説明

スチールコードの製造方法及び撚合わせ装置

【課題】カレンダー工程においてシース素線の膨みを防止できるスチールコードの製造方法を提供する。
【解決手段】コア15となる並列状態の複数本のコア素線9とシース16となる複数本のシース素線10とが撚合わせ装置6に形成された断面長円形状又は断面楕円形状の穴17に通されることによって、複数本のシース素線10がコア15の周囲に巻き付けられた状態に撚合わされたスチールコードを製造するスチールコードの製造方法において、撚り合わせ装置6の穴17として、長径寸法Aが、(コア素線径×コア素線数+シース素線径×2)により算出された長さの103.5%以下で、かつ、短径寸法Bが、(コア素線径+シース素線径×2)により算出された長さの104.6%以下に形成された穴17を用いたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤやコンベアベルトなどのゴム物品を補強するスチールコードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤやコンベアベルトなどのゴム物品を補強するスチールコードの製造方法として、コアとなる並列状態の複数本のコア素線とシースとなる複数本のシース素線とが撚合わせ装置に形成された断面楕円形状の穴に通されることによって、複数本のシース素線がコアの周囲に巻き付けられた状態に撚合わされたスチールコードを製造するスチールコードの製造方法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。この方法によって製造されたスチールコードは周知のカレンダー工程に送られる。このカレンダー工程では、スチールコードが簾状に織られて形成されたコード反物をロール間に通しながらコード反物の両面にゴムを圧着(コーティング)させることによって、空気入りタイヤのプライやベルト、コンベアベルトのようなスチールコードを内蔵した板状のゴム物品が製造される。
【特許文献1】特開2001−3281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カレンダー工程においては、コード反物がコード反物を挟み込むように位置される対のロールからの圧力を受けながら対のロール間を通過して巻取装置で巻き取られる。即ち、スチールコードが対のロール間を通過する際に所謂しごかれる状態となる。従来のスチールコードの製造方法によって形成されたスチールコードによれば、撚合わせ装置の穴を通過した複数本のシース素線の撚合わせ力が弱く、カレンダー工程においてスチールコードが対のロール間を通過する際にしごかれた場合に、スチールコードを構成するシース素線の撚り戻りが発生し、シース素線が膨らんでしまって、カレンダー工程においてゴム内に打ち込まれるスチールコードの打ち込み間隔(即ち、上記板状のゴム物品の構成要素となるトリートに打ち込まれたスチールコードの間隔)が乱れるという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、カレンダー工程においてシース素線の膨みを防止できるスチールコードの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるスチールコードの製造方法は、コアとなる並列状態の複数本のコア素線とシースとなる複数本のシース素線とが撚合わせ装置に形成された断面長円形状又は断面楕円形状の穴に通されることによって、複数本のシース素線がコアの周囲に巻き付けられた状態に撚合わされたスチールコードを製造するスチールコードの製造方法において、撚り合わせ装置の穴として、長径寸法が、(コア素線径×コア素線数+シース素線径×2)により算出された長さの103.5%以下で、かつ、短径寸法が、(コア素線径+シース素線径×2)により算出された長さの104.6%以下に形成された穴を用いたことを特徴とする。
穴の中心軸に沿った方向の長さが、スチールコード撚りピッチの1ピッチ以上の長さに形成された撚合わせ装置を用いたことも特徴とする。
撚合わせ装置が、下板と上板とにより形成され、下板の上面に形成された断面半長円形状又は断面半楕円形状の下溝と上板の下面に形成された断面半長円形状又は断面半楕円形状の上溝とが互いに上下に位置合わされて断面長円形状又は断面楕円形状の穴が形成されたことも特徴とする。
上板を上から押さえる荷重が、複数本のシース素線と複数本のコア素線とが撚合わせ装置の穴に入る前に複数本のシース素線と複数本のコア素線とに加わっている張力の51%以上であることも特徴とする。
本発明による撚合わせ装置は、コアとなる並列状態の複数本のコア素線とシースとなる複数本のシース素線とが通過する断面長円形状又は断面楕円形状の穴を備えた撚合わせ装置において、穴の長径寸法が、(コア素線径×コア素線数+シース素線径×2)により算出された長さの103.5%以下に形成され、かつ、断面楕円形状の穴の短径寸法が、(コア素線径+シース素線径×2)により算出された長さの104.6%以下に形成されたことを特徴とする。
穴の中心軸に沿った方向の長さが、スチールコード撚りピッチの1ピッチ以上の長さに形成されたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のスチールコードの製造方法によれば、撚り合わせ装置の穴として、長径寸法が、(コア素線径×コア素線数+シース素線径×2)により算出された長さの103.5%以下で、かつ、短径寸法が、(コア素線径+シース素線径×2)により算出された長さの104.6%以下に形成された穴を用いたので、撚り合わせ時に、素線使用長さが均一化されることによって、カレンダー工程でのシース素線の膨みを抑制可能なスチールコードを製造できる。
穴の中心軸に沿った方向の長さが、スチールコード撚りピッチの1ピッチ以上の長さに形成された撚合わせ装置を用いたことにより、穴とスチールコードとの接触長さが長くなるため、上述したようにカレンダー工程でのシース素線の膨みを抑制できるスチールコードをより確実に製造できる。
撚合わせ装置が、下板と上板とにより形成されたので、シース素線が穴内で絡まって詰まってしまうというような不具合が生じた場合に、上板を外すことができるため、不具合を容易に解消できるようになる。
上板を上から押さえる荷重が、複数本のシース素線と複数本のコア素線とが撚合わせ装置の穴に入る前に複数本のシース素線と複数本のコア素線とに加わっている張力の51%以上であるので、撚り合わせ時の素線の張力によって撚合わせ装置の上板が開いてしまったり、撚り線機の稼動中に、撚合わせ装置の上板と下板とが互いにずれてしまうようなことを防止できるので、上述したようにカレンダー工程でのシース素線の膨みを抑制できるスチールコードをより確実に製造できる。
また、本発明の撚合わせ装置によれば、カレンダー工程においてシース素線の膨みを防止できるスチールコードを製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図2を参照し、スチールコードの製造方法に用いるスチールコードの製造装置を説明する。製造装置1は、回転バレル2、コアボビン3、シースボビン4、型付け装置5、ボイスと呼ばれる撚合わせ装置6、巻き上げ機7(キャプスタン)、巻取装置8を備える。図示した、回転バレル2、コアボビン3、シースボビン4、型付け装置5、撚合わせ装置6を備えた構成の機械は、チューブラー型撚り線機と呼ばれる。
【0007】
回転バレル2は、筒状の回転体であり、図外のモータのような回転駆動源により筒の中心軸を中心として回転する。回転バレル2の前段には、コア素線9が巻き付けられたコアボビン3が例えば2個設けられる。回転バレル2の筒の内側には、シース素線10が巻き付けられたシースボビン4が例えば4個設けられる。型付け装置5は、回転バレル2の後段に設けられる。撚合わせ装置6は、型付け装置5の後段に設けられる。撚合わせ装置6の後段に、巻き上げ機7、巻取装置8が設けられる。
【0008】
型付け装置5は、筒体11と筒体11の筒の外周面に設けられた型付け部12とを備える。型付け部12は、筒体11の筒の外周面より突出するよう設けられた複数本のシース素線ガイドピン13により形成されるシース素線ガイドピン群14を複数組備える。シース素線ガイドピン群14は、筒体11の筒の外周面において筒の軸に沿った方向に複数のシース素線ガイドピン13が所定間隔隔てて並ぶように設けられて形成される。
【0009】
図1に示すように、撚合わせ装置6は、コア15となる並列状態の複数本のコア素線9とシース16となる複数本のシース素線10とを通過させる断面長円形状又は断面楕円形状に形成された穴17を備える。長円形状とは、二つの半円を直線で繋げた陸上競技場のトラックのような形状のことである。
そして、穴17の径寸法は、長径寸法Aが、(コア素線径x×コア素線数n+シース素線径y×2)により算出された長さaの103.5%以下で、かつ、短径寸法Bが、(コア素線径x+シース素線径y×2)により算出された長さbの104.6%以下に形成される。
【0010】
また、穴17の中心軸20に沿った方向の長さは、スチールコードの撚りピッチPの1ピッチ以上の長さに形成される(図4参照)。
スチールコード撚りピッチPとは、スチールコード30の軸線に沿った方向の間隔のことであって、断面が同じ形状となる前後直近の位置と位置との間の間隔(長さ)のことである(図5参照)。尚、図5の下段に示した断面図は、本発明による製造方法により製造されたスチールコード30の各点線の位置での断面形状をそれぞれ図示したものである。
このように、穴17の中心軸20に沿った方向の長さが、スチールコード撚りピッチPの1ピッチ以上の長さに形成された撚合わせ装置6を用いたことにより、穴17とスチールコード30との接触長さが長くなるため、カレンダー工程でのシース素線の膨みを抑制できるスチールコード30をより確実に製造できる。
【0011】
撚合わせ装置6は、下板21と上板22とにより形成され、下板21の上面に形成された断面半長円形状又は断面半楕円形状の下溝と上板の下面に形成された断面半長円形状又は断面半楕円形の上溝とが互いに上下に位置合わされることによって断面長円形状又は断面楕円形状穴17が形成される(図3参照)。このように、下板21と上板22とにより構成された撚合わせ装置6としたことによって、例えば、シース素線10が穴17内で絡まって詰まってしまうというような不具合が生じた場合に、上板22を外すことができるため、不具合を容易に解消できる。即ち、メンテナンス性に優れた撚合わせ装置6を得ることができる。
【0012】
上板22には、上板22を上から押さえる荷重がプレス装置26により加えられる。この荷重は、複数本のシース素線10と複数本のコア素線9とが撚り合わせ装置6の穴17に入る前に複数本のシース素線10と複数本のコア素線9とに加わっている張力の51%以上に設定される。これにより、撚り合わせ時の素線の張力によって撚合わせ装置6の上板22が開いてしまったり、撚り線機の稼動中に、撚合わせ装置6の上板22と下板21とが互いにずれてしまうようなことを防止できるので、カレンダー工程でのシース素線の膨みを抑制できるスチールコード30をより確実に製造できる。
【0013】
次に、スチールコードの製造方法を説明する。まず、ボビン3;4から巻き出された素線9;10を巻取装置8の巻取軸28に連結する準備作業を説明する。
図2に示すように、コア素線9が巻き付けられたコアボビン3が2個の場合、2個のコアボビン3から巻き出されたそれぞれのコア素線9が回転バレル2の内面に沿わされて回転バレル2の筒の出口27に導かれ、この2本のコア素線9が例えば横方向に並べられた状態で型付け装置5の筒体11の筒穴29及び撚合わせ装置6の穴17を通過した後に、巻き上げ機7を経由して2本のコア素線9の先端部が巻取装置8の巻取軸28に連結される。
シース素線10が巻き付けられたシースボビン4が4個の場合、4個のシースボビンから巻き出されたそれぞれのシース素線10が回転バレル2の内面に沿わされて回転バレル2の筒の出口27に導かれる。この場合、シース素線10の1つ1つが、回転バレル2の筒の出口27の内周面において互いに90°隔てた位置に導かれた後に、型付け装置の型付け部12に導かれる。そして、シース素線10の1つ1つが、それぞれ異なるシース素線ガイドピン群14のシース素線ガイドピン13に撚合わせ装置6の方向に向けて螺旋を描くように掛け渡されてから撚合わせ装置6の穴を通過した後に、巻き上げ機7を経由して4本のシース素線10の先端部が巻取装置8の巻取軸28に連結される。
【0014】
以上のような準備作業が終了した後に、コアボビン3、シースボビン4、回転バレル2、型付け装置5、巻き上げ機7、巻取軸28を回転させる。これにより、シース素線10が、型付け装置5によって撚合わせ装置6の方向に向けた螺旋状に変形した状態で撚合わせ装置6の穴17に導かれ、螺旋状に変形した状態の複数のシース素線10に回転バレル2及び型付け装置5の回転力による撚りが加えられながら螺旋状に変形した状態の複数のシース素線10が穴17内でコア素線9;9からなるコア15の周囲に巻き付くように撚合わされる。穴17を通過したコア15とコア15の周囲に撚合わされた状態の複数のシース素線10とにより形成されたスチールコード30が、巻き上げ機7によって巻き上げられた後に巻取装置8の巻取軸28に巻き取られる。以上によって、N+M構造のスチールコード30が製造される。ここで、Nはコア素線9(所謂、無撚りコア素線9)の数、Mはシース素線10の数であるので、上述したように、コア素線9が2本、シース素線10が4本で形成されるスチールコード30は、2+4構造のスチールコード30である。
【0015】
最良の形態によれば、長径寸法Aが、(コア素線径x×コア素線数n+シース素線径y×2)により算出された長さaの103.5%以下で、かつ、短径寸法Bが、(コア素線径x+シース素線径y×2)により算出された長さbの104.6%以下に形成された穴17を備えた撚合わせ装置6を用いてスチールコード30を製造したので、撚り合わせ時に、素線使用長さが均一化されることによって、カレンダー工程でのシース素線の膨みを抑制可能で打ち込み間隔の安定化が図れるスチールコードを製造できる。
【0016】
実施例
線径21mmのコア素線9、線径22.5mmのシース素線10を用いた2+4構造の撚りピッチP=14mmのスチールコード30を、穴径寸法の異なる穴17を備えた撚合わせ装置6を用いて製造し、その性能を実験した結果を図6に示す。
製造条件は、
・(コア素線径x×コア素線数n+シース素線径y×2)=a=0.87mm、
・(コア素線径x+シース素線径y×2)=b=0.66mm、
・撚合わせ装置6の穴17の中心軸に沿った方向の長さL=25mm、
・撚合わせ装置6の上板22を上から押さえる荷重W=4kg、
・撚合わせ装置6の穴に入る前の4本のシース素線10と2本のコア素線9とに加わっている張力(コードテンション)=T=7.8kgとした。
ここで、0.87mmの103.5%は0.90045mm、0.66mmの104.6%は0.69036mmである。また、長さL=25mmが撚りピッチP=14mm以上であり、荷重W=4kgがコードテンションT=7.8kgの51.28%であって51%以上である。
【0017】
図6からわかるように、撚合わせ装置6の穴17の長径寸法Aが、(コア素線径x×コア素線数n+シース素線径y×2)により算出された長さaの103.5%以下で、かつ、撚合わせ装置6の穴17の短径寸法Bが、(コア素線径x+シース素線径y×2)により算出された長さbの104.6%以下であるという条件を満たす、水準2、水準3、水準4に示す穴径の穴17を備えた撚合わせ装置6を用いてスチールコードを製造した場合、製造されたスチールコード30は、カレンダー工程において、シース素線10の膨みは発生しなかった。尚、図6からわかるように、撚合わせ装置6の穴17の長径寸法Aが、(コア素線径x×コア素線数n+シース素線径y×2)により算出された長さaの101.1%で、かつ、撚合わせ装置6の穴17の短径寸法Bが、(コア素線径x+シース素線径y×2)により算出された長さbの101.5%であるという条件を満たす場合に、カレンダー工程において、シース素線の膨みは発生しなかった。
従って、実施例から、上記製造条件を満たすと共に、断面長円形状又は断面楕円形状の穴17の長径寸法Aが、(コア素線径x×コア素線数n+シース素線径y×2)により算出された長さaの101.1%以上103.5%以下で、かつ、穴17の短径寸法Bが、(コア素線径x+シース素線径y×2)により算出された長さbの101.5%以上104.6%以下に形成された撚合わせ装置6を用いた場合に、カレンダー工程においてシース素線10の膨みが発生しないスチールコードを製造できることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0018】
穴17の径寸法は、長径寸法Aが、(コア素線径x×コア素線数n+シース素線径y×2)により算出された長さaよりも短い寸法であってもよいし、短径寸法Bが、(コア素線径x+シース素線径y×2)により算出された長さbよりも短い寸法であってもよい。ただし、穴17の長径寸法Aや短径寸法Bが、長さaや長さbよりも小さすぎる場合には、穴17の角とスチールコードとが接触してスチールコードが傷ついたり、スチールコードの撚り性状が乱れたりして、好ましくない。従って、穴17の長径寸法Aや短径寸法Bの最小値は、製造するスチールコードのサイズ等に応じてスチールコードが傷ついたりスチールコードの撚り性状が乱れたりしないような適切な値を選択すればよいが、実験では、長径寸法Aを長さaの85%以上、短径寸法Bを長さbの75%以上とした場合に、傷や撚り性状の乱れのないスチールコードを製造できた。
上板22と下板21とで形成された撚合わせ装置6を示したが、直方体ブロックに上述したような穴17が繰り抜かれたように形成された撚合わせ装置6を用いてもよい。
尚、長さLが撚りピッチP以上であること、荷重WがコードテンションTの51%以上であることの条件を満たすようにすれば、シース素線の膨み発生抑制効果を発揮できて、スチールコードをより確実に製造できるが、穴17の長径寸法A及び短径寸法Bの条件を満たした撚合わせ装置6を用いるだけでも、シース素線の膨み発生抑制効果のあるスチールコードを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】撚合わせ装置の穴径とスチールコードの線径との関係を示す図。
【図2】スチールコードの製造装置を示す図。
【図3】上板と下板とにより形成される撚合わせ装置を示す図。
【図4】撚合わせ装置の穴の中心軸に沿った方向の長さを示す図。
【図5】スチールコードの撚りピッチ及び断面形状を示す図。
【図6】実施例の実施結果を示す図。
【符号の説明】
【0020】
1 スチールコードの製造装置、6 撚合わせ装置、9 コア素線、
10 シース素線、15 コア、16 シース、17 穴、21 下板、22 上板、
30 スチールコード、A 穴の長径寸法、B 穴の短径寸法、P 撚りピッチ、
a (コア素線径x×コア素線数n+シース素線径y×2)により算出された長さ、
b (コア素線径x+シース素線径y×2)により算出された長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとなる並列状態の複数本のコア素線とシースとなる複数本のシース素線とが撚合わせ装置に形成された断面長円形状又は断面楕円形状の穴に通されることによって、複数本のシース素線がコアの周囲に巻き付けられた状態に撚合わされたスチールコードを製造するスチールコードの製造方法において、撚り合わせ装置の穴として、長径寸法が、(コア素線径×コア素線数+シース素線径×2)により算出された長さの103.5%以下で、かつ、短径寸法が、(コア素線径+シース素線径×2)により算出された長さの104.6%以下に形成された穴を用いたことを特徴とするスチールコードの製造方法。
【請求項2】
穴の中心軸に沿った方向の長さが、スチールコード撚りピッチの1ピッチ以上の長さに形成された撚合わせ装置を用いたことを特徴とする請求項1に記載のスチールコードの製造方法。
【請求項3】
撚合わせ装置が、下板と上板とにより形成され、下板の上面に形成された断面半長円形状又は断面半楕円形状の下溝と上板の下面に形成された断面半長円形状又は断面半楕円形状の上溝とが互いに上下に位置合わされて断面長円形状又は断面楕円形状の穴が形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスチールコードの製造方法。
【請求項4】
上板を上から押さえる荷重が、複数本のシース素線と複数本のコア素線とが撚合わせ装置の穴に入る前に複数本のシース素線と複数本のコア素線とに加わっている張力の51%以上であることを特徴とする請求項3に記載のスチールコードの製造方法。
【請求項5】
コアとなる並列状態の複数本のコア素線とシースとなる複数本のシース素線とが通過する断面長円形状又は断面楕円形状の穴を備えた撚合わせ装置において、穴の長径寸法が、(コア素線径×コア素線数+シース素線径×2)により算出された長さの103.5%以下に形成され、かつ、断面楕円形状の穴の短径寸法が、(コア素線径+シース素線径×2)により算出された長さの104.6%以下に形成されたことを特徴とする撚合わせ装置。
【請求項6】
穴の中心軸に沿った方向の長さが、スチールコード撚りピッチの1ピッチ以上の長さに形成されたことを特徴とする請求項5に記載の撚合わせ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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