説明

スニチニブの新規な多形およびその調製方法

本発明は、スニチニブ遊離塩基のII型およびIII型と呼ばれる新規な多形およびその調製方法に関する。本発明はまた、APIとしておよびさまざまな型のスニチニブの調製におけるこれらの使用に関する。さらに、本発明は、本発明に従い調製される前記新規な多形および塩、溶媒和物および水和物を含有する医薬組成物、ならびに癌の治療および/または予防における前記医薬組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、スニチニブ遊離塩基のII型およびIII型と呼ばれる新規な多形およびその調製方法に関する。本発明はまた、APIとしておよびさまざまな型のスニチニブの調製におけるこれらの使用に関する。さらに、本発明は、本発明に従い調製される前記新規な多形および塩、溶媒和物および水和物を含有する医薬組成物、ならびに癌の治療および/または予防における前記医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
式(I)で表わされ、化学的にN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミドと称されるスニチニブは、複数の選択された受容体チロシンキナーゼ(RTK)のシグナル伝達経路を標的とし、かつ遮断する経口チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)である。
【0003】
【化1】

【0004】
ATP結合部位の競合的阻害により、スニチニブは、密接に関連する一群のRTKのTK活性を阻害する。この一群のRTKはすべて、人のさまざまな悪性腫瘍、すなわち、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR−1、−2、−3)、血小板由来増殖因子受容体(PDGF−R)、幹細胞因子(KIT)、CSF−1R、Flt3およびRET、に関与している。したがって、スニチニブは癌および腫瘍の治療に有用である。現在これは、切除不可能および/または転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)、ならびに進行性および/または転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療用に販売されている。この製品は、スニチニブリンゴ酸塩として、スーテント(登録商標)という商標名で販売されている。
【0005】
スニチニブは、WO2001/060814およびEP1255752において、数多くのPK調節化合物の1つとして初めて記載された。そこには多数の塩の可能性も開示されている。このような塩は、塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、およびコハク酸塩を含み得る。しかしながら、この開示は、スニチニブの特定の結晶型の性質には言及していない。
【0006】
WO2003/016305ではさらに、遊離塩基は小さな粒子として結晶化するかもしれないが、たとえば大量スケールで実施する際、ろ過を容易にするには粒径がより大きな結晶が望ましいと記載されている。
【0007】
製剤研究者にとって、活性医薬成分(API)の代替形態を開発することは、長年にわたる目的である。塩、溶媒和物および水和物を含むこういった形態は、コストの都合でまたは法的な問題を回避する手段として、活性成分の単純な代替品として使用されることがあり、または改善された溶解速度、より簡単な製造、より高いバイオアベイラビリティ、より低い毒性またはより高い効果等の有利な特性を持っていることがある。同じ理由で、製剤研究者はAPIの新たな多形も開発しようとするであろう。
【0008】
多形は、同じ分子式を共有する別個の固体であるが、各々の多形は別個の物理的特性を有する可能性がある。したがって、単一の化合物にさまざまな多形が生じる可能性があり、各形態は、異なる溶解度プロファイル、異なる融点温度および/または異なるX線回折ピーク等の異なる別個の物理的特性を有している。各々の多形の溶解度は変化する可能性があり、したがって、医薬組成物の溶解度プロファイルを予測可能にするには、APIの多形の存在を識別することが必須となる。化合物の多形は、X線回折分光法によって、および赤外分光法等の他の方法によって実験室で識別することができる。加えて、同じ活性医薬成分の多形の特性が、APIを含有する医薬品組成物の製造に影響を及ぼすことは医薬の分野においてよく知られている。たとえば、APIの溶解度、安定性、流動性、可鍛性および圧縮性、ならびに医薬品の安全性および効果は、多形に依存し得る。
【0009】
薬学的に有用な化合物の新しい多形の発見により、医薬品の性能特徴を向上させる機会が得られる。また、製剤研究者が、たとえば、目標とされる放出プロファイルまたは他の所望の特徴を備えた医薬の医薬投薬形態を計画するのに使用可能な材料も追加される。多形が、医薬組成物の調製においてまたは別の活性医薬成分(API)の調製において中間体として有用かつ有利であることが見出されれば、次の課題は、簡単かつ費用効果が高く、可能な最も純粋な形態で所望の多形を提供する合成方法を開発することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、大量スケールでの生産に適した改善された特性を有するスニチニブの新規な多形を提供することである。改善された特性は、改善された溶解度、バイオアベイラビリティ、化学的安定性および多形的安定性を含む安定性、流動性、可搬性、圧縮性、成形性、毒性、効果または安全性を含み得る。
【0011】
本発明の他の目的は、この新規な多形の製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、この新規な多形を含有する医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、無水物で、結晶性で、非吸湿性で、安定で、大量スケールでの調製に適したスニチニブ遊離塩基の新規な多形を開発した。
【0013】
したがって、本発明の第1の側面において、Cuα線を使用したとき、3.76、4.38、7.65、8.93、10.17、11.57、16.46、17.92、20.15、25.69、26.39、27.83、28.40、40.04、および49.65±0.2°の2θに、2θ値の2つ以上のピーク(好ましくは3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、または15のピーク)を含む特徴的なXRPDスペクトルを有するスニチニブのII型結晶が提供される。好ましくは、本発明は、Cuα線を使用したとき、3.76、4.38、7.65、8.93、10.17、11.57、16.46、17.92、20.15、25.69、26.39、27.83、28.40、40.04、および49.65±0.2°の2θに、2θ値の2つ以上の主要なピークを含む特徴的なXRPDスペクトルを有するスニチニブのII型結晶を提供する。特に好ましい態様は、実質的に図1に示されるXRPDスペクトルを有するスニチニブのII型結晶を含む。
【0014】
好ましくは、本発明の第1の側面に従うII型結晶はさらに、10℃/分の加熱速度を使用したとき、約238℃に、好ましくは約212℃、225℃および238℃に吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。好ましくは、このスニチニブII型は、実質的に図2に示されるDSCトレースを有する。
【0015】
別の態様では、本発明の第1の側面に従うII型結晶はさらに、10℃/分の加熱速度を使用したとき、約25〜220℃の間の範囲における0%の熱重量分析(TGA)損失によって特徴付けられる。好ましくは、このスニチニブII型は、実質的に図3に示されるTGAトレースを有する。
【0016】
好ましくは、本発明の第1の側面に従うスニチニブのII型結晶は無水物である。ある態様において、無水物II型は、約5%未満、より好ましくは約4%未満、最も好ましくは約2%未満の水を含む。さらなる態様において、このII型は非吸湿性であり安定である。
【0017】
好ましくは、スニチニブのII型結晶の、好ましくはHPLCによって測定される化学純度は、99%より高く、好ましくは99.3%より高く、より好ましくは99.4%より高く、さらにより好ましくは99.5%より高く、さらにより好ましくは99.6%より高く、さらにより好ましくは99.7%より高く、最も好ましくは99.9%より高い。
【0018】
好ましくは、スニチニブのII型結晶の、好ましくはXRPDまたはDSCによって測定され、好ましくはXRPDによって測定される多形純度は、98%より高く、好ましくは99%より高く、好ましくは99.3%より高く、より好ましくは99.4%より高く、さらにより好ましくは99.5%より高く、さらにより好ましくは99.6%より高く、さらにより好ましくは99.7%より高く、最も好ましくは99.9%より高い。
【0019】
本発明の第2の側面に従い、
(a)スニチニブを溶媒に溶解または懸濁させるステップと、
(b)スニチニブのII型結晶をステップ(a)で得られた溶液または懸濁液から析出させるステップと、
(c)ステップ(b)で得られた固体を単離するステップとを含む、スニチニブのII型結晶の調製方法が提供される。
【0020】
好ましくは、スニチニブをステップ(a)で溶解させる。
好ましくは、ステップ(a)における溶媒は水酸基を含まない溶媒である。好ましくは、ステップ(a)における水酸基を含まない溶媒はエステルである。好ましいエステルはエステルR−COORであり、各Rは独立してC−Cアルキル、C−C10アリールアルキルまたはC−C10アリールであり、これらは各々任意に置換されていてもよい。好ましくは、エステルは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸イソアミル、フェニル酢酸メチル、酪酸エチル、安息香酸ベンジル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、またはそれらの混合物である。最も好ましくは、エステルは酢酸エチルである。
【0021】
別の態様では、スニチニブを溶解させるように、ステップ(a)における溶媒を加熱し、最も好ましくは、スニチニブを還流温度まで加熱する。より好ましくは、この温度は約64〜68℃の間である。
【0022】
特に好ましい態様では、ステップ(a)からの溶液をさらにろ過する。最も好ましくは、ステップ(a)で得られた溶液を、真空または部分真空下でろ過する。
【0023】
別の特に好ましい態様では、ステップ(b)は、ステップ(a)で得られた溶液を冷却することによってこの溶液からII型を析出させることを含み、最も好ましくは、この溶液を約0〜5℃の間まで冷却する。代替的に、ステップ(a)からのスニチニブを含む溶媒を加熱して溶解させた態様において、溶液を、周囲温度まで、最も好ましくは約20〜35℃の間まで、冷却する。
【0024】
いくつかの態様では、溶媒を蒸発させ、ステップ(b)で得られた固体を単離する。代替の好ましい態様では、ステップ(b)の反応混合物を、好ましくは真空下でろ過する。好ましくは、単離したスニチニブを、ステップ(a)で用いた溶媒で洗浄する。好ましくは、単離したスニチニブを、一定重量になるまで、好ましくは約40℃で、好ましくは減圧の条件で、最も好ましくは真空または部分真空下で、乾燥させる。
【0025】
好ましくは、本発明の第2の側面の方法は、工業的スケールで、好ましくは0.1kg以上、0.5kg以上、1kg以上、5kg以上、10kg以上、または50kg以上の単位で、スニチニブII型を得るために実行される。
【0026】
好ましくは、スニチニブII型は、収率50%以上、60%以上、70%以上、または80%以上で得られる。
【0027】
好ましくは、得られたスニチニブII型の、好ましくはHPLCによって測定される化学純度は、99%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、または99.9%以上である。
【0028】
好ましくは、得られたスニチニブII型の、好ましくはXRPDまたはDSCによって測定され、好ましくはXRPDによって測定される多形純度は、98%以上、99%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、または99.9%以上である。
【0029】
本発明の第3の側面に従い、Cuα線を使用したとき、4.40、8.91、10.45、14.79、16.40、18.00、18.59、20.11、22.76、25.56、27.81、32.31、40.02、および49.71±0.2°の2θに、2θ値の2つ以上のピーク(好ましくは3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、または14のピーク)を含む特徴的なXRPDスペクトルを有するスニチニブのIII型結晶が提供される。好ましくは、本発明は、Cuα線を使用したとき、4.40、8.91、10.45、14.79、16.40、18.00、18.59、20.11、22.76、25.56、27.81、32.31、40.02、および49.71±0.2°の2θに、2θ値の2つ以上の主要なピークを含む特徴的なXRPDスペクトルを有するスニチニブのIII型結晶を提供する。特に好ましい態様は、実質的に図4に示されるXRPDスペクトルを有するスニチニブのIII型結晶を含む。
【0030】
好ましくは、本発明の第3の側面に従うIII型結晶はさらに、10℃/分の加熱速度を使用したとき、約239℃に吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。好ましくは、このスニチニブIII型は、実質的に図5に示されるDSCトレースを有する。
【0031】
別の態様では、本発明の第3の側面に従うIII型結晶はさらに、10℃/分の加熱速度を使用したとき、約25〜220℃の間の範囲における0%の熱重量分析(TGA)損失によって特徴付けられる。好ましくは、このスニチニブIII型は、実質的に図6に示されるTGAトレースを有する。
【0032】
好ましくは、本発明の第3の側面に従うスニチニブのIII型結晶は無水物である。ある態様において、無水物III型は、約5%未満、より好ましくは約4%未満、最も好ましくは約2%未満の水を含む。さらなる態様において、このIII型は非吸湿性であり安定である。
【0033】
好ましくは、スニチニブのIII型結晶の、好ましくはHPLCによって測定される化純度は、99%より高く、好ましくは99.3%より高く、より好ましくは99.4%より高く、さらにより好ましくは99.5%より高く、さらにより好ましくは99.6%より高く、さらにより好ましくは99.7%より高く、最も好ましくは99.9%より高い。
【0034】
好ましくは、スニチニブのIII型結晶の、好ましくはXRPDまたはDSCによって測定され、好ましくはXRPDによって測定される多形純度は、98%より高く、好ましくは99%より高く、好ましくは99.3%より高く、より好ましくは99.4%より高く、さらにより好ましくは99.5%より高く、さらにより好ましくは99.6%より高く、さらにより好ましくは99.7%より高く、最も好ましくは99.9%より高い。
【0035】
本発明の第4の側面に従い、
(a)スニチニブを溶媒に溶解または懸濁させるステップと、
(b)スニチニブのIII型結晶をステップ(a)で得られた溶液または懸濁液から析出させるステップと、
(c)ステップ(b)で得られた固体を単離するステップとを含む、スニチニブのIII型結晶の調製方法が提供される。
【0036】
好ましくは、スニチニブをステップ(a)で溶解させる。
好ましくは、ステップ(a)における溶媒は水酸基を含まない溶媒である。好ましくは、溶媒はケトンである。好ましいケトンは、ケトンR−CORであり、各Rは独立してC−Cアルキル、C−C10アリールアルキルまたはC−C10アリールであり、これらは各々任意に置換されていてもよい。好ましくは、ケトンはアセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルイソプロピルケトン、アセトフェノン、イソフォロン、メシチルオキシド、またはそれらの混合物である。最も好ましくは、ステップ(a)の溶媒はアセトンである。
【0037】
代替の態様では、ステップ(a)における溶媒は、アルコールであり、より好ましくはC−Cアルコールである。好ましいアルコールはアルコールR−OHであり、Rは、C−Cアルキル、C−C10アリールアルキルまたはC−C10アリールであり、これらは各々任意に置換されていてもよい。好ましくは、Rは未置換のC−Cアルキルである。好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、またはイソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールまたはそれらの混合物である。ある態様において、アルコールはエタノールではない。最も好ましくは、溶媒はイソプロピルアルコール(IPA)である。
【0038】
好ましくは、スニチニブを溶解させるように、ステップ(a)における溶媒を加熱し、最も好ましくは、スニチニブをより高い温度まで、好ましくは還流温度まで加熱する。好ましくは、溶媒がアセトンのとき、この温度は約54〜58℃の間であり、溶媒がIPAのとき、この温度は約78〜82℃の間である。
【0039】
特に好ましい態様では、ステップ(a)で得られた溶液を、最も好ましくは減圧または真空下で、さらにろ過する。
【0040】
別の特に好ましい態様では、ステップ(b)は、ステップ(a)で得られた溶液を冷却することによってこの溶液からIII型を析出させることを含み、最も好ましくは溶液を約0〜5℃の間まで冷却する。代替的に、ステップ(a)からのスニチニブを含む溶媒を加熱して溶解させる態様において、溶液を、周囲温度まで、最も好ましくは約20〜35℃の間まで冷却する。
【0041】
いくつかの態様では、溶媒を蒸発させ、ステップ(b)で得られた固体を単離する。代替の好ましい態様では、ステップ(b)の反応混合物を、好ましくは真空下でろ過する。好ましくは、単離したスニチニブを、ステップ(a)で用いた溶媒で洗浄する。好ましくは、単離したスニチニブを、一定重量になるまで、好ましくは約40℃で、好ましくは減圧の条件で、最も好ましくは真空または部分真空下で、乾燥させる。
【0042】
好ましくは、本発明の第4の側面の方法は、工業的スケールで、好ましくは0.1kg以上、0.5kg以上、1kg以上、5kg以上、10kg以上、または50kg以上の単位で、スニチニブIII型を得るために実行される。
【0043】
好ましくは、スニチニブIII型は、収率50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上で得られる。
【0044】
好ましくは、得られたスニチニブIII型の、好ましくはHPLCによって測定される化学純度は、99%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、または99.9%以上である。
【0045】
好ましくは、得られたスニチニブIII型の、好ましくはXRPDまたはDSCによって測定され、好ましくはXRPDによって測定される多形純度は、98%以上、99%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、または99.9%以上である。
【0046】
本発明の第5の側面は、本発明の第1の側面に従う、もしくは、本発明の第2の側面に従う方法によって調製されたスニチニブII型、または本発明の第3の側面に従う、もしくは本発明の第4の側面に従う方法によって調製されたスニチニブIII型を、リンゴ酸と反応させることを含む、スニチニブリンゴ酸塩の調製方法を提供する。好ましくは、リンゴ酸はL−リンゴ酸であり、または代替的に、リンゴ酸はD−リンゴ酸である。
【0047】
好ましくは、本発明の第1の側面に従う、もしくは、本発明の第2の側面に従う方法によって調製されたスニチニブII型、または本発明の第3の側面に従う、もしくは本発明の第4の側面に従う方法によって調製されたスニチニブIII型、または本発明の第5の側面に従う方法によって調製されたスニチニブリンゴ酸塩は、医薬に使用するために、好ましくは癌または腫瘍を治療もしくは予防するために、より好ましくは切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)を治療もしくは予防するために好適である。
【0048】
本発明の第6の側面に従い、本発明の側面のうちのいずれかに従うスニチニブII型またはIII型を含有する医薬組成物が提供される。好ましくは、本発明の第6の側面に従う医薬組成物は、癌または腫瘍を治療もしくは予防するのに、より好ましくは切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)を治療もしくは予防するのに使用される。
【0049】
本発明の第7の側面に従い、癌または腫瘍を治療もしくは予防するための医薬の製造のための、好ましくは切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)を治療もしくは予防するための医薬の製造のための、本発明の第1の側面に従う、もしくは本発明の第2の側面に従う方法によって調製されたスニチニブII型の使用、または本発明の第3の側面に従う、もしくは本発明の第4の側面に従う方法によって調製されたスニチニブIII型の使用、または本発明の第5の側面に従う方法によって調製されたスニチニブリンゴ酸塩の使用が、提供される。
【0050】
本発明の第8の側面に従い、本発明の第1の側面に従う、もしくは本発明の第2の側面に従う方法によって調製された、スニチニブII型の治療的もしくは予防的に有効な量、または本発明の第3の側面に従う、もしくは本発明の第4の側面に従う方法によって調製された、スニチニブIII型の治療的もしくは予防的に有効な量、または本発明の第5の側面に従う方法によって調製されたスニチニブリンゴ酸塩の治療的もしくは予防的に有効な量、または本発明の第6の側面に従う医薬組成物の治療的もしくは予防的に有効な量を、これを必要としている患者に投与することを含む、癌または腫瘍を治療もしくは予防する方法が提供される。好ましくは、この方法は、切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)を治療もしくは予防するためのものである。好ましくは、患者は哺乳動物、好ましくはヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】スニチニブII型の粉末X線回折(XRPD)を説明する図である。
【図2】スニチニブII型の示差走査熱量測定(DSC)を説明する図である。
【図3】スニチニブII型の熱重量分析(TGA)を説明する図である。
【図4】スニチニブIII型の粉末X線回折(XRPD)を説明する図である。
【図5】スニチニブIII型の示差走査熱量測定(DSC)を説明する図である。
【図6】スニチニブIII型の熱重量分析(TGA)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
発明の詳細な説明
概要を上に述べたように、本発明は、非吸湿性で、多形的に安定で、かつ先行技術に関連する問題を回避する有益な特性を備えた、II型およびIII型と呼ばれるスニチニブの2つの新しい結晶型を提供する。本発明に従う上記結晶型は、スニチニブリンゴ酸塩またはその他のスニチニブの塩もしくは多形の調製において、または医薬品のAPIとして使用できる。加えて、II型およびIII型の簡便な調製方法が提供されており、これらの方法の好ましい態様を以下で説明する。
【0053】
スニチニブのII型結晶およびIII型結晶の調製方法の好ましい態様は、
(a)スニチニブを溶媒に溶解させるステップと、
(b)II型またはIII型をステップ(a)で得られた溶液から析出させるステップと、
(c)ステップ(b)で得られた固体を単離するステップとを含む。
【0054】
II型が所望される場合、ステップ(a)の溶媒は、好ましくは水酸基を含まない溶媒である。好ましくは、ステップ(a)の水酸基を含まない溶媒はエステルである。最も好ましくは、エステルは酢酸エチルである。
【0055】
III型が所望される場合、ステップ(a)の溶媒は、好ましくは水酸基を含まない溶媒である。好ましくは、この溶媒はケトンである。より好ましくは、この溶媒はアセトンである。III型の調製に関連する代替態様では、この溶媒はアルコールであり、より好ましくはC−Cアルコールである。最も好ましくは、この溶媒はイソプロピルアルコール(IPA)であるが、代替アルコールは、メタノール、プロパン−1−オールなどを含み得る。
【0056】
好ましい方法では、ステップ(a)から透明な溶液が得られることで、スニチニブの完全な溶解が示される。この透明な溶液は、好ましくはスニチニブを還流温度で当該溶媒に溶解させることによって得られる。その好ましい溶媒の還流温度を決定することは、当業者の技術の範囲に含まれる。
【0057】
しかしながら、存在しているかもしれない微粒子の不純物をさらに除去するために、得られた溶液を、好ましくはこの段階でろ過してもよい。発明者らは、減圧条件下で、好ましくは真空または部分的真空条件下でろ過することが特に有利であることを見出した。
【0058】
ステップ(b)で必要である、ステップ(a)で得られた溶液から所望の結晶型を析出させることは、当業者が、数多くのやり方のうちの任意のやり方で行なうことができる。
【0059】
発明者らは、溶液を冷却することで所望の結晶型が溶液から析出することを見出した。当業者は、溶液を加熱してスニチニブを溶解させたときには、溶液を周囲温度までまたは実際それよりも低い温度まで冷却できることを理解するであろう。発明者らは、約0〜20℃の間、好ましくは約0〜10℃の間、最も好ましくは約0〜5℃の間まで冷却することが特に有利であることを見出した。たとえば溶液を攪拌することによって、またはたとえスニチニブを加熱によって溶解させたのではない態様でも、溶液を、周囲温度を下回るまで、好ましくは約0〜10℃の間まで、最も好ましくは約0〜5℃の間まで冷却することによって、所望の結晶型を析出させてもよい。
【0060】
攪拌と溶液の冷却の組合せを用いることもできる。溶液を加熱して溶解を生じさせた態様で、溶液を攪拌して析出を生じさせてもよい。こうした態様では、攪拌を、冷却中に、または実際溶液が冷却されてから行なうことを想定している。いずれにせよ、攪拌条件は、変えてもよく、それでも本発明の範囲に含まれる。
【0061】
次に、ステップ(c)で必要である、得られた固体結晶生成物の単離を、この分野で一般的なまたは当業者にとって公知の任意の手段によって行なうことができる。好ましくは、この固体を、ステップ(a)で利用したのと同じ溶媒で洗浄する。したがって、たとえばII型の調製で使用した溶媒が酢酸エチルの場合、この固体を酢酸エチルで洗浄することが好ましい。ある態様では、この固体は、周囲の条件下で溶媒を蒸発させることによって得られる。しかしながら、特に好ましい態様では、固体生成物をろ過し乾燥させる。好ましくは、この生成物を、結晶型の変換が生じず結果として得られる結晶型が分解しない温度で乾燥させる。発明者らは、この生成物を約30〜50℃の間で、好ましくは約40℃で乾燥させることが有利であることを見出した。好ましくは、いくつかの態様において、この固体生成物を、真空または部分真空下で、最も好ましくは約40℃で、一定重量が得られるまで乾燥させる。
【0062】
本発明の方法は、II型およびIII型を特に純粋な形で提供する。いくつかの態様において、好ましくはHPLCによって測定される化学純度が、99%より高い、好ましくは99.3%より高い、より好ましくは99.4%より高い、さらにより好ましくは99.5%より高い、さらにより好ましくは99.6%より高い、さらにより好ましくは99.7%より高い、最も好ましくは99.9%より高い、スニチニブのII型結晶またはIII型結晶が提供される。
【0063】
先に述べたように、本発明に従うスニチニブII型またはIII型を、スニチニブの塩の調製における中間体として使用してもよい。その例は、塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、またはコハク酸塩を含むがこれらに限定されない。これらの塩は、当業者にとって公知の任意のやり方で調製してもよいが、一般的に塩の調製は、本発明に従うスニチニブII型またはIII型を、適切な酸と接触させることを含む。特に好ましい態様では、この酸はリンゴ酸であるが、代替態様では、調製される塩は、薬学的に許容可能な任意の塩、または実際スニチニブの薬学的に許容可能な形態の調製に役立つ任意の塩でよい。本発明に従うスニチニブII型またはIII型を適切な条件下でそれぞれ水/水性溶媒または所望の溶媒と接触させることにより有利な水和物および溶媒和物を調製する際にも、スニチニブII型またはIII型は役立つであろう。前記水和物、溶媒和物および塩の調製は、十分当業者が達成する技術の範囲に含まれ、本発明の範囲に含まれると考えられるべきである。本発明に従うスニチニブII型またはIII型を、他の多形の調製における中間体として使用し得ることも、想定されている。たとえば、WO2003/016305は、スニチニブのリンゴ酸塩の調製方法を開示しており、その開示を本明細書に引用により援用する。
【0064】
このように、本発明に従うスニチニブII型またはIII型をリンゴ酸と反応させることを含む、スニチニブリンゴ酸塩の調製方法が提供される。特に好ましい態様では、リンゴ酸はL−リンゴ酸であり、または、代替的にはD−リンゴ酸である。
【0065】
本発明のさらなる側面は、本発明に従う、または本発明に従い調製された1つ以上の新規な結晶型の薬学的に有効な量、およびさらに1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含有する組成物を提供する。
【0066】
好ましい態様において、本発明に従い調製されたスニチニブリンゴ酸塩を含有する医薬組成物が提供される。さらに好ましい態様は、癌および/または腫瘍の治療もしくは予防において使用するための、好ましくは切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療もしくは予防のための、本発明に従い調製されたスニチニブリンゴ酸塩を含有する医薬組成物を提供する。
【0067】
本発明に従う医薬組成物は、溶液または懸濁液であってもよいが、好ましくは固形の経口投薬形態である。本発明に従う好ましい経口投薬形態は、錠剤、カプセルなどを含み、これらは所望に応じて任意にコーティングされてもよい。錠剤は、直接圧縮、湿式造粒および乾式造粒を含む従来の技術によって調製することができる。カプセルは、一般にゼラチン材料から形成され、本発明に従う、従来通りに調製された顆粒状の賦形剤を含み得る。
【0068】
本発明に従う医薬組成物は、典型的には、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤を含む群から選択される1つ以上の薬学的に許容可能な従来の賦形剤を含み、任意に、着色剤、吸着剤、界面活性剤、膜形成剤および可塑剤から選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含んでもよい。
【0069】
固形医薬製剤がコーティング錠の形態である場合、コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはメタクリレートポリマー等の膜形成剤の少なくとも1つから調製することができ、ポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル等の可塑剤の少なくとも1つ、ならびに色素および充填剤等の膜コーティングにとって慣用的な他の医薬補助物質を任意に含んでもよい。
【0070】
好ましくは、本発明の1つの側面に従う医薬組成物は、異常タンパク質キナーゼ(PK)活性に関連する疾患を治療もしくは予防するのに使用される。このような疾患は、糖尿病、肝硬変、アテローム性動脈硬化症等の心血管疾患、血管形成、自己免疫疾患等の免疫性疾患、悪性消化管間質腫瘍(MGIST)および転移性腎細胞癌(MRCC)を含むが、これらに限定されない。
【0071】
本発明、その目的および利点の詳細を、非限定的な実施例により、以下でより詳細に説明する。
【実施例】
【0072】
実施例1:スニチニブII型の調製
スニチニブ(1当量)を、還流温度で酢酸エチル(25vol)に溶解させて透明な溶液を得た。この熱い溶液を、真空下でブフナー漏斗を用いてろ過した。ろ液を、約22〜27℃の間の周囲温度まで冷却し、黄色から橙色の固体を得た。このようにして得た固体を、さらに真空下でブフナー漏斗を用いてろ過し、酢酸エチルで洗浄した。次に、この固体を、真空下で、約40℃で3時間乾燥させてII型結晶を得た。
【0073】
収率%=76%。
HPLC純度=99.13%。
【0074】
実施例2:スニチニブIII型の調製
スニチニブ(1当量)を、還流温度でアセトン(25vol)に溶解させて透明な溶液を得た。この熱い溶液を、真空下でブフナー漏斗を通してろ過した。ろ液を、約22〜27℃の間の周囲温度まで冷却し、黄色から橙色の固体を得た。このようにして得た固体を、さらに真空下でブフナー漏斗を用いてろ過し、アセトンで洗浄した。次に、この固体を、真空下で、約40℃で3時間乾燥させてIII型結晶を得た。
【0075】
収率%=87%。
HPLC純度=98.43%。
【0076】
実施例3:スニチニブIII型の代替の調製
スニチニブ(1当量)を、還流温度でIPA(25vol)に溶解させて透明な溶液を得た。この熱い溶液を、真空下でブフナー漏斗を通してろ過した。ろ液を、約22〜27℃の間の周囲温度まで冷却し、黄色から橙色の固体を得た。このようにして得た固体を、さらに真空下でブフナー漏斗を用いてろ過し、IPAで洗浄した。次に、この固体を、真空下で、約40℃で3時間乾燥させてIII型結晶を得た。
【0077】
収率%=85%。
HPLC純度=98.77%。
【0078】
上記実施例で調製した結晶型は、XRPD(図1および図4に示される)、DSC(図2および図5に示される)およびTGA(図3および図6に示される)によって特徴付けられ、これらすべては表示された結晶型であることを示した。
【0079】
XRPDは、Cuα線をX線源として用い、2θ範囲を3〜50°、ステップサイズを0.5°、時間/ステップを1秒として、ブルカーD8アドバンスインスツルメント(Bruker D8 Advance Instrument)で記録した。
【0080】
DSCは、温度範囲を25℃〜280℃、加熱速度を10℃/分として、パーキンエルマーピリス6(Perkin Elmer Pyris 6)で記録した。
【0081】
TGAは、温度範囲を25℃〜250℃、加熱速度を10℃/分として、パーキンエルマーピリス6で記録した。
【0082】
以上本発明について説明してきたがこれは例示でしかないことが理解されるであろう。実施例は本発明の範囲を限定することを意図したものではない。さまざまな変形および態様は、以下の請求項のみによって規定される本発明の範囲および精神から逸脱せずに実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3.76、4.38、7.65、8.93、10.17、11.57、16.46、17.92、20.15、25.69、26.39、27.83、28.40、40.04、および49.65±0.2°の2θに、2θ値の2つ以上のピークを含む特徴的なXRPDスペクトルを有するスニチニブのII型結晶。
【請求項2】
約238℃に吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる、請求項1に記載のスニチニブのII型結晶。
【請求項3】
約25〜220℃の間の範囲における0%の熱重量分析(TGA)損失によって特徴付けられる、請求項1または2に記載のスニチニブのII型結晶。
【請求項4】
HPLC純度が、
(a)99%より高い、
(b)99.1%より高い、
(c)99.2%より高い、
(d)99.3%より高い、
(e)99.4%より高い、
(f)99.5%より高い、
(g)99.6%より高い、
(h)99.7%より高い、または
(i)99.9%より高い、
請求項1〜3のいずれかに記載のスニチニブのII型結晶。
【請求項5】
(a)スニチニブを溶媒に溶解させるステップと、
(b)スニチニブのII型結晶をステップ(a)で得られた溶液から析出させるステップと、
(c)ステップ(b)で得られた固体を単離するステップとを含む、
請求項1〜4のいずれかに記載のスニチニブのII型結晶の調製方法。
【請求項6】
ステップ(a)における溶媒は水酸基を含まない溶媒である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒はエステルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒は酢酸エチルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スニチニブを溶解させるように、ステップ(a)における溶媒を加熱する、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
溶媒を、還流温度まで加熱する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(a)で得られた溶液を、ステップ(b)を実行する前にろ過する、請求項5〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ステップ(b)において、ステップ(a)で得られた溶液を冷却することによって、前記II型を析出させる、請求項5〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記溶液を、約0〜5℃の間まで冷却する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(b)で得られた固体を、ろ過によって単離する、請求項5〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記単離した固体を、ステップ(a)で用いた溶媒で洗浄する、請求項5〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記単離した固体を、一定重量になるまで乾燥させる、請求項5〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
4.40、8.91、10.45、14.79、16.40、18.00、18.59、20.11、22.76、25.56、27.81、32.31、40.02、および49.71±0.2°の2θに、2θ値の2つ以上のピークを含む特徴的なXRPDスペクトルを有するスニチニブのIII型結晶。
【請求項18】
約239℃に吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる、請求項17に記載のスニチニブのIII型結晶。
【請求項19】
約25〜220℃の間の範囲における0%の熱重量分析(TGA)損失によって特徴付けられる、請求項17または18に記載のスニチニブのIII型結晶。
【請求項20】
HPLC純度が、
(a)99%より高い、
(b)99.1%より高い、
(c)99.2%より高い、
(d)99.3%より高い、
(e)99.4%より高い、
(f)99.5%より高い、
(g)99.6%より高い、
(h)99.7%より高い、または
(i)99.9%より高い、
請求項17〜19のいずれかに記載のスニチニブのIII型結晶。
【請求項21】
(a)スニチニブを溶媒に溶解させるステップと、
(b)スニチニブのIII型結晶をステップ(a)で得られた溶液から析出させるステップと、
(c)ステップ(b)で得られた固体を単離するステップとを含む、
請求項17〜20のいずれかに記載のスニチニブのIII型結晶の調製方法。
【請求項22】
ステップ(a)における溶媒は水酸基を含まない溶媒である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記溶媒はケトンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒はアセトンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(a)における溶媒はアルコールである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記溶媒はIPAである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記スニチニブを溶解させるように、ステップ(a)における溶媒を加熱する、請求項21〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記溶媒を、還流温度まで加熱する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(a)で得られた溶液を、ステップ(b)を実行する前にろ過する、請求項21〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
ステップ(b)において、ステップ(a)で得られた溶液を冷却することによって、前記III型を析出させる、請求項21〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記溶液を、約0〜5℃の間まで冷却する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(b)で得られた固体を、ろ過によって単離する、請求項21〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記単離した固体を、ステップ(a)で用いた溶媒で洗浄する、請求項21〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記単離した固体を、一定重量になるまで乾燥させる、請求項21〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜4のいずれかに記載のスニチニブのII型結晶、請求項5〜16のいずれかに記載の方法によって調製されたスニチニブのII型結晶、請求項17〜20のいずれかに記載のスニチニブのIII型結晶、または請求項21〜34のいずれかに記載の方法によって調製されたスニチニブのIII型結晶を、リンゴ酸と反応させることを含む、スニチニブリンゴ酸塩の調製方法。
【請求項36】
前記リンゴ酸はL−リンゴ酸である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記リンゴ酸はD−リンゴ酸である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
医薬に使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載のスニチニブのII型結晶、請求項5〜16のいずれかに記載の方法によって調製されたスニチニブのII型結晶、請求項17〜20のいずれかに記載のスニチニブのIII型結晶、請求項21〜34のいずれかに記載の方法によって調製されたスニチニブのIII型結晶、または請求項35〜37のいずれかに記載の方法によって調製されたスニチニブリンゴ酸塩。
【請求項39】
癌または腫瘍を治療もしくは予防するための、請求項38に記載のスニチニブ。
【請求項40】
切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)を治療もしくは予防するための、請求項38または39に記載のスニチニブ。
【請求項41】
請求項1〜4、17〜20、または38〜40のいずれかに記載のスニチニブを含有する医薬組成物。
【請求項42】
癌および/または腫瘍の治療もしくは予防に使用するための、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療もしくは予防に使用するための、請求項41または42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
癌または腫瘍を治療もしくは予防するための医薬の製造のための、請求項1〜4、17〜20、または38〜40のいずれかに記載のスニチニブの使用。
【請求項45】
切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)を治療もしくは予防するための医薬の製造のための、請求項1〜4、17〜20、または38〜40のいずれかに記載のスニチニブの使用。
【請求項46】
請求項1〜4、17〜20、または38〜40のいずれかに記載のスニチニブの治療的もしくは予防的に有効な量、または請求項41〜43のいずれかに記載の医薬組成物の治療的もしくは予防的に有効な量を、これを必要としている患者に投与することを含む、癌または腫瘍を治療もしくは予防する方法。
【請求項47】
請求項1〜4、17〜20、または38〜40のいずれかに記載のスニチニブの治療的もしくは予防的に有効な量、または請求項41〜43のいずれかに記載の医薬組成物の治療的もしくは予防的に有効な量を、これを必要としている患者に投与することを含む、切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)を治療もしくは予防する方法。
【請求項48】
前記患者は哺乳動物である、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記哺乳動物はヒトである、請求項48に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−500838(P2012−500838A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524455(P2011−524455)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051055
【国際公開番号】WO2010/023474
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(508116469)ジェネリクス・(ユーケー)・リミテッド (34)
【Fターム(参考)】