説明

ステロイド誘導体および多糖分解されたグリセリドを含む、向上したバイオアベイラビリティーを伴う処方物

多糖分解されたグリセリド(例えば、GELUCIRE)およびステロイド関連化合物を含む組成物が提供される。上記多糖分解されたグリセリドは、例えば、不飽和の多糖分解されたグリセリド、飽和した多糖分解されたグリセリド、GELUCIRE 33/01、GELUCIRE 35/10、GELUCIRE 37/02、GELUCIRE 44/14、LABRAFILおよびLABRASOLである。本発明は、強力な抗プロゲステロン作用、最小限の抗グルココルチコイド作用および向上した溶解度を有する新たな処方物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)の下、米国仮特許出願番号60/721,653の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は概して、ステロイドを含む組成物に関連しており、特に、強力な抗プロゲステロン(antiprogestational)作用、最小限の抗グルココルチコイド作用、および向上したバイオアベイラビリティーを伴う組成物であって、19−ノルプロゲステロンI誘導体および多糖分解された(polyglycolysed)グリセリドを有する組成物に関連している。本発明はまた、この組成物を使用する方法にも関連している。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
過去数10年間の間に、抗ホルモン作用を有するステロイドを調製するために、非常に多くの試みがなされてきた。抗プロゲステロンステロイドは人口制御において広い適応性を提供し、その一方で、抗グルココルチコイドは、例えば、クッシング症候群およびコルチゾンの過剰な内因産生によって特性付けられる他の状態を処置する際に非常に役に立つことがこの数年間で一般的に認識されてきた。
【0004】
避妊の目的のために、抗グルココルチコイド作用を伴わずに(もしくは、最小限で)抗プロゲステロン作用を有する化合物を摂取することは有益である。抗グルココルチコイド作用から抗プロゲステロン作用の分離を達成するためにミフェプリストン構造を改変する多くの試みがなされてきたが、この目的は未だ完全には達成されていない。したがって、当該分野において、最小限の抗グルココルチコイド作用を伴う抗プロゲステロン作用を有するステロイドを含む新たな処方物の開発の必要性が残っている。
【0005】
本明細書中でどちらも参考として援用される特許文献1および特許文献2は、最小限の抗グルココルチコイド作用を伴う抗プロゲステロン作用を有する新たな化合物を開示している。この化合物は、ステロイド誘導体であり、さらに特定的には、これらは、19−ノルプレゲステロンIの構造改変物(例えば、17−α−置換−11−β−置換−4−アリールかつ21−置換の19−ノルプレグナジエンジオン)であり、これらは、水にあまり溶解しない。したがって、増加した溶解度および向上したバイオアベイラビリティーを有するステロイド誘導体を含む処方物を開発する必要性が当該分野に残っている。
【特許文献1】米国特許第6,861,415号明細書
【特許文献2】米国特許第6,900,193号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、強力な抗プロゲステロン作用、最小限の抗グルココルチコイド作用および向上した溶解度を有する新たな処方物を提供する。
【0007】
さらに特定的に、本発明は、GELUCIRE、および以下の一般式I:
【0008】
【化3】

を有する化合物を含む組成物を提供する。
【0009】
ここで:Rは、−OCH、−SCH、−N(CH、−NHCH、−NC、−NC10、−NCO、−CHO、−CH(OH)CH、C(O)CH、−O(CH)2N(CH、−O(CH2)NCおよび−O(CHNC10を含む官能基であるが、これらに限定されず;Rは、水素、ハロゲン、アルキル、アシル、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、ビニルオキシ、エチニルオキシ、シクロプロピルオキシなど)、アシルオキシ(例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ヘプタノイルオキシ、グリシナート(glycinate)など)、アルキルカルボネート、シピオニルオキシ(cypionyloxy)、S−アルキル、−SCN、S−アシルおよび−OC(O)Rを含む官能基であるが、これらに限定されず、ここで、R6は、アルキル(例えば、メチル、エチルなど)、アルコキシアルキル(例えば、−CHOCH)およびアルコキシ(−OCH)を含む官能基であるが、これらに限定されず;Rは、アルキル(例えば、メチル、メトキシメチルなど)、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、ビニルオキシなど)およびアシルオキシを含む官能基であるが、これらに限定されず;Rは、水素およびアルキアルを含む官能基であるが、これらに限定されず;そしてXは、=Oおよび=N−ORを含む官能基であるが、これらに限定されず、ここで、Rは、水素およびアルキルからなる群より選択されるメンバーである。
【0010】
一般式Iの任意の化合物および多糖分解されたグリセリド(例えば、不飽和の多糖分解されたグリセリド、飽和した多糖分解されたグリセリド、GELUCIRE 33/01、GELUCIRE 35/10、GELUCIRE 37/02、GELUCIRE 44/14、LABRAFILおよびLABRASOL)を含む組成物が提供される。
【0011】
この組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含み得る。代表的なポリエチレングリコールとしては、PEG200、PEG400、PEG600およびPEG2000が挙げられるが、これらに限定されない。5:1〜1:1の多糖分解されたグリセリド対ポリエチレングリコール(PEG)の重量比が好ましい。
【0012】
一般式Iの任意の化合物、多糖分解されたグリセリドおよびペセオール(peceol)(グリセリルモノオレエート)を含む組成物も提供される。9:1〜1:4の多糖分解されたグリセリド対ペセオールの重量比が好ましい。
【0013】
一般式Iの任意の化合物、多糖分解されたグリセリドおよびエタノールを含む組成物も提供される。組成物は、一般式Iの化合物、多糖分解されたグリセリドおよび95%エタノールを含み得、ここで、95%エタノールおよび多糖分解されたグリセリドは、1〜6.2の容量重量比で使用される。組成物の別の組み合わせは、一般式Iの化合物、GELUCIRE(例えば、GELUCIRE 44/14)および95%エタノールであり、ここで、95%エタノールおよび多糖分解されたグリセリドは、1〜6.2の容量重量比(多糖分解されたグリセリドの重量に対するエタノールの容量)で使用される。
【0014】
この組成物は、最小限の抗グルココルチコイド作用および強力な抗プロゲステロン作用を、向上したバイオアベイラビリティーと組み合わせて有し得る。したがって、この組成物は、ヒトの内分泌障害もしくはステロイド過敏性組織における他の状態の処置における長期使用に適切であり得る。処置に関する特定の状態としては、子宮内膜症、月経困難症、子宮平滑筋腫、子宮フィブロイド、髄膜腫および転移性乳癌が挙げられるが、これらに限定されない。他の使用としては、避妊(緊急の性交後避妊を含む)および頚部熟化(cervical ripening)の誘発が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書中に記載するようなヒトの内分泌障害もしくはステロイド過敏性組織における他の状態(子宮内膜症、月経困難症、子宮平滑筋腫、子宮フィブロイド、髄膜腫および転移性乳癌が挙げられるが、これらに限定されない)の処置のための薬剤の製造における本発明の任意の組成物の使用もまた提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
以下の一般式I:
【0017】
【化4】

を有するステロイド誘導体を含む組成物が提供される。
【0018】
式Iにおいて、Rは、−OCH、−SCH、−N(CH、−NHCH、−NC、−NC10、−NCO、−CHO、−CH(OH)CH、−C(O)CH、−O(CH、−N(CH、−O(CHNCおよび−O(CHNC10を含む官能基であるが、これらに限定されない。Rは、水素、ハロゲン、アルキル、アシル、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、ビニルオキシ、エチニルオキシ、シクロプロピルオキシなど)、アシルオキシ(例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ヘプタノイルオキシ、グリシナートなど)、アルキルカルボネート、シピオニルオキシ、S−アルキル、−SCN、S−アシルおよび−OC(O)Rを含む官能基であるが、これらに限定されず、ここで、Rは、アルキル(例えば、メチル、エチルなど)、アルコキシアルキル(例えば、−CHOCH)およびアルコキシ(−OCH)を含む官能基であるが、これらに限定されない。Rは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシおよびアシルオキシを含む官能基であるが、これらに限定されない。Rは、水素およびアルキルを含む官能基であるが、これらに限定されない。最後に、Xは、=Oおよび=N−ORを含む官能基であるが、これらに限定されず、ここで、Rは、水素およびアルキルからなる群より選択されるメンバーである。好ましい実施形態において、R、R、R、RおよびXは、Rが−N(CHである場合、Rがアセトキシであり、Rがメチルであり、Xが=Oであり、そしてRは水素ではないという条件で選択される。
【0019】
用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子を有する、分枝状、非分枝状の、一価の炭化水素ラジカルを意味する。アルキル基が1〜6個の炭素原子を有する場合、それは「低級アルキル」と呼ばれ得る。代表的なアルキルラジカルとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2−プロペニル(もしくはアリル)、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル(もしくは2−メチルプロピル)などが挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語、アルキルは、「置換アルキル」を包含する。置換アルキルは、1つ以上の官能基(例えば、低級アルキル、アリール、アラルキル、アシル、ハロゲン
(すなわち、アルキルハロ(例えば、CF))、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシメチル)、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ(例えば、メトキシメチル)、メルカプトなど)をさらに含むアルキルを意味する。これらの基は、低級アルキル部分の任意の炭素原子に結合し得る。
【0020】
用語「アルコキシ」は、−OR基を意味し得、ここで、Rは、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルもしくは置換アラルキルである。適切なアルコキシラジカルとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、t−ブトキシ(例えば、メトキシエトキシ、メトキシメトキシなど)などが挙げられる。
【0021】
用語「アシルオキシ」は、水素の除去によって有機酸から誘導された有機ラジカルを意味し得る。この有機ラジカルは、1つ以上の官能基(例えば、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、ハロゲン、アミノ、チオール、ヒドロキシ、アルコキシなど)でさらに置換され得る。このような置換有機ラジカルの例は、グリシナート(例えば、−OC(O)CHNH)である。適切なアシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ(すなわち、CH3COO−)(これは、酢酸から誘導され得る)、ホルミルオキシ(すなわち、H(CO)O−)(これは、ギ酸から誘導され得る)およびシピオニルオキシ(これは、3−シクロペンチルプロピオン酸から誘導され得る)が挙げられる。
【0022】
用語「ハロゲン」は、フッ素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子を意味し得る。用語「ヒドロキシル」は、基−OHを意味し得る。用語「アシル」は、基−C(O)Rを示し得、ここで、Rは、本明細書中で定義するようなアルキルもしくは置換アルキル、アリールもしくは置換アリールである。用語「アリール」は、芳香族置換基を意味し得、これは、単環でも、一緒に縮合した多環、共有結合した多環、もしくは共通の基(例えば、エチレン部分もしくはメチレン部分)に結合した多環でもよい。この芳香族環としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルメチル、2,2−ジフェニル−1−エチルが挙げられ得、これらは、ヘテロ原子(例えば、チエニル、ピリジルおよびキノキサリル)を含み得る。このアリール基はまた、ハロゲン原子もしくは他の基(例えば、ニトロ、カルボキシル、アルコキシ、フェノキシなど)で置換もされ得る。さらに、このアリール基は、もしそうでなければ水素原子によって占められるアリールラジカルの任意の位置において、他の部分に結合し得る(例えば、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジル)。
【0023】
用語「アルキルカルボネート」は、基−OC(O)ORを意味し得、ここで、Rは、本明細書中に定義するようなアルキル、置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールである。
【0024】
用語「S−アルキル」は、基−SRを意味し得、ここで、Rは、低級アルキルもしくは置換低級アルキルである。用語「S−アシル」は、チオール基の、アシル化剤との反応から誘導されたチオエステルを意味し得る。適切なS−アシルとしては、例えば、S−アセチル、S−プロピオニルおよびS−ピバロイルが挙げられる。S−アシルは、これらの調製の方法に関わらず、このようなチオエステルを意味し得る。用語「N−オキシム」および「N−アルキルオキシム」は、基=N−ORを意味し得、ここで、Rは、例えば、水素(N−オキシム)もしくはアルキル(N−アルキルオキシム)である。このオキシムは、シン(syn)−異性体、アンチ(anti)−異性体もしくはこのシン−異性体とアンチ−異性体両方の混合物を含み得る。
【0025】
式Iの範囲内の代表的な化合物としては、Rが−N(CHであるもの;Rが水素もしくはアルコキシであるもの;Rがアシルオキシであるもの;Rがアルキル(例えば、メチルおよびエチル)であるもの;そしてXが=Oおよび=N−ORであるもの(ここで、Rは水素もしくはアルキルである)が挙げられる。さらなる化合物としては、Rが−N(CHであり;Rがハロゲンであり;Rがアシルオキシであり;そしてRがアルキルであり、ここで、RがF、BrもしくはClであり;そしてRがメチルであるようなものが挙げられる。Rが−N(CHであり;Rがアルキルであり;Rがアシルオキシであり;Rがアルキルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが−N(CHであり;Rがアルコキシであり;Rがアシルオキシであり;Rがアルキルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。さらなる化合物は、Rがメトキシもしくはエトキシであり;Rがアシルオキシもしくはメトキシであるものである。Rが−N(CH)であり;Rがヒドロキシであり;Rがアシルオキシであり;Rがアルキルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが−N(CHであり;RおよびRが両方ともアシルオキシであり;Rがアルキルであり、そしてXが=Oである化合物も挙げられる。さらなる化合物は、RおよびRが両方ともアセトキシであるものである。Rが−N(CHであり;RがS−アシルであり;Rがヒドロキシもしくはアシルオキシであり;Rがアルキルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが−N(CHであり;Rがシピオニルオキシであり;Rがアセトキシであり;Rがアルキルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが−N(CHであり;Rがメトキシであり;Rがアセトキシであり;Rがアルキルであり;そしてXが=Oおよび=N−ORである(ここで、Rは、例えば、水素もしくはアルキル(例えば、メチル、エチルなど)である)化合物も挙げられる。Rが−N(CHであり;RおよびRが両方ともアセトキシであり;Rがアルキルであり;そしてXが=Oおよび=N−ORである(ここで、Rは、例えば、水素もしくはアルキル(例えば、メチル、エチルなど)である)化合物も挙げられる。
【0026】
例示的化合物としては、以下の構造式:
【0027】
【化5】

を有する17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンが挙げられるが、これに限定されない。
【0028】
他の例示的化合物としては、17α−アセトキシ−21−クロロ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−21−ブロモロ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17−,21−ジアセトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−ヒドロキシ−21−アセチルチオ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−21−アセチルチオ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−21−エトキシ−11β−(4N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−21−メチル−11β−(4−N,N−ジメチルアミノ−フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−21−メトキシ−11β−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−21−エトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−21−(3’−シクロペンチルプロピオニルオキシ)11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−21−ヒドロキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α,21−ジアセトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)9−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシム;17α−アセトキシ−21−メトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,2−ジオン3−オキシム;17α−アセトキシ−llβ−[4−(N−メチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンおよび17α,21−ジアセトキシ−llβ−[4−(N−メチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
が、−N(CH、−NC、−NC10、−NCO、−C(O)CH、−O(CHN(CH、−O(CHNC、−O(CHNC10および−O(CHNC10である化合物;Rが、水素、アルキルオキシ、アルコキシ、−SAc、−SCN、−OC(O)CHN(CHおよび−OC(O)Rであり、ここで、Rが、アルキル(例えば、−CHCH)、アルコキシエステル(例えば、−CHOMe)およびアルコキシ(例えば、−OCH)を含む官能基であるが、これらに限定されない化合物;Rが、アルキル、アルコキシ、アシルオキシおよびヒドロキシである化合物;Rが、アルキル(例えば、メチルおよびエチル)である化合物;そしてXが、=Oもしくは=N−ORであり、ここで、Rが水素もしくはアルキルである化合物も挙げられる。Rが−N(CHであり;Rが水素であり;Rがメトキシメチルであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も好ましい。Rが−N(CHであり;Rが水素であり;Rが、−OC(O)H、−OC(O)CHCHもしくは−OC(O)C13であり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが、−NCHs、−NC10、−NCO、−C(O)CHもしくは−SCHであり;Rが水素であり;Rがアセトキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが、−N(CHもしくは−NC10であり;Rが水素であり;Rがメトキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが、−NH10もしくは−C(O)CHであり;RおよびRの両方がアセトキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが−C(O)CHであり;Rが−SAcであり;Rがアセトキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが、−C(O)CH、−N(CH、−NCHもしくは−NC10であり;RおよびRの両方がメトキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが、−NC10、−C(O)CHもしくは−O(CHN(CHであり;Rがメトキシであり;Rがアセトキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが−N(CHであり;Rが、−OC(O)CHCH、−OC(O)OCH、−OC(O)OCHOCH、−OCH=CH、−OC(O)CHN(CHもしくは−SCNであり;Rがアセトキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが−N(CHであり;Rが−OC(O)Hであり;Rが−OC(O)Hであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが−N(CHであり;Rが−OC(O)Hであり;Rがヒドロキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=Oである化合物も挙げられる。Rが−NC10であり;Rが水素であり;Rがアセトキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=N−ORであり、ここで、Rが水素である化合物も挙げられる。Rが、−N(CHもしくは−NC10であり;Rが、水素もしくはメトキシであり;Rが、メトキシもしくはエトキシであり;Rがメチルであり;そしてXが=N−ORであり、ここで、Rが水素である化合物も挙げられる。
【0030】
例示的な化合物としては、17α−アセトキシ−llβ−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオン;17α−ホルミルオキシ−llβ−[4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−プロピオノキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−ヘプタノイルオキシ−llβ−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−メトキシメチル−11β−[4−N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−(4−N−ピロリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−(4−N−モルホリノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ1lβ−(4−アセチルフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−(4−メチルチオフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−メトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−メトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α,21−ジアセトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α,21−ジアセトキシ−11β−(4−アセチルフェニル)19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−(4−アセチルフェニル)−21−チオアセトキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α,21−ジメトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α,21−ジメトキシ−11β−(4−N−ピロリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α,21−ジメトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α,21−ジメトキシ−1lβ−(4−アセチルフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−(4−アセチルフェニル)21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−{4−[2’−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル}−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α,21−ジホルミルオキシ−llβ−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−プロピオニルオキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−l1β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−(2’−メトキシアセチル)オキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−21−ヒドロキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン−21−メチルカルボネート;17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−(1’−エテニルオキシ)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−(2’−N,N−ジメチルアミノ)アセトキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−チオシアネート−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン;17α−アセトキシ−llβ−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシム;17α−メトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシム;17α−メトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシム;および17α,21−ジメトキシ−1lβ−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシムも挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
一般式Iを有する化合物の哺乳動物の血流への吸収は、この化合物が、多糖分解されたグリセリドを有する処方物としてこの哺乳動物に投与された場合、顕著に向上し得る。組成物は、式Iの化合物、多糖分解されたグリセリドおよび必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含んで提供される。この組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、200〜35000の範囲内の分子量を有するポリエチレングリコール、もしくは分子量400を有するPEG(PEG400))をさらに含み得る。あるいは、この組成物は、エタノールもしくはペセオールをさらに含み得る。
【0032】
「多糖分解されたグリセリド」は、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドと、ポリエチレングリコール(PEG)のモノエステルおよびジエステルとの混合物であり得、これは、分子量200〜600であり得、この分子量は、遊離したグリセロールおよび遊離したPEGに関して適切であり、この多糖分解されたグリセリドのHLB(親水−親油バランス)の値は、PEG鎖の長さによって調節され得、そしてこの多糖分解されたグリセリドの融点は、脂肪酸の鎖の長さ、PEGの鎖の長さによって、そして脂肪鎖の飽和の程度(したがって、出発オイルの飽和の程度)によって調節される;このような混合物の例は、GELUCIREである。別の適切な飽和した多糖分解されたグリセリドは、LABRASOL(カプリル酸ポリオキシエチレングリセリルとカプロン酸ポリオキシエチレングリセリルとの混合物)である。
【0033】
GELUCIRE組成物は、不活性の半固体のろう状物質であり得、これは、特性としては両親媒性であり、種々の物理的特性で入手可能である。これらは天然で、界面活性であり、そして水性媒質中に分散もしくは可溶化されて、ミセル、顕微鏡的小球もしくは小胞を形成する。これらは、これらの融点/HLBの値によって同定される。融点は、セ氏度で表され、そしてHLBは、0〜おおよそ20までに及ぶ数値スケールである。より低いHLB値は、より親油性かつ疎水性の物質を示し、より高い値は、より親水性かつ疎油性(lipophobic)の物質を示す。水もしくは油状物質への化合物の親和性が決定され、そしてそのHLB値が実験的に定められる。融点および/もしくはHLB値の所望する特性を達成するために、異なるグレードのGELUCIRE賦形剤のうちの1つもしくは混合物が選択され得る。GELUCIRE組成物は、長鎖(C12〜C18)脂肪酸のグリセリドのモノエステル、ジエステルおよび/もしくはトリエステルと、長鎖(C12〜C18)脂肪酸のPEG(モノおよび/もしくはジ)エステルとの混合物であり、遊離したPEGを含み得る。GELUCIRE組成物は一般的に、グリセロールの脂肪酸エステルおよびPEGエステルとして、もしくは多糖分解されたグリセリドとして説明される。GELUCIRE組成物は、約33℃〜約64℃の幅広い融点(最も一般的には、約35℃〜約55℃)によって、そして約1〜約14の種々のHLB値(最も一般的には、約7〜約14)によって特徴付けられる。例えば、GELUCIRE 44/14は、GELUCIREのこのグレードに関して、おおよそ44℃の融点、および約14のHLB値を示している。
【0034】
多糖分解されたグリセリドは、飽和であってもよいし不飽和であってもよい。飽和した多糖分解されたグリセリドは、ポリエチレングリコールを含む水素添加された植物油の部分的なアルコール分解によって、もしくはポリエチレングリコールおよびグリセロールを含む飽和脂肪酸のエステル化によって得られる。不飽和の多糖分解されたグリセリドは、ポリエチレングリコールを含む非水素添加植物油の部分的なアルコール分解によって獲得され得る。
【0035】
飽和した多糖分解されたグリセリドとしては、C〜C18グリセリドおよびポリエチレングリコールエステルを含むもの(例えば、GELUCIRE33/01、35/10、37/02もしくは44/14およびLABRAFIL WL 2514 CS)ならびにC〜C10グリセリドおよびポリエチレングリコールエステルを含むもの(例えば、商品名LABRASOLで入手可能であるもの)が挙げられる。不飽和の多糖分解されたグリセリドとしては、杏仁油PEG−6複合体(LABRAFIL M−1944 CS)、扁桃油PEG−6複合体(LABRAFIL M−1966 CS)、落花生油PEG−6複合体(LABRAFIL M−1969 CS)、オリーブ油PEG−6複合体(LABRAFIL M−1980 CS)、トウモロコシ油PEG−6複合体(LABRAFIL M−2125 CS)およびLABRAFIL WL 2609 BSが挙げられる。多糖分解されたグリセリドの混合物(例えば、GELUCIRE 44/14とLABRASOL)もまた使用され得る。
【0036】
多糖分解されたグリセリドは、賦形剤全体の5〜100重量%もしくは20〜80重量%を構成し得る。したがって、この多糖分解されたグリセリドは、式Iの化合物に対する単独のキャリアとして使用され得るか、もしくは他の賦形剤と混合され得る。
【0037】
多糖分解されたグリセリドは、ポリエチレングリコールと組み合わせて使用され得る。5:1〜1:1の多糖分解されたグリセリド:ポリエチレングリコール(PEG)の重量比が好ましい。例えば、多糖分解されたグリセリドおよびポリエチレングリコールは、多糖分解されたグリセリド対PEGの以下の比の範囲で使用され得る:5:1、4:1、3:1、2:1もしくは1:1。この組成物は、1部のポリエチレングリコール(例えば、PEG400)に対して、2.87部の多糖分解されたグリセリドを含み得る。
【0038】
さらに、多糖分解されたグリセリドは、ペセオールと組み合わせて使用され得る。ペセオールは、オレイン酸のモノグリセリドおよびジグリセリドの混合物を主に含む、容易に分散可能な可溶化剤であり、腸の油脂消化の最終生成物に非常に類似している(Haussら、1998年、J. Pharm. Sci. 87:164−169)。先の研究は、消化されていない対照物と比較して、疎水性の薬剤(あらかじめ消化されたオリーブ油からのシクロスポリン)の吸収における顕著な増加を実証している(Porterら、2001年 Adv. Drug Delivery Rev. 50:61−80)。
【0039】
9:1〜1:4の多糖分解されたグリセリド対ペセオールの重量比が好ましい。例えば、多糖分解されたグリセリドとペセオールとは、以下の比で使用され得る:10%のペセオールに対して90%の多糖分解されたグリセリド、20%のペセオールに対して80%の多糖分解されたグリセリド、30%のペセオールに対して70%の多糖分解されたグリセリド、40%のペセオールに対して60%の多糖分解されたグリセリド、45%のペセオールに対して55%の多糖分解されたグリセリド、50%のペセオールに対して50%の多糖分解されたグリセリド、55%のペセオールに対して45%の多糖分解されたグリセリド、60%のペセオールに対して40%の多糖分解されたグリセリド、70%のペセオールに対して30%の多糖分解されたグリセリド、80%のペセオールに対して20%の多糖分解されたグリセリド。この組み合わせは、グリセリルモノオレエートを含む50%部のペセオールに対して50%GELUCIRE 44/14であり得る。
【0040】
多糖分解されたグリセリドはまた、95%エタノールと組み合わせても使用され得る。95%エタノールと多糖分解されたグリセリドとの比は、1対6.2であり得る(エタノールの容量対多糖分解されたグリセリドの質量)(例えば、1対6.2の比での95%エタノールとGELUCIRE(エタノールの容量対多糖分解されたグリセリドの質量))。
【0041】
この組成物は、強力な抗プロゲステロン作用および最小限の抗グルココルチコイド作用を、向上した吸収性と組み合わせて有し得、この吸収性のおかげで、これらの組成物は、経口投与に適切となり得る。
【0042】
この組成物はとりわけ、内因性プロゲステロンに拮抗するため;月経を誘発するため;子宮内膜症を処置するため;月経困難症を処置するため;内分泌性ホルモン依存性腫瘍を処置するため;髄膜腫を処置するため;子宮平滑筋線維腫を処置するため;子宮フィブロイドを処置するため;子宮の子宮内膜増殖を阻害するため;分娩を誘発するため;頚部熟化を誘発するため;ホルモン療法のため;そして避妊のために都合よく使用され得る。
【0043】
抗プロゲステロン作用を有する組成物はまた、プロゲステロンの効果に拮抗することによっても特徴付けられ得る。したがって、この組成物は特に、月経サイクルにおけるホルモンの乱れの制御において、子宮内膜症および月経困難症を制御するのに、そして月経を誘発するのに有益であり得る。さらに、この組成物は、閉経後の女性において、もしくはそうでなければ、卵巣ホルモンの産生が弱まった女性において、ホルモン療法を提供する方法として(単独で、もしくはエストロゲン様物質と組み合わせてのいずれかで)使用され得る。
【0044】
さらに、この組成物は、生殖周期の全体にわたる受胎能の制御のために使用され得る。長期の避妊において、この組成物は、用量に依存して、持続的もしくは周期的のいずれかで投与され得る。さらに、この組成物は特に、子宮を着床に不利にさせるための性交後避妊薬として、そして「1ヶ月に1回の」避妊薬として有益であり得る。
【0045】
この組成物に関するさらに重要な有効性は、ホルモン依存性腫瘍および/もしくはホルモン応答性組織に存在する腫瘍の増殖を緩徐にさせるこれらの能力である。このような腫瘍としては、腎臓、乳房、子宮内膜、卵巣および前立腺の腫瘍(例えば、癌)(これらは、プロゲステロンレセプターを有することによって特徴付けられ得る)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、このような腫瘍としては髄膜腫が挙げられる。この組成物の他の有効性としては、乳房および子宮の線維嚢胞状疾患の処置が挙げられる。
【0046】
この組成物は、任意の温血の哺乳動物(例えば、ヒト、家庭用ペットおよび農業動物)に投与され得る。家庭用ペットとしては、イヌ、ネコなどが挙げられる。農業動物としては、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ ヤギなどが挙げられる。
【0047】
単一の投薬形態を作るために、最適のキャリア物質と組み合わせられ得る活性成分の量は、処置される疾患、哺乳動物の種および投与の個々の方法に依存して変わる。例えば、単位用量は、0.1ミリグラム〜1グラムの活性成分、もしくは0.001グラム〜0.5グラムの活性成分を含み得る。しかしながら、任意の個々の患者に対する特定の用量レベルは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性;処置される個々の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事;投与の時間および経路;排泄の速度、先に投与された他の薬剤;および治療を受けている個々の疾患の重症度を含む)に依存する。
【0048】
この組成物は、種々の方法によって投与され得る。例えば、この組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤(舌下錠剤および頬内錠剤を含む)、ソフトゼラチンカプセル(ソフトゼラチンカプセル中で使用される溶液を含む)、水性もしくは油性懸濁液、エマルジョン、丸剤、ロゼンジ、トローチ、錠剤、シロップもしくはエリキシルなどの形態で、口の経路を通して投与され得る。
【0049】
この組成物はまた、インプラント(SILASTICおよび生分解性インプラントを含む)としてか、または筋肉注入もしくは静脈注入を通しても投与され得る。
【0050】
この組成物は、甘味料、矯味矯臭剤、着色剤および保存剤からなる群より選択される1つ以上の薬剤を含み得る。活性成分を非毒性の薬学的に受容可能な賦形剤(錠剤の製造に適している)との混合物中に含む錠剤は、受容可能である。これらの賦形剤は、例えば、不活性の希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウム)、顆粒化および崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプンもしくはアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンもしくはアカシア);および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルク)であり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよいし、あるいは、これらは、胃腸管での崩壊および吸着を遅延させ、それによってより長い時間にわたって持続作用を提供するように、公知の方法によってコーティングされてもよい。例えば、時間遅延剤(time delay)(例えば、モノステアリン酸グリセリンもしくはジステアリン酸グリセリン)が、単独か、またはろうと一緒に使用され得る。
【0051】
経口使用のための処方物はまた、活性成分を不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリン)とともに混合して内包するハードゼラチンカプセルとして、もしくは、活性成分を水もしくは油性媒質(例えば、落花生油、液体パラフィンもしくはオリーブ油)とともに混合して内包するソフトゼラチンカプセルとしても存在し得る。
【0052】
水性懸濁液は、活性物質を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に含み得る。このような賦形剤としては、懸濁剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム)および分散もしくは湿潤剤(例えば、天然産のホスファチド(例えば、レシチン)、酸化アルキレンの脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、酸化エチレンの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(ヘプタデカエチレンオキシセタール)、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルと酸化エチレンとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)もしくは脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導される部分エステルと酸化エチレンとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン))が挙げられる。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤(例えば、エチルもしくはn−プロピルp−ヒドロキシルベンゾエート)、1つ以上の着色剤、1つ以上の矯味矯臭剤および1つ以上の甘味料(例えば、スクロース、アスパルテームもしくはサッカリン)などの甘味料も含み得る。
【0053】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油)もしくは鉱物油(例えば、液体パラフィン)に懸濁させることによって処方され得る。油性懸濁液は、濃化剤(例えば、蜜ろう、固形パラフィンもしくはセチルアルコール)を含み得る。甘味料が、味のよい経口調製物を提供するために加えられ得る。これらの組成物は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を加えることによって保存され得る。
【0054】
水の添加による水性懸濁液の調製に適している分散可能な粉末および顆粒は、分散剤、懸濁剤および/もしくは湿潤剤ならびに1つ以上の保存剤と混合した活性成分から処方され得る。適切な分散もしくは湿潤剤および懸濁剤は、上記に開示されたものによって例示される。さらなる賦形剤(例えば、甘味料、矯味矯臭剤および着色剤)も存在し得る。
【0055】
この薬学的組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態でもあり得る。油相は、植物油(例えば、オリーブ油もしくは落花生油)、鉱物油(例えば、液体パラフィン)、もしくはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤としては、天然産のゴム(例えば、アカシアゴムおよびトラガカントゴム)、天然産のホスファチド(例えば、大豆レシチン)、脂肪酸と無水ヘキシトールとから誘導されるエステルもしくは部分エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、およびこれらの部分エステルと酸化エチレンとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が挙げられる。このエマルジョンはまた、甘味料および矯味矯臭剤を含み得る。
【0056】
シロップおよびエリキシルは、甘味料(例えば、グリセロール、ソルビトールもしくはスクロース)を用いて処方され得る。このような調製物もまた、粘滑剤(demulcent)、保存剤、矯味矯臭剤もしくは着色剤を含み得る。
【0057】
この薬学的組成物は、滅菌注入用調製物の形態(例えば、滅菌注入用の水性もしくは油性懸濁液)であり得る。この懸濁液は、上記の適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を用いて処方され得る。この滅菌注入用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)中の無菌注入用の溶液もしくは懸濁液であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒のうちで、とりわけ、水、リンガー溶液、等張塩化ナトリウムである。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒もしくは懸濁媒質として使用され得る。この目的のために、任意の刺激の無い不揮発性油(合成モノグリセリドもしくはジグリセリドを含む)が使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)もまた注入可能物の調製において使用され得る。
【0058】
この化合物はまた、薬剤の直腸投与用の坐剤の形態としても投与され得る。これらの組成物は、薬剤を、適切な非刺激性の賦形剤(これは、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって、直腸内で融解して、薬剤を放出する)と混合することによって調製され得る。このような物質は、カカオ脂およびポリエチレングリコールである。
【0059】
これらはまた、鼻内、眼内、膣内および直腸内経路によっても投与され得る(坐剤、吸入剤、散剤およびエーロゾルの処方物を含む)。
【0060】
局所経路によって投与される化合物は、塗付用スティック、溶液、懸濁液、エマルジョン、ジェル、クリーム、軟膏、パスタ、ゼリー、ペイント、散剤およびエーロゾルとして投与され得る。
【0061】
本発明は、以下の特定の、しかしながら非限定的な実施例を通してより詳細に説明される。
【実施例】
【0062】
(実施例1.GELUCIRE 44/14、PEG400および17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンを含む半固体組成物の調製)
GELUCIRE 44/14(ラウロイルマクロゴール−32−グリセリド(lauroyl macrogol−32 glyceride))およびPEG400(ポリエチレングリコール400)を、74.1%GELUCIRE 44/14および25.9%PEG400の重量比でビーカー内に混合させた。混合物を、GELUCIRE 44/14が完全に融解するまで、50〜54℃まで加熱した。混合物を、この混合物が透明溶液になるまで48〜50℃の温度で10〜15分間保った。その後、この混合物に、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンを加え、3.43%混合物重量の最終濃度にした(35mg/ml)。17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンが完全に溶解した後、この溶液を、十分に混合しながら、48〜52℃でさらに10〜15分間保った。その後、この溶液を適切な容器に移した。
【0063】
(実施例2.GELUCIRE 44/14、PEG400および17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンを含む組成物のカプセル形態での調製)
PEG400を50℃まで加熱し、その後、GELUCIRE 44/14(GELUCIRE 44/14対PEG400の比、2.87:1で)を加えた。その後、この混合物を十分に混合しながら、GELUCIRE 44/14が完全に融解するまで加熱した。その後、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンを加えて、3.42%の濃度にした。その後、この溶液を50℃で30分間保った。その後、予め計量した空のカプセルに、この溶液を、カプセル1個あたり365mgの正味量(net fill)の目標重量(target weight)で詰めた。
【0064】
(実施例3.GELUCIRE 44/14、ペセオールおよび17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンを含む半固体組成物の調製)
GELUCIRE 44/14(ラウロイルマクロゴール−32−グリセリド EP)およびペセオール(グリセリルモノオレエート 40)を、50%GELUCIRE 44/14と50%ペセオールの重量比でビーカー内に混合させた。GELUCIRE 44/14が完全に融解するまで、この混合物を50〜54℃まで加熱した。この混合物が透明溶液になるまで、この混合物を48〜50℃の温度で10〜15分間保った。その後、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンをこの混合物に加えて、3.43%混合物重量の最終濃度にした。17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンが完全に溶解した後、この溶液を十分に混合しながら、48〜52℃でさらに10〜15分間保った。その後、この溶液を適切な容器に移した。
【0065】
(実施例4.GELUCIRE 44/14、ペセオールおよび17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンを含む組成物のカプセル形態での調製)
17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンの最終濃度が4.34%であることを除いては、実施例2に記載のように、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオン、GELUCIREおよびペセオールの溶液を調製した。その後、この溶液を、予め計量した空のカプセルにカプセル1個あたり28μlで加えた。詰める際に、カプセルを再計量し、そして0.28〜0.29gの正味重量を有するカプセルを、治療プロトコルで使用するために選択した。カプセル1個あたりの17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンの最終濃度は、12.2〜12.6mgであった。
【0066】
(実施例5.GELUCIRE 44/14、エタノールおよび17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンを含む半固体組成物の調製)
17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンを95%エタノールに、1対1(重量対容量)の比で溶解させた。GELUCIRE 44/14粉末を絶え間なく混合しながら加熱することによって、GELUCIRE 44/14を融解させた。その後、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンの95%エタノール中溶液を融解したGELUCIRE 44/14に、1対6.2の比(容量対重量;1ml対6.2グラム)で加えた。17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンの最終濃度は、12.5%(w/w)であった。
【0067】
(実施例6.イヌにおける、GELUCIRE 44/14を含む種々の組成物のバイオアベイラビリティー)
8.5〜10.7kgの範囲の体重の12匹の成犬の雌のビーグル犬を、2つのグループ:IおよびIIに分けた。これは、単回投与量の研究であった。下の表1に示すように、グループIのイヌに、GELUCIREおよびペセオールを含む処方物中にカプセル1個につき12.5mgの17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオン(CDB4124の実験室ログ名(log name)でリストされる)を有するカプセルを与え、一方、グループIIのイヌには、同量であるが、GELUCIREおよびPEG400を含む処方物中に17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオン(カプセル1個あたり12.5mg)を有するカプセルを与えた。
【0068】
【表1】

服用の0.25、0.5、1、2、4、8、16、および24時間後±5分において血液を採取した。血漿サンプルを収集し、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンの存在に関して(CDB4124の実験室ログ名で)分析した。
【0069】
これらのテストの結果を、服用後の血中のCDB4124レベルの濃度(ng/ml)対時間(時間)として図1に示す。GELUCIREおよびPEG400を含むCDB4124処方物に関して到達した最大の濃度は、服用からおおよそ2時間後であった。重量による曲線下の面積(AUC)の測定を行ない、これらの測定の結果を、表2に表す。
【0070】
【表2】

(実施例7.ラットにおける、GELUCIRE 44/14を含む種々の組成物のバイオアベイラビリティー)
GELUCIRE 44/14およびエタノールを含むCDB4124組成物のバイオアベイラビリティーを検査するために、30匹の雌のラットを、グループI、II、IIIもしくはIVのうちの一つに無作為に割り当てた(グループI、II、IIIには9匹のラット、そしてグループIVには3匹のラット)。グループIVは対照グループであった。一晩の絶食の後、グループI、IIおよびIIIの各ラットに、グループの割り当てにしたがってテスト品を経口栄養によって服用させた。グループIの動物に、体重あたり12.5mg/kgのCDB4124を服用させ、グループIIの動物に、体重あたり50mg/kgのCDB4124を服用させ、グループIIIの動物に、体重あたり200mg/kgのCDB4124を服用させた。服用後の0.5、1、4、6、12および24時間において、ならびに11日目に血液サンプルを採取した。種々の時点でのCDB4124の血中レベルを測定した。
【0071】
GELUCIRE 44/14およびペセオールを含むCDB4124組成物のバイオアベイラビリティーを検査するために、20匹の雌のラットをこの研究に関して使用した。各グループに5匹のラットを有する4つのグループ(I、II、IIIもしくはIV)を、それぞれ体重あたり0mg/kgのCDB4124、体重あたり10mg/kgのCDB4124、体重あたり40mg/kgのCDB4124および体重あたり200mg/kgのCDB4124に割り当てた。一晩の絶食の後、グループI、II、IIIおよびIVの各ラットに、グループの割り当てにしたがってテスト品を経口栄養によって服用させた。服用後の0、1、2、4、8、12および24時間において、ならびに14日目に血液サンプルを採取した。異なる時点での血液サンプルを、CDB4124の濃度に関して分析した。
【0072】
GELUCIRE 44/14およびPEG400を含むCDB4124組成物のバイオアベイラビリティーを検査するために、170匹のラットをこの研究に関して使用した。このラットを4つのグループ、グループI:対照(35匹、体重あたり0mg/kg)、グループII:45匹(体重あたり10mg/kg)、グループIII:45匹(体重あたり40mg/kg)およびグループIV:45匹(体重あたり200mg/kg)に分けた。異なる時点における血液採取に関して対照グループを除く各グループから9匹のラットを定めた(2回の時点/ラット)。この時点は、最初の服用後の1、2、4、8、12および24時間を含んだ。血液サンプルを、CDB4124の濃度に関して分析した。これらの測定の結果を、テストされる処方物のそれぞれの服用後の異なる時点での血中のCDB4124濃度(ng/ml)として図2に表す。以下の処方物に関する結果を図2中にプロットした:1)GELUCIRE 44/14、エタノールおよびCDB4124を体重あたり50mg/kg含む処方物(G+EtOH50);2)GELUCIRE 44/14、エタノールおよびCDB4124を体重あたり200mg/kg含む処方物(G+EtOH200);GELUCIRE 44/14を含む処方物;3)GELUCIRE 44/14、ペセオールおよびCDB4124を体重あたり50mg/kg含む処方物(G+Pec50);4)GELUCIRE 44/14、ペセオールおよびCDB4124を体重あたり200mg/kg含む処方物(G+Pec200);5)GELUCIRE 44/14、PEG400およびCDB4124を体重あたり40mg/kg含む処方物(G+PEG40);6)GELUCIRE 44/14、PEG400およびCDB4124を体重あたり200mg/kg含む処方物(G+PEG200)。
【0073】
表3は、異なる処方物に関する異なる時点でのCDB4124測定のデータを提供する。
【0074】
【表3】

個々の処置のAUC(曲線下面積)の、他の処置のAUCに対する比を表4に列挙する。
【0075】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】GELUCIRE 44/14およびPEG400を含む処方物対GELUCIRE 44/14およびペセオールを含む処方物におけるCDB4124のバイオアベイラビリティーの比較。
【図2】GELUCIRE 44/14を含む異なる処方物における、CDB4124のバイオアベイラビリティーの比較。G+EtOH50−GELUCIRE 44/14、エタノールおよびCDB4124を体重あたり50mg/kg含む処方物;G+EtOH200−GELUCIRE 44/14、エタノールおよびCDB4124を体重あたり200mg/kg含む処方物;G+Pec50−GELUCIRE 44/14、ペセオールおよびCDB4124を体重あたり50mg/kg含む処方物;G+Pec200−GELUCIRE 44/14、ペセオールおよびCDB4124を体重あたり200mg/kg含む処方物;G+PEG40−GELUCIRE 44/14、PEG400およびCDB4124を体重あたり40mg/kg含む処方物;G+PEG200−GELUCIRE 44/14、PEG400およびCDB4124を体重あたり200mg/kg含む処方物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖分解されたグリセリド、および一般式:
【化1】

を有する化合物を含む組成物であって、ここで:
は、−N(CH、−NHCH、−NC、−NC10および−NCOからなる群より選択されるメンバーであり;
は、水素、ハロゲン、アルキル、アシル、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボネート、シピオニルオキシ、S−アルキル、−SCN、S−アシルおよび−OC(O)Rからなる群より選択されるメンバーであり、ここで、Rは、アルキル、アルコキシエステルおよびアルコキシからなる群より選択されるメンバーであり;
は、アルキル−アルコキシ、アルコキシおよびアシルオキシからなる群より選択されるメンバーであり;
は、水素およびアルキルからなる群より選択されるメンバーであり;
Xは、=Oおよび=N−ORからなる群より選択されるメンバーであり,ここで、Rは、水素およびアルキルからなる群より選択されるメンバーである、組成物。
【請求項2】
前記化合物のRが、−N(CH、−NC、−NC10および−NCOからなる群より選択されるメンバーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物のRが、水素、アシルオキシ、アルコキシ、−SAc、−SCN、−OC(O)CHN(CHおよび−OC(O)Rからなる群より選択されるメンバーであり、ここで、Rが、アルキル、アルコキシエステルおよびアルコキシからなる群より選択されるメンバーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物のRが−OC(O)Rであり、Rが、−CHCH、−CHOCHおよび−OCHからなる群より選択されるメンバーである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物のRが、メトキシ、エトキシ、ビニルオキシ、エチニルオキシおよびシクロプロピルオキシからなる群より選択されるアルコキシである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物のRが、アルコキシおよびアシルオキシからなる群より選択されるメンバーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物のRがアルキルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記化合物のXが=N−ORである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがアシルオキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記化合物のRが、−OC(O)H、−OC(O)CHCHおよび−OC(O)C13からなる群より選択されるアシルオキシである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがメトキシメチルであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記化合物のRが−NCであり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記化合物のRが−NC10であり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記化合物のRが−NCOであり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記化合物のRが−NC10であり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記化合物のRが−NC10であり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがエトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記化合物のRが−NCであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記化合物のRが−NC10であり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記化合物のRが−NC10であり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OC(O)CHCHであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OC(O)CHOCHであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OC(O)OCHであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OCH=CHであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OCH=CHであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OCH=CHであり;
前記化合物のRがエトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−SCNであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OC(O)Hであり;
前記化合物のRが−OC(O)Hであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OC(O)Hであり;
前記化合物のRがヒドロキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OC(O)CHN(CHであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
前記化合物のRが−NC10であり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=N−ORであり、ここで、Rは水素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=N−ORであり、ここで、Rは水素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
前記化合物のRが−NC10であり;
前記化合物のRが水素であり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=N−ORであり、ここで、Rは水素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=N−ORであり、ここで、Rは水素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
前記化合物のRが−NHCHであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
前記化合物のRが−NHCHであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項40】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRがメトキシであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項41】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
前記化合物のRが−N(C)Hであり;
前記化合物のRがエトキシであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項43】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRが−OC(O)CHCHであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項44】
前記化合物のRが−N(CHであり;
前記化合物のRがヒドロキシであり;
前記化合物のRがアセトキシであり;
前記化合物のRがメチルであり;そして
前記化合物のXが=Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項45】
前記化合物が、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項46】
前記化合物が、構造式:
【化2】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項47】
前記多糖分解されたグリセリドが、C−C18グリセリドおよびポリエチレングリコールエステルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項48】
前記多糖分解されたグリセリドが、GELUCIRE 44/14である、請求項1に記載の組成物。
【請求項49】
前記多糖分解されたグリセリドが、GELUCIRE 35/10、37/02、44/14、50/13、WL 2514CSおよびLABRASOLからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項50】
ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項1もしくは請求項46に記載の組成物。
【請求項51】
PEG400をさらに含む、請求項1もしくは請求項46に記載の組成物。
【請求項52】
前記多糖分解されたグリセリドがGELUCIRE 44/14であり、そしてPEG400をさらに含む、請求項1もしくは請求項46に記載の組成物。
【請求項53】
エタノールをさらに含む、請求項1もしくは請求項46に記載の組成物。
【請求項54】
前記多糖分解されたグリセリドがGELUCIRE 44/14であり、そして95%エタノールをさらに含む、請求項1もしくは請求項46に記載の組成物。
【請求項55】
ペセオールをさらに含む、請求項1もしくは請求項46に記載の組成物。
【請求項56】
前記多糖分解されたグリセリドがGELUCIRE 44/14であり、そしてペセオールをさらに含む、請求項1もしくは請求項46に記載の組成物。
【請求項57】
患者において抗プロゲステロン作用を生じる方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を、該患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項58】
患者において月経を誘発する方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を、該患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項59】
子宮内膜症を処置する方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を、患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項60】
月経困難症を処置する方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を、患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項61】
内分泌性ホルモン依存性腫瘍を処置する方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を、患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項62】
髄膜腫を処置する方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を、患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項63】
患者において子宮線維症を処置する方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を、該患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項64】
患者において子宮の子宮内膜増殖を阻害する方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を、該患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項65】
分娩を誘発する方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項66】
避妊の方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項67】
性交後避妊の方法であって、該方法は、有効量の請求項1もしくは請求項46に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−510127(P2009−510127A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533780(P2008−533780)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/038637
【国際公開番号】WO2007/038796
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(500368569)リプロス セラピューティクス インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】