説明

ステアリングホイール用トリムプレート

【課題】ステアリングホイールアッセンブリの部品数、組立時間を減らす。
【解決手段】ステアリングホイールアッセンブリが、スポークを備えたアーマチュアを有し、スポークの上にステアリングホイールのスポーク用端部がモールド成形されている。裏カバーは、アーマチュアとステアリングホイールに接続される。トリムプレートは、アーマチュアに直接接続されずにステアリングホイールのスポーク用端部に直接スナップ嵌めされる。トリムプレートが適切な嵌め合いと仕上げを実現しなければならない同じ2つの構成要素にトリムプレートが直接接続されるので、適切な嵌め合い及び仕上げが保証される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おおよそステアリングホイールアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
アーマチュア、ホーン/エアバッグ取り付け金具等を隠すために、自動車ステアリングホイールにステアリングホイールトリムプレート(「ステアリングホイールベゼル;表縁」としても知られる)が取り付けられる。具体的には、ステアリングホイールエアバッグカバーの各側部に1枚づつ合計2枚のトリムプレート(飾り板)が1つのステアリングホイールアッセンブリに取り付けられる。代替として、1枚のU字型のトリムプレートが使用されることもある。1つのタイプのステアリングホイールは、ウレタン被覆層がモールド成形された金属製ステアリングホイールアーマチュアを有する。アーマチュアを覆うためにアーマチュアと被覆層に裏カバーが接続される。裏カバーは、被覆層ウレタンと一体にモールド成形することもできる。トリムプレートは、エアバッグ組立体のいずれかの側部でアーマチュアの前部を覆う。
【0003】
従来、このようなトリムプレートは、アーマチュアに接続される別の留め具によって適所に保持されていた。この構造には、幾つかの明確な欠点がある。第1に、被覆層に対してインサート成形アーマチュアの位置が変化すると、トリムプレートの位置決めが影響を受けることがある。その結果、トリムプレートが、被覆層及び裏カバーと適切に位置合せされないことがある。第2に、この構造における追加の留め具により、余計な部品と作業が必要となる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明において、トリムプレートは、アーマチュアではなく被覆層と裏カバーに直接接続される。トリムプレートが適切な嵌め合い及び仕上げを実現しなければならない2つの構成要素(被覆層と裏カバー)にトリムプレートが接続されるので、適切な嵌め合いと仕上げが保証される。被覆層又は裏カバーに対するアーマチュアの位置が変化しても仕上げ面の位置合わせには影響がない。トリムプレートは、理想的な位置合わせを実現するように十分に曲がるとともに、撓むことができる。また、裏カバーや被覆層上のコネクタを改良しなくても、トリムプレート上のスナップ嵌めコネクタを改良することによって適切な嵌め合いと仕上げを簡易に調整し、最適化することができる。
【発明の効果】
【0005】
スナップ嵌め接続なので、トリムプレートはステアリングホイールアッセンブリに容易に取り付けられる。必要に応じてトリムプレートも容易に着脱することができる。別個の留め具がなくなり、部品と取り付け時間が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1に、本発明によるステアリングホイールアッセンブリ10を示す。ステアリングホイールアッセンブリ10は、半径方向に延在するスポーク14を有する金属製アーマチュア12とウレタン被覆層16とを含むステアリングホイールを有する。被覆層16は、リング部20から半径方向内方に延在する一体モールド成形されたスポーク用端部18を有し、スポーク用端部18の各々は、アーマチュア12のスポーク14の各々の外側を被覆する(オーバーモールド)。
【0007】
ステアリングホイールアッセンブリ10は、更に、中央開口部30を備えた後壁28を有するモールド成型されたプラスチック製(ポリマー製)裏カバー26を有する。後壁28から、スポーク部34を有する側壁32が前方に延在している。後壁28は、コネクタ36を有する。代替として、裏カバー26を被覆層16と一体モールド成形してもよい。
【0008】
打ち抜き加工された金属製ホーン取り付け金具44は、前面パネル50を有する浮動ホーンスイッチ/エアバッグ組立体48にホーン取り付け金具44を接続するばねコネクタ46を有する。自動車内娯楽装置、環境制御、巡航制御などを制御するために、オプションの電気スイッチ組立体54を設けてもよい。1対のプラスチック製トリムプレート(或いは表縁;ベゼル)60は、それぞれ外方に延在する1対のスポーク部62と、内縁のフランジ64とを有する。
【0009】
図2は、部分的に組み立てられた図1のステアリングホイール裏カバー26と1つのトリムプレート60の斜視図である。被覆層16の各スポーク用端部18は、モールド成形したスナップ嵌めレセプタクル66を有する。トリムプレート60(図2には1つが示されている)は、アーマチュア12のスポーク14の一部の上にある被覆層16と裏カバー26につながる。
【0010】
図2Aは、図2の部分2Aの拡大図である。裏カバー26のコネクタ36は、アーマチュア12のスポーク14にスナップ嵌めされる。裏カバー26の後壁28は、また、ねじなどの留め具によってアーマチュア12に接続されてもよい。
【0011】
図3は、図1のトリムプレート60のうちの1つの斜視図である。1対のループコネクタ70が、トリムプレート60の内側端の内側面から下方に突出している。ループコネクタ70は、内側フランジ64と隣り合っており、1対の雄型スナップ嵌めコネクタ74は、外側端と隣り合っている。トリムプレート60は、ループコネクタ70と隣り合った突出する位置合わせ用細板72を有する。
【0012】
図4は、被覆層16、アーマチュア12、及びトリムプレート60の後部斜視図である(明確化のためホーン取り付け金具44は示していない)。トリムプレート60は、雄型スナップ嵌めコネクタ74をスポーク用端部18上のレセプタクル66にスナップ嵌めすることによって被覆層16に接続される。
【0013】
図5は、裏カバー26の斜視図である。裏カバーのスポーク部34は、その内面に内側に突出し、トリムプレート60(図4)上のループコネクタ70と嵌合するコネクタ76を有する。位置合わせ用細板78は、(被覆層16のスポーク用端部18に接続するために)隣接するフック80と同じように、スポーク部34の縁から上方に突出している。
【0014】
図6は、組み立てられたステアリングホイールアッセンブリ10の後部斜視図であり、明確化のためホーン取り付け金具44が示されておらず且つアーマチュア12が省略されている。トリムプレート60は、スポーク用端部18及び裏カバー26と嵌合する。トリムプレート60が、被覆層16のスポーク用端部18と裏カバー26にだけ直接接続されているので、トリムプレート60は自動的に位置合わせされる。
【0015】
図6Aは、図6の領域6Aの拡大図であり、トリムプレート60の裏カバー26への接続を示す。位置合わせ用細板72及び78が、適切な位置合わせを保証し維持するようにトリムプレート60及び裏カバー26の縁と連結する。トリムプレート60のループコネクタ70は、嵌合相手の傾斜コネクタ76にスナップ嵌めされる。
【0016】
図7は、組み立てられたステアリングホイールアッセンブリ10の断面図である。トリムプレート60を被覆層16と裏カバー26に接続することにより、被覆層16に対するアーマチュア12の位置の変更が可能になると同時に、外から見える面、裏カバー26及び被覆層のスポーク端部18へのトリムプレート60の位置合わせが保証される(オーバーモールドまたはインサートモールド成形プロセスにおいて)。更に、この取り付け構造により、浮動ホーンスイッチ/エアバッグ組立体48がトリムプレート60に対して動くことができる。特に、浮動ホーンスイッチ/エアバッグ組立体48の前面パネル50とトリムプレート60のフランジ64との間に隙間が設けられ、それにより浮動ホーンスイッチ/エアバッグ組立体48をトリムプレート60に対して動かすことができる。
【0017】
トリムプレート60は、スナップ嵌め接続なので、ステアリングホイールアッセンブリ10に容易に取り付けられる。必要に応じてトリムプレート60も容易に着脱することができる。トリムプレート60が被覆層16と裏カバー26にのみ接続されているので、トリムプレート60は、被覆層16と裏カバー26の仕上げ面と適切に位置合わせされる(図6)。被覆層16又は裏カバー26に対するアーマチュア12の位置が変化があっても仕上げ面の位置合わせには影響がない。トリムプレート60は、理想的な嵌め合いと仕上げを保証するように十分に曲がるとともに、撓むことができる。別個の留め具がなくなり、部品数と取り付け時間が少なくなる。エアバッグの展開時においても、ループコネクタ70がトリムプレート60の内側の下方に位置しており、かつ、位置合わせ用細板72,78がループコネクタ70、傾斜コネクタ76に隣接しているため、トリムプレート60は被覆層16と裏カバー26に固定されたままである。
【0018】
更に他の利点として、組み立て易さや固定強度を変更したり、隣り合った嵌め合い及び仕上げ部品に対するトリムプレート60の位置合わせを変更したりするために、ループコネクタ70と雄型スナップ嵌めコネクタ74のサイズ、形状及び位置を最適化し調整することができる。適切な嵌め合いと仕上げを実現しなければならない2つの構成要素(被覆層16と裏カバー26)にトリムプレート60が直接接続されているので、コネクタ70及び74を修正するだけで適切な嵌め合いと仕上げを保証し調整することができる。
【0019】
特許法及び法学の規定により、前述の例示的構造は、本発明の好ましい実施形態を表わすと考えられる。しかしながら、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、具体的に示し説明した方法以外の方法で本発明を実施することができることに注意されたい。方法段階の英数字識別子は、従属請求項における参照を便利にするためのものであり、請求項に特に示されない限り必要な実行順序を示すものではない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明によれば、部品数、組立労力および組立時間を減らすことのできるステアリングホイールアッセンブリが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるステアリングホイールアッセンブリの分解組立斜視図
【図2】部分的に組み立てられた図1のステアリングホイールと裏カバーの斜視図
【図2A】図2の部分2Aの拡大図
【図3】図1のトリムプレートのうちの1つのトリムプレートの斜視図
【図4】ステアリングホイールとトリムプレートの後部斜視図(明確化のためホーン取り付け金具は示さず)
【図5】図1の裏カバーの内部斜視図
【図6】図1の組立体の後部斜視図
【図6A】図6の領域6Aの拡大図
【図7】完成した図1のステアリングホイールアッセンブリの断面図
【符号の説明】
【0022】
10 ステアリングホイールアッセンブリ
12 アーマチュア
14 スポーク
16 被覆層
18 スポーク用端部
20 リング部
26 裏カバー
28 後壁
30 中央開口部
32 側壁
34 スポーク部
36 コネクタ
44 ホーン取り付け金具
46 ばねコネクタ
48 浮動ホーンスイッチ/エアバッグ組立体
50 前面パネル
54 電気スイッチ組立体
60 トリムプレート
62 スポーク部
64 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールアッセンブリであって、
複数のスポークを有するアーマチュアと、
前記アーマチュアのスポークに固定されたモールド成形被覆層と、
前記アーマチュアに固定された裏カバーと、
前記被覆層と前記裏カバーに直接取り付けられたトリムプレートと、
を備えるステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記トリムプレートが、前記被覆層と前記裏カバーのみを介して前記アーマチュアに固定された、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記トリムプレートが、前記被覆層にスナップ嵌めされた、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記トリムプレートが、前記裏カバーにスナップ嵌めされた、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記被覆層が、リング部と、リング部から半径方向内方に延在するスポーク用端部とを有し、前記スポーク用端部が、前記アーマチュアのスポークの1つにオーバーモールドされた、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記トリムプレートが、前記スポーク用端部にスナップ嵌めされた、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記トリムプレートが、前記裏カバーにスナップ嵌めされた、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記アーマチュアが金属であり、前記裏カバーがモールド成形ポリマーである、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記アーマチュアに取り付けられた浮動ホーンアッセンブリを更に有する、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記アーマチュアに固定されたホーン取り付け金具を更に有し、前記浮動ホーンアッセンブリが、前記ホーン取り付け金具と前記トリムプレートに対して可動であり、前記浮動ホーンアッセンブリが、前記トリムプレートのフランジに重なる前面パネルを有する、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項11】
請求項7に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記トリムプレートが、前記トリムプレートが前記被覆層とスナップ嵌めされる位置の内側の位置で前記裏カバーとスナップ嵌めされた、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項12】
請求項7に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記トリムプレートが、前記トリムプレートが前記被覆層とスナップ嵌めされる位置の下の位置で前記裏カバーとスナップ嵌めされた、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項13】
請求項7に記載のステアリングホイールアッセンブリであって、
前記トリムプレートが、前記トリムプレートが前記被覆層とスナップ嵌めされる位置と前記裏カバーが前記アーマチュアに固定される位置との間の位置で前記裏カバーとスナップ嵌めされた、ステアリングホイールアッセンブリ。
【請求項14】
ステアリングホイールアッセンブリの組み立て方法であって、
a)被覆層で覆われたスポークを有するステアリングアーマチュアに裏カバーを接続するステップと、
b)ステアリングホイール表縁を前記被覆層に直接接続するステップと、
c)前記ステアリングホイール表縁を前記裏カバーに直接接続するステップと、を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記ステアリングホイール表縁が、ステップb)及びc)の後で前記アーマチュアに直接接触しない方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記ステップb)及びc)が、前記ステアリングホイール表縁を前記被覆層と前記裏カバーに直接スナップ嵌めすることによって実行される方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
前記ステアリングホイール表縁が、前記被覆層と前記裏カバーに接続するための複数の一体モールド成形コネクタを含む方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、
d)前記被覆層のスポーク用端部を前記スポークの一部分の上にオーバーモールドするステップと、
e)前記ステップb)において、前記スポーク用端部の少なくとも1つにステアリングホイール表縁をスナップ嵌めするステップと、を更に含む方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、
浮動ホーンスイッチが前記アーマチュア及び前記ステアリングホイール表縁に対して可動となるように前記浮動ホーンスイッチを前記アーマチュアに取り付ける段階を更に含み、前記浮動ホーンスイッチが、前記ステアリングホイール表縁の一部分に部分的に重なる前面パネを含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図7】
image rotate