説明

スナック菓子包装用積層体およびそれからなる包装袋

【課題】5層よりなる従来の包装構成より薄く簡素な構成でありながら、充填適性・内容物保護性に優れたスナック菓子包装用積層体を提供すること
【解決手段】ヒートシール層とガスバリア層、二軸配向ポリエステルフィルムからなり、二軸配向ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の破断応力の和が560MPa以上、複屈折の絶対値が0.03以下、面配向係数0.167〜0.180、厚みが14〜20μmであり、積層体総厚みに占める厚み比が0.2〜0.5であることを特徴とするスナック菓子包装用積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスナック菓子包装用積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来ポテトチップスなどのスナック菓子の充填包装には複数の材料の積層体からなる包装材料が提案されている。一般的には、タンデム方式の押出ラミネートによる二軸配向ポリプロピレンフィルム層/ポリエチレン樹脂層/アルミニウム蒸着二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム層/ポリエチレン樹脂層/無延伸ポリプロピレンフィルム層の5層構成からなる包装が最も多く用いられている。
【0003】
だが、現行構成では構成する材料の層数が多く、アンカーコート剤の塗布、乾燥工程などの工程が煩雑で、総厚みも比較的大きかった。コストと環境負荷低減の観点から、包装構成の簡素化・薄膜化が求められていた。
【0004】
しかし、これまで5層構成に用いられていた二軸配向ポリエステルフィルムや二軸配向ポリプロピレンフィルムの一方を基材フィルムとし、ガスバリア層・ヒートシール層からなる包装構成とすると、耐突刺性や、保香性や酸素・水蒸気バリア性が不足する。そのため、ポテトチップスのような油分を含み、堅く角のできやすい形状のスナック菓子の場合、充填時にピンホールが発生する問題や、内容物の酸化、湿気、香味成分が透過することなどによる風味低下といった問題が起こるため、適用できる内容物が限られていた。
【0005】
スナック菓子包装においてフィルム二層化、もしくは三層化した包装形態の提案はいくつか行われている(例えば特許文献1参照)。しかし、この提案ではガスバリア性の改善のみが記されており、薄層化で強度低下したことによる充填時のピンホールを改善する手段については述べられていない。
【0006】
また、押出ラミネート方式においてエチレンメタクリル酸共重合体などを用い、押出樹脂層を薄くすることにより積層全体で薄層化、減量化する試みも提案されている。しかしながら、この提案でも最外層と中間層に樹脂フィルムを用いた5層構成であり、工程の複雑さは変わらない(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−025147号公報
【特許文献2】特開2002−120320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は上記した問題点を解消することにある。すなわち、5層よりなる従来の包装構成より薄く簡素な構成でありながら、充填適性・内容物保護性に優れたスナック菓子包装用積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、ヒートシール層とガスバリア層、二軸配向ポリエステルフィルムからなり、二軸配向ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の破断応力の和が560MPa以上、複屈折の絶対値が0.03以下、面配向係数0.167〜0.180、厚みが13〜20μmであり、積層体総厚みに占める厚み比が0.2〜0.5であることを特徴とするスナック菓子包装用積層体によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスナック菓子包装用積層体は薄く簡素な構成でありながら、充填適性・内容物保護性に優れるためスナック菓子包装に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のスナック菓子包装用積層体はヒートシール層とガスバリア層、二軸配向ポリエステルフィルムから構成され、ポリエステルフィルムはポリエステルフィルムの含有成分の総量を100重量%としたとき、エチレンテレフタレート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂(1)の含有割合が75重量%以上である必要がある。ここで主たる構成単位とは、ポリエステル樹脂(1)に95モル%以上含まれる繰り返し単位を指す。
【0011】
本発明に用いられる二軸配向ポリエステルフィルムをなすポリエステルとは、主鎖中の主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称であって、通常、ジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによって得ることができる。
【0012】
ここで使用されるジカルボン酸成分は、主としてテレフタル酸である。本発明の効果を阻害しない限りにおいて、他のジカルボン酸成分、例えば、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を併用することができる。
【0013】
一方、グリコール成分は、主としてエタンジオールである。本発明の効果を阻害しない限りにおいて、他のグリコール成分、例えば、プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール等を併用することができる。これらのジカルボン酸成分とグリコ−ル成分は二種以上を併用してもよい。
【0014】
また、ポリエステルの成分として、ポリエステル樹脂(1)に加え、ブチレンテレフタレート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂(2)をポリエステルフィルムの含有成分の総量を100重量%としたとき、1〜25重量%含有することが好ましい。ポリエステル樹脂(2)を1〜25重量%含有することにより、後に述べる二軸配向ポリエステルフィルムの製膜安定性および延伸性が向上する利点がある。一方で、ポリエステル樹脂(2)を25重量%より多く含有すると、結晶化度低下・可塑化の作用が大きくなり、機械強度低下を招くことから好ましくない。ポリエステル樹脂(1)と同様にジカルボン酸成分とグリコ−ル成分は二種以上を併用してもよいが、ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、グリコール成分としてブタンジオールを用いて得られるホモポリブチレンテレフタレートが好適に用いられる。
【0015】
ポリエステルの重合触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物およびチタン化合物等が挙げられ、中でもゲルマニウム化合物、アンチモン化合物およびチタン化合物が特に好ましく用いられる。また、ポリエステルを製造する際にリン化合物等の着色防止剤を使用することができる。
【0016】
高温、減圧下で重縮合反応せしめたポリエステルは、さらに、その融点以下の温度で減圧下または不活性ガス雰囲気下で固相重合反応せしめ、アセトアルデヒドの含有量を減少させたり、所定の固有粘度、カルボキシル末端基量に調製したりすることができる。
【0017】
本発明のスナック菓子包装用積層体に用いられる二軸配向ポリエステルフィルムには取扱い性、およびラミネート、印刷などの加工性の観点からの平均粒子径0.01〜5μmの粒子を含有することが好ましい。粒子は、フィルム添加用の公知の粒子であればよく、たとえば、内部粒子、無機粒子、有機粒子が好ましい。好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.03〜3重量%含有される。
【0018】
内部粒子を析出させる方法としては公知の技術を用いることができ、例えば、特開昭48−61556号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41355号公報、および特開昭54−90397号公報などに記載の技術を採用することができる。さらに、特公昭55−20496号公報や特開昭59−204617号公報などに記載の他の粒子を併用することもできる。平均粒子径を0.01〜5μmとすると、ポリエステルフィルムに欠陥が生じず好ましい。
【0019】
無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなど、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。
【0020】
また、本発明の効果を妨げない範囲において、二軸配向ポリエステルフィルムには、例えば、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、耐候剤、紫外線吸収剤、顔料および染料などを含有することが可能である。
【0021】
二軸配向ポリエステルフィルムの層構成については、単膜の他に公知のマニホールドやフィードブロックを用いて2層以上の多層構成が可能である。中でもポリエステル樹脂(1)75〜99重量%、ポリエステル樹脂(2)1〜25重量%を含有してなるポリエステルA層と、ポリエステルA層よりポリエステル樹脂(2)の含有量が少ないか、ポリエステル樹脂(2)を含有しないB層からなり、A層の両面にB層が設置されたA層/B層/A層の構成が好ましい。これは、後述する延伸工程をロールにて行う場合、B層よりガラス転移温度の高いA層が表層にくることで、ロール粘着による表面特性の劣化を防ぎ、印刷適性、接着特性が良好になるためである。これらの場合でも二軸配向ポリエステルフィルム全体に含有されるPBT量は1〜25重量%とし、B層の厚みによっても、この範囲に調整することができる。 本発明のスナック菓子包装用積層体を構成するポリエステルフィルムは二軸配向されたものでなければならない。二軸配向ポリエステルフィルムとは、無延伸状態のポリエステルフィルムを、長手(縦)方向および幅(横)方向に延伸されて作られるものであり、分子鎖が二軸配向することによってポリエステルフィルムは機械強度を発現する。
【0022】
本発明のスナック菓子包装用積層体におけるポリエステルフィルムは、耐突刺性の観点から引張試験における二軸方向の破断応力の和が560MPa以上であることが必要である。好ましくは590MPa以上、さらに好ましくは620MPa以上である。二軸方向の破断応力の和が560MPaに満たないポリエステルフィルムを用いた包装構成では耐突刺性が不十分なため、スナック菓子、特に、ポテトチップスなどの堅く鋭利な角のできやすい菓子では、製袋機・包装機による充填時にピンホールが発生する恐れがある。上限は特に規定されないが、ポリエステル樹脂(1)が主にポリエチレンテレフタレートである場合、800MPa程度となる。ここで二軸方向の破断応力の和とは、任意の方向とその垂直方向の破断応力の和であり、長手方向と幅方向の破断応力を測定して求めることが好ましい。
【0023】
本発明のスナック菓子包装用積層体を構成するポリエステルフィルムは、複屈折の絶対値(|Δn|)が0.025以下である必要がある。|Δn|はアッベ屈折計で測定される長手方向、幅方向の屈折率をそれぞれNx、Nyとしたとき、その差の絶対値、|Nx−Ny|より算出される。が大きいほどフィルム面内の配向・機械強度の偏りが大きいことになり、|Δn|が0.025より大きいとスナック菓子包装として十分な突刺強度が発現しない可能性がある。|Δn|は好ましくは0.01以下、さらに好ましくは0.005以下である。最も好ましいのは0となることであるが、逐次二軸延伸方式での製膜で|Δn|を0とするのは容易ではない。|Δn|を掛かる好ましい範囲にするには、二軸延伸での延伸倍率とその際の温度で配向バランスをコントロールする手法が挙げられる。
【0024】
本発明のスナック菓子包装用積層体を構成するポリエステルフィルムは面配向係数(fn)が0.167〜0.180である必要がある。面配向係数(fn)はアッベ屈折計で測定される長手方向、幅方向、幅方向の屈折率をそれぞれNx、Ny、Nzとしたときfn=(Nx+Ny)/2−Nzで算出される値であり、分子鎖の面方向の配向度合を示すパラメータである。また、ポリエステルフィルム面内最大の屈折率をNx、面内の最小の屈折率をNy、厚み方向の屈折率をNzとして算出しても良い。二軸配向ポリエステルのfnが0.167未満であると積層体としたときの突刺強度が不十分であることに加え、内容物の風味保持のために重要なガスバリア性・保香性なども劣るものとなる。ポリエステル樹脂(1)を主成分とするポリエステルフィルムでは、|Δn|を0.03以下としたまま、fnを0.180より大きくするのは困難であり現実的ではない。fnを掛かる好ましい範囲にするには、二軸延伸での延伸倍率とその際の温度、さらには熱固定工程にて結晶化および非晶配向をコントロールする方法が挙げられる。
【0025】
本発明のスナック菓子包装用積層体を構成する二軸配向ポリエステルフィルムは、その厚みが14〜20μmであることが必要である。14μmより厚みが小さいと、積層体としたときの突刺強度とガスバリア性・保香性などが不十分となる。20μmを超えると曲げ強力が大きくなるためハンドリング性が劣り、製袋機ガイド部でのピンホールが発生しやすくなる。また、充填時のシールに要する時間が長くなったり、シール温度の高温化が必要になったりする恐れがある。
【0026】
本発明においては、スナック菓子包装用積層体の総厚みを1とした場合、二軸配向ポリエステルフィルムの占める厚み比(TR)が0.2〜0.5であることが必要である。かかる範囲であれば、包装機でのハンドリング性が良く、充填効率も良い。
【0027】
本発明のスナック菓子包装用積層体を構成するヒートシール層とは、二軸配向ポリエステルフィルムより低融点で熱封緘性を持つ層を指し、内容物を充填・包装し袋としての形態を取るために必要である。
【0028】
本発明のスナック菓子包装用積層体では、内容物の酸化や湿気を防ぎ、風味や香りを守るためガスバリア層を設ける必要がある。
【0029】
本発明のスナック菓子包装用積層体の総厚みは65μm以下であることが好ましい。本発明においては、従来の包装構成より薄く簡素なスナック菓子包装用積層体を提供することを目的としており、総厚みが65μmを超えるとその意味合いが薄れる。下限は特にないが、ヒートシール層としてポリオレフィンシーラントを用いる場合、総厚みを30μm以下とすることは困難である。
【0030】
本発明のスナック菓子包装用積層体は二軸方向の引張破断応力の比(SR)が0.7〜1.2であることが好ましい。かかる範囲であれば本発明の特徴である優れた充填適性を発現することができる。
【0031】
次に本発明に用いられる二軸配向ポリエステルフィルムの具体的な製造方法について記載する。
【0032】
まず、本発明のフィルムで用いるポリエステル樹脂としては上市されているポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂を購入しそのまま用いることができるが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート樹脂の場合、以下のように重合することができる。
【0033】
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール70質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行う。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行する。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、所望の極限粘度のポリエチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。粒子を添加する場合は、エチレングリコールに粒子を分散させたスラリーを所定の粒子濃度となるように重合反応釜に添加して、重合を行うことが好ましい。
【0034】
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造は、たとえば以下のように行うことができる。テレフタル酸100質量部、および1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、0.054質量部のオルトチタン酸テトラ−n−ブチルと、0.054質量部のモノヒドロキシブチルスズオキサイドとを添加しエステル化反応を行う。ついで、0.066質量部のオルトチタン酸テトラ−n−ブチルを添加して、減圧下で重縮合反応を行い、所望の極限粘度のポリブチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。
【0035】
以上のようにして得られたポリエステル樹脂を用いて本発明のフィルムを製造する際の好ましい方法について、具体的に記述する。本発明はこの方法に限られるものではない。窒素雰囲気、真空雰囲気などで、たとえば150℃、5時間の乾燥を個別に行い、ポリエステル樹脂中の水分率を好ましくは50ppm以下とする。その後、各層ごとに押出機に供給し溶融押出する。なお、ベント式二軸押出機を用いて溶融押出を行う場合は樹脂の乾燥工程を省略してもよい。ついで、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。層構成を2層以上にする場合、別々の経路にてフィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を行い、Tダイの上部に設置したフィードブロックやマニホールド内にて任意の積層構成となるように積層する。その際、たとえば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
【0036】
ついで、かかる未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行う。
【0037】
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは、3〜6倍、さらに好ましくは3.2〜5.5倍、特に好ましくは3.5〜4.5倍が採用される。延伸倍率が3倍未満であると、フィルムの厚み斑が著しく悪化する場合がある。一方、延伸倍率が6倍を越えると製膜安定性に劣り、フィルム製造中にフィルム破れが起こる場合がある。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。好ましい延伸温度としては、ガラス転移点〜(ガラス転移点+50℃)の温度が採用されるが、さらに好ましくは60〜120℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を60〜100℃、幅方向の延伸温度を60〜110℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行ってもよい。
【0038】
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、170〜245℃の熱処理温度とするのが好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行うのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。また、上記したように、緊張下で熱処理を行った後、該処理温度の10〜30℃低温でリラックスをかけながら熱処理を行うことは好ましいことである。さらに、インク印刷層や接着剤、蒸着層との接着力を向上させるため、フィルム表面にコーティング層を設けることもできる。
【0039】
コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸し、コロナ処理したフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーなどで均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際コーティング層厚みとしては0.01〜0.5μmとするのが好ましい。
【0040】
こうして製膜した二軸配向ポリエステルフィルム上に、以下に記載するように、ガスバリア層およびヒートシール層を設ける。 ヒートシール層としては二軸配向ポリエステルフィルム上に二軸配向ポリエステルフィルムより融点の低いヒートシール性樹脂を押出ラミネートする方法、また、ヒートシール性を有する樹脂よりなるシーラントフィルムをラミネートする方法などの公知の方法を用いて設けることができる。
【0041】
ヒートシール性樹脂としては低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレンアクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアルキレート共重合体などの押出グレードのものを用いることができる。また、非晶性ポリエステル樹脂を押出ラミネートすることもでも設けることもできる。
【0042】
シーラントフィルムをラミネートして用いる場合、融点が150〜230℃以下、好ましくは170〜220℃以下のポリエステルフィルムも使用することができるが、ポリオレフィンシーラントが多く用いられ、おもにポリエチレン系とポリプロピレン系からなるものに二分できる。本発明においては、ポリオレフィンシーラントフィルムをラミネートする手法が充填適性の点から好ましい。なかでも、スナック菓子包装では液体包装より比較的内容物が軽量であることから、ポリプロピレン系シーラントが好適に用いられる。
【0043】
ポリオレフィンシーラントフィルムを用いる場合には、二軸配向ポリエステルフィルムの破断伸度の最小値に相当する伸度での応力が大きいものが、耐突刺性向上の観点から好ましい。
【0044】
被接着面となるフィルム表面にはコロナ放電処理などの方法による前処理を施しておくことが好ましい。さらに、プラズマ処理、アルカリ処理、火炎処理および電子線放射処理などの表面処理を必要に応じて施してもよい。さらにアンカーコート剤により接着強度を向上させることが好ましく、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系、イソシアネート系を用いることができる。
【0045】
ガスバリア層は二軸配向ポリエステルフィルムとヒートシール層との間に設けることがガスバリア性維持の観点から好ましい。主な手法としては蒸着、ガスバリア性コーティングのいずれか、または双方を二軸配向フィルムやポリオレフィンシーラントフィルム上に施す方法などが挙げられる。アルミニウム箔をラミネートすることでも高いガスバリア性は得られるが、環境負荷の点からは他の方法を用いる方が好ましい。
【0046】
蒸着源としてはアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化セリウム、酸化カルシウム、ダイアモンド状炭素膜、あるいはそれらの混合物など、公知の材質を用いることができる。蒸着簿膜の作製方法としては、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法、プラズマCVDなど各種化学蒸着法などを用いることができる。生産性やコストの点からは真空蒸着法が特に好ましく用いられる。
【0047】
シーラントフィルムと二軸配向ポリエステルフィルムのラミネートはヒートシール性樹脂をフィルム間に溶融押出するポリサンド方式か、接着剤にてドライラミネートする方式が好ましい。特に、接着剤でのドライラミネートは本発明の目的である薄膜化の効果が大きい。また、押出ラミネートのような高熱での工程がなく、二軸配向ポリエステルフィルムの強度低下の可能性がなくなるため、より好ましい。
【0048】
ポリサンド方式の場合、前述したヒートシール性樹脂を二軸配向ポリエステルフィルムとシーラントフィルムの間に10〜20μm程度押出して貼り合わせる手法が一般的であり、予め被接着面となるフィルムの表面を改質しておくのが好ましい。
【0049】
ドライラミネートにおいても、二軸配向ポリエステルフィルム側に予めコロナ処理などの前処理を施しておくのが好ましい。コロナの処理強度は5〜50W・min/mが好ましく、より好ましくは10〜45W・min/mである。さらに、プラズマ処理、アルカリ処理、火炎処理および電子線放射処理などの表面処理を必要に応じて施してもよい。接着剤としては、ウレタン系接着剤が取扱い性や常温硬化性、柔軟性、接着強度などに優れることから好適に用いられる。
【0050】
本発明のスナック菓子包装用積層体においては、ヒートシール層およびガスバリア層として、金属蒸着層もしくは金属酸化物層を設けたポリオレフィンシーラントフィルムを接着剤でドライラミネートすることが工程簡略化、薄膜化の面からも、充填適性および内容風味保持性の観点からも好ましい。
【0051】
本発明の積層体からなるスナック菓子包装袋の形態としてはヒートシール層を対向させ中央部でシールし片側に折り曲げ、上下をシールした合掌貼り形式のピロー包装と呼ばれる形態が、充填・シール効率、製品の易開封性の観点より好ましい。
【実施例】
【0052】
本発明を実施例と比較例を用い詳細に説明する。
【0053】
各物性と特性の測定、評価は以下の手法にて行った。
[評価方法]
(1)極限粘度
ポリエステル樹脂およびフィルムの極限粘度は、ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。
【0054】
(2)フィルム厚み
フィルムおよび積層体の厚みはダイアルゲージを用い任意の50点を測定、その平均値とした。
【0055】
(3)厚み比(TR)
二軸配向ポリエステルフィルムの厚みを積層体の総厚みで除して求めた。
【0056】
(4)破断応力、破断荷重
JIS−Z−1702に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて、23℃、65%RHにて測定した。
【0057】
(5)破断荷重の比(LR)
長手方向の10mm幅引張破断荷重を幅方向の10mm幅引張破断荷重で除して求めた。
【0058】
(6)面配向係数および複屈折の絶対値
偏光子を備えた屈折計(アタゴ(株)製アッベ屈折計4T)を用いて二軸配向ポリエステルフィルムの長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれNx、Ny、Nz)を測定し、次式で面配向係数(fn)と複屈折の絶対値(|Δn|)を求めた。
fn=(Nx+Ny)/2−Nz
|Δn|=|Nx−Ny|。
【0059】
(7)充填適性
(I)突刺強度
直径40mmのリングに積層体を弛みのないように張り、先端角度60度、先端R0.5mmのサファイア製針を使用し、円の中央を50mm/分の速度で突き刺し、針が貫通するときの荷重を測定した。7.5N以上を合格とする。
【0060】
(II)充填試験
充填包装機にて窒素ガス置換しながらポテトチップス85gを充填、合掌貼りピロー袋を作製した。500袋連続で充填し、充填工程にて内容物による突刺ピンホール、シール不良などが発生したものを×とした。
【0061】
(8)風味保持性
(I)官能試験
充填試験で作製したサンプルを23℃、65%RH、蛍光灯下で30日間保持した後、パネラー3名で試食し評価した。同日作製のポテトチップスと比較し、湿気、油脂の酸化臭、香味の減少など風味の劣化を減点する5点満点の官能評価を行った。4以上の良好なものを合格とした。
【0062】
(II)ガスバリア性
(A)酸素透過率測定
ラミネートフィルムサンプルを温度20℃、0%RHの条件で、酸素透過率測定装置(米国MOCON社製、OXTRAN 2/20)を使用して測定した。4.0cm/m・day以下を○とした。
【0063】
(B)水蒸気透過性
ラミネートフィルムサンプルを温度40℃、90%RHの条件下で水蒸気透過率測定装置(米国MOCON社製、PERMATRANW3/31)を使用して測定した。0.5g/m・day以下を合格とした。
【0064】
[ポリエステルの製造]
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
【0065】
(1)ポリエステル(a)
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール60質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行した。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、極限粘度0.65,副生したジエチレングリコール量2モル%のポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。これを、ポリエステル(a)とした。
【0066】
(2)ポリエステル(b)
テレフタル酸100質量部、および1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を、窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054質量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054質量部を添加し、エステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066質量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、極限粘度0.75のポリブチレンテレフタレート樹脂を作製した。その後、140℃、窒素雰囲気下で結晶化を行い、ついで窒素雰囲気下で200℃、6時間の固相重合を行い、極限粘度1.22のポリブチレンテレフタレート樹脂とした。これを、ポリエステル(b)とした。
【0067】
(3)粒子マスター(c)
上記ポリエステル(a)を製造する際、エステル交換反応後に平均粒子径2.4μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加してから重縮合反応を行い、ポリマー中の粒子濃度2質量%の粒子マスター(c)を得た。
【0068】
以下に本発明の実施例と比較例を示す。
【0069】
(実施例1)
以下に示すA層、B層をなす樹脂を180℃で3時間真空乾燥した後、2つの押出機に供給し、フィードブロックにてA/B/A層として押出温度280℃で溶融押出を行い、静電印加しながら鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムを得た。なお、積層比はこの未延伸フィルムを、非粘着シリコーンロールにてロール/ロール間で延伸温度85℃にて長手方向に4.1倍延伸後、テンター内にて95℃で幅方向に3.9倍延伸し、次いで、熱固定温度205℃にて5秒間、さらに幅方向に4.3%のリラックスを掛けながら190℃で5秒間の熱処理を行った上、得られたフィルムのドラム面側にコロナ処理を施した。こうして作製した厚さ16.8μmの二軸配向ポリエステルフィルムのコロナ処理面側にグラビア印刷にて印刷インキ層を設けた。東レフィルム加工(株)製、厚み40μmアルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレンシーラント、2703の金属蒸着面と二軸配向ポリエステルフィルムの印刷インキ層を対向させ、接着剤を以下の要領で塗布しドライラミネートした。得られた積層体を40℃で24時間エージングし各種評価を行った。
【0070】
(ポリエステル樹脂組成)
A層としてポリエステル樹脂(a)96.3重量部、粒子マスター(c)3.7重量部、B層としてポリエステル樹脂(a)85重量部、ポリエステル樹脂(b)15重量部それぞれ混合して用いた。
【0071】
(ドライラミネート要領)
三井武田ケミカル製タケラックA610とタケネートA60を16:1で混合し、固形分濃度25%になるよう酢酸エチルで調製した。塗布量を3.8g/mとなるようグラビアロールコーターで塗布した。
【0072】
(実施例2)
原料としてポリエステル樹脂(a)97重量部、粒子マスター(e)3重量部を混合し、180℃で3時間真空乾燥した後、押出機に供給、押出温度280℃で溶融押出を行い、静電印加しながら鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムを得た。延伸、熱固定条件として、長手方向の延伸温度を98℃、延伸倍率を3.8倍、幅方向の延伸温度を110℃、延伸倍率4.0倍とし、熱固定温度を225℃、5秒間、リラックス3.8%で210℃、5秒間の熱処理と変更し厚みを14.8μmとした他は、実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを作製し、以降の加工を行い、積層体を作製して評価した。
【0073】
(実施例3)
原料としてポリエステル樹脂(a)76重量部、ポリエステル樹脂(b)20重量部、粒子マスター(e)4重量部180℃で3時間真空乾燥した後、押出機に供給、押出温度280℃で溶融押出を行い、静電印加しながら鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムを得た。以下、実施例1と同様の条件で製膜し、厚みを19.2μmとした二軸配向ポリエステルフィルムを得て、実施例1と同様にコロナ処理後印刷を施した。シーラントフィルムとして東レフィルム加工(株)製、厚み30μmのアルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレンシーラント2703積層体を用いた他は実施例1と同様に以降の加工を行い、積層体を作製して評価した。
【0074】
(実施例4)
実施例2にて作製した印刷された二軸配向ポリエステルフィルムに東レフィルム加工(株)製、厚み30μmのアルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレンシーラント2703、の金属蒸着面との間に、日本ポリエチレン(株)製直鎖状低密度ポリエチレン“ノバテック”UE320を320℃にて溶融し、15μmの厚みに押出し、サンドイッチラミ方式で積層体を作製し、評価した。
【0075】
(実施例5)
二軸配向ポリエステルフィルムの製膜工程において、幅方向の延伸倍率を4.1倍、熱固定温度を230℃で5秒間、リラックス3.8%で220℃、5秒間にした変更した他は、実施例2と同様に作製し、14.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。以降の加工を同様に行い、積層体を作製して評価した。
【0076】
(比較例1)
実施例1において二軸配向ポリエステルフィルムの厚みを10.0μmとした他は、同様に製膜し、以降の加工を行い、積層体を作製して評価した。
【0077】
(比較例2)
実施例1において二軸配向ポリエステルフィルムの厚みを24.8μmとした他は、同様に製膜し、以降の加工を行い、積層体を作製して評価した。
【0078】
(比較例3)
原料としてポリエステル樹脂(a)56重量部、ポリエステル樹脂(b)40重量部、粒子マスター(e)4重量部180℃で3時間真空乾燥した後、押出機に供給、押出温度280℃で溶融押出を行い、静電印加しながら鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムを得た。長手方向の延伸温度80℃、延伸倍率4.1倍、幅方向の延伸温度95℃、延伸倍率4.2倍とし、熱固定温度205℃にて5秒間、さらに幅方向に4.5%のリラックスを掛けながら190℃で5秒間の熱処理を施した。こうして得た16.3μmの二軸配向ポリエステルフィルムを実施例1と同様の工程で加工し、積層体を作製して評価した。
【0079】
(比較例4)
二軸配向ポリエステルフィルム製膜工程において、延伸、熱固定条件を長手方向の延伸温度105℃、延伸倍率3.8倍、幅方向延伸温度110℃、延伸倍率3.7倍とし、熱固定温度を240℃、5秒間、リラックス2.0%で220℃、5秒間の熱処理と変更した他は、実施例2と同様にして得た二軸配向ポリエステルフィルムについて以降の加工を行い、積層体を作製して評価した。
【0080】
(比較例5)
基材フィルムとして、厚み20.0μmの東レ(株)製二軸配向ポリプロピレンフィルム“トレファン”2535を用い、コロナ処理面側にグラビア印刷にて印刷インキ層を設けた。以降の加工は実施例1と同様に行い、積層体を作製して評価した。
【0081】
(比較例6)
基材フィルムとして厚み16.0μmの東レ(株)製二軸配向ポリエステルフィルム“ルミラー”P60を用い、コロナ処理面側にグラビア印刷にて印刷インキ層を設けた。以降の加工は実施例1と同様に行い、積層体を作製して評価した。
【0082】
(比較例7)
比較のため、従来の包装構成の積層体を作製した。タンデム方式のラミネート装置を用い、コロナ処理面にグラビア印刷にて印刷インキ層を設けた厚み20.0μmの東レ(株)製二軸配向ポリプロピレンフィルム“トレファン”2535と、厚み9.0μmの東レフィルム加工(株)製アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート二軸配向フィルム1610、さらに20.0μmの東レ(株)製無延伸ポリプロピレンシーラントフィルム“トレファン”9160をサンドイッチラミ方式で積層体を作製した。なお、押出レジンとしては日本ポリエチレン(株)製直鎖状低密度ポリエチレン“ノバテック”UE320を用い、320℃にて溶融し、10μmの厚みに押出した。
【0083】
表1、2に各実施例、比較例の包装構成および物性、表3、4に評価結果を示す。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
各実施例がいずれも従来構成である比較例7と同等に特性に優れるのに対し、比較例1、3、4、5、6では充填時にピンホールが発生、比較例2ではシール不良が発生し、充填特性不適となった。また、比較例5は官能試験において風味の劣化が感じられ、風味保持性に劣った。
【0089】
また、実施例、比較例において粒子マスター主たる構成成分がポリエステル(a)と同一であることから、ポリエステル樹脂(1)と見なすことができるため、他のポリエステル樹脂(1)と合算して、混合比を算出することとした。
【0090】
なお、表中の略号は以下の通りである。
|Δn|:複屈折の絶対値
fn:面配向係数
TR:厚み比
SR:破断応力の比
F:基材フィルム
VM:アルミニウム真空蒸着
CPP:無延伸ポリプロピレンシーラントフィルム
PE:ポリエチレン樹脂
PET:二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム
EL:押出ラミネーション
OPP:二軸配向ポリプロピレンフィルム
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のスナック菓子包装用積層体は薄く簡素な構成でありながら、充填適性・内容物保護性に優れるためスナック菓子包装に好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール層とガスバリア層、以下の(a)〜(f)の要件を満たす二軸配向ポリエステルフィルムからなるスナック菓子包装用積層体。
(a)二軸配向ポリエステルフィルムの含有成分の総量を100重量%としたとき、エチレンテレフタレート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂(1)の含有割合が75重量%以上、
(b)二軸方向の破断応力の和が560MPa以上、
(c)複屈折の絶対値|Δn|が0.025以下、
(d)面配向係数fnが0.167〜0.180、
(e)厚みが14〜20μm、
(f)スナック菓子包装用積層体の総厚みを1とした場合、二軸配向ポリエステルフィルムの占める厚み比(TR)0.2〜0.5。
【請求項2】
前記ヒートシール層およびガスバリア層が金属蒸着層および/または金属酸化物層を設けたポリオレフィンシーラントフィルムであり、総厚みが65μm以下である請求項1に記載のスナック菓子包装用積層体。
【請求項3】
スナック菓子包装用積層体の二軸方向の引張破断応力の比(SR)が0.7〜1.2である請求項1または2に記載のスナック菓子包装用積層体。
【請求項4】
前記二軸配向ポリエステルフィルムの全体での含有成分の総量を100重量%としたとき、ブチレンテレフタレート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂(2)が1〜25重量%含有されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のスナック菓子包装用積層体。
【請求項5】
前記二軸配向ポリエステルフィルムが前記ポリエステル樹脂(1)75〜99重量%、前記ポリエステル樹脂(2)1〜25重量%を含有してなるポリエステルA層と、ポリエステルA層より前記ポリエステル樹脂(2)の含有量が少ないか、前記ポリエステル樹脂(2)を含有しないB層からなり、A層の両面にB層が設置されてなることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のスナック菓子包装用積層体。
【請求項6】
前記シーラントフィルムと前記二軸配向ポリエステルフィルムとが接着剤を介してドライラミネートされてなる請求項1〜5のいずれかに記載のスナック菓子包装用積層体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の積層体からなるスナック菓子包装袋。


【公開番号】特開2007−144918(P2007−144918A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345353(P2005−345353)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】