説明

ストレージシステム及びそれを用いたビル設備管理システム

【課題】RAID−1を構成する2台の記憶装置間の同期化において正しく差分を反映し、同期化にかかる時間を低減することができるストレージシステム及びそれを用いたビル設備管理システムを提供する。
【解決手段】ストレージシステムにおいて、セクタに分割された記憶領域をそれぞれ有する第1及び第2の記憶装置と、上位装置による制御の下、第1及び第2の記憶装置の動作を管理制御する管理部と、縮退動作時に動作している一方の記憶装置が有するセクタの内容が変更された場合に、当該変更されたセクタに関する情報を記憶する管理領域と、を備え、管理部は、第1及び第2の記憶装置間の同期化を行う際に、管理領域に記憶された情報に基づいて、変更されたセクタのみを前記同期化の対象とする差分同期化を行い、管理領域は、管理部以外からのデータ書き込みが禁止されている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ストレージシステム及びそれを用いたビル設備管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルに設けられた空調や照明等のビル設備を管理するビル設備管理システムにおいては、ビル設備の管理に必要な情報をHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置を用いて記憶している。この記憶装置に記憶されるビル設備の管理に必要な情報としては、それぞれのビル設備の設置箇所、設定及び現在の状態等のデータやビル設備管理プログラムの動作ログ等が挙げられる。
【0003】
このようなビル設備管理システムは、定期点検等の特殊な場合を除いて停止することなく稼動し続ける必要がある。従って、ビル設備管理システムに用いられる記憶装置についても、停止することなく稼動し続ける信頼性が求められる。そこで、ビル設備管理システムに用いられる記憶装置においては、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive/Independent Disks)−1、すなわちミラーリングの構成を採用し、2台のHDD(記憶装置)を使用して記憶装置を二重化して冗長性・信頼性を確保したストレージシステムが用いられる。
【0004】
このようにビル設備管理システムにRAID−1のストレージシステムを用いることにより、RAID−1を構成する2台の記憶装置(HDD)のうちのいずれか一方が故障したとしても、他方の記憶装置(HDD)によってシステム運用を継続することができる。ただし、RAID−1を採用したストレージシステムの場合、必要に応じ又は定期的に、使用する2台の記憶装置の記憶内容の同期化を行うことが必要不可決である。
【0005】
しかし、このRAID−1を採用したストレージシステムにおける記憶内容の同期化にかかる時間は、記憶装置の容量に比例して長くなってしまう。そこで、このようなRAID−1又はそれに類似するストレージシステムにおいて、記憶内容の同期化にかかる時間を短くしようとする運用方法として、メインサイトの記憶装置の記憶内容をバックアップサイトの記憶装置へと反映させる際に、メインサイトの記憶装置の構成情報を用いて、メインサイト及びバックアップサイト間の記憶装置の記憶内容の差分のみをバックアップサイトの記憶装置へと反映させるものが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−267038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、特許文献1に示された従来におけるストレージシステムにおいては、メインサイトの記憶装置の構成情報に基づいてバックアップサイトの記憶装置に反映すべき差分データを判断している。しかしながら、ユーザやプログラム等によって構成情報の内容が変更されてしまったり、あるいは何らかの異常によって構成情報の内容が破壊されてしまったりした場合には、実際の記憶内容と構成情報の内容との間の整合性がなくなってしまい、正しく差分を反映することができなくなってしまうという課題がある。
【0008】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、RAID−1構成のストレージシステムにおいて、RAID−1を構成する2台の記憶装置間のより信頼性の高い差分情報管理を実現し、2台の記憶装置間の同期化において正しく差分を反映することができるストレージシステムを得るものである。
【0009】
そして、第2の目的は、このようなストレージシステムを用いて、RAID−1を構成する2台の記憶装置間の同期化にかかる時間を短くし、保守員による同期化作業の効率化を図ることができるビル設備管理システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るストレージシステムは、セクタに分割された記憶領域をそれぞれ有する第1の記憶装置及び第2の記憶装置と、上位装置による制御の下、前記第1の記憶装置及び前記第2の記憶装置の動作を管理制御する管理部と、前記第1の記憶装置及び前記第2の記憶装置のうち一方のみが動作している縮退動作時に前記一方の記憶装置が有する前記セクタの内容が変更された場合に、当該変更された前記セクタに関するセクタ変更情報を記憶する管理領域と、を備え、前記管理部は、前記第1の記憶装置と前記第2の記憶装置との同期化を行う際に、前記管理領域に記憶された前記セクタ変更情報に基づいて、変更された前記セクタのみを前記同期化の対象とする差分同期化を行い、前記管理領域は、前記管理部以外からのデータ書き込みが禁止されている構成とする。
【0011】
また、この発明に係るビル設備管理システムにおいては、上記したストレージシステムを備え、ビルに設けられたビル設備を管理するビル設備管理システムであって、前記上位装置は、ビル設備の管理に必要な演算処理を行う中央処理装置であり、前記第1の記憶装置及び前記第2の記憶装置は、前記演算処理に必要な情報を前記記憶領域にそれぞれ記憶する構成とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るストレージシステムは、RAID−1を構成する2台の記憶装置間のより信頼性の高い差分情報管理を実現し、2台の記憶装置間の同期化において正しく差分を反映することができるという効果を奏する。
【0013】
また、この発明に係るビル設備管理システムは、RAID−1を構成する2台の記憶装置間の同期化にかかる時間を短くし、保守員による同期化作業の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1に係るストレージシステムを備えたビル設備管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るストレージシステムのRAID管理領域に記録される内容の具体例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るストレージシステムにおける記憶装置のセクタに記憶される内容を変更した時の処理を示すフロー図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るストレージシステムにおけるRAID再構築(同期化)の処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1から図4は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1はストレージシステムを備えたビル設備管理システムの構成を示すブロック図、図2はストレージシステムのRAID管理領域に記録される内容の具体例を示す図、図3はストレージシステムにおける記憶装置のセクタに記憶される内容を変更した時の処理を示すフロー図、図4はストレージシステムにおけるRAID再構築(同期化)の処理を示すフロー図である。
【0016】
図1において、1は、ビルに設けられた空調や照明等のビル設備を管理するビル設備管理システムである。このビル設備管理システム1には、ビル設備の管理に必要な演算処理を行う中央処理装置2(CPU:Central Processing Unit)が備えられている。ビル設備管理システム1による管理機能は、この中央処理装置2においてビル設備管理プログラムが実行されることにより実現される。
【0017】
ビル設備管理システム1は、ビル設備の管理、すなわち、中央処理装置2におけるビル設備管理プログラムの実行に必要な情報を記憶するためのストレージシステムを備えている。このビル設備の管理(ビル設備管理プログラムの実行)に必要な情報には、ビル設備管理プログラム自体のデータの他、それぞれのビル設備の設置箇所、設定及び現在の状態等のデータやビル設備管理プログラムの動作ログ等が含まれている。
【0018】
ビル設備管理システム1が備えるストレージシステムは、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive/Independent Disks)−1構成、すなわちミラーリングされた構成であり、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bの2つの記憶装置、並びに、これら2つの記憶装置の動作を管理制御するRAID管理部4から構成されている。2つの記憶装置はHDD(Hard Disk Drive)から構成されている。すなわち、第1の記憶装置3aはHDD−Aから、第2の記憶装置3bはHDD−Bから、それぞれ構成されている。
【0019】
これら第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bのデータ記憶領域は複数のセクタに分割されており、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bにおけるデータの書き込み及び読み出しは、このセクタを単位として行われる。各セクタには、一意に識別可能なセクタ番号が割り振られている。このセクタ番号の割り振りは、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bのそれぞれ毎に行われる。
【0020】
RAID管理部4は、上位装置である中央処理装置2による制御の下で、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bのデータ記憶領域へのビル設備の管理に必要な情報の書き込み/読み出しや、第1の記憶装置3aと第2の記憶装置3bとの間での記憶内容の同期化処理(RAID再構築処理)を管理制御する。
【0021】
通常、次に述べる縮退動作中を除き、RAID管理部4は、中央処理装置2により記憶装置に記憶するよう指示されたデータを、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3b双方の同一のセクタ番号のセクタに同時に書き込んでいく。従って、原則として、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bには同一のデータが記憶されて二重化(ミラーリング)されており、ストレージシステムの冗長性が確保される。
【0022】
ただし、所定の場合には、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bのうちのいずれか一方のみを動作させる縮退動作が行われる。縮退動作中においては、RAID管理部4は、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bのうち動作中である一方のみのセクタにデータの書き込みを行う。従って、一時的に第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bの記憶内容の同一性が保たれなくなる。そこで、必要に応じ又は定期的に、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bの記憶内容を一致させる同期化(RAID再構築)が行われる。
【0023】
この同期化(RAID再構築)を行うために、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bのそれぞれには、縮退動作中に記憶内容が変更されたセクタの情報(以下、セクタ変更情報という)を保管しておくためのRAID管理領域が備えられている。第1の記憶装置3aに備えられているのが第1のRAID管理領域5a(RAID管理領域A)であり、第2の記憶装置3bに備えられているのが第2のRAID管理領域5b(RAID管理領域B)である。
【0024】
これらの第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bは、RAID管理部4からのみアクセス(記憶データの書き込み/読み出し)が可能であり、中央処理装置2で実行されているプログラムやユーザによる操作からの直接のアクセスは禁止されている。
【0025】
また、第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bは、各記憶装置のHDDのデータ記憶領域の一部にそれぞれ構成するようにすることもできるが、RAID管理領域専用の記憶手段をHDDとは別に各記憶装置に備えることが好ましい。これは各記憶装置が備えるHDDが物理的に故障した場合であってもRAID管理領域に保管されているデータを使用することができるようにするためである。このRAID管理領域用の記憶手段としては、例えばメモリIC等を用いることが考えられる。
【0026】
縮退動作中においては、RAID管理部4は、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bのうち動作中である一方のセクタの記憶内容を変更した場合に、当該変更したセクタに関するセクタ変更情報を第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bの双方に記録する。図2に、この第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bに記録される内容の具体例を示す。
【0027】
この図2に示すように、第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bには、縮退動作中にセクタの内容を最後に変更した最終変更日時と、変更が行われたセクタ番号とが記録されている。この図2の例では、最終更新日時は、2011年2月16日12時43分56秒であり、変更されているセクタのセクタ番号は、256368から257346、342467、357263及び542745である。
【0028】
図3のフロー図は、この実施の形態におけるビル設備管理システム1が備えるストレージシステムにおける、記憶装置のセクタの記憶内容を変更した際の処理を示すものである。
まず、ステップS1において、RAID管理部4が中央処理装置2の指示の下で第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bの少なくとも一方の記憶領域のセクタの記憶内容を変更すると、ステップS2へと進み、RAID管理部4は、ストレージシステムが縮退動作中であるのか否か、すなわち、ステップS1のセクタ変更が第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bのうちのいずれか一方のみにおいて行われたものであるのか否かを確認する。
【0029】
このステップS2において、ストレージシステムが縮退動作中ではなかった場合には、ステップS1へと戻る。一方、ストレージシステムが縮退動作中であった場合には、ステップS3へと進む。このステップS3においては、RAID管理部4は、第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bの双方に、ステップS1で行ったセクタ変更に関するセクタ変更情報を記憶させる。
【0030】
この第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bにおけるセクタ変更情報の記憶は具体的には次のようにして行われる。すなわち、変更を行ったセクタ番号の情報については、第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bが現在記憶しているセクタ番号に、今回変更を行ったセクタ番号を追加する。そして、最終更新日時の情報については、第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bが現在記憶している最終更新日時を、今回変更を行った更新日時で上書きする。
【0031】
この図3の処理フローは、RAID管理部4が第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bの少なくとも一方についてセクタ変更を行う度に実行される。
【0032】
RAID管理部4は、ユーザ(保守員)からの指示により又は定期的に、この第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bに記憶された内容に基づいてRAID再構築(同期化)処理を行う。このRAID再構築(同期化)処理の流れを、図4に示す。
【0033】
ステップS11において、ユーザからの指示やタイマー処理等によりRAID再構築(同期化)を開始すると、ステップS12に進み、RAID管理部4は、まず、第1のRAID管理領域5aに記憶されている内容と第2のRAID管理領域5bに記憶されている内容とを比較する。
【0034】
この比較において、第1のRAID管理領域5aに記憶されている最終更新日時及び変更を通ったセクタ番号と、第2のRAID管理領域5bに記憶されている最終更新日時及び変更を通ったセクタ番号とが一致した場合には、ステップS13へと進む。このステップS13においては、RAID管理部4は、第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bに記憶されているセクタ変更情報に基づいて、差分のみの同期化(ミラーリング)を行う。
【0035】
すなわち、RAID管理部4は、第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bに記憶されている変更を通ったセクタ番号のセクタのみについて、第1の記憶装置3aと第2の記憶装置3bとにおける記憶内容を同一のものに同期する。この際、同期の対象となっているセクタについて、第1の記憶装置3aと第2の記憶装置3bとに異なるデータが記憶されていた場合には、例えば、当該データのうちタイムスタンプ(更新時間)の新しい方のデータに揃えるように同期する。
【0036】
一方、ステップS12の比較において、第1のRAID管理領域5aに記憶されている最終更新日時及び変更を通ったセクタ番号と、第2のRAID管理領域5bに記憶されている最終更新日時及び変更を通ったセクタ番号とが一致しなかった場合には、ステップS14へと進む。このステップS14においては、第1のRAID管理領域5aと第2のRAID管理領域5bのどちらのセクタ変更情報が正しいものであるのかが明確ではないため、RAID管理部4は全同期化を行う。
【0037】
すなわち、RAID管理部4は、第1の記憶装置3a及び第2の記憶装置3bの全セクタについて記憶内容を同一のものに同期する。この際、同期の対象となっているセクタについて、第1の記憶装置3aと第2の記憶装置3bとに異なるデータが記憶されていた場合には、差分同期化の場合と同様の処理を行うようにする。
【0038】
ステップS13での差分同期化又はステップS14での全同期化が完了すると、ステップS15へと進む。このステップS15においては、RAID管理部4は、第1のRAID管理領域5a及び第2のRAID管理領域5bに記憶されているセクタ変更情報から、ステップS13又はステップS14での同期化が完了したセクタ番号を消去する。
【0039】
なお、このステップS15におけるRAID管理領域のセクタ番号の消去は、ステップS13での差分同期化又はステップS14での全同期化の処理が完全に終了した後に行うようにしてもよいし、例えばユーザから同期化一時中断の指示がなされた場合に、それまでに同期化が完了しているセクタ番号をRAID管理領域から消去するようにしてもよい。あるいは、あるセクタについての同期化が完了する毎に当該セクタのセクタ番号をリアルタイムに消去していくようにしてもよい。
【0040】
以上のように構成されたストレージシステムは、セクタに分割された記憶領域をそれぞれ有する第1及び第2の記憶装置と、上位装置である中央処理装置による制御の下、第1及び第2の記憶装置の動作を管理制御するRAID管理部と、第1及び第2の記憶装置のうち一方のみが動作している縮退動作時に前記一方の記憶装置が有するセクタの内容が変更された場合に、当該変更されたセクタに関するセクタ変更情報を記憶するRAID管理領域と、を備えている。そして、RAID管理部は、第1の記憶装置と第2の記憶装置との同期化を行う際に、RAID管理領域に記憶されたセクタ変更情報に基づいて、変更されたセクタのみを対象とする差分同期化を行い、RAID管理領域は、RAID管理部以外からのデータ書き込みが禁止されている。
【0041】
このため、RAID管理領域に記憶されている差分管理情報の不用意な変更を未然に防止し、RAID−1を構成する2台の記憶装置間のより信頼性の高い差分情報管理を実現することができ、2台の記憶装置間の同期化において正しく差分を反映することができる。
【0042】
さらに、差分同期化を行うことで、変更を行っていて同期化が必要なセクタのみを同期化の対象とするため、同期化にかかる時間を短縮できるとともに、不必要なセクタへのアクセス量を低減し記憶装置に用いられているHDDの寿命を長くすることが可能である。また、加えて、同期化が行われるまではRAID管理領域に変更を行ったセクタ番号を追加していき、同期化が済んだセクタ番号をRAID管理領域から消去していくため、RAID再構築処理を一時中断し、この一時中断箇所からRAID再構築処理を再開することができる。
【0043】
また、以上のように構成されたストレージシステムは、セクタに分割された記憶領域をそれぞれ有する第1及び第2の記憶装置と、上位装置である中央処理装置による制御の下、第1及び第2の記憶装置の動作を管理制御するRAID管理部と、第1及び第2の記憶装置にそれぞれ設けられた第1及び第2のRAID管理領域と、を備えている。そして、RAID管理部は、第1及び第2の記憶装置のうち一方のみが動作している縮退動作時に前記一方の記憶装置が有するセクタの内容が変更された場合に、当該変更されたセクタに関するセクタ変更情報を第1及び第2のRAID管理領域に記憶させるとともに、第1の記憶装置と第2の記憶装置との同期化を行う際、第1及び第2のRAID管理領域に記憶されたセクタ変更情報が一致した場合に、当該一致したセクタ変更情報に基づいて、変更されたセクタのみを同期化の対象とする差分同期化を行うものである。このため、上記した構成のストレージシステムと同様の効果を発揮することが可能である。
【0044】
そして、以上のように構成されたビル設備管理システムは、上記したようなストレージシステムに、ビル設備管理に必要な情報を記憶させるため、RAID−1を構成する2台の記憶装置間の同期化にかかる時間を短くし、保守員による同期化作業の効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ビル設備管理システム
2 中央処理装置
3a 第1の記憶装置
3b 第2の記憶装置
4 RAID管理部
5a 第1のRAID管理領域
5b 第2のRAID管理領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セクタに分割された記憶領域をそれぞれ有する第1の記憶装置及び第2の記憶装置と、
上位装置による制御の下、前記第1の記憶装置及び前記第2の記憶装置の動作を管理制御する管理部と、
前記第1の記憶装置及び前記第2の記憶装置のうち一方のみが動作している縮退動作時に前記一方の記憶装置が有する前記セクタの内容が変更された場合に、当該変更された前記セクタに関するセクタ変更情報を記憶する管理領域と、を備え、
前記管理部は、前記第1の記憶装置と前記第2の記憶装置との同期化を行う際に、前記管理領域に記憶された前記セクタ変更情報に基づいて、変更された前記セクタのみを前記同期化の対象とする差分同期化を行い、
前記管理領域は、前記管理部以外からのデータ書き込みが禁止されていることを特徴とするストレージシステム。
【請求項2】
前記管理領域として、前記第1の記憶装置に設けられた第1の管理領域と、前記第2の記憶装置に設けられた第2の管理領域と、がそれぞれ設けられ、
前記管理部は、前記縮退動作時に前記一方の記憶装置が有する前記セクタの内容が変更された場合に、前記セクタ変更情報を前記第1の管理領域及び前記第2の管理領域の両方に記憶させるとともに、前記第1の記憶装置と前記第2の記憶装置との同期化を行う際、前記第1の管理領域に記憶されたセクタ変更情報と前記第2の管理領域に記憶されたセクタ変更情報とが一致した場合に、当該一致したセクタ変更情報に基づいて、前記差分同期化を行うことを特徴とする請求項1に記載のストレージシステム。
【請求項3】
前記管理部は、前記第1の記憶装置と前記第2の記憶装置との同期化を行う際、前記第1の管理領域に記憶されたセクタ変更情報と前記第2の管理領域に記憶されたセクタ変更情報とが一致しない場合に、前記第1の記憶装置及び前記第2の記憶装置が有する全ての前記セクタを前記同期化の対象とする全同期化を行うことを特徴とする請求項2に記載のストレージシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のストレージシステムを備え、ビルに設けられたビル設備を管理するビル設備管理システムであって、
前記上位装置は、ビル設備の管理に必要な演算処理を行う中央処理装置であり、
前記第1の記憶装置及び前記第2の記憶装置は、前記演算処理に必要な情報を前記記憶領域にそれぞれ記憶するものであることを特徴とするビル設備管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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