説明

ストレッチ包装機

【課題】 商品を載せるトレイが、起立縁の無い平板状のトレイでも安定的に包装することができるストレッチ包装機を提供する。
【解決手段】 エレベータ4の上に載置した被包装物Wを、該エレベータの上方に配置した包装部5に水平に張架したフィルム6’に対して突き上げて被包装物の上面をフィルムで覆い、被包装物の下端より下方に垂れるフィルムの左右端、及び後端を左右折り込み板8,8’、後折り込み板9により被包装物の底面側に折り込み、排出プッシャ10の押動によりフィルムの前端を被包装物の底面側に折り込むストレッチ包装機において、前記後折り込み板9の上面に、前記左右折り込み板8,8’の閉動で区画される閉じ空間の幅よりも幅狭で、且つ被包装物の底面を支持可能な凸部14を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平に張架したストレッチフィルムに対して、被包装物を下方から突き上げて該被包装物の上面をフィルムで覆い、そのフィルムの端部を折り込み板で被包装物の底面側に折り込むストレッチ包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等で陳列される魚や肉等は、トレイに載せられ、ストレッチフィルムで包装されている。これ等の商品(トレイに載った被包装物)は、エレベータの上に載置され、該エレベータの上方に配置した包装部に水平に張架したフィルムに対して突き上げて被包装物の上面をフィルムで覆い、被包装物の下端より下方に垂れるフィルムの左右端、及び後端を左右折り込み板、後折り込み板により被包装物の底面側に折り込み、排出プッシャの押動によりフィルムの前端を被包装物の底面側に折り込むストレッチ包装機で包装されている。
【0003】
ところで、魚や肉等を収容するトレイとしては、4辺の周縁に起立縁が一体に形成された、所謂、皿状トレイが一般的であるが、コスト面或いは廃棄時の嵩などの面から起立縁の無い平板状トレイが採用されるようになってきた。
【0004】
そして、起立縁の無い平板状のトレイを用いた被包装物を包装する場合、後折り込み板を確実に被包装物の底面に進入させる為に、フィルムの端部を最初に被包装物の底面側に折り込む左右折り込み板を上下方向に間隔を置いて重なるように配置した二枚板タイプとし、その上下の折り込み板の間に後折り込み板を水平移動自在に配置したストレッチ包装機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
そのストレッチ包装機による包装は、通常、次のようなステップで行われる。
(1):包装部に張架されたフィルムに、被包装物が載ったエレベータを下方から突き上げる。
(2):左右折り込み板が中央に向けて摺動(閉動)し、該折り込み板の上側の板で被包装物を支える。
(3):(2)の後に、エレベータが下降し、後折り込み板が進入してフィルムの後側端部を被包装物の底面側に折り込む。
しかしながら、図13及び図14に示すように、平板状のトレイを用いた被包装物W’の場合、四辺に起立縁が存在しない為剛性が弱く、又、左右折り込み板22,22’の上側板の上面と後折り込み板23の上面との間には、高さ方向にずれがあり、その為に、被包装物W’の平板状トレイは幅方向の中央部が下方に垂れ下がるように撓み、その状態のまま包装されるので、包装仕上がりが悪くなるという問題点を有する。
【0006】
また、排出プッシャ24で被包装物W’を排出する際、平板状トレイは薄く、且つ、中央部が下方に垂れ下がる傾向にあるので、左右折り込み板22,22’と排出プッシャ24との隙間に、平板状トレイが挟まってしまう場合があった。
【0007】
更に、左右の折り込み板が一枚板タイプで構成されている場合、左右折り込み板の上を後折り込み板が摺動する構造であるため、後折り込み板は平板状トレイの後端面と突き当たるように摺動し、その為、平板状トレイの底部に後折り込み板が入り込むことができず、その結果、フィルムの後側端部を折り込むことができず、包装ができない場合があるという問題点を有する。
【0008】
【特許文献1】特開平8−151009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、商品を載せるトレイが、起立縁の無い平板状のトレイでも安定的に包装することができるストレッチ包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために本発明のストレッチ包装機は、エレベータの上に載置した被包装物を、該エレベータの上方に配置した包装部に水平に張架したフィルムに対して突き上げて被包装物の上面をフィルムで覆い、被包装物の下端より下方に垂れるフィルムの左右端、及び後端を左右折り込み板、後折り込み板により被包装物の底面側に折り込み、排出プッシャの押動によりフィルムの前端を被包装物の底面側に折り込むストレッチ包装機において、前記後折り込み板の上面に、前記左右折り込み板の閉動で区画される閉じ空間の幅よりも幅狭で、且つ被包装物の底面を支持可能な凸部を設ける(請求項1)。
【0011】
上記手段によれば、被包装物は左右折り込み板の閉動により該左右折り込み板で支えられるが、更に後折り込み板の摺動で、該後折り込み板の上面に設けた凸部が、剛性が弱い平板状トレイの略中央部を支え、下方に撓り変形するのを防止できる。又、前記凸部は、被包装物の底面側に折り込んだフィルムを押圧するため、フィルムの重なり部分をよりしっかり密着させる。
【0012】
前記左右折り込み板を、上下二枚タイプで、前記後折り込み板を挟んで上下に配置した構成(請求項2)とした場合は、被包装物を支える上側の左右折り込み板の下を後折り込み板が摺動するため、後折り込み板は確実に被包装物の底部に入り込むことが出来る。
【0013】
そして、前記凸部は後折り込み板の摺動方向に沿って設ける(請求項3)ことで、該後折り込み板が被包装物の底部に進入開始時から被包装物が排出されるまでの間、被包装物の底部中央部を安定よく支持し続けることができる。
更にその凸部の上面(高さ)は、左右折り込み板の上面と略面一、或いは左右折り込み板の上面より上方に突出する高さとする(請求項4)ことで、平板状トレイの中央部を左右両側部と同じ位置(高さ)で支持でき、中央部が下方に撓み下がるのを確実に防止できる。
又、凸部先端は、後折り込み板の摺動方向に向かって前方下向きの傾斜面に形成してもよい(請求項5)。その構成により、後折り込み板は凸部が存在しても被包装物の底部へスムーズに進入することができる。
【0014】
また、フィルムの前側端部を被包装物の底面側に折り込むために該被包装物を押動する排出プッシャは、全幅が一つの押圧面で構成されたものでもよいが、全幅を複数の押圧面で構成してもよい。例えば、前記凸部の後方に配置した中央プッシャと、その中央プッシャの左右両側に配置した左右プッシャとで構成し、中央プッシャの先部には前記後折り込み板上に支持された被包装物の後端を上方に持ち上げる傾斜板を、前記左右プッシャより前方に突出させて設ける(請求項6)。
上記手段によれば、後折り込み板の進入停止後は、排出プッシャの押動により被包装物の後端が中央プッシャの先部に設けた傾斜板上に載り上がった状態で押動排出される。
【0015】
更に、前記排出プッシャにおける中央プッシャの傾斜板の後方に、前方へ張り出す上向き押え片を設けてもよい(請求項7)。
この手段によれば、中央プッシャの押圧面は側面略く字形となり、被包装物の後端が前記傾斜板に載り上がる量が押え板で規制される為、安定した状態で押し出し排出することができる。
【0016】
また、左右折り込み板は上下二枚タイプに限らず、一枚タイプでもよい(請求項8)。即ち、左右折り込み板は、一枚タイプで、その左右の折り込み板の上に後折り込み板を配置し、該後折り込み板の少なくともトレイと接する部分を摺動方向に向かって下向き傾斜状に形成する。
この手段によれば、左右折り込み板で支持されるトレイの底部との間に、後折り込み板の下向きに傾斜する先部が入るため、左右折り込み板が一枚タイプでも安定した包装を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のストレッチ包装機は請求項1記載の構成により、左右の折り込み板で支えられる被包装物の剛性の弱い平板状トレイの略中央部を、後折り込み板の上面に設けた凸部で支え、下方に撓り変形するのを防止できる。それにより、平板状トレイでも安定的に包装仕上がりを良くすることができる。又、前記凸部は、被包装物の底面側に折り込んだフィルムを押圧するため、フィルムの重なり部分をよりしっかり密着させることができる。
そして、請求項2記載の構成によれば、被包装物を支える上側の左右折り込み板の下を後折り込み板が摺動するため、後折り込み板は確実に被包装物の底部に入り込み、しかも後折り込み板はその上面に凸部を有している為、被包装物における平板状トレイの略中央部が下方に撓み変形するのを防止でき、安定的に包装仕上がりを良くすることができる。
【0018】
また、請求項3記載の構成によれば、後折り込み板が被包装物の底部に進入開始時から被包装物が排出されるまでの間、被包装物の底部中央部を凸部で安定よく支持し続けることができ、それにより安定した包装仕上がりを確保することができる。
更に、請求項4記載の構成によれば、被包装物(平板状トレイ)の中央部を左右両側部と同じ位置(高さ)で支持でき、中央部が下方に撓り下がるのを確実に防止できる。
又、請求項5記載の構成によれば、後折り込み板は凸部を備えていても被包装物の底部へスムーズに進入することができる。
【0019】
そして、請求項6記載の構成によれば、後折り込み板の進入停止後は、排出プッシャの押動により被包装物の後端を中央プッシャの先部に設けた傾斜板上に載り上げた状態で押動排出することができる。それにより、被包装物(平板状トレイ)の中央部が下方に撓むのを確実に防止することができる。
また、請求項7記載の構成によれば、中央プッシャの押圧面は側面略く字形となり、被包装物の後端が前記傾斜板に載り上がる量が押え板で規制される為、安定した状態で押し出し排出することができる。
更に、請求項8記載の構成によれば、左右折り込み板で支持されるトレイの底部との間に、後折り込み板の下向きに傾斜する先部が入るため、左右折り込み板が一枚タイプでも安定した包装を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るストレッチ包装機の実施の形態の一例を図面に基づき説明する。
図1は、今日一般的に周知のストレッチフィルムを使用したストレッチ包装機Aの概略を示し、機枠1の正面、即ち手前側前部に、平板状トレイaに商品bを載せた被包装物Wを載置する載置部2が配置され、その載置部2に置かれた被包装物Wをプッシャコンベヤ3により機枠1内部に配置したエレベータ4まで搬送する。尚、載置部2は、被包装物Wの重量を計測する計量部の計量皿として構成されている。
上記エレベータ4の上方には包装部5が設けられ、その包装部5の側方(プッシャコンベヤと直角に交差した方向)に包装に使用するフィルムロール6がセットされ、該フィルムロール6から繰り出されるフィルム6’をフィルムフィード機構7により引き出し、所定長さにカットした後に包装部5まで移送し、水平に張架保持する。
【0021】
上記包装部5には、前記フィルムフィード機構7の上方に位置させて被包装物Wの上面を覆うフィルム6’の端部を該被包装物Wの底部側に折り込む左右折り込み板8,8’と後折り込み板9、後折り込みいた9の上方に位置して、左右及び後側のフィルム端部が被包装物Wの底部側に折り込まれた被包装物Wを排出する排出プッシャ10、及びその排出プッシャ10の摺動方向前方位置に前側のフィルム端部を折り込む前折り込みローラ11が配設されている。
【0022】
上記フィルムフィード機構7は、フィルムロール6から繰り出されるフィルム6’の幅方向の側端部を挟持する上下一対の無端状の弾性ベルト7a,7bと、下側の弾性ベルト7bを上側の弾性ベルト7a側へ圧接するクランプ板7cとで構成され、これらが包装部5を挟んで前後に配置されている。
【0023】
又、前折り込みローラ11の前方には、被包装物Wの底部側に折り込まれたフィルムの端部の重なり部分を加熱して密着させるヒータ部12と、その前方に排出手段13が配設されている。
【0024】
上記ストレッチ包装機Aにおいては、エレベータ4上に搬送された被包装物Wは、エレベータ4の上昇により包装部5に張架されたフィルム6’に対して突き上げられ、被包装物Wの上面を覆ったフィルム6’の端部は、左右折り込み板8,8’と後折り込み板9とにより被包装物Wの底部側に折りこまれる。
次に、排出プッシャ10により被包装物Wを前記ヒータ部12へ向けて水平に押動しながら前記フィルム6’の前側端部を前折り込みローラ11で被包装物Wの底部側に折り込んで包装が完了する。
【0025】
しかしながら、被包装物Wの上面を覆ったフィルムの端部を被包装物の底部側に折り込む際、被包装物Wを載せたエレベータ4を包装部5に張架されたフィルム6’に突き上げて該被包装物Wを左右折り込み板8,8’より上方に突出させ、左右の折り込み板8,8’を中央に向けて摺動させることで、フィルムの左右端部を被包装物の底部側に折り込むと共に、被包装物Wの支持がエレベータ4から左右折り込み板8,8’に切り替わる。
即ち、被包装物Wは、左右の折り込み板8,8’で支えられるが、被包装物Wにおける商品bを載せるトレイが起立縁のない平板状トレイaであるため、剛性が弱く、左右折り込み板8,8’による支持部の間は下方に撓み変形することになる。この左右折り込み板による支点間の撓み変形を防止して、安定した包装を可能ならしめるために、本発明は後折り込み板9、排出プッシャ10を下記の構成とした。以下、その構成について説明する。
【0026】
図2は被包装物Wの上面を覆うフィルム端部を該被包装物Wの底部側に折り込む左右折り込み板8,8’、後折り込み板9、及び排出プッシャ10の構成を示す斜視図で、左右折り込み板8,8’は上下二枚の板8a,8bで構成され、その左右の上側板8aと下側板8bとの間に後折り込み板9が摺動可能に挿入配置されている。尚、左右折り込み板8,8’は、上側板8aと下側板8bが一体化し、且つ上・下側板8a,8bの間を後折り込み板9が該左右折り込み板8,8’の長手方向に沿って摺動できるようになっていればよく、例えば、図示するような扁平中空の帯板状に形成する。
【0027】
後折り込み板9は、初期位置(離間した開位置)に位置する左右折り込み板8,8’の上・下側板8a,8b間に亘って摺動可能に配置され、その長手方向の略中央位置の上面には左右折り込み板8,8’の上側板8aの上面と面一又は上側板8aより上方に突出する高さを有した凸部14が一体的に固着されている。
凸部14が取り付けられる位置は、図2、3に示すように左右折り込み板8,8’の中央方向への摺動(閉動)で区画される閉じ空間の範囲内とし、凸部14の幅は閉じ空間の幅よりも幅狭に形成されている。又、後折り込み板9の摺動方向先端にはフィルムとの密着性を軽減するパイプ15が固着されている。尚、後折り込み板9の先端におけるフィルムとの密着性を軽減する方法としては、後折り込み板の先端部に極小の回転ローラを取り付ける、或いは先端を鋭角に形成し、且つその表面をテフロン(登録商標)加工するなどしてもよい。
【0028】
又、凸部14の長さは、後折り込み板9の摺動方向に沿った長さ全長に亘って形成され、且つ凸部14の摺動方向に沿った先部は前方下向きに傾斜する傾斜面14aに形成されている。
尚、上記凸部14は後折り込み板9と別体に構成し、後折り込み板9の上面に一体的に固着する形態に限らず、後折り込み板9と一体に形成してもよい。
【0029】
排出プッシャ10は、前記した左右折り込み板8,8’の上側板8a上を、前記後折り込み板9の摺動に続いて前方に水平移動するように構成され、包装部5にて被包装物Wの上面を覆ったフィルム6’の左右端部及び後端部の折り込みを終えた被包装物Wを機枠1前面側のヒータ部12へ向けて水平に押し出す。
その排出プッシャ10は、図2に示すように基板16の前面に、前記後折り込み板9上の凸部14の後方に配置した中央プッシャ10aと、その中央プッシャ10aの左右両側に左右プッシャ10b、10cが配置されて構成され、中央プッシャ10aは左右プッシャ10b,10cより前方に突出させて取り付けられている。
【0030】
上記中央プッシャ10aは、前記後折り込み板9上の凸部14及び左右折り込み板8,8’で支持された被包装物Wの後端を上方に持ち上げることができるように前方下向きの傾斜板に構成されている。
又、中央プッシャ10aの傾斜板の後部には、該傾斜板で持ち上げる被包装物Wの持ち上げ量を所定の範囲に規制する押え片17が前方上向きに張り出して設けてある。それにより中央プッシャ10aは側面略く字形に構成されている。
【0031】
次に、上記したストレッチ包装機Aの包装動作を図5の工程図に基づき説明する。
(1)作業者は、包装機の前部に位置する載置部2に被包装物Wを載置する。載置部2に置かれた被包装物Wは、該載置部2が計量部の計量皿で構成されているため重量が計測される。
(2)重量の計測を完了した被包装物Wは、プッシャコンベヤ3によってエレベータ4の上まで搬送される。尚、搬送途中において重量計測の他に被包装物Wの縦、横、高さの各寸法が測定され、その測定値に基づいてフィルムの繰り出し長さが決定される。
(3)フィルムフィード機構7によってフィルムロール6からフィルム6’が引き出され、前記被包装物Wの計測した寸法に基づいて所定長さに切断され、且つセンタリングされて張架される。
【0032】
(4)エレベータ位置まで搬送された被包装物Wは、エレベータ4の上昇によって包装部5に張架されたフィルム6’に下方から突き上げられ、被包装物Wの上面がフィルム6’で覆われる。
(5)エレベータの上昇で被包装物Wの上面がフィルムで覆われた後、左右折り込み板8,8’が中央方向に摺動してフィルム6’の左右端部を被包装物Wの底部側に折り込む(図6、7参照)。左右折り込み板8,8’の摺動により被包装物Wは左右折り込み板8,8’で支えられ、同時にエレベータ4は下降を開始する。尚、左右折り込み板8,8’の摺動による左右端部の折り込みは、被包装物W(平板状トレイa)のサイズ、フィルムフィード機構7によるフィルム6’の張りの調整等に基づいて決定される。
(6)左右端部の折り込みに続いて、後折り込み板9が前方に向けて水平状態で摺動し、フィルム6’の後端部を被包装物Wの底部側に折り込む(図8乃至図10参照)。この後折り込み板9は、上下二枚の左右折り込み板8,8’の間を摺動し、しかも後折り込み板の上面には左右折り込み板の上面と面一、又は左右折り込み板の上面より突出する凸部14が設けられていることで被包装物Wの中央部は、前記凸部14で支えられる。それにより、被包装物Wの中央部が下方に撓み変形するのが防止される(図8、図9参照)。尚、後折り込み板9の摺動に伴い、フィルムフィード機構7に挟持されているフィルム側部の開放タイミングを変えることで、包装完了時のフィルムの張り状態を可変することができる。
【0033】
(7)後折り込み板9の摺動に続いて、排出プッシャ10が作動し、左右端部と後端部が底部側に折り込まれた被包装物Wをヒータ部12に向けて押し出す。この排出プッシャ10による押し出しは、前記凸部14の後方線上に位置する中央プッシャ10aがその左右に位置する左右プッシャ10b,10cより前方に突出しており、しかも中央プッシャは前方下向きの傾斜板で形成され、且つその傾斜板の後部に押え片17が前方上向きに張り出して側面略く字形に構成されている為、被包装物Wの後端部は中央プッシャ10aの傾斜板に沿って乗り上がり、しかもその乗り上がりは押え片17で規制される為、常に一定した姿勢で押し出される(図10(a)、(b)参照)。この押し出しにより、フィルム6’の前端部は前折り込みローラ11で被包装物Wの底部側に折りこまれる。
(8)被包装物Wの上面を覆うフィルム6’の左右端部、後端部、前端部が底部側に折り込まれた被包装物Wは、排出プッシャ10でヒータ部12に排出され、このヒータ部12を通過する際に前記折り込まれたフィルムの端部が加熱されて密着される。そしてヒータ部12から排出手段13へ排出される。
【0034】
上記実施の形態は左右折り込み板が上下二枚で構成され、その上下板間に後折り込み板が摺動可能に配置されたタイプであるが、左右折り込み板が一枚板で構成され、その左右折り込み板の上に後折り込み板を摺動可能に配置したタイプにおいても前記課題を解決することができる。
その構成は、図11(a)に示すように、後折り込み板18の摺動方向先部を、前方下向きの傾斜面18aに形成し、左右折り込み板19上に支持された被包装物Wの底面に後折り込み板18が進入し易く形成されている。又、前記傾斜面18aをテフロン(登録商標)加工等してフィルムとの密着性を少なくしてもよい。尚、後折り込み板18自体を、剛性を保てる程度に薄く形成し、先端をテフロン(登録商標)加工等してフィルムとの密着性を少なくし、被包装物Wの底面への進入をし易くしてもよい。又、その薄板状の後折り込み板の上面に前示実施例で示した凸部14を一体的に固着してもよい。
又、図12(a),(b)に示すように、後折り込み板18の幅方向中央部(左右折り込み板が中央方向に閉動した時、その左右折り込み板の先端間に挟まれた範囲)に、左右折り込み板19の表面よりも下方に位置する先端部25を設けてもよい。その先端部25は、前記傾斜面18aにおける前記該当位置を前方下向きに延長して形成する、或いは別体構造の先端部25を前記傾斜面18aの先端下面に一体的に固着してもよい。このように先端部25を設けることで、後折り込み板18の表面より下方に被包装物Wの中央部が撓んだ場合でも、後折り込み板18に設けた先端部25が確実に被包装物Wの底部に入り込み、被包装物Wの底部に後折り込み板18がスムーズに入り込み、フィルム後端部の折り込みをスムーズに行うことができる。尚、先端部25は、張架されているフィルム6’を破ったりしないように、テフロン(登録商標)加工やフェルト地加工してもよい。
又、前記先端部25が後折り込み板18の摺動時、包装機内部の対向部材と当接する場合は、該後折り込み板の摺動量(移動量)を先端部が当らない量に変更する、或いは対向部材側先端部が嵌入する凹部を形成する、先端部にフィルム折り込み時に作用する圧力より大きな圧力が作用した時、先端部が下方に折れ曲がる構造とする、等の対応策を講じるようにする。
【0035】
又、図11(b)に示すように、後折り込み板20の摺動方向先部を、前方下向きの傾斜面20aに形成し、その先部に極小の回転ローラ21を取り付け、フィルムとの密着性を少なくしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るストレッチ包装機の一例を示す概略図。
【図2】左右折り込み板、後折り込み板、排出プッシャの構成を示す斜視図。
【図3】左右折り込み板によるフィルムの折り込み状態を示す拡大正面図。
【図4】図3の(4)−(4)線に沿える縦断側面図。
【図5】包装工程図。
【図6】包装工程の左右折り込み状態を示す正面図。
【図7】同平面図。
【図8】後折り込みの状態を示す平面図。
【図9】図8の(9)−(9)線に沿える拡大断面図。
【図10】(a)は排出プッシャによる押動開始の状態を示す側面図、(b)は排出プッシャに被包装物の後端が乗り上がった状態を示す同側面図。
【図11】左右折り込み板が一枚板のタイプを示し、(a)は後折り込み板の先部を傾斜面とした形態、(b)は後折り込み板の先部に極小の回転ローラを取り付けた形態を示す。
【図12】左右折り込み板が一枚板のタイプにおける後折り込み板の他の例を示し、(a)は側面図、(b)は正面図。
【図13】従来構造による左右折り込み板の折り込み状態を示す正面図。
【図14】図13の(14)−(14)線に沿える縦断側面図。
【符号の説明】
【0037】
A…ストレッチ包装機 W、W’…被包装物
a…平板状トレイ b…商品
4…エレベータ 5…包装部
6’…フィルム 8,8’…左右折り込み板
9…後折り込み板 10…排出プッシャ
10a…中央プッシャ 14…凸部
17…押え片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの上に載置した被包装物を、該エレベータの上方に配置した包装部に水平に張架したフィルムに対して突き上げて被包装物の上面をフィルムで覆い、被包装物の下端より下方に垂れるフィルムの左右端、及び後端を左右折り込み板、後折り込み板により被包装物の底面側に折り込み、排出プッシャの押動によりフィルムの前端を被包装物の底面側に折り込むストレッチ包装機において、
前記後折り込み板の上面に、前記左右折り込み板の閉動で区画される閉じ空間の幅よりも幅狭で、且つ被包装物の底面を支持可能な凸部を設けたことを特徴とするストレッチ包装機。
【請求項2】
前記左右折り込み板は、上下二枚タイプで、前記後折り込み板を挟んで
上下に配置されていることを特徴とする請求項1記載のストレッチ包装機。
【請求項3】
前記凸部は、後折り込み板の摺動方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1叉は2記載のストレッチ包装機。
【請求項4】
前記凸部の上面は、左右折り込み板の上面と略面一、或いは左右折り込み板の上面より上方に突出していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のストレッチ包装機。
【請求項5】
前記凸部は、該後折り込み板の摺動方向に向かって前方下向きの傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のストレッチ包装機。
【請求項6】
前記排出プッシャを、前記凸部の後方に配置した中央プッシャと、その中央プッシャの左右両側に配置した左右プッシャとで構成し、中央プッシャの先部には前記後折り込み板上に支持された被包装物の後端を上方に持ち上げる傾斜板を、前記左右プッシャより前方に突出させて設けたことを特徴とするストレッチ包装機。
【請求項7】
前記排出プッシャにおける中央プッシャの傾斜板の後方に、前方へ張り出す上向き押え片を設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載のストレッチ包装機。
【請求項8】
エレベータの上に載置した被包装物を、該エレベータの上方に配置した包装部に水平に張架したフィルムに対して突き上げて被包装物の上面をフィルムで覆い、被包装物の下端より下方に垂れるフィルムの左右端、及び後端を左右折り込み板、後折り込み板により被包装物の底面側に折り込み、排出プッシャの押動によりフィルムの前端を被包装物の底面側に折り込むストレッチ包装機において、
前記左右折り込み板は、一枚タイプで、その左右の折り込み板の上に後折り込み板を配置し、該後折り込み板の少なくともトレイと接する部分が摺動方向に向かって下向き傾斜状に形成されていることを特徴とするストレッチ包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−240720(P2006−240720A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62458(P2005−62458)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】