説明

ステアリングモジュール

【課題】低コスト化が図りやすい電気的接続構造を採用したステアリングモジュールを提供すること。
【解決手段】ハウジング1内に設置された回路基板2に複数の接続ピン15が下向きに突設されており、回転コネクタ4とストークスイッチ5,6がそれぞれ回路基板2上の対応するコネクタ9等に接続されているステアリングモジュールであって、回転コネクタ4のステータ部材4bには、複数の外部接続端子41を有する第1ダイレクトコネクタ4cと、コネクタ9に接続される第2ダイレクトコネクタ4dとが隣接して下向きに突設されている。回路基板2には外部接続端子41を挿通させて接続ピン15の近傍に配置させるための端子挿通孔2eが設けられており、ハウジング1には外部接続端子41および接続ピン15を内部に露出させるコネクタカバー部1cが設けられており、コネクタカバー部1cに車体側コネクタ20が装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビネーションスイッチの外殻をなすハウジングに回転コネクタやストークスイッチ等を組み込んでユニット化したステアリングモジュールに係り、特に、回転コネクタやストークスイッチを車体側コネクタと電気的に接続するための接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転コネクタはハンドルに搭載されたエアーバッグ・インフレータやホーン回路等を車体側に伝達する電気的接続手段として使用されるものであり、ハンドルに連結されて回転するロータ部材と、このロータ部材を回転可能に支持するステータ部材と、これらロータ部材とステータ部材間に画成される環状空間に収納・巻回された可撓性ケーブルとで概略構成されている。
【0003】
この回転コネクタは自動車のステアリング装置に組み込まれて使用されるが、従来より、ステアリング装置に付設されるコンビネーションスイッチのハウジング上面に回転コネクタのステータ部材を取り付けることにより、回転コネクタとコンビネーションスイッチとを一体化してステアリングモジュールとしたものが広く知られている。この種のステアリングモジュールでは、ウインカー動作やワイパー動作を行わせる一対のストークスイッチがハウジングの両側に装着されると共に、該ハウジングの内底部に回路基板が設置されており、両ストークスイッチの基端部に設けられた各コネクタと回転コネクタのステータ部材に設けられた固定側コネクタとが、それぞれ回路基板上に配設されたコネクタに対してダイレクトカップリングされるようになっている。
【0004】
また、類似技術として、回転コネクタと舵角センサを上下2段に積層・一体化してユニット体に組み立てておき、このユニット体をコンビネーションスイッチのハウジング上面に取り付けることによって、回転コネクタおよび舵角センサとコンビネーションスイッチとを一体化したステアリングモジュールも従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合において、舵角センサはハンドルの操舵角を検出する回転情報検出手段として使用されるものであり、外周面にコード板を有するロータ部材と、このロータ部材を回転可能に支持するステータ部材と、コード板に対向配置されたフォトインタラプタ等の検出素子とで概略構成されている。そして、回転コネクタと舵角センサとをユニット化する場合は、互いのロータ部材を軸心を合致させて連結した状態で、互いのステータ部材どうしをねじ止め等で固定するようにしている。
【0005】
このようにコンビネーションスイッチのハウジング上面に、回転コネクタが直接あるいは舵角センサを介して取り付けられている従来のステアリングモジュールにおいて、回転コネクタやストークスイッチ等は基本的にハウジング内に設置された回路基板を中継して車体側と電気的に接続されるようになっている。すなわち、回路基板の下面側には車体側コネクタが装着可能な複数の外部回路接続ピンが突設されており、これら外部回路接続ピンが回路基板の配線パターンを介してCPUや回路基板上面側の各コネクタと接続されているので、回転コネクタやストークスイッチ等の各信号をCPUで処理するなどしたうえで、対応する外部回路接続ピンを介して車体側へ出力させることができる。ただし、大電流が流れるエアーバッグ用の信号経路については前記固定側コネクタを経由せずに、回転コネクタのステータ部材に横向きに突設した専用のコネクタへ導出されることも多く、こうすることによって安全性の向上や回路基板の小型化が図りやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−74379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、回転コネクタのエアーバッグ用を除く信号やストークスイッチの信号等がコンビネーションスイッチのハウジング内に設置された回路基板を介して車体側へ出力されるようにしてある従来のステアリングモジュールでは、これらの信号の経路となる回路基板の配線パターンに対して、過電流による短絡を防止するためにサーミスタ等の保護部品が介装されている。しかしながら、これらの信号の一部(例えばホーン回路用の信号等)はCPUで処理をせずに車体側へそのまま出力される信号なので、この種の信号の経路を回路基板に設けて保護部品を介装しなければならない理由は本来なく、実装部品を含めた回路基板の低コスト化を図るうえで不都合かつ無駄な電気的接続構造となっていた。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、低コスト化が図りやすい電気的接続構造を採用したステアリングモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、上面が開口していると共に中央部にステアリングシャフトが挿通される貫通孔を有するハウジングと、このハウジングの両側部に装着された一対のストークスイッチと、前記ハウジング内で前記貫通孔の周囲に設置された回路基板と、この回路基板の上方に設置された回転コネクタとを備え、前記回路基板の上面側に複数のコネクタが配設されていると共に、前記回路基板の下面側に前記複数のコネクタと電気的に接続された複数の接続ピンが下向きに突設されており、前記両ストークスイッチと前記回転コネクタがそれぞれ前記複数のコネクタに接続されているステアリングモジュールにおいて、前記回転コネクタに、複数の外部接続端子を有する第1ダイレクトコネクタと、前記複数のコネクタのうちの一部のコネクタに接続される第2ダイレクトコネクタとが隣接して下向きに突設されていると共に、前記回路基板に、前記複数の外部接続端子を挿通させるための端子挿通孔が設けられており、かつ、前記ハウジングに、前記複数の外部接続端子および前記複数の接続ピンを内部に露出させるコネクタカバー部が設けられているという構成にした。
【0010】
このように構成されたステアリングモジュールでは、ハウジングに設けられたコネクタカバー部に外部コネクタを装着することにより、回転コネクタの第1ダイレクトコネクタを回路基板を介さずに外部コネクタと直接接続できるため、この第1ダイレクトコネクタへ出力される信号経路を回路基板に設ける必要がなく、該信号経路にサーミスタ等の保護部品を介装する必要もなくなるので、低コスト化が図りやすくなる。また、第1ダイレクトコネクタと第2ダイレクトコネクタは互いのケーシングを連設させることができるため、回転コネクタのステータ部材の構造を複雑化させることもない。それゆえ、このステアリングモジュールは小型化も図りやすくなる。なお、第2ダイレクトコネクタやストークスイッチからそれぞれ回路基板上の対応するコネクタへ出力される信号は、回路基板のCPUで処理するなどしたうえで接続ピン群を出力端となすことができるが、接続ピン群の近傍に第1ダイレクトコネクタの外部接続端子群が配置されるので、これら接続ピン群と外部接続端子群は共通の外部コネクタ(車体側コネクタ)に接続させることができ、電気的接続作業も容易になる。
【0011】
上記の構成において、複数の外部接続端子が接地用の端子を有していると、ステアリングモジュールの低コスト化が一層図りやすくなる。
【0012】
また、上記の構成において、第2ダイレクトコネクタが接続されるコネクタの高さ相当分だけ、第1ダイレクトコネクタのケーシングが第2ダイレクトコネクタのケーシングよりも下方へ突出していると、回転コネクタを回路基板に取り付ける際に、第1および第2ダイレクトコネクタをそれぞれの所定位置に精度良く配置させやすくなるため好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のステアリングモジュールは、回転コネクタの第1ダイレクトコネクタを回路基板を介さずに外部コネクタと直接接続できるため、この第1ダイレクトコネクタへ出力される信号経路を回路基板に設ける必要がなく、該信号経路にサーミスタ等の保護部品を介装する必要もなくなるので、低コスト化が図りやすくなる。また、第1および第2ダイレクトコネクタは互いのケーシングを連設させることができるため、回転コネクタのステータ部材の構造を簡易にでき、それゆえ、このステアリングモジュールは小型化も図りやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態例に係るステアリングモジュールの分解斜視図である。
【図2】図1のステアリングモジュールを下面側から見た要部の分解斜視図である。
【図3】該ステアリングモジュールのハウジングに回路基板を組み込んだ状態を示す斜視図である。
【図4】図3に対応する平面図である。
【図5】該ステアリングモジュールの回路基板に回転コネクタを取り付ける直前の状態を模式的に示す説明図である。
【図6】該回路基板に該回転コネクタを取り付けた状態を模式的に示す説明図である。
【図7】該ステアリングモジュールのハウジングを含めた図6に対応する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を図1〜図7を参照しつつ説明する。本実施形態例に係るステアリングモジュールは、図1の分解斜視図に示すように、合成樹脂製のハウジング1と、ハウジング1の内底面に設置された回路基板2と、回路基板2の上方に設置された舵角センサ3と、舵角センサ3の上方に設置された回転コネクタ4と、ハウジング1の左右両側部に装着されたストークスイッチ5,6とで構成されており、舵角センサ3と回転コネクタ4は上下2段に積層・一体化されたユニット体7として取り扱われるようになっている。
【0016】
ハウジング1は自動車のステアリングコラムに固定されてコンビネーションスイッチの外殻をなすものであり、このハウジング1は上面を開口した有底箱形に成形されている。ハウジング1の内底面中央部には貫通孔1aが形成されており、この貫通孔1aにステアリングシャフトが挿通されるようになっている。ハウジング1の短手方向に沿う両側面は挿入口1bとして開口しており、これら両挿入口1bの内底面入口には突起1dがそれぞれ形成されている。図2に示すように、ハウジング1の下面側にはコネクタカバー部1cが設けられており、このコネクタカバー部1cに対して舵角センサ3や回転コネクタ4やストークスイッチ5,6等と電気的に接続される車体側コネクタ20(図7参照)が装着可能となっている。このコネクタカバー部1cに囲まれた内底面には、回路基板2から下向きに延びる接続ピン15や回転コネクタ4から下向きに延びる外部接続端子41が挿通される位置決め孔1eが所定の配列で複数形成されており、これら接続ピン15群と外部接続端子41群とがコネクタカバー部1c内に露出するようになっている。また、図4に示すように、ハウジング1の上部には一対のガイドピン1fと3本の支柱1gが立設されており、これら両ガイドピン1fは貫通孔1aを介して約180度の対向位置にある。さらに、ハウジング1の長手方向に沿う一方の側壁1hにスナップ爪1iが一体形成されており、このスナップ爪1iは側壁1hの上方から下方へ向かって片持ち梁状に延びている。なお、ハウジング1の内底面から側壁1hに至るコーナ部と、突起1dの基端周縁部とは、回路基板2を搭載する部位となるため同一平面内に位置している。
【0017】
回路基板2は幅狭部2aの両側に幅広部2bが連続する形状をしており、これら幅狭部2aと両幅広部2bとで包囲された切欠き部8にステアリングシャフトが挿通されるようになっている。また、両幅広部2bの縁部には取付孔2cと位置決め孔2dが形成されている。この回路基板2の上面側には4個のコネクタ9,10,11,12が実装されている。説明の都合上、各コネクタ9,10,11,12を第1ないし第4のコネクタと呼ぶと、第1のコネクタ9は回転コネクタ4用であり、第2のコネクタ10は舵角センサ3用であり、第3のコネクタ11はストークスイッチ5用であり、第4のコネクタ12はストークスイッチ6用である。図2と図5に示すように、回路基板2には第1のコネクタ9と隣接する位置に、回転コネクタ4から下向きに延びる外部接続端子41が遊挿される複数の端子挿通孔2eが形成されていると共に、これら端子挿通孔2eと隣接する位置に下向きに延びる接続ピン15が配設されている。また、回路基板2には抵抗やコンデンサやCPU等の電気部品13が実装されていると共に、図示せぬ配線パターンが形成されており、この配線パターンを介して第1〜第4のコネクタ9〜12が接続ピン15と電気的に接続されている。
【0018】
図3と図4に示すように、回路基板2の両幅広部2bはねじ14を用いてハウジング1の内底面にねじ止めされており、回路基板2の幅狭部2aの上面縁部はハウジング1の側壁1hに形成されたスナップ爪1iに係止されている。これにより第1のコネクタ9と第2のコネクタ10が切欠き部8(貫通孔1a)を介して対向する位置に配置され、かつ、第3および第4のコネクタ11,12がそれぞれ挿入口1bの入口付近に配置される。
【0019】
舵角センサ3はハンドルの操舵角を検出する回転情報検出手段として使用されるものである。この舵角センサ3は、外周面に図示せぬコード板を有する中空軸構造のロータ部材3aと、ロータ部材3aを回転可能に支持するステータ部材3bと、ステータ部材3bの内部に収納された図示せぬ検出素子等を備えており、ステータ部材3bの下面には外部接続用の図示せぬ固定側コネクタが設けられている。
【0020】
回転コネクタ4はハンドルに搭載されたスイッチ類やエアーバッグ・インフレータやホーン回路等を車体側に伝達する電気的接続手段として使用されるものである。この回転コネクタ4は、ハンドルに連結される中空軸構造のロータ部材4aと、ロータ部材4aを回転可能に支持するステータ部材4bと、これらロータ部材4aとステータ部材4b間に画成される環状空間に収納・巻回された図示せぬ可撓性ケーブルとを備えている。ステータ部材4bには外部接続用の固定側コネクタとして、ホーン回路や接地回路などから導出された複数の外部接続端子41を有する第1ダイレクトコネクタ4cと、ハンドルに搭載された各種スイッチ回路などから導出された複数の外部接続端子42を有して回路基板2上の第1のコネクタ9に接続される第2ダイレクトコネクタ4dとが下向きに突設されていると共に、エアーバッグ用の第3ダイレクトコネクタ4eが横向きに突設されている。
【0021】
第1ダイレクトコネクタ4cと第2ダイレクトコネクタ4dは互いのケーシングを連設させており、第1のコネクタ9の高さ相当分だけ、第1ダイレクトコネクタ4cのケーシングが第2ダイレクトコネクタ4dのケーシングよりも下方へ突出している。つまり、図5に示すように、第1および第2ダイレクトコネクタ4c,4dのケーシングは、第1のコネクタ9の高さ相当分の段差を有する所定形状に一体形成されている。また、第1ダイレクトコネクタ4cの外部接続端子41は端子挿通孔2eおよび位置決め孔1eを貫通してコネクタカバー部1c内に配置され、図6に示すように、各外部接続端子41の先端が各接続ピン15の先端と略同等の高さに位置するように設定されている。一方、第2ダイレクトコネクタ4dの外部接続端子42は、回路基板2の配線パターンを介して接続ピン15と電気的に接続される。
【0022】
また、この回転コネクタ4には、ステータ部材4bの径方向外側へ突出する鍔部に、ハウジング1のガイドピン1fに挿入される一対のガイド孔4fと、ハウジング1の支柱1gにねじ止めされる3つの取付孔4gが形成されている。なお、図示省略されているが、回転コネクタ4にはロータ部材4aの自由な回転を阻止するストッパ部材が装着されており、ロータ部材4aをハンドルに連結するまで、該ストッパ部材によってロータ部材4aが回転中立位置に保持されるようになっている。
【0023】
これら舵角センサ3と回転コネクタ4は、互いのロータ部材3a,4aを軸心を合致させて連結すると共に、互いのステータ部材3b,4bどうしをスナップ止めやねじ止め等で固定することにより、予め上下2段に積層・一体化された1つのユニット体7として取り扱われる。このユニット体7の状態において、下段側の舵角センサ3に設けられた固定側コネクタはユニット体7の下面に位置して上方から見えないが、上段側の回転コネクタ4に設けられた第1および第2ダイレクトコネクタ4c,4dは舵角センサ3のステータ部材3bの外側を通って下方へ延びている。そして、このユニット体7をハウジング1内へ上方から組み付けることにより、回転コネクタ4の第1ダイレクトコネクタ4cの外部接続端子41が回路基板2の端子挿通孔2eを貫通してコネクタカバー部1c内に配置されると共に、第2ダイレクトコネクタ4dが回路基板2上の第1のコネクタ9にダイレクトカップリングされ、かつ舵角センサ3の図示せぬ固定側コネクタが回路基板2上の第2のコネクタ10にダイレクトカップリングされる。この後、回転コネクタ4の各取付孔4gに図示せぬねじを挿入してハウジング1の支柱1gにねじ止めすることにより、ユニット体7はハウジング1に固定される。
【0024】
かかるユニット体7の組み込み工程において、回転コネクタ4の両ガイド孔4fがハウジング1のガイドピン1fに挿入された時点で、ユニット体7は一対のガイドピン1fによって水平方向に位置決めされると共に、第1および第2ダイレクトコネクタ4c,4dが回転方向に位置決めされるようになっている。したがって、この状態でユニット体7をハウジング1の内部に押し込むことにより、回転コネクタ4の第1および第2ダイレクトコネクタ4c,4dと舵角センサ3の固定側コネクタをそれぞれ回路基板2上の所定位置へ確実に導くことができる。つまり、第1ダイレクトコネクタ4cの外部接続端子41を端子挿通孔2eおよび位置決め孔1eを貫通させてコネクタカバー部1c内に確実に配置させることができると共に、第2ダイレクトコネクタ4dの外部接続端子42を第1のコネクタ9に確実に接続させることができ、同様に舵角センサ3の固定側コネクタも第2のコネクタ10に確実に接続させることができる。そして、第1のコネクタ9や第2のコネクタ10は回路基板2の配線パターンを介して接続ピン15と電気的に接続されているので、これらコネクタ9,10に出力された回転コネクタ4や舵角センサ3の各信号はCPUで処理されるなどして対応する接続ピン15から車体側へ出力されるようになっている。
【0025】
一方のストークスイッチ5はワイパー動作等を行うワイパースイッチであり、他方のストークスイッチ6はウインカー動作等を行うターンシグナルスイッチである。これらストークスイッチ5,6の基部側面には水平方向に延びるガイド突起5a,6aが形成されており、図示せぬが、両ストークスイッチ5,6の基部下面には外部接続用のコネクタが設けられている。そして、両ストークスイッチ5,6の基部をハウジング1の両側外方から挿入口1b内に挿入してガイド突起5a,6aを挿入方向へ案内することにより、両ストークスイッチ5,6がハウジング1の左右両側部に装着されると共に、両ストークスイッチ5,6の図示せぬコネクタが回路基板2上の第3および第4のコネクタ11,12にそれぞれダイレクトカップリングされる。そして、第3および第4のコネクタ11,12は回路基板2の配線パターンを介して接続ピン15と電気的に接続されているので、これら第3および第4のコネクタ11,12に出力されたストークスイッチ5,6の各信号は、CPUで処理されるなどして対応する接続ピン15から車体側へ出力されるようになっている。
【0026】
このようにハウジング1にユニット体7(舵角センサ3と回転コネクタ4)と一対のストークスイッチ5,6とが取り付けられたステアリングモジュールは、ハウジング1をステアリングコラムに固定すると共に回転コネクタ4のロータ部材4aをハンドルに連結した状態で自動車のステアリング装置に組み込まれ、その時点で回転コネクタ4から前述したストッパ部材を取り外すことにより、舵角センサ3と回転コネクタ4のロータ部材3a,4aはステータ部材3b,4bに対して回転自在となる。したがって、使用に際して運転者がハンドルを時計回りまたは反時計回りへ回転操作すると、ハンドルの回転に連動して両ロータ部材3a,4aが一体的に回転し、回転コネクタ4と舵角センサ3がそれぞれ動作される。すなわち、回転コネクタ4については、ロータ部材4aが回転することによって図示せぬ可撓性ケーブルが巻き締めあるいは巻き戻され、舵角センサ3については、ロータ部材3aが回転することによって図示せぬ検出素子から回転量の検出信号が出力される。
【0027】
以上説明したように本実施形態例に係るステアリングモジュールは、回転コネクタ4のステータ部材4bに第1ダイレクトコネクタ4cと第2ダイレクトコネクタ4dが下向きに突設されており、このうち第1ダイレクトコネクタ4cは回路基板2を介さずに車体側コネクタ(外部コネクタ)20と直接電気的に接続できるため、この第1ダイレクトコネクタ4cへ出力されるホーン回路用信号や接地回路用信号等の経路を回路基板2に設ける必要がなく、該信号経路にサーミスタ等の保護部品を介装する必要もない。また、第1ダイレクトコネクタ4cと第2ダイレクトコネクタ4dは互いのケーシングを連設させているため、回転コネクタ2のステータ部材4bの構造を複雑化させることもない。それゆえ、このステアリングモジュールは、実装部品を含めた回路基板2を低コスト化できて小型化も図りやすくなっている。
【0028】
一方、第2ダイレクトコネクタ4dや舵角センサ3やストークスイッチ5,6等からそれぞれ回路基板2上の対応するコネクタ9,10,11,12へ出力される信号は、回路基板2のCPUで処理するなどしたうえで接続ピン15を出力端となすことができる。そして、ハウジング1のコネクタカバー部1c内において、接続ピン15群の近傍に第1ダイレクトコネクタ4cの外部接続端子41群が配置され、これら接続ピン15群と外部接続端子41群を共通の車体側コネクタ20に接続させることができるので、電気的接続作業も容易になる。
【0029】
また、本実施形態例に係るステアリングモジュールでは、第2ダイレクトコネクタ4dが接続される第1のコネクタ9の高さ相当分だけ、第1ダイレクトコネクタ4cのケーシングを第2ダイレクトコネクタ4dのケーシングよりも下方へ突出させている。そのため、回転コネクタ4を回路基板2に取り付ける際に、第1および第2ダイレクトコネクタ4c,4dをそれぞれの所定位置に精度良く配置させることが容易であり、よって回転コネクタ4の取付作業性や接続信頼性も向上している。
【0030】
なお、上記の実施形態例では、第1ダイレクトコネクタ4cの各外部接続端子41を回路基板2の各端子挿通孔2eに挿通させているが、複数の外部接続端子41を回路基板2の共通の挿通孔に一括して挿通させてもよく、この挿通孔の形状が長孔状や切欠き状であってもよい。
【0031】
また、上記の実施形態例では、回転コネクタ4に舵角センサ3を組み付けたユニット体7をコンビネーションスイッチのハウジング1上に取り付けたステアリングモジュールについて説明しているが、舵角センサ3が省略されている構成のステアリングモジュールであっても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 ハウジング
1a 貫通孔
1b 挿入口
1c コネクタカバー部
1e 位置決め孔
2 回路基板
2e 端子挿通孔
3 舵角センサ
3a ロータ部材
3b ステータ部材
4 回転コネクタ
4a ロータ部材
4b ステータ部材
4c 第1ダイレクトコネクタ
4d 第2ダイレクトコネクタ
4e 第3ダイレクトコネクタ(エアーバッグ用コネクタ部)
5,6 ストークスイッチ
7 ユニット体
9 第1のコネクタ
10 第2のコネクタ
11 第3のコネクタ
12 第4のコネクタ
13 電気部品
15 接続ピン
20 車体側コネクタ(外部コネクタ)
41 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口していると共に中央部にステアリングシャフトが挿通される貫通孔を有するハウジングと、このハウジングの両側部に装着された一対のストークスイッチと、前記ハウジング内で前記貫通孔の周囲に設置された回路基板と、この回路基板の上方に設置された回転コネクタとを備え、前記回路基板の上面側に複数のコネクタが配設されていると共に、前記回路基板の下面側に前記複数のコネクタと電気的に接続された複数の接続ピンが下向きに突設されており、前記両ストークスイッチと前記回転コネクタがそれぞれ前記複数のコネクタに接続されているステアリングモジュールであって、
前記回転コネクタに、複数の外部接続端子を有する第1ダイレクトコネクタと、前記複数のコネクタのうちの一部のコネクタに接続される第2ダイレクトコネクタとが隣接して下向きに突設されていると共に、前記回路基板に、前記複数の外部接続端子を挿通させるための端子挿通孔が設けられており、かつ、前記ハウジングに、前記複数の外部接続端子および前記複数の接続ピンを内部に露出させるコネクタカバー部が設けられていることを特徴とするステアリングモジュール。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記複数の外部接続端子が接地用の端子を有していることを特徴とするステアリングモジュール。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記第2ダイレクトコネクタが接続される前記コネクタの高さ相当分だけ、前記第1ダイレクトコネクタのケーシングが前記第2ダイレクトコネクタのケーシングよりも下方へ突出していることを特徴とするステアリングモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−16498(P2011−16498A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163973(P2009−163973)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】