ストレージ制御装置、ストレージシステム及びストレージ制御方法
【課題】記憶媒体へのデータ更新処理を効率的に実行するストレージ制御装置、ストレージシステム及びストレージ制御方法を提供する。
【解決手段】ホストからの書込み要求を受けて、ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御装置において、ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、保存済みデータと更新データとの差分のデータを物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを物理ボリュームに書込む全体保存モードを、アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部を備える。
【解決手段】ホストからの書込み要求を受けて、ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御装置において、ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、保存済みデータと更新データとの差分のデータを物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを物理ボリュームに書込む全体保存モードを、アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行うストレージ制御装置、ストレージシステム及びストレージ制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図21は、ライブラリ装置を利用したストレージシステムの概念図である。一般的なストレージシステムでは、ホスト(Host Computer)1が実ライブラリ装置2に直接接続される。従って、ホスト1は、移送機構3を制御して、物理ボリューム4の物理ドライブ5へのマウント/アンマウント処理を実行する。そして、ホスト1は、当該物理ドライブ5にマウントされた物理ボリューム4に対してデータのRead/Write処理を行う。
【0003】
図22は、仮想ライブラリ装置を利用したストレージシステムの概念図である。仮想ライブラリ装置11は、ホスト10と実ライブラリ装置12の間に設けられ、ホスト10に対して論理ドライブ13と論理ボリューム14を提供する。例えば、実ライブラリ装置12はテープライブラリ装置であり、物理ボリューム17はカートリッジに収納されたテープである。また、例えば、論理ドライブ13はキャッシュディスク16であり、論理ボリューム14はキャッシュディスク16である。
【0004】
ホスト10は、仮想ライブラリ装置11と直接接続されているが、ホスト10からは、ホスト10があたかも実ライブラリ装置12と直接接続されているように認識される。従って、ホスト10は図21のストレージシステムと同様に、特別な意識を持つことなく仮想ライブラリ装置11内の論理ドライブ13を介して論理ボリューム14へアクセスすることが可能である。
【0005】
仮想ライブラリ装置11が備える制御部15は、論理ボリューム14へ記録すべきデータ(論理ボリュームデータ)を仮想ライブラリ装置11内のキャッシュディスク16に格納する。その後、制御部15は、Migration処理によりホストアクセスとは非同期に実ライブラリ装置12内の物理ボリューム17への保存を実行する。
【0006】
実ライブラリ装置12内の物理ボリューム17へ保存された論理ボリュームデータは、キャッシュディスク16の記憶容量の許す限り、キャッシュディスク16内に保持される。そのため、再度同じ論理ボリューム14へのアクセスをホスト10が要求した場合、即座にReady状態を応答することが可能である。
【0007】
一方、キャッシュディスク16の記憶容量が不足した場合、制御部15は、Migration処理によりキャッシュディスク16に保存されている論理ボリュームデータを、使用頻度等を考慮した論理に基づきキャッシュディスク16上から物理ボリューム17であるテープへ追い出す処理を行う。従って、他の論理ボリュームデータの保存に必要な記憶容量を確保することができる。
【0008】
また、Migration処理によりキャッシュディスク16から追い出された論理ボリュームデータは、実ライブラリ装置12へ転送される。そして、実ライブラリ装置12は移送機構19及び物理ドライブ18を制御して物理ボリューム17であるテープへのWrite処理を行う。
【0009】
また、当該論理ボリュームデータは、ホスト10が該論理ボリュームデータの論理ドライブ13へのマウントを要求した時に、テープから読出される。そして、読出された論理ボリュームデータは、論理ボリューム14であるキャッシュディスク16に格納される(RECALL処理)。なお、このようなRECALL処理は、ホスト10がマウント要求を出してから、マウントが完了するまでに数十秒〜数分の時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−190139号公報
【特許文献2】特開2005−122611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図23は論理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。バックエンドとしてテープライブラリ装置を使用した場合の例を用いて説明する。
【0012】
仮想ライブラリ装置11には、テープドライブは実際には存在しないが、ホスト10からはテープドライブが存在するものとして認識される。従って、ホスト10からの論理ドライブ13へのアクセスはテープドライブに対するものと同じである。
【0013】
テープドライブは、テープを送り続けた状態でデータの書込みが行われる。従って、データの書込みはシーケンシャルに行われるので高速アクセスを実現できる。しかし、メディアの構造上保存済みのデータの途中から部分的に上書きをすることは不可能である。
【0014】
図23(A)は論理ボリュームに保存された保存済み論理ボリュームデータを示す。この保存済みの論理ボリュームデータのブロックID=1〜3に対する更新は、追加書き方式と書き換え方式によってなされる。
【0015】
図23(B)に示す追加書き方式では、保存済みの論理ボリュームデータ1〜3の記録領域941の後方の記録領域942に新しい追加の論理ボリュームデータ4〜5が書込まれる。図23(C)に示す書き換え方式では、論理ボリュームの先頭(ブロックID=1)から上書きを行うものであり、更新データを含む更新版論理ボリュームのブロックID=1〜3が記録領域943に書込まれる。
【0016】
図24は物理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。保存済みデータに対する更新処理において、テープは構造上部分的な上書き保存ができない。従って、物理ボリュームのイメージは、図23(B)〜(C)に示した論理ボリュームのイメージと異なる。
【0017】
具体的には、追加書き方式は、図24(A)に示すように、既保存分論理ボリュームデータのブロックID=1〜3の記録領域950の後方の記録領域951に既保存分論理ボリュームデータのブロックID=1〜3と追加データのブロック=ID4〜5からなる更新版論理ボリュームデータを書込むものである。従って、追加書き方式の場合、同一のデータであるブロックID=1〜3がテープ上に多重に存在することになり、余分な記憶容量が必要になる。
【0018】
また、書き換え方式は、図24(B)のように、既保存分論理ボリュームデータのブロックID=1〜3の記録領域950の後方の記録領域952に更新版論理ボリュームデータのブロック=ID1〜3を書込むものである。従って、書き換え方式の場合は、既存の保存済みデータを残して、全体データを書き込むことになり、同様に、余分な記憶容量が必要になる。
【0019】
このような問題を鑑み、ホストによるデータの更新が発生した場合に記憶媒体へのデータ更新処理を効率的に実行するストレージ制御装置、ストレージシステム及びストレージ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
ストレージ制御装置およびストレージシステムにおいて、ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、保存済みデータと更新データとの差分のデータを物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを物理ボリュームに書込む全体保存モードを、アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部とを備える。
【0021】
ストレージ制御方法において、ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を記憶メモリから読出す工程と、各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、保存済みデータと更新データとの差分のデータを物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを物理ボリュームに書込む全体保存モードを、アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する工程とを備える。
【発明の効果】
【0022】
ストレージ制御装置、ストレージシステム及びストレージ制御方法によれば、各論理ボリュームに対して差分保存モードと全体保存モードをアクセス管理情報に基づいて設定することで、限られた記憶容量の物理ボリュームを効率的に使用して、データ更新処理を効率的に実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ストレージシステムの構成の一例を示す図である。
【図2】ストレージシステムの動作処理を説明する図である。
【図3】物理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。
【図4】論理ボリュームの管理情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】キャッシュディスク上の論理ボリュームのデータフォーマットのイメージを示す図である。
【図6】ブロック管理テーブルを示す図である。
【図7】物理ボリュームへの保存処理のフローを示す図である。
【図8】差分抽出処理のフローを示す図である。
【図9】差分抽出情報テーブルの一例を示す図である。
【図10】差分データの書込みのフローを示す図である。
【図11】論理ボリュームデータの書込み処理を説明する図である。
【図12】物理ボリュームPV−X、PV−Yのデータフォーマットのイメージを示す図である。
【図13】物理ボリューム管理テーブルの一例を示す図である。
【図14】物理ボリュームからの読出しの処理フローを示す図である。
【図15】読出しテーブルの一例を示す図である。
【図16】物理ボリュームからの読出し処理のフローを示す図である。
【図17】論理ボリュームへの書込み処理を説明する図である。
【図18】データ読出し処理のフローを示す図である。
【図19】アクセス管理テーブルの例を示す。
【図20】保存モード切り換えのフローを示す図である。
【図21】ライブラリ装置を利用したストレージシステムの概念図である。
【図22】仮想ライブラリ装置を利用したストレージシステムの概念図である。
【図23】論理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。
【図24】物理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ストレージシステムの構成の一例を示す図である。仮想ライブラリ装置50は、実ライブラリ装置40とホスト100との間に設けられる。そして、仮想ライブラリ装置50は、ホスト100とインタフェース62、実ライブラリ40とインタフェース63により接続されている。
【0025】
図2は、ストレージシステムの動作処理を説明する図である。実ライブラリ装置40は、例えば物理ボリューム44であるテープカードリッジに対して記録再生を行うテープライブラリ装置である。
【0026】
図1、図2に示すように、実ライブラリ装置40は、物理ボリューム44と、物理ボリューム44に対するアクセスを行なう物理ドライブ42を備える。また、実ライブラリ装置40は、物理ボリューム44の物理ドライブ42へのマウント/アンマウント処理を実行するための移送機構43と、物理ドライブ42及び移送機構43を制御するライブラリ制御部41を備える。
【0027】
ホスト(Host Computer)100は、仮想ライブラリ装置50に対して様々なコマンドを発行する処理装置である。
【0028】
仮想ライブラリ装置50は、制御部55、論理ドライブ52、キャッシュディスク66等を備える。なお、キャッシュディスク66はRAIDで構成してもよい。制御部55は、ストレージ制御装置の制御部の機能を備えるとともに、論理層制御部56、物理層制御部57、各種テーブルを格納するメモリ69を備える。メモリ69は、半導体メモリやハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成しても良い。
【0029】
論理層制御部56は、仮想ライブラリ装置50内の論理層を制御する。論理層制御部56は、制御プログラムの処理により、論理ボリューム管理部56a、論理ドライブ制御部56b、及びアクセス状況監視部56cなどの機能を実現する。
【0030】
例えば、論理ボリューム管理部56aや論理ドライブ制御部56bは、ホスト100から発行されたMOUNTコマンドに基づいて、要求対象の論理ボリューム54の論理ドライブ52へのマウント処理を行う。
【0031】
また、物理層制御部57は、仮想ライブラリ装置50内の物理層を制御する。物理層制御部57は、制御プログラムの処理により、物理ボリューム管理部57a、物理ドライブ制御部57b及びライブラリI/F制御部57cなどの機能を実現する。
【0032】
例えば、物理ドライブ制御部57b及びライブラリI/F制御部57cは、論理層制御部56から指示を受けて、論理ボリューム54のデータリコール(RECALL)処理を実行する。データリコール処理は、実ライブラリ装置40の物理ボリューム44から読出したデータをキャッシュディスク66の論理ボリューム54に格納する処理である。
【0033】
論理ドライブ52は、論理ドライブ制御部56bからの指示を受けて、キャッシュディスク66内の要求対象の論理ボリューム54に対するアクセスを行なうドライブである。キャッシュディスク66は、実ライブラリ装置40の物理ボリューム44から読出されたデータを論理ボリューム54として保持する記憶デバイスである。
【0034】
本実施形態では、物理ボリューム44をテープカートリッジに収容されたテープとして説明するが、磁気ディスクや光ディスク等の可換型記憶媒体でもよい。また、本実施形態は、その主旨に従った様々な変形が可能である。
【0035】
図3は、物理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。図3(A)は保存済みの論理ボリュームデータのイメージを示す。図3(B)は、差分保存モードで書込みを行った場合の論理ボリュームデータのイメージを示す図である。図3(C)は全体保存モードで書込みを行った場合の論理ボリュームデータのイメージを示す図である。つまり、バックエンドのテープ上の記録領域に書込みを行った場合のイメージを示している。
【0036】
図3(A)において、テープ上の記録領域911に既に保存済みの論理ボリュームデータ(ブロックID1〜3)が書き込まれている。ここで、更新処理対象の論理ボリュームに対して差分保存モードが設定されている場合、図3(B)に示すように、論理ボリュームデータ1〜3が記録された記録領域911の後方の記録領域912に、差分データ4〜5のみの更新版論理ボリュームデータを書込む。
【0037】
具体的には、バックエンドのテープに保存する場合に、論理層制御部56の論理ボリューム管理部56aが処理対象の論理ボリュームの差分状態を抽出する。そして、論理層制御部56は、物理層制御部57に指示して、その更新処理対象の論理ボリュームに対応する物理ボリュームに対して差分のデータの書込みを実行させる。
【0038】
また、図3(C)に示すように、比較例の全体保存モードを採用した場合は、論理ボリュームデータ1〜3が記録された記録領域911の後方の記録領域914に、更新分を含む全体データである更新版論理ボリュームデータ1〜3を書込む。従って、全体を書き換えることにより不必要となった記録領域911が残る。特に、更新回数が多いストレージシステムでは、このような余分なデータを記憶する記録領域が増大すると、多数の記憶媒体を備えた大容量のライブラリシステムであったとしても早期に空き領域が減ってしまい、論理ボリュームデータを格納する為の記憶容量が不足する事態が生じる可能性がある。
【0039】
従って、図3(B)の差分保存モードを採用することにより、図3(C)の全体保存モードよりも少ない記憶容量でデータが保存でき、データ更新時に物理ボリュームであるテープの記憶容量を効率的に使用することが可能になる。
【0040】
なお、差分保存モードを使用してデータの書込みを行う場合、差分データが同じテープ上の離れた記録領域や異なるテープ上の記録領域に分散してしまうことがある。そのような時には、データリコール処理の際アクセスに時間がかかってしまう。従って、差分保存モードと全体保存モードを組み合わせてデータを保存すると効率的である。
【0041】
次に、論理ボリュームの管理方法について図4に示す管理情報テーブルの例を使用して説明する。管理情報テーブルは、論理層制御部56により作成され、論理ボリュームデータの一部として、例えばブロックデータの直前に付加され、最終的に物理層制御部57によりテープ上の記録領域に記録される。
【0042】
図4(A)は、ボリューム情報テーブルの登録情報を示し、論理ボリューム全体の管理情報が登録されている。管理情報としては、ボリューム名、生成タイムスタンプ、アクセスタイムスタンプ、世代番号、データサイズ、ブロック数等が挙げられる。
【0043】
生成タイムスタンプの欄には、論理ボリュームを生成した際の日時情報を示す生成タイムスタンプが登録される。アクセスタイムスタンプの欄には、論理ボリュームへの最終アクセスが行われた際の日時情報を示す最終アクセスタイムスタンプが登録される。また、世代番号の欄には、ホスト100からの書き換え回数が登録される。世代番号は、生成時は0、最初の書込みの時に1、以降は書込み(マウント)処理毎にインクリメントされる。データサイズの欄には、管理テーブルのサイズを含む論理ボリュームのサイズが登録される。ブロック数の欄には、ホスト100からの書込みブロック数が登録される。
【0044】
図4(B)は、ブロック管理テーブルの登録情報を示す。ブロック管理テーブルは、ホスト100から書込まれるブロック毎に登録情報を保持する。登録情報としては、ブロックID、ブロック種別、圧縮フラグ、データサイズ、世代番号等が挙げられる。ブロックIDの欄は、先頭を1としてホスト100からの書込みブロック毎にインクリメントされる。書き換え処理が行われた場合は、先頭から書き換えられるので、再び1が登録される。
【0045】
ブロック種別の欄には、データブロックあるいはマークの種別が登録される。圧縮フラグの欄には、圧縮/非圧縮の識別子が登録される。データサイズの欄にはデータサイズが登録されるが、圧縮データの場合は圧縮後のデータサイズが登録される。世代番号の欄には、ホスト100から書込みが行われた際の論理ボリュームの世代番号が登録される。
【0046】
図4(C)は、ブロック管理テーブル群の登録情報を示す。ブロック管理テーブルは、論理ボリュームデータフォーマット上、N個のブロック分のデータを集めてブロック管理テーブル群としてブロックデータの前に配置される。ブロック管理テーブル群には、前のブロック管理テーブル群の位置オフセット、ブロックID=1〜Nの各ブロックの管理テーブル、次のブロックの管理テーブル群の位置オフセットが順に登録される。
【0047】
ブロックID=N+1以降については、ブロックID=N+1の書込みが発生した時点で、ブロックID=Nのデータの後ろに、新たにN個分のデータを集めてひとかたまりのテーブルとして配置する。そして、その後ろにブロックID=N+1のデータが書込まれる。
【0048】
図5は、キャッシュディスク上の論理ボリュームのデータフォーマットのイメージを示す図である。図5(A)は、ホスト100によりブロックID=1〜Mのデータの書込みが行われた場合のイメージを示す。論理ボリュームデータ[1]の始端71から終端75の間の記録領域に、ボリューム情報テーブル72a、Nブロック分のブロック管理テーブルを含むブロック管理テーブル群73、Nブロック分のデータ74が順番に配置される。続いて、論理ボリュームデータ[2]の始端からブロック管理テーブル群76、ブロックID=N+1〜Mのデータ77が配置される。
【0049】
図5(B)は、ホスト100によりブロックID=M+1〜2N+1のデータの追加書きが行われた場合のイメージを示す。ボリューム情報テーブル72bは、ブロックID=M〜2N+1のデータの書込みに対応して、ボリューム情報テーブル72aの登録情報を書き換えたものである。
【0050】
ブロック管理テーブル群76bは、ブロックID=M〜2Nのデータの書込みに対応して、ブロック管理テーブル群76aの登録情報を書き換えたものである。また、ブロック管理テーブル群78は、ブロックID=2N+1のデータの書込みに対応して追加されたものである。
【0051】
論理ボリュームデータ[2]のブロックID=Mのデータが記録された記録領域の後方の記録領域に、ブロックID=M+1〜2Nのデータ79が配置され、論理ボリュームデータ[3]にブロックID=2N+1のデータ80が配置される。
【0052】
そして、ブロックID=M〜2N+1のデータの書込みに対応して、前述したボリューム情報テーブル72aは72bに更新される。具体的には、生成タイムスタンプの欄には、論理ボリュームの生成タイムスタンプが登録される。
【0053】
アクセスタイムスタンプの欄には、ブロックID=2N+1が書込まれて論理ボリュームが解放(アンマウント)された時刻が登録され、世代番号の欄にはX+1(ブロックMまで書いた時点をXとする)が登録される。また、データサイズの欄にはブロック1からブロック2n+1までの合計値と管理テーブルのサイズ合計値が登録され、ブロック数の欄には2N+1が登録される。
【0054】
図6は、ブロック管理テーブルを示す。ブロックID=1〜2N+1のブロック管理テーブルの登録情報として、ブロックID、ブロック種別、圧縮フラグ、データサイズ、世代番号が示される。ブロックID=1〜Mの世代番号にはXが登録されている。また、ブロックID=M+1〜2N+1の世代番号には、X+1が登録されている。
【0055】
このブロックID=M+1〜2Nのブロック管理テーブルの登録情報がブロック管理テーブル群76bに、ブロック管理テーブル群76aの登録情報に追加されて更新される。ID=2N+1のブロック管理テーブルの登録情報がブロック管理テーブル群78として書込まれる。なお、現実にはデータブロックとファイルマークが混在するはずであるが、簡単のため、全てデータブロックであると仮定する。
【0056】
図7は、物理ボリュームへの保存処理のフローを示す図である。ホスト100による書込み処理が終了すると、制御部55は、物理ボリューム(テープ)への保存処理を開始する。論理層制御部56で後述する差分の抽出ロジックが実行され、差分データを抽出する(S11)。そして、物理層制御部57は、論理層制御部56からの指示を受けて、抽出された差分データの書込み命令を実ライブラリ装置に対して発行する。そして、実ライブラリ装置のライブラリ制御部41は処理対象の物理ボリューム44を物理ドライブ42にマウントする。そして、物理ドライブ制御部57bは抽出された差分データの書込みを実行する(S12)。
【0057】
図8は、差分抽出処理のフローを示す図である。ホスト100からのデータ更新要求による論理ボリュームへの書込み処理が終了すると、制御部55は、差分抽出ロジックをスタートする。論理層制御部56は、ボリューム情報テーブルから更新対象の論理ボリュームの世代番号を取得する(S21)。
【0058】
次に、論理層制御部56は、ボリューム情報テーブルから更新対象の論理ボリュームのブロック数を取得する(S22)。論理層制御部56は、ボリューム情報テーブルから更新対象の論理ボリュームのブロックID=A(A=1〜2N+1)の世代番号を取得する(S24)。世代番号がX+1であれば(S25、YES)、論理層制御部56は、差分先頭ブロックID(=M+1)をメモリ69に保存された差分抽出情報テーブルに記録する(S26)。世代番号がX+1でなければ(S25、NO)、論理層制御部56は、ループ処理に戻り(S23〜S27)、ブロックID=AのAが2N+1になるまでループ処理を行う。そして、差分データの最終ブロックIDを抽出し、メモリ69の差分抽出情報テーブルに登録する。
【0059】
図9は、差分抽出処理により得られる差分抽出情報テーブルを示す。差分抽出情報としては、差分先頭ブロックIDと最終ブロックIDが挙げられる。図9では、差分先頭ブロックIDとしてM+1が差分抽出情報テーブルに登録されている。また、最終ブロックIDの欄には2N+1が登録されている。
【0060】
図10は、差分データの書込みのフローを示す図である。図11は、論理ボリュームデータの書込み処理を説明する図である。論理層制御部56は、差分抽出情報テーブルを用いて物理層制御部57に対して差分データの書込み指示を行う。指示を受けた物理層制御部57は、ライブラリ制御部41に対してデータの書込み指示を行う。
【0061】
ライブラリ制御部41は、移送機構43を制御して、処理対象の物理ボリューム44であるテープカートリッジを収納棚から取り出し、物理ドライブ42に搬送する。搬送されたテープカートリッジは物理ドライブ42にマウントされる。
【0062】
ライブラリ制御部41は、物理ドライブ42を制御して、テープ上の処理対象の記録領域に対してボリューム情報テーブルの書込みを行う(S31)。具体的には、図11に示すように処理対象の記録領域の始端81から書込みが開始され、処理対象の論理ボリュームのボリューム情報テーブル82が書き込まれる。
【0063】
次に、ライブラリ制御部41は、差分の先頭であるブロックの管理テーブルを含む差分先頭ブロック管理テーブル群の書込みを行う(S32)。具体的には、図11に示すように、差分先頭ブロックであるブロックID=M+1以降の管理テーブルを含む差分ブロック管理テーブル群が書込まれる。
【0064】
続いて、差分の先頭であるブロック以降のデータが書込まれる(S33)。具体的には、図11に示すように、ブロックID=M+1〜2N+1のデータが書込まれる。従って、図11に示すように、論理ボリュームデータの始端81と終端85の間の記録領域に、処理対象の論理ボリュームのボリューム情報テーブル82、差分先頭ブロック管理テーブル群83、ブロックID=M+1〜2N+1のデータ84が矢印の方向に向かってストリーミングで書込まれる。なお、差分先頭ブロック管理テーブル群83は1ブロックずつ書込まれる。
【0065】
次に、データリコール(RECALL)処理について説明する。図12(A)、(B)に示すように、論理ボリュームLV−Aの世代番号Mのデータが記録領域89に書込まれ、世代番号M+1の差分データが記録領域95に書込まれる。このようなケースを例にして、世代番号M+1のデータをキャッシュディスク66に読戻す処理を説明する。なお、本実施形態ではM=1とする。
【0066】
また、物理ドライブに転送されるデータの転送データサイズによっては、複数ブロックに分けられてテープに記録される場合もあるが、簡略化の為、図12(A)、(B)では一ブロックが一論理ボリュームデータとして示す。
【0067】
図12(A)は、物理ボリュームPV−Xのデータフォーマットのイメージを示す。図12(B)は、物理ボリュームPV−Yのデータフォーマットのイメージを示す。なお、図12(A)、(B)は省略的に図示しているが、実際にはPV−XとPV−Yは物理的に異なるものとして説明する。つまり、複数のテープに分散してデータが記録されている。また、データが更新されたタイミングは、世代番号MのLV−Aの書込みのすぐ後ではなく、他のデータが書かれた後のタイミングとする。
【0068】
世代番号Mの論理ボリュームデータLV−A〜Jが記録されたテープ上の記録領域89〜91に続いて、世代番号M+1の論理ボリュームデータLV−Aの差分データが記録領域92に配置される。記録領域92には、論理ボリューム情報テーブル93、差分データ先頭ブロック管理テーブル群94、差分の論理ボリュームデータ95が順に配置される。その後に続いて、論理ボリュームデータLV−K以降のデータが記録領域96に書込まれる。
【0069】
物理ボリューム管理テーブルは、各物理ボリュームに書込まれる論理ボリュームデータを管理するための情報を持つエントリを集めたものである。図13は、物理ボリューム管理テーブルの一例を示す図である。エントリの例としては、論理ボリューム名、先頭ブロックID、差分フラグ、世代番号、データサイズ1、データサイズ2、論理ボリュームブロックID、論理ブロック数、書込み日付、有効フラグ等が挙げられる。
【0070】
先頭ブロックIDは、物理ボリューム上で論理ボリュームが始まるブロック番号である。差分フラグは、全体/差分で示す。データサイズ1は論理ボリューム上の論理ボリュームデータのイメージサイズである。データサイズ2は論理ボリューム全体(連結時)のデータサイズである。論理ボリュームブロックIDは、物理ボリューム上の論理ブロックにおける先頭ブロックIDである。
【0071】
有効フラグは論理ボリュームデータが有効(1)か、無効(0)かを示すフラグである。論理ボリュームデータが、ホスト100からの差分書込みではなく、全体書き換えであった場合、以前のデータについては全て無効とされる。これらの情報は、物理層制御部57により、処理対象の論理ボリュームデータが実ライブラリ装置のテープへ保存される時に物理ボリューム管理テーブルに登録される。この物理ボリューム管理テーブルはメモリ69に保存される。
【0072】
キャッシュディスク上で処理対象の論理ボリュームのデータが追い出された後、再びホスト100からのアクセスが発生した場合の読出し処理について説明する。図14は、データの物理ボリューム(テープ)からの読出しの処理フローを示す図である。物理層制御部57は、物理ボリューム管理テーブルから読出し対象となる論理ボリュームを検索する。そして、物理層制御部57は、論理ボリュームの全体もしくは差分データを含む物理ボリュームを検索する(S41)。
【0073】
なお、読出し対象の物理ボリュームの検索にあたり、物理層制御部57は図15に示す読出しテーブルを作成する。読出しテーブルには、インデックス、物理ボリューム名、世代番号、データサイズ1、データサイズ2、論理ボリュームブロックID、論理ボリュームのブロック数等の項目が登録される。
【0074】
図15に示す読出しテーブルに従い、要求対象の物理ボリュームを適切な順番でマウントし、対象データを読出す(S42)。具体的には、物理層制御部57の物理ドライブ制御部57bが、読出しテーブルに従って物理ボリュームに対する読出し指示を行う。ライブラリ制御部41は、移送機構43を制御して、検索された物理ボリュームに該当するテープを収納棚から取り出し、物理ドライブ42に搬送する。搬送されたテープは物理ドライブ42にマウントされる。そして、物理ドライブ42はテープに対して読出し処理を実行する。
【0075】
図16は、論理ボリュームデータの物理ボリュームからの読出し処理のフローを示す図である。最初に、物理層制御部57は、最大の世代番号の物理ボリューム管理テーブルから論理ボリューム全体のデータサイズを抽出する(S51)。物理層制御部56は抽出されたデータサイズを論理層制御部56に通知する。
【0076】
次に、論理層制御部56は、抽出された論理ボリュームデータ全体のデータサイズ分の記憶容量の記録領域をキャッシュディスク66上に確保する(S52)。物理層制御部57は、ライブラリ制御部41に指示して、ライブラリ制御部41は世代番号の若い順に物理ボリュームから読出し制御を行う。
【0077】
論理層制御部56は、読出された物理ボリュームのデータをキャッシュディスク66上に書込む(S54)。全ての読出し対象の物理ボリュームからの読出しを完了するまでループ処理を行う(S53−S55)。
【0078】
図17(A)は、世代番号Mのデータの論理ボリュームへの書込み処理を説明する図である。物理ボリュームからのデータの読出しは、テープの先頭からシーケンシャルに実行される。従って、読出されたデータは、キャッシュディスクの論理ボリューム上の先頭位置からA方向にシーケンシャルに書込まれる。
【0079】
この例では、世代Mは第1世代であるとしているため、論理ボリュームの始端101からデータが書込まれる。論理ボリュームデータ始端101から終端102までの記録領域に、ボリューム情報テーブル103a、ブロック管理テーブル群104a、ブロックデータ(ブロックID=1〜N)105が順に書込まれる。続いて、ブロック管理テーブル106a、ブロックデータ(ブロックID=N+1〜M)107が順に書込まれる。
【0080】
図17(B)は、世代番号M+1のデータの論理ボリュームへの書込み処理を説明する図である。ボリューム情報テーブル103a及びブロック管理テーブル群106aは、更新データを含むボリューム情報テーブル103b及びブロック管理テーブル群106bとして上書きされる。
【0081】
保存済みのブロックデータ107に続く位置から、ブロックデータ(ブロックID=M+1〜2N)108、ブロック管理テーブル群109、ブロックデータ(ブロックID=2N)110が順に書込まれる。なお、ブロックサイズはボリューム情報テーブルにより把握できるので、ブロックデータ(ブロックID=M+1〜2N+1)は論理ボリュームに格納されたデータの途中から書込むことが可能である。
【0082】
図18は、物理ボリュームからのデータ読出し処理のフローを示す図である。物理層制御部57は、ライブラリ制御部41にデータ読出し指示を行う。ライブラリ制御部41は、移送機構43を制御して、対象物理ボリュームのテープを収納棚から取り出し、物理ドライブ42に搬送する。ライブラリ制御部41は、搬送された読出し対象物理ボリュームを物理ドライブ42にマウントする(S61)。
【0083】
最初に、物理層制御部57は、物理ボリューム管理テーブルから目的の論理ボリームデータの先頭ブロックIDを取得する。そして、物理ドライブ制御部57bは、先頭ブロックIDに対応する物理ボリューム上の該当する記録領域にヘッドの位置付けを行う(S62)。
【0084】
物理ドライブ制御部57bは、物理ドライブ42により、物理ボリューム上の位置付けられた位置から1ブロックを読出させ、論理ボリューム情報テーブルを取得する(S63)。さらに、物理ドライブ制御部57bは、物理ボリュームから1ブロックを読出し、差分先頭ブロック管理テーブル群を読出す。
【0085】
そして、論理層制御部56は、読出された論理ボリューム情報テーブルと差分先頭ブロック管理テーブル群をキャッシュディスク上の所定の記録領域に書込みを行う(S64)。また、物理ドライブ制御部57bは、物理ボリューム上から差分データの終端までストリーミングで読出す。そして、論理層制御部56は、読出された差分データをキャッシュディスク66上の所定の記録領域に書込む(S65)。その後、論理層制御部56は、キャッシュディスク66上のデータをホスト100に転送する。
【0086】
以上説明したように、バックエンドのストレージ(物理ボリューム)にデータを保存する場合に、論理ボリュームデータの差分を抽出して差分データのみを保存することで、バックエンドのストレージの記憶容量を効率的に使用することが可能になる。
【0087】
なお、差分保存モードでの書込み処理により、データがバックエンドのストレージ上で分散してしまうと、バックエンドのストレージからのデータリコール処理の際にアクセスに時間がかかってしまう。従って、差分保存モードと全体保存モードを使い分けて効率的にデータを保存するのが良い。
【0088】
次に、差分保存モードと全体保存モードの切り換え制御について説明する。仮想ライブラリ装置50の制御部55は、物理ボリュームへのデータの保存を差分のみとする差分保存モードと、データ全体を保存する全体保存モードとで切り換えを行う。また、制御部55は、差分保存モードから全体保存モードへの切り替えの際に、自動的に論理ボリュームデータを全体保存モードでの書込みを行う。
【0089】
論理層制御部56のアクセス状況監視部56cは、論理ボリューム毎にアクセス頻度およびそのデータ量の統計情報をアクセス状況管理情報として収集する。そして、アクセス状況監視部56cは、アクセス管理テーブルを作成し、アクセス状況管理情報を蓄積していく。
【0090】
仮想テープライブラリ装置としての全データ量がキャッシュディスク66の記憶容量を大きく下回っている場合は、全データをキャッシュディスク66上におくことができるため、全ての論理ボリュームのデータは、差分保存モードでバックエンドの物理ボリュームに保存される。
【0091】
使用量がキャッシュディスク66の記憶容量の限界に近づいてきた場合、アクセス頻度の低い論理ボリュームは、以降の運用により、キャッシュディスク66から追い出されオフキャッシュ状態となることが予想される。従って、全体保存モードで物理ボリュームへの書き直しを行う。以降アクセス頻度が相対的に上昇するまで、ホスト100からのアクセスが有り、データの更新に時間がかかっても全体保存モードで物理ボリュームへの保存が実行される。
【0092】
アクセス状況監視部56cは、アクセス頻度が相対的に上昇し、一定条件を超えた場合は、オンキャッシュ状態が維持されると判断し、差分保存モードに切り替える。
【0093】
従って、オフキャッシュ状態の論理ボリュームに対して、ホスト100から再度アクセス要求が発生した場合に必要となるデータリコール処理が、単体の物理ボリューム(1つのテープ)からの読込みのみで完結できる。ゆえに、物理ボリュームのマウント回数が少なくなり、データリコール処理の為の処理時間は短くできる。
【0094】
図19(A)、(B)は、アクセス管理テーブルの例を示す。アクセス状況監視部56cは、運用中においてアクセス頻度を監視し、論理ボリュームのアクセス頻度の統計情報とそのデータ量をアクセス管理テーブルに登録する。
【0095】
図19(A)、(B)に示すアクセス頻度管理テーブルには、論理ボリュームLV−A〜LV−MNにおけるアクセス頻度、データ量及びモードが登録されている。アクセス管理テーブルはメモリ69に保存される。また、アクセス管理テーブルに格納されるデータ量の情報は、使用量または使用量とキャッシュの全体の記憶容量(全容量)から求められる使用率である。
【0096】
アクセス頻度は、1週間、1カ月、3カ月の期間中のホスト100からのリード/ライト処理のアクセス回数から求める。また、データ量は、先頭から各論理ボリュームのデータ量を積算することで求める。また、アクセス管理テーブルは、アクセス頻度の高い順およびデータ量の小さい順に並べて登録する。アクセス頻度は、1週間、1カ月、3カ月の順で優先度を決定する。
【0097】
図20は、保存モード切り換えのフローを示す図である。論理層制御部56は、アクセス管理テーブルの論理ボリュームの順列の内、先頭から各論理ボリュームのデータ量を積算する(S72)。論理層制御部56は、キャッシュディスク66の使用量(積算容量)が全容量の80%であるか否かを判断する(S73)。
【0098】
積算容量が80%を超えていれば(S73、Yes)、論理層制御部56は積算済みの論理ボリュームについて差分保存モードを設定する(S74)。積算済の残りの全論理ボリュームについて、論理層制御部56は全体保存モードを設定する(S75)。
【0099】
一方、積算容量が80%以下であれば(S73、No)、論理層制御部56は、ループ処理(S71〜S76)を各論理ボリュームに対して実行する。その後、全論理ボリュームに対して論理層制御部56は差分保存モードを設定する(S77)。
【0100】
データ量の積算では、あらかじめ蓄積された論理ボリューム毎のアクセス頻度情報を基に、アクセス頻度の高い順に積算処理を行っていく。アクセス管理テーブルは、アクセス頻度の高い順に並べられているので、このテーブルの配列順に積算する。その計算過程で積算容量が80%以下の論理ボリュームデータは、80%を超えた後の論理ボリュームデータに比べアクセス頻度が高いと判断できる。
【0101】
そのため、積算容量が80%以下の論理ボリュームデータは、80%を超えた後も比較的短時間にホストからのアクセスが予想される。従って、キャッシュ上から追い出される可能性は低いため、データリコール処理が必要となる可能性も低い。
【0102】
また、差分保存モードを用いた場合、実テープライブラリの物理ボリューム上の離れた記録領域や異なる物理ボリューム上の記録領域に、論理ボリュームデータが分散して記録されることがある。このような場合、データリコール処理の際に多少処理時間がかかるが、タイムアウト等の不利な状況が発生することはない。
【0103】
一方、積算容量が80%を超える分については、アクセス頻度が低い為、キャッシュディスク上から追い出される可能性が高い。従って、次回ホストからアクセスが有った場合には、データリコール処理が必要となるため、その時に備え、論理層制御部56は全体保存モードに設定する。全体保存モードにしておくことで、論理ボリュームデータが複数の物理ボリューム(テープ)に分散することが減り、物理ボリューム(テープ)のマウント回数が減るので、データリコール処理が効率的に行える。
【0104】
積算容量がキャッシュディスク66の全記憶容量(全容量)の80%以下の場合は、論理層制御部56は差分保存モードに設定する。すなわち、アクセス管理テーブルには図19(A)のように差分保存モードのフラグがセットされる。
【0105】
一方、積算容量が80%を超えた場合は、80%以下の論理ボリュームに対して差分保存モードによりバックエンドの物理ボリュームへの保存処理を行う。また、積算容量が80%を超えた論理ボリュームに対して全体保存モードをセットしてバックエンドの物理ボリュームへの保存処理を行う。
【0106】
ここで、キャッシュディスク66上の論理ボリュームは、キャッシュディスク66の空き容量が不足してくると、ホストからのアクセス頻度に基づく論理により、アクセス頻度の低い論理ボリュームデータから順にキャッシュディスク66から追い出される。追い出された論理ボリュームデータは、実テープライブラリ装置のアクセス対象のテープ(物理ボリューム)に書き込まれる。
【0107】
キャッシュディスク66から追い出された論理ボリュームデータは、再度ホストからアクセス要求が来ると、実テープライブラリ装置のアクセス対象のテープから読出される。そして、読出された論理ボリュームデータは、キャッシュディスクの所定の記録領域(論理ボリューム)に格納されるデータリコール処理が行われることになる。
【0108】
従って、アクセス頻度の高い論理ボリュームデータはキャッシュディスクに残ることで、キャッシュディスク66を効率的に使用することが可能になる。なお、本実施例は、積算容量80%を予め定めたしきい値とした例で説明したが、しきい値は任意に変更可能であり、この値に限定されるものではない。
【0109】
図19(B)において、アクセス管理テーブルは各論理ボリュームに対して差分保存モードと全体保存モードがセットされている。このように、判定対象論理ボリュームに対して、差分保存モードに元々セットされていて、バックエンドの保存状態が分散している場合は、論理層制御部56は全体モードにセットする。そして、物理ボリュームへの書込みが行われる。なお、アクセス頻度の上昇により、全体保存モードから差分保存モードに変化した場合は差分保存モードのままとしても良い。
【0110】
従って、ホストからのアクセス頻度やキャッシュディスク(論理ボリューム)の使用量に基づいて、各論理ボリュームに対して差分保存モードと全体保存モードを設定可能にすることにより、差分保存モードと全体保存モードを使い分けることが可能となる。従って、限られた記憶容量の物理ボリュームを効率的に使用して、データ更新処理を効率的に実行することが可能になる。
(付記1) ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御装置において、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部と、
を備えるストレージ制御装置。
(付記2)
前記アクセス管理情報は前記各論理ボリュームのデータ量の情報を含み、
前記制御部は、前記データ量に基づいて前記論理ボリューム全体の全データ量を算出し、前記全データ量が所定値以下の場合は、全論理ボリュームに対して差分保存モードに設定し、前記全データ量が所定値を超えた場合は、前記アクセス頻度情報に基づいて所定の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する付記1記載のストレージ制御装置。
(付記3)
前記制御部は、前記アクセス頻度情報に基づいてアクセス頻度の高い論理ボリューム順にデータ量を積算し、積算されたデータ量が所定値を超えた場合に、超えた分の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する請求項2記載のストレージ制御装置。
(付記4)
前記制御部は、前記差分保存モードで前記物理ボリュームへの差分デ―タの書込みを行った結果、前記保存済みデータの保存先と前記差分データの保存先が分散した論理ボリュームに対して全体保存モードに設定する付記1乃至3のいずれかに記載のストレージ制御装置。
(付記5)
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを仮想ストレージ装置の要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記仮想ストレージ装置に保存されたデータを実ストレージ装置の前記論理ボリュームに対応する物理ボリュームに保存するストレージシステムにおいて、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部と、
を備えるストレージシステム。
(付記6)
前記アクセス管理情報は前記各論理ボリュームのデータ量の情報を含み、
前記制御部は、前記データ量に基づいて前記論理ボリューム全体の全データ量を算出し、前記全データ量が所定値以下の場合は、全論理ボリュームに対して差分保存モードに設定し、前記全データ量が所定値を超えた場合は、前記アクセス頻度情報に基づいて所定の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する付記5記載のストレージシステム。
(付記7)
前記制御部は、前記アクセス頻度情報に基づいてアクセス頻度の高い論理ボリューム順にデータ量を積算し、積算されたデータ量が所定値を超えた場合に、超えた分の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する付記6記載のストレージシステム。
(付記8)
前記制御部は、前記差分保存モードで前記物理ボリュームへの差分デ―タの書込みを行った結果、前記保存済みデータの保存先と前記差分データの保存先が分散した論理ボリュームに対して全体保存モードに設定する付記5乃至7のいずれかに記載のストレージシステム。
(付記9)
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御方法において、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を記憶メモリから読出す工程と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する工程と、
を備えるストレージ制御方法。
(付記10)
前記アクセス管理情報は前記各論理ボリュームのデータ量の情報を含み、
前記設定工程は、前記制御部は、前記データ量に基づいて前記論理ボリューム全体の全データ量を算出し、前記全データ量が所定値以下の場合は、全論理ボリュームに対して差分保存モードに設定し、前記全データ量が所定値を超えた場合は、前記アクセス頻度情報に基づいて所定の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定することを含む付記9記載のストレージ制御方法。
(付記11)
前記設定工程は、前記アクセス頻度情報に基づいてアクセス頻度の高い論理ボリューム順にデータ量を積算し、積算されたデータ量が所定値を超えた場合に、超えた分の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定することを含む付記10記載のストレージ制御方法。
(付記12)
前記設定工程は、前記差分保存モードで前記物理ボリュームへの差分デ―タの書込みを行った結果、前記保存済みデータの保存先と前記差分データの保存先が分散した論理ボリュームに対して全体保存モードに設定することを含む付記9乃至11のいずれかに記載のストレージ制御方法。
【符号の説明】
【0111】
1、10、100 ホスト
3、19、43 移送機構
4、17、54 物理ボリューム
5、18、42 物理ドライブ
11、50 仮想ライブラリ装置
12、40 実ライブラリ装置
13、52 論理ドライブ
14、54 論理ボリューム
15、55 制御部
16、66 キャッシュディスク
56 論理層制御部
57 物理層制御部
62、63 インタフェース
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行うストレージ制御装置、ストレージシステム及びストレージ制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図21は、ライブラリ装置を利用したストレージシステムの概念図である。一般的なストレージシステムでは、ホスト(Host Computer)1が実ライブラリ装置2に直接接続される。従って、ホスト1は、移送機構3を制御して、物理ボリューム4の物理ドライブ5へのマウント/アンマウント処理を実行する。そして、ホスト1は、当該物理ドライブ5にマウントされた物理ボリューム4に対してデータのRead/Write処理を行う。
【0003】
図22は、仮想ライブラリ装置を利用したストレージシステムの概念図である。仮想ライブラリ装置11は、ホスト10と実ライブラリ装置12の間に設けられ、ホスト10に対して論理ドライブ13と論理ボリューム14を提供する。例えば、実ライブラリ装置12はテープライブラリ装置であり、物理ボリューム17はカートリッジに収納されたテープである。また、例えば、論理ドライブ13はキャッシュディスク16であり、論理ボリューム14はキャッシュディスク16である。
【0004】
ホスト10は、仮想ライブラリ装置11と直接接続されているが、ホスト10からは、ホスト10があたかも実ライブラリ装置12と直接接続されているように認識される。従って、ホスト10は図21のストレージシステムと同様に、特別な意識を持つことなく仮想ライブラリ装置11内の論理ドライブ13を介して論理ボリューム14へアクセスすることが可能である。
【0005】
仮想ライブラリ装置11が備える制御部15は、論理ボリューム14へ記録すべきデータ(論理ボリュームデータ)を仮想ライブラリ装置11内のキャッシュディスク16に格納する。その後、制御部15は、Migration処理によりホストアクセスとは非同期に実ライブラリ装置12内の物理ボリューム17への保存を実行する。
【0006】
実ライブラリ装置12内の物理ボリューム17へ保存された論理ボリュームデータは、キャッシュディスク16の記憶容量の許す限り、キャッシュディスク16内に保持される。そのため、再度同じ論理ボリューム14へのアクセスをホスト10が要求した場合、即座にReady状態を応答することが可能である。
【0007】
一方、キャッシュディスク16の記憶容量が不足した場合、制御部15は、Migration処理によりキャッシュディスク16に保存されている論理ボリュームデータを、使用頻度等を考慮した論理に基づきキャッシュディスク16上から物理ボリューム17であるテープへ追い出す処理を行う。従って、他の論理ボリュームデータの保存に必要な記憶容量を確保することができる。
【0008】
また、Migration処理によりキャッシュディスク16から追い出された論理ボリュームデータは、実ライブラリ装置12へ転送される。そして、実ライブラリ装置12は移送機構19及び物理ドライブ18を制御して物理ボリューム17であるテープへのWrite処理を行う。
【0009】
また、当該論理ボリュームデータは、ホスト10が該論理ボリュームデータの論理ドライブ13へのマウントを要求した時に、テープから読出される。そして、読出された論理ボリュームデータは、論理ボリューム14であるキャッシュディスク16に格納される(RECALL処理)。なお、このようなRECALL処理は、ホスト10がマウント要求を出してから、マウントが完了するまでに数十秒〜数分の時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−190139号公報
【特許文献2】特開2005−122611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図23は論理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。バックエンドとしてテープライブラリ装置を使用した場合の例を用いて説明する。
【0012】
仮想ライブラリ装置11には、テープドライブは実際には存在しないが、ホスト10からはテープドライブが存在するものとして認識される。従って、ホスト10からの論理ドライブ13へのアクセスはテープドライブに対するものと同じである。
【0013】
テープドライブは、テープを送り続けた状態でデータの書込みが行われる。従って、データの書込みはシーケンシャルに行われるので高速アクセスを実現できる。しかし、メディアの構造上保存済みのデータの途中から部分的に上書きをすることは不可能である。
【0014】
図23(A)は論理ボリュームに保存された保存済み論理ボリュームデータを示す。この保存済みの論理ボリュームデータのブロックID=1〜3に対する更新は、追加書き方式と書き換え方式によってなされる。
【0015】
図23(B)に示す追加書き方式では、保存済みの論理ボリュームデータ1〜3の記録領域941の後方の記録領域942に新しい追加の論理ボリュームデータ4〜5が書込まれる。図23(C)に示す書き換え方式では、論理ボリュームの先頭(ブロックID=1)から上書きを行うものであり、更新データを含む更新版論理ボリュームのブロックID=1〜3が記録領域943に書込まれる。
【0016】
図24は物理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。保存済みデータに対する更新処理において、テープは構造上部分的な上書き保存ができない。従って、物理ボリュームのイメージは、図23(B)〜(C)に示した論理ボリュームのイメージと異なる。
【0017】
具体的には、追加書き方式は、図24(A)に示すように、既保存分論理ボリュームデータのブロックID=1〜3の記録領域950の後方の記録領域951に既保存分論理ボリュームデータのブロックID=1〜3と追加データのブロック=ID4〜5からなる更新版論理ボリュームデータを書込むものである。従って、追加書き方式の場合、同一のデータであるブロックID=1〜3がテープ上に多重に存在することになり、余分な記憶容量が必要になる。
【0018】
また、書き換え方式は、図24(B)のように、既保存分論理ボリュームデータのブロックID=1〜3の記録領域950の後方の記録領域952に更新版論理ボリュームデータのブロック=ID1〜3を書込むものである。従って、書き換え方式の場合は、既存の保存済みデータを残して、全体データを書き込むことになり、同様に、余分な記憶容量が必要になる。
【0019】
このような問題を鑑み、ホストによるデータの更新が発生した場合に記憶媒体へのデータ更新処理を効率的に実行するストレージ制御装置、ストレージシステム及びストレージ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
ストレージ制御装置およびストレージシステムにおいて、ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、保存済みデータと更新データとの差分のデータを物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを物理ボリュームに書込む全体保存モードを、アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部とを備える。
【0021】
ストレージ制御方法において、ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を記憶メモリから読出す工程と、各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、保存済みデータと更新データとの差分のデータを物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを物理ボリュームに書込む全体保存モードを、アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する工程とを備える。
【発明の効果】
【0022】
ストレージ制御装置、ストレージシステム及びストレージ制御方法によれば、各論理ボリュームに対して差分保存モードと全体保存モードをアクセス管理情報に基づいて設定することで、限られた記憶容量の物理ボリュームを効率的に使用して、データ更新処理を効率的に実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ストレージシステムの構成の一例を示す図である。
【図2】ストレージシステムの動作処理を説明する図である。
【図3】物理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。
【図4】論理ボリュームの管理情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】キャッシュディスク上の論理ボリュームのデータフォーマットのイメージを示す図である。
【図6】ブロック管理テーブルを示す図である。
【図7】物理ボリュームへの保存処理のフローを示す図である。
【図8】差分抽出処理のフローを示す図である。
【図9】差分抽出情報テーブルの一例を示す図である。
【図10】差分データの書込みのフローを示す図である。
【図11】論理ボリュームデータの書込み処理を説明する図である。
【図12】物理ボリュームPV−X、PV−Yのデータフォーマットのイメージを示す図である。
【図13】物理ボリューム管理テーブルの一例を示す図である。
【図14】物理ボリュームからの読出しの処理フローを示す図である。
【図15】読出しテーブルの一例を示す図である。
【図16】物理ボリュームからの読出し処理のフローを示す図である。
【図17】論理ボリュームへの書込み処理を説明する図である。
【図18】データ読出し処理のフローを示す図である。
【図19】アクセス管理テーブルの例を示す。
【図20】保存モード切り換えのフローを示す図である。
【図21】ライブラリ装置を利用したストレージシステムの概念図である。
【図22】仮想ライブラリ装置を利用したストレージシステムの概念図である。
【図23】論理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。
【図24】物理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ストレージシステムの構成の一例を示す図である。仮想ライブラリ装置50は、実ライブラリ装置40とホスト100との間に設けられる。そして、仮想ライブラリ装置50は、ホスト100とインタフェース62、実ライブラリ40とインタフェース63により接続されている。
【0025】
図2は、ストレージシステムの動作処理を説明する図である。実ライブラリ装置40は、例えば物理ボリューム44であるテープカードリッジに対して記録再生を行うテープライブラリ装置である。
【0026】
図1、図2に示すように、実ライブラリ装置40は、物理ボリューム44と、物理ボリューム44に対するアクセスを行なう物理ドライブ42を備える。また、実ライブラリ装置40は、物理ボリューム44の物理ドライブ42へのマウント/アンマウント処理を実行するための移送機構43と、物理ドライブ42及び移送機構43を制御するライブラリ制御部41を備える。
【0027】
ホスト(Host Computer)100は、仮想ライブラリ装置50に対して様々なコマンドを発行する処理装置である。
【0028】
仮想ライブラリ装置50は、制御部55、論理ドライブ52、キャッシュディスク66等を備える。なお、キャッシュディスク66はRAIDで構成してもよい。制御部55は、ストレージ制御装置の制御部の機能を備えるとともに、論理層制御部56、物理層制御部57、各種テーブルを格納するメモリ69を備える。メモリ69は、半導体メモリやハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成しても良い。
【0029】
論理層制御部56は、仮想ライブラリ装置50内の論理層を制御する。論理層制御部56は、制御プログラムの処理により、論理ボリューム管理部56a、論理ドライブ制御部56b、及びアクセス状況監視部56cなどの機能を実現する。
【0030】
例えば、論理ボリューム管理部56aや論理ドライブ制御部56bは、ホスト100から発行されたMOUNTコマンドに基づいて、要求対象の論理ボリューム54の論理ドライブ52へのマウント処理を行う。
【0031】
また、物理層制御部57は、仮想ライブラリ装置50内の物理層を制御する。物理層制御部57は、制御プログラムの処理により、物理ボリューム管理部57a、物理ドライブ制御部57b及びライブラリI/F制御部57cなどの機能を実現する。
【0032】
例えば、物理ドライブ制御部57b及びライブラリI/F制御部57cは、論理層制御部56から指示を受けて、論理ボリューム54のデータリコール(RECALL)処理を実行する。データリコール処理は、実ライブラリ装置40の物理ボリューム44から読出したデータをキャッシュディスク66の論理ボリューム54に格納する処理である。
【0033】
論理ドライブ52は、論理ドライブ制御部56bからの指示を受けて、キャッシュディスク66内の要求対象の論理ボリューム54に対するアクセスを行なうドライブである。キャッシュディスク66は、実ライブラリ装置40の物理ボリューム44から読出されたデータを論理ボリューム54として保持する記憶デバイスである。
【0034】
本実施形態では、物理ボリューム44をテープカートリッジに収容されたテープとして説明するが、磁気ディスクや光ディスク等の可換型記憶媒体でもよい。また、本実施形態は、その主旨に従った様々な変形が可能である。
【0035】
図3は、物理ボリュームのデータの書込み状態のイメージを示す図である。図3(A)は保存済みの論理ボリュームデータのイメージを示す。図3(B)は、差分保存モードで書込みを行った場合の論理ボリュームデータのイメージを示す図である。図3(C)は全体保存モードで書込みを行った場合の論理ボリュームデータのイメージを示す図である。つまり、バックエンドのテープ上の記録領域に書込みを行った場合のイメージを示している。
【0036】
図3(A)において、テープ上の記録領域911に既に保存済みの論理ボリュームデータ(ブロックID1〜3)が書き込まれている。ここで、更新処理対象の論理ボリュームに対して差分保存モードが設定されている場合、図3(B)に示すように、論理ボリュームデータ1〜3が記録された記録領域911の後方の記録領域912に、差分データ4〜5のみの更新版論理ボリュームデータを書込む。
【0037】
具体的には、バックエンドのテープに保存する場合に、論理層制御部56の論理ボリューム管理部56aが処理対象の論理ボリュームの差分状態を抽出する。そして、論理層制御部56は、物理層制御部57に指示して、その更新処理対象の論理ボリュームに対応する物理ボリュームに対して差分のデータの書込みを実行させる。
【0038】
また、図3(C)に示すように、比較例の全体保存モードを採用した場合は、論理ボリュームデータ1〜3が記録された記録領域911の後方の記録領域914に、更新分を含む全体データである更新版論理ボリュームデータ1〜3を書込む。従って、全体を書き換えることにより不必要となった記録領域911が残る。特に、更新回数が多いストレージシステムでは、このような余分なデータを記憶する記録領域が増大すると、多数の記憶媒体を備えた大容量のライブラリシステムであったとしても早期に空き領域が減ってしまい、論理ボリュームデータを格納する為の記憶容量が不足する事態が生じる可能性がある。
【0039】
従って、図3(B)の差分保存モードを採用することにより、図3(C)の全体保存モードよりも少ない記憶容量でデータが保存でき、データ更新時に物理ボリュームであるテープの記憶容量を効率的に使用することが可能になる。
【0040】
なお、差分保存モードを使用してデータの書込みを行う場合、差分データが同じテープ上の離れた記録領域や異なるテープ上の記録領域に分散してしまうことがある。そのような時には、データリコール処理の際アクセスに時間がかかってしまう。従って、差分保存モードと全体保存モードを組み合わせてデータを保存すると効率的である。
【0041】
次に、論理ボリュームの管理方法について図4に示す管理情報テーブルの例を使用して説明する。管理情報テーブルは、論理層制御部56により作成され、論理ボリュームデータの一部として、例えばブロックデータの直前に付加され、最終的に物理層制御部57によりテープ上の記録領域に記録される。
【0042】
図4(A)は、ボリューム情報テーブルの登録情報を示し、論理ボリューム全体の管理情報が登録されている。管理情報としては、ボリューム名、生成タイムスタンプ、アクセスタイムスタンプ、世代番号、データサイズ、ブロック数等が挙げられる。
【0043】
生成タイムスタンプの欄には、論理ボリュームを生成した際の日時情報を示す生成タイムスタンプが登録される。アクセスタイムスタンプの欄には、論理ボリュームへの最終アクセスが行われた際の日時情報を示す最終アクセスタイムスタンプが登録される。また、世代番号の欄には、ホスト100からの書き換え回数が登録される。世代番号は、生成時は0、最初の書込みの時に1、以降は書込み(マウント)処理毎にインクリメントされる。データサイズの欄には、管理テーブルのサイズを含む論理ボリュームのサイズが登録される。ブロック数の欄には、ホスト100からの書込みブロック数が登録される。
【0044】
図4(B)は、ブロック管理テーブルの登録情報を示す。ブロック管理テーブルは、ホスト100から書込まれるブロック毎に登録情報を保持する。登録情報としては、ブロックID、ブロック種別、圧縮フラグ、データサイズ、世代番号等が挙げられる。ブロックIDの欄は、先頭を1としてホスト100からの書込みブロック毎にインクリメントされる。書き換え処理が行われた場合は、先頭から書き換えられるので、再び1が登録される。
【0045】
ブロック種別の欄には、データブロックあるいはマークの種別が登録される。圧縮フラグの欄には、圧縮/非圧縮の識別子が登録される。データサイズの欄にはデータサイズが登録されるが、圧縮データの場合は圧縮後のデータサイズが登録される。世代番号の欄には、ホスト100から書込みが行われた際の論理ボリュームの世代番号が登録される。
【0046】
図4(C)は、ブロック管理テーブル群の登録情報を示す。ブロック管理テーブルは、論理ボリュームデータフォーマット上、N個のブロック分のデータを集めてブロック管理テーブル群としてブロックデータの前に配置される。ブロック管理テーブル群には、前のブロック管理テーブル群の位置オフセット、ブロックID=1〜Nの各ブロックの管理テーブル、次のブロックの管理テーブル群の位置オフセットが順に登録される。
【0047】
ブロックID=N+1以降については、ブロックID=N+1の書込みが発生した時点で、ブロックID=Nのデータの後ろに、新たにN個分のデータを集めてひとかたまりのテーブルとして配置する。そして、その後ろにブロックID=N+1のデータが書込まれる。
【0048】
図5は、キャッシュディスク上の論理ボリュームのデータフォーマットのイメージを示す図である。図5(A)は、ホスト100によりブロックID=1〜Mのデータの書込みが行われた場合のイメージを示す。論理ボリュームデータ[1]の始端71から終端75の間の記録領域に、ボリューム情報テーブル72a、Nブロック分のブロック管理テーブルを含むブロック管理テーブル群73、Nブロック分のデータ74が順番に配置される。続いて、論理ボリュームデータ[2]の始端からブロック管理テーブル群76、ブロックID=N+1〜Mのデータ77が配置される。
【0049】
図5(B)は、ホスト100によりブロックID=M+1〜2N+1のデータの追加書きが行われた場合のイメージを示す。ボリューム情報テーブル72bは、ブロックID=M〜2N+1のデータの書込みに対応して、ボリューム情報テーブル72aの登録情報を書き換えたものである。
【0050】
ブロック管理テーブル群76bは、ブロックID=M〜2Nのデータの書込みに対応して、ブロック管理テーブル群76aの登録情報を書き換えたものである。また、ブロック管理テーブル群78は、ブロックID=2N+1のデータの書込みに対応して追加されたものである。
【0051】
論理ボリュームデータ[2]のブロックID=Mのデータが記録された記録領域の後方の記録領域に、ブロックID=M+1〜2Nのデータ79が配置され、論理ボリュームデータ[3]にブロックID=2N+1のデータ80が配置される。
【0052】
そして、ブロックID=M〜2N+1のデータの書込みに対応して、前述したボリューム情報テーブル72aは72bに更新される。具体的には、生成タイムスタンプの欄には、論理ボリュームの生成タイムスタンプが登録される。
【0053】
アクセスタイムスタンプの欄には、ブロックID=2N+1が書込まれて論理ボリュームが解放(アンマウント)された時刻が登録され、世代番号の欄にはX+1(ブロックMまで書いた時点をXとする)が登録される。また、データサイズの欄にはブロック1からブロック2n+1までの合計値と管理テーブルのサイズ合計値が登録され、ブロック数の欄には2N+1が登録される。
【0054】
図6は、ブロック管理テーブルを示す。ブロックID=1〜2N+1のブロック管理テーブルの登録情報として、ブロックID、ブロック種別、圧縮フラグ、データサイズ、世代番号が示される。ブロックID=1〜Mの世代番号にはXが登録されている。また、ブロックID=M+1〜2N+1の世代番号には、X+1が登録されている。
【0055】
このブロックID=M+1〜2Nのブロック管理テーブルの登録情報がブロック管理テーブル群76bに、ブロック管理テーブル群76aの登録情報に追加されて更新される。ID=2N+1のブロック管理テーブルの登録情報がブロック管理テーブル群78として書込まれる。なお、現実にはデータブロックとファイルマークが混在するはずであるが、簡単のため、全てデータブロックであると仮定する。
【0056】
図7は、物理ボリュームへの保存処理のフローを示す図である。ホスト100による書込み処理が終了すると、制御部55は、物理ボリューム(テープ)への保存処理を開始する。論理層制御部56で後述する差分の抽出ロジックが実行され、差分データを抽出する(S11)。そして、物理層制御部57は、論理層制御部56からの指示を受けて、抽出された差分データの書込み命令を実ライブラリ装置に対して発行する。そして、実ライブラリ装置のライブラリ制御部41は処理対象の物理ボリューム44を物理ドライブ42にマウントする。そして、物理ドライブ制御部57bは抽出された差分データの書込みを実行する(S12)。
【0057】
図8は、差分抽出処理のフローを示す図である。ホスト100からのデータ更新要求による論理ボリュームへの書込み処理が終了すると、制御部55は、差分抽出ロジックをスタートする。論理層制御部56は、ボリューム情報テーブルから更新対象の論理ボリュームの世代番号を取得する(S21)。
【0058】
次に、論理層制御部56は、ボリューム情報テーブルから更新対象の論理ボリュームのブロック数を取得する(S22)。論理層制御部56は、ボリューム情報テーブルから更新対象の論理ボリュームのブロックID=A(A=1〜2N+1)の世代番号を取得する(S24)。世代番号がX+1であれば(S25、YES)、論理層制御部56は、差分先頭ブロックID(=M+1)をメモリ69に保存された差分抽出情報テーブルに記録する(S26)。世代番号がX+1でなければ(S25、NO)、論理層制御部56は、ループ処理に戻り(S23〜S27)、ブロックID=AのAが2N+1になるまでループ処理を行う。そして、差分データの最終ブロックIDを抽出し、メモリ69の差分抽出情報テーブルに登録する。
【0059】
図9は、差分抽出処理により得られる差分抽出情報テーブルを示す。差分抽出情報としては、差分先頭ブロックIDと最終ブロックIDが挙げられる。図9では、差分先頭ブロックIDとしてM+1が差分抽出情報テーブルに登録されている。また、最終ブロックIDの欄には2N+1が登録されている。
【0060】
図10は、差分データの書込みのフローを示す図である。図11は、論理ボリュームデータの書込み処理を説明する図である。論理層制御部56は、差分抽出情報テーブルを用いて物理層制御部57に対して差分データの書込み指示を行う。指示を受けた物理層制御部57は、ライブラリ制御部41に対してデータの書込み指示を行う。
【0061】
ライブラリ制御部41は、移送機構43を制御して、処理対象の物理ボリューム44であるテープカートリッジを収納棚から取り出し、物理ドライブ42に搬送する。搬送されたテープカートリッジは物理ドライブ42にマウントされる。
【0062】
ライブラリ制御部41は、物理ドライブ42を制御して、テープ上の処理対象の記録領域に対してボリューム情報テーブルの書込みを行う(S31)。具体的には、図11に示すように処理対象の記録領域の始端81から書込みが開始され、処理対象の論理ボリュームのボリューム情報テーブル82が書き込まれる。
【0063】
次に、ライブラリ制御部41は、差分の先頭であるブロックの管理テーブルを含む差分先頭ブロック管理テーブル群の書込みを行う(S32)。具体的には、図11に示すように、差分先頭ブロックであるブロックID=M+1以降の管理テーブルを含む差分ブロック管理テーブル群が書込まれる。
【0064】
続いて、差分の先頭であるブロック以降のデータが書込まれる(S33)。具体的には、図11に示すように、ブロックID=M+1〜2N+1のデータが書込まれる。従って、図11に示すように、論理ボリュームデータの始端81と終端85の間の記録領域に、処理対象の論理ボリュームのボリューム情報テーブル82、差分先頭ブロック管理テーブル群83、ブロックID=M+1〜2N+1のデータ84が矢印の方向に向かってストリーミングで書込まれる。なお、差分先頭ブロック管理テーブル群83は1ブロックずつ書込まれる。
【0065】
次に、データリコール(RECALL)処理について説明する。図12(A)、(B)に示すように、論理ボリュームLV−Aの世代番号Mのデータが記録領域89に書込まれ、世代番号M+1の差分データが記録領域95に書込まれる。このようなケースを例にして、世代番号M+1のデータをキャッシュディスク66に読戻す処理を説明する。なお、本実施形態ではM=1とする。
【0066】
また、物理ドライブに転送されるデータの転送データサイズによっては、複数ブロックに分けられてテープに記録される場合もあるが、簡略化の為、図12(A)、(B)では一ブロックが一論理ボリュームデータとして示す。
【0067】
図12(A)は、物理ボリュームPV−Xのデータフォーマットのイメージを示す。図12(B)は、物理ボリュームPV−Yのデータフォーマットのイメージを示す。なお、図12(A)、(B)は省略的に図示しているが、実際にはPV−XとPV−Yは物理的に異なるものとして説明する。つまり、複数のテープに分散してデータが記録されている。また、データが更新されたタイミングは、世代番号MのLV−Aの書込みのすぐ後ではなく、他のデータが書かれた後のタイミングとする。
【0068】
世代番号Mの論理ボリュームデータLV−A〜Jが記録されたテープ上の記録領域89〜91に続いて、世代番号M+1の論理ボリュームデータLV−Aの差分データが記録領域92に配置される。記録領域92には、論理ボリューム情報テーブル93、差分データ先頭ブロック管理テーブル群94、差分の論理ボリュームデータ95が順に配置される。その後に続いて、論理ボリュームデータLV−K以降のデータが記録領域96に書込まれる。
【0069】
物理ボリューム管理テーブルは、各物理ボリュームに書込まれる論理ボリュームデータを管理するための情報を持つエントリを集めたものである。図13は、物理ボリューム管理テーブルの一例を示す図である。エントリの例としては、論理ボリューム名、先頭ブロックID、差分フラグ、世代番号、データサイズ1、データサイズ2、論理ボリュームブロックID、論理ブロック数、書込み日付、有効フラグ等が挙げられる。
【0070】
先頭ブロックIDは、物理ボリューム上で論理ボリュームが始まるブロック番号である。差分フラグは、全体/差分で示す。データサイズ1は論理ボリューム上の論理ボリュームデータのイメージサイズである。データサイズ2は論理ボリューム全体(連結時)のデータサイズである。論理ボリュームブロックIDは、物理ボリューム上の論理ブロックにおける先頭ブロックIDである。
【0071】
有効フラグは論理ボリュームデータが有効(1)か、無効(0)かを示すフラグである。論理ボリュームデータが、ホスト100からの差分書込みではなく、全体書き換えであった場合、以前のデータについては全て無効とされる。これらの情報は、物理層制御部57により、処理対象の論理ボリュームデータが実ライブラリ装置のテープへ保存される時に物理ボリューム管理テーブルに登録される。この物理ボリューム管理テーブルはメモリ69に保存される。
【0072】
キャッシュディスク上で処理対象の論理ボリュームのデータが追い出された後、再びホスト100からのアクセスが発生した場合の読出し処理について説明する。図14は、データの物理ボリューム(テープ)からの読出しの処理フローを示す図である。物理層制御部57は、物理ボリューム管理テーブルから読出し対象となる論理ボリュームを検索する。そして、物理層制御部57は、論理ボリュームの全体もしくは差分データを含む物理ボリュームを検索する(S41)。
【0073】
なお、読出し対象の物理ボリュームの検索にあたり、物理層制御部57は図15に示す読出しテーブルを作成する。読出しテーブルには、インデックス、物理ボリューム名、世代番号、データサイズ1、データサイズ2、論理ボリュームブロックID、論理ボリュームのブロック数等の項目が登録される。
【0074】
図15に示す読出しテーブルに従い、要求対象の物理ボリュームを適切な順番でマウントし、対象データを読出す(S42)。具体的には、物理層制御部57の物理ドライブ制御部57bが、読出しテーブルに従って物理ボリュームに対する読出し指示を行う。ライブラリ制御部41は、移送機構43を制御して、検索された物理ボリュームに該当するテープを収納棚から取り出し、物理ドライブ42に搬送する。搬送されたテープは物理ドライブ42にマウントされる。そして、物理ドライブ42はテープに対して読出し処理を実行する。
【0075】
図16は、論理ボリュームデータの物理ボリュームからの読出し処理のフローを示す図である。最初に、物理層制御部57は、最大の世代番号の物理ボリューム管理テーブルから論理ボリューム全体のデータサイズを抽出する(S51)。物理層制御部56は抽出されたデータサイズを論理層制御部56に通知する。
【0076】
次に、論理層制御部56は、抽出された論理ボリュームデータ全体のデータサイズ分の記憶容量の記録領域をキャッシュディスク66上に確保する(S52)。物理層制御部57は、ライブラリ制御部41に指示して、ライブラリ制御部41は世代番号の若い順に物理ボリュームから読出し制御を行う。
【0077】
論理層制御部56は、読出された物理ボリュームのデータをキャッシュディスク66上に書込む(S54)。全ての読出し対象の物理ボリュームからの読出しを完了するまでループ処理を行う(S53−S55)。
【0078】
図17(A)は、世代番号Mのデータの論理ボリュームへの書込み処理を説明する図である。物理ボリュームからのデータの読出しは、テープの先頭からシーケンシャルに実行される。従って、読出されたデータは、キャッシュディスクの論理ボリューム上の先頭位置からA方向にシーケンシャルに書込まれる。
【0079】
この例では、世代Mは第1世代であるとしているため、論理ボリュームの始端101からデータが書込まれる。論理ボリュームデータ始端101から終端102までの記録領域に、ボリューム情報テーブル103a、ブロック管理テーブル群104a、ブロックデータ(ブロックID=1〜N)105が順に書込まれる。続いて、ブロック管理テーブル106a、ブロックデータ(ブロックID=N+1〜M)107が順に書込まれる。
【0080】
図17(B)は、世代番号M+1のデータの論理ボリュームへの書込み処理を説明する図である。ボリューム情報テーブル103a及びブロック管理テーブル群106aは、更新データを含むボリューム情報テーブル103b及びブロック管理テーブル群106bとして上書きされる。
【0081】
保存済みのブロックデータ107に続く位置から、ブロックデータ(ブロックID=M+1〜2N)108、ブロック管理テーブル群109、ブロックデータ(ブロックID=2N)110が順に書込まれる。なお、ブロックサイズはボリューム情報テーブルにより把握できるので、ブロックデータ(ブロックID=M+1〜2N+1)は論理ボリュームに格納されたデータの途中から書込むことが可能である。
【0082】
図18は、物理ボリュームからのデータ読出し処理のフローを示す図である。物理層制御部57は、ライブラリ制御部41にデータ読出し指示を行う。ライブラリ制御部41は、移送機構43を制御して、対象物理ボリュームのテープを収納棚から取り出し、物理ドライブ42に搬送する。ライブラリ制御部41は、搬送された読出し対象物理ボリュームを物理ドライブ42にマウントする(S61)。
【0083】
最初に、物理層制御部57は、物理ボリューム管理テーブルから目的の論理ボリームデータの先頭ブロックIDを取得する。そして、物理ドライブ制御部57bは、先頭ブロックIDに対応する物理ボリューム上の該当する記録領域にヘッドの位置付けを行う(S62)。
【0084】
物理ドライブ制御部57bは、物理ドライブ42により、物理ボリューム上の位置付けられた位置から1ブロックを読出させ、論理ボリューム情報テーブルを取得する(S63)。さらに、物理ドライブ制御部57bは、物理ボリュームから1ブロックを読出し、差分先頭ブロック管理テーブル群を読出す。
【0085】
そして、論理層制御部56は、読出された論理ボリューム情報テーブルと差分先頭ブロック管理テーブル群をキャッシュディスク上の所定の記録領域に書込みを行う(S64)。また、物理ドライブ制御部57bは、物理ボリューム上から差分データの終端までストリーミングで読出す。そして、論理層制御部56は、読出された差分データをキャッシュディスク66上の所定の記録領域に書込む(S65)。その後、論理層制御部56は、キャッシュディスク66上のデータをホスト100に転送する。
【0086】
以上説明したように、バックエンドのストレージ(物理ボリューム)にデータを保存する場合に、論理ボリュームデータの差分を抽出して差分データのみを保存することで、バックエンドのストレージの記憶容量を効率的に使用することが可能になる。
【0087】
なお、差分保存モードでの書込み処理により、データがバックエンドのストレージ上で分散してしまうと、バックエンドのストレージからのデータリコール処理の際にアクセスに時間がかかってしまう。従って、差分保存モードと全体保存モードを使い分けて効率的にデータを保存するのが良い。
【0088】
次に、差分保存モードと全体保存モードの切り換え制御について説明する。仮想ライブラリ装置50の制御部55は、物理ボリュームへのデータの保存を差分のみとする差分保存モードと、データ全体を保存する全体保存モードとで切り換えを行う。また、制御部55は、差分保存モードから全体保存モードへの切り替えの際に、自動的に論理ボリュームデータを全体保存モードでの書込みを行う。
【0089】
論理層制御部56のアクセス状況監視部56cは、論理ボリューム毎にアクセス頻度およびそのデータ量の統計情報をアクセス状況管理情報として収集する。そして、アクセス状況監視部56cは、アクセス管理テーブルを作成し、アクセス状況管理情報を蓄積していく。
【0090】
仮想テープライブラリ装置としての全データ量がキャッシュディスク66の記憶容量を大きく下回っている場合は、全データをキャッシュディスク66上におくことができるため、全ての論理ボリュームのデータは、差分保存モードでバックエンドの物理ボリュームに保存される。
【0091】
使用量がキャッシュディスク66の記憶容量の限界に近づいてきた場合、アクセス頻度の低い論理ボリュームは、以降の運用により、キャッシュディスク66から追い出されオフキャッシュ状態となることが予想される。従って、全体保存モードで物理ボリュームへの書き直しを行う。以降アクセス頻度が相対的に上昇するまで、ホスト100からのアクセスが有り、データの更新に時間がかかっても全体保存モードで物理ボリュームへの保存が実行される。
【0092】
アクセス状況監視部56cは、アクセス頻度が相対的に上昇し、一定条件を超えた場合は、オンキャッシュ状態が維持されると判断し、差分保存モードに切り替える。
【0093】
従って、オフキャッシュ状態の論理ボリュームに対して、ホスト100から再度アクセス要求が発生した場合に必要となるデータリコール処理が、単体の物理ボリューム(1つのテープ)からの読込みのみで完結できる。ゆえに、物理ボリュームのマウント回数が少なくなり、データリコール処理の為の処理時間は短くできる。
【0094】
図19(A)、(B)は、アクセス管理テーブルの例を示す。アクセス状況監視部56cは、運用中においてアクセス頻度を監視し、論理ボリュームのアクセス頻度の統計情報とそのデータ量をアクセス管理テーブルに登録する。
【0095】
図19(A)、(B)に示すアクセス頻度管理テーブルには、論理ボリュームLV−A〜LV−MNにおけるアクセス頻度、データ量及びモードが登録されている。アクセス管理テーブルはメモリ69に保存される。また、アクセス管理テーブルに格納されるデータ量の情報は、使用量または使用量とキャッシュの全体の記憶容量(全容量)から求められる使用率である。
【0096】
アクセス頻度は、1週間、1カ月、3カ月の期間中のホスト100からのリード/ライト処理のアクセス回数から求める。また、データ量は、先頭から各論理ボリュームのデータ量を積算することで求める。また、アクセス管理テーブルは、アクセス頻度の高い順およびデータ量の小さい順に並べて登録する。アクセス頻度は、1週間、1カ月、3カ月の順で優先度を決定する。
【0097】
図20は、保存モード切り換えのフローを示す図である。論理層制御部56は、アクセス管理テーブルの論理ボリュームの順列の内、先頭から各論理ボリュームのデータ量を積算する(S72)。論理層制御部56は、キャッシュディスク66の使用量(積算容量)が全容量の80%であるか否かを判断する(S73)。
【0098】
積算容量が80%を超えていれば(S73、Yes)、論理層制御部56は積算済みの論理ボリュームについて差分保存モードを設定する(S74)。積算済の残りの全論理ボリュームについて、論理層制御部56は全体保存モードを設定する(S75)。
【0099】
一方、積算容量が80%以下であれば(S73、No)、論理層制御部56は、ループ処理(S71〜S76)を各論理ボリュームに対して実行する。その後、全論理ボリュームに対して論理層制御部56は差分保存モードを設定する(S77)。
【0100】
データ量の積算では、あらかじめ蓄積された論理ボリューム毎のアクセス頻度情報を基に、アクセス頻度の高い順に積算処理を行っていく。アクセス管理テーブルは、アクセス頻度の高い順に並べられているので、このテーブルの配列順に積算する。その計算過程で積算容量が80%以下の論理ボリュームデータは、80%を超えた後の論理ボリュームデータに比べアクセス頻度が高いと判断できる。
【0101】
そのため、積算容量が80%以下の論理ボリュームデータは、80%を超えた後も比較的短時間にホストからのアクセスが予想される。従って、キャッシュ上から追い出される可能性は低いため、データリコール処理が必要となる可能性も低い。
【0102】
また、差分保存モードを用いた場合、実テープライブラリの物理ボリューム上の離れた記録領域や異なる物理ボリューム上の記録領域に、論理ボリュームデータが分散して記録されることがある。このような場合、データリコール処理の際に多少処理時間がかかるが、タイムアウト等の不利な状況が発生することはない。
【0103】
一方、積算容量が80%を超える分については、アクセス頻度が低い為、キャッシュディスク上から追い出される可能性が高い。従って、次回ホストからアクセスが有った場合には、データリコール処理が必要となるため、その時に備え、論理層制御部56は全体保存モードに設定する。全体保存モードにしておくことで、論理ボリュームデータが複数の物理ボリューム(テープ)に分散することが減り、物理ボリューム(テープ)のマウント回数が減るので、データリコール処理が効率的に行える。
【0104】
積算容量がキャッシュディスク66の全記憶容量(全容量)の80%以下の場合は、論理層制御部56は差分保存モードに設定する。すなわち、アクセス管理テーブルには図19(A)のように差分保存モードのフラグがセットされる。
【0105】
一方、積算容量が80%を超えた場合は、80%以下の論理ボリュームに対して差分保存モードによりバックエンドの物理ボリュームへの保存処理を行う。また、積算容量が80%を超えた論理ボリュームに対して全体保存モードをセットしてバックエンドの物理ボリュームへの保存処理を行う。
【0106】
ここで、キャッシュディスク66上の論理ボリュームは、キャッシュディスク66の空き容量が不足してくると、ホストからのアクセス頻度に基づく論理により、アクセス頻度の低い論理ボリュームデータから順にキャッシュディスク66から追い出される。追い出された論理ボリュームデータは、実テープライブラリ装置のアクセス対象のテープ(物理ボリューム)に書き込まれる。
【0107】
キャッシュディスク66から追い出された論理ボリュームデータは、再度ホストからアクセス要求が来ると、実テープライブラリ装置のアクセス対象のテープから読出される。そして、読出された論理ボリュームデータは、キャッシュディスクの所定の記録領域(論理ボリューム)に格納されるデータリコール処理が行われることになる。
【0108】
従って、アクセス頻度の高い論理ボリュームデータはキャッシュディスクに残ることで、キャッシュディスク66を効率的に使用することが可能になる。なお、本実施例は、積算容量80%を予め定めたしきい値とした例で説明したが、しきい値は任意に変更可能であり、この値に限定されるものではない。
【0109】
図19(B)において、アクセス管理テーブルは各論理ボリュームに対して差分保存モードと全体保存モードがセットされている。このように、判定対象論理ボリュームに対して、差分保存モードに元々セットされていて、バックエンドの保存状態が分散している場合は、論理層制御部56は全体モードにセットする。そして、物理ボリュームへの書込みが行われる。なお、アクセス頻度の上昇により、全体保存モードから差分保存モードに変化した場合は差分保存モードのままとしても良い。
【0110】
従って、ホストからのアクセス頻度やキャッシュディスク(論理ボリューム)の使用量に基づいて、各論理ボリュームに対して差分保存モードと全体保存モードを設定可能にすることにより、差分保存モードと全体保存モードを使い分けることが可能となる。従って、限られた記憶容量の物理ボリュームを効率的に使用して、データ更新処理を効率的に実行することが可能になる。
(付記1) ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御装置において、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部と、
を備えるストレージ制御装置。
(付記2)
前記アクセス管理情報は前記各論理ボリュームのデータ量の情報を含み、
前記制御部は、前記データ量に基づいて前記論理ボリューム全体の全データ量を算出し、前記全データ量が所定値以下の場合は、全論理ボリュームに対して差分保存モードに設定し、前記全データ量が所定値を超えた場合は、前記アクセス頻度情報に基づいて所定の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する付記1記載のストレージ制御装置。
(付記3)
前記制御部は、前記アクセス頻度情報に基づいてアクセス頻度の高い論理ボリューム順にデータ量を積算し、積算されたデータ量が所定値を超えた場合に、超えた分の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する請求項2記載のストレージ制御装置。
(付記4)
前記制御部は、前記差分保存モードで前記物理ボリュームへの差分デ―タの書込みを行った結果、前記保存済みデータの保存先と前記差分データの保存先が分散した論理ボリュームに対して全体保存モードに設定する付記1乃至3のいずれかに記載のストレージ制御装置。
(付記5)
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを仮想ストレージ装置の要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記仮想ストレージ装置に保存されたデータを実ストレージ装置の前記論理ボリュームに対応する物理ボリュームに保存するストレージシステムにおいて、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部と、
を備えるストレージシステム。
(付記6)
前記アクセス管理情報は前記各論理ボリュームのデータ量の情報を含み、
前記制御部は、前記データ量に基づいて前記論理ボリューム全体の全データ量を算出し、前記全データ量が所定値以下の場合は、全論理ボリュームに対して差分保存モードに設定し、前記全データ量が所定値を超えた場合は、前記アクセス頻度情報に基づいて所定の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する付記5記載のストレージシステム。
(付記7)
前記制御部は、前記アクセス頻度情報に基づいてアクセス頻度の高い論理ボリューム順にデータ量を積算し、積算されたデータ量が所定値を超えた場合に、超えた分の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する付記6記載のストレージシステム。
(付記8)
前記制御部は、前記差分保存モードで前記物理ボリュームへの差分デ―タの書込みを行った結果、前記保存済みデータの保存先と前記差分データの保存先が分散した論理ボリュームに対して全体保存モードに設定する付記5乃至7のいずれかに記載のストレージシステム。
(付記9)
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御方法において、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を記憶メモリから読出す工程と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する工程と、
を備えるストレージ制御方法。
(付記10)
前記アクセス管理情報は前記各論理ボリュームのデータ量の情報を含み、
前記設定工程は、前記制御部は、前記データ量に基づいて前記論理ボリューム全体の全データ量を算出し、前記全データ量が所定値以下の場合は、全論理ボリュームに対して差分保存モードに設定し、前記全データ量が所定値を超えた場合は、前記アクセス頻度情報に基づいて所定の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定することを含む付記9記載のストレージ制御方法。
(付記11)
前記設定工程は、前記アクセス頻度情報に基づいてアクセス頻度の高い論理ボリューム順にデータ量を積算し、積算されたデータ量が所定値を超えた場合に、超えた分の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定することを含む付記10記載のストレージ制御方法。
(付記12)
前記設定工程は、前記差分保存モードで前記物理ボリュームへの差分デ―タの書込みを行った結果、前記保存済みデータの保存先と前記差分データの保存先が分散した論理ボリュームに対して全体保存モードに設定することを含む付記9乃至11のいずれかに記載のストレージ制御方法。
【符号の説明】
【0111】
1、10、100 ホスト
3、19、43 移送機構
4、17、54 物理ボリューム
5、18、42 物理ドライブ
11、50 仮想ライブラリ装置
12、40 実ライブラリ装置
13、52 論理ドライブ
14、54 論理ボリューム
15、55 制御部
16、66 キャッシュディスク
56 論理層制御部
57 物理層制御部
62、63 インタフェース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御装置において、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部と、
を備えるストレージ制御装置。
【請求項2】
前記アクセス管理情報は前記各論理ボリュームのデータ量の情報を含み、
前記制御部は、前記データ量に基づいて前記論理ボリューム全体の全データ量を算出し、前記全データ量が所定値以下の場合は、全論理ボリュームに対して差分保存モードに設定し、前記全データ量が所定値を超えた場合は、前記アクセス頻度情報に基づいて所定の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する請求項1記載のストレージ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記アクセス頻度情報に基づいてアクセス頻度の高い論理ボリューム順にデータ量を積算し、積算されたデータ量が所定値を超えた場合に、超えた分の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する請求項2記載のストレージ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記差分保存モードで前記物理ボリュームへの差分デ―タの書込みを行った結果、前記保存済みデータの保存先と前記差分データの保存先が分散した論理ボリュームに対して全体保存モードに設定する請求項1乃至3のいずれかに記載のストレージ制御装置。
【請求項5】
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを仮想ストレージ装置の要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記仮想ストレージ装置に保存されたデータを実ストレージ装置の前記論理ボリュームに対応する物理ボリュームに保存するストレージシステムにおいて、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部と、
を備えるストレージシステム。
【請求項6】
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御方法において、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を記憶メモリから読出す工程と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する工程と、
を備えるストレージ制御方法。
【請求項1】
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御装置において、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部と、
を備えるストレージ制御装置。
【請求項2】
前記アクセス管理情報は前記各論理ボリュームのデータ量の情報を含み、
前記制御部は、前記データ量に基づいて前記論理ボリューム全体の全データ量を算出し、前記全データ量が所定値以下の場合は、全論理ボリュームに対して差分保存モードに設定し、前記全データ量が所定値を超えた場合は、前記アクセス頻度情報に基づいて所定の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する請求項1記載のストレージ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記アクセス頻度情報に基づいてアクセス頻度の高い論理ボリューム順にデータ量を積算し、積算されたデータ量が所定値を超えた場合に、超えた分の論理ボリュームに対して前記全体保存モードに設定する請求項2記載のストレージ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記差分保存モードで前記物理ボリュームへの差分デ―タの書込みを行った結果、前記保存済みデータの保存先と前記差分データの保存先が分散した論理ボリュームに対して全体保存モードに設定する請求項1乃至3のいずれかに記載のストレージ制御装置。
【請求項5】
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを仮想ストレージ装置の要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記仮想ストレージ装置に保存されたデータを実ストレージ装置の前記論理ボリュームに対応する物理ボリュームに保存するストレージシステムにおいて、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を格納する記憶部と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する制御部と、
を備えるストレージシステム。
【請求項6】
ホストからの書込み要求を受けて、前記ホストから転送されたデータを要求対象の論理ボリュームに一時的に保存し、前記論理ボリュームに保存されたデータを対応する物理ボリュームに保存する制御を行うストレージ制御方法において、
前記ホストからの各論理ボリュームに対するアクセス頻度情報を含むアクセス管理情報を記憶メモリから読出す工程と、
各論理ボリュームのデータの更新を対応する物理ボリュームに対して行う際に、前記保存済みデータと更新データとの差分のデータを前記物理ボリュームに書込む差分保存モードと、更新データを含む全データを前記物理ボリュームに書込む全体保存モードを、前記アクセス管理情報に基づいて論理ボリューム毎に設定する工程と、
を備えるストレージ制御方法。
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−8813(P2012−8813A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144306(P2010−144306)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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