説明

ステアリング装置の設計支援装置及びステアリング装置設計支援方法

【課題】チューブヨーク及びシャフトヨークの既存部品を活用し、インターミディエイトシャフトを有するステアリング装置の設計を支援するステアリング装置の設計支援装置及びステアリング装置設計支援方法を提供する。
【解決手段】ステアリング装置の設計支援装置1は、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長JWが、嵌合長の条件を満たす場合、表示装置3が決定ボタン251を表示する。決定ボタン251を選択する場合、設計者が選択する図を決定した情報を制御装置4が受け付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリング装置の設計を支援するステアリング装置の設計支援装置及びステアリング装置設計支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステアリング装置は、ハンドルの操作で回転するステアリングシャフトの動きを、ステアリングギヤの入力軸であるピニオンシャフトに伝達している。伝達されたステアリングギヤの動きによって車輪の方向が変更される。一般的に、ステアリングシャフトの回転軸とピニオンシャフトの軸とは互いに同一直線上に設けることができない。そこで、ユニバーサルジョイントを介してステアリングシャフトとステアリングギヤとの間にインターミディエイトシャフトを設け、インターミディエイトシャフトの端部とステアリングシャフトとを結合している。また、ユニバーサルジョイントを介してインターミディエイトシャフトの端部とピニオンシャフトの端部とを結合している。2つのユニバーサルジョイントとインターミディエイトシャフトとの存在により、同一直線上に存在しないステアリングシャフトとステアリングギヤの入力軸との間で、動力伝達が行われる。
【0003】
インターミディエイトシャフトは、ステアリングシャフトとピニオンシャフトとの間の3次元空間に配置される。ステアリングシャフト及びピニオンシャフトの回転の角速度が等速となるために、インターミディエイトシャフトモジュールの配置は、ステアリングシャフトの回転軸とインターミディエイトシャフトの回転軸とのなす角と、ステアリングギヤの軸とインターミディエイトシャフトの回転軸とのなす角とが等しくされるように配置する必要がある。また、近年、車両の車輪を操舵するステアリング装置は、シミュレーション技術を活用して設計されている。例えば、特許文献1から特許文献3に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−175249号公報
【特許文献2】特開2008−197899号公報
【特許文献3】特開2008−269080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インターミディエイトシャフトは、ステアリングシャフトとピニオンシャフトとの間のジョイント長と、インターミディエイトシャフトを構成するチューブヨークとシャフトヨークとが連結する嵌合長の条件とを考慮する必要があり、条件が異なる毎に設計労力が必要とされている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、チューブヨーク及びシャフトヨークの既存部品を活用し、インターミディエイトシャフトを有するステアリング装置の設計を支援するステアリング装置の設計支援装置及びステアリング装置設計支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し目的を達成するために、ステアリング装置の設計支援装置は、チューブヨークと、前記チューブヨークと連結するシャフトヨークとを含むインターミディエイトシャフトモジュールの設計を支援するステアリング装置の設計支援装置であって、前記インターミディエイトシャフトモジュールがコラムヨークと接続する第1の接続基準点と、前記インターミディエイトシャフトモジュールがピニオン側ヨークと接続する第2の接続基準点との間の距離であるジョイント長と、前記チューブヨークと前記シャフトヨークとが連結する嵌合長の条件となる嵌合仕様を含む情報と、既に設計された前記チューブヨークの既存部品の情報と、既に設計された前記シャフトヨークの既存部品の情報と、を少なくとも記憶する記憶手段と、前記ジョイント長に収まる前記チューブヨークの候補部品を前記チューブヨークの既存部品の情報から抽出し、かつ前記ジョイント長に収まる前記シャフトヨークの候補部品を前記チューブヨークの既存部品の情報から抽出する候補部品抽出手段と、前記第1の接続基準点及び前記第2の接続基準点の間に配置される、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長が前記嵌合仕様を満たす場合、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との組み合わせを前記記憶手段が記憶するための指令を演算する演算手段と、前記演算手段で演算された前記指令があることを示す指標を表示する表示手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
この構成により、チューブヨーク及びシャフトヨークの既存部品を最大限活用したチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを選択することを支援できる。設計者は、チューブヨーク及びシャフトヨークの数多くの既存部品の中から、ジョイント長と、嵌合長の条件に適合するチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを選択することができる。
【0009】
本発明の望ましい態様として、前記表示手段は、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長が前記嵌合仕様を満たさない場合、前記指標を表示しないことが好ましい。
【0010】
この構成により、ジョイント長と、嵌合長の条件に適合しないチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを設計者が選択することを防止することができる。
【0011】
本発明の望ましい態様として、前記記憶手段は、前記チューブヨークと前記シャフトヨークとの嵌め合いが解除され、前記シャフトヨークが前記チューブヨーク内で移動できる距離である衝突時収縮長の条件である衝突時収縮長仕様を記憶し、前記表示手段は、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせた衝突時収縮長が前記衝突時収縮長仕様を満たさない場合、前記指標を表示しないことが好ましい。
【0012】
この構成により、衝突時収縮長の条件に適合しないチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを設計者が選択することを防止することができる。
【0013】
本発明の望ましい態様として、前記表示手段は、前記候補部品抽出手段により抽出された前記チューブヨークの候補部品又は前記シャフトヨークの候補部品を選択する前記入力手段の選択情報に連動して、前記チューブヨークの候補部品又は前記シャフトヨークの候補部品の図を前記第1の接続基準点及び前記第2の接続基準点の間に表示することが好ましい。
【0014】
この構成により、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを設計者に確認させる支援を行うことができる。
【0015】
本発明の望ましい態様として、前記表示手段は、前記指標を受け付けて記憶手段が記憶した前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との組み合わせの情報を、前記ステアリング装置が搭載される車両の前後、上下及び左右方向が定められている3次元空間に表示することが好ましい。
【0016】
この構成により、設計者がチューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせを立体的に把握する支援を行うことができる。
【0017】
本発明の望ましい態様として、前記演算手段は、前記指令に基づいて記憶された前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との複数の候補部品同士の組み合わせに対して、前記記憶手段に記憶する優先順序情報に従って候補部品同士の組み合わせを選択する順序を付与することが好ましい。
【0018】
この構成により、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせが複数ある場合、候補部品同士の組み合わせの中からコスト等のより条件のよい組み合わせを選択する支援を行うことができる。
【0019】
上述した課題を解決し目的を達成するために、ステアリング装置設計支援方法は、チューブヨークと、前記チューブヨークと連結するシャフトヨークとを含むインターミディエイトシャフトモジュールの設計をコンピュータが支援するステアリング装置設計支援方法であって、前記インターミディエイトシャフトモジュールがコラムヨークと接続する第1の接続基準点と、前記インターミディエイトシャフトモジュールがピニオン側ヨークとに接続する第2の接続基準点との間の距離であるジョイント長の情報を取得するジョイント長情報取得ステップと、前記チューブヨークと前記シャフトヨークとが連結する長さである嵌合長の条件である嵌合長仕様の情報を取得する嵌合長情報取得ステップと、既に設計された前記チューブヨークの既存部品の情報と、既に設計された前記シャフトヨークの既存部品の情報とを取得し、前記ジョイント長情報取得ステップで取得した前記ジョイント長に収まる前記チューブヨークの候補部品を前記チューブヨークの既存部品の情報から抽出し、かつ前記ジョイント長情報取得ステップで取得した前記ジョイント長に収まる前記シャフトヨークの候補部品を前記チューブヨークの既存部品の情報から抽出する候補部品抽出ステップと、候補部品抽出ステップにおいて抽出される、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長が嵌合長情報取得ステップにおいて取得した嵌合長仕様を満たす場合、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせを記憶する指令を演算するステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
この方法により、チューブヨーク及びシャフトヨークの既存部品を最大限活用したチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを選択することを支援できる。設計者は、チューブヨーク及びシャフトヨークの数多くの既存部品の中から、ジョイント長と、嵌合長の条件に適合するチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを選択することができる。
【0021】
本発明の望ましい態様として、前記演算ステップにおいて、前記チューブヨークと前記シャフトヨークとの嵌め合いが解除され、前記シャフトヨークが前記チューブヨーク内で移動できる距離である衝突時収縮長が、車両の制約条件である衝突時収縮長仕様を満たさない場合、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との組み合わせを記憶する指令を演算しないことが好ましい。
【0022】
この方法により、衝突時収縮長の条件に適合しないチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを設計者が選択することを防止することができる。
【0023】
本発明の望ましい態様として、前記指令により記憶した、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との複数の候補部品同士の組み合わせに対して、優先する候補部品の組み合わせを決定する優先候補部品決定ステップをさらに含むことが好ましい。
【0024】
この方法により、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせが複数ある場合、候補部品同士の組み合わせの中からコスト等のより条件のよい組み合わせを選択する支援を行うことができる。
【0025】
本発明の望ましい態様として、前記指令により記憶した、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との組み合わせの情報を、前記ステアリング装置が搭載される車両の前後、上下及び左右方向が定められている3次元空間に表示する表示ステップをさらに含むことが好ましい。
【0026】
この方法により、設計者がチューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせを立体的に把握する支援を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、チューブヨーク及びシャフトヨークの既存部品を活用し、インターミディエイトシャフトを有するステアリング装置の設計を支援するステアリング装置の設計支援装置及びステアリング装置設計支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本実施形態のステアリング装置の設計支援装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、車両に搭載されたステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】図3は、インターミディエイトシャフトモジュールの一例を示す図である。
【図4】図4は、チューブヨークの一例とシャフトヨークの一例とを示す図である。
【図5】図5は、実施形態1に係るステアリング装置の設計支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、設計情報入力画面の一例を示す図である。
【図7】図7は、ジョイント長と嵌合長との関係の一例を示す図である。
【図8−1】図8−1は、チューブヨークの既存部品の情報の一例を示す図である。
【図8−2】図8−2は、シャフトヨークの既存部品の情報の一例を示す図である。
【図8−3】図8−3は、チューブヨークの候補部品の一例を示す図である。
【図8−4】図8−4は、シャフトヨークの候補部品の一例を示す図である。
【図9】図9は、入力手段の一例を示す図である。
【図10】図10は、出力表示画面の初期画面の一例を示す図である。
【図11−1】図11−1は、チューブヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図11−2】図11−2は、チューブヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図11−3】図11−3は、チューブヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図11−4】図11−4は、チューブヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図12−1】図12−1は、シャフトヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図12−2】図12−2は、シャフトヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図12−3】図12−3は、シャフトヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図12−4】図12−4は、シャフトヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図12−5】図12−5は、シャフトヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図12−6】図12−6は、シャフトヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図12−7】図12−7は、シャフトヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図13−1】図13−1は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図13−2】図13−2は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図13−3】図13−3は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図13−4】図13−4は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図13−5】図13−5は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図13−6】図13−6は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図13−7】図13−7は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【図14】図14は、衝突時収縮長の算出結果を表示する出力表示画面の一例を示す図である。
【図15】図15は、実施形態2に係るステアリング装置の設計支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】図16は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせのデータテーブルの一例を示す図である。
【図17−1】図17−1は、チューブヨークの候補部品のコストデータテーブルの一例を示す図である。
【図17−2】図17−2は、シャフトヨークの候補部品のコストデータテーブルの一例を示す図である。
【図18】図18は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの優先順序を示す順序データテーブルの一例を示す図である。
【図19】図19は、実施形態3に係るステアリング装置の設計支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】図20は、実施形態4に係るステアリング装置の設計支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態に記載された装置、システム、方法及び変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0030】
(実施形態1)
図1は、本実施形態のステアリング装置の設計支援装置の構成を示す図である。図1に示すように、ステアリング装置の設計支援装置1は、入力装置2と、表示装置3と、制御装置4と、外部記憶装置5と、を備えている。
【0031】
入力装置2は、マウス、キーボード等であり、ユーザである設計者の入力操作、選択操作を受け付け、入力信号を制御装置4に出力する。表示装置3は、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ等の画像を表示する装置である。
【0032】
制御装置4は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、入力インターフェース4aと、出力インターフェース4bと、CPU(Central Processing Unit)4cと、ROM(Read Only Memory)4dと、RAM(Random Access Memory)4eと、内部記憶装置4fと、を含んでいる。入力インターフェース4a、出力インターフェース4b、CPU4c、ROM4d、RAM4e及び内部記憶装置4fは、内部バスで接続されている。
【0033】
入力インターフェース4aは、入力装置2からの入力信号を受け取り、CPU4cに出力する。出力インターフェース4bは、CPU4cから画像信号を受け取り、表示装置3に出力する。
【0034】
ROM4dには、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置4fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU4cは、演算手段であり、RAM4eをワークエリアとして使用しながらROM4dや内部記憶装置4fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0035】
外部記憶装置5は、HDDやサーバ等である。外部記憶装置5がサーバである場合、外部記憶装置5は、LAN等のネットワークを介して制御装置4と接続されている。なお、外部記憶装置5は、制御装置4から離れた場所に設置されていても良い。
【0036】
内部記憶装置4f又は外部記憶装置5には、ステアリングを構成し、生産実績がある部品の情報を格納した既存部品データベースが記憶されている。このように、内部記憶装置4f又は外部記憶装置5は、記憶手段となる。
【0037】
図2は、車両に搭載されたステアリング装置の概略構成を示す模式図である。車両100は、ステアリング装置102と、ステアリング装置102の操舵機構103と、コントロールユニット104と、イグニッションスイッチ105と、バッテリ106と、車速センサ107とを有する。なお、車両100は、図2に示す構成要素以外にも、エンジン、車輪等、車両として通常通する各種構成要素を有する。図2に示すステアリング装置102は電動パワーステアリング装置である。
【0038】
ステアリング装置102は、運転者に操作されるハンドル(ステアリングホイール)110と、ハンドル110から入力される回転を伝達するステアリングシャフト120と、ステアリングシャフト120に入力されるトルクとステアリングシャフト120の回転角を検出するトルクセンサ130と、トルクセンサ130により検出されたトルクに基づいて、ステアリングシャフト120の回転を補助する補助操舵機構140と有する。
【0039】
ステアリング装置102は、ハンドル110が操作されることでステアリングシャフト120に発生する操舵トルクをトルクセンサ130で検出する。さらに、ステアリング装置102は、その検出した信号に基づいて、コントロールユニット104により電動モータ160を駆動制御して補助操舵トルクを発生させてハンドル110の操舵力を補助する。
【0040】
ハンドル110に連結されたステアリングシャフト120は、運転者の操舵力が作用する入力軸120aとコラム出力軸120bとを有し、入力軸120aとコラム出力軸120bとの間にトルクセンサ130及び減速ギヤボックス150が介装されている。ステアリングシャフト120のコラム出力軸120bに伝達された操舵力は、操舵機構103に伝達される。
【0041】
トルクセンサ130は、ハンドル110を介して入力軸120aに伝達された操舵力を操舵トルクとして検出するものである。
【0042】
補助操舵機構140は、ステアリングシャフト120のコラム出力軸120bに連結され、コラム出力軸120bに補助操舵トルクを伝達する。補助操舵機構140は、コラム出力軸120bに連結された減速ギヤボックス150と、減速ギヤボックス150に連結されかつ補助操舵トルクを発生させる電動モータ160と、を含む。
【0043】
なお、ステアリングシャフト120、トルクセンサ130及び減速ギヤボックス150によりコラムが構成されており、電動モータ160は、コラムのコラム出力軸120bに補助操舵トルクを与える。すなわち、本実施形態における電動パワーステアリング装置は、コラムアシスト式となっている。
【0044】
ステアリング装置102の操舵機構103は、ユニバーサルジョイント20と、インターミディエイトシャフトモジュール10と、ユニバーサルジョイント30と、ピニオンシャフト60と、ステアリングギヤ61と、タイロッド70と含む。ステアリング装置102から操舵機構103に伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント20、インターミディエイトシャフトモジュール10及びユニバーサルジョイント30を介して、ピニオンシャフト60に伝達される。ピニオンシャフト60に伝達された操舵力は、ステアリングギヤ61を介してタイロッド70に伝達され、図示していない転舵輪を転舵させる。
【0045】
ステアリングギヤ61は、ピニオンシャフト60に連結されたピニオン61aと、ピニオン61aに噛合するラック61bと、を有するラックアンドピニオン形式として構成され、ピニオン61aに伝達された回転運動をラック61bで直進運動に変換している。
【0046】
コントロールユニット(ECU、Electronic Control Unit)104は、電動モータ160、エンジン等、車両100の駆動を制御する。コントロールユニット104には、イグニッションスイッチ105がオンの状態のときに、バッテリ106から電力が供給される。コントロールユニット104は、トルクセンサ130で検出された操舵トルクQ及び車速センサ107で検出された走行速度Vに基づいてアシスト指令の補助操舵指令値を算出し、その算出された補助操舵指令値に基づいて電動モータ160への供給電流値を制御する。
【0047】
本実施形態のステアリング装置102は、チルト機構及びテレスコピック機構が設けられている。ステアリング装置102では、ハンドル110のチルト位置、及び、ハンドル110の車体前後方向位置が自在とされている。チルト機構及びテレスコピック機構の作用により、ハンドルの位置が変わると、ハンドル位置基準点Hが移動する。ハンドル位置基準点Hは、ステアリングシャフト120の回転中心の軸T上に位置している。
【0048】
ステアリングシャフト120のコラム出力軸120bがインターミディエイトシャフトモジュール10に接続するユニバーサルジョイント20の接続基準点HJは、ステアリングシャフト120の回転中心の軸T上に位置している。ユニバーサルジョイント20の接続基準点HJは、インターミディエイトシャフトモジュール10とユニバーサルジョイント20とを接続している。ユニバーサルジョイント20の接続基準点HJは、インターミディエイトシャフトモジュール10の回転中心の基準軸S上に位置している。
【0049】
インターミディエイトシャフトモジュール10がピニオンシャフト60に接続するユニバーサルジョイント30の接続基準点GJは、インターミディエイトシャフトモジュール10の回転中心の基準軸S上に位置している。ユニバーサルジョイント30の接続基準点GJは、ピニオンシャフト60の回転中心の軸R上に位置している。ピニオンシャフト60とステアリングギヤ61の交点であるステアリングギヤ基準点GCもピニオンシャフト60の回転中心の軸R上に位置している。
【0050】
次に、図3及び図4を使用してインターミディエイトシャフトモジュールについて説明する。図3は、インターミディエイトシャフトモジュールの一例を示す図である。図4は、チューブヨークの一例とシャフトヨークの一例とを示す図である。
【0051】
図3に示すように、インターミディエイトシャフトモジュール10は、ステアリングシャフト120のコラム出力軸120bに繋がるコラムヨーク21と、ピニオンシャフト60に繋がるピニオン側ヨーク31との間に配置される。インターミディエイトシャフトモジュール10は、チューブヨーク11とシャフトヨーク14とを有している。
【0052】
チューブヨーク11の一端はU形状になっており、一対の対向するアーム部12、12が設けられている。アーム部12、12には、各々のアーム部12、12に対向して設けられた一対の軸受孔13、13が設けられている。軸受孔13、13の孔中心を結んだ揺動軸は、チューブヨーク11の回転中心となる軸と直交している。揺動軸と軸の交点は、接続基準点HJである。十字軸自由継手41は、一対のアーム部12、12の間に介装されている。そして、チューブヨーク11の一端は、十字軸自由継手41を介してコラムヨーク21と接続されている。また、チューブヨーク11の他端は、シャフトヨーク14と接続可能とされている。
【0053】
また、シャフトヨーク14の一端はU形状となっており、一対の対向するアーム部15、15が設けられている。アーム部15、15には、各々のアーム部15、15に対向して設けられた一対の軸受孔16、16が設けられている。軸受孔16、16の孔中心を結んだ揺動軸は、チューブヨーク11の回転中心となる軸と直交している。揺動軸と軸の交点は、接続基準点GJである。十字軸自由継手51は、一対のアーム部12、12の間に介装されている。そして、シャフトヨーク14の一端は、十字軸自由継手51を介してピニオン側ヨーク31と接続されている。また、シャフトヨーク14の他端は、チューブヨーク11と接続可能とされている。
【0054】
図4に示すように、チューブヨーク11とシャフトヨーク14とは端部を嵌め合わされている。チューブヨーク11の回転中心となる軸とシャフトヨーク14の回転中心となる軸とが一致する軸Sとなるように嵌め合わされる。つまり、図3及び図4に示す軸Sは、インターミディエイトシャフトモジュール10の回転中心となる回転軸である。
【0055】
また、チューブヨーク11は、チューブヨーク11の円筒内周側でシャフトヨーク14と嵌合可能なチューブヨーク嵌合部11jと、チューブヨーク嵌合部11jの始点であるチューブヨーク嵌合始端部11aと、チューブヨーク11の円筒内周側でかつチューブヨーク嵌合部11jの終点であるチューブヨーク嵌合終端部11bと、を含む。チューブヨーク長Twは、接続基準点HJを基準とした場合のチューブヨーク11の長さである。
【0056】
また、シャフトヨーク14は、シャフトヨーク14の円筒の外周側でチューブヨーク11と嵌合可能なシャフトヨーク嵌合部14jと、シャフトヨーク嵌合部14jの始点であるシャフトヨーク嵌合始端部14aと、シャフトヨーク嵌合部14jの終点であるシャフトヨーク嵌合終端部14bと、を含む。シャフトヨーク長Swは、接続基準点GJを基準とした場合のシャフトヨーク14の長さである。
【0057】
チューブヨーク嵌合部長Lwは、チューブヨーク嵌合部11jの長さであり、シャフトヨーク嵌合部長Swjは、シャフトヨーク嵌合部14jの長さである。接続基準点HJと接続基準点GJとの距離をジョイント長Wと言う。チューブヨーク11とシャフトヨーク14とは、接続基準点HJと接続基準点GJとの間で嵌め合わされて配置される。このため、チューブヨーク長Tw及びシャフトヨーク長Swは、ジョイント長Wよりも小さい。
【0058】
また、チューブヨーク嵌合部11jとシャフトヨーク嵌合部14jとが嵌め合う嵌合長JWは、チューブヨーク嵌合始端部11aとシャフトヨーク嵌合始端部14aとの位置を合わせることで、シャフトヨーク嵌合部長Swjと等しくなる。このように、チューブヨーク嵌合始端部11aとシャフトヨーク嵌合始端部14aとの位置を合わせると、嵌合長JWの管理はしやすい。ところで、嵌合長JWが異なるインターミディエイトシャフトモジュール10の仕様では、新たなチューブヨーク11とシャフトヨーク14との組み合わせを設計し直す必要があり、管理すべき生産部品が増えることからコスト増加のおそれがある。
【0059】
上述したように、ステアリング装置102において、インターミディエイトシャフトモジュール10は、ステアリングシャフト120とステアリングギヤ61との間で、操舵力を伝達する。このため、インターミディエイトシャフトモジュール10には複数の方向から荷重が加えられるおそれがあり、曲げ強度を所定以上とし、がたつきを防止するためにジョイント長Wに応じた嵌合長の条件となる嵌合長仕様を満たすように設計することが好ましい。
【0060】
また、インターミディエイトシャフトモジュール10は、車両が衝突した衝撃に伴って全長が縮まることで、衝突時に運転者を保護することができる。この収縮する距離は、衝突時収縮長Rwであり、S軸に衝撃力が加わった場合、チューブヨーク11とシャフトヨーク14との嵌め合いが解除され、シャフトヨーク14がチューブヨーク11内で移動できる距離である。例えば、図4に示すように、衝突時収縮長Rwは、シャフトヨーク嵌合終端部14bから十字軸自由継手41までの距離である。また、嵌合長JWを増加させると、衝突時収縮長Rwが減少する。
【0061】
本実施形態に係るステアリング装置の設計支援装置1は、曲げ強度を所定以上とし、がたつきを防止する嵌合長仕様と、車両の仕様(制約)による衝突時収縮長の条件である衝突時収縮長仕様との両条件を満たす、チューブヨーク11とシャフトヨーク14との組み合わせの選択肢を提示することができる。次に、ステアリング装置の設計支援装置1の処理の手順について、説明する。
【0062】
図5は、実施形態1に係るステアリング装置の設計支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。まず、ステアリング装置の設計支援装置1の制御装置4は、ステアリング装置102のジョイント長の情報を取得する(ステップS101)。例えば、制御装置4のCPU4cは、入力装置2から入力され車両の設計情報として外部記憶装置5又は内部記憶装置4fに記憶してあるジョイント長Wの情報を読み出し、RAM4eに記憶保持する。図6は、設計情報入力画面の一例を示す図である。なお、設計情報とは、例えば車両100の制約条件であり仕様と呼ばれる。
【0063】
上述した表示装置3に表示する設計情報入力画面601は、例えば、入力欄611、入力欄621、入力欄631、入力欄641、入力欄651を含む。入力欄611では、制御装置4が伸縮種別の入力をそれぞれ受け付けることができる。チューブヨーク嵌合部11jとシャフトヨーク嵌合部14jとが嵌め合う種別は、例えば、樹脂を介在させる種別、かしめによる嵌め合いの種別、施したセレーションの状態の種別等によって、分類されている。
【0064】
また制御装置4は、入力欄621上でチューブヨーク11がコラム側に配置する場合(チューブがコラム側)の選択肢の入力を受け付けることができる。または、制御装置4は、入力欄621上でチューブヨーク11がピニオン側に配置する場合(チューブがピニオン側)の選択肢の入力を受け付けることができる。このように、入力欄611及び入力欄621は、例えば、ラジオボタンの表示形式となっており、選択肢のうち1つだけを選択することができる。
【0065】
制御装置4は、入力欄631において位相角の情報の入力を受け付けることができる。また、制御装置4は、入力欄641においてジョイント長の情報の入力を受け付けることができる。同様に、制御装置4は、入力欄651において衝突時収縮長の条件となる衝突時収縮長仕様の情報の入力を受け付けることができる。
【0066】
制御装置4は、入力欄611、入力欄621、入力欄631、入力欄641及び入力欄651に、入力装置2から入力された情報をRAM4eに記憶保持する。そして、制御装置4は、入力された情報を外部記憶装置5又は内部記憶装置4fに保存する。
【0067】
次に、制御装置4は、嵌合長の情報を取得する(ステップS102)。図7は、ジョイント長と嵌合長との関係の一例を示す図である。例えば、制御装置4は、ジョイント長に対応する嵌合長の条件の情報を例えば、図7に示すデータベース401として、外部記憶装置5又は内部記憶装置4fに記憶しておく。
【0068】
制御装置4のCPU4cは、ステップS101において取得したジョイント長の情報をデータベース401に与え、嵌合長の条件である嵌合長仕様の情報を取得する。図7に示すように、制御装置4は、ステップS101において取得したジョイント長の情報に加え、上述した伸縮種別の情報からデータベース401から抽出される嵌合長仕様を情報として取得するようにしてもよい。例えば、図7に示すように、CPU4cは、ジョイント長W、伸縮種別A型の情報をデータベース401に与え、嵌合長仕様Waを抽出する。また、制御装置4は、上述した図6に示す設計情報入力画面601において、嵌合長の条件も嵌合長仕様として入力を受け付け、入力された嵌合長仕様の情報を外部記憶装置5又は内部記憶装置4fに保存するようにしてもよい。
【0069】
次に、制御装置4は、内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に記憶している既存部品データベースを呼び出し、ステップS101において取得したジョイント長の情報を既存部品データベースに与え、候補部品を抽出する(ステップS103)。図8−1は、チューブヨークの既存部品の情報の一例を示す図である。図8−2は、シャフトヨークの既存部品の情報の一例を示す図である。
【0070】
図8−1に示すように、既存部品データベース320は、既に設計されたチューブヨークの既存部品データを格納しており、例えば、図番号、伸縮仕様、チューブヨーク長さTwの情報を紐付けて、内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に記憶している。また、図8−2に示すように、既存部品データベース330は、既に設計されたシャフトヨークの既存部品データを格納しており、例えば、図番号、伸縮仕様、シャフトヨーク長さSwの情報を紐付けて、内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に記憶している。
【0071】
制御装置4のCPU4cは、ステップS101において取得したジョイント長の情報を既存部品データベース320に与え、例えば、既存部品データベース320に格納するチューブヨーク長がジョイント長よりも小さいチューブヨークの候補部品を抽出する。図8−3は、チューブヨークの候補部品の一例を示す図である。図8−3には、候補部品として抽出された図番号TY1、TY2、TY3及びTY4が候補部品リスト325として、伸縮仕様、チューブヨーク長さTwと共に表示画面321として表示されている。例えば、選択された候補部品323の図番号は、選択されていない候補部品の図番号よりも、例えば図8−3に示すように、強調表示されることが好ましい。
【0072】
または、制御装置4のCPU4cは、ステップS101において取得したジョイント長の情報を既存部品データベース330に与え、例えば、既存部品データベース330に格納するシャフトヨーク長がジョイント長よりも小さいシャフトヨークの候補部品を抽出する。図8−4は、シャフトヨークの候補部品の一例を示す図である。図8−4には、候補部品として抽出された図番号SY1からSY7が候補部品リスト335として、伸縮仕様、チューブヨーク長さTwと共に表示画面331として表示されている。例えば、選択された候補部品333の図番号は、選択されていない候補部品の図番号よりも、例えば図8−4に示すように、強調表示されることが好ましい。
【0073】
以上説明したように、制御装置4は、CPU4c及び既存部品データベース320、330が候補部品抽出手段として、ステップS101において取得したジョイント長に収まるチューブヨークの候補部品及びシャフトヨークの候補部品を既存部品の情報から抽出することができる。
【0074】
次に、制御装置4は、ステップS103において抽出した候補部品を上述した表示装置3に表示させる(ステップS104)。制御装置4は、上述した候補部品リスト321又は候補部品リスト331の画面表示をすることにより、設計者が候補部品を選択する支援をすることができる。図9は、入力手段の一例を示す図である。例えば、設計者は、入力装置2の入力手段であるキーボード201により、候補部品リスト321又は候補部品リスト331の画面表示から候補部品の選択を行う。
【0075】
制御装置4は、キーボード201における、図9に示す上矢印キー211と下矢印キー221とを、上述した候補部品リスト325又は候補部品リスト335から、候補部品323又は候補部品333の選択をする入力手段として割り付ける。または、制御装置4は、キーボード201における、図9に示す左矢印キー231と右矢印キー241とを、上述した候補部品リスト325又は候補部品リスト335から、候補部品323又は候補部品333の選択をする入力手段として割り付ける。
【0076】
図10は、出力表示画面の初期画面の一例を示す図である。制御装置4は、表示装置3に図10に示す出力表示画面340を表示させる。出力表示画面340には、上述した接続基準点HJと、接続基準点GJとが表示されている。このため、設計者が出力表示画面340上でジョイント長Wを直感的に把握することができる。
【0077】
設計者が入力装置2であるマウス、キーボード等により決定ボタン251を選択する場合、設計者が決定した情報を制御装置4が入力インターフェース4aを介して受け付けることができる。また、設計者が入力装置2であるマウス、キーボード等により処理中止ボタン252を選択する場合、設計者の意志により、制御装置4の処理を中断する指令を制御装置4は入力インターフェース4aを介して受け付けることができる。出力表示画面340には、チューブヨーク図番号表示部253と、シャフトヨーク図番号表示部254とを含むことが好ましい。これにより、設計者が候補部品リスト325又は候補部品リスト335から、選択した候補部品323又は候補部品333の図番号を把握することができる。
【0078】
例えば、設計者が図9に示す上矢印キー211と、下矢印キー221とを操作し、候補部品リスト325のうち候補部品323を選択する。制御装置4は、図8−3に示す候補部品リスト325のうち選択されている候補部品323の図情報を内部記憶装置4f又は外部記憶装置5から呼び出し、図10に示す出力表示画面340に重ね合わせて表示する。図11−1から図11−4は、チューブヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【0079】
図11−1から図11−4に示すように、チューブヨーク図番号表示部253の図番号(選択されている候補部品の図番号)TY1、TY2、TY3及びTY4の表示に連動して、チューブヨーク11の形状が変わる。また、チューブヨーク図番号表示部253の図番号TY1、TY2、TY3及びTY4の表示に連動して、チューブヨーク11のチューブヨーク長さTwは、TYw1、TYw2、TYw3及びTYw4のように変化している。このため、設計者は、出力表示画面341から出力表示画面344のチューブヨーク長Twを確認し、選択する部品を決定することが容易となる。
【0080】
または、設計者が図9に示す上矢印キー211と、下矢印キー221とを操作し、候補部品リスト335のうち候補部品333を選択する。制御装置4は、図8−4に示す候補部品リスト335のうち選択されている候補部品333の図情報を内部記憶装置4f又は外部記憶装置5から呼び出し、図10に示す出力表示画面340に重ね合わせて表示する。図12−1から図12−7は、シャフトヨークの候補部品の一例を表示する出力表示画面の説明図である。
【0081】
図12−1から図12−7に示すように、シャフトヨーク図番号表示部254の図番号(選択されている候補部品の図番号)SY1、SY2、SY4、SY5、SY6及びSY7の表示に連動して、シャフトヨーク14の形状が変わる。また、シャフトヨーク図番号表示部254の図番号SY1、SY2、SY4、SY5、SY6、及びSY7の表示に連動して、シャフトヨーク14のシャフトヨーク長さSwは、SYw1、SYw2、SYw3、SYw4、SYw4、SYw5、SYw6及びSYw7のように変化している。また、シャフトヨーク図番号表示部254の図番号SY1、SY2、SY4、SY5、SY6、及びSY7の表示に連動して、シャフトヨーク嵌合部長Swjは、SYwj1、SYwj2、SYwj3、SYwj4、SYwj4、SYwj5、SYwj6及びSYwj7のように変化している。このため、設計者は、出力表示画面351から出力表示画面357のシャフトヨーク長Swを確認し、選択する部品を決定することが容易となる。
【0082】
以上説明したように、制御装置4は、チューブヨーク11及びシャフトヨーク14のどちらでも、設計者が候補部品を選択する決定を支援することができる。次に、支援の結果、設計者が処理中止ボタン252を選択し、制御装置4は、決定ボタン251の入力がない場合(ステップS105、No)、選択された部品を内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に記憶しない。この場合、制御装置4は、処理をステップS106へ進める。ステップS106において、制御装置4は、選択する部品が他にある場合(ステップS106、Yes)は、処理をステップS104に戻し、候補部品の画面表示を行う。選択する部品が他にない場合(ステップS106、No)は、処理をステップS107に進める。制御装置4は、表示装置3に新しい部品の設計を促す設計指示の画面を表示する(ステップS107)。
【0083】
また、設計者が決定ボタン251をマウス又はキーボード等の入力装置2を介して、決定ボタン251の入力がある場合(ステップS105、Yes)、制御装置4は選択された部品を内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に記憶する。次に、制御装置4は、処理をステップS111へ進める。
【0084】
また、制御装置4は、対応する部品の候補部品の画面表示を行う(ステップS111)。例えば、決定ボタン251の入力がある場合(ステップS105、Yes)であって、かつ内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に記憶する部品がチューブヨークである場合、対応する部品はシャフトヨークである。または、決定ボタン251の入力がある場合(ステップS105、Yes)であって、かつ内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に記憶することになった部品がシャフトヨークである場合、対応する部品はチューブヨークである。
【0085】
例えば、選択された部品は、図13−4に示すチューブヨークであるとする。制御装置4は、対応する部品の候補部品の画面表示として、図8−4に示す候補部品リスト335を表示する。設計者が図9に示す上矢印キー211と、下矢印キー221とを操作し、候補部品リスト335のうち候補部品333を選択する。制御装置4は、図8−4に示す候補部品リスト335のうち選択されている候補部品333の図情報を内部記憶装置4f又は外部記憶装置5から呼び出し、図11−4に示す出力表示画面344に重ね合わせて表示する。
【0086】
図13−1から図13−7は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの一例を表示する出力表示画面の説明図である。図13−1から図13−7において、シャフトヨーク図番号表示部254の図番号に連動して、シャフトヨーク14の形状が変わる。このため、設計者は、出力表示画面361から出力表示画面367の嵌合長JWを確認し、選択する部品を決定することが容易となる。
【0087】
制御装置4は、CPU4cがチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長JWを演算する。そして、CPU4cは、ステップS102において取得した嵌合長仕様と嵌合長JWとを比較する演算を行う。次に、CPU4cは、嵌合長JWが前記嵌合仕様を満たす場合(ステップS112、Yes)、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との候補部品同士の組み合わせを、記憶手段である内部記憶装置4f又は外部記憶装置5が記憶するための指令を演算する。
【0088】
そして、表示装置3は、演算された前記指令があることを示す指標である決定ボタン251を表示する(ステップS114)。次に、制御装置は、処理をステップS115へ進めて、設計者の入力待機状態となる。
【0089】
設計者が決定ボタン251をマウス又はキーボード等の入力装置2を介して選択する場合(ステップS115、Yes)、前記指令に基づいて候補部品同士の組み合わせの情報が内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に記憶される。そして、制御装置4は、処理をステップS116へ進める。または、設計者が決定ボタン251をマウス又はキーボード等の入力装置2を介して選択しない場合(ステップS115、No)、例えば、設計者が入力装置2を介して処理中止ボタン252で処理手順を中止した場合、制御装置4は、処理をステップS111へ戻し、表示装置3が対応する部品の候補部品の画面表示を行う。
【0090】
チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長JWが前記嵌合仕様を満たさない場合(ステップS112、No)、CPU4cは、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との候補同士の組み合わせを、記憶手段である内部記憶装置4f又は外部記憶装置5が記憶するための指令を演算しない。
【0091】
そして、表示装置3は、前記指令がないため、指標である決定ボタン251を非表示とし、処理をステップS113へ進める。
【0092】
次に、制御装置4は、選択する部品が他にある場合(ステップS113、Yes)は、処理をステップS111に戻し、対応する部品の候補部品の画面表示を行う。選択する部品が他にない場合(ステップS113、No)は、処理をステップS107に進める。制御装置4は、表示装置3に新しい部品の設計を促す設計指示の画面を表示する(ステップS107)。
【0093】
例えば、ステップS102において取得した嵌合長仕様を満たさない(嵌合長仕様よりも嵌合長JWが小さい)場合(ステップS112、No)、CPU4cは、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との候補同士の組み合わせを、内部記憶装置4f又は外部記憶装置5が記憶するための指令を演算しない。このため、図13−1に示すチューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせを内部記憶装置4f又は外部記憶装置5が記憶するための指令が演算されない状態になる。そして、表示装置3は、出力表示画面361の決定ボタン251を非表示とする。これにより、設計者が選択できないので、曲げ強度に影響を及ぼすおそれ又はがたつきが生じるおそれのある、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの選択を防止することができる。
【0094】
上述したように、ステップS102において取得した嵌合長仕様を嵌合長JWが満たす(ステップS112、Yes)、CPU4cは、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との候補同士の組み合わせを、内部記憶装置4f又は外部記憶装置5が記憶するための指令を演算する。例えば、図13−2、図13−3、図13−4及び図13−5に示すチューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせを内部記憶装置4f又は外部記憶装置5が記憶するための指令がある。このため、表示装置3は、出力表示画面362、363、364及び365に、決定ボタン251を表示する。これにより、設計者が決定ボタン251を選択できるので、曲げ強度に影響を及ぼすおそれ又はがたつきが抑制された、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの選択をすることができる。
【0095】
制御装置4は、例えば、図13−3、図13−4又は図13−5に示すように、チューブヨーク嵌合始端部11aとシャフトヨーク嵌合始端部14aとの位置を合わせていなくても、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせを記憶できるように、制御装置4が決定ボタン251を表示する。つまり、制御装置4は、チューブヨーク嵌合始端部11aとシャフトヨーク嵌合終端部14bとの距離であるRjが嵌合長JWよりも長い状態を許容している。
【0096】
また、制御装置4は、チューブヨーク嵌合部11jとシャフトヨーク嵌合部14jとが嵌め合う実質的な長さを嵌合長JWとし、ステップS102において取得した嵌合長と比較する。このため、チューブヨーク嵌合始端部11aとシャフトヨーク嵌合始端部14aとの位置を合わせる制約がなくなった分、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせが増える。その結果、既存部品を使用できる頻度が高まり、管理すべき生産部品を低減することが出来る。
【0097】
また、制御装置4は、CPU4cがチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品とを組み合わせた衝突時収縮長Rwを演算する。CPU4cは外部記憶装置5又は内部記憶装置4fに保存する衝突時収縮長仕様の情報と、衝突時収縮長Rwとを比較する演算を行うことが好ましい。これにより、衝突時収縮長仕様の情報よりも衝突時収縮長Rwが小さくなる場合、つまり、衝突時収縮長Rwが衝突時収縮長仕様を満たさない場合、例えば、図13−6及び図13−7に示すチューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせを記憶できないように、制御装置4が決定ボタン251を非表示とする。また、図13−6に示すチューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせは、ステップS102において取得した嵌合長仕様を満たす嵌合長JWである場合であっても衝突時収縮長Rwが衝突時収縮長仕様を満たさない。この場合、CPU4cは、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との候補同士の組み合わせを、内部記憶装置4f又は外部記憶装置5が記憶するための指令を演算しない。そして、表示装置3は、前記指令があることを示す指標である決定ボタン251を非表示とし、処理をステップS113へ進める。これにより、設計者が決定ボタン251を選択できないので、衝突時収縮長不足の生じるおそれのある、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの選択を防止することができる。
【0098】
次に、制御装置4は、選択する部品が他にある場合(ステップS113、Yes)は、処理をステップS111に戻し、対応する部品の候補部品の画面表示を行う。選択する部品が他にない場合(ステップS113、No)は、処理をステップS107に進める。制御装置4は、表示装置3に新しい部品の設計を促す設計指示の画面を表示する(ステップS107)。
【0099】
また、上述した設計者の入力待機状態(ステップS115)において、制御装置4は、設計者決定ボタン251の選択により入力を受け付ける場合(ステップS115、Yes)、表示装置3からの入力信号と連動した前記指令に基づいて、制御装置4が内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に候補部品同士の組み合わせを記憶する。次に、制御装置4は、処理をステップS116へ進める。
【0100】
次に、制御装置4は、表示装置3にチューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの図情報を3次元空間に表示させる(ステップS114)。表示装置3は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士を図3に示すように、ステアリング装置が搭載される車両の前後、上下及び左右方向が定められている3次元空間に、配置する。これにより、設計者は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせを立体的に把握することができる。また、設計者は、インターミディエイトシャフトモジュール10を3次元CADの表示画面上で軸Sを中心に回転させ、候補部品同士の干渉や、インターミディエイトシャフトモジュール10の周囲に配置される部品の干渉を考慮して、候補部品同士の組み合わせの良否を最終確認することができる。以上の手順により、制御装置4は、処理を終了する。
【0101】
図14は、衝突時収縮長の算出結果を表示する出力表示画面の一例を示す図である。制御装置4は、決定ボタン251及び処理中止ボタン252以外に、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせによる、衝突時収縮長Rw及び嵌合長JWの演算結果を結果表示255として表示してもよい。例えば、制御装置4は、衝突時収縮長表示部256に衝突時収縮長Rwの演算結果を表示する。また、制御装置4は、嵌合長表示部257に嵌合長JWの演算結果を表示する。これにより、設計者は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせに連動して、衝突時収縮長Rw及び嵌合長JWを把握することが容易となる。
【0102】
図14において、制御装置4は、ステップS102において取得した嵌合長の条件を上述した嵌合長JWが満たさない場合、嵌合長表示部257における嵌合長JWの演算結果を表示し、例えば嵌合長表示部257のセルを赤く強調表示する。また、制御装置4は、上述した衝突時収縮長の条件を衝突時収縮長Rwが満たさない場合、衝突時収縮長表示部256における衝突時収縮長Rwの演算結果を表示し、例えば衝突時収縮長表示部256のセルを赤く強調表示する。これにより、制御装置4が決定ボタン251を非表示とする原因が、嵌合長仕様を嵌合長JWが満たさないことにあるのか、上述した衝突時収縮長仕様を衝突時収縮長Rwが満たさないことにあるのか、又はこれら両方の原因であるのか、設計者が理解することができる。
【0103】
以上説明したように、ステアリング装置の設計支援装置は、チューブヨーク及びシャフトヨークの既存部品を最大限活用したチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを選択することを支援できる。
【0104】
制御装置4は、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長JWが、嵌合長の条件を満たす場合、表示装置3が決定ボタン251を表示する。決定ボタン251を選択する場合、設計者が選択するチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを記憶手段が記憶することができる。これにより、設計者は、チューブヨーク及びシャフトヨークの数多くの既存部品の中から、ジョイント長と、嵌合長の条件に適合するチューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせを選択することができる。
【0105】
制御装置4は、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長JWが、嵌合長の条件を満たさない場合、表示装置3が決定ボタン251を非表示とする。決定ボタン251を選択できないので、設計者が選択する図を決定した情報を制御装置4が受け付けることができない。これにより、設計者が選択できないので、曲げ強度に影響を及ぼすおそれ又はがたつきが生じるおそれのある、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの選択を防止することができる。
【0106】
制御装置4は、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長JWが、嵌合長の条件を満たしているが外部記憶装置5又は内部記憶装置4fに保存する衝突時収縮長の条件の情報よりも衝突時収縮長Rwが小さくなる場合、表示装置3が決定ボタン251を非表示とする。決定ボタン251を選択できないので、設計者が選択する図を決定した情報を制御装置4が受け付けることができない。これにより、衝突時収縮長不足の生じるおそれのある、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの選択を防止することができる。
【0107】
(実施形態2)
図15は、実施形態2に係るステアリング装置の設計支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態において、制御装置4は、コスト等の優先順序情報を取得し、優先順序情報に基づいて、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の優先する組み合わせを決定している。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0108】
また、ステップS201、ステップS202、ステップS203、ステップS204、ステップS205、ステップS206、ステップS207、ステップS211、ステップS212、ステップS213、及びステップS214は、ステップS101、ステップS102、ステップS103、ステップS104、ステップS105、ステップS106、ステップS107、ステップS111、ステップS112、ステップS113及びステップS114のそれぞれの手順と同じ処理手順であるので、詳細な説明を省略する。
【0109】
上述のようにCPU4cは、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との候補同士の組み合わせを、内部記憶装置4f又は外部記憶装置5が記憶するための指令を演算している。表示装置3は、前記指令があることを示す指標である決定ボタン251を表示する(ステップS214)。次に、制御装置は、処理をステップS215へ進めて、設計者の入力待機状態となる。
【0110】
設計者が決定ボタン251をマウス又はキーボード等の入力装置2を介して選択しない場合(ステップS215、No)、例えば、処理中止ボタン252で処理を中止した場合、制御装置4は、処理をステップS204へ戻し、表示装置3が候補部品の画面表示を行う。
【0111】
また、上述した設計者の入力待機状態(ステップS215)において、制御装置4は、設計者決定ボタン251の選択により入力を受け付ける場合(ステップS215、Yes)、表示装置3からの入力信号と連動した前記指令に基づいて、制御装置4が内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に候補部品同士の組み合わせを記憶する。
【0112】
図16は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせのデータテーブルの一例を示す図である。制御装置4は、候補部品の組み合わせを例えば、図16に示すデータテーブル411のように、丸印(○)として、記憶する。また、設計者が処理中止ボタン252を選択する場合(ステップS215、No)、制御装置4は、選択された部品を内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に記憶しない(ステップS212、No)。この場合、制御装置4は、処理をステップS204へ進めると共に、データテーブル411に×印(×)として記憶している。制御装置4は、処理手順を行うことにより、順次、データテーブル411の空欄を減じていくことになる。
【0113】
制御装置4は、優先順序情報、例えば、チューブヨーク及びシャフトヨークの候補部品のコストを基準とした優先的に選択すべき優先順序の情報を取得する(ステップS216)。図17−1は、チューブヨークの候補部品のコストデータテーブルの一例を示す図である。図17−2は、シャフトヨークの候補部品のコストデータテーブルの一例を示す図である。
【0114】
図17−1に示すデータテーブル421及び図17−2に示すデータテーブル431において、丸印(○)は、既存部品の中で流通量が多くコストが低減されている部品である。データテーブル421及びデータテーブル431において、三角印(△)は、既存部品の中で流通量があり、コストが中程度の部品である。データテーブル421及びデータテーブル431において、X印(×)は、既存部品の中で流通量が少なく、コストがかかる部品である。制御装置4は、予め内部記憶装置4f又は外部記憶装置5に優先順序情報として、データテーブル421及びデータテーブル431を記憶している。制御装置4は、ステップS216において、データテーブル421及びデータテーブル431を、内部記憶装置4f又は外部記憶装置5からRAM4eに読み出す処理を行い、処理をステップS217へ進める。
【0115】
制御装置4のCPU4cは、ステップS214において記憶した候補部品の組み合わせを、ステップS216で取得した優先順序情報に基づいて、候補部品の選択順序を付与する(ステップS217)。例えば、制御装置4は、上述したデータテーブル411に、上述したデータテーブル421及びデータテーブル431の優先順序を当てはめる。図18は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの優先順序を示す順序データテーブルの一例を示す図である。
【0116】
例えば、図18において、制御装置4は、データテーブル421の丸印(○)及びデータテーブル431の丸印(○)の組み合わせを順位「1」とする。制御装置4は、データテーブル421の丸印(○)又はデータテーブル431の丸印(○)を含み、かつデータテーブル421の三角印(△)又はデータテーブル431の三角印(△)を含む組み合わせを順位「2」とする。
【0117】
また、制御装置4は、データテーブル421の三角印(△)及びデータテーブル431の三角印(△)を含む組み合わせを順位「3」とする。制御装置4は、データテーブル421の丸印(○)又はデータテーブル431の丸印(○)を含み、かつデータテーブル421のX印(×)又はデータテーブル431のX印(×)を含む組み合わせを順位「4」とする。
【0118】
また、制御装置4は、データテーブル421のX印(×)及びタテーブル431のX印(×)を含む組み合わせを順位「5」とする。なお、データテーブル441において、横棒印(−)は、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせがデータテーブル411で成立していない組み合わせである。
【0119】
制御装置4は、データテーブル441における数字の最も小さい、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの中から、優先する部品の組み合わせを決定する。例えば、制御装置4は、図18においてチューブヨークの図番号TY4の候補部品と、シャフトヨークの図番号SY4の候補部品との候補部品同士の組み合わせを優先する部品の組み合わせとして決定する。以上の手順により、制御装置4は、処理を終了する。
【0120】
以上説明したように、ステアリング装置の設計支援装置は、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせが複数ある場合、候補部品同士の組み合わせの中からコスト等のより条件のよい組み合わせを選択する支援を行うことができる。または、ステアリング装置の設計支援装置は、チューブヨークの候補部品とシャフトヨークの候補部品との組み合わせが複数ある場合、候補部品同士の組み合わせの中から重量、レイアウト性等のより条件のよい組み合わせを選択する支援を行うようにしてもよい。
【0121】
(実施形態3)
図19は、実施形態3に係るステアリング装置の設計支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態において、制御装置4は、仕様に適合する候補部品の組み合わせがある場合、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせを記憶し、適合する候補部品同士の出力表示画面を表示する。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0122】
また、ステップS301、ステップS302及びステップS303は、上述した実施形態1におけるステップS101、ステップS102及びステップS103のそれぞれの手順と同じ処理手順であるので、詳細な説明を省略する。
【0123】
次に、制御装置4は、ステップS303において抽出した候補部品が、ステップS301において取得したジョイント長、ステップS302において取得した嵌合長仕様、及び外部記憶装置5又は内部記憶装置4fに保存されている衝突時収縮長仕様を満たす、仕様に適合する候補部品の組み合わせを演算する。仕様に適合する候補部品の組み合わせがない場合(ステップS304、No)は、処理をステップS305に進める。制御装置4は、表示装置3に新しい部品の設計を促す設計指示の画面を表示する(ステップS305)。仕様に適合する候補部品の組み合わせがある場合(ステップS304、Yes)は、処理をステップS311に進める。
【0124】
次に、制御装置4は、仕様に適合する候補部品の全ての組み合わせを上述した図16に示すデータテーブル411のように、丸印(○)として、記憶する(ステップS311)。そして、制御装置4は、処理をステップS312に進める。
【0125】
次に、制御装置4は、ステップS311において記憶した図16に示すデータテーブル411の適合する丸印(○)の候補部品の組み合わせの出力表示画面、例えば、図13−2から図13−5に示す出力表示画面362から出力表示画面365を表示装置3に表示する。これにより、設計者は、仕様に適合した出力表示画面362から出力表示画面365を効率的に確認することができる。
【0126】
(実施形態4)
図20は、実施形態4に係るステアリング装置の設計支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態において、制御装置4は、仕様に適合する候補部品の組み合わせがある場合、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせを記憶し、適合する候補部品同士かつ優先する候補部品同士の出力表示画面を表示する。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0127】
ステップS401、ステップS402及びステップS403は、上述した実施形態1におけるステップS101、ステップS102及びステップS103のそれぞれの手順と同じ処理手順であるので、詳細な説明を省略する。また、ステップS404、ステップS405及びステップS411は、上述した実施形態3におけるステップS304、ステップS1305及びステップS311のそれぞれの手順と同じ処理手順であるので、詳細な説明を省略する。
【0128】
次に、制御装置4のCPU4cは、優先順序情報、例えば、チューブヨーク及びシャフトヨークの候補部品のコストを基準とした優先的に選択すべき優先順序の情報を取得する(ステップS412)。この手順は、実施形態2において説明したステップS216の処理手順と同様である。
【0129】
次に、制御装置4は、ステップS411において記憶した候補部品の組み合わせを、ステップS412で取得した優先順序情報に基づいて順序付けを行い、優先する部品の組み合わせを決定する(ステップS413)。この手順は、実施形態2において説明したステップS214の処理手順と同様である。制御装置4は、データテーブル441における数字の最も小さい、チューブヨークとシャフトヨークとの候補部品同士の組み合わせの中から、優先する候補部品の組み合わせを決定する。
【0130】
次に、制御装置4は、ステップS413において決定し優先する候補部品の組み合わせの出力表示画面、例えば、図13−4に示す出力表示画面364を表示装置3に表示する(ステップS414)。これにより、設計者は、仕様に適合しかつ優先度の高い候補部品の組み合わせを表示する出力表示画面364を効率的に確認することができる。
【符号の説明】
【0131】
1 ステアリング装置の設計支援装置
2 入力装置
3 表示装置
4 制御装置
4a 入力インターフェース
4b 出力インターフェース
4c CPU
4d ROM
4e RAM
4f 内部記憶装置
5 外部記憶装置
10 インターミディエイトシャフトモジュール
11 チューブヨーク
12、12 アーム部
14 シャフトヨーク
15、15 アーム部
21 コラムヨーク
31 ピニオン側ヨーク
41、51 十字軸自由継手
60 ピニオンシャフト
61b ラック
70 タイロッド
103 操舵機構
105 イグニッションスイッチ
107 車速センサ
110 ハンドル
120a 入力軸
120b コラム出力軸
130 トルクセンサ
140 補助操舵機構
150 減速ギヤボックス
160 電動モータ
H ハンドル位置基準点
HJ 接続基準点
GJ 接続基準点
GC ステアリングギヤ基準点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブヨークと、前記チューブヨークと連結するシャフトヨークとを含むインターミディエイトシャフトモジュールの設計を支援するステアリング装置の設計支援装置であって、
前記インターミディエイトシャフトモジュールがコラムヨークと接続する第1の接続基準点と、前記インターミディエイトシャフトモジュールがピニオン側ヨークと接続する第2の接続基準点との間の距離であるジョイント長と、前記チューブヨークと前記シャフトヨークとが連結する嵌合長の条件となる嵌合仕様を含む情報と、既に設計された前記チューブヨークの既存部品の情報と、既に設計された前記シャフトヨークの既存部品の情報と、を少なくとも記憶する記憶手段と、
前記ジョイント長に収まる前記チューブヨークの候補部品を前記チューブヨークの既存部品の情報から抽出し、かつ前記ジョイント長に収まる前記シャフトヨークの候補部品を前記チューブヨークの既存部品の情報から抽出する候補部品抽出手段と、
前記第1の接続基準点及び前記第2の接続基準点の間に配置される、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長が前記嵌合仕様を満たす場合、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との組み合わせを前記記憶手段が記憶するための指令を演算する演算手段と、
前記演算手段で演算された前記指令があることを示す指標を表示する表示手段と、
を含むことを特徴とするステアリング装置の設計支援装置。
【請求項2】
前記表示手段は、
前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長が前記嵌合仕様を満たさない場合、前記指標を表示しない
請求項1に記載のステアリング装置の設計支援装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、
前記チューブヨークと前記シャフトヨークとの嵌め合いが解除され、前記シャフトヨークが前記チューブヨーク内で移動できる距離である衝突時収縮長の条件である衝突時収縮長仕様を記憶し、
前記表示手段は、
前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせた衝突時収縮長が前記衝突時収縮長仕様を満たさない場合、前記指標を表示しない
請求項1又は2に記載のステアリング装置の設計支援装置。
【請求項4】
前記表示手段は、
前記候補部品抽出手段により抽出された前記チューブヨークの候補部品又は前記シャフトヨークの候補部品を選択する前記入力手段の選択情報に連動して、前記チューブヨークの候補部品又は前記シャフトヨークの候補部品の図を前記第1の接続基準点及び前記第2の接続基準点の間に表示する
請求項1から3のいずれか1項に記載のステアリング装置の設計支援装置。
【請求項5】
前記表示手段は、
前記指標を受け付けて記憶手段が記憶した前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との組み合わせの情報を、前記ステアリング装置が搭載される車両の前後、上下及び左右方向が定められている3次元空間に表示する請求項1から4のいずれか1項に記載のステアリング装置の設計支援装置。
【請求項6】
前記演算手段は、
前記指令に基づいて記憶された前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との複数の候補部品同士の組み合わせに対して、前記記憶手段に記憶する優先順序情報に従って候補部品同士の組み合わせを選択する順序を付与する請求項1から5のいずれか1項に記載のステアリング装置の設計支援装置。
【請求項7】
チューブヨークと、前記チューブヨークと連結するシャフトヨークとを含むインターミディエイトシャフトモジュールの設計をコンピュータが支援するステアリング装置設計支援方法であって、
前記インターミディエイトシャフトモジュールがコラムヨークと接続する第1の接続基準点と、前記インターミディエイトシャフトモジュールがピニオン側ヨークとに接続する第2の接続基準点との間の距離であるジョイント長の情報を取得するジョイント長情報取得ステップと、
前記チューブヨークと前記シャフトヨークとが連結する長さである嵌合長の条件である嵌合長仕様の情報を取得する嵌合長情報取得ステップと、
既に設計された前記チューブヨークの既存部品の情報と、既に設計された前記シャフトヨークの既存部品の情報とを取得し、前記ジョイント長情報取得ステップで取得した前記ジョイント長に収まる前記チューブヨークの候補部品を前記チューブヨークの既存部品の情報から抽出し、かつ前記ジョイント長情報取得ステップで取得した前記ジョイント長に収まる前記シャフトヨークの候補部品を前記チューブヨークの既存部品の情報から抽出する候補部品抽出ステップと、
候補部品抽出ステップにおいて抽出される、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせた嵌合長が嵌合長情報取得ステップにおいて取得した嵌合長仕様を満たす場合、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品とを組み合わせを記憶する指令を演算するステップと、
を含むことを特徴とするステアリング装置設計支援方法。
【請求項8】
前記演算ステップにおいて、前記チューブヨークと前記シャフトヨークとの嵌め合いが解除され、前記シャフトヨークが前記チューブヨーク内で移動できる距離である衝突時収縮長が、車両の制約条件である衝突時収縮長仕様を満たさない場合、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との組み合わせを記憶する指令を演算しない請求項7に記載のステアリング装置設計支援方法。
【請求項9】
前記指令により記憶した、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との複数の候補部品同士の組み合わせに対して、優先する候補部品の組み合わせを決定する優先候補部品決定ステップをさらに含む請求項7又は8に記載のステアリング装置設計支援方法。
【請求項10】
前記指令により記憶した、前記チューブヨークの候補部品と前記シャフトヨークの候補部品との組み合わせの情報を、前記ステアリング装置が搭載される車両の前後、上下及び左右方向が定められている3次元空間に表示する表示ステップをさらに含む請求項7から9のいずれか1項に記載のステアリング装置設計支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図12−4】
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【図12−5】
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【図12−6】
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【図12−7】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図13−3】
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【図13−4】
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【図13−5】
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【図13−6】
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【図13−7】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−47071(P2013−47071A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186469(P2011−186469)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】