説明

スパッタリング装置及び電子デバイスの製造方法

【課題】遮蔽機構の退避のためのスペースを小さくしてコンパクトなスパッタリング装置を提供する。
【解決手段】スパッタリング装置は、基板ホルダー表面の基板18が載置される基板載置面を遮蔽可能な遮蔽部材を備える。前記基板載置面は第1領域と第2領域とを含む。前記遮蔽部材は、少なくとも前記第1領域を遮蔽可能な第1遮蔽部材14と、少なくとも前記第2領域を遮蔽可能な第2遮蔽部材15と、前記第1遮蔽部材14及び前記第2遮蔽部材15を回転させる回転機構30と、を備える。前記第1遮蔽部材14及び前記第2遮蔽部材15は、前記回転機構30による回転によって、前記第1遮蔽部材14が少なくとも前記第1領域を遮蔽し、かつ、前記第2遮蔽部材15が少なくとも前記第2領域を遮蔽する遮蔽位置と、前記第1遮蔽部材14及び前記第2遮蔽部材15が前記基板載置面の上方の領域から退避して互いに重なり合う退避位置と、の間で移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程で使用されるスパッタリング装置及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラズマ特性の安定のために、ターゲットをスパッタして基板を成膜する方法が行なわれている。こうしたスパッタリング方法では、基板ホルダーの表面を覆う遮蔽機構が用いられている。例えば、特許文献1には、基板とターゲット間を遮蔽する第一の遮蔽板と、前記第一の遮蔽板よりも前記基板に近い側に位置し、前記基板の一部分にのみ被蒸着膜が成膜されるように開口部を設けた第二の遮蔽板とを備えた真空蒸着装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−70323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板に成膜するとき、従来の遮蔽機構では、チャンバー内に、遮蔽機構を退避させるスペースを設ける必要があり、装置が大型化してしまうという問題があった。特に、近年、基板は、ますます大型化する傾向にあり、装置のコンパクト化が求められている。そこで、本発明は、遮蔽機構の退避のためのスペースを小さくしてコンパクトなスパッタリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、基板を保持する基板ホルダーと、ターゲットを保持するターゲットホルダーと、前記基板ホルダー表面の基板が載置される基板載置面を遮蔽可能な遮蔽部材とを備えるスパッタリング装置であって、前記基板載置面は第1領域と第2領域とを含み、前記遮蔽部材は、前記基板載置面に直交する第1方向の軸の回りで回転可能であって少なくとも前記第1領域を遮蔽可能な第1遮蔽部材と、前記軸の回りで回転可能であって少なくとも前記第2領域を遮蔽可能な第2遮蔽部材と、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を回転させる回転機構と、を備え、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材は、前記回転機構による回転によって、前記第1遮蔽部材が少なくとも前記第1領域を遮蔽し、かつ、前記第2遮蔽部材が少なくとも前記第2領域を遮蔽する遮蔽位置と、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材が前記基板載置面の上方の領域から退避して互いに重なり合う退避位置と、の間で移動可能である、ことを特徴とする。前記第1遮蔽部材は、前記回転機構によって前記軸の回りで第1回転方向に第1角度だけ回転されることによって前記遮蔽位置から前記退避位置に移動され、前記第2遮蔽部材は、前記回転機構によって前記軸の回りで前記第1回転方向に前記第1角度より小さい第2角度だけ回転されることによって前記遮蔽位置から前記退避位置に移動される。
【0006】
本発明の実施形態によれば、前記回転機構は、前記第1遮蔽部材を、前記遮蔽位置と前記退避位置との間で回転駆動する駆動機構と、前記第2遮蔽部材の前記軸の回りでの回転を前記遮蔽位置と前記退避位置と間の前記第2角度の範囲に規制する規制部材と、前記第2遮蔽部材を前記軸の回りで前記第1回転方向に回転するように前記第2遮蔽部材に力を付与する部材と、前記第1遮蔽部材に形成された第1係合部材と前記第2遮蔽部材に形成された第2係合部材と、を含み、前記第1係合部材及び前記第2係合部材の一方はピンを含み、前記第1係合部材及び前記第2係合部材の他方は孔を含み、前記ピンは、停止状態にある前記孔の中で前記第1角度と前記第2角度との差分だけ前記軸の回りで回転可能である、又は、前記孔は、当該孔の中に位置し停止状態にある前記ピンに対して前記差分だけ前記軸の回りで回転可能であることが好ましい。前記規制部材は、前記第2遮蔽部材の回転を前記遮蔽位置及び前記退避位置のそれぞれの位置で規制する第1ストッパ及び第2ストッパを含み、前記第2遮蔽部材に力を付与する前記部材は、バネを含みうる。本発明の実施形態によれば、チャンバーの内部に配置されたシールドをさらに備え、前記回転機構は、前記シールドの外側に設けられている。
【0007】
本発明の第2の側面は、基板を保持する基板ホルダーと、ターゲットを保持するターゲットホルダーと、前記基板ホルダー表面の基板が載置される基板載置面を遮蔽可能な遮蔽部材とを備えるスパッタリング装置を用いて電子デバイスを製造する方法であって、前記基板載置面は第1領域と第2領域とを含み、前記遮蔽部材は、前記基板載置面に直交する第1方向の軸の回りで回転可能であって少なくとも前記第1領域を遮蔽可能な第1遮蔽部材と、前記軸の回りで回転可能であって少なくとも前記第2領域を遮蔽可能な第2遮蔽部材と、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を回転させる回転機構と、を備え、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材は、前記回転機構による回転によって、前記第1遮蔽部材が少なくとも前記第1領域を遮蔽し、かつ、前記第2遮蔽部材が少なくとも前記第2領域を遮蔽する遮蔽位置と、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材が前記基板載置面の上方の領域から退避して互いに重なり合う退避位置と、の間で移動可能であり、前記方法は、前記回転機構によって前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を前記遮蔽位置に配置する第1工程と、前記第1工程の後に、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を前記遮蔽位置に維持したまま、前記ターゲットホルダーに保持されたターゲットをスパッタすることで、成膜する第2工程と、前記第2工程の後に、前記回転機構により前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を前記退避位置と配置するとともに、前記ターゲットをスパッタして、前記基板ホルダーに載置された前記基板に成膜する第3工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遮蔽機構の退避のためのスペースを小さくしてコンパクトなスパッタリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】スパッタリング装置の全体構成の一例を説明する概略断面図である。
【図2】遮蔽位置及び退避位置における遮蔽部材を示す上面図である。
【図3】遮蔽部材の回転機構の詳細構成を説明する図である。
【図4】遮蔽部材が遮蔽位置から退避位置に移動する様子及び退避位置から遮蔽位置に移動する様子を示す図である。
【図5】遮蔽部材が遮蔽位置から退避位置に移動する場合及び退避位置から遮蔽位置に移動する場合の、回転機構の動作を説明する図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている態様はあくまで例示であり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって画定されるのであって、以下に示す個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0011】
図1を参照して、スパッタリング装置の全体構成の一例を説明する。図1は、本発明の実施形態にかかるスパッタリング装置100の概略図である。スパッタリング装置100は、チャンバー8と、排気ポートを通じてチャンバー8内を排気する排気手段(真空ポンプ)13と、チャンバー8内へ不活性ガスを導入する不活性ガス導入系(不図示)と、反応性ガスを導入する反応性ガス導入系(不図示)と、を備えている。不活性ガスと反応性ガスとは、チャンバー8内に導入されたのち、後述のようにスパッタ粒子を発生させ、あるいは膜を形成するために使用された後、排気手段13によって排気ポートを介して排気される。
【0012】
排気ポートと排気手段13との間には、メインバルブ12が設けられている。チャンバー8内には、被スパッタ面が露出しているターゲット28を保持するターゲットホルダー2と、ターゲット28から放出されたスパッタ粒子が到達する所定の位置に基板18を保持する基板ホルダー9と、が設けられている。ターゲット28を保持するターゲットホルダー2と基板ホルダー9との間のチャンバー8の内面には、接地された筒状のシールド4、5(防着シールド部材)が設けられ、チャンバー8の内面は接地されている。シールド4、5(防着シールド部材)は、スパッタ粒子がチャンバー8の内面に直接付着するのを防止している。チャンバー8にはゲートバルブ7が設けられている。ターゲット28は、基板18に対して斜め上方位置(オフセット位置)に設置されている。すなわち、ターゲット28のスパッタ面の中心点は、基板18表面の中心点の法線に対して所定の寸法ずれた位置にある。ターゲットホルダー2には、スパッタ放電用電力を印加する電源が接続されている。スパッタ用電源としては、DC電源でもRF電源でもよい。シールド4でカバーされないチャンバー8の内壁にスパッタ粒子が付着するのを防止するために、補助シールド16,17が設けられている。
【0013】
ターゲットホルダー2の下方近傍には、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3がターゲット28を覆うように設置されている。ターゲットホルダー用の遮蔽部材3は、それぞれの遮蔽部材を独立して開閉することが可能な二重回転構造の遮蔽板を有している。ターゲットホルダー用の遮蔽部材3は、基板ホルダー9とターゲットホルダー2との間を遮蔽する遮蔽状態と、基板ホルダー9とターゲットホルダー2との間を開放する開放状態と、に切替可能な遮蔽部材である。また、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3には、二重回転遮蔽板を別々に遮蔽、開放可能なように、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3を回転駆動する駆動機構1が設けられている。
【0014】
基板ホルダー9の面上で、かつ基板18の載置面の外縁側(外周部)には、リング形状を有する遮蔽部材のカバーシールド6が設けられている。基板周辺のカバーシールド6は、基板ホルダー9上に載置された基板18の成膜面以外の場所へスパッタ粒子が付着することを防止している。基板ホルダー9には、基板ホルダー9を上下動したり、所定の速度で回転したりするための基板ホルダー9の駆動部10が設けられている。基板ホルダー9の駆動部10は、基板ホルダー9を、遮蔽状態の基板遮蔽部材14,15に向けて上昇させ、または基板遮蔽部材14,15に対して下降させるために、基板ホルダー9を上下動させることができる。
【0015】
基板18の近傍で、基板ホルダー9とターゲットホルダー2との間には、基板ホルダー9表面の基板18が載置される基板載置面を遮蔽可能な基板遮蔽部材14,15が配置されている。基板載置面は、第1領域と第2領域とを含む。基板遮蔽部材は、基板載置面に直交する第1方向(Z方向)の軸の回りで回転可能であって、少なくとも基板載置面の第1領域を遮蔽可能な第1遮蔽部材14と、第1遮蔽部材と同じ軸の回りで回転可能であって少なくとも基板載置面の第2領域を遮蔽可能な第2遮蔽部材15とを有する。この実施形態では、第1遮蔽部材14が第2遮蔽部材15の上方に設置されているが、いずれが上方に設置されていても構わない。第1遮蔽部材14と第2遮蔽部材15とは、同一軸の回りで回転可能に構成されている。詳細は後述するが、駆動機構11が第1遮蔽部材を回転駆動することで、第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材15を遮蔽位置と退避位置との間で移動可能とすることができる。
【0016】
第1及び第2遮蔽部材14,15は、ステンレスやアルミニウム合金により構成されている。また、耐熱性が求められる場合にはチタンあるいはチタン合金で構成されることもある。第1及び第2遮蔽部材14,15の少なくともターゲット28に向いた表面には、サンドブラスト等によりブラスト加工され表面に微小な凸凹が設けられている。こうすることで、第1及び第2遮蔽部材14,15に付着した膜が剥離しにくくなっており、剥離により発生するパーティクルを低減させることができる。なお、ブラスト加工の他に、金属溶射処理等で金属薄膜を第1及び第2遮蔽部材14,15の表面に作成しても良い。この場合、溶射処理はブラスト加工のみよりも高価だが、第1及び第2遮蔽部材14,15を取り外して付着した膜を剥離するメンテナンスを行うときに、溶射膜ごと付着膜を剥離すれば良いという利点がある。また、スパッタされた膜の応力が溶射薄膜により緩和され、膜の剥離を防止する効果もある。また、第1及び第2遮蔽部材14,15は、後述する回転機構30以外の部分では互いに接触しないように構成されているので、基板付近でパーティクルが発生するのを防止することができる。
【0017】
不図示の主制御部は、ターゲットホルダー2にスパッタ放電用電力を印加するターゲット電源(不図示)、不活性ガス導入系(不図示)、反応性ガス導入系(不図示)、基板ホルダーの駆動部10、第1遮蔽部材の駆動機構11、ターゲットホルダー用の遮蔽部材の駆動機構1、圧力計(不図示)、及びゲートバルブ7とそれぞれ電気的に接続されており、後述するスパッタリング装置の動作を管理し、制御できるように構成されている。
【0018】
主制御部に具備された記憶装置には、本発明に係るコンディショニング、およびプリスパッタを伴う基板への成膜方法等を実行する制御プログラムが格納されている。例えば、制御プログラムは、マスクROMとして実装される。あるいは、ハードディスクドライブ(HDD)などにより構成される記憶装置に、外部の記録媒体やネットワークを介して制御プログラムをインストールすることも可能である。
【0019】
図2を参照して、第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材15からなる基板遮蔽部材について説明する。図2aは、遮蔽状態における基板遮蔽部材14,15の位置を説明する上面図である。図2bは、退避状態における基板遮蔽部材14,15の位置を説明する上面図である。図2aに示すように、基板18の上方に、半円状の第1遮蔽部材14と半円状の第2遮蔽部材15とが、それぞれの直径部分で一部のみ重なりあうように配置されることで、第1遮蔽部材14と第2遮蔽部材15とが協働して基板18全体を遮蔽する。
【0020】
一方、図2bに示すように、第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材15が退避位置に移動すると、第1及び第2遮蔽部材14,15は、互いに重なり合う。第1及び第2遮蔽部材が重なり合うことで、第1遮蔽部材14と第2遮蔽部材とからなる基板遮蔽部材の退避位置におけるスペースをコンパクトに収めることで、スパッタリング装置100が大型化することを防止できる。図2aと図2bとから明らかなように、遮蔽位置と退避位置との切り替わりに要する第1遮蔽部材14の回転量は、第2遮蔽部材15の回転量よりも大きい。すなわち、第1遮蔽部材14と第2遮蔽部材15との遮蔽位置と退避位置との切り替わりに要する回転量を異ならすことによって、第1遮蔽部材14と第2遮蔽部材15とは、遮蔽位置において実質的に重なり合わず大きな遮蔽面積を確保し、退避位置において重なり合うことによって退避位置におけるスペースを低減している。図2aに示すように、チャンバー8の内壁を覆うように、円弧状のシールド4と、該シールド4と離間して設けられた同心円弧状の補助シールド16とが配置されている。回転機構30は、シールド4と、補助シールド17との間であって、第1遮蔽部材14と第2遮蔽部材15とが協働して基板18全体を遮蔽する円形部分の外側に配置されている。つまり、パーティクルの発生源となりうる回転機構30は、基板18から離れて配置されている。このため、基板付近へのパーティクルの発生を抑制することができる。
【0021】
図3を参照して、第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材15を単一の軸の回りで回転させる回転機構について説明する。図3aは、回転機構30の上面図である。図3bは、回転機構30の側面図である。図3bに示すように、バネ25が、第2遮蔽部材のベース24とベース23と間に設けられており、第2遮蔽部材のベース24にベース23に対する反発力を付与している。ベース23は、チャンバー8に固定されているため、反発力によって回転しない。一方、第2遮蔽部材のベース24は回転自在なので、バネ25に付与された反発力により、第2遮蔽部材のベース24を介して、第2遮蔽部材15には、シャフト27を中心に反時計回り(第1回転方向)に回転しようとする力が常に働いている。シャフト27は、回転機構30が、第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材15を回転する回転軸として機能している。図3cは、図3bのA線における回転機構30の断面図である。図3dは、図3bのB線における回転機構30の断面図である。図3eは、図3bのC線における回転機構30の断面図である。
【0022】
図4及び図5を参照して、第1及び第2遮蔽部材14,15の回転動作を説明する。図4aは、第1及び第2遮蔽部材14,15が遮蔽位置から退避位置に至る動作を説明する上面図である。図5bは、第1及び第2遮蔽部材14,15が退避位置から遮蔽位置に至る動作を説明する上面図である。図5aは、第1及び第2遮蔽部材14,15が遮蔽位置から退避位置に至る動作における回転機構30の動作を説明する上面図である。図5bは、第1及び第2遮蔽部材14,15が退避位置から遮蔽位置に至る動作における回転機構30の動作を説明する上面図である。
【0023】
図4aと図5aを参照して、第1及び第2遮蔽部材14,15の遮蔽位置から退避位置に至る動作を説明する。まず、図4aを参照する。図4a−1は、第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材15が基板18の上方を遮蔽している遮蔽状態を示している。この状態では、半円板状の第1遮蔽部材14が基板18の上方の右半分の領域(第1遮蔽領域)を遮蔽し、半円板状の第2遮蔽部材15が基板18の上方の左半分の領域(第2遮蔽領域)を遮蔽し、第1及び第2遮蔽部材14,15は、それぞれの直径部分において、部分的に重なり合っている。図4a−2は、第1及び第2遮蔽部材14,15が、回転機構30によってシャフト27の回りで第1回転方向(この例では反時計回り)に同一角度だけ回転移動した状態を示している。第2遮蔽部材15は所定の第2角度(本例では26°)だけ回転するとストッパ29にそれ以上の回転が規制されて停止される。一方、図4a−3に示すように、第1遮蔽部材14は、そのまま回転動作を継続し、所定の第1角度(本例では45°)まで回転して、先に停止した第2遮蔽部材15に重なり合う位置で停止する。
【0024】
次に図5aを参照して、第1及び第2遮蔽部材14,15の回転機構30の動作を説明する。図5a−1は、第1及び第2遮蔽部材14,15が図4a−1の位置にあるときの回転機構30の様子を示している。第1遮蔽部材14は、図3bに示すように、シャフト27を介して第1遮蔽部材を回転駆動する駆動機構11に直結している。遮蔽状態では駆動機構11は停止しているので、第1遮蔽部材14も停止状態となる。第2遮蔽部材15は、図3bに示すように、第2遮蔽部材のベース24の上に固定されている。第2遮蔽部材のベース24はベアリング26を介してシャフト27と接続しているので、駆動機構11の回転力が第2遮蔽部材のベース24には伝わらない。つまり、第2遮蔽部材のベース24は、駆動機構11が作動しなくても回転自在である。また、図3bに示すように、バネ25が、第2遮蔽部材のベース24とベース23との間に設けられており、ベース23はチャンバー8に固定されているため、バネ25の反発力により、第2遮蔽部材15には、シャフト27を中心に反時計回りに回転しようとする力が常に働いている。図3a〜図3cに示すように、第2遮蔽部材のベース24の上面に形成された孔31には、第1遮蔽部材14に固定されているピン22が挿入されている。ピン22は停止状態にある孔31の中で、第1角度と第2角度との差分(本例では、45°−26°=19°)だけシャフト27の回りで回転可能であるように構成されている。遮蔽位置では、ピン22が孔31の一端に接触する位置となるため、第2遮蔽部材15が反時計回りに回転不可能となり、その結果、第2遮蔽部材15は停止状態となる。なお、第2遮蔽部材15は遮蔽位置において第1ストッパ19によって時計回りの回転が規制されているので、仮に時計回りの力が付与されても遮蔽位置を保持する。
【0025】
次に、図4a−2に示すように、駆動機構11がシャフト27を反時計回りに駆動すると、駆動機構11の駆動に合わせて、第1遮蔽部材14は、シャフト27の回りで反時計回りに回転する。第1遮蔽部材14が反時計回りに回転すると、図5a−2に示すように、第2遮蔽部材のベース24の回転を止めていたピン22がシャフト27を中心に回転する。第2遮蔽部材15は、バネ25によって反時計回りに回転するように常に力が付与されているので、ピン22の回転に連れて、孔31を有する第2遮蔽部材のベース24も回転する。つまり、第2遮蔽部材15も駆動機構11の駆動に合わせて反時計回りに回転する。第2遮蔽部材のベース24の上面に取付けられているバネ20が、バネのストッパ21に接触する。第2遮蔽部材15にはバネ20による時計回り方向への力が加わる。バネ20とバネ25のバネ力の関係は、バネ25の方がバネ20より大きな力を持つように設定されている。そのため、第2遮蔽部材15は反時計回りに回転しながら減速する。
【0026】
図5a−2に示すように、第2遮蔽部材のベース24は、第2角度26°まで減速しながら回転したところで、第2ストッパ29に接触するため、第2遮蔽部材15はそこで回転を停止する。これにより、第2遮蔽部材のベース24が、第2ストッパ29に接触する時の衝撃を緩和している。図5a−3に示すように、孔31は、ピン22のシャフト27を中心とした回転の軌跡に沿った形状としているため、ピン22が孔31のもう一方の端に達するまで、第1遮蔽部材14は、反時計回りに回転することが可能である。つまり、第2遮蔽部材15が第2角度26°で停止した後、第1遮蔽部材14は第2角度26°を超えて継続して回転する。
【0027】
駆動機構11が設定している停止位置(第1角度45°)において駆動を停止すると、第1遮蔽部材14は、図5a−3に示すように、第1角度45°の退避位置で停止する。このとき、第2遮蔽部材15はすでに停止しているため、第1遮蔽部材14の停止によって退避動作が完了する。第2遮蔽部材のベース24が第2ストッパ29に接触し、かつ第1遮蔽部材14が第2角度45°の退避位置では、第1遮蔽部材14に固定されているピン22は、第2遮蔽部材のベース24の孔31のもう一方の端に達している。ピン22が孔31の他方の端に位置したことにより、第2遮蔽部材15は、時計回りの回転が規制されるので、仮に時計回りの力が付与されても退避位置を保持する。
【0028】
図4bと図5bを参照して、第1及び第2遮蔽部材14,15の退避位置から遮蔽位置に至る遮蔽動作を説明する。まず、図4bを参照する。図4b−1は、第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材15が互いに重なり合い、基板18の上方を開放する退避位置で静止した状態を示している。退避位置では、第2遮蔽部材15は第2角度26°に位置し、第1遮蔽部材14は、第1角度45°に位置する。図4b−2は、第2遮蔽部材15が第2角度26°の位置で停止したまま、第1遮蔽部材14が、回転機構30によって時計回りに第2角度26°の位置まで回転した状態を示している。第1遮蔽部材14が第2角度26°の位置を超えて時計回りに回転すると、第2遮蔽部材15も回転機構30により回転を開始し、図4b−3に示すように、第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材が基板18の上方を遮蔽する遮蔽位置で静止する。
【0029】
次に図5bを参照して、図4bで示した第1及び第2遮蔽部材14,15の遮蔽動作における回転機構30の動作を説明する。図5b−1は、第1及び第2遮蔽部材14,15が図4b−1の退避位置にあるときの回転機構30の様子を示している。第1遮蔽部材14は、図3bに示すように、シャフト27を介して駆動機構11に直結している。退避状態では駆動機構11の駆動は停止しているので、第1遮蔽部材14も停止状態を保つ。一方、第2遮蔽部材15には、前述したように、反時計回りの回転力が常に付与された状態となっている。しかし、退避位置では、第2遮蔽部材のベース24が第2ストッパ29に接触し、反時計回りの回転を阻止されることで、退避状態を保持している。
【0030】
次に、図4b−2に示すように、駆動機構11がシャフト27を時計回りに駆動すると、第1遮蔽部材14は、駆動機構11の回転に合わせて時計回りに回転する。第1遮蔽部材14が回転すると、図5b−2に示すように、第1遮蔽部材14に連結したピン22が、第2遮蔽部材15の孔31の一方の端から他の端に達するまで孔31に沿って回転する。この間、図4b−2に示すように、第2遮蔽部材15は停止状態を維持する。第2遮蔽部材15は、前記のように、常に反時計回りに回転しようとする力を持っており、かつ、第1遮蔽部材14に固定されているピン22は、第1遮蔽部材14が第2角度26°の位置に到達するまで、第2遮蔽部材のベース24の孔31には接触しない。そのため、第1遮蔽部材14が第2角度26°の位置に到達するまでの間、第2遮蔽部材15は、回転せずに退避位置に留まり続ける。
【0031】
第1遮蔽部材14に連結したピン22が、第2遮蔽部材15の孔31に沿って移動して孔31の他端に達すると、ピン22は、第2遮蔽部材のベース24に回転力を伝達することが可能となる。その結果、第1遮蔽部材14の時計回りの回転に伴って、第2遮蔽部材も15も時計回りに回転する。つまり、第1遮蔽部材14が第2角度26°の位置より時計回りに回転すると、第2遮蔽部材15も同時に時計回りに回転する。
【0032】
第1遮蔽部材14に固定されているピン22が、第2遮蔽部材のベース24を引っ掛けた瞬間に、第1遮蔽部材14の時計回りの回転力が第2遮蔽部材のベース24に伝達されて第2遮蔽部材15が弾かれることとなるが、反時計回りに弾性力を付与するバネ25により、その衝撃が緩和される。
【0033】
第2角度26°の位置から第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材15は一体となって時計回りに回転し続け、図5b−3に示すように、駆動機構11の停止により、第1及び第2遮蔽部材14,15は開度0°の遮蔽位置で停止する。第2遮蔽部材15には前記のように、常に反時計回りの力が働いているが、第1遮蔽部材14に固定されているピン22が、第2遮蔽部材のベース24の回転を抑制するので、第2遮蔽部材15も第1遮蔽部材14の停止と同時に停止する。開度0°の遮蔽位置で第2遮蔽部材のベース24は第1ストッパ19に接触する。これにより、時計回りの力は発生していないが、構造的に時計回りの回転が不可能となり、第2遮蔽部材15は固定された状態となる。なお、本実施形態では、第1遮蔽部材14の側にピン22を形成し、第2遮蔽部材15の側に孔31を形成した。しかし、ピン22を第2遮蔽部材15の側に形成し、孔31を第1遮蔽部材14の側に形成してもよい。また、本実施形態では、第2遮蔽部材15に反時計回りに回転しようとする力を付与するバネ25を、第2遮蔽部材のベース24とベース23との間に設けた。しかし、バネ25は、第2遮蔽部材15に反時計回りに回転しようとする力を付与しうるのであれば、第2遮蔽部材のベース24と第1遮蔽部材14との間に設けてもよい。
【0034】
(コンディショニング処理時の動作)
次に、図1及び図2を参照して、コンディショニング処理時におけるスパッタリング装置100の動作を説明する。なお、ここでコンディショニング処理とは、基板への成膜に影響しないように、第1遮蔽部材14及び第2遮蔽部材15を閉じた状態で、成膜特性を安定させるために放電を行い、スパッタ粒子をチャンバー8の内壁等に付着させる処理をいう。
【0035】
まず、主制御部は、第1遮蔽部材の駆動機構11に第1及び第2遮蔽部材14,15を閉鎖するように指示する。次に、主制御部は、ターゲットホルダー用の遮蔽部材の駆動機構1にターゲットホルダー用の遮蔽部材3を閉鎖するように指示する。主制御部の指示により、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3と、第1及び第2遮蔽部材14,15とが閉じた状態になる。
【0036】
続いて、主制御部は、基板ホルダーの駆動部10に上昇動作を実施するように指示することにより、基板ホルダー9の基板周辺カバーシールド6は、図1に示すように、チャンバー8に設けられたシールド4との間でラビリンスが形成される位置へ上昇移動する。
【0037】
次に、主制御部は、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3を閉じた状態で、ターゲット28付近の不活性ガス導入系から、不活性ガス(例えば、Ar、Ne、Kr、又はXe)を導入するように、不活性ガス導入系を制御する制御装置に指示する。この際、ターゲット28付近へ不活性ガスを導入することで、ターゲット28付近の圧力は基板18付近と比較して高くなるため、放電し易い状態になっている。この状態で、ターゲット電源よりターゲット28へ電力を印加し、放電を開始する。
【0038】
次に、主制御部は、ターゲットホルダー用の遮蔽部材の駆動機構1を駆動させ、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3を開くように指示する。これにより、チャンバー8の
内壁へのコンディショニング処理が開始される。ターゲット28から飛び出したスパッタ粒子がチャンバー8の内壁に付着して膜が堆積される。なお、内壁にシールド4,5が設けられている場合には、ターゲット28を望むシールド4、5の表面にスパッタ粒子が付着して膜が堆積される。ただし第1及び第2遮蔽部材14,15が図2aに示す遮蔽位置で基板ホルダー9を覆っているので、基板ホルダー9の基板載置面にスパッタ粒子が廻り込むのを防止することができる。この状態で、チャンバー8の内壁又はシールド等の構成部材に膜を形成する、いわゆるコンディショニング処理を行なう。このようにしてコンディショニング処理を行うことで、基板遮蔽部材14,15の開放時におけるスパッタ粒子と反応性ガスの反応を安定させることができる。なお、反応性スパッタ放電によるコンディショニング処理を行いたいときは、このとき反応性ガス導入系から基板付近へ反応性ガス(酸素、窒素など)を導入する。
【0039】
所定時間放電したのち、主制御部は、ターゲット電源に対して電力の印加を停止させることで、放電を停止する。このとき、シールド4,5、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3、基板遮蔽部材14,15、その他のターゲットに面していた面には、堆積膜が堆積された状態になっている。
【0040】
次に、主制御部は、不活性ガス導入系を制御する制御装置に対して、不活性ガスの供給を停止するように指示する。主制御部は、反応性ガスを供給しているときは反応性ガスの供給も停止するように反応性ガス導入系に指示する。その後、主制御部は、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3(二重回転構造の遮蔽板)を閉鎖するように駆動機構1に指示する。
【0041】
主制御部は、基板ホルダー9を下降するように基板ホルダーの駆動部10に指示し、コンディショニング処理が完了する。
【0042】
以上の手順により、基板ホルダー9の基板載置面へのスパッタ粒子の付着を防止して、コンディショニング処理を行うことができる。なお、成膜以前にターゲット28に付着した不純物や酸化物を除去する、ターゲットクリーニング時の動作は、上述したコンディショニング処理時の動作と同様の手順により実現することができる。
【0043】
(プリスパッタ動作および基板への成膜)
次に、プリスパッタ動作および基板上への成膜を行う場合のスパッタリング装置100の動作を説明する。基板それぞれの成膜はすべて、プリスパッタを行ってから、基板上への成膜を行う。ここで、プリスパッタとは、基板への成膜に影響しないように、基板遮蔽部材14,15が閉じた状態で、放電を安定させるために行うスパッタのことをいう。
【0044】
まず、主制御部は、第1遮蔽部材の駆動機構11に第1及び第2遮蔽部材14,15を閉鎖する(図2(a)の遮蔽位置)ように指示する。次に、主制御部は、ターゲットホルダー用の遮蔽部材の駆動機構1にターゲットホルダー用の遮蔽部材(2重回転シャッター)を閉鎖するように指示する。これにより、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3と、第1及び第2遮蔽部材14,15と、が閉じた状態になる。この状態で、基板ホルダー9は、待機位置(図1)に配置しておく。
【0045】
次に、主制御部は、チャンバー壁のゲートバルブ7を開放し、このゲートバルブ7ら、チャンバー外の基板搬送手段(不図示)によって基板18を搬入するように指示する。そして第1及び第2遮蔽部材14,15と基板周辺のカバーシールド6との間から基板18を搬入し、さらにチャンバー外の基板搬送手段と基板ホルダー内のリフト機構(不図示)との協同により、基板ホルダー9の基板載置面へ基板18を載置する。
【0046】
続いて、主制御部は、基板ホルダーの駆動部10を駆動することにより、基板ホルダー9を回転させる。ターゲット付近に設けられた不活性ガス導入系から、不活性ガス(Arの他Ne、Kr、Xe)を導入する。主制御部は、ターゲットへターゲット電源より電力を印加し、放電を開始する。このように、第1及び第2遮蔽部材14,15を閉じた状態で、スパッタを開始することにより、基板へスパッタ粒子が付着するのを防止することができる。
【0047】
放電を安定させる所定時間(3〜15秒間)の放電安定時間のあと、主制御部は、ターゲットホルダー用の遮蔽部材3を開き、プリスパッタを開始する。なお、このとき放電が開始しないなど異常が発生した場合には、主制御部は、放電電圧電流の監視により、それを検知し、成膜シーケンスを停止することができる。問題が無いときには前述の通りターゲットホルダー用の遮蔽部材3が開かれるので、スパッタ粒子がチャンバーの内壁に付着して膜が堆積される。反応性スパッタによる成膜を行う場合には、このとき基板付近の反応性ガス導入系から反応性ガスを導入する。内壁のシールド4、5のシールド表面にスパッタ粒子が付着して膜が堆積される。
【0048】
必要な時間だけプリスパッタを行った後、主制御部は、第1遮蔽部材の駆動機構11により第1及び第2遮蔽部材14,15を開けて、基板18への成膜を開始する。
【0049】
所定の時間放電したのち、主制御部は、電力の印加を止めることで、放電を停止するとともに、不活性ガスの供給を停止する。さらに主制御部は、反応性ガスを供給しているときは反応性ガスの供給も停止する。主制御部は、第1及び第2遮蔽部材14,15とターゲットホルダー用の遮蔽部材3を閉鎖する。
【0050】
チャンバーの図示しないゲートバルブ7を開け、搬入時と逆順序で基板を搬出して、プリスパッタおよび基板への成膜処理を完了する。
【0051】
以上の手順により、遮蔽機構を動作させることにより、基板へのスパッタ粒子の侵入を防ぎ、高品質の成膜を形成することが可能になる。
【0052】
本実施形態にかかるスパッタリング装置に拠れば、コンディショニング処理、プリスパッタおよびターゲットクリーニングを目的とする放電を行なう際、スパッタ粒子が基板ホルダーの基板載置面に付着するのを防止するスパッタリング装置を提供することが可能になる。以上の手順で、電子デバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ターゲットホルダー用の遮蔽部材の駆動機構
2 ターゲットホルダー
3 ターゲットホルダー用の遮蔽部材
4 シールド
5 シールド
6 基板周辺のカバーシールド
7 ゲートバルブ
8 チャンバー
9 基板ホルダー
10 基板ホルダーの駆動部
11 第1遮蔽部材の駆動機構
12 メインバルブ
13 真空ポンプ
14 第1遮蔽部材(基板遮蔽部材)
15 第2遮蔽部材(基板遮蔽部材)
16 補助シールド
17 補助シールド
18 基板
19 第1ストッパ
20 バネ
21 バネのストッパ
22 ピン
23 ベース
24 第2遮蔽部材のベース
25 バネ
26 ベアリング
27 シャフト
28 ターゲット
29 第2ストッパ
30 回転機構
31 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板ホルダーと、ターゲットを保持するターゲットホルダーと、前記基板ホルダー表面の基板が載置される基板載置面を遮蔽可能な遮蔽部材とを備えるスパッタリング装置であって、
前記基板載置面は第1領域と第2領域とを含み、
前記遮蔽部材は、
前記基板載置面に直交する第1方向の軸の回りで回転可能であって少なくとも前記第1領域を遮蔽可能な第1遮蔽部材と、
前記軸の回りで回転可能であって少なくとも前記第2領域を遮蔽可能な第2遮蔽部材と、
前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を回転させる回転機構と、
を備え、
前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材は、前記回転機構による回転によって、
前記第1遮蔽部材が少なくとも前記第1領域を遮蔽し、かつ、前記第2遮蔽部材が少なくとも前記第2領域を遮蔽する遮蔽位置と、
前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材が前記基板載置面の上方の領域から退避して互いに重なり合う退避位置と、の間で移動可能である
ことを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
前記第1遮蔽部材は、前記回転機構によって前記軸の回りで第1回転方向に第1角度だけ回転されることによって前記遮蔽位置から前記退避位置に移動され、
前記第2遮蔽部材は、前記回転機構によって前記軸の回りで前記第1回転方向に前記第1角度より小さい第2角度だけ回転されることによって前記遮蔽位置から前記退避位置に移動される
ことを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記回転機構は、
前記第1遮蔽部材を、前記遮蔽位置と前記退避位置との間で回転駆動する駆動機構と、
前記第2遮蔽部材の前記軸の回りでの回転を前記遮蔽位置と前記退避位置と間の前記第2角度の範囲に規制する規制部材と、
前記第2遮蔽部材を前記軸の回りで前記第1回転方向に回転するように前記第2遮蔽部材に力を付与する部材と、
前記第1遮蔽部材に形成された第1係合部材と前記第2遮蔽部材に形成された第2係合部材と、
を含み、
前記第1係合部材及び前記第2係合部材の一方はピンを含み、前記第1係合部材及び前記第2係合部材の他方は孔を含み、前記ピンは、停止状態にある前記孔の中で前記第1角度と前記第2角度との差分だけ前記軸の回りで回転可能である、又は、前記孔は、当該孔の中に位置し停止状態にある前記ピンに対して前記差分だけ前記軸の回りで回転可能である
ことを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記規制部材は、前記第2遮蔽部材の回転を前記遮蔽位置及び前記退避位置のそれぞれの位置で規制する第1ストッパ及び第2ストッパを含み、
前記第2遮蔽部材に力を付与する前記部材は、バネを含むことを特徴とする請求項3に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
チャンバーの内部に配置されたシールドをさらに備え、
前記回転機構は、前記シールドの外側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
基板を保持する基板ホルダーと、ターゲットを保持するターゲットホルダーと、前記基板ホルダー表面の基板が載置される基板載置面を遮蔽可能な遮蔽部材とを備えるスパッタリング装置を用いて電子デバイスを製造する方法であって、
前記基板載置面は第1領域と第2領域とを含み、
前記遮蔽部材は、
前記基板載置面に直交する第1方向の軸の回りで回転可能であって少なくとも前記第1領域を遮蔽可能な第1遮蔽部材と、
前記軸の回りで回転可能であって少なくとも前記第2領域を遮蔽可能な第2遮蔽部材と、
前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を回転させる回転機構と、
を備え、
前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材は、前記回転機構による回転によって、
前記第1遮蔽部材が少なくとも前記第1領域を遮蔽し、かつ、前記第2遮蔽部材が少なくとも前記第2領域を遮蔽する遮蔽位置と、
前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材が前記基板載置面の上方の領域から退避して互いに重なり合う退避位置と、
の間で移動可能であり、
前記方法は、
前記回転機構によって前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を前記遮蔽位置に配置する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を前記遮蔽位置に維持したまま、前記ターゲットホルダーに保持されたターゲットをスパッタすることで、成膜する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記回転機構により前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材を前記退避位置と配置するとともに、前記ターゲットをスパッタして、前記基板ホルダーに載置された前記基板に成膜する第3工程と、
を有する
ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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