説明

ストリップ鋳造方法及び双ロール鋳造機

【課題】品質不良を回避しつつストリップの板厚調整を適切に行えるようにする。
【解決手段】冷却ロール1の間に形成される溶湯溜まり8を深くして金属が冷却ロール1の外周面に触れている時間を延ばすことで除熱不足を補うというストリップ3の板厚制御と、溶湯溜まり8を浅くして金属が冷却ロール1の外周面に触れている時間を縮めることで除熱過多を抑えるというストリップ3の板厚制御に加えて、溶湯溜まり8の自由液面とノズルピース4と相対位置が一定になるように、アクチュエータ13によりノズルピース4を上下方向に変位させて溶湯溜まり8の揺動を防ぐという制御を併用し、ノズルピース4に付着している酸化物などの不純物が溶湯溜まり8に脱落しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストリップ鋳造方法及び双ロール鋳造機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶湯からストリップを直接的に生産する手法として、回転する一対のロールの間に溶湯を供給し、凝固した金属を薄帯状に送り出す双ロール連続鋳造法がある。図2は従来の双ロール鋳造機の一例を示すものであって、水平に並べて配置した一対の冷却ロール1と、当該冷却ロール1に付帯させた一対のサイド堰2とを備えている。
【0003】
冷却ロール1は、その内部に冷却水が流通し、生産すべきストリップ3の板厚に応じてロール間隙Gを拡縮調整できるように構成されている。冷却ロール1の回転方向と速度は、それぞれの冷却ロール1の外周面が上側からロール間隙Gへ向かって等速で移動するように設定してある。
【0004】
一方のサイド堰2は各冷却ロール1の一端に面接触し、他方のサイド堰2は各冷却ロール1の他端に面接触しており、冷却ロール1及びサイド堰2によって四方を囲まれる空間には、溶湯供給用のノズルピース4が、ロール間隙Gの真上に位置するように配置されている。
【0005】
ノズルピース4は、頂部に溶湯5を受けるための細長のノズルトラフ6を有しており、長手方向側壁の下端寄り部分には、前記ノズルトラフ6から冷却ロール1の間へ溶湯5を供給する開口7が、これら冷却ロール1軸線に沿って並ぶように複数穿設され、溶湯5をノズルトラフ6に流し込むと、冷却ロール1外周面に接する溶湯溜まり8が形成される。
【0006】
この双ロール鋳造機では、冷却水の流通により冷却ロール1の抜熱を図りながら、上記の溶湯溜まり8を形成して冷却ロール1を回転させると、溶湯5が冷却ロール1外周面で固まって凝固殻Sを形作る。冷却ロール1外周面に形作られた凝固殻Sはロール間隙Gで張り合わされ、ストリップ3として下方へ送り出される。このとき、生産されるストリップ3が目標板厚となるように、各冷却ロール1のネック部分に互いに近付く向きへ荷重を付与する。
【0007】
従来、ストリップ3を製造するときに溶湯溜まり8の自由液面位置を検出し、この検出結果をストリップ3の板厚調整に反映させる制御が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1は、操業中に溶鋼の液面位置を検出し、その液面の高さに応じて双ロールの回転速度を制御し、板厚が均一な鋼板を得ようとするものである。特許文献2は、金属薄板を製造する際に、冷却ドラムの表面にある溶融金属の現在の湯面を検出し、その湯面が冷却ドラムの表面に接触した個所に生じた凝固シェルがロールギャップ部に到達するまでの時間に成長する凝固シェルの板厚を演算し、当該演算値に基づき冷却ドラムの表面に供給する溶融金属の流量及び冷却ドラムの回転速度を制御して、金属薄帯の肉厚変動を抑えようとするものである。特許文献3は、ストリップを製造する際に、鋳造溜め高さ位置の変化を把握し、鋳造ロールの回転速度と鋳造溜めへ供給される溶融金属の流量とを制御して、ストリップの板厚変動を抑えようとするものである。
【0008】
特許文献1〜3における双ロール、冷却ドラム、鋳造ロールは、前述した冷却ロール1と同等物、鋼板、金属薄板は前述したストリップ3と同等物、鋳造溜めは溶湯溜まり8と同義語である。特許文献1〜3に開示された技術は、図2の双ロール鋳造機で説明するならば、溶融状態の金属が冷却ロール1の外周面に触れて除熱が開始された後、ロール間隙Gの下方へ送り出されるのに至るまでの時間が長いほど、冷却ロール1の外周面に形作られる凝固殻Sが厚くなる、という原理に基づいている。
【0009】
すなわち、ストリップ3の板厚を増加傾向とする制御は、冷却ロール1の回転数を低く(回転速度を遅く)するか、あるいは溶湯溜まり8を深くして自由液面位置を上げ、金属が冷却ロール1の外周面に触れている時間を延ばすことで達成される。これとは反対に、ストリップ3の板厚を減少傾向とする制御は、冷却ロール1の回転数を高く(回転速度を速く)するか、あるいは溶湯溜まり8を浅くして自由液面位置を下げ、金属が冷却ロール1の外周面に触れている時間を縮めることで達成される。
【特許文献1】特開昭60−049836号公報
【特許文献2】特開昭63−224846号公報
【特許文献3】特開平10−263758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、冷却ロール1の回転数を変えることによってストリップ3の板厚調整を行った場合は、双ロール鋳造機から送り出されるストリップ3の移動速度も冷却ロール1の回転数に応じて変化するので、後工程に位置する圧延装置、冷却装置、及び巻取装置におけるストリップ3の通板速度を冷却ロール1の回転数の変化に見合うように調整しなければならず、製造ライン全体では複雑な通板速度制御が要求される。
【0011】
冷却ロール1の回転数を変えずに溶湯溜まり8の深さを増減させてストリップ3の板厚調整を行った場合、溶湯溜まり8の自由液面とノズルピース4との相対位置(溶湯溜まり8にノズルピース4が浸かっている範囲)が変動することにより、溶湯溜まり8に揺動が生じ、これにより、ノズルピース4に付着している酸化物などの不純物が溶湯溜まり8に脱落して凝固殻に巻き込まれると、ストリップ3の品質不良の原因になる。
【0012】
また、ストリップ3の板厚変動は、冷却ロール1外周面に金属が触れている時間だけに左右されるのではなく、冷却ロール1外周面の表面粗度や清浄度(酸化物などの付着層の厚さ)、双ロール鋳造機が設置されている場所の雰囲気ガスの組成の影響も受けるため、溶湯溜まり8の深さだけに着目してストリップ3の板厚調整を行うことは難しい。
【0013】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、品質不良を回避しつつストリップの板厚調整を適切に行えるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のストリップ鋳造方法では、タンディッシュから供給される溶湯を、一対の冷却ロールの間に配置したノズルピースを介して当該ノズルピースの所定範囲が浸かる溶湯溜まりとして冷却ロールの間に満たし、各冷却ロール外周面に凝固殻を形作らせるとともにこれら冷却ロールを回転させることにより、ロール間隙で前記凝固殻が張り合わされたストリップを下方へ送り出す工程を実行するときに、冷却ロールの間から送り出されるストリップの板厚を測定し、ストリップの板厚が目標値に比べて減少し始めた場合には、タンディッシュから溶湯溜まりへ補充すべき溶湯量を増やして溶湯溜まりを深くし、反対にストリップの板厚が目標値に比べて増加し始めた場合には、タンディッシュから溶湯溜まりへ補充すべき溶湯量を減らして溶湯溜まりを浅くし、この溶湯の補充操作と並行して溶湯溜まりの自由液面位置を求め、溶湯溜まりの自由液面に対するノズルピースの相対位置が一定となるようにノズルピースを上下方向に変位させる。
【0015】
また、本発明の双ロール鋳造機では、一対の冷却ロールと、タンディッシュから供給される溶湯を冷却ロールの間に溶湯溜まりとして満たすように冷却ロールの間に配置したノズルピースと、当該ノズルピースを上下に変位させる位置調整用のアクチュエータと、タンディッシュからノズルピースへの溶湯供給流路に設けられ且つ流量調整用のアクチュエータにより開閉するゲートと、前記溶湯溜まりの自由液面と冷却ロール外周面との境界を撮影するカメラと、当該カメラから送信される画像信号に基づき溶湯溜まりの現状の自由液面位置を求める位置算出手段と、冷却ロールの間から送り出されるストリップの板厚を測定する板厚センサと、当該板厚センサの測定値に応じて流量調整用のアクチュエータを作動させ且つ前記位置算出手段の算出値に応じて位置調整用のアクチュエータを作動させる制御手段とを有し、予め定めておいたストリップの板厚の目標値と板厚センサにより得たストリップの板厚の測定値との偏差に基づき、流量調整用のアクチュエータを作動させて溶湯溜まりへの補充溶湯量を増減する機能と、位置算出手段の算出値に基づき、位置調整用のアクチュエータを作動させてノズルピースと溶湯溜まりの自由液面の相対位置を一定に保つ機能とを前記制御手段に具備させている。
【発明の効果】
【0016】
本発明のストリップ鋳造方法及び双ロール鋳造機によれば、下記のような優れた効果を奏し得る。
【0017】
(1)ストリップの板厚が減少し始めた際には溶湯溜まりを深くして金属が冷却ロールの外周面に触れている時間を延ばすことにより除熱不足を補い、また、ストリップの板厚が増加し始めた際には溶湯溜まりを浅くして金属が冷却ロールの外周面に触れている時間を縮めることにより除熱過多を抑えるという制御に加え、溶湯溜まりの自由液面とノズルピースと相対位置が一定になるようにノズルピースを上下方向に変位させて溶湯溜まりの揺動を防ぐという制御を併用するで、ノズルピースに付着している酸化物などの不純物が溶湯溜まりに脱落して凝固殻に巻き込まれることがなく、よって、品質不良を回避しつつストリップの板厚調整を適切に行える。
【0018】
(2)冷却ロールの回転数を変えないので、双ロール鋳造機よりも後工程の圧延装置、冷却装置、及び巻取装置におけるストリップの通板速度は特に調整する必要はなく、一定のままでよいので、製造ライン全体の通板速度制御が単純化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0020】
図1は本発明の双ロール鋳造機の一例を示すものであり、水平に並べて配置した一対の冷却ロール1と、当該冷却ロール1に付帯させた一対のサイド堰2と、ノズルピース4に加えて、ノズルピース4へ供給すべき溶湯5を蓄えるタンディッシュ9と、当該タンディッシュ9からノズルピース4への溶湯供給流路に設けられ且つ流量調整用のアクチュエータ10により開閉するスライドゲート11と、前記ノズルピース4を支持して上下に変位可能なサポート12と、当該サポート12を介してノズルピース4を上下に変位させる位置調整用のアクチュエータ13とを備えている。スライドゲート11は、タンディッシュ9の底部に穿設してある溶湯流下用の孔9aを閉止可能な仕切板11aを有し、前記アクチュエータ10が仕切板11aを動かして孔9aの開度を調整する。
【0021】
スライドゲート11の開度を変えると溶湯溜まり8へ供給される溶湯5の流量が変わることになり、その質量流量はストリップ3の生産速度に関連付けられる。ストリップ3の幅をW[m]、凝固殻Sの厚みをa[m]、ストリップ3の送出速度をV[m/s]、金属の密度をρ[kg/m3]とすると、質量流量M[kg/s]は式1のように表わされる。
[式1] M=ρWaV[kg/s]
【0022】
更に、冷却ロール1の上方から溶湯溜まり8の自由液面と冷却ロール1外周面との境界を撮影するカメラ14と、当該カメラ14から送信される画像信号に基づき画像解析処理を行って溶湯溜まり8の現状の自由液面位置を求める位置算出手段15と、冷却ロール1の間から送り出されるストリップ3の板厚を測定する板厚センサ16と、当該板厚センサ16の測定値に応じて流量調整用のアクチュエータ10を作動させ且つ前記位置算出手段15の算出値に応じて位置調整用のアクチュエータ13を作動させる制御手段17とを有している。前記アクチュエータ10,13には、例えばスクリュージャッキを用い、板厚センサ16には、例えばX線ゲージを用いる。
【0023】
制御手段17は、ストリップ3の板厚の目標値と板厚センサ16から得られるストリップ3の板厚の測定値との偏差をパラメータとして、操業中にストリップ3の板厚が減少し始めた際に、タンディッシュ9から溶湯溜まり8への溶湯5の補充量が一時的に多くなるように流量調整用のアクチュエータ10を作動させ、溶湯溜まり8を深くして自由液面位置を上げ、冷却ロール1の外周面に金属(溶湯5及び凝固殻S)が触れている時間を延ばす板厚漸増制御と、これとは反対に、操業中にストリップ3の板厚が増加し始めた際に、タンディッシュ9から溶湯溜まり8への溶湯5の補充量が一時的に少なくなるように流量調整用のアクチュエータ10を作動させ、溶湯溜まり8を浅くして自由液面位置を下げ、金属が冷却ロール1の外周面に触れている時間を縮める板厚漸減制御とを実行するが、操業中に冷却ロール1の回転数を変えることはしない。
【0024】
定性的には、溶湯溜まり8が深い程、ストリップ3の板厚が増加するが、溶湯溜まり8の自由液面位置だけでストリップ3の板厚が決定される訳ではない。しかも、凝固殻Sの厚みと冷却時間との関係も実際には単純な比例関係ではなく、凝固速度は徐々に低下する傾向にあるが、便宜的には、操業中の凝固速度が不変であると仮定し、凝固定数K[mm/min0.5]という値を用いる場合がある。
【0025】
ここで、冷却ロール1の半径をr[m]、冷却ロール1の回転中心から溶湯溜まり8の自由液面までの垂直距離をh[m]とすると、冷却ロール1に対する溶湯5の接液弧長l[m]は式2のように表わされる。
[式2] l=rsin-1(h/r)
【0026】
これにより、冷却ロール1の外周面に対する溶湯5及び凝固殻Sの接触時間t(s)は、式3のように表わされる。
[式3] t=l/V=(r/V)sin-1(h/r)[s]
【0027】
従って、凝固殻Sの厚みa(m)は、簡易的に式4のように表わされる。
[式4] a=Kt1/2=K{(r/V)sin-1(h/r)}1/2[s]
【0028】
板厚漸増制御及び板厚漸減制御に並行して制御手段17は、位置算出手段15から得られる溶湯溜まり8の現状の自由液面位置に基づき、溶湯5の補充量が多くなることにより自由液面位置が上がる場合に、ノズルピース4が自由液面位置に追従して上昇するように位置調整用のアクチュエータ13を作動させ、ノズルピース4と溶湯溜まり8の自由液面の相対位置を一定に保つ位置上昇制御と、これとは反対に、溶湯5の補充量が少なくなることにより自由液面位置が下がる場合に、ノズルピース4が自由液面位置に追従して下降するように位置調整用のアクチュエータ13を作動させ、ノズルピース4と溶湯溜まり8の自由液面の相対位置を一定に保つ位置下降制御とを実行する。
【0029】
この双ロール鋳造機では、カメラ14から送信される画像信号に基づき、位置算出手段15が溶湯溜まり8の現状の自由液面位置を求め、制御手段17は、予め設定されているストリップ3の板厚の目標値と板厚センサ16から得られるストリップ3の板厚の測定値を対比しつつ、下記のように流量調整用のアクチュエータ10を作動させ、また、位置算出手段15から得られる溶湯溜まり8の現状の自由液面位置に応じて位置調整用のアクチュエータ13を作動させる。
【0030】
操業中に冷却ロール1の除熱不足に起因してストリップ3の板厚が目標値を下回ると、制御手段17は、所定時間だけスライドゲート11の開度が拡がるように流量調整用のアクチュエータ10を作動させ、溶湯溜まり8への溶湯5の補充量を一時的に多くする。このため、溶湯溜まり8が深くなって自由液面位置が上がり、冷却ロール1の外周面に金属(溶湯5及び凝固殻S)が触れている時間が延び、除熱不足が解消されてストリップ3の板厚が目標値に向かって漸増する。このとき、冷却ロール1の回転数を変えないので、双ロール鋳造機よりも後工程の圧延装置、冷却装置、及び巻取装置におけるストリップ3の通板速度は特に調整する必要はなく、一定のままでよい。
【0031】
そして、自由液面位置が上がる際に制御手段17は、ノズルピース4が自由液面位置に追従して上昇するように位置調整用のアクチュエータ13を作動させ、ノズルピース4と溶湯溜まり8の自由液面の相対位置を変えずに一定に保つので、溶湯溜まり8には揺動が生じない。よって、ノズルピース4に付着している酸化物などの不純物が溶湯溜まり8に脱落して凝固殻Sに巻き込まれることに起因したストリップ3の品質不良を回避できる。
【0032】
操業中に冷却ロール1の除熱過剰に起因してストリップ3の板厚が目標値を上回ると、制御手段17は、所定時間だけスライドゲート11の開度が狭まるように流量調整用のアクチュエータ10を作動させ、溶湯溜まり8への溶湯5の補充量を一時的に少なくする。このため、溶湯溜まり8が浅くなって自由液面位置が下がり、冷却ロール1の外周面に金属(溶湯5及び凝固殻S)が触れている時間が縮まり、除熱過剰が解消されてストリップ3の板厚が目標値に向かって漸減する。このとき、冷却ロール1の回転数を変えないので、双ロール鋳造機よりも後工程の圧延装置、冷却装置、及び巻取装置におけるストリップ3の通板速度は特に調整する必要はなく、一定のままでよい。
【0033】
そして、自由液面位置が下がる際に制御手段17は、ノズルピース4が自由液面位置に追従して下降するように位置調整用のアクチュエータ13を作動させ、ノズルピース4と溶湯溜まり8の自由液面の相対位置を変えずに一定に保つので、溶湯溜まり8には揺動が生じない。よって、ノズルピース4に付着している酸化物などの不純物が溶湯溜まり8に脱落して凝固殻Sに巻き込まれることに起因したストリップ3の品質不良を回避できる。
【0034】
なお、本発明のストリップ鋳造方法及び双ロール鋳造機は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のストリップ鋳造方法及び双ロール鋳造機は、鋼をはじめとして種々の金属ストリップの製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の双ロール鋳造機の一例を示す概念図である。
【図2】従来の双ロール鋳造機を示す概念図である。
【符号の説明】
【0037】
1 冷却ロール
3 ストリップ
4 ノズルピース
5 溶湯
8 溶湯溜まり
9 タンディッシュ
10 アクチュエータ(流量調整用)
11 スライドゲート
13 アクチュエータ(位置調整用)
14 カメラ
15 位置算出手段
16 板厚センサ
17 制御手段
G ロール間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンディッシュから供給される溶湯を、一対の冷却ロールの間に配置したノズルピースを介して当該ノズルピースの所定範囲が浸かる溶湯溜まりとして冷却ロールの間に満たし、各冷却ロール外周面に凝固殻を形作らせるとともにこれら冷却ロールを回転させることにより、ロール間隙で前記凝固殻が張り合わされたストリップを下方へ送り出す工程を実行するときに、冷却ロールの間から送り出されるストリップの板厚を測定し、ストリップの板厚が目標値に比べて減少し始めた場合には、タンディッシュから溶湯溜まりへ補充すべき溶湯量を増やして溶湯溜まりを深くし、反対にストリップの板厚が目標値に比べて増加し始めた場合には、タンディッシュから溶湯溜まりへ補充すべき溶湯量を減らして溶湯溜まりを浅くし、この溶湯の補充操作と並行して溶湯溜まりの自由液面位置を求め、溶湯溜まりの自由液面に対するノズルピースの相対位置が一定となるようにノズルピースを上下方向に変位させることを特徴とするストリップ鋳造方法。
【請求項2】
一対の冷却ロールと、タンディッシュから供給される溶湯を冷却ロールの間に溶湯溜まりとして満たすように冷却ロールの間に配置したノズルピースと、当該ノズルピースを上下に変位させる位置調整用のアクチュエータと、タンディッシュからノズルピースへの溶湯供給流路に設けられ且つ流量調整用のアクチュエータにより開閉するゲートと、前記溶湯溜まりの自由液面と冷却ロール外周面との境界を撮影するカメラと、当該カメラから送信される画像信号に基づき溶湯溜まりの現状の自由液面位置を求める位置算出手段と、冷却ロールの間から送り出されるストリップの板厚を測定する板厚センサと、当該板厚センサの測定値に応じて流量調整用のアクチュエータを作動させ且つ前記位置算出手段の算出値に応じて位置調整用のアクチュエータを作動させる制御手段とを有し、予め定めておいたストリップの板厚の目標値と板厚センサにより得たストリップの板厚の測定値との偏差に基づき、流量調整用のアクチュエータを作動させて溶湯溜まりへの補充溶湯量を増減する機能と、位置算出手段の算出値に基づき、位置調整用のアクチュエータを作動させてノズルピースと溶湯溜まりの自由液面の相対位置を一定に保つ機能とを前記制御手段に具備させたことを特徴とする双ロール鋳造機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−248129(P2009−248129A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98872(P2008−98872)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】