判定内容を取得することで、周囲の照明環境が適切か否かを判定する周囲環境適切性判定手段と、
を有することを特徴とするスタンド型イメージスキャナ装置。
【請求項2】
前記判定内容記憶手段は、予め、各照明光量に応じた周囲の照明環境の適切性を示す第1の判定内容が登録された第1判定マトリックスと、各影の強さに応じた照明環境の適切性を示す第2の判定内容が登録された第2判定マトリックスと、前記第1の判定内容と前記第2の判定内容との組み合わせに応じた総合判定内容が登録された総合判定マトリックスとを記憶しており、
周囲環境適切性判定手段は、前記第1判定マトリックスを参照して前記照明光量算出手段で算出された周囲の照明光量の推定値に応じた第1の判定内容を取得し、前記第2判定マトリックスを参照して前記影の強さ算出手段で算出された影の強さに応じた第2の判定内容を取得し、該取得した第1、第2の判定内容に応じて、前記判定内容記憶手段を参照することで、該当する総合判定内容を取得することを特徴とする請求項1記載のスタンド型イメージスキャナ装置。
【請求項3】
前記周囲環境適切性判定手段によって周囲の照明環境が不適切と判定された場合、前記基準媒体画像の領域内外の影の分布を求め、該求めた影の分布に基づいて前記基準媒体画像の領域内外の照明光量の分布を求め、該求めた影の分布と照明光量の分布とに基づいて、推奨設置位置を求める推奨設置位置算出手段を、更に有することを特徴とする請求項1または2記載のスタンド型イメージスキャナ装置。
【請求項4】
前記推奨設置位置算出手段は、
前記基準媒体上における影の強さの分布を求め、該求めた影の強さの分布に基づいて前記基準媒体の領域外における影の分布を推定することで、前記基準媒体画像の領域内外の影の分布を求め、
該求めた領域内外の影の分布と前記照明光量算出手段で算出した照明光量とに基づいて、前記基準媒体画像の領域内外の照明光量の分布を求め、
該求めた領域内外の影の分布と照明光量の分布とに基づいて、領域内外の前記総合判定内容の分布を求め、
該求めた領域内外の前記総合判定内容の分布に基づいて、前記推奨設置位置を求めることを特徴とする請求項3記載のスタンド型イメージスキャナ装置。
【請求項5】
前記推奨設置位置算出手段は、前記領域内外の前記総合判定内容の分布に基づいて、該各総合判定内容を数値化し、前記領域内外の全領域において所定の大きさの枠を任意に移動させて任意の各位置において、該枠内の全ての前記総合判定内容の前記数値の総和を求めることでその位置における評価点を求めることで、評価点が最も高い位置を前記推奨設置位置とすることを特徴とする請求項4記載のスタンド型イメージスキャナ装置。
【請求項6】
周囲の光源から照射される光を用いて撮像対象物の画像を撮像する撮像部を有するスタンド型イメージスキャナ装置における初期診断装置であって、
前記撮像対象物としての所定の基準媒体を前記撮像部が撮像して成る基準媒体画像に基づいて、該基準媒体画像において影部分以外が所定の階調値となるように露出時間または/及びゲイン量を調整して、調整後の基準媒体画像を得る階調値調整手段と、
該調整後の露出時間または/及びゲイン量に基づいて前記照射光による照明光量の推定値を算出する照明光量算出手段と、
前記調整後の基準媒体画像において前記所定の階調値となっていない部分である前記影部分に関して、影の強さを算出する影の強さ算出手段と、
予め各照明光量と各影の強さとの各組み合わせに応じて、周囲の照明環境の適切性を示す判定内容が登録された判定内容記憶手段と、
前記照明光量算出手段で算出された前記照明光量の推定値と、前記影の強さ算出手段で算出された影の強さとの組み合わせに応じて、前記判定内容記憶手段を参照して該当する判定内容を取得することで、周囲の照明環境が適切か否かを判定する周囲環境適切性判定手段と、
を有することを特徴とするスタンド型イメージスキャナ装置の初期診断装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−231338(P2012−231338A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98774(P2011−98774)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】