ステアリングシャフトカバー
【課題】複雑な構造の成形型を用いることなく、製造を容易に行うことができるとともに、自動車のエンジン室と車室を区画する隔壁のスタッドボルトへの装着を簡単に行うことができるステアリングシャフトカバーを提供する。
【解決手段】エンジン室と車室とを区分けする隔壁に形成された貫通穴を貫通するステアリングシャフトの車室側をシールするステアリングシャフトカバーにおいて、前記ステアリングシャフトの外周を覆うカバー本体11aに設けられた扁平状の板部11b,11cに対し、弾性変形可能な第1〜第3係止爪21〜23を一体に形成する。各係止爪21〜23の円弧状の爪部によって前記隔壁に立設されたスタッドボルトを貫通する係止孔26を形成する。第1係止爪21と第3係止爪23の間に開口部27を設け、開口部27の両側縁に係止解除用の突起28を設ける。
【解決手段】エンジン室と車室とを区分けする隔壁に形成された貫通穴を貫通するステアリングシャフトの車室側をシールするステアリングシャフトカバーにおいて、前記ステアリングシャフトの外周を覆うカバー本体11aに設けられた扁平状の板部11b,11cに対し、弾性変形可能な第1〜第3係止爪21〜23を一体に形成する。各係止爪21〜23の円弧状の爪部によって前記隔壁に立設されたスタッドボルトを貫通する係止孔26を形成する。第1係止爪21と第3係止爪23の間に開口部27を設け、開口部27の両側縁に係止解除用の突起28を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングシャフトカバーに係り、詳しくはステアリングシャフトの一部を遮蔽するように、自動車の車室側に設けられるステアリングシャフトカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のステアリング装置は、車室内に設けられたステアリングホイールの回転がステアリングシャフトを介してエンジン室に設けられたステアリングギアに伝達され、このギアの運動がステアリングラック、タイロッド及びナックルアームに伝達されることにより前輪の操舵が行われる。車室とエンジン室を区画する隔壁には前記ステアリングシャフトを貫通するための貫通孔が設けられている。この貫通孔を通してエンジン室の騒音、塵埃等が車室内に侵入するのを防ぐため、前記貫通孔が車室側に設けたステアリングシャフトカバーによって遮蔽されている。
【0003】
前記ステアリングシャフトカバー11として、従来、図16に示すものが提案されている。このステアリングシャフトカバー11は、自動車のエンジン室と車室の隔壁12の貫通穴12aに貫通されたステアリングシャフト13の外周面に嵌合される切り欠き円筒状のカバー本体11aと、このカバー本体11aの下端周縁に一体に形成された広面積の板部11bと、上端縁に一体形成された舌片状の板部11cとにより構成されている。前記板部11b,11cには前記隔壁12に固定された二本のスタッドボルト14を挿通するための挿通孔11dがそれぞれ形成されている。そして、図17に示すように挿通孔11dにスタッドボルト14を貫通した後、両スタッドボルト14に単体のクリップ15を圧入し、板部11b,11cを隔壁12に取り付けるようにしている。
【0004】
一方、前記ステアリングシャフトカバー11として、従来、図18に示すように、板部11bの二箇所にクリップ部17を一体に形成したものも提案されている。このクリップ部17は板部11bの裏面に図19に示すように円筒体17aを一体に形成し、この円筒体17aの内部に三つ(二つのみ図示)の係止爪17bを周方向に等間隔をおいて一体に形成し、各係止爪17bに解除片17cをそれぞれ一体に形成して構成されている。
【0005】
上記ステアリングシャフトカバー11は、前記各係止爪17bにより形成された係止孔17dにスタッドボルト14を対応させた状態で、クリップ部17を隔壁12に向かって押動し、スタッドボルト14により各係止爪17bを弾性変形させて図19に示すように前記係止孔17dに該ボルト14を押し込むことにより隔壁12に装着される。(特許文献1参照:図6には板部にボス孔と爪部を形成した構成が開示されている。)
【特許文献1】特開2005−119551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前者のステアリングシャフトカバーは、図16に示すように板部11bと板部11cが同一平面上になくても、二つの挿通孔11dが板部11b,11cに形成された単純な形状の透孔であるため、通常の構造の成形型により容易に成形でき、二本のスタッドボルト14が非平行であってもステアリングシャフトカバー11を隔壁12に装着することができる。しかし、挿通孔11dにスタッドボルト14を挿通した後に、スタッドボルト14に単体のクリップ15を取り付ける作業が必要であるため、カバー11の装着作業が面倒であるばかりでなく、部品点数が多くなりコストダウンを図ることができないという問題があった。
【0007】
一方、後者のステアリングシャフトカバーは、隔壁12に対する取付作業をワンタッチで行い、単体のクリップも不要にすることができ、部品点数を少なくしてコストダウンを図ることができる。しかし、ステアリングシャフトカバーの成形工程において、板部11bに設けられた二つの前記円筒体17aの型抜きを行うため、両円筒体17aを互いに平行にする必要がある。このため、隔壁12を一平面として、この隔壁12に二本のスタッドボルト14を互いに平行に立設する必要がある。従って、自動車製造会社が設計した任意の形状の隔壁12及び非平行な複数のスタッドボルト14に適合させることができないという問題があった。
【0008】
上記の問題を解消するため、前記二つの円筒体17aの方向及び位置を変更することも考えられるが、この場合には成形型の構造が非常に複雑となり、成形型のコストが大幅にアップするという別の問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点を解消して、複雑な構造の成形型を用いることなく、製造を容易に行うことができるとともに、自動車のエンジン室と車室を区画する隔壁のスタッドボルトへの装着を簡単に行うことができるステアリングシャフトカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、エンジン室と車室とを区画する隔壁に形成された貫通穴を貫通するステアリングシャフトの車室側を遮蔽するステアリングシャフトカバーにおいて、前記ステアリングシャフトの外周を覆う筒状のカバー本体に設けられた板部に対し、前記隔壁に立設された複数のスタッドボルトを挿入係止させる複数の係止孔を形成し、各係止孔の内周縁には弾性変形して前記スタッドボルトの外周面に係止可能な板状の係止爪をそれぞれ設け、前記係止爪により扁平状のクリップ部を形成し、前記係止孔を開口部又はスリットにより前記板部の外周縁と連通したことを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記板部に対し前記開口部又はスリットを挟むように前記スタッドボルトに係止爪が係止された状態を解除する工具を係止するための工具係止部を設けたことを要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記係止爪は前記係止孔の周方向に所定の間隔をおいて複数箇所に設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3において、前記工具係止部は、前記開口部又はスリットの両側縁の板部に形成された一対の突起又は係合孔であって、両突起又は両係合孔が工具により離間されることにより係止爪の係止状態が解除されるように構成されていることを要旨とする。
【0013】
(作用)
本発明は、隔壁に立設されたスタッドボルトの先端部に対し、板部に形成された扁平状のクリップ部の係止孔を対応させた状態で、板部をスタッドボルトに向かって押動すると、係止爪が弾性変形されて、係止孔の内部にスタッドボルトが押し込まれ、スタッドボルトに板部が係止爪によって係止される。
【0014】
前記複数のクリップ部は板部の板厚とほぼ同じ扁平状であるため、同一平面に存在しない複数の板部に対しクリップ部を通常の構造の成形型によりそれぞれ容易に成形することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複雑な構造の成形型を用いることなく、製造を容易に行い、部品点数を少なくしてコストを低減することができるとともに、自動車のエンジン室と車室を区画する隔壁の複数のスタッドボルトへの装着を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化したステアリングシャフトカバーの一実施形態を図1〜図14に従って説明する。
図1に示すように、この実施形態のステアリングシャフトカバー11は、例えば ポリプロピレンにゴム材を混入したバンパー材等の材料を用いて射出成形型により射出成形されている。このステアリングシャフトカバー11は、背景技術で記載されたように切り欠き円筒状のカバー本体11aと、このカバー本体11aの下側外周縁に一体成形された平板状の板部11bと、カバー本体11aの上端外周縁の一部に舌片状に一体成形された板部11cとにより構成されている。前記板部11bの下側周縁及び板部11cの上端縁には、扁平状のクリップ部20がそれぞれ成形されている。図2に示すように下部の前記板部11bのクリップ部20は、自動車のエンジン室と車室を区画する隔壁12の垂直壁部に立設されたスタッドボルト14に係止され、上部の前記板部11cのクリップ部20は隔壁12の傾斜壁部に立設されたスタッドボルト14に係止されている。前記両クリップ部20はそれらの上下の向きが異なるのみで、同じ構成のため下側のクリップ部20について図3〜図7により説明する。
【0017】
図3に示すように、前記板部11bの下側周縁には、下方に開放された凹部11eが形成され、この凹部11eの奥側には、第1〜第3係止爪21〜23が板部11bと一体に、かつ板部11bの板厚と同じ板厚となるように成形されている。前記第1,第2係止爪21, 22間及び第2,第3係止爪22, 23間には、切欠き円形状の第1凹部24及び第2凹部25が形成されている。前記各係止爪21〜23は先端ほど幅狭となるほぼ台形状に形成され、それらの先端の爪部21a〜23aは、それぞれ円弧状に形成されている。前記各爪部21a〜23aによって、スタッドボルト14が貫通される拡径可能な係止孔26が形成されている。
【0018】
前記第1係止爪21と第3係止爪23の間には、前記係止孔26の拡径を許容するための開口部27が形成されている。前記開口部27の両側の板部11bの表面には、前記係止孔26の拡径を行うための工具を係止する工具係止部としての一対の突起28が互いに平行に、かつ前記板部11bと一体に成形されている。
【0019】
図3に示すように、前記係止孔26の中心O1から前記各爪部21a〜23aまでの半径r1は同じ(例えば2.9mm)に設定されている。前記係止孔26の直径d1(図面には符号d1は記載されていないが、d1=2×r1で例えば5.8mm)は、スタッドボルト14の直径d2(図面には符号d2は記載されていないが、例えば6.0mm)よりも若干小さく形成されている。そして、前記係止孔26にスタッドボルト14が強制的に挿入されるように構成されている。
【0020】
前記第1,第2凹部24,25の中心O2,O3からの同第1,第2凹部24,25の半径r2,r3は、前記半径r1とほぼ同じに設定されている。前記爪部21a〜23aの前記係止孔26の中心O1に関する形成角αは、20〜40°の範囲で、例えば30°にそれぞれ設定されている。前記係止孔26の中心O1と第1凹部24の中心O2及び第2凹部25の中心O3をそれぞれ結ぶ直線L1,L2の角度、つまり前記中心O1に関する第1凹部24及び第2凹部25の形成角βは、120°に設定されている。
【0021】
前記ステアリングシャフトカバー11を射出成形型により射出成形した後に、型抜きが図1、図2及び図5において矢印で示す型抜き方向Pに行われるので、それに対応するように、クリップ部20の凹部11e(開口部27)の開口方向及び突起28の形成方向が前記型抜き方向Pと同じになっている。これに伴って、前記第1〜第3係止爪21〜23及び第1,第2凹部24,25の周縁は、図3〜図6に示すように型抜き方向Pと同方向に傾斜する斜面となっている。
【0022】
図1に示すように、前記両クリップ部20のうち下方のクリップ部20のみと対応して、板部11bの裏面には、前記係止孔26を挟むように下駄の足状の突起11fが互いに平行に一体形成されている。
【0023】
図2に示すように、カバー本体11aの内周面には、例えばフェルト等の吸音材29が接着されている。カバー本体11aの上端開口部には、ステアリングシャフト13の外周面との間を遮蔽する蛇腹状のダストカバー30が装着されている。前記隔壁12の垂直壁部には、例えばフェルト等の吸音材31が接着され、この吸音材31には前記スタッドボルト14を突出し、かつ前記板部11bの突起11fを収容するための収容穴31aが形成されている。
【0024】
なお、図8〜図14は、ステアリングシャフトカバー11の特徴部分であるクリップ部20のみのを実線で表し、他の部分を破線で表した正面図、背面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図及び斜視図である。
【0025】
次に、前記のように構成されたステアリングシャフトカバー11のクリップ部20のスタッドボルト14への取付方法について説明する。
図7(a)に示すように、自動車のエンジン室と車室を区画する隔壁12に立設されたスタッドボルト14に対し、ステアリングシャフトカバー11の板部11bに形成されたクリップ部20の係止孔26を対応させる。そして、板部11cを手で隔壁12に向かって押圧し、図7(b)に示すように係止孔26の内部に強制的にスタッドボルト14を進入させる。この操作により、各係止爪21〜23の爪部21a〜23aが弾性変形されて、スタッドボルト14のネジ部14aの山部を乗り越えてスタッドボルト14の中間部まで移動され、各爪部21a〜23aがネジ部14aに係止される。
【0026】
前記板部11cに形成されたクリップ部20のスタッドボルト14に対する取り付けも板部11bに形成されたクリップ部20の取り付け方向と同様に行われる。
上述のように前記クリップ部20の係止孔26に対しスタッドボルト14を押し込み係止する際の力を試験装置により温度が23℃の雰囲気中で測定した。試験装置として、島津製作所製の商品名「オートグラフAG−20K NE」を用いた。又、試験条件として、前記クリップ部20に対するスタッドボルト14の押し込み速度を5mm/分とし、押し込み量を10mmとした。前記クリップ部20の板厚寸法が2.0mm、前記第1〜第3係止爪21〜23の爪部21a〜23aの形成角αが30°、係止孔26の直径d1が5.8mm、スタッドボルト14の直径d2が6.0mmの場合に、約40N(ニュートン)であった。又、スタッドボルト14の引き抜きに要する力を前記試験装置により同じ試験条件で測定したところ、約30N(ニュートン)であった。スタッドボルト14の係止孔26への挿入と引き抜きをそれぞれ3回繰り返しても両者の力は、殆ど変化が見られなかった。従って、ステアリングシャフトカバー11が自動車の操舵装置の保守点検等のために繰り返し脱着されてもスタッドボルト14とステアリングシャフトカバー11のクリップ部20の連結強度上問題が無いことが判った。
【0027】
図2及び図7(b)に示すようにスタッドボルト14に係止されたクリップ部20を操舵装置の点検時等において取り外す場合には、係止爪21〜23が係止された状態を解除する工具(図示略)を用いて、前記両突起28を互いに離間する方向(図3のQ矢印参照)に移動させる。この両突起28の移動作業により三つの前記第1〜第3係止爪21〜23のうち第1係止爪21及び第3係止爪23が互いに離間する方向に移動されて、スタッドボルト14に対する係止状態が解かれ、スタッドボルト14から板部11bを容易に引き離すことができる。
【0028】
上記実施形態のステアリングシャフトカバーによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ステアリングシャフトカバー11の板部11b,11cにクリップ部20を一体に成形した。このため、単体のクリップを別途用意しなくても済み、部品点数が少なくなってコストダウンを図ることができる。
【0029】
(2)上記実施形態では、板部11b,11cに対し、この板部11b,11cの板厚寸法と同じ厚さの第1〜第3係止爪21〜23よりなる扁平状のクリップ部20を形成した。このため、同一平面に存在しない複数の板部11b,11cに形成された二つのクリップ部20の成形型の型抜き方向を同じにすることができ、成形型として通常の構造の安価な成形型を用いることができる。
【0030】
(3)上記実施形態では、同一平面に存在しない板部11b,11cにクリップ部20をそれぞれ成形したので、隔壁12に非平行に立設された二本のスタッドボルト14に対し、前記両クリップ部20を容易に装着することができる。換言すれば、自動車製造会社が設計した任意の形状の隔壁12及び非平行な複数本のスタッドボルト14に適合するようにステアリングシャフトカバー11の構造を適正に設計することができる。
【0031】
(4)上記実施形態では、板部11b,11cに工具係止部としての一対の突起28を設けたので、両突起28を工具を用いて離隔することにより前記スタッドボルト14に対する第1〜第3係止爪21〜23の係止状態を容易に解除することができ、スタッドボルト14からカバー11を容易に取り外すことができる。
【0032】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・図15(a)に示すように、前記第3係止爪23及び第2凹部25を省略した構成としてもよい。図15(b)に示すように係止爪21を一つにするとともに、前記開口部27を省略して、板部11bに係止孔26と外部を連通するスリット32を形成し、前記両突起28を離隔することによりスリット32の隙間を拡大し、スタッドボルト14と第1係止爪21の係止状態を解除するようにしてもよい。図15(c)に示すように、第1〜第3係止爪21〜23及び第4係止爪33を形成してもよい。又、突起28に代えて工具係止部としての一対の係合孔34を形成し、両係合孔34に工具のピンの先端を係合することによりスリット32の隙間を拡大し、各係止爪の係止状態を解除するようにしてもよい。
【0033】
・ステアリングシャフトカバー11の板部に対しクリップ部20を三箇所以上に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明のステアリングシャフトカバーの一実施形態を示す斜視図。
【図2】ステアリングシャフトカバーの取付状態を示す縦断面図。
【図3】ステアリングシャフトカバーのクリップ部の拡大正面図。
【図4】ステアリングシャフトカバーのクリップ部の拡大背面図。
【図5】図3のA−A線断面図。
【図6】クリップ部の拡大斜視図。
【図7】(a)及び(b)は、スタッドボルトに対するクリップ部の取付方法を説明するための拡大断面図。
【図8】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した正面図。
【図9】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した背面図。
【図10】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した平面図。
【図11】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した底面図。
【図12】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した右側面図。
【図13】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した左側面図。
【図14】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した斜視図。
【図15】(a)〜(c)は、それぞれクリップ部の別の実施形態を示す正面図。
【図16】従来のステアリングシャフトカバー及び隔壁の斜視図。
【図17】従来のステアリングシャフトカバーの隔壁への取付構造を示す拡大断面図。
【図18】従来のステアリングシャフトカバーの斜視図。
【図19】従来のステアリングシャフトカバーの隔壁への取付構造を示す拡大断面図。
【符号の説明】
【0035】
11…ステアリングシャフトカバー、11a…カバー本体、11b,11c…板部、28…突起、12…隔壁、13…ステアリングシャフト、14…スタッドボルト、20…クリップ部、21〜23…係止爪、26…係止孔、27…開口部、32…スリット、34…係合孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングシャフトカバーに係り、詳しくはステアリングシャフトの一部を遮蔽するように、自動車の車室側に設けられるステアリングシャフトカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のステアリング装置は、車室内に設けられたステアリングホイールの回転がステアリングシャフトを介してエンジン室に設けられたステアリングギアに伝達され、このギアの運動がステアリングラック、タイロッド及びナックルアームに伝達されることにより前輪の操舵が行われる。車室とエンジン室を区画する隔壁には前記ステアリングシャフトを貫通するための貫通孔が設けられている。この貫通孔を通してエンジン室の騒音、塵埃等が車室内に侵入するのを防ぐため、前記貫通孔が車室側に設けたステアリングシャフトカバーによって遮蔽されている。
【0003】
前記ステアリングシャフトカバー11として、従来、図16に示すものが提案されている。このステアリングシャフトカバー11は、自動車のエンジン室と車室の隔壁12の貫通穴12aに貫通されたステアリングシャフト13の外周面に嵌合される切り欠き円筒状のカバー本体11aと、このカバー本体11aの下端周縁に一体に形成された広面積の板部11bと、上端縁に一体形成された舌片状の板部11cとにより構成されている。前記板部11b,11cには前記隔壁12に固定された二本のスタッドボルト14を挿通するための挿通孔11dがそれぞれ形成されている。そして、図17に示すように挿通孔11dにスタッドボルト14を貫通した後、両スタッドボルト14に単体のクリップ15を圧入し、板部11b,11cを隔壁12に取り付けるようにしている。
【0004】
一方、前記ステアリングシャフトカバー11として、従来、図18に示すように、板部11bの二箇所にクリップ部17を一体に形成したものも提案されている。このクリップ部17は板部11bの裏面に図19に示すように円筒体17aを一体に形成し、この円筒体17aの内部に三つ(二つのみ図示)の係止爪17bを周方向に等間隔をおいて一体に形成し、各係止爪17bに解除片17cをそれぞれ一体に形成して構成されている。
【0005】
上記ステアリングシャフトカバー11は、前記各係止爪17bにより形成された係止孔17dにスタッドボルト14を対応させた状態で、クリップ部17を隔壁12に向かって押動し、スタッドボルト14により各係止爪17bを弾性変形させて図19に示すように前記係止孔17dに該ボルト14を押し込むことにより隔壁12に装着される。(特許文献1参照:図6には板部にボス孔と爪部を形成した構成が開示されている。)
【特許文献1】特開2005−119551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前者のステアリングシャフトカバーは、図16に示すように板部11bと板部11cが同一平面上になくても、二つの挿通孔11dが板部11b,11cに形成された単純な形状の透孔であるため、通常の構造の成形型により容易に成形でき、二本のスタッドボルト14が非平行であってもステアリングシャフトカバー11を隔壁12に装着することができる。しかし、挿通孔11dにスタッドボルト14を挿通した後に、スタッドボルト14に単体のクリップ15を取り付ける作業が必要であるため、カバー11の装着作業が面倒であるばかりでなく、部品点数が多くなりコストダウンを図ることができないという問題があった。
【0007】
一方、後者のステアリングシャフトカバーは、隔壁12に対する取付作業をワンタッチで行い、単体のクリップも不要にすることができ、部品点数を少なくしてコストダウンを図ることができる。しかし、ステアリングシャフトカバーの成形工程において、板部11bに設けられた二つの前記円筒体17aの型抜きを行うため、両円筒体17aを互いに平行にする必要がある。このため、隔壁12を一平面として、この隔壁12に二本のスタッドボルト14を互いに平行に立設する必要がある。従って、自動車製造会社が設計した任意の形状の隔壁12及び非平行な複数のスタッドボルト14に適合させることができないという問題があった。
【0008】
上記の問題を解消するため、前記二つの円筒体17aの方向及び位置を変更することも考えられるが、この場合には成形型の構造が非常に複雑となり、成形型のコストが大幅にアップするという別の問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点を解消して、複雑な構造の成形型を用いることなく、製造を容易に行うことができるとともに、自動車のエンジン室と車室を区画する隔壁のスタッドボルトへの装着を簡単に行うことができるステアリングシャフトカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、エンジン室と車室とを区画する隔壁に形成された貫通穴を貫通するステアリングシャフトの車室側を遮蔽するステアリングシャフトカバーにおいて、前記ステアリングシャフトの外周を覆う筒状のカバー本体に設けられた板部に対し、前記隔壁に立設された複数のスタッドボルトを挿入係止させる複数の係止孔を形成し、各係止孔の内周縁には弾性変形して前記スタッドボルトの外周面に係止可能な板状の係止爪をそれぞれ設け、前記係止爪により扁平状のクリップ部を形成し、前記係止孔を開口部又はスリットにより前記板部の外周縁と連通したことを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記板部に対し前記開口部又はスリットを挟むように前記スタッドボルトに係止爪が係止された状態を解除する工具を係止するための工具係止部を設けたことを要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記係止爪は前記係止孔の周方向に所定の間隔をおいて複数箇所に設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3において、前記工具係止部は、前記開口部又はスリットの両側縁の板部に形成された一対の突起又は係合孔であって、両突起又は両係合孔が工具により離間されることにより係止爪の係止状態が解除されるように構成されていることを要旨とする。
【0013】
(作用)
本発明は、隔壁に立設されたスタッドボルトの先端部に対し、板部に形成された扁平状のクリップ部の係止孔を対応させた状態で、板部をスタッドボルトに向かって押動すると、係止爪が弾性変形されて、係止孔の内部にスタッドボルトが押し込まれ、スタッドボルトに板部が係止爪によって係止される。
【0014】
前記複数のクリップ部は板部の板厚とほぼ同じ扁平状であるため、同一平面に存在しない複数の板部に対しクリップ部を通常の構造の成形型によりそれぞれ容易に成形することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複雑な構造の成形型を用いることなく、製造を容易に行い、部品点数を少なくしてコストを低減することができるとともに、自動車のエンジン室と車室を区画する隔壁の複数のスタッドボルトへの装着を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化したステアリングシャフトカバーの一実施形態を図1〜図14に従って説明する。
図1に示すように、この実施形態のステアリングシャフトカバー11は、例えば ポリプロピレンにゴム材を混入したバンパー材等の材料を用いて射出成形型により射出成形されている。このステアリングシャフトカバー11は、背景技術で記載されたように切り欠き円筒状のカバー本体11aと、このカバー本体11aの下側外周縁に一体成形された平板状の板部11bと、カバー本体11aの上端外周縁の一部に舌片状に一体成形された板部11cとにより構成されている。前記板部11bの下側周縁及び板部11cの上端縁には、扁平状のクリップ部20がそれぞれ成形されている。図2に示すように下部の前記板部11bのクリップ部20は、自動車のエンジン室と車室を区画する隔壁12の垂直壁部に立設されたスタッドボルト14に係止され、上部の前記板部11cのクリップ部20は隔壁12の傾斜壁部に立設されたスタッドボルト14に係止されている。前記両クリップ部20はそれらの上下の向きが異なるのみで、同じ構成のため下側のクリップ部20について図3〜図7により説明する。
【0017】
図3に示すように、前記板部11bの下側周縁には、下方に開放された凹部11eが形成され、この凹部11eの奥側には、第1〜第3係止爪21〜23が板部11bと一体に、かつ板部11bの板厚と同じ板厚となるように成形されている。前記第1,第2係止爪21, 22間及び第2,第3係止爪22, 23間には、切欠き円形状の第1凹部24及び第2凹部25が形成されている。前記各係止爪21〜23は先端ほど幅狭となるほぼ台形状に形成され、それらの先端の爪部21a〜23aは、それぞれ円弧状に形成されている。前記各爪部21a〜23aによって、スタッドボルト14が貫通される拡径可能な係止孔26が形成されている。
【0018】
前記第1係止爪21と第3係止爪23の間には、前記係止孔26の拡径を許容するための開口部27が形成されている。前記開口部27の両側の板部11bの表面には、前記係止孔26の拡径を行うための工具を係止する工具係止部としての一対の突起28が互いに平行に、かつ前記板部11bと一体に成形されている。
【0019】
図3に示すように、前記係止孔26の中心O1から前記各爪部21a〜23aまでの半径r1は同じ(例えば2.9mm)に設定されている。前記係止孔26の直径d1(図面には符号d1は記載されていないが、d1=2×r1で例えば5.8mm)は、スタッドボルト14の直径d2(図面には符号d2は記載されていないが、例えば6.0mm)よりも若干小さく形成されている。そして、前記係止孔26にスタッドボルト14が強制的に挿入されるように構成されている。
【0020】
前記第1,第2凹部24,25の中心O2,O3からの同第1,第2凹部24,25の半径r2,r3は、前記半径r1とほぼ同じに設定されている。前記爪部21a〜23aの前記係止孔26の中心O1に関する形成角αは、20〜40°の範囲で、例えば30°にそれぞれ設定されている。前記係止孔26の中心O1と第1凹部24の中心O2及び第2凹部25の中心O3をそれぞれ結ぶ直線L1,L2の角度、つまり前記中心O1に関する第1凹部24及び第2凹部25の形成角βは、120°に設定されている。
【0021】
前記ステアリングシャフトカバー11を射出成形型により射出成形した後に、型抜きが図1、図2及び図5において矢印で示す型抜き方向Pに行われるので、それに対応するように、クリップ部20の凹部11e(開口部27)の開口方向及び突起28の形成方向が前記型抜き方向Pと同じになっている。これに伴って、前記第1〜第3係止爪21〜23及び第1,第2凹部24,25の周縁は、図3〜図6に示すように型抜き方向Pと同方向に傾斜する斜面となっている。
【0022】
図1に示すように、前記両クリップ部20のうち下方のクリップ部20のみと対応して、板部11bの裏面には、前記係止孔26を挟むように下駄の足状の突起11fが互いに平行に一体形成されている。
【0023】
図2に示すように、カバー本体11aの内周面には、例えばフェルト等の吸音材29が接着されている。カバー本体11aの上端開口部には、ステアリングシャフト13の外周面との間を遮蔽する蛇腹状のダストカバー30が装着されている。前記隔壁12の垂直壁部には、例えばフェルト等の吸音材31が接着され、この吸音材31には前記スタッドボルト14を突出し、かつ前記板部11bの突起11fを収容するための収容穴31aが形成されている。
【0024】
なお、図8〜図14は、ステアリングシャフトカバー11の特徴部分であるクリップ部20のみのを実線で表し、他の部分を破線で表した正面図、背面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図及び斜視図である。
【0025】
次に、前記のように構成されたステアリングシャフトカバー11のクリップ部20のスタッドボルト14への取付方法について説明する。
図7(a)に示すように、自動車のエンジン室と車室を区画する隔壁12に立設されたスタッドボルト14に対し、ステアリングシャフトカバー11の板部11bに形成されたクリップ部20の係止孔26を対応させる。そして、板部11cを手で隔壁12に向かって押圧し、図7(b)に示すように係止孔26の内部に強制的にスタッドボルト14を進入させる。この操作により、各係止爪21〜23の爪部21a〜23aが弾性変形されて、スタッドボルト14のネジ部14aの山部を乗り越えてスタッドボルト14の中間部まで移動され、各爪部21a〜23aがネジ部14aに係止される。
【0026】
前記板部11cに形成されたクリップ部20のスタッドボルト14に対する取り付けも板部11bに形成されたクリップ部20の取り付け方向と同様に行われる。
上述のように前記クリップ部20の係止孔26に対しスタッドボルト14を押し込み係止する際の力を試験装置により温度が23℃の雰囲気中で測定した。試験装置として、島津製作所製の商品名「オートグラフAG−20K NE」を用いた。又、試験条件として、前記クリップ部20に対するスタッドボルト14の押し込み速度を5mm/分とし、押し込み量を10mmとした。前記クリップ部20の板厚寸法が2.0mm、前記第1〜第3係止爪21〜23の爪部21a〜23aの形成角αが30°、係止孔26の直径d1が5.8mm、スタッドボルト14の直径d2が6.0mmの場合に、約40N(ニュートン)であった。又、スタッドボルト14の引き抜きに要する力を前記試験装置により同じ試験条件で測定したところ、約30N(ニュートン)であった。スタッドボルト14の係止孔26への挿入と引き抜きをそれぞれ3回繰り返しても両者の力は、殆ど変化が見られなかった。従って、ステアリングシャフトカバー11が自動車の操舵装置の保守点検等のために繰り返し脱着されてもスタッドボルト14とステアリングシャフトカバー11のクリップ部20の連結強度上問題が無いことが判った。
【0027】
図2及び図7(b)に示すようにスタッドボルト14に係止されたクリップ部20を操舵装置の点検時等において取り外す場合には、係止爪21〜23が係止された状態を解除する工具(図示略)を用いて、前記両突起28を互いに離間する方向(図3のQ矢印参照)に移動させる。この両突起28の移動作業により三つの前記第1〜第3係止爪21〜23のうち第1係止爪21及び第3係止爪23が互いに離間する方向に移動されて、スタッドボルト14に対する係止状態が解かれ、スタッドボルト14から板部11bを容易に引き離すことができる。
【0028】
上記実施形態のステアリングシャフトカバーによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ステアリングシャフトカバー11の板部11b,11cにクリップ部20を一体に成形した。このため、単体のクリップを別途用意しなくても済み、部品点数が少なくなってコストダウンを図ることができる。
【0029】
(2)上記実施形態では、板部11b,11cに対し、この板部11b,11cの板厚寸法と同じ厚さの第1〜第3係止爪21〜23よりなる扁平状のクリップ部20を形成した。このため、同一平面に存在しない複数の板部11b,11cに形成された二つのクリップ部20の成形型の型抜き方向を同じにすることができ、成形型として通常の構造の安価な成形型を用いることができる。
【0030】
(3)上記実施形態では、同一平面に存在しない板部11b,11cにクリップ部20をそれぞれ成形したので、隔壁12に非平行に立設された二本のスタッドボルト14に対し、前記両クリップ部20を容易に装着することができる。換言すれば、自動車製造会社が設計した任意の形状の隔壁12及び非平行な複数本のスタッドボルト14に適合するようにステアリングシャフトカバー11の構造を適正に設計することができる。
【0031】
(4)上記実施形態では、板部11b,11cに工具係止部としての一対の突起28を設けたので、両突起28を工具を用いて離隔することにより前記スタッドボルト14に対する第1〜第3係止爪21〜23の係止状態を容易に解除することができ、スタッドボルト14からカバー11を容易に取り外すことができる。
【0032】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・図15(a)に示すように、前記第3係止爪23及び第2凹部25を省略した構成としてもよい。図15(b)に示すように係止爪21を一つにするとともに、前記開口部27を省略して、板部11bに係止孔26と外部を連通するスリット32を形成し、前記両突起28を離隔することによりスリット32の隙間を拡大し、スタッドボルト14と第1係止爪21の係止状態を解除するようにしてもよい。図15(c)に示すように、第1〜第3係止爪21〜23及び第4係止爪33を形成してもよい。又、突起28に代えて工具係止部としての一対の係合孔34を形成し、両係合孔34に工具のピンの先端を係合することによりスリット32の隙間を拡大し、各係止爪の係止状態を解除するようにしてもよい。
【0033】
・ステアリングシャフトカバー11の板部に対しクリップ部20を三箇所以上に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明のステアリングシャフトカバーの一実施形態を示す斜視図。
【図2】ステアリングシャフトカバーの取付状態を示す縦断面図。
【図3】ステアリングシャフトカバーのクリップ部の拡大正面図。
【図4】ステアリングシャフトカバーのクリップ部の拡大背面図。
【図5】図3のA−A線断面図。
【図6】クリップ部の拡大斜視図。
【図7】(a)及び(b)は、スタッドボルトに対するクリップ部の取付方法を説明するための拡大断面図。
【図8】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した正面図。
【図9】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した背面図。
【図10】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した平面図。
【図11】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した底面図。
【図12】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した右側面図。
【図13】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した左側面図。
【図14】ステアリングシャフトカバーのクリップ部を実線で表した斜視図。
【図15】(a)〜(c)は、それぞれクリップ部の別の実施形態を示す正面図。
【図16】従来のステアリングシャフトカバー及び隔壁の斜視図。
【図17】従来のステアリングシャフトカバーの隔壁への取付構造を示す拡大断面図。
【図18】従来のステアリングシャフトカバーの斜視図。
【図19】従来のステアリングシャフトカバーの隔壁への取付構造を示す拡大断面図。
【符号の説明】
【0035】
11…ステアリングシャフトカバー、11a…カバー本体、11b,11c…板部、28…突起、12…隔壁、13…ステアリングシャフト、14…スタッドボルト、20…クリップ部、21〜23…係止爪、26…係止孔、27…開口部、32…スリット、34…係合孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン室と車室とを区画する隔壁に形成された貫通穴を貫通するステアリングシャフトの車室側を遮蔽するステアリングシャフトカバーにおいて、
前記ステアリングシャフトの外周を覆う筒状のカバー本体に設けられた板部に対し、前記隔壁に立設された複数のスタッドボルトを挿入係止させる複数の係止孔を形成し、各係止孔の内周縁には弾性変形して前記スタッドボルトの外周面に係止可能な板状の係止爪をそれぞれ設け、前記係止爪により扁平状のクリップ部を形成し、前記係止孔を開口部又はスリットにより前記板部の外周縁と連通したことを特徴とするステアリングシャフトカバー。
【請求項2】
請求項1において、前記板部に対し前記開口部又はスリットを挟むように前記スタッドボルトに係止爪が係止された状態を解除する工具を係止するための工具係止部を設けたことを特徴とするステアリングシャフトカバー。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記係止爪は前記係止孔の周方向に所定の間隔をおいて複数箇所に設けられていることを特徴とするステアリングシャフトカバー。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記工具係止部は、前記開口部又はスリットの両側縁の板部に形成された一対の突起又は係合孔であって、両突起又は両係合孔が工具により離間されることにより係止爪の係止状態が解除されるように構成されていることを特徴とするステアリングシャフトカバー。
【請求項1】
エンジン室と車室とを区画する隔壁に形成された貫通穴を貫通するステアリングシャフトの車室側を遮蔽するステアリングシャフトカバーにおいて、
前記ステアリングシャフトの外周を覆う筒状のカバー本体に設けられた板部に対し、前記隔壁に立設された複数のスタッドボルトを挿入係止させる複数の係止孔を形成し、各係止孔の内周縁には弾性変形して前記スタッドボルトの外周面に係止可能な板状の係止爪をそれぞれ設け、前記係止爪により扁平状のクリップ部を形成し、前記係止孔を開口部又はスリットにより前記板部の外周縁と連通したことを特徴とするステアリングシャフトカバー。
【請求項2】
請求項1において、前記板部に対し前記開口部又はスリットを挟むように前記スタッドボルトに係止爪が係止された状態を解除する工具を係止するための工具係止部を設けたことを特徴とするステアリングシャフトカバー。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記係止爪は前記係止孔の周方向に所定の間隔をおいて複数箇所に設けられていることを特徴とするステアリングシャフトカバー。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記工具係止部は、前記開口部又はスリットの両側縁の板部に形成された一対の突起又は係合孔であって、両突起又は両係合孔が工具により離間されることにより係止爪の係止状態が解除されるように構成されていることを特徴とするステアリングシャフトカバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
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【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−155750(P2008−155750A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346221(P2006−346221)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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