説明

ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼのインヒビターとしての環状アミン誘導体

構造式(I)の環状アミン誘導体は、他の既知のステアロイル−コエンザイムAデサチュラーゼと比べて、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD1)に選択的なインヒビターである。本発明の化合物は、心血管疾患;アテローム性動脈硬化症;肥満;糖尿病;神経疾患;代謝症候群;インスリン抵抗性;及び肝脂肪症を含む異常脂質合成及び代謝に関連する症状の抑制及び治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)のインヒビターである環状アミン誘導体、並びにSCD活性により仲介される症状又は疾患を抑制、予防及び/又は治療するそのような化合物の使用に関する。本発明の化合物は、心血管疾患;アテローム性動脈硬化症;肥満;糖尿病;神経疾患;代謝症候群;インスリン抵抗性;癌;及び肝脂肪症を含む異常脂質合成及び代謝に関連する症状及び疾患の抑制、予防及び治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
少なくとも3種類の脂肪酸アシルコエンザイムA(CoA)デサチュラーゼ(デルタ−5、デルタ−6及びデルタ−9デサチュラーゼ)が、食事供給源由来又は哺乳動物におけるデノボ合成由来の単及び多不飽和脂肪酸アシル−CoA中の二重結合の形成の原因である。デルタ−9特異性ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCD)は、単不飽和脂肪酸アシル−CoAのC9〜C10位置でシス二重結合の律速形成を触媒する。好ましい基質は、ステアロイル−CoA及びパルミトイル−CoAであり、リン脂質、トリグリセリド、コレステロールエステル及びロウエステルの生合成で主要成分としてオレオイル及びパルミトイル−CoAをもたらす(Dobrzyn and Natami,Obesity Reviews,6:169−174(2005))。
【0003】
ラット肝ミクロソームSCDタンパク質が1974年に最初に単離され、特徴決定された(Strittmatter et al.,PNAS,71:4565−4569(1974))。それから多数の哺乳類SCD遺伝子が多様な種からクローン化され、研究されてきた。例えば、2個の遺伝子がラットから同定され(SCD1及びSCD2、Thiede et al.,J.Biol.Chem.,261,13230−13235(1986)),Mihara,K.,J.Biochem.(Tokyo),108:1022−1029(1990));4個の遺伝子がマウスから同定され(SCD1、SCD2、SCD3及びSCD4)(Miyazaki et al.,J.Biol.Chem.,278:33904−33911(2003));並びに2個の遺伝子がヒトから同定されている(SCD1及びACOD4(SCD2))(Zhang, et al.,Biochem.J.,340:255−264(1991);Beiraghi,et al.,Gene,309:11−21(2003);Zhang et al.,Biochem.J.,388:135−142(2005))。脂肪酸代謝におけるSCDの関与が、1970年代からラット及びマウスで知られている(Oshino,N.,Arch.Biochem.Biophys.,149:378−387(1972))。このことは、a)SCD1遺伝子に天然の突然変異体を担持するAsebiaマウス(Zheng et al.,Nature Genetics,23:268−270(1999))、b)標的遺伝子欠失由来のSCD1ヌルマウス(Ntambi, et al.,PNAS,99:11482−11486(2002)、及びc)レプチン誘発体重減少の際のSCD1発現の抑制(Cohen et al.,Science,297:240−243(2002))の生物学的研究により更に支持されている。SCD活性の薬理学的阻害の潜在的な利益が、マウスにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチドインヒビター(ASO)により実証されている(Jiang, et al.,J.Clin.Invest.,115:1030−1038(2005))。SCD活性のASO阻害は、初代マウス肝細胞において、脂肪酸合成を低減し、脂肪酸酸化を増加した。SCD−ASOによるマウスの処置は、食餌誘発肥満の予防、体脂肪過多、肝腫大、脂肪症、食後血漿インスリン及びグルコースレベルの低減、デノボ脂肪酸合成の低減、脂質生成遺伝子の発現の減少、並びに肝臓及び脂肪組織におけるエネルギー消費を促進する遺伝子の発現の増加をもたらした。したがって、SCD阻害は、糖尿病、肥満、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、及び関連する代謝障害の治療における新規の治療方針を表す。
【0004】
ヒトにおけるSCD活性の上昇が幾つかの一般的な疾患過程に直接関連していることを支持する説得力のある証拠が存在する。例えば、非アルコール性脂肪肝疾患の患者において、トリグリセリド分泌に対して肝脂質形成が上昇する。(Diraison, et al.,Diabetes Metabolism,29:478−485(2003);Donnelly,et al.,J.Clin.Invest.,115:1343−1351(2005))。食後デノボ脂質形成は、肥満患者において著しく上昇する(Marques−Lopes,et al.,American Journal of Clinical Nutrition,73:252−261(2001))。高いSCD活性と、血漿トリグリセリドの上昇、高い肥満指数及び血漿HDLの低減を含む心血管危険性プロフィールの増加との間に有意な相関関係が存在する(Attie,et al.,J.Lipid Res.,43:1899−1907(2002))。SCD活性は、ヒト形質転換細胞の増殖及び生存の制御に主要な役割を果たす(Scaglia and Igal,J.Biol.Chem.,(2005))。
【0005】
上記のアンチセンスオリゴヌクレオチドの他に、SCD活性のインヒビターには、非選択性チア脂肪酸基質類似体〔B. Behrouzian and P.H.Buist,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:107−112(2003)〕、シクロプロペノイド脂肪酸(Raju and Reiser,J.Biol.Chem.,242:379−384(1967))、特定の結合長鎖脂肪酸異性体(Park,etal.,Biochim.Biophys.Acta,1486:285−292(2000))、国際特許公開公報WO2005/011653、WO2005/011654、WO2005/011656、WO2005/011656及びWO2005/011657(全てXenon Pharmaceuticals,Inc.に譲渡)に開示されている一連のピリダジン誘導体、並びに国際特許公開公報WO2006/014168、WO2006/034279、WO2006/034312、WO2006/034315、WO2006/034338、WO2006/034341、WO2006/034440、WO2006/034441及びWO2006/034446(全てXenon Pharmaceuticals,Inc.に譲渡)に開示されている一連の複素環誘導体が挙げられる。
【0006】
本発明は、非アルコール脂肪肝疾患で例示されている脂質レベルの上昇、心血管疾患、肥満、糖尿病、代謝症候群及びインスリン抵抗性が挙げられるが、これらに限定されない、SCD活性により仲介される多様な状態及び疾患を治療及び/又は予防するのに有用である、ステアロイル−CoAデルタ−9デサチュラーゼのインヒビターとしての新規アザシクロヘキサン誘導体に関する。
【0007】
脂質代謝におけるステアロイル−コエンザイムAデサチュラーゼの役割は、M.Miyazaki and J.M.Ntambi,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:113−121(2003)により記載されている。SCD活性の薬理学的操作による治療上の可能性は、A.Dobryzn and J.M.Ntambi,in“Stearoyl−CoA desaturase as a new drug target for obesity treatment”Obesity Reviews,6:169−174(2005)により記載されている。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、構造式I:
【0009】
【化1】

【0010】
で示される環状アミン誘導体に関する。
【0011】
これらの環状アミン誘導体は、SCDのインヒビターとして有効である。したがって、糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、アテローム性動脈硬化症及び代謝症候群のような、SCDの阻害に反応性がある疾患の治療、抑制又は予防に有用である。
【0012】
本発明は、また、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。
【0013】
本発明は、また、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することにより、必要性のある被験者において、SCDの阻害に反応性がある障害、疾患又は症状を治療、抑制又は予防する方法に関する。
【0014】
本発明は、また、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することにより、2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及び代謝症候群を治療、抑制又は予防する方法に関する。
【0015】
本発明は、また、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量と組み合わせて投与することにより、肥満を治療、抑制又は予防する方法に関する。
【0016】
本発明は、また、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量と組み合わせて投与することにより、2型糖尿病を治療、抑制又は予防する方法に関する。
【0017】
本発明は、また、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量と組み合わせて投与することにより、アテローム性動脈硬化症を治療、抑制又は予防する方法に関する。
【0018】
本発明は、また、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量と組み合わせて投与することにより、脂質障害を治療、抑制又は予防する方法に関する。
【0019】
本発明は、また、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量と組み合わせて投与することにより、代謝症候群を治療する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、SCDのインヒビターとして有用な環状アミン誘導体に関する。本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、構造式I:
【0021】
【化2】

【0022】
〔式中、
qは、1又は2であり;
rは、1又は2であり;
nは、それぞれ独立して、0、1又は2であり;
mは、それぞれ独立して、0、1又は2であり;
pは、それぞれ独立して、0、1又は2であり;
X−Yは、N−C(O)、N−S(O)、N−CR、CH−O、CH−S(O)、CH−NR又はCH−CRであり;
Arは、フェニル、ナフチル又はヘテロアリールであり、それぞれ1〜5のR置換基で置換されていてもよく;
Zは、フェニル、ナフチル、又は
オキサゾリル、
チアゾリル、
イミダゾリル、
ピロリル、
ピラゾリル、
イソオキサゾリル、
イソチアゾリル、
1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、
1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、
1,3,4−オキサジアゾリル、
1,2,5−オキサジアゾリル、
1,2,3−オキサジアゾリル、
1,2,4−チアジアゾール−5−イル、
1,2,4−チアジアゾール−3−イル、
1,2,5−チアジアゾリル、
1,3,4−チアジアゾリル、
1,2,3−チアジアゾリル、
1,2,4−トリアゾリル、
1,2,3−トリアゾリル、
テトラゾリル、
インドリル
ベンズチアゾリル、
ベンゾオキサゾリル、
ベンゾイミダゾリル、
ベンゾイソオキサゾリル、
ベンゾイソチアゾリル及び
イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル
からなる群から選択される芳香族複素環であり;
ここで、フェニル、ナフチル及び芳香族複素環は、Rから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−3アルキルであり、ここでアルキルは、フッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;
は、それぞれ、
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
シアノ、
アミノ、
ニトロ、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、
1−4アルキルスルホニル、
カルボキシ、
1−4アルキルオキシカルボニル及び
1−4アルキルカルボニル
からなる群から独立して選択され;
は、それぞれ、
1−6アルキル、
2−4アルケニル、
(CHOR
(CH−フェニル、
(CH−ナフチル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル
ハロゲン、
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCO
(CHOC(O)R
(CHCOR
NO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHC(O)N(OR)R
(CHC(O)N(NH)R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
(CHP(=O)(OR
(CHOP(=O)(OR
(CHOCHP(=O)(OR
O(CHC(O)N(R
CF
CHCF
OCF及び
OCHCF
からなる群から独立して選択され;
ここで、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルスルホニル、C3−6シクロアルキル及びC1−4アルキルから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく、ここでアルキルはヒドロキシ又は1〜3のフッ素で置換されていてもよく、Rの任意のメチレン(CH)炭素原子は、フッ素、ヒドロキシ及び1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから独立して選択される1〜2の基で置換されていてもよいか、又は同じメチレン(CH)基が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成する場合は、2の置換基で置換されていてもよく;
は、それぞれ、
水素、
1−6アルキル、
(CH−フェニル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ナフチル及び
(CH3−7シクロアルキル
からなる群から独立して選択され;
ここで、アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びシクロアルキルは、ハロゲン、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3の基で置換されていてもよく、アルキル及びアルコキシは、1〜4のフッ素で置換されていてもよいか、又は2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって、O、S及びNC1−4アルキルから選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜8員の単環式又は二環式の環系を形成し;
は、それぞれ独立して、水素、フッ素又はC1−3アルキルであり、ここでアルキルは、フッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
は、それぞれ、
1−6アルキル、
(CHOR
(CH−フェニル、
(CH−ナフチル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル、
ハロゲン、
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCO
(CHCOR
NO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHC(O)N(OR)R
(CHC(O)N(NH)R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
O(CHC(O)N(R
CF
CHCF
OCF及び
OCHCF
からなる群から独立して選択され;
ここで、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、C3−6シクロアルキル及びC1−4アルキルから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく、ここでアルキルはヒドロキシ又は1〜3のフッ素で置換されていてもよく、Rの任意のメチレン(CH)炭素原子は、フッ素、ヒドロキシ及び1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから独立して選択される1〜2の基で置換されていてもよいか、又は同じメチレン(CH)基が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成する場合は、2つの置換基で置換されていてもよい〕
により記載される。
【0023】
本発明の化合物の第1の実施態様において、nは0である。
【0024】
本発明の化合物の第2の実施態様において、q及びrは、両方とも2であって、6員ピペリジン環系を与える。
【0025】
本発明の化合物の第3の実施態様において、q及びrは、両方とも1であって、4員アゼチジン環系を与える。
【0026】
本発明の化合物の第4の実施態様において、qは1であり、そしてrは2であって、5員ピロリジン環系を与える。
【0027】
本発明の化合物の第5の実施態様において、X−YはN−C(O)である。この実施態様のクラスにおいて、Zは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。この実施態様の別のクラスにおいて、Arは、上記で定義されたRから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよいフェニルである。この実施態様のなお別のクラスにおいて、Arは、上記で定義された1〜3のR置換基で置換されていてもよいフェニルであり、そしてZは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。このクラスのサブクラスにおいて、q及びrは2であり、そしてRはそれぞれ水素である。
【0028】
本発明の化合物の第6の実施態様において、X−YはN−S(O)である。この実施態様のクラスにおいて、Zは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。この実施態様の別のクラスにおいて、Arは、上記で定義されたRから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよいフェニルである。この実施態様のなお別のクラスにおいて、Arは、上記で定義された1〜3のR置換基で置換されていてもよいフェニルであり、そしてZは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。このクラスのサブクラスにおいて、q及びrは2であり、そしてRはそれぞれ水素である。
【0029】
本発明の化合物の第7の実施態様において、X−YはCH−Oである。この実施態様のクラスにおいて、Zは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。この実施態様の別のクラスにおいて、Arは、上記で定義されたRから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよいフェニルである。この実施態様のなお別のクラスにおいて、Arは、上記で定義された1〜3のR置換基で置換されていてもよいフェニルであり、そしてZは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。このクラスのサブクラスにおいて、q及びrは2であり、そしてRはそれぞれ水素である。
【0030】
本発明の化合物の第8の実施態様において、X−YはCH−S(O)である。この実施態様のクラスにおいて、Zは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。この実施態様の別のクラスにおいて、Arは、上記で定義されたRから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよいフェニルである。この実施態様のなお別のクラスにおいて、pは0であり、Arは、上記で定義された1〜3のR置換基で置換されていてもよいフェニルであり、そしてZは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。このクラスのサブクラスにおいて、q及びrは2であり、そしてRはそれぞれ水素である。
【0031】
本発明の化合物の第9の実施態様において、X−YはN−CRである。この実施態様のクラスにおいて、Zは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。この実施態様の別のクラスにおいて、Arは、上記で定義されたRから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよいフェニルである。この実施態様のなお別のクラスにおいて、R及びRは水素であり、Arは、上記で定義された1〜3のR置換基で置換されていてもよいフェニルであり、そしてZは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。このクラスのサブクラスにおいて、q及びrは2であり、そしてRはそれぞれ水素である。
【0032】
本発明の化合物の第10の実施態様において、X−YはCH−NRである。この実施態様のクラスにおいて、Zは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。この実施態様の別のクラスにおいて、Arは、上記で定義されたRから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよいフェニルである。この実施態様のなお別のクラスにおいて、Rは水素であり、Arは、上記で定義された1〜3のR置換基で置換されていてもよいフェニルであり、そしてZは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。このクラスのサブクラスにおいて、q及びrは2であり、そしてRはそれぞれ上記で定義した水素である。
【0033】
本発明の化合物の第11の実施態様において、X−YはCH−CRである。この実施態様のクラスにおいて、Zは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。この実施態様の別のクラスにおいて、Arは、上記で定義されたRから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよいフェニルである。この実施態様のなお別のクラスにおいて、R及びRは水素であり、Arは、上記で定義された1〜3のR置換基で置換されていてもよいフェニルであり、そしてZは、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルであり、それぞれ、上記で定義されたRで置換されていてもよい。このクラスのサブクラスにおいて、q及びrは2であり、そしてRはそれぞれ水素である。
【0034】
本発明の化合物の更なる実施態様において、Rはそれぞれ水素である。
【0035】
本発明の化合物のなお更なる実施態様において、R及びRは、それぞれ、
ハロゲン、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルスルホニル、
1−4アルコキシ、
シアノ、
C(O)N(R
C(O)R
CO
CHOR(CHが、ヒドロキシ、フッ素及びメチルから独立して選択される1の置換基で置換されていてもよい)、
NRC(O)R及び
SON(R
からなる群から独立して選択され
ここでRは上記で定義されたとおりである。
【0036】
SCDのインヒビターとして有用である本発明の化合物の、例示的であるが非限定的な例は、以下であり:
【0037】
【化3】

【0038】
並びにその薬学的に許容される塩である。
【0039】
本明細書で使用されるとき、以下の定義が適用される。
【0040】
「アルキル」並びにアルコキシ及びアルカノイルのような接頭辞「アルク(alk)」を有する他の基は、炭素鎖が別のように定義されていない限り、直鎖又は分岐鎖及びその組み合わせでありうる炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。特定の数の炭素原子が許される場合、例えばC3−10の場合、アルキルという用語には、シクロアルキル基、及びシクロアルキル構造と組み合わされる直鎖又は分岐鎖アルキル鎖の組み合わせも挙げられる。炭素原子の数が特定されない場合は、C1−6が意図される。
【0041】
「シクロアルキル」は、アルキルのサブセットであり、特定の数の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。シクロアルキル基は、特に記載されない限り、一般に単環式である。シクロアルキル基は、特に定義されない限り、飽和である。
【0042】
用語「アルケニル」は、特定の数の炭素原子の直鎖又は分岐鎖アルケンを意味し、例えば、ビニル、1−プロペニル及び1−ブテニルである。
【0043】
用語「アルコキシ」は、炭素原子の数が特定されている(例えば、C1−6アルコキシ)又はこの範囲内の任意の数〔すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど〕の直鎖又は分岐鎖アルコキシドを意味する。
【0044】
用語「アルキルチオ」は、炭素原子の数が特定されている(例えば、C1−6アルキルチオ)又はこの範囲内の任意の数〔すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオなど〕の直鎖又は分岐鎖アルキルスルフィドを意味する。
【0045】
用語「アルキルアミノ」は、炭素原子の数が特定されている(例えば、C1−6アルキルアミノ)又はこの範囲内の任意の数〔すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノなど〕の直鎖又は分岐鎖アルキルアミンを意味する。
【0046】
用語「アルキルスルホニル」は、炭素原子の数が特定されている(例えば、C1−6アルキルスルホニル)又はこの範囲内の任意の数〔すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルなど〕の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホンを意味する。
【0047】
用語「アルキルスルフィニル」は、炭素原子の数が特定されている(例えば、C1−6アルキルスルフィニル)又はこの範囲内の任意の数〔すなわち、メチルスルフィニル(MeSO−)、エチルスルフィニル、イソプロピルスルフィニルなど〕の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホキシドを意味する。
【0048】
用語「アルキルオキシカルボニル」は、炭素原子の数が特定されている(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)又はこの範囲内の任意の数〔すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル若しくはブチルオキシカルボニル〕の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖又は分岐鎖エステルを意味する。
【0049】
「ヘテロシクリル」は、O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、酸化形態の硫黄、すなわちSO及びSOを更に含む飽和又は不飽和の非芳香族環又は環系を意味する。複素環の例には、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリン、2−オキソピペリジン−1−イル、2−オキソピロリジン−1−イル、2−オキソアゼチジン−1−イル、1,2,4−オキサジアジン−5(6H)オン−3−イルなどが挙げられる。
【0050】
「ヘテロアリール」は、O、S及びNから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、芳香族又は部分的に芳香族の複素環を意味する。したがってヘテロアリールには、アリール、シクロアルキル及び芳香族ではない複素環のような他の種類の環に縮合しているヘテロアリールも挙げられる。ヘテロアリール基の例には、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、(特に、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラン、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリニジル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニルなどが挙げられる。ヘテロシクリル及びヘテロアリール基には、3〜15個の原子を含む環及び環系が挙げられ、1〜3個の環を形成する。
【0051】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。塩素及びフッ素が一般に好ましい。フッ素は、ハロゲンがアルキル又はアルコキシ基で置換されている場合に最も好ましい(例えば、CFO及びCFCHO)。
【0052】
構造式Iの化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでもよく、したがって、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単独のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個別のジアステレオマーとして存在することができる。本発明は、構造式Iの化合物のそのような異性体形態を全て包含することを意味する。
【0053】
構造式Iの化合物を、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール若しくは酢酸エチル、又はこれらの混合物からの分別結晶化により、又は光学的に活性な固定相を使用するキラルクロマトグラフィーを介して、個別のジアステレオ異性体に分離することができる。絶対立体化学は、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて、結晶質生成物又は必要であれば誘導体化された結晶質中間体のX線結晶学により決定することができる。
【0054】
あるいは、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体は、光学的に純粋な出発原料又は既知の絶対配置の試薬を使用する立体特異的合成によって得ることができる。
【0055】
望ましい場合、化合物のラセミ混合物を、個別のエナンチオマーが単離するように分離することができる。この分離は、化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物とカップリングして、ジアステレオマー混合物を形成すること、続いて個別のジアステレオマーを分別結晶化又はクロマトグラフィーのような標準的な方法により分離することのような、当該技術で周知の方法により実施することができる。カップリング反応は、多くの場合、エナンチオマー的に純粋な酸又は塩基を使用して塩を形成する。次にジアステレオマー誘導体を、添加したキラル残基の開裂により純粋なエナンチオマーに変換することができる。化合物のラセミ混合物を、キラル固定相を利用するクロマトグラフィー法により直接分離することもでき、この方法は当該技術においてよく知られている。
【0056】
本明細書に記載される幾つかの化合物は、特に指定のない限り、オレフィン性二重結合を含有し、それは、EとZの両方の幾何異性体を含むことを意味する。
【0057】
本明細書に記載される幾つかの化合物は、互変異性体として存在することができ、それは、1つ以上の二重結合シフトを伴う水素の異なる結合点を有する。例えば、ケトン及びそのエノール形態は、ケト−エノール互変異性体である。個別の互変異性体、並びにその混合物は、本発明の化合物に包含される。
【0058】
本明細書で使用されるとき、構造式Iの化合物に参照されるものには、薬学的に許容される塩も含まれ、また、遊離化合物に対する前駆体として使用される場合は、薬学的に許容されない塩、又はその薬学的に許容される塩若しくは他の合成的に操作されたものが含まれることを意味することが理解される。
【0059】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、無機又は有機塩基及び無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を意味する。用語「薬学的に許容される塩」の範囲内に包含される塩基性化合物の塩は、本発明の化合物の非毒性塩を意味し、これは、一般に遊離塩基を適切な有機又は無機酸と反応させて調製される。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、ショウノウ酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩、ナプシレート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモエート(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエトヨウ化物及び吉草酸塩。更に、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、その適切な薬学的に許容される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む無機塩基から誘導される塩が挙げられるが、これらには限定されない。特に好ましいものは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、塩素、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。
【0060】
また、カルボン酸(−COOH)又はアルコール基が本発明の化合物に存在する場合、メチル、エチル若しくはピバロイルオキシメチルのようなカルボン酸誘導体、又はアセチル、ピバロイル、ベンゾイル及びアミノアシルのようなアルコールのアシル誘導体の薬学的に許容されるエステルを用いることができる。含まれるものは、持続性放出又はプロドラッグ製剤として使用される、可溶性又は加水分解特性を変更することが当該技術で知られているエステル及びアシル基である。
【0061】
構造式Iの化合物の溶媒和物、特に水和物も同様に本発明に含まれる。
【0062】
主題の化合物は、化合物の有効量を投与することを含む、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)酵素の阻害を、そのような阻害の必要性のある哺乳動物などの患者で行う方法において有用である。したがって本発明の化合物は、高い又は異常なSCD酵素活性により仲介される症状及び疾患を抑制、予防及び/又は治療するのに有用である。
【0063】
したがって、本発明の一つの態様は、高血糖症、糖尿病又はインスリン抵抗性を、その治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、有効量の構造式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0064】
本発明の第2の態様は、インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、構造式Iの化合物の抗糖尿病有効量を患者に投与することを含む方法に関する。
【0065】
本発明の第3の態様は、肥満を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、糖尿病の治療に有効な量で構造式Iの化合物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0066】
本発明の第4の態様は、代謝症候群及びその後遺症を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、代謝症候群及びその後遺症の治療に有効な量で構造式Iの化合物を前記患者に投与することを含む方法に関する。代謝症候群の後遺症には、高血圧、血中グルコースレベルの上昇、高トリグリセリド、及び低レベルのHDLコレステロールが挙げられる。
【0067】
本発明の第5の態様は、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、脂質障害の治療に有効な量で構造式Iの化合物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0068】
本発明の第6の態様は、アテローム性動脈硬化症を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、アテローム性動脈硬化症の治療に有効な量で構造式Iの化合物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0069】
本発明の第7の態様は、癌を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、癌の治療に有効な量で構造式Iの化合物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0070】
本発明の更なる態様は、(1)高血糖症、(2)低糖耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)脂肪肝疾患、(21)多嚢胞性卵巣症候群、(22)睡眠呼吸障害、(23)代謝症候群、並びに(24)インスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される症状を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、前記症状の治療に有効な量で構造式Iの化合物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0071】
本発明のなお更なる態様は、(1)高血糖症、(2)低糖耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)脂肪肝疾患、(21)多嚢胞性卵巣症候群、(22)睡眠呼吸障害、(23)代謝症候群、並びに(24)インスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される症状の発症を、その治療の必要な哺乳類患者において遅延する方法であって、前記症状の発症の遅延に有効な量で構造式Iの化合物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0072】
本発明のなお更なる態様は、(1)高血糖症、(2)低糖耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)脂肪肝疾患、(21)多嚢胞性卵巣症候群、(22)睡眠呼吸障害、(23)代謝症候群、並びに(24)インスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群から選択される症状が進行する危険性を、その治療の必要な哺乳類患者において低減する方法であって、前記症状が進行する危険性の低減に有効な量で構造式Iの化合物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0073】
ヒトのような霊長類に加えて、多様な他の哺乳動物を本発明の方法に従って処置することができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又は他のウシ科、ヒツジ科、ウマ科、イヌ科、ネコ科、マウスのような齧歯類の種が挙げられるが、これらに限定されない哺乳動物を処置することができる。しかし、本方法は、鳥類(例えば、ニワトリ)のような他の種で実施することもできる。
【0074】
本発明は、更に、本発明の化合物を薬学的に許容される担体又は稀釈剤と組み合わせることを含む、ヒト及び動物においてステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性を阻害する薬剤の製造方法を対象とする。より詳細には、本発明は、哺乳動物において高血糖症、2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満及び脂質障害からなる群から選択される症状を治療するのに使用する薬剤の製造における構造式Iの化合物の使用を対象とし、ここで脂質障害は、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される。
【0075】
本発明の方法で治療される被験者は、一般に、哺乳動物、好ましくは男性又は女性のヒトであり、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害されている対象が望ましい。用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床医により追求される組織、系、動物又はヒトにおいて生物学的又は医学的反応を誘発する、主題化合物の量を意味する。
【0076】
本明細書で使用されるとき、用語「組成物」は、特定の量で特定の成分を含む生成物、並びに特定の量で特定の成分の直接的又は間接的な組み合わせによりもたらされる任意の生成物を包含する。医薬組成物に関するそのような用語は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む生成物を包含し、並びに任意の2つ以上の成分の組み合わせ、錯化若しくは凝集、又は1つ以上の成分の解離、又は1つ以上の成分の他の種類の反応、若しくは相互作用により、直接的又は間接的にもたらされるあらゆる生成物を包含することが意図される。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体と混合して作製されるあらゆる組成物を包含する。「薬学的に許容される」とは、担体、稀釈剤又は賦形剤は、製剤の他の成分と適合性がなければならず、摂取者に有害であってはならないことを意味する。
【0077】
化合物の「投与」又は化合物を「投与する」という用語は、本発明の化合物又は本発明化合物のプロドラッグを治療の必要性がある個人に提供することを意味すると理解されるべきである。
【0078】
ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)酵素活性のインヒビターとしての本発明の化合物の有用性を、以下のミクロソーム及び全細胞系アッセイに従って、実証することができる。
I.SCD誘発ラット肝ミクロソームアッセイ:
SCD酵素に対する式Iの化合物の活性は、SCD1誘発ラット肝ミクロソームアッセイ及び以前に発表された手順(Joshi,et al.,J.Lipid Res.,18:32−36(1977))にいくらかの変更を加えたものを使用して、放射線標識ステアロイル−CoAのオレオイル−CoAへの変換の後で決定される。ウイスターラットに高炭水化物/脂肪無含有齧歯類食餌を3日間与えた後、SCD誘発肝臓を、250mMのスクロース、1mMのEDTA、5mMのDTT及び50mMのトリスHCl(pH7.5)中で均質化した(1:10w/v)。20分間遠心分離(18,000g/4℃)して組織及び細胞片を除去した後、ミクロソームを、100,000gの遠心分離(60分間)で調製し、得られたペレットを、100mMのリン酸ナトリウム、20%グリセロール及び2mMのDTTに懸濁した。2μLのDMSO中の試験化合物を、180μLのミクロソームと共に(典型的には、トリスHCl緩衝剤(100mM、pH7.5)ATP(5mM)、コエンザイムA(0.1mM)トリトンX−100(0.5mM)及びNADH(2mM)中約100μg/mL)、室温で15分間インキュベートした。反応は、20μLの〔H〕−ステアロイル−CoA(放射能濃度1μCi/mLで最終濃度2μM)の添加により開始し、150μLの1N水酸化ナトリウムの添加により終了させた。オレオイル−CoA及びステアロイル−CoAを室温で60分間加水分解した後、溶液を、0.5mg/mLのステアリン酸と0.5mg/mLのオレイン酸を補充したエタノール中の15%リン酸(v/v)150μLの添加により酸性化した。次に〔H〕−オレイン酸及び〔H〕−ステアリン酸を、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えたHPLCで定量化した。あるいは、反応混合物(80μL)を、塩化カルシウム/炭水性懸濁液(100μLの15%(w/v)炭+20μLの2N CaCl)と混合した。得られた混合物を遠心分離して沈殿させて、放射性脂肪酸種を安定したペレットにした。9,10−〔H〕−ステアロイル−CoAのSCD触媒脱飽和によるトリチウム標識水を、シンチレーションカウンターで50μLの上澄みを計測することにより定量化した。
【0079】
II.全細胞系SCD(デルタ−9)、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼアッセイ:
ヒトHepG2細胞を、24ウエルプレートにおいて、10%熱不活性化ウシ胎児血清を補充したMEM培地(Gibco cat#11095−072)の中で、加湿インキュベーターにより37℃、5%COで増殖させた。培地に溶解した試験化合物を、亜集密細胞と共に、37℃で15分間インキュベートした。〔1−14C〕−ステアリン酸を各ウエルに加えて、最終濃度0.05μCi/mLとし、SCD触媒〔14C〕−オレイン酸形成を検出した。0.05μCi/mLの〔1−14C〕−エイコサトリエン酸又は〔1−14C〕−リノレン酸+10μMの2−アミノ−N−(3−クロロフェニル)ベンズアミド(デルタ−5デサチュラーゼインヒビター)を使用して、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼ活性それぞれに指数を付けた。37℃で4時間のインキュベーションの後、培養培地を取り出し、標識細胞をPBS(3×1mL)により室温で洗浄した。標識細胞脂質を、400μLの2N水酸化ナトリウム+50μLのL−α−ホスファチジルコリン(イソプロパノール中2mg/mL、Sigma #P−3556)を使用して、65℃で1時間、窒素下で加水分解した。リン酸(60μL)で酸性化した後、放射性種を、300μLのアセトニトリルで抽出し、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えたHPLCで定量化した。〔14C〕−ステアリン酸に対する〔14C〕−オレイン酸、〔14C〕−エイコサトリエン酸に対する〔14C〕−アラキドン酸、及び〔14C〕−リノレイン酸に対する〔14C〕−エイコサテトラエン酸(8,11,14,17)のレベルを、SCD、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼそれぞれの対応する活性指数として使用した。
【0080】
式IのSCDインヒビターは、一般に、1μM未満、より典型的には0.1μM未満の阻害定数IC50を示す。一般に、式Iの化合物に対するデルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼとSCDのIC50比は、少なくとも約10以上、好ましくは約100以上である。
【0081】
本発明の化合物のインビボ効力:
式Iのインビボ効力は、以下で例示されるように、動物における〔1−14C〕−ステアリン酸の〔1−14C〕−オレイン酸への変換の後で決定された。マウスに式Iの化合物を投与し、1時間後、放射能トレーサー〔1−14C〕−ステアリン酸を20μCi/kgで静脈内投与した。化合物投与の3時間後、肝臓を採取し、次に10N水酸化ナトリウム中、80℃で24時間加水分解して、肝臓の総脂肪酸のプールを得た。抽出物のリン酸による酸化の後、〔1−14C〕−ステアリン酸及び〔1−14C〕−オレイン酸の量を、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えたHPLCで定量化した。
【0082】
主題化合物は、更に、上記の疾患、障害及び症状を他の薬剤と組み合わせて予防又は治療する方法において有用である。
【0083】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は他の薬剤が有用性を有する場合がある疾患又は症状の治療、予防、抑制又は改善において、1つ以上の他の薬剤と組み合わせて使用することができ、薬剤と一緒に組み合わせることは、いずれかの薬剤の単独よりも安全であるか又はより効果的である。そのような他の薬剤は、それに一般に使用される経路及び量によって、式Iの化合物と同時に又は連続して投与することができる。式Iの化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、そのような他の薬剤及び式Iの化合物を含有する単位投与形態の医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法は、式Iの化合物及び1つ以上の他の薬剤が異なる重複スケジュールで投与される療法も含むことができる。1つ以上の他の活性成分と組み合わせて使用する場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれ単独で使用されるときよりも低い用量で使用することができることも考慮される。したがって、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分を含有するものが挙げられる。
【0084】
式Iの化合物と組み合わせて投与することができ、別々に投与する又は同じ医薬組成物で投与することができる他の活性成分の例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(a)ジベプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)インヒビター;
(b)(i)グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾ、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾンなど)のようなPPARγアゴニスト、並びに、KRP−297、マルグリタザール、ナベグリタザール、Galida、TAK−559のようなPPARα/γ二重アゴニスト、フェノフィブル酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)のようなPPARαアゴニスト、及びWO02/060388、WO02/08188、WO2004/019869、WO2004/020409、WO2004/020408とWO2004/066963に開示されているような選択的PPARγモジュレーター(SPPARγM)を含む他のPPARリガンド;(ii)メトホルミン及びフェンホルミンのようなビグアナイド剤、並びに(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)インヒビターを含むインスリン増感剤;
(c)インスリン又はインスリン模倣剤;
(c)トルブタミド、グリブリド、グリピシド、グリメピリドのようなスルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進薬、並びにレパグリニド及びナテグリニドのようなメグリチニド;
(e)αグルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース及びミグリトール);
(f)WO98/04528、WO99/01423、WO00/39088及びWO00/69810に開示されているグルカゴンレセプターアンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は模倣体、並びにエキセンジン4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161及びWO00/42026とWO00/59887に記載されているようなGLP−1レセプターアゴニスト;
(h)WO00/58360に開示されているGIP及びGIP模倣体、並びにGIPレセプターアゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣体、及びWO01/23420に開示されているPACAPレセプターアゴニスト;
(j)コレステロール低下剤、例えば(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン、及び他のスタチン)、(ii)捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)のようなPPARαアゴニスト、(v)ナベグリタザール及びマルグリタザールのようなPPARα/γ二重アゴニスト、(v)ベータ−シトステロール及びエゼミチブのようなコレステロール吸収インヒビター、(vii)アバシミベのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼインヒビター、並びに(viii)プロブコールのような酸化防止剤;
(k)WO97/28149で開示されているPPARδアゴニスト;
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフラミン、フェンテルミン、サビトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1レセプターインバースアンタゴニスト及びアンタゴニスト、βアドレナリン作動性レセプターアゴニスト、メラノコルチンレセプターアゴニスト、特にメラノコルチン4レセプターアゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシンレセプターアゴニスト(例えばボンベシンレセプターサブタイプ3アゴニスト)及びメラニン凝集ホルモン(MCH)レセプターアンタゴニストのような抗肥満性化合物;
(m)回腸胆汁酸トランスポーターインヒビター;
(n)アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド、アズルフィジン及びシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)選択的インヒビターのような、炎症性条件で使用されることが意図される薬剤;
(o)ACEインヒビター(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−IIレセプターブロッカー(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、ベータブロッカー、並びにカルシウムチャンネルブロッカーのような抗高血圧剤;
(p)WO03/015774;WO04/076420;及びWO04/081001に開示されているグルコキナーゼアクチベーター(GKA);
(q)米国特許第6,730,690号;WO03/104207;及びWO04/058741に開示されている11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型のインヒビター;
(r)トルセトラピブのようなコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)のインヒビター;及び
(s)米国特許第6,054,587号;同第6,110,903号;同第6,284,748号;同第6,399,782号;及び同第6,489,476号に開示されているフルクトース1,6−ビスホスファターゼのインヒビター。
【0085】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるジペプチジルペプチダーゼIVインヒビターには、米国特許第6,699,871号;WO02/076450(2002年10月3日);WO03/004498(2003年1月16日);WO03/004496(2003年1月16日);欧州特許第1,258,476号(2002年11月20日);WO02/083128(2002年10月24日);WO02/062764(2002年8月15日);WO03/000250(2003年1月3日);WO03/002530(2003年1月9日);WO03/002531(2003年1月9日);WO03/002553(203年1月9日);WO03/002593(2003年1月9日);WO03/000180(2003年1月3日);WO03/082817(2003年10月9日);WO03/000181(2003年1月3日);WO04/007468(2004年1月22日);WO04/032836(2004年34月24日);WO04/037169(2004年5月6日);及びWO04/043940(2004年5月27日)に開示されているものが挙げられる。特定のDPP−IVインヒビター化合物には、米国特許第6,699,871号に開示されているシタグリプチン(MK−0431);ビルダグリプチン(LAF237);P93/01;SYR322;及びサクサグリプチン(BMS477118)が挙げられる。
【0086】
構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物には、フェンフルラミン、デクスフェンフラミン、フェンテルミン、サビトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY又はYアンタゴニスト、カンナビノイドCB1レセプターアンタゴニスト又はインバースアゴニスト、メラノコルチンレセプターアゴニスト、特にメラノコルチン4レセプターアゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシンレセプターアゴニスト、及びメラニン凝集ホルモン(MCH)レセプターアンタゴニストが挙げられる。構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物の検討には、S.Chaki et al.,“Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,”Expert Opin.Ther.Patents,11:1677−1692(2001);D.Spanswick and K.Lee,“Emerging antiobesity drugs,”Expert Opin.Emerging Drugs,8:217−237(2003);及びJ.A.Fernandez−Lopez,et al.,“Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity,”Drugs,62:915−944(2002)を参照すること。
【0087】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるニューロペプチドY5アンタゴニストには、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及びWO01/14376(2001年3月1日)に開示されているものが挙げられ、特定の化合物は、GW59884A;GW569180A;LY366377;及びCGP−71683Aとして同定されている。
【0088】
式Iの化合物と組み合わせることができるカンナビノイドCB1レセプターアンタゴニストには、PCT公開公報WO03/007887;米国特許第5,624,941号(例えば、リモナバント);PCT公開公報WO02/076949(例えば、SLV−319);米国特許第6,028,084号;PCT公開広報WO98/41519;同WO00/10968;同WO99/02499;米国特許第5,532,237号;同第5,292,736号;PCT公開広報WO03/086288;同WO03/087037;同WO04/048317;同WO03/007887;同WO03/063781;同WO03/075660;同WO03/077847;同WO03/082190;同WO03/082191;同WO03/087037;同WO03/086288;同WO04/012671;同WO04/029204;同WO04/040040;同WO01/64632;同WO01/64633;及び同WO01/64634に開示されているものが挙げられる。
【0089】
本発明に有用なメラノコルチン4レセプター(MC4R)アゴニストには、米国特許第6,294,534号、米国特許第6,350,760号、同第6,376,509号、同第6,410,548号、同第6,458,790号、米国特許第6,472,398号、米国特許第5837521号、同第6699873号(これらはその全体が参照として本明細書に組み込まれる);米国特許出願第2002/0004512号、同第2002/0019523号、同第2002/0137664号、同第2003/0236262号、同第2003/0225060号、同第2003/0092732号、同第2003/109556号、同第2002/0177151号、同第2002/187932号、同第2003/0113263号(これらはその全体が参照として本明細書に組み込まれる);並びにWO99/64002、WO00/74679、WO02/15909、WO01/70708、WO01/70337、WO01/91752、WO02/068387、WO02/068388、WO02/067869、WO03/007949、WO2004/024720、WO2004/089307、WO2004/078716、WO2004/078717、WO2004/037797、WO01/58891、WO02/070511、WO02/079146、WO03/009847、WO03/057671、WO03/068738、WO03/092690、WO02/059095、WO02/059107、WO02/059108、WO02/059117、WO02/085925、WO03/004480、WO03/00985、WO03/013571、WO03/031410、WO03/053927、WO03/061660、WO03/066597、WO03/094918、WO03/099818、WO04/037797、WO04/048345、WO02/018327、WO02/080896、WO02/081443、WO03/066587、WO03/066597、WO03/099818、WO02/062766、WO03/000663、WO03/000666、WO03/003977、WO03/040107、WO03/040117、WO03/040118、WO03/013509、WO03/057671、WO02/079753、WO02//092566、WO03/−093234、WO03/095474、及びWO03/104761に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
併用療法の一つの特定の態様は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される症状を、その治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、治療有効量の構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼインヒビターを患者に投与することを含む方法に関する。
【0091】
より詳細には、併用療法のこの態様は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される症状を、その治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、HMG−CoAレダクターゼインヒビターが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである方法に関する。
【0092】
本発明の別の態様において、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される症状、並びにそのような症状の後遺症の進行の危険性を低減する方法が開示され、その治療が必要な哺乳類患者に、治療有効量の構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼインヒビターを投与することが含まれる。
【0093】
本発明の別の態様において、治療の必要性のあるヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延するか又は進行の危険性を低減する方法が開示され、前記患者に、有効量の構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼインヒビターを投与することが含まれる。
【0094】
より詳細には、治療の必要性のあるヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延するか又は進行の危険性を低減する方法が開示され、HMG−CoAレダクターゼインヒビターは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである。
【0095】
本発明の別の態様において、治療の必要性のあるヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延するか又は進行の危険性を低減する方法が開示され、HMG−CoAレダクターゼインヒビターはスタチンであり、コレステロール吸収インヒビターを投与することが更に含まれる。
【0096】
より詳細には、本発明の別の態様において、治療の必要性のあるヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延するか又は進展の危険性を低減する方法が開示され、HMG−CoAレダクターゼインヒビターはスタチンであり、コレステロール吸収インヒビターはエゼミチブである。
【0097】
本発明の別の態様において、以下を含む医薬組成物が開示される:
(1)構造式Iの化合物;
(2)
(a)ジベプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)インヒビター;
(b)(i)グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾ、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾンなど)のようなPPARγアゴニスト、並びにマルグリタザール、ナベグリタザール、Galida、TAK−559のようなPPARα/γ二重アゴニスト、フェノフィブル酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)のようなPPARαアゴニスト、及びWO02/060388、WO02/08188、WO2004/019869、WO2004/020409、WO2004/020408とWO2004/066963に開示されているような選択的PPARγモジュレーター(SPPARγM)を含む他のPPARリガンド;(ii)メトホルミン及びフェンホルミンのようなビグアナイド剤、並びに(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)インヒビターを含むインスリン増感剤;
(c)インスリン又はインスリン模倣剤;
(c)トルブタミド、グリブリド、グリピシド、グリメピリドのようなスルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進薬、並びにレパグリニド及びナテグリニドのようなメグリチニド;
(e)αグルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース及びミグリトール);
(f)WO98/04528、WO99/01423、WO00/39088及びWO00/69810に開示されているグルカゴンレセプターアンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は模倣体、並びにエキセンジン4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161及びWO00/42026とWO00/59887に記載されているようなGLP−1レセプターアゴニスト;
(h)WO00/58360に開示されているGIP及びGIP模倣体、並びにGIPレセプターアゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣体、及びWO01/23420に開示されているPACAPレセプターアゴニスト;
(j)コレステロール低下剤、例えば(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン、及び他のスタチン)、(ii)捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)のようなPPARαアゴニスト、(v)ナベグリタザール及びマルグリタザールのようなPPARα/γ二重アゴニスト、(vi)ベータ−シトステロール及びエゼミチブのようなコレステロール吸収インヒビター、(vii)アバシミベのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼインヒビター、並びに(viii)プロブコールのような酸化防止剤;
(k)WO97/28149で開示されているPPARδアゴニスト;
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフラミン、フェンテルミン、サビトラミン、オーリスタット、トピラメート、ニューロペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1レセプターインバースアンタゴニスト及びアンタゴニスト、βアドレナリン作動性レセプターアゴニスト、メラノコルチンレセプターアゴニスト、特にメラノコルチン4レセプターアゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシンレセプターアゴニスト(例えばボンベシンレセプターサブタイプ3アゴニスト)及びメラニン凝集ホルモン(MCH)レセプターアンタゴニストのような抗肥満性化合物;
(m)回腸胆汁酸トランスポーターインヒビター;
(n)アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド、アズルフィジン及びシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)選択的インヒビターのような、炎症性条件で使用されることが意図される薬剤;
(o)ACEインヒビター(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−IIレセプターブロッカー(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、ベータブロッカー、並びにカルシウムチャンネルブロッカーのような抗高血圧剤;
(p)WO03/015774;WO04/076420;及びWO04/081001に開示されているグルコキナーゼアクチベーター(GKA);
(q)米国特許第6,730,690号;WO03/104207;及びWO04/058741に開示されている11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型のインヒビター;
(r)トルセトラピブのようなコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)のインヒビター;及び
(s)米国特許第6,054,587号;同第6,110,903号;同第6,284,748号;同第6,399,782号;及び同第6,489,476号で開示されているフルクトース1,6−ビスホスファターゼのインヒビター;
からなる群から選択される化合物;並びに
(3)薬学的に許容される担体。
【0098】
本発明の組成物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、本発明の組成物に加えてそのような他の薬剤を含有する医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分も含有するものが挙げられる。
【0099】
本発明の化合物と第2の活性成分の重量比は、変わることができ、それぞれの成分の有効用量に応じて決定される。一般に、それぞれの有効用量が使用される。したがって、例えば、本発明の化合物が別の薬剤と組み合わされる場合、本発明の化合物と他の薬剤の重量比は、一般に約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲である。また、本発明の化合物と他の活性成分の組み合わせは、一般に上記の範囲内であるが、それぞれの場合において、それぞれの活性成分の有効用量が使用されるべきである。
【0100】
そのような組み合わせにおいて、本発明の化合物及び他の活性薬剤を、別々又は一緒に投与することができる。加えて、一つの構成成分の投与は、別の薬剤の投与の前、同時に、又は後であることができる。
【0101】
本発明の化合物を、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射若しくは注入、皮下注射若しくは移植)、吸入噴霧、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下、又は局所経路の投与によって投与することができ、単独で又は一緒に、それぞれの投与経路に適した従来の非毒性で薬学的に許容される担体、補助剤及びビヒクルを含有する適切な投与単位製剤に配合することができる。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどのような温血動物の処置に加えて、本発明の化合物はヒトでの使用に有効である。
【0102】
本発明の化合物の投与用の医薬組成物は、投与単位形態で都合よく存在することができ、薬剤学の技術で周知の方法のいずれかによって調製することができる。全ての方法は、活性成分と、1つ以上の補助成分を構成する担体とを関連させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を液体担体と又は微粉化固体担体と又はその両方と均一かつ緊密に関連させ、次に必要であれば生成物を所望の製剤に造形することによって調製される。医薬組成物において、活性の目的化合物は、疾患の過程又は症状に対して所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。本明細書で使用されるとき、用語「組成物」は、特定の量で特定の成分を含む生成物、並びに特定の量で特定の成分の組み合わせにより直接的又は間接的にもたらされるあらゆる生成物を包含することを意図する。
【0103】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁剤、分散性粉末剤若しくは顆粒剤、乳剤、硬質若しくは軟質カプセル剤、又はシロップ剤若しくはエリキシル剤のような経口使用に適切な剤形であることができる。経口使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造における当該技術で既知のあらゆる方法に従って調製することができ、そのような組成物は、薬学的に洗練された口当たりのよい調合剤を提供するため、甘味料、風味剤、着色剤及び防腐剤からなる群から選択される1つ以上の作用物質を含有することができる。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適切である非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;造粒剤及び崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアカシア、並びに滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであることができる。錠剤は被覆されていなくてもよいか、又はこれらは、胃腸管における崩壊及び吸収を遅延させ、それにより長期間にわたって持続的作用を提供するために、既知の技術で被覆されていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリンのような時間遅延物質を用いることができる。これらを、米国特許第4,256,108号、同第4,166,452号及び同第4,265,874号に記載されている技術により被覆して、制御放出用の浸透性治療錠剤を形成することもできる。
【0104】
経口使用の製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合している硬質ゼラチンカプセル剤として、又は活性成分が水若しくは油媒質、例えばピーナッツ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合している軟質ゼラチンカプセル剤として存在することもできる。
【0105】
水性懸濁剤は、活性物質を水性懸濁剤の製造に適切な賦形剤と混合して含有する。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然ホスファチド、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばポリオキシエチレンステアレート、若しくはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコール類との縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、若しくはエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、若しくはエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。水性懸濁剤は、また、1種以上の防腐剤、例えば、エチル又はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1種以上の着色剤、1種以上の風味剤、及び1種以上の、ショ糖又はサッカリンのような甘味料を含有してもよい。
【0106】
油状懸濁剤は、活性成分を植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはココナッツ油、又は流動パラフィンのような鉱油中に懸濁することにより処方することができる。油状懸濁剤は、増粘剤、例えば、蜜ロウ、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。甘味料、例えば上記で記載されたようなもの及び風味剤を添加して、口当たりのよい経口調合剤を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存することができる。
【0107】
水の添加による水性懸濁剤の調製に適切な分散性粉末及び顆粒は、活性成分を、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の防腐剤との混合で提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、上記で既に記載されているもので例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味料、風味剤及び着色剤もまた存在することができる。
【0108】
本発明の医薬組成物は、また、水中油型乳剤の形態であることができる。油相は、植物油、例えばオリーブ油若しくはラッカセイ油、又は鉱油、例えば流動パラフィン、又はこれらの混合物であることができる。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアラビアゴム又はトラガカントゴム、天然ホスファチド、例えば大豆、レシチン、脂肪酸及びヘキシトール無水物由来のエステル若しくは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、並びに前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。乳剤は、甘味料及び風味剤を含有することもできる。
【0109】
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味料、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖で処方することができる。そのような製剤は、粘滑剤、防腐剤、風味剤及び着色剤を含有することもできる。
【0110】
医薬組成物は、滅菌の注射用水性又は油性懸濁剤の形態であることができる。この懸濁剤は、上記で記載されたこれらの適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の技術に従って処方することができる。滅菌注射用調合剤は、また、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用液剤又は懸濁剤、例えば1,3−ブタンジオール中の液剤であってもよい。許容されるビヒクル及び溶媒のうち用いてもよいものは、水、リンゲル液及び塩化ナトリウム等張液である。加えて、滅菌の固定油が溶媒又は懸濁媒質として都合よく用いられる。このために、合成モノ−又はジグリセリドを含む任意の無刺激固定油を用いることができる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸には、注射用の調製における用途が見出される。
【0111】
本明細書の化合物を、薬剤の直腸内投与のために坐剤の剤形で投与することもできる。これらの組成物は、薬剤と、通常の温度で固体であるが、直腸内の温度で液体となり、したがって直腸で溶融して薬剤を放出する適切な非刺激性の賦形剤とを混合することによって、調製できる。そのような物質は、カカオバター及びポリエチレングリコールである。
【0112】
局所使用には、本発明の化合物を含有する、クリーム剤、軟膏、ゲル剤、液剤又は懸濁剤などが用いられる。(本明細書の目的では、局所用途には、洗口剤及びうがい薬が含まれる。)
【0113】
本発明の医薬組成物及び方法は、上記の病理症状の治療で通常適用される、本明細書で示されている他の治療上活性な化合物を更に含むことができる。
【0114】
ステアロイル−CoAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害を必要とする症状の治療又は予防において、適切な投与量レベルは、一般に、1日あたり患者の体重1kgで約0.01〜500mgであり、単回又は多回用量で投与することができる。好ましくは、投与量レベルは、1日あたり約0.1〜約250mg/kg、より好ましくは1日あたり約0.5〜約100mg/kgである。適切な投与量レベルは、1日あたり約0.01〜250mg/kg、1日あたり約0.05〜100mg/kg、又は1日あたり約0.1〜50mg/kgであることができる。この範囲内で、投与量は、1日あたり0.05〜0.5、0.5〜5、又は5〜50mg/kgであることができる。経口投与では、組成物は、好ましくは、1.0g〜1000mgの活性成分、特に、1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの治療される患者へ用量を症状に応じて調整した活性成分を含有する錠剤の剤形で提供される。化合物を、1日あたり1〜4回、好ましくは1日あたり1回又は2回のレジメンで投与することができる。
【0115】
糖尿病及び/又は、高血糖症若しくは高トリグリセリド血症、又は本発明の化合物が適応となる他の疾患を治療又は予防する場合、本発明の化合物が、好ましくは、1日単回投与で、又は1日に2〜6回の分割投与で、又は持続放出の形態で、動物の体重1kgあたり約0.1mg〜約100mgの1日投与量で投与されるとき、一般に満足できる結果が得られる。ほとんどの大型哺乳動物では、総1日用量は、約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mgである。70kgの成人の場合は、総1日用量は、一般に約7mg〜約350mgである。この用量レジメンを調整して、最適な治療反応をもたらすことができる。
【0116】
しかし、任意の特定の患者のための特定の用量レベル及び投与頻度は、変わることができ、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、身体全体の健康状態、性別、食事、投与様式及び時間、排泄回数、薬剤の組み合わせ、特定の症状の重篤度、並びに治療を受ける宿主を含む多様な要素により左右されることが理解される。
【0117】
本発明の化合物の調製:
構造式Iの化合物は、適切な材料を使用して以下のスキーム及び実施例に従った手順により調製することができ、更に、以下の特定の例によって例示される。しかし実施例で説明されている化合物は、本発明のものであると考慮される種類のみを形成すると解釈されるべきではない。この実施例は、本発明の化合物の調製の詳細を更に説明する。当業者は、以下の調製手順の条件及び方法の既知の変形を使用して、これらの化合物を調製できることを容易に理解する。全ての温度は、特に記載のない限り摂氏である。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI−MS)又は大気圧化学イオン化(APCI)法を使用して測定した。
【0118】
方法A:
適切に置換したハロゲン化アリールを、適切に置換した環状アミンと、Pd(dba)及びリン酸カリウムのようなパラジウム(0)供給源の存在下、THF、1,4−ジオキサン又は1,2−ジメトキシエタン(DME)のような溶媒中で室温から還流までの範囲の反応温度を使用して反応させて、所望のメチルエステルをもたらす。次にメチルエステルをヒドラジンで処理して、ヒドラジドを得る。ヒドラジドを酸塩化物で処理してを生じることができ、次にそれをBurgess試薬又はp−トルエンスルホニルクロリド(TsCl)のような試薬で脱水させて、1,3,4−オキサジアゾール6(X=O)を得る。また、中間体を五硫化リン(P)又はLawesson試薬で処理して、対応する1,3,4−チアジアゾール(X=S)を生じることができる。
【0119】
【化4】

【0120】
方法B:
溶媒としてTHF又はMeOH中のLiOH、NaOH又はKOH水溶液のようなアルカリ塩基でエステルを鹸化することによって、対応するカルボン酸(M=OH)をもたらす。酸を、塩化オキサリル、塩化チオニル又は1−クロロ−N,N,2−トリメチル−1−プロペニルアミンを使用して活性化して、酸塩化物(M=Cl)にすることができる。あるいは、N−メチルモルホリン(NMM)中のイソブチルクロロギ酸を使用して、混合無水物(M=iBuO(CO)O−)を形成することができる。次に、活性化酸と1,2−二置換オレフィン(又はその互変異性体)との、N−メチルピロリジノン(NMP)のような溶媒中の20℃〜150℃の温度での反応によって、所望の生成物をもたらす。
【0121】
【化5】

【0122】
方法C:
カルボン酸(M=OH)を、N,O−ジメチルヒドロキシルアミンとカップリングさせて、対応するWeinrebアミドを得ることができる。次にメチルリチウムをこのアミドに加えて、対応するメチルケトンを得ることができる。得られたケトンを、HBrで処理して、ブロモメチルケトン10を得ることができる。EtOH又はN−メチルピロリジノン(NMP)のような溶媒中での二官能化試薬11による処理によって、所望の複素環12をもたらす。
【0123】
【化6】

【0124】
方法D:
メチルエステル3を、LiOH又はNaOHで鹸化し、対応する酸を、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)のような適切なカップリング剤により活性化し、続くNH/THF処理によりアミド13を生じることができる。アミド13を、トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)及びピリジンのような試薬を使用して脱水して、ニトリル14にすることができる。ヘテロアリールシアン化物14を、トリメチルシリルアジドの存在下でジブチルスズオキシドとの反応によりテトラゾール15に変換することができるか、又はN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、EtOH、THF及び1,4−ジオキサンのような溶媒中、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン(DBU)及びアルカリ金属(K、Na、Cs)のような塩基の存在下で適切なアミンとの反応によりアミデート16に変換することができる。アミデート16を、適切なオルトギ酸エステルと、p−トルエンスルホン酸又はBF−エーテラートのような酸の存在下で反応させて、17を生じる。
【0125】
【化7】

【0126】
方法E:
適切に置換したハロゲン化アリール18を、適切に置換した環状アミンと、Pd(dba)及びリン酸カリウムのようなパラジウム(0)供給源の存在下、THF、1,4−ジオキサン又は1,2−ジメトキシエタン(DME)のような溶媒中で室温から還流までの範囲の反応温度を使用して反応させて、所望の保護フェノール19をもたらす。適切な条件下で保護基を除去した後、フェノール20を、トリフルオロメタンスルホン酸無水物によりトリフレート21に変換する。次に、適切に置換したボロン酸を、トリフレート21と、PdCl(dppf)及び炭酸ナトリウムのようなパラジウム供給源の存在下、THF、DME又はDMFのような溶媒中で反応させて、ビフェニル22を生じる。
【0127】
【化8】

【0128】
中間体の調製
中間体1
【0129】
【化9】

【0130】
4−(2−ブロモフェノキシ)ピペリジン塩酸塩
ジクロロメタン(300mL)中の4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(31.4g、0.15mmol)の溶液に、MsCl(20.6g、0.18mol)及びEtN(22.7g、0.25mol)を0℃で加えた。混合物を3時間更に撹拌し、濾過した。濾液を真空下で蒸発させて、4−〔(メチルスルホニル)オキシ〕ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ4.84−4.91(m,1H),3.64−3.75(m,2H),3.24−3.35(m,2H),3.04(s,3H),1.91−2.02(m,2H),1.76−1.87(m,2H),1.48(s,9H)。MS:m/z 280(MH)。
【0131】
DMF(300mL)中の4−〔(メチルスルホニル)オキシ〕ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(83.5g、299mmol)の溶液に、2−ブロモフェノール(62.07g、359mmol)及びCsCO(194.8g、598mmol)を加えた。反応混合物を70℃で一晩加熱した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣を、カラムクロマトグラフィーにより精製して、4−(2−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得た。生成物を精製しないで次の工程に直接使用した。
【0132】
エタノール(25mL)中の4−(2−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(40.0g、0.112mol)の溶液に、エタノール溶液(30mL)中の5N HClを滴加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、エーテル(20mL)を残渣に加えた。得られた沈殿物をエーテルで洗浄して、標記化合物をその塩酸塩の形態で得た。生成物を精製しないで次の工程に直接使用した。
【0133】
中間体2
【0134】
【化10】

【0135】
4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩
表記化合物を、4−〔(メチルスルホニル)オキシ〕ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル及び2−ブロモ−5−フルオロフェノールから、4−(2−ブロモフェノキシ)ピペリジン塩酸塩についての記載と同じ方法で調製した。H NMR(300MHz,DO):δ7.44−7.49(m,1H),6.83−6.88(m,1H),6.50−6.67(m,1H),4.67−4.73(m,1H),3.30−3.39(m,2H),3.13−3.23(m,2H),2.03−2.08(m,4H)。
【0136】
中間体3
【0137】
【化11】

【0138】
4−(2−ブロモ−4−フルオロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩
表記化合物を、4−〔(メチルスルホニル)オキシ〕ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル及び2−ブロモ−4−フルオロフェノールから、4−(2−ブロモフェノキシ)ピペリジン塩酸塩についての記載と同じ方法で調製した。H NMR(300MHz,DO):δ7.28−7.29(m,1H),6.87−7.18(m,2H),4.65(m,1H),3.34−3.39(m,2H),3.10−3.25(m,2H),2.03−2.26(m,4H)。
【0139】
以下の実施例は本発明を説明するために提供され、本発明の範囲をいかなる方法によっても制限するものとして解釈されるべきではない。
【0140】
実施例1
【0141】
【化12】

【0142】
〔5−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル〕メタノール
工程1:4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
テトラヒドロフラン(0.3M)中の4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル、2−(トリフルオロメチル)フェノール(1.1当量)及びトリフェニルホスフィン(1.2当量)の溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)(1.2当量)を10分間かけて少量ずつ加えた。次に反応を室温で一晩撹拌した。次に反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N NaOH及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、15:85)により精製して、標記化合物をもたらした。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.65−7.55(m,2H),7.30(d,1H),7.08(t,1H),4.92−4.82(m,1H),3.67−3.57(m,2H),3.50−3.40(m,2H),2.0−1.90(m,2H),1.80−1.701(m,2H),1.45(s,9H)。
【0143】
工程2:4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン
ジクロロメタン(0.2M)中の4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの溶液に、TFA(5当量)を加えた。3時間撹拌した後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N NaOH及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、標記化合物を得た。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.70−7.60(m,2H),7.37(d,1H),7.14(t,1H),5.10−5.03(m,1H),3.50−3.40(m,4H),2.47−2.37(m,2H),2.21−2.11(m,2H)。
【0144】
工程3:4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}安息香酸メチル
無水1,2−ジメトキシエタン(0.2M)中のリン酸カリウム(2.2当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.05当量)及び2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(0.1当量)の混合物に、4−ブロモ安息香酸メチル及び4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン(1.4当量)を加えた。次に反応を環流下で一晩撹拌した。冷却した後、反応混合物をCHClで希釈し、セライトで濾過した。次に濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(CHCl)により精製して、標記化合物を得た。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.86(d,2H),7.67−7.57(m,2H),7.35(d,1H),7.11(t,1H),7.04(d,2H),5.0−4.90(m,1H),3.72−3.62(m,2H),3.51−3.41(m,2H),2.20−2.10(m,2H),2.0−1.90(m,2H)。
【0145】
工程4:4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}ベンゾヒドラジド
メタノール(0.06M)中の4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}安息香酸メチルの溶液に、ヒドラジン水和物(50当量)を加えた。次に反応を85℃で一晩撹拌した。冷却した後、粗反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をトルエンで3回共蒸発させた。得られた粗残渣を高真空下で乾燥し、酢酸エチルとヘキサンの1:9混合物により1時間水分を取った。次に固体を濾過により収集し、そのまま次の工程に使用した。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.97(d,2H),7.83−7.73(m,2H),7.52(d,1H),7.27(t,1H),7.17(d,2H),5.13−5.03(m,1H),3.85−3.75(m,2H),3.64−3.54(m,2H),2.35−2.25(m,2H),2.12−2.02(m,2H)。
【0146】
工程5:2−オキソ−2−〔2−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}ベンゾイル)ヒドラジノ〕酢酸エチル
ジクロロメタン/水(1:2、0.1M)中の4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}ベンゾヒドラジドの冷却(0℃)溶液に、塩化アセトキシアセチル(1.2当量)を加えた。室温で1時間後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗残渣をそのまま次の工程に使用した。H NMR(400 MHz,アセトン−d):δ7.86(d,1H),7.67−7.57(m,2H),7.34(d,1H),7.12−7.02(m,3H),4.98−4.88(m,1H),4.66(s,2H),3.70−3.60(m,2H),3.50−3.40(m,2H),2.20−2.10(m,5H),2.0−1.90(m,2H)。
【0147】
工程6:〔5−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル〕酢酸エチル
テトラヒドロフラン(0.12M)中の2−オキソ−2−〔2−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}ベンゾイル)ヒドラジノ〕酢酸エチルの溶液に、Burgess試薬(1.5当量)を加えた。次に反応を、マイクロ波放射下、150℃で30分間撹拌した。冷却した後、反応混合物を濃縮し、粗残渣をカラムクロマトグラフィー(アセトン/CHCl、10:90〜15:85)により精製して、標記化合物を得た。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.90(d,2H),7.67−7.57(m,2H),7.36(d,1H),7.17(d,2H),7.10(t,1H),5.38(s,2H),5.0−4.90(m,1H),3.72−3.62(m,2H),3.56−3.46(m,2H),2.22−2.12(m,5H),2.0−1.90(m,2H)。
【0148】
工程7:〔5−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル〕メタノール
メタノール(0.05M)中の〔5−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル〕酢酸エチルの溶液に、ヒドラジン(5当量)を加え、反応を室温で撹拌した。2時間撹拌した後、水を加え、混合物を減圧下で濃縮した。次に得られた固体を濾過により収集し、高真空下で乾燥して、標記化合物を得た。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.90(d,2H),7.68−7.58(m,2H),7.37(d,1H),7.17(d,2H),7.11(t,1H),5.0−4.90(m,2H),4.72(s,2H),3.71−3.61(m,2H),3.55−3.45(m,2H),2.22−2.12(m,2H),2.0−1.90(m,2H)。MS(+APCI)420.0(M+1)。
【0149】
実施例2
【0150】
【化13】

【0151】
〔5−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}フェニル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル〕酢酸メチル
工程1:3−オキソ−3−〔2−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}ベンゾイル)ヒドラジノ〕プロパン酸メチル
ジクロロメタン/HO(1:2、0.1M)中の4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}ベンゾヒドラジドの冷却(0℃)溶液に、メチルマロニルクロリド(1.2当量)を加えた。室温で15分後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗残渣をそのまま次の工程に使用した。
【0152】
工程2:〔5−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}フェニル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル〕酢酸メチル
THF(0.2M)中の3−オキソ−3−〔2−(4−{4−〔2−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピペリジン−1−イル}ベンゾイル)ヒドラジノ〕プロパン酸メチル及びP(2.2当量)の混合物を、マイクロ波下において150℃で15分間加熱した。次に得られた混合物を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.87(d,2H),7.68−7.58(m,2H),7.37(d,1H),7.17−7.05(m,3H),5.0−4.90(m,1H),4.28(s,2H),3.78(s,3H),3.70−3.60(m,2H),3.50−3.40(m,2H),2.21−2.11(m,2H),2.0−1.90(m,2H)。MS(+ESI)477.8(M+1)。
【0153】
医薬製剤の例
本発明の化合物の経口組成物のための特定の実施態様として、実施例1のいずれかの化合物50mgを、十分に微粉化した乳糖と配合して、総量580〜590mgとし、Oサイズの硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0154】
本発明が特定の実施態様を参照して記載及び説明されてきたが、当業者は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、多様な変更、修正、及び置換を行えることを理解する。例えば、本明細書の上記で記載された好ましい用量以外の有効投与量を、特定の症状が治療されるヒトの反応が異なる場合にも適用することができる。同様に、観察される薬理学的反応は、選択される特定の活性化合物又は医薬担体が存在するかに従って及び応じて、並びに用いられる製剤の種類及び投与様式に従って及び応じて変わる場合があり、結果におけるそのような予測される変動又は差異は、本発明の目的及び実施に従って考慮される。したがって、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定され、そのような請求項は、合理的である限りできるだけ広義に解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

〔式中、
qは、1又は2であり;
rは、1又は2であり;
nは、それぞれ独立して、0、1又は2であり;
mは、それぞれ独立して、0、1又は2であり;
pは、それぞれ独立して、0、1又は2であり;
X−Yは、N−C(O)、N−S(O)、N−CR、CH−O、CH−S(O)、CH−NR又はCH−CRであり;
Arは、フェニル、ナフチル又はヘテロアリールであり、それぞれ1〜5のR置換基で置換されていてもよく;
Zは、フェニル、ナフチル、又は
オキサゾリル、
チアゾリル、
イミダゾリル、
ピロリル、
ピラゾリル、
イソオキサゾリル、
イソチアゾリル、
1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、
1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、
1,3,4−オキサジアゾリル、
1,2,5−オキサジアゾリル、
1,2,3−オキサジアゾリル、
1,2,4−チアジアゾール−5−イル、
1,2,4−チアジアゾール−3−イル、
1,2,5−チアジアゾリル、
1,3,4−チアジアゾリル、
1,2,3−チアジアゾリル、
1,2,4−トリアゾリル、
1,2,3−トリアゾリル、
テトラゾリル、
インドリル
ベンズチアゾリル、
ベンゾオキサゾリル、
ベンゾイミダゾリル、
ベンゾイソオキサゾリル、
ベンゾイソチアゾリル及び
イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル
からなる群から選択される芳香族複素環であり;
ここで、フェニル、ナフチル及び芳香族複素環は、Rから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−3アルキルであり、ここでアルキルは、フッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;
は、それぞれ、
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
シアノ、
アミノ、
ニトロ、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、
1−4アルキルスルホニル、
カルボキシ、
1−4アルキルオキシカルボニル及び
1−4アルキルカルボニル
からなる群から独立して選択され;
は、それぞれ、
1−6アルキル、
2−4アルケニル、
(CHOR
(CH−フェニル、
(CH−ナフチル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル
ハロゲン、
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCO
(CHOC(O)R
(CHCOR
NO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHC(O)N(OR)R
(CHC(O)N(NH)R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
(CHP(=O)(OR
(CHOP(=O)(OR
(CHOCHP(=O)(OR
O(CHC(O)N(R
CF
CHCF
OCF及び
OCHCF
からなる群から独立して選択され;
ここで、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルスルホニル、C3−6シクロアルキル及びC1−4アルキルから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく、ここでアルキルはヒドロキシ又は1〜3のフッ素で置換されていてもよく、Rの任意のメチレン(CH)炭素原子は、フッ素、ヒドロキシ及び1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから独立して選択される1〜2の基で置換されていてもよいか、又は同じメチレン(CH)基が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成する場合は、2の置換基で置換されていてもよく;
は、それぞれ、
水素、
1−6アルキル、
(CH−フェニル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ナフチル及び
(CH3−7シクロアルキル
からなる群から独立して選択され;
ここで、アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びシクロアルキルは、ハロゲン、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3の基で置換されていてもよく、アルキル及びアルコキシは、1〜5のフッ素で置換されていてもよいか、或いは2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって、O、S及びNC1−4アルキルから選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜8員の単環式又は二環式の環系を形成し;
は、それぞれ独立して、水素、フッ素又はC1−3アルキルであり、ここでアルキルは、フッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
は、それぞれ、
1−6アルキル、
(CHOR
(CH−フェニル、
(CH−ナフチル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル、
ハロゲン、
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCO
(CHCOR
NO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHC(O)N(OR)R
(CHC(O)N(NH)R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
O(CHC(O)N(R
CF
CHCF
OCF及び
OCHCF
からなる群から独立して選択され;
ここで、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、C3−6シクロアルキル及びC1−4アルキルから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく、ここでアルキルはヒドロキシ又は1〜3のフッ素で置換されていてもよく、Rの任意のメチレン(CH)炭素原子は、フッ素、ヒドロキシ及び1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから独立して選択される1〜2の基で置換されていてもよいか、又は同じメチレン(CH)基が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成する場合は、2の置換基で置換されていてもよい〕
で示される化合物、又は
その薬学的に許容される塩。
【請求項2】
X−YがCH−Oである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Zが、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イル(それぞれRで置換されていてもよい)である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Arが、Rから独立して選択される1〜3の置換基で置換されていてもよいフェニルである請求項2記載の化合物。
【請求項5】
Arが、1〜3のR置換基で置換されていてもよいフェニルであり、Zが、1,3,4−チアジアゾール−2−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イル(それぞれRで置換されていてもよい)である請求項2記載の化合物。
【請求項6】
q及びrが2であり、Rがそれぞれ水素である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
及びRが、それぞれ、
ハロゲン、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルスルホニル、
1−4アルコキシ、
シアノ、
C(O)N(R
C(O)R
CO
CHOR(CHが、ヒドロキシ、フッ素及びメチルから独立して選択される1の置換基で置換されていてもよい)、
NRC(O)R及び
SON(R
からなる群から独立して選択される請求項1記載の化合物。
【請求項8】
【化2】


からなる群から選択される請求項6記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
請求項1記載の化合物と薬学的に許容される担体とを組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項10】
ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼの阻害に反応する障害、症状又は疾患を有する哺乳動物の治療における、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項11】
前記障害、症状又は疾患が、2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、代謝症候群及び脂肪肝疾患からなる群から選択される請求項10記載の使用。
【請求項12】
前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される請求項11記載の使用。
【請求項13】
哺乳動物において2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、代謝症候群及び脂肪肝疾患を治療するのに使用される薬剤の製造における、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項14】
前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される、請求項13記載の使用。

【公表番号】特表2009−537571(P2009−537571A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511311(P2009−511311)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000914
【国際公開番号】WO2007/134457
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】