説明

ストレスコーン圧縮装置およびこれを用いたケーブル接続部

【課題】ストレスコーン圧縮装置の簡素化、小型化および軽量化を図る。
【解決手段】先端部内周に先端部に向けて拡径するラッパ状のテーパ部を有する円筒状の押し金具2と、押し金具の後端面側に離間して配設され、それ自身の先端面がブッシングの後端面に取付けられる中空円盤状の押し金具フランジ3と、押し金具フランジの後端面側に離間して配設される環状の座金4と、座金および押し金具フランジを貫通し押し金具の後端部に固定される複数本の第1のシャフト5と、第1のシャフトの外周に嵌挿され、先端面が押し金具の後端面に当接され、後端面が座金の先端面に当接されるコイル状のスプリングと、第1のシャフトの外周に嵌挿され、座金によって圧縮されるコイル状のスプリング7と、座金を貫通し押し金具フランジに固定される複数本の第2のシャフト6と、押し金具フランジと座金間の間隔を調整するための間隔調整部材8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレスコーン圧縮装置およびこれを用いたケーブル接続部に係わり、特に、過圧縮機能を備えたストレスコーン圧縮装置およびこれを用いたケーブル接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、超高圧CVケーブル(架橋ポリエチレンケーブル)のケーブル終端接続部においては、ケーブル絶縁体上に設けられるストレスコーンを軸方向先端部に向けて押圧することで、ストレスコーンとエポキシブッシングの端末挿入部との界面に面圧を加えることが行われている。
【0003】
ところで、同一の構造のケーブル終端接続部においては、定格電圧が高くなるほどストレスコーンと端末挿入部との界面の長さが長くなり、当該界面に微小ボイドが残り易くなることから、定格電圧が高いほど当該界面に微小ボイドを残存させないように配慮する必要がある。
【0004】
このような観点から、例えば220kV以上の超高圧CVケーブルの終端接続部においては、ケーブル終端接続部として完全に組み立てる前に、ストレスコーンを過圧縮することで、界面における微小ボイドを積極的になくし、組み立てられた製品の安定性および信頼性を確保することが行われている。
【0005】
図9は、従来のストレスコーン圧縮装置の縦断面図、図10は当該ストレスコーン圧縮装置を使用したケーブル終端接続部の一部縦断面図を示している。
【0006】
図9において、従来のストレスコーン圧縮装置は、先端部(図中上方向の端部をいう。以下同じ。)内周に先端部に向けて拡径するラッパ状のテーパ部111を有する円筒状の押しパイプ110と、押しパイプ110の後端部(図中下方向の端部をいう。以下同じ。)近傍の外周に嵌挿される環状の絶縁筒フランジ120と、後端部に径方向外方に向けて突出する円盤状のフランジ131を有し、円筒部132が押しパイプ110の後端部の内周に嵌挿される円筒状の押し金具130と、押し金具130の後端部側に離間して配設され、後述するスプリング200の後端部側を支持する環状の座金140と、座金140を貫通し押し金具130のフランジ131に円周方向に沿って等配するように固定された複数本の第1のシャフト150と、座金140を貫通し押し金具130のフランジ131に円周方向に沿って等配するように固定された複数本の第2のシャフト160と、第1、第2のシャフト150、160の外周にそれぞれ嵌挿されたコイル状のスプリング200と、座金140を貫通し絶縁筒フランジ120に固定される複数本の第3のシャフト170とを備えており、前記の複数本の第3のシャフト170は、ケーブル端末を挿入するエポキシブッシング220(図10参照)の受容口240(図10参照)の内径よりも外側に配置されている(例えば、特許文献1〜4等)。
【0007】
ここで、第2のシャフト160の後端部外周にはスプリング200をプリセットするためのナット161が螺着されており、当該プリセット機能を有する第2のシャフト160は、円周方向に沿って第1のシャフト150と交互に配設されている。また、第3のシャフト170の後端部外周には座金140を先端部に向けて押し上げるための2個のナット171、172が螺着されている。
【0008】
このような構成のストレスコーン圧縮装置においては、第1のシャフト150と第2のシャフト160を使用することで、押し金具130、スプリング200および座金140が組み立て固定され、予めナット161を締めることでスプリング200にプリセット荷重が付与される。
【0009】
このようにプリセットされたストレスコーン圧縮装置を、図10に示すように、現場において、絶縁筒フランジ120を押しパイプ110の後端部近傍の外周に嵌挿し、押し金具130の円筒部132の外周に押しパイプ110の内周を嵌挿させ、絶縁筒フランジ120を絶縁筒210を介してエポキシブッシング220の後端部に固定した上で、座金140を貫通し先端部が絶縁筒フランジ120に固定される第3のシャフト170の座金140よりも後端部側に螺着された2個のナット171、172を締めると座金140が先端部に向けて押し上げられ、スプリング200が更に圧縮され、スプリング200に過圧縮力が付与される。
【0010】
このようなストレスコーン圧縮装置によれば、第3のシャフト170を使用して、プリセットされたストレスコーン圧縮装置を絶縁筒フランジ120に固定し、ナット171、172を締めることで、スプリング200に所定の圧縮力(過圧縮力)を付与することができるものの、次のような難点があった。
【0011】
第1に、まず、工場において、押し金具130、座金140、第1、第2のシャフト150、160およびナット161を用いて図9に示すように組み立てておき、これを現場において、押しパイプ110、絶縁筒フランジ120、第3のシャフト170およびナット171、172を用いて図10に示すようにブッシング220へ取り付けなければならないことから、すなわち、ストレスコーン圧縮装置100が工場で組み立てる部分と現場で取り付ける部分とに分離されることから、ストレスコーン圧縮装置100の構造が複雑になる。
【0012】
第2に、3種類の第1、第2、第3のシャフト150、160、170を必要とし、過圧縮も慎重な現場管理の下で行う必要がある。
【0013】
第3に、部品点数が多いため、ストレスコーン圧縮装置100のプリセット作業および現場におけるストレスコーン圧縮装置100のブッシング220への取付工事に手間がかかる。
【0014】
第4に、円周方向に等配した第1、第2のシャフト150、160の外周に、さらに第3のシャフト170が円周方向に沿って等配されることから、第3のシャフト170が存在する分だけストレスコーン圧縮装置100の外径が大きくなり、ひいてはケーブル終端接続部の外径が大きくなる。
【0015】
第5に、第3のシャフト170は、ケーブル端末を挿入するエポキシブッシング220の受容口240の内径よりも外側に配置されることから、ストレスコーン圧縮装置100の外径が大きくなり、ひいてはケーブル終端接続部の外径が大きくなる。
【0016】
第6に、ストレスコーン圧縮装置100の押しパイプ110を除く第1、第2、第3のシャフト150、160、170等の部品がブッシング220の後端部側に突設して配設されることから、これらの第1、第2、第3のシャフト150、160、170等の部品が突設される分だけ軸方向の長さが長くなり、ひいては、ケーブル終端接続部の長さが長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平9−224325号公報(図6、図7)
【特許文献2】実開平6−077439号公報(図1)
【特許文献3】特開平9−023559号公報(図2、図3)
【特許文献4】実開平5−15629号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、簡素化、小型化および軽量化を図り、現場において簡単に組み立てることが可能なストレスコーン圧縮装置およびこれを用いたケーブル接続部を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様であるストレスコーン圧縮装置は、先端部内周に先端部に向けて拡径するラッパ状のテーパ部を有する円筒状の押し金具と、押し金具の後端面側に離間して配設され、それ自身の先端面がブッシングまたは絶縁筒の後端面に取付けられる中空円盤状の押し金具フランジと、押し金具フランジの後端面側に離間して配設される環状の座金と、座金および押し金具フランジを貫通し押し金具の後端部に固定される複数本の第1のシャフトと、第1のシャフトの外周に嵌挿され、先端面が押し金具の後端面に当接され、後端面が座金の先端面に当接されるコイル状のスプリングと、座金を貫通し押し金具フランジに固定される複数本の第2のシャフトと、押し金具フランジと座金間の間隔を調整するための間隔調整部材とを備えるものである。
【0020】
本発明の第2の態様は、第1の態様であるストレスコーン圧縮装置において、複数本の第1のシャフトおよび複数本の第2のシャフトは、ブッシングまたは絶縁筒に設けられた端末挿入部の内径の範囲内に収まるように配置されているものである。
【0021】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様であるストレスコーン圧縮装置において、複数本の第1のシャフトのうち少なくとも2本は、それ自身の後端部に頭部を備えているものである。
【0022】
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様であるストレスコーン圧縮装置において、第2のシャフトの先端部近傍の外周には突起部が設けられ、突起部の先端面は押し金具フランジの後端面に当接されているものである。
【0023】
本発明の第5の態様は、第4の態様であるストレスコーン圧縮装置において、突起部の外周には平滑部が設けられているものである。
【0024】
本発明の第6の態様は、第3の態様乃至第5の態様の何れかの態様であるストレスコーン圧縮装置において、座金の後端部側には第1のシャフトの頭部を収容し得る凹陥部が設けられているものである。
【0025】
本発明の第7の態様は、第4の態様乃至第6の態様の何れかの態様であるストレスコーン圧縮装置において、第2のシャフトの突起部より後端部側の外周にはけがき線が表示されているものである。
【0026】
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第7の態様の何れかの態様であるストレスコーン圧縮装置において、座金の内周縁側には第1のシャフトを貫通させるための貫通孔が所定の間隔をおいて設けられ、座金の外周縁側には第2のシャフトを貫通させるための貫通孔が所定の間隔をおいて設けられているものである。
【0027】
本発明の第9の態様であるケーブル接続部は、ケーブル絶縁体上にストレスコーンが装着されたケーブル端末部と、第1の態様乃至第8の態様の何れかの態様であるストレスコーン圧縮装置とを備え、ストレスコーン圧縮装置を構成する押し金具のテーパ部は、ストレスコーンを構成する半導電部のテーパ部に当接されているものである。
【0028】
本発明の第10の態様は、第9の態様であるケーブル接続部において、ストレスコーン圧縮装置を構成する押し金具フランジの後端面に、ケーブル端末部を構成するケーブル保護金具が取り付けられるものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明の第1の態様乃至第8の態様のストレスコーン圧縮装置によれば、次のような効果がある。
【0030】
第1に、圧縮部(押し金具、座金等)とブッシングまたは絶縁筒への取付部(押し金具フランジ等)とが第1、第2のシャフトによって一体構造とされていることから、ストレスコーン圧縮装置の簡素化、小型化および軽量化を図ることができる。
【0031】
第2に、工場において、予めスプリングを第1のシャフトに通して、押し金具と座金を固定するだけでスプリングのプリセット状態が得られることから、寸法管理不要のプリセット状態を構成することができる。
【0032】
第3に、従来のストレスコーン圧縮装置と略同様の過圧縮機能を有しつつ、従来のストレスコーン圧縮装置よりもスプリングやシャフトの本数を大幅に減らすことができることから、部品点数を大幅に減らすことができる。
【0033】
第4に、全てのシャフト(複数本の第1、第2のシャフト)が、ブッシングに設けられた端末挿入部の内径の範囲内に収まるように配置されていることから、ストレスコーン圧縮装置の外径を小さくすることができる。
【0034】
第5に、第2の貫通孔に、同一構成の第1のシャフト(ショルダボルト)を貫通させた場合には、3種類のシャフトを使用する従来のストレスコーン圧縮装置に比較して、2種類のシャフトですむことから、部品点数を大幅に減らすことができ、ひいては、現場の組み立てが簡単になり、また、過圧縮機能を有するストレスコーン圧縮装置の組み立ても簡単に行うことができる。
【0035】
第6に、従来のストレスコーン圧縮装置に比較して、スプリングの自由長を30%程度短くすることができることから、ストレスコーン圧縮装置の軸方向の長さを短くすることができる。
【0036】
第7に、第2のシャフトの突起部に平滑部を設けた場合には、当該平滑部をスパナ等で挟んで固定できることから、第1、第2のナットの調整作業(ナットの締め作業、緩め作業)、すなわち押し金具フランジの位置の調整を容易に行うことができる。
【0037】
また、第9の態様または第10の態様のケーブル接続部(終端接続部)によれば、次のような効果がある。
【0038】
第1に、部品点数が少ないことから、ケーブル終端接続部を簡単に組み立てることができる。
【0039】
第2に、座金の先端面が突起部の後端面に当接する位置まで、第1、第2のナットを締めることで所定の過圧縮状態を構成することができることから、メジャー等で寸法管理することなく過圧縮状態を容易に構成することができる。
【0040】
第3に、ブッシングの後端部にプリセットされたストレスコーン圧縮装置を取付け、座金を所定の位置(突起部の後端面に当接する位置)で固定し、ストレスコーンに所定時間過圧縮力を付与した後、座金を所定の位置(けがき線の位置)まで戻してからケーブル保護金具を配設することから、すなわち、スプリングを外部から認識できる状態でストレスコーン圧縮装置を取り付けることができることから、過圧縮力の付与作業の段階でスプリングをどれだけたわませたかを目視で確認することができ、さらに寸法を確認したい場合でも容易に行うことができる。これにより、出荷時のプリセット状態から、現場における過圧縮状態および組立状態までメジャー等で寸法管理する必要がなく、簡単にストレスコーン圧縮装置の組立作業を行うことができる。
【0041】
第4に、全てのシャフト(複数本の第1、第2のシャフト)が、ブッシングに設けられた端末挿入部の内径の範囲内に収まるように配置されていることから、押し金具および複数本のスプリングを含む第1のシャフトの先端部側をブッシングの端末挿入部内に収容することができ、ひいては、押し金具および複数本のスプリングを含む第1のシャフトの先端部側がブッシングの端末挿入部内に収容される分だけケーブル終端接続部の軸方向の長さを短くすることができる。
【0042】
第5に、座金の後端部側に凹陥部を設けた場合には、間隔調整部材による過圧縮状態への調整や組立状態への調整作業時に第1のシャフトが干渉しないため作業性を向上させることができる。
【0043】
第6に、第2のシャフトに、けがき線を表示した場合には、過圧縮作業を行った後の使用状態までの圧縮力付与作業を簡単に行うことができる。
【0044】
第7に、座金の内周縁側に第1のシャフトを貫通させるための第2の貫通孔を設け、外周縁側に第2のシャフトを貫通させるための第3の貫通孔を設けた場合には、より一層、第1のシャフトの干渉を受けずに第1、第2のナットの調整作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明におけるストレスコーン圧縮装置の一部縦断面図(図2のA’−O−A線矢視図)。
【図2】本発明のストレスコーン圧縮装置における押し金具フランジの半裁平面図。
【図3】本発明のストレスコーン圧縮装置における座金の平面図。
【図4】本発明のストレスコーン圧縮装置における第2のシャフトの正面図。
【図5】本発明のストレスコーン圧縮装置におけるスプリング自由長や本数などを比較例と共に示す説明図。
【図6】本発明のストレスコーン圧縮装置を使用したケーブル終端接続部の一部縦断面図。
【図7】本発明におけるスプリングの過圧縮状態を示すストレスコーン圧縮装置の一部縦断面図(図2のA’−O−A線矢視図)。
【図8】本発明における座金の他の実施例を示す平面図。
【図9】従来のストレスコーン圧縮装置の一部縦断面図。
【図10】従来のストレスコーン圧縮装置を使用したケーブル終端接続部の一部縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明のストレスコーン圧縮装置およびケーブル接続部を適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。なお、以下においては、ブッシング、ストレスコーン、押し金具、押し金具フランジ、座金、第1、第2のシャフト、突起部およびスプリングの「先端部(先端面)」とはケーブル端末部の先端側の端部(端面)をいい、それぞれ図中上方向に相当し、また、ブッシング、ストレスコーン、押し金具、押し金具フランジ、座金、第1、第2のシャフト、突起部およびスプリングの「後端部(後端面)」とは先端部(先端面)と反対側の端部(端面)をいい、それぞれ図中下方向に相当するものとして説明する。
[実施例1]
図1は、220kVクラスの超高圧CVケーブルのガス中終端接続部(ケーブル接続部)に好適する本発明におけるストレスコーン圧縮装置の縦断面図である。
【0047】
同図において、本発明のストレスコーン圧縮装置1は、円筒状のアルミニウム合金などから成る押し金具2と、押し金具2の後端面側に所定長離間し、押し金具2と同心状に配設される環状のアルミニウム合金などから成る押し金具フランジ3と、押し金具フランジ3の後端面側に所定長離間し、押し金具2と同心状に配設される環状のアルミニウム合金などから成る座金4と、座金4および押し金具フランジ3を貫通し押し金具2の後端部に固定される複数本のシャフト(以下「第1のシャフト」という。)5と、第1のシャフト5の外周に嵌挿され、先端面が押し金具2の後端面に当接され、後端面が座金4の先端面に当接されるコイル状のスプリング7と、座金4を貫通し押し金具フランジ3に固定される複数本のシャフト(以下「第2のシャフト」という。)6と、第2のシャフト6の座金4の後端部側の外周に螺着される間隔調整部材8とを備えている。
【0048】
押し金具2は、後述するスプリング7の外径と略同等の、またはそれより若干大きい肉厚を有する円筒部21を備えており、当該円筒部21の先端部内周には先端部に向けて拡径するラッパ状のテーパ部22が設けられ、後端部側には第1のシャフト5の先端部を螺着させるための複数個のネジ孔(以下「第1のネジ孔」という。)23が円周方向に等配するように設けられている。この実施例では、例えば12個の第1のネジ孔23が同一の円周上に等配されている。なお、押し金具2の外径は後述するストレスコーン14の頂部の外径と略同等とされており、後述するブッシング11の端末挿入部12(図6参照)内に収容可能とされている。
【0049】
押し金具フランジ3の内周縁側には、図2に示すように、後述する第1のシャフト5およびスプリング7を挿通させるための複数個の半円状の切欠部31が円周線31a上に円周方向に沿って所定の間隔をおいて設けられている。また、隣接する切欠部31の間であって、円周線31aより若干大径の円周線32a上には、シャフト(以下「第2のシャフト」という。)6の先端部を螺着させるための複数個の第2のネジ孔32が円周方向に沿って等配されている。この実施例では、例えば12個の切欠部31と12個の第2のネジ孔32が円周方向に沿って交互に等配するように設けられている。なお、切欠部31の半径はスプリング7の半径よりも若干大きくされている。また、押し金具フランジ3の外周縁側には、後述するボルト(以下「第1のボルト」という。)V1(図6参照)の先端部を螺着させるための複数個の貫通しないネジ孔(以下「第3のネジ孔」という。)34と、後述するボルト(以下「第2のボルト」という。)V2(図6参照)を貫通させるための複数個の貫通孔(以下「第1の貫通孔」という。)33が円周線34a上に円周方向に等配するように設けられている。この実施例では、10個の第3のネジ孔34と10個の第1の貫通孔33が円周方向に沿って交互に等配するように設けられている。なお、押し金具フランジ3の外径は押し金具2の外径よりも大径であって、後述するブッシング11の後端部の外径よりも小径とされ、内径は押し金具2の外径よりも小径とされている。
【0050】
第1のシャフト5としてはステンレス製の頭部を有するシャフト(例えば、ショルダボルト)が使用され、第2のシャフト6としてはステンレス製の頭部を有しない丸棒状のシャフトが使用される。
【0051】
図3は座金4の平面図を示している。同図において、座金4の中心円より若干内周縁側の円周線41a上には第1のシャフト5を貫通させるための複数個の貫通孔(以下「第2の貫通孔」という。)41が円周方向に等配するように設けられている。また、座金4の中心円より若干外周縁側の円周線42a上には第2のシャフト6を貫通させるための複数個の貫通孔(以下「第3の貫通孔」という。)42が円周方向に等配するように設けられている。この実施例では、12個の第2の貫通孔41と12個の第3の貫通孔42が円周方向に沿って交互に等配するように設けられている。座金4の後端部側には第1のシャフト5の頭部51を収容し得る凹陥部43が第2の貫通孔41と同心状にかつ第2の貫通孔41と連通するように設けられている。なお、座金4の外径および内径は押し金具2の外径および内径よりそれぞれ若干大径とされている。
【0052】
図4は第2のシャフト6の正面図を示している。同図において、第2のシャフト6は、先端部側と後端部側にネジ部6a、6bを備えており、先端部近傍の外周には、押し金具フランジ3を位置決めするための突起部9が設けられ、さらに、突起部9の後端部側の外周には予めけがき線61が表示されている。なお、突起部9の外周には後述するスパナ等を係止するための平滑部9aが設けられている。この実施例では、突起部9として六角ナットのような六角状の平滑部9aが設けられている。
【0053】
間隔調整部材8は、座金4と対向する側に螺着される軸長の長い高ナット(以下「第1のナット」という。)81と、第1のナット81の後端部側に螺着されるナット(以下「第2のナット」という。)82とを備えており、第1のナット81と第2のナット82との間にはワッシャー83が配設されている。
【0054】
次に、本発明のストレスコーン圧縮装置1の組立方法について説明する。
【0055】
先ず、座金4の第3の貫通孔42に第2のシャフト6を挿通し、第2のシャフト6の先端部を第2のネジ孔32に螺着させ、第2のシャフト6の突起部9の先端面を押し金具フランジ3の後端面に当接させることで、押し金具フランジ3が所定箇所に位置決めされ、第2のシャフト6と押し金具フランジ3がネジロックで一体に固定される。これにより、後述する第1、第2のナット81、82を緩め、若しくは締めることで、第2のシャフト6と押し金具フランジ3が一体で移動することになる。
【0056】
次に、座金4の第2の貫通孔41および押し金具フランジ3の切欠部31に第1のシャフト5を挿通し、スプリング7を第1のシャフト5の外周に嵌挿した上で第1のシャフト5の先端部を第1のネジ孔23に螺着させる。そして、第1のシャフト5を締めることで、必然的にスプリング7がプリセット状態となるまで圧縮される。これにより、第1のシャフト5を介して座金4、押し金具フランジ3および押し金具2が一体化されると共にスプリング7に所定のプリセット荷重が付与される。これにより、工場出荷時におけるスプリング7のプリセット作業が完了する。このように、工場において、予めスプリング7を第1のシャフト5に通して、押し金具2と座金4を固定するだけでスプリング7のプリセット状態が得られることから、寸法管理不要のプリセット状態を構成することができる。この場合、押し金具フランジ3は押し金具2と座金4との間に、第2のシャフト6を介して固定されているが、任意の位置で仮止めされていればよい。
【0057】
図5は、後述するケーブル終端接続部(図6参照)におけるストレスコーン圧縮装置のスプリングの自由長や本数などを比較例(図10に示す従来のケーブル終端接続部)と共に示す説明図である。ここで、図5(a)における「自由長」とは、図5(b)に示すように、スプリングに負荷が加えられていない状態のスプリング本来の長さで、本実施例では従来の長さよりも30%程度短くされている。また、「全たわみ」とは、図5(c)に示すように、スプリングを最大限圧縮した状態のたわみの寸法で、本実施例では従来の全たわみと同一とされている。さらに、「本数」とは、ストレスコーン圧縮装置に使用されるスプリングの数で、本実施例では従来のスプリングの数より25%程度少なくされている。「圧縮時荷重」とは、ケーブル終端組立後の実際の使用状態におけるストレスコーン圧縮装置全体としての荷重で、本実施例では従来の圧縮時荷重と略同等とされている。
【0058】
なお、図5(a)には特に示していないが、本出願人の検証により、本実施例に係るストレスコーン圧縮装置においても、従来のストレスコーン圧縮装置と略同等の過圧縮力の水準を維持し得ることを確認している。
【0059】
よって、本実施例に係るストレスコーン圧縮装置においても、従来のストレスコーン圧縮装置と略同様の圧縮力や過圧縮力の水準を維持することが可能な上、本実施例に係るストレスコーン圧縮装置によれば、従来のストレスコーン圧縮装置よりもスプリングの本数を25%程度減らすことができ、これに応じて第1のシャフト5の本数も大幅に減らすことができることが判る。
【0060】
以上のように、本発明のストレスコーン圧縮装置によれば、次のような効果がある。
【0061】
第1に、圧縮部(押し金具2、座金4等)と後述するブッシング11への取付部(押し金具フランジ3等)とが第1、第2のシャフト5、6によって一体構造とされていることから、ストレスコーン圧縮装置の簡素化、小型化および軽量化を図ることができる。
【0062】
第2に、工場において、予めスプリング7を第1のシャフト5に通して、押し金具2と座金4を固定するだけでスプリング7のプリセット状態が得られることから、寸法管理不要のプリセット状態を構成することができる。
【0063】
第3に、従来のストレスコーン圧縮装置と略同様の過圧縮機能を有しつつ、従来のストレスコーン圧縮装置よりもスプリングやシャフトの本数を大幅に減らすことができることから、部品点数を大幅に減らすことができる。
【0064】
第4に、全てのシャフト(複数本の第1、第2のシャフト5、6)が、ブッシング11に設けられた端末挿入部12の内径の範囲内に収まるように配置されていることから、ストレスコーン圧縮装置の外径を小さくすることができる。
【0065】
第5に、3種類のシャフトを使用する従来のストレスコーン圧縮装置に比較して、第1、第2のシャフト5、6の2種類のシャフトですむことから、部品点数を大幅に減らすことができ、ひいては、現場の組み立てが簡単になり、また、過圧縮機能を有するストレスコーン圧縮装置の組み立ても簡単に行うことができる。
【0066】
第6に、従来のストレスコーン圧縮装置に比較して、スプリングの自由長を30%程度短くすることができることから、ストレスコーン圧縮装置の軸方向の長さを短くすることができる。
【0067】
第7に、第2のシャフト6の突起部9に平滑部9aを設けた場合には、当該平滑部9aをスパナ等で挟んで固定できることから、第1、第2のナット81、82の調整作業(ナットの締め作業、緩め作業)、すなわち押し金具フランジ3の位置の調整を容易に行うことができる。
[実施例2]
図6は、本発明のストレスコーン圧縮装置を用いた220kVクラスの超高圧CVケーブルのガス中終端接続部の一例を示す一部縦断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
図6において、本発明におけるケーブル終端接続部は、開閉器や変圧器等の電力用機器(不図示)を気密に収容する機器ケ−ス10と、先端部が機器ケ−ス10内に位置するように気密に配設されるブッシング11と、ブッシング11内に設けられた端末挿入部12内にプラグイン接続されるケーブル端末部13と、ケーブル端末部13のケーブル絶縁体13a上に装着されるストレスコーン14を軸方向先端部に向けて押圧するための本発明のストレスコーン圧縮装置1とを備えている。
【0069】
ブッシング11は、先端部に弾丸状の頭部11aを有し、後端部に後述する絶縁部11dを備えており、絶縁部11d近傍の外周には径方向外方に向けて突出された円盤状のフランジ11bが設けられている。また、頭部11aとフランジ11bとの連設部分には遮蔽部11cが設けられており、遮蔽部11cの外周にはフランジ11bの上端面に至る位置すなわち機器ケースと接触する位置まで銀ペイント等の導電塗料を塗布することで、フランジ11bの後端部側に絶縁筒としての機能を有する絶縁部11dが設けられている。
【0070】
端末挿入部12は、ブッシング11の後端面(絶縁部11dの後端面)から奥部(ブッシング11の先端部)に向かって設けられ、後述するストレスコーン14を受容する奥部側受容部12aと、ブッシング11の後端部側(絶縁部11dの後端部側)に設けられ、ストレスコーン圧縮装置の先端部(押し金具2およびスプリング7が装着された第1のシャフト5の先端部)を受容する入口側受容部12bとを備えており、入口側受容部12bは奥部側受容部12aと同心状にかつ奥部側受容部12aと連通するように設けられている。
【0071】
このような構成のブッシング11および機器側接地とケーブル側接地を縁切りするための絶縁筒としての機能を有する絶縁部11dはエポキシ樹脂等の硬質の絶縁体から成り、内部導体(不図示)および後述する埋込金具11eと共に一体にモールドされている。
【0072】
なお、ブッシング11の頭部11aの中心部には銅又は銅合金から成る内部導体(不図示)が頭部と同心状に埋設されている。また、ブッシング11の遮蔽部11cの外径は機器ケース10の開口部10aの内径より小径とされ、フランジ11bの外径は機器ケース10の開口部10aの内径より大径とされている。さらに、内部導体の先端部は頭部11aの頂部から突出され、内部導体の後端部には導体挿入孔(不図示)が設けられ、当該導体挿入孔は奥部側受容部12aと連通するように構成されている。
【0073】
ケーブル端末部13は、CVケーブルの端末を段剥処理して露出させたケーブル絶縁体13aおよびケーブル導体(不図示)を備えており、ケーブル絶縁体13aの外周にはケーブル外部半導電層13b上に設けた遮蔽処理層13cに跨ってストレスコーン14が装着され、ケーブル導体の先端部には導体端子(不図示)が取り付けられている。ここで、ストレスコーン14は、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)やシリコーンゴム等のゴム状弾性を有する絶縁部14aと半導電部14bとから成り、絶縁部14aの先端部には奥部側受容部12aの内壁面に装着される先細り状のコーン状部141が設けられ、半導電部14bの後端部には押し金具2のテーパ部22の内壁面と対応するテーパ部142が設けられている。
【0074】
なお、図中、符号11eはブッシング11の後端部に円周方向に沿って等配するように埋設された埋込金具、13dはケーブル端末を包被するアルミニウム合金金物などから成るケーブル保護金具、13eは接地線、O1、O2はOリングをそれぞれ示している。また、ケーブル保護金具13dの後端部からケーブルシースに跨って防食層(不図示)が設けられている。
【0075】
次に、このように構成される本発明におけるケーブル終端接続部の組立方法について説明する。
【0076】
先ず、ブッシング11の頭部11aを機器ケース10内に位置させると共に、ブッシング11のフランジ11bの上面を機器ケース10の外壁に当接させ図示しないボルトの締付によりブッシング11を機器ケース10に気密に取り付ける。
【0077】
次に、ケーブル端末部13をブッシング11内に挿入して導体端子を導体挿入孔にプラグイン接続するとともに、予めケーブルに嵌挿しておいたストレスコーン圧縮装置1を所定位置に戻す。
【0078】
次いで、ストレスコーン圧縮装置1の押し金具フランジ3の先端面をブッシング11の後端面(絶縁部11dの後端面)に当接し、押し金具フランジ3の第1の貫通孔33に第2のボルトV2を挿通し、その先端部をブッシング11の埋込金具11eに螺着し当該第2のボルトV2を締め付ける。これにより、ストレスコーン圧縮装置1がOリングO1を介してブッシング11の後端部(絶縁部11dの後端部)に気密に取り付けられる。
【0079】
次に、スパナ等で第2のシャフトの突起部9(平滑部9a)を挟んで固定しながら間隔調整部材8としての第1、第2のナット81、82を締めることで、図7に示すように座金4を押し上げ、座金4の先端面が突起部9の後端面に当接する位置まで締め付ける。これにより、スプリング7に所定の過圧縮力が付与され、ひいてはストレスコーン14に所定の過圧縮力が付与される。そして、この過圧縮が付与された状態を所定時間維持することによりストレスコーン14と端末挿入部12との界面における微小ボイドを積極的になくすことができる。
【0080】
このような過圧縮状態を所定時間維持した後、前述と同様にスパナ等で第2のシャフトの突起部9(平滑部9a)を挟んで固定しながら間隔調整部材8としての第1、第2のナット81、82を緩めて、座金4の先端面が第2のシャフト6のけがき線61の位置にくるまで下げ、第1、第2のナット81、82で固定する。これにより、スプリング7の圧縮力を使用状態まで弱めることができる。
【0081】
次いで、予めケーブル端末部13側に嵌挿しておいたケーブル保護金具13dを所定位置に戻し、ケーブル保護金具13dの先端部に設けられたフランジ13fを押し金具フランジ3の後端面に当設し、両者を第1のボルトV1により締結する。
【0082】
以上のように、本発明のケーブル終端接続部によれば、次のような効果がある。
【0083】
第1に、部品点数が少ないことから、ケーブル終端接続部を簡単に組み立てることができる。
【0084】
第2に、座金4の先端面が突起部9の後端面に当接する位置まで、第1、第2のナット81、82を締めることで所定の過圧縮状態を構成することができることから、メジャー等で寸法管理することなく過圧縮状態を容易に構成することができる。
【0085】
第3に、ブッシング11の後端部にプリセットされたストレスコーン圧縮装置1を取付け、座金4を所定の位置(突起部9の後端面に当接する位置)で固定し、ストレスコーン14に所定時間過圧縮力を付与した後、座金4を所定の位置(けがき線61の位置)まで戻してからケーブル保護金具13dを配設することから、すなわち、スプリング7を外部から認識できる状態でストレスコーン圧縮装置1を取り付けることができることから、過圧縮力の付与作業の段階でスプリング7をどれだけたわませたかを目視で確認することができ、さらに寸法を確認したい場合でも容易に行うことができる。これにより、出荷時のプリセット状態から、現場における過圧縮状態および組立状態までメジャー等で寸法管理する必要がなく、簡単にストレスコーン圧縮装置1の組立作業を行うことができる。
【0086】
第4に、全てのシャフト(複数本の第1、第2のシャフト5、6)が、ブッシング11に設けられた端末挿入部12の内径の範囲内に収まるように配置されていることから、押し金具2および複数本のスプリング7を含む第1のシャフト5の先端部側をブッシング11の端末挿入部12内に収容することができ、ひいては、押し金具2および複数本のスプリング7を含む第1のシャフト5の先端部側がブッシング11の端末挿入部12内に収容される分だけケーブル終端接続部の軸方向の長さを短くすることができる。
【0087】
第5に、座金4の後端部側に凹陥部43を設けた場合には、間隔調整部材8による過圧縮状態への調整や組立状態への調整作業時に第1のシャフト5が干渉しないため作業性を向上させることができる。
【0088】
第6に、第2のシャフト6に、けがき線61を表示した場合には、過圧縮作業を行った後の使用状態までの圧縮力付与作業を簡単に行うことができる。
【0089】
第7に、座金4の内周縁側に第1のシャフト5を貫通させるための第2の貫通孔41を設け、外周縁側に第2のシャフト6を貫通させるための第3の貫通孔42を設けた場合には、より一層、第1のシャフト5の干渉を受けずに第1、第2のナット81、82の調整作業を行うことができる。
[実施例3]
図8は、本発明における座金の他の実施例を示している。なお、同図において、図3と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0090】
この実施例においては、座金4の中心円より若干内周縁側の円周線41a上に第1のシャフト5としての頭部を有するシャフト(例えばショルダボルト)を貫通させるための複数個の第2の貫通孔41と、第1のシャフト5としての頭部を有しない丸棒状のシャフトを貫通させるための複数個の貫通孔(以下「第4の貫通孔」という。)41´とが円周方向に等配するように設けられている。この実施例では、6個の第2の貫通孔41と6個の第4の貫通孔41´が円周方向に沿って交互に等配するように設けられている。なお、第4の貫通孔41´の内径は、第2の貫通孔41の内径と同径で、第4の貫通孔41´には凹陥部43は設けられていない。
【0091】
このような構成の座金によれば、第2の貫通孔41に第1のシャフト5としての頭部を有するシャフト(ショルダボルト)を貫通させ、第4の貫通孔41´に第1のシャフト5としての頭部を有しないシャフトを貫通させることができることから、図3に示す座金と比較すれば、頭部を有するシャフト(ショルダボルト)の本数を少なくすることができ、ひいては頭部を有するシャフト(ショルダボルト)の本数が少なくなる分だけ頭部を有するシャフト(ショルダボルト)の締め作業、すなわちプリセット状態にする作業を少なくすることができる上、コスト的にも割安となる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
【0093】
第1に、前述の実施例においては、第2のシャフト6として、突起部9と第2のシャフト6が一体で形成されたものを使用しているが、第2のシャフト6の外周に別体のナットを嵌合・固着したものを使用してもよい。
【0094】
第2に、前述の実施例2においては、ブッシング11と一体化された絶縁筒としての機能を有する絶縁部11dの後端面に押し金具フランジ3を取り付けた場合について説明しているが、絶縁筒を有しないブッシングの後端面、若しくはブッシング11と分離された別体の絶縁筒の後端面に押し金具フランジ3を取り付けてもよい。
【0095】
第3に、前述の実施例1、3においては、それぞれ12個、6個の第1のシャフト5としての頭部を有するシャフト(ショルダボルト)を、それぞれ同数の第2の貫通孔41に貫通させる場合について説明しているが、少なくとも2個の第2の貫通孔41に第1のシャフトとして頭部を有するシャフト(ショルダボルト)を貫通させ、残りの第2の貫通孔41にまたは第4の貫通孔41´に第1のシャフトとして頭部を有しない丸棒状のシャフトを貫通させてもよい。但し、頭部を有するシャフト(ショルダボルト)は円周方向に等配する(例えば2本使用した場合は180度の間隔をおいて配置する)必要がある。これにより、所定のプリセット状態が得られる。4個以上の頭部を有する第1のシャフトを等配する場合は、より均等に座金4を先端側に押圧することができるため、より均等にスプリングをプリセット状態まで圧縮することができる。また、頭部を有するシャフトはショルダボルトに限定されず、頭部を有する他のボルトでも良い。
【0096】
第4に、前述の実施例においては、第1のナット81として軸長の長い高ナットを使用しているが、第2のナット82と同一構成のナットを使用してもよい。
【0097】
第5に、前述の実施例においては、第2のシャフト6の全てに第1、第2のナット81、82を螺着しているが、1個のナットのみを螺着してもよい。また、接地線13eは全ての間隔調整部材8若しくは複数箇所の間隔調整部材8に取り付けてもよい。
【0098】
第6に、押し金具2、押し金具フランジ3および座金4はアルミニウム合金で形成したものに限定されず、例えば、銅、銅合金製、若しくはアルミニウム製等の金属で形成してもよい。
【0099】
第7に、前述の実施例においては、ケーブル接続部として、ガス中終端接続部に適用した場合について説明しているが、油中終端接続部、気中終端接続部に適用してもよく、また、中間接続部(ジョイント)に適用してもよい。さらに、ケーブル接続部としての形状は限定されない。
【0100】
第7に、前述の実施例においては、220kVクラスのケーブル接続部について説明しているが、この電圧に限定されない。
【符号の説明】
【0101】
1・・・ストレスコーン圧縮装置
2・・・押し金具
3・・・押し金具フランジ
31・・・切欠部
4・・・座金
43・・・凹陥部
5・・・シャフト(第1のシャフト)
6・・・シャフト(第2のシャフト)
61・・・けがき線
7・・・スプリング
8・・・間隔調整部材
9・・・突起部
11・・・ブッシング
12・・・端末挿入部
13・・・ケーブル端末部
13a・・・ケーブル絶縁体
14・・・ストレスコーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部内周に先端部に向けて拡径するラッパ状のテーパ部を有する円筒状の押し金具と、
前記押し金具の後端面側に離間して配設され、それ自身の先端面がブッシングまたは絶縁筒の後端面に取付けられる中空円盤状の押し金具フランジと、
前記押し金具フランジの後端面側に離間して配設される環状の座金と、
前記座金および前記押し金具フランジを貫通し前記押し金具の後端部に固定される複数本の第1のシャフトと、
前記第1のシャフトの外周に嵌挿され、先端面が前記押し金具の後端面に当接され、後端面が前記座金の先端面に当接されるコイル状のスプリングと、
前記座金を貫通し前記押し金具フランジに固定される複数本の第2のシャフトと、
前記押し金具フランジと前記座金間の間隔を調整するための間隔調整部材とを備えることを特徴とするストレスコーン圧縮装置。
【請求項2】
前記複数本の第1のシャフトおよび前記複数本の第2のシャフトは、前記ブッシングまたは絶縁筒に設けられた端末挿入部の内径の範囲内に収まるように配置されていることを特徴とする請求項1記載のストレスコーン圧縮装置。
【請求項3】
前記複数本の第1のシャフトのうち少なくとも2本は、それ自身の後端部に頭部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のストレスコーン圧縮装置。
【請求項4】
前記第2のシャフトの先端部近傍の外周には突起部が設けられ、前記突起部の先端面は前記押し金具フランジの後端面に当接されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載のストレスコーン圧縮装置。
【請求項5】
前記突起部の外周には平滑部が設けられていることを特徴とする請求項4記載のストレスコーン圧縮装置。
【請求項6】
前記座金の後端部側には前記第1のシャフトの頭部を収容し得る凹陥部が設けられていることを特徴とする請求項3乃至請求項5何れか1項記載のストレスコーン圧縮装置。
【請求項7】
前記第2のシャフトの前記突起部より後端部側の外周にはけがき線が表示されていることを特徴とする請求項4乃至請求項6何れか1項記載のストレスコーン圧縮装置。
【請求項8】
前記座金の内周縁側には前記第1のシャフトを貫通させるための貫通孔が所定の間隔をおいて設けられ、前記座金の外周縁側には前記第2のシャフトを貫通させるための貫通孔が所定の間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載のストレスコーン圧縮装置。
【請求項9】
ケーブル絶縁体上にストレスコーンが装着されたケーブル端末部と、請求項1乃至請求項8何れか1項記載のストレスコーン圧縮装置とを備え、
前記ストレスコーン圧縮装置を構成する押し金具のテーパ部は、前記ストレスコーンを構成する半導電部のテーパ部に当接されていることを特徴とするケーブル接続部。
【請求項10】
前記ストレスコーン圧縮装置を構成する押し金具フランジの後端面に、前記ケーブル端末部を構成するケーブル保護金具が取り付けられることを特徴とする請求項9記載のケーブル接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−193572(P2010−193572A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33520(P2009−33520)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Fターム(参考)】