スピーカ、玩具、工芸品、器、雑貨、家具、移動体、建造物、衣類、携帯電話
【課題】音の波動特性を利用するスピーカのさらなる小型化や、薄型化、低コスト化を実現させる。
【解決手段】入力信号に基づいて振動する圧電素子1と、この圧電素子1の振動面と密着し、その振動を波動として外部に放射する波動放射手段からスピーカを構成する。波動放射手段として圧電素子を両側から密着固定する可撓性シート43,44を用いる。
【解決手段】入力信号に基づいて振動する圧電素子1と、この圧電素子1の振動面と密着し、その振動を波動として外部に放射する波動放射手段からスピーカを構成する。波動放射手段として圧電素子を両側から密着固定する可撓性シート43,44を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音の波動特性を利用したスピーカ、及び、当該スピーカを備えた様々な製品、例えば、玩具、工芸品、器、雑貨、家具、移動体、建造物、衣類、携帯電話に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スピーカは、永久磁石、その永久磁石を覆うように設置されたボイスコイル、ボイスコイルに固着されたコーン紙等の振動体から構成されている。ボイスコイルに音声を成す信号(音声信号)が流れると当該ボイスコイルが永久磁石の電極と反発して振動し、そめ振動が振動体によって増幅されて音を発する。これにより、ユーザは、記録媒体に記録された様々な音声信号を音として聞くことができる。なお、このようなスピーカからの音は疎密波として空気中を伝搬する。
【0003】
近年、様々な研究が成され、音の波動特性を利用したスピーカが種々提案されている(例えば特許文献1,2、及び3)。このようなスピーカでは、ボイルコイルの振動エネルギが波動として曲面板に伝達されて外部に放射される。このようなスピーカからの音は、波動として空気中を伝搬する為、先に説明されたスピーカと比較してエネルギ損失及び減衰率が低く、音質及び伝搬特性が優れている。また、小型化や薄型化を実現でき、且つ、コストパフォーマンスにも優れている。なお、上記の如きスピーカからの音は、別の観点では粒子として空気中を伝搬すると考えることもできる。本明細書中において「波動」と表現されている箇所は、別の観点から見た場合、全て「粒子」と置き換えることもできる。
【特許文献1】特開平11−275688号公報
【特許文献2】特開平11−275689号公報
【特許文献3】特開2000−270396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献に示されたようなスピーカにおいて、さらなる小型化や、薄型化、低コスト化が要求されている。また、小型化や薄型化を実現することにより、様々な分野への適用も要求されている。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、音の波動特性を利用したスピーカの小型化や、薄型化、低コスト化を実現し得るスピーカ、及び、当該スピーカを備えた様々な製品、例えば、玩具、工芸品、器、雑貨、家具、移動体、建造物、衣類、携帯電話を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るスピーカは、音の波動特性を利用したものであり、入力信号に基づいて振動する圧電素子と、その一部が圧電素子の振動面と密着し、その振動を波動として外部に放射する波動放射手段とを備えたものである。このようなスピーカにおいて、該振動面全域を波動放射手段に密着させても良い。また、波動放射手段が一体形成された部材であっても良い。また、この圧電素子をフィルムで形成しても良い。また、波動放射手段を、例えば、セラミック、バルサ材、木材、プラスチック、金属、コンクリートのいずれかによって形成することが考えられる。
【0007】
また本発明の一態様に係るスピーカは、薄板状をなし、入力信号に基づいて振動する圧電素子と、前記圧電素子に対して音声信号を供給する音声信号供給手段と、可撓性を有し、前記圧電素子を両面から挟み込んで密着固定した一対の可撓性シートと、を備えたものである。
【0008】
また本発明の一態様に係るスピーカは、それぞれ薄板状をなし、入力信号に基づいて振動する複数の圧電素子と、前記各圧電素子の一方の端子が並列に接続された第1の共通導体と、前記各圧電素子の他方の端子が並列接続された第2の共通導体と、前記第1及び第2の共通導体に対して音声信号を供給する音声信号供給手段と、可撓性を有し、前記圧電素子及び第1及び第2の共通導体を両面から挟み込んで密着固定した一対の可撓性シートと、を備えたものである。
【0009】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る玩具は、上記スピーカを備えたものである。
【0010】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る工芸品は、上記スピーカを備えたものである。
【0011】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る器は、上記スピーカを備えたものである。
【0012】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る雑貨は、上記スピーカを備えたものである。
【0013】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る家具は、上記スピーカを備えたものである。
【0014】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る移動体は、上記スピーカを備えたものである。
【0015】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る建造物は、上記スピーカを備えたものである。
【0016】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る衣類は、上記スピーカを備えたものである。
【0017】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る携帯電話は、上記スピーカを備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスピーカは、振動源としてボイスコイル及び永久磁石でなく圧電素子を用いる為、音の波動特性を利用した従来のスピーカよりも小型化や、薄型化、低コスト化を実現し得る。従って、様々な分野(例えば玩具、工芸品、器、雑貨、家具、移動体、建造物、衣類、携帯電話等)の製品への適用が容易となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態のスピーカについて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態において最も基本的な構成を有したスピーカ10と、スピーカ10に音声信号を出力する周知の音声信号出力装置20(例えば音声情報を記録した記録媒体を搭載したMP3(MPEG1 AudioLayer 3)プレーヤやCD(Compact Disk)プレーヤ等)を有した音響装置を示した図である。なお、音声信号出力装置20は図示しない電源に接続されている。ここで、この電源を必要とする要素は音声信号出力装置20と後述の圧電素子1のみである。これらの消費電力は比較的低い為、当該電源は、商用電源でなく、例えば乾電池や小型な専用バッテリ等であっても良い。
【0021】
スピーカ10は、音の波動特性を利用して音声を出力するものであり、圧電素子1とプレート2から構成されている。本実施形態の圧電素子1は、音声信号出力装置20と電気的に接続されており、当該音声信号出力装置20からの音声信号に基づき、所謂逆圧電効果により振動する。なお、圧電素子1は、例えば、単板型、積層型、ムー二型、シンバル型、モノモルフ型、ユニモルフ型、バイモルフ型、マノレチモルフ型等のいずれのタイプであっても良い。また、その素材が、セラミックであっても良く、或いは、圧電性高分子材料PVDF(polyviny1idene f1uoride)フィルムであっても良い。圧電素子1を後者のフィルムで形成した場合、前者の圧電セラミックと比較して、スピーカ10を小型化や薄型化できるため望ましい。
【0022】
本実施形態のプレート2は、所定値よりも高い弾性率を有した部材であって、例えば、セラミック、バルサ材、木材、プラスチック、金属、コンクリート、或いは、ある程度の剛性を有した紙等の部材で一体形成されている。そしてその背面に圧電素子1が密着した状態で固定されている。なお、圧電素子1は、接着によって固定されていても良く、或いは、支持体等によってプレート2背面に押し付けられた状態で固定されていても良い。
【0023】
次に、スピーカ10による音声出力について説明する。
【0024】
先ず、音声信号出力装置20が作動すると、記録媒体に記録された音声信号が圧電素子1に出力され、当該圧電素子1がその音声信号に基づいて振動しようと作用する。しかしながら圧電素子1は上述したようにプレート2に密着した状態で固定されている為、その振動エネルギの大部分はプレート2内部に伝達される。
【0025】
プレート2内部に伝達された振動エネルギは、その内部において、波動として振る舞って分子間衝突を起こし、圧電素子1を振動させ得た音声信号に基づいた音声に変換されて外部に放射される。ここで放射される音声は、空気振動で伝搬されるものでなく、波動として空気中を伝搬されるものである。従って、エネルギ損失が低く(すなわちノイズ(空気振動による騒音や発熱等)が少なく音質が良い)、且つ、減衰率が低い(すなわち伝搬特性が優れている)。
【0026】
なお、圧電素子1とプレート2との密着度が低い場合、振動エネルギの一部がプレート2内部に伝達され、残りの振動エネルギは圧電素子1本体を振動させる。この振動は、エネルギ損失となり、ノイズ成分の増加やスピーカ10の音量低下を引き起し得る。従って、その密着度は高ければ高いほど望ましい。また、振動エネルギが部材間を移動すると少なくともその一部が空気振動等による騒音や熱に変換される。この為、圧電素子1とプレート2との間に何らかの部材が介在する場合、互いを密着させた状態と比較して、振動エネルギの伝達効率が低い(すなわちエネルギ損失が大きい)。例えば支持体等によって圧電素子1をプレート2に固定した場合、その接触面全域をプレート2に密着させることができる為、エネルギ損失が極めて少ない。また、例えば接着によって圧電素子1とプレート2とを固定した場合、それらの間の一部に接着剤が介在する為、上述した理由によりエネルギ損失が出てしまう。従って、後者の固定方法よりも前者の固定方法の方が望ましい。
【0027】
また、上述したように圧電素子1の振動は上記接触面を介してプレート2に伝達されることから、その電極の位置(別の言い方をすると分極方向)に拘わらず、上記接触面が圧電素子1の振動面として振る舞うといえる。ここで、圧電素子1とプレート2との間に介在物をなくす観点から、圧電素子1の正負両方の電極を、上記接触面と対向する面に設けると良い。
【0028】
また、音声信号出力装置20が例えばMP3プレーヤの場合、音声信号の出力値が比較的小さい。従って、スピーカ10からの出力音声が小さくなり得る。この為、音声信号出力装置20と圧電素子1との間に増幅器(不図示)を配置して当該出力値を増幅させ、その音量を確保するようにしても良い。
【0029】
また、図1では音声信号出力装置20と圧電素子1とを有線で接続しているが、音声信号出力装置20側に送信機、圧電素子1側に受信機を設けることにより、これらを無線で接続することも可能である。
【0030】
また、薄板状をなす圧電素子と、当該圧電素子を密着した状態で挟む少なくとも2枚の可撓性シートとからなるスピーカを構成することができる。
【0031】
図9(a)(b)(c)は圧電素子を2枚の可撓性シートで挟んで密着させたシート状スピーカの構成例を示す図である。図9(a)はシート状スピーカの平面図、同図(b)は同図(a)に示すA−A線矢視断面図、同図(c)は撓ませたシート状スピーカの斜視図である。
【0032】
圧電素子40は、円形の板状をなす電極層41と該電極層41の上面に同心円状に形成された薄板状の圧電層42の2層構造のものを図示している。なお、本発明は2層構造に限定されるものではない。かかる薄板状の圧電素子40を2枚の可撓性シート43、44で両面から挟み込んで密着し固定している。電極層41及び圧電層42には音声信号を印加するために導線45,46が接続されている。圧電素子40と導線45,46との接続を含めた導線45,46の一部まで可撓性シート43、44で圧着している。
【0033】
ここで、可撓性シート43、44は、図9(c)に示すように人の手で容易に湾曲可能な硬さを持つ材料で製造される。このような材料として、たとえば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル樹脂、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)などが挙げられる。
【0034】
本実施の形態では、熱可塑性樹脂の一つで熱圧着可能なポリエステル樹脂を用いることにより、接着剤を使用せずに圧電素子40と可撓性シート材とを密着させている。例えば、熱可塑性樹脂からなる2枚の可撓性シート43,44の間に導線45,46を接続した圧電素子40を配置し、圧電素子40を可撓性シート43,44で挟んだ状態で圧電素子40と可撓性シート材とを所定の押圧力で押圧し、その状態で可撓性シート43,44の両側から熱を加える。熱によりある程度まで軟化した可撓性シート43,44は圧電素子40を挟んだ領域では圧電素子40に密着する一方、圧電素子40以外の領域ではシート材同士が直接面接触して熱圧着して接合した状態となる。したがって、図9(b)に示すように可撓性シート43,44はシート材同士が熱圧着して接合する一方、圧電素子40が可撓性シート43,44に挟まれて密着固定される。
【0035】
可撓性シート43,44を構成するシート材は有る程度の硬さを持つことはスピーカ40の音量を増大する観点から望ましい。一方、図9(c)に示すようにシート状のスピーカ40を所望の物体に取り付ける際に該物体の外面形状に沿って撓ませ得る弾性(可撓性)を持つことが望まれる。すなわち、スピーカとして十分な音量を確保でき、かつシートとして扱いが容易となる可撓性を得られるような材料が望ましい。
【0036】
なお、導線45,46の他端には音声信号出力装置の音声信号出力端子または音声信号を増幅するアンプの出力端子が接続される。
【0037】
このようなシート状スピーカによれば、圧電素子を他の部材に密着させなくても可撓性シート43,44が素子外周全体(両面)に密着しているため単体で十分な音量の音声出力が可能である。その結果、スピーカとして機能させたい物体に圧電素子40を接着剤等で取り付ける必要がなく、また圧電素子40を他の物体に接着剤等で取り付ける必要がないので取り付け/取り外しが極めて容易なものとなる。
【0038】
図10は複数の圧電素子で1つのシート状スピーカを構成した構成例を示す平面図である。第1圧電素子51と第2圧電素子52と第3圧電素子53とがシート長手方向に配置されている。圧電素子51〜53は前述した圧電素子40と同様の構成となっている。すなわち、円形の板状をなす電極層41-1〜41−3と、該電極層41-1〜41−3の上面に同心円状に形成された薄板状の圧電層42−1〜42−3との2層構造をなし、電極層41-1〜41−3に対して導線45−1〜45-3が接続され、圧電層42−1〜42−3に対して導線46−1〜46−3が接続されている。
【0039】
図10に示すシート状スピーカは、電極層側に接続された各導線45−1〜45-3の他端が接続された第1共通導体47と、圧電層側に接続された各導線46−1〜46-3の他端が接続された第2共通導体48とが、シート内に配設されている。第1共通導体47及び第2共通導体48の一端部にシート外に引き出され音声信号出力装置の音声信号出力端子または音声信号を増幅するアンプの出力端子に接続される導線54,55が接続されている。上記第1〜第3圧電素子51〜53と、第1及び第2共通導体47、48(導線を含む)が2枚の可撓性シート43,44の間に挟まれて密着固定されている。可撓性シート43,44は上述したものと同じものを用いることができる。
【0040】
図11は図10に示すシート状スピーカの製造工程を示す概念図である。図10に示すシート状スピーカの製造方法は、図9に示すシート状スピーカと基本的には同じであり、可撓性シート43,44の間に第1〜第3圧電素子51〜53と第1及び第2共通導体47、48(導線を含む)を図10に示すように配置し、しかる後に可撓性シート43と可撓性シート44とを熱圧着して、シート材を上下に接合するとともに第1〜第3圧電素子51〜53等をシート間に密着固定する。
【0041】
スピーカ周囲の音(雑音)が大きい場合、スピーカの音量を大きくすることとなるが、通常はスピーカの音声信号入力段に設けたアンプの出力パワーを上げることでスピーカ音量を大きくする。ところが、アンプのパワーを上げすぎてスピーカの許容範囲を超えると音が歪む現象が起きる。
【0042】
本例のように、アンプの出力に対して複数の圧電素子51〜53を並列に接続する構成を採ることにより、1つの圧電素子40でアンプ出力を受ける場合に比べて、より大きなアンプ出力を受けることができ、歪むことなくより大音量の音声出力が可能になる。
【0043】
上述の如きスピーカでは、振動源としてボイスコイル及び永久磁石でなく圧電素子を用いる為、音の波動特性を利用した従来のスピーカよりも小型化や、薄型化、低コスト化を実現し得る。従って、様々な分野の製品への適用が容易となり得る。以下に、本実施形態の如きスピーカを備えた様々な製品の例を幾つか説明する。なお、以下の各実施例において、図1のものと同一の構成には、同一の符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
【実施例1】
【0044】
図2は、上記の如きスピーカを玩具である縫いぐるみ3に搭載した本発明の実施例1の音響装置を示した図である。縫いぐるみ3は、圧電素子1とプレート21を有したスピーカ100、及び、音声信号出力装置20を備えている。プレート21は、先のプレート2と同様のものであり、所定値よりも高い弾性率を有した部材で形成され、圧電素子1が密着した状態で固定されている。なお、所定値よりも高い弾性率を有した部材が縫いぐるみ3に予め存在する場合、その部分に圧電素子1を取り付けても良い。また、上記の如きスピーカ100を搭載した玩具は、本実施例1では縫いぐるみであるが、別の実施例ではそれと異なる玩具(例えばミニカーやプラモデノレ等)であっても良い。
【実施例2】
【0045】
図3は、工芸品である竹編み籠(その一部の領域Aを拡大して示した領域A’で参照されるような編み込みが成されている)を上記の如きスピーカとした本発明の実施例2の音響装置を示した図である。本実施例2の音響装置は、圧電素子1と受信チップ20bと竹編み籠22を有したスピーカ110、及び、送信チップ20aを有した音声信号出力装置20を備えている。なお、受信チップ20bは、圧電素子1との接触面に金属切片を露出させており、それによって当該圧電素子1との電気的接続を果たしている。
【0046】
本実施例2では、音声信号を外部に送信する送信チップ20aを音声信号出力装置20に設け、当該音声信号を受信する受信チップ20bをスピーカ110に設けることにより、音声信号出力装置20とスピーカ110とを無線で接続している。受信チップ20bが音声信号を受信すると圧電素子1が振動しようと作用する為、当該圧電素子1が密着された状態で固体された竹編み籠22が、先のプレート2の如く振る舞って圧電素子1から伝達された音声信号による振動エネルギを波動として外部に放射する。このとき、圧電素子1と接触している部分の竹が、他の竹に比べて多くの波動を放射する。なお、上記の如きスピーカ110を搭載した工芸品は、本実施例2では竹編み籠であるが、別の実施例ではそれと異なる工芸品(例えば置物やキーホルダー等)であっても良い。また、本実施例2では音声信号出力装置20とスピーカ110とを無線で接続しているが、有線で接続することもできる。また逆に、別の実施例(実施例1,3〜5を含む)において本実施例2の如くそれらを無線で接続することもできる。
【実施例3】
【0047】
図4は、器である椀を上記の如きスピーカとした本発明の実施例3の音響装置を示した図である。本実施例3の音響装置は、椀23と、その底に密着した状態で固定された圧電素子1とを有したスピーカ120、及び、音声信号出力装置20を備えている。本実施例3では、椀23が先のプレート2の如く振る舞う波動放射手段となる。なお、上記の如きスピーカ120を搭載した器は、本実施例3では椀であるが、別の実施例ではそれと異なる器(例えば弁当箱の如き容器や洋食器等)であっても良い。
【実施例4】
【0048】
図5は、雑貨である小物入れを上記の如きスピーカとした本発明の実施例4の音響装置を示した図である。本実施例4の音響装置は、圧電素子1と小物入れ24を有したスピーカ130、及び、音声信号出力装置20を備えている。小物入れ24は、その底部に、圧電素子1と音声信号出力装置20を収容する収容部24aを有しており、それらを収納している。また、圧電素子1は、小物入れ24の外枠(外観となる部分)と一体形成された収容部24aの天板に密着した状態で固定されている。従って、本実施例4は、小物入れ24の外枠が先のプレート2の如く振る舞う波動放射手段となる。なお、本実施例4では、電力を必要とする要素が収容部24aという閉鎖された空間内にある。従って、その電源は、例えば乾電池や小型な専用バッテリ等が望ましい。また、上記の如きスピーカ130を搭載した雑貨は、本実施例4では小物入れであるが、別の実施例ではそれと異なる雑貨(例えばインテリア用品や、日用品、文具等)であっても良い。
【実施例5】
【0049】
図6は、家具である机を上記の如きスピーカとした本発明の実施例5の音響装置を示した図である。本実施例5の音響装置は、机25と、その一部に密着した状態で固定された圧電素子1とを有したスピーカ140、及び、音声信号出力装置20を備えている。本実施例5では、机25が先のプレート2の如く振る舞う波動放射手段となる。なお、上記の、如きスピーカ140を搭載した家具は、本実施例5では机であるが、別の実施例ではそれと異なる家具(例えば棚や椅子等)であっても良い。
【実施例6】
【0050】
図7は、衣類である帽子を上記の如きスピーカとした本発明の実施例6の音響装置を示した図である。本実施例6の音響装置は、帽子26と、その一部(ここでは帽子26の内側であって、着用時に耳の近くに位置するような箇所)に密着した状態で固定された圧電素子1とを有したスピーカ150、及び、音声信号出力装置20を備えている。本実施例6では、帽子26が先のプレート2の如く振る舞う波動放射手段となる。ここで、ユーザが帽子26を着用した場合、帽子26の内側は、ユーザの頭部によって密閉された空間となる。この為、帽子26から発せられる音の波動は、当該空間内で反響して外部に比較的出ない。従って、ユーザが音楽等を比較的大きな音で聞いた場合であっても、その音は外部にあまり漏れない。つまり、本実施例6のスピーカ150は、イヤホンやヘッドホンの如く振る舞う。ここで、スピーカ150は、従来のイヤホンやヘッドホンと異なり耳を圧迫することがない為、ユーザに快適に利用され得る。なお、帽子がウールニット等の比較的柔軟な素材で形成されている場合、本実施例1と同様に、ある程度の弾性率を有した部材を当該帽子に付けてそれに圧電素子1を密着させて取り付けるのが望ましい。圧電素子1が固定される部材の弾性率がある程度確保されていると、圧電素子1本体の振動が抑制されて当該部材内部に効率良く波動として伝達され得る。また、上記の如きスピーカ150を搭載した衣類は、本実施例6では帽子であるが、別の実施例ではそれと異なる衣類(例えばシャツやマフラー等)であっても良い。
【実施例7】
【0051】
図8は、携帯電話の筐体を上記の如きスピーカとした本発明の実施例7の携帯電話30を示した図である。本実施例7の携帯電話30は、音声信号を含んだ電波を受信するアンテナ26a、受信された電波を処理して音声信号にする受信回路26b、及び、当該音声信号を波動として出力するスピーカ150を備えている。本実施例7のスピーカ150は、携帯電話30の筐体26c、及び、その内部に密着した状態で固定された圧電素子1を有している。本実施例7では、筐体26cが先のプレート2の如く振る舞う被動放射手段となる。なお、ここでは筐体26cを波動放射手段として利用しているが、別の実施例ではそれと異なる部品(例えば基板)を波動放射手段として利用しても良い。また、ここでは本実施例7を説明する為に必要な構成にのみ符号を付しているが、実際には送信回路等の様々な構成が携帯電話30に備えられていることを指摘しておく。
【実施例8】
【0052】
図12は、竹編み籠に図10に示すシート状スピーカを取り付けた状態を示す斜視図である。本実施例8の音響装置は、圧電素子40と可撓性シート43,44からなるシート状スピーカと、導線45,46を介して接続された図示されていない音声信号出力装置とを備えている。可撓性シート43,44の外周部を竹編み籠200の内周面の形状に合わせて切断し、可撓性シート43,44を竹編み籠200の内周面に沿うように撓ませて配設している。導線43,44は竹編み籠200の底面の隙間から外部に取り出している。
【0053】
このように、竹編み籠200にスピーカ(又は圧電素子)を固定するための改良を何ら加えることなく、シート状スピーカを設置することができる。
【0054】
以上が本発明の実施の形態である。なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば、本明細書中では本発明のスピーカを適用した例として玩具や工芸品等を挙げているが、想定される別の例として乗用車等の移動体や建造物等を波動放射手段として採用したスピーカが挙げられる。さらには、植物や、人体、紙、水等(純粋な水だけでなく水分を含む全ての物質を含み得る。この場合、水分子が衝突して波動が伝達される。)を、波動放射手段として採用したスピーカも挙げられる。
【0055】
例えば人体を波動放射手段として採用した例として、耳朶や頬に圧電素子を取り付けてその振動エネルギから発生し得る波動を体内に伝達させることにより、装着者に音楽を聞かせるイヤホンのようなものが考えられる。また、図8に示されたような携帯電話において、圧電素子1を筐体の外側に取り付ける例も考えられる。このような携帯電話では、体の一部を圧電素子1に密着させると波動が体内に伝達され、ユーザは当該音声(ただしこの音声には、圧電素子1を体の一部に接させることによって発生した音が空気を介して鼓膜に届くものも含まれ得る)を聞くことができる。
【0056】
また、さらに別の実施例として、圧電素子を、波動放射手段に取り付けるのではなく、波動放射手段の内部に埋め込むことも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態の音響装置を示した図である。
【図2】本発明の実施例1の音響装置を搭載した玩具である縫いぐるみを示した図である。
【図3】本発明の実施例2の音響装置であって、工芸品である竹編み籠を有した音響装置を示した図である。
【図4】本発明の実施例3の音響装置であって、器である椀を有した音響装置を示した図である。
【図5】本発明の実施例4の音響装置であって、雑貨である小物入れを有した音響装置を示した図である。
【図6】本発明の実施例5の音響装置であって、家具である机を有した音響装置を示した図である。
【図7】本発明の実施例6の音響装置であって、衣類である帽子を有した音響装置を示した図である。
【図8】本発明の実施例7の携帯電話を示した図である。
【図9】(a)本発明の実施の形態のシート状スピーカの平面図、(b)同シート状スピーカの断面図、(c)同シート状スピーカの斜視図である。
【図10】本発明の他の実施の形態のシート状スピーカの平面図である。
【図11】図10に示すシート状スピーカの製造工程図である。
【図12】本発明の実施例8の竹編み籠を有した音響装置を示した図である。
【符号の説明】
【0058】
1 圧電素子
2 プレート
10 スピーカ
20 音声信号出力装置
40、51、52、53 圧電素子
41 電極層
42 圧電層
43,44 可撓性シート
45,46 導線
47 第1共通導線
48 第2共通導線
【技術分野】
【0001】
本発明は、音の波動特性を利用したスピーカ、及び、当該スピーカを備えた様々な製品、例えば、玩具、工芸品、器、雑貨、家具、移動体、建造物、衣類、携帯電話に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スピーカは、永久磁石、その永久磁石を覆うように設置されたボイスコイル、ボイスコイルに固着されたコーン紙等の振動体から構成されている。ボイスコイルに音声を成す信号(音声信号)が流れると当該ボイスコイルが永久磁石の電極と反発して振動し、そめ振動が振動体によって増幅されて音を発する。これにより、ユーザは、記録媒体に記録された様々な音声信号を音として聞くことができる。なお、このようなスピーカからの音は疎密波として空気中を伝搬する。
【0003】
近年、様々な研究が成され、音の波動特性を利用したスピーカが種々提案されている(例えば特許文献1,2、及び3)。このようなスピーカでは、ボイルコイルの振動エネルギが波動として曲面板に伝達されて外部に放射される。このようなスピーカからの音は、波動として空気中を伝搬する為、先に説明されたスピーカと比較してエネルギ損失及び減衰率が低く、音質及び伝搬特性が優れている。また、小型化や薄型化を実現でき、且つ、コストパフォーマンスにも優れている。なお、上記の如きスピーカからの音は、別の観点では粒子として空気中を伝搬すると考えることもできる。本明細書中において「波動」と表現されている箇所は、別の観点から見た場合、全て「粒子」と置き換えることもできる。
【特許文献1】特開平11−275688号公報
【特許文献2】特開平11−275689号公報
【特許文献3】特開2000−270396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献に示されたようなスピーカにおいて、さらなる小型化や、薄型化、低コスト化が要求されている。また、小型化や薄型化を実現することにより、様々な分野への適用も要求されている。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、音の波動特性を利用したスピーカの小型化や、薄型化、低コスト化を実現し得るスピーカ、及び、当該スピーカを備えた様々な製品、例えば、玩具、工芸品、器、雑貨、家具、移動体、建造物、衣類、携帯電話を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るスピーカは、音の波動特性を利用したものであり、入力信号に基づいて振動する圧電素子と、その一部が圧電素子の振動面と密着し、その振動を波動として外部に放射する波動放射手段とを備えたものである。このようなスピーカにおいて、該振動面全域を波動放射手段に密着させても良い。また、波動放射手段が一体形成された部材であっても良い。また、この圧電素子をフィルムで形成しても良い。また、波動放射手段を、例えば、セラミック、バルサ材、木材、プラスチック、金属、コンクリートのいずれかによって形成することが考えられる。
【0007】
また本発明の一態様に係るスピーカは、薄板状をなし、入力信号に基づいて振動する圧電素子と、前記圧電素子に対して音声信号を供給する音声信号供給手段と、可撓性を有し、前記圧電素子を両面から挟み込んで密着固定した一対の可撓性シートと、を備えたものである。
【0008】
また本発明の一態様に係るスピーカは、それぞれ薄板状をなし、入力信号に基づいて振動する複数の圧電素子と、前記各圧電素子の一方の端子が並列に接続された第1の共通導体と、前記各圧電素子の他方の端子が並列接続された第2の共通導体と、前記第1及び第2の共通導体に対して音声信号を供給する音声信号供給手段と、可撓性を有し、前記圧電素子及び第1及び第2の共通導体を両面から挟み込んで密着固定した一対の可撓性シートと、を備えたものである。
【0009】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る玩具は、上記スピーカを備えたものである。
【0010】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る工芸品は、上記スピーカを備えたものである。
【0011】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る器は、上記スピーカを備えたものである。
【0012】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る雑貨は、上記スピーカを備えたものである。
【0013】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る家具は、上記スピーカを備えたものである。
【0014】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る移動体は、上記スピーカを備えたものである。
【0015】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る建造物は、上記スピーカを備えたものである。
【0016】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る衣類は、上記スピーカを備えたものである。
【0017】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る携帯電話は、上記スピーカを備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスピーカは、振動源としてボイスコイル及び永久磁石でなく圧電素子を用いる為、音の波動特性を利用した従来のスピーカよりも小型化や、薄型化、低コスト化を実現し得る。従って、様々な分野(例えば玩具、工芸品、器、雑貨、家具、移動体、建造物、衣類、携帯電話等)の製品への適用が容易となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態のスピーカについて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態において最も基本的な構成を有したスピーカ10と、スピーカ10に音声信号を出力する周知の音声信号出力装置20(例えば音声情報を記録した記録媒体を搭載したMP3(MPEG1 AudioLayer 3)プレーヤやCD(Compact Disk)プレーヤ等)を有した音響装置を示した図である。なお、音声信号出力装置20は図示しない電源に接続されている。ここで、この電源を必要とする要素は音声信号出力装置20と後述の圧電素子1のみである。これらの消費電力は比較的低い為、当該電源は、商用電源でなく、例えば乾電池や小型な専用バッテリ等であっても良い。
【0021】
スピーカ10は、音の波動特性を利用して音声を出力するものであり、圧電素子1とプレート2から構成されている。本実施形態の圧電素子1は、音声信号出力装置20と電気的に接続されており、当該音声信号出力装置20からの音声信号に基づき、所謂逆圧電効果により振動する。なお、圧電素子1は、例えば、単板型、積層型、ムー二型、シンバル型、モノモルフ型、ユニモルフ型、バイモルフ型、マノレチモルフ型等のいずれのタイプであっても良い。また、その素材が、セラミックであっても良く、或いは、圧電性高分子材料PVDF(polyviny1idene f1uoride)フィルムであっても良い。圧電素子1を後者のフィルムで形成した場合、前者の圧電セラミックと比較して、スピーカ10を小型化や薄型化できるため望ましい。
【0022】
本実施形態のプレート2は、所定値よりも高い弾性率を有した部材であって、例えば、セラミック、バルサ材、木材、プラスチック、金属、コンクリート、或いは、ある程度の剛性を有した紙等の部材で一体形成されている。そしてその背面に圧電素子1が密着した状態で固定されている。なお、圧電素子1は、接着によって固定されていても良く、或いは、支持体等によってプレート2背面に押し付けられた状態で固定されていても良い。
【0023】
次に、スピーカ10による音声出力について説明する。
【0024】
先ず、音声信号出力装置20が作動すると、記録媒体に記録された音声信号が圧電素子1に出力され、当該圧電素子1がその音声信号に基づいて振動しようと作用する。しかしながら圧電素子1は上述したようにプレート2に密着した状態で固定されている為、その振動エネルギの大部分はプレート2内部に伝達される。
【0025】
プレート2内部に伝達された振動エネルギは、その内部において、波動として振る舞って分子間衝突を起こし、圧電素子1を振動させ得た音声信号に基づいた音声に変換されて外部に放射される。ここで放射される音声は、空気振動で伝搬されるものでなく、波動として空気中を伝搬されるものである。従って、エネルギ損失が低く(すなわちノイズ(空気振動による騒音や発熱等)が少なく音質が良い)、且つ、減衰率が低い(すなわち伝搬特性が優れている)。
【0026】
なお、圧電素子1とプレート2との密着度が低い場合、振動エネルギの一部がプレート2内部に伝達され、残りの振動エネルギは圧電素子1本体を振動させる。この振動は、エネルギ損失となり、ノイズ成分の増加やスピーカ10の音量低下を引き起し得る。従って、その密着度は高ければ高いほど望ましい。また、振動エネルギが部材間を移動すると少なくともその一部が空気振動等による騒音や熱に変換される。この為、圧電素子1とプレート2との間に何らかの部材が介在する場合、互いを密着させた状態と比較して、振動エネルギの伝達効率が低い(すなわちエネルギ損失が大きい)。例えば支持体等によって圧電素子1をプレート2に固定した場合、その接触面全域をプレート2に密着させることができる為、エネルギ損失が極めて少ない。また、例えば接着によって圧電素子1とプレート2とを固定した場合、それらの間の一部に接着剤が介在する為、上述した理由によりエネルギ損失が出てしまう。従って、後者の固定方法よりも前者の固定方法の方が望ましい。
【0027】
また、上述したように圧電素子1の振動は上記接触面を介してプレート2に伝達されることから、その電極の位置(別の言い方をすると分極方向)に拘わらず、上記接触面が圧電素子1の振動面として振る舞うといえる。ここで、圧電素子1とプレート2との間に介在物をなくす観点から、圧電素子1の正負両方の電極を、上記接触面と対向する面に設けると良い。
【0028】
また、音声信号出力装置20が例えばMP3プレーヤの場合、音声信号の出力値が比較的小さい。従って、スピーカ10からの出力音声が小さくなり得る。この為、音声信号出力装置20と圧電素子1との間に増幅器(不図示)を配置して当該出力値を増幅させ、その音量を確保するようにしても良い。
【0029】
また、図1では音声信号出力装置20と圧電素子1とを有線で接続しているが、音声信号出力装置20側に送信機、圧電素子1側に受信機を設けることにより、これらを無線で接続することも可能である。
【0030】
また、薄板状をなす圧電素子と、当該圧電素子を密着した状態で挟む少なくとも2枚の可撓性シートとからなるスピーカを構成することができる。
【0031】
図9(a)(b)(c)は圧電素子を2枚の可撓性シートで挟んで密着させたシート状スピーカの構成例を示す図である。図9(a)はシート状スピーカの平面図、同図(b)は同図(a)に示すA−A線矢視断面図、同図(c)は撓ませたシート状スピーカの斜視図である。
【0032】
圧電素子40は、円形の板状をなす電極層41と該電極層41の上面に同心円状に形成された薄板状の圧電層42の2層構造のものを図示している。なお、本発明は2層構造に限定されるものではない。かかる薄板状の圧電素子40を2枚の可撓性シート43、44で両面から挟み込んで密着し固定している。電極層41及び圧電層42には音声信号を印加するために導線45,46が接続されている。圧電素子40と導線45,46との接続を含めた導線45,46の一部まで可撓性シート43、44で圧着している。
【0033】
ここで、可撓性シート43、44は、図9(c)に示すように人の手で容易に湾曲可能な硬さを持つ材料で製造される。このような材料として、たとえば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル樹脂、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)などが挙げられる。
【0034】
本実施の形態では、熱可塑性樹脂の一つで熱圧着可能なポリエステル樹脂を用いることにより、接着剤を使用せずに圧電素子40と可撓性シート材とを密着させている。例えば、熱可塑性樹脂からなる2枚の可撓性シート43,44の間に導線45,46を接続した圧電素子40を配置し、圧電素子40を可撓性シート43,44で挟んだ状態で圧電素子40と可撓性シート材とを所定の押圧力で押圧し、その状態で可撓性シート43,44の両側から熱を加える。熱によりある程度まで軟化した可撓性シート43,44は圧電素子40を挟んだ領域では圧電素子40に密着する一方、圧電素子40以外の領域ではシート材同士が直接面接触して熱圧着して接合した状態となる。したがって、図9(b)に示すように可撓性シート43,44はシート材同士が熱圧着して接合する一方、圧電素子40が可撓性シート43,44に挟まれて密着固定される。
【0035】
可撓性シート43,44を構成するシート材は有る程度の硬さを持つことはスピーカ40の音量を増大する観点から望ましい。一方、図9(c)に示すようにシート状のスピーカ40を所望の物体に取り付ける際に該物体の外面形状に沿って撓ませ得る弾性(可撓性)を持つことが望まれる。すなわち、スピーカとして十分な音量を確保でき、かつシートとして扱いが容易となる可撓性を得られるような材料が望ましい。
【0036】
なお、導線45,46の他端には音声信号出力装置の音声信号出力端子または音声信号を増幅するアンプの出力端子が接続される。
【0037】
このようなシート状スピーカによれば、圧電素子を他の部材に密着させなくても可撓性シート43,44が素子外周全体(両面)に密着しているため単体で十分な音量の音声出力が可能である。その結果、スピーカとして機能させたい物体に圧電素子40を接着剤等で取り付ける必要がなく、また圧電素子40を他の物体に接着剤等で取り付ける必要がないので取り付け/取り外しが極めて容易なものとなる。
【0038】
図10は複数の圧電素子で1つのシート状スピーカを構成した構成例を示す平面図である。第1圧電素子51と第2圧電素子52と第3圧電素子53とがシート長手方向に配置されている。圧電素子51〜53は前述した圧電素子40と同様の構成となっている。すなわち、円形の板状をなす電極層41-1〜41−3と、該電極層41-1〜41−3の上面に同心円状に形成された薄板状の圧電層42−1〜42−3との2層構造をなし、電極層41-1〜41−3に対して導線45−1〜45-3が接続され、圧電層42−1〜42−3に対して導線46−1〜46−3が接続されている。
【0039】
図10に示すシート状スピーカは、電極層側に接続された各導線45−1〜45-3の他端が接続された第1共通導体47と、圧電層側に接続された各導線46−1〜46-3の他端が接続された第2共通導体48とが、シート内に配設されている。第1共通導体47及び第2共通導体48の一端部にシート外に引き出され音声信号出力装置の音声信号出力端子または音声信号を増幅するアンプの出力端子に接続される導線54,55が接続されている。上記第1〜第3圧電素子51〜53と、第1及び第2共通導体47、48(導線を含む)が2枚の可撓性シート43,44の間に挟まれて密着固定されている。可撓性シート43,44は上述したものと同じものを用いることができる。
【0040】
図11は図10に示すシート状スピーカの製造工程を示す概念図である。図10に示すシート状スピーカの製造方法は、図9に示すシート状スピーカと基本的には同じであり、可撓性シート43,44の間に第1〜第3圧電素子51〜53と第1及び第2共通導体47、48(導線を含む)を図10に示すように配置し、しかる後に可撓性シート43と可撓性シート44とを熱圧着して、シート材を上下に接合するとともに第1〜第3圧電素子51〜53等をシート間に密着固定する。
【0041】
スピーカ周囲の音(雑音)が大きい場合、スピーカの音量を大きくすることとなるが、通常はスピーカの音声信号入力段に設けたアンプの出力パワーを上げることでスピーカ音量を大きくする。ところが、アンプのパワーを上げすぎてスピーカの許容範囲を超えると音が歪む現象が起きる。
【0042】
本例のように、アンプの出力に対して複数の圧電素子51〜53を並列に接続する構成を採ることにより、1つの圧電素子40でアンプ出力を受ける場合に比べて、より大きなアンプ出力を受けることができ、歪むことなくより大音量の音声出力が可能になる。
【0043】
上述の如きスピーカでは、振動源としてボイスコイル及び永久磁石でなく圧電素子を用いる為、音の波動特性を利用した従来のスピーカよりも小型化や、薄型化、低コスト化を実現し得る。従って、様々な分野の製品への適用が容易となり得る。以下に、本実施形態の如きスピーカを備えた様々な製品の例を幾つか説明する。なお、以下の各実施例において、図1のものと同一の構成には、同一の符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
【実施例1】
【0044】
図2は、上記の如きスピーカを玩具である縫いぐるみ3に搭載した本発明の実施例1の音響装置を示した図である。縫いぐるみ3は、圧電素子1とプレート21を有したスピーカ100、及び、音声信号出力装置20を備えている。プレート21は、先のプレート2と同様のものであり、所定値よりも高い弾性率を有した部材で形成され、圧電素子1が密着した状態で固定されている。なお、所定値よりも高い弾性率を有した部材が縫いぐるみ3に予め存在する場合、その部分に圧電素子1を取り付けても良い。また、上記の如きスピーカ100を搭載した玩具は、本実施例1では縫いぐるみであるが、別の実施例ではそれと異なる玩具(例えばミニカーやプラモデノレ等)であっても良い。
【実施例2】
【0045】
図3は、工芸品である竹編み籠(その一部の領域Aを拡大して示した領域A’で参照されるような編み込みが成されている)を上記の如きスピーカとした本発明の実施例2の音響装置を示した図である。本実施例2の音響装置は、圧電素子1と受信チップ20bと竹編み籠22を有したスピーカ110、及び、送信チップ20aを有した音声信号出力装置20を備えている。なお、受信チップ20bは、圧電素子1との接触面に金属切片を露出させており、それによって当該圧電素子1との電気的接続を果たしている。
【0046】
本実施例2では、音声信号を外部に送信する送信チップ20aを音声信号出力装置20に設け、当該音声信号を受信する受信チップ20bをスピーカ110に設けることにより、音声信号出力装置20とスピーカ110とを無線で接続している。受信チップ20bが音声信号を受信すると圧電素子1が振動しようと作用する為、当該圧電素子1が密着された状態で固体された竹編み籠22が、先のプレート2の如く振る舞って圧電素子1から伝達された音声信号による振動エネルギを波動として外部に放射する。このとき、圧電素子1と接触している部分の竹が、他の竹に比べて多くの波動を放射する。なお、上記の如きスピーカ110を搭載した工芸品は、本実施例2では竹編み籠であるが、別の実施例ではそれと異なる工芸品(例えば置物やキーホルダー等)であっても良い。また、本実施例2では音声信号出力装置20とスピーカ110とを無線で接続しているが、有線で接続することもできる。また逆に、別の実施例(実施例1,3〜5を含む)において本実施例2の如くそれらを無線で接続することもできる。
【実施例3】
【0047】
図4は、器である椀を上記の如きスピーカとした本発明の実施例3の音響装置を示した図である。本実施例3の音響装置は、椀23と、その底に密着した状態で固定された圧電素子1とを有したスピーカ120、及び、音声信号出力装置20を備えている。本実施例3では、椀23が先のプレート2の如く振る舞う波動放射手段となる。なお、上記の如きスピーカ120を搭載した器は、本実施例3では椀であるが、別の実施例ではそれと異なる器(例えば弁当箱の如き容器や洋食器等)であっても良い。
【実施例4】
【0048】
図5は、雑貨である小物入れを上記の如きスピーカとした本発明の実施例4の音響装置を示した図である。本実施例4の音響装置は、圧電素子1と小物入れ24を有したスピーカ130、及び、音声信号出力装置20を備えている。小物入れ24は、その底部に、圧電素子1と音声信号出力装置20を収容する収容部24aを有しており、それらを収納している。また、圧電素子1は、小物入れ24の外枠(外観となる部分)と一体形成された収容部24aの天板に密着した状態で固定されている。従って、本実施例4は、小物入れ24の外枠が先のプレート2の如く振る舞う波動放射手段となる。なお、本実施例4では、電力を必要とする要素が収容部24aという閉鎖された空間内にある。従って、その電源は、例えば乾電池や小型な専用バッテリ等が望ましい。また、上記の如きスピーカ130を搭載した雑貨は、本実施例4では小物入れであるが、別の実施例ではそれと異なる雑貨(例えばインテリア用品や、日用品、文具等)であっても良い。
【実施例5】
【0049】
図6は、家具である机を上記の如きスピーカとした本発明の実施例5の音響装置を示した図である。本実施例5の音響装置は、机25と、その一部に密着した状態で固定された圧電素子1とを有したスピーカ140、及び、音声信号出力装置20を備えている。本実施例5では、机25が先のプレート2の如く振る舞う波動放射手段となる。なお、上記の、如きスピーカ140を搭載した家具は、本実施例5では机であるが、別の実施例ではそれと異なる家具(例えば棚や椅子等)であっても良い。
【実施例6】
【0050】
図7は、衣類である帽子を上記の如きスピーカとした本発明の実施例6の音響装置を示した図である。本実施例6の音響装置は、帽子26と、その一部(ここでは帽子26の内側であって、着用時に耳の近くに位置するような箇所)に密着した状態で固定された圧電素子1とを有したスピーカ150、及び、音声信号出力装置20を備えている。本実施例6では、帽子26が先のプレート2の如く振る舞う波動放射手段となる。ここで、ユーザが帽子26を着用した場合、帽子26の内側は、ユーザの頭部によって密閉された空間となる。この為、帽子26から発せられる音の波動は、当該空間内で反響して外部に比較的出ない。従って、ユーザが音楽等を比較的大きな音で聞いた場合であっても、その音は外部にあまり漏れない。つまり、本実施例6のスピーカ150は、イヤホンやヘッドホンの如く振る舞う。ここで、スピーカ150は、従来のイヤホンやヘッドホンと異なり耳を圧迫することがない為、ユーザに快適に利用され得る。なお、帽子がウールニット等の比較的柔軟な素材で形成されている場合、本実施例1と同様に、ある程度の弾性率を有した部材を当該帽子に付けてそれに圧電素子1を密着させて取り付けるのが望ましい。圧電素子1が固定される部材の弾性率がある程度確保されていると、圧電素子1本体の振動が抑制されて当該部材内部に効率良く波動として伝達され得る。また、上記の如きスピーカ150を搭載した衣類は、本実施例6では帽子であるが、別の実施例ではそれと異なる衣類(例えばシャツやマフラー等)であっても良い。
【実施例7】
【0051】
図8は、携帯電話の筐体を上記の如きスピーカとした本発明の実施例7の携帯電話30を示した図である。本実施例7の携帯電話30は、音声信号を含んだ電波を受信するアンテナ26a、受信された電波を処理して音声信号にする受信回路26b、及び、当該音声信号を波動として出力するスピーカ150を備えている。本実施例7のスピーカ150は、携帯電話30の筐体26c、及び、その内部に密着した状態で固定された圧電素子1を有している。本実施例7では、筐体26cが先のプレート2の如く振る舞う被動放射手段となる。なお、ここでは筐体26cを波動放射手段として利用しているが、別の実施例ではそれと異なる部品(例えば基板)を波動放射手段として利用しても良い。また、ここでは本実施例7を説明する為に必要な構成にのみ符号を付しているが、実際には送信回路等の様々な構成が携帯電話30に備えられていることを指摘しておく。
【実施例8】
【0052】
図12は、竹編み籠に図10に示すシート状スピーカを取り付けた状態を示す斜視図である。本実施例8の音響装置は、圧電素子40と可撓性シート43,44からなるシート状スピーカと、導線45,46を介して接続された図示されていない音声信号出力装置とを備えている。可撓性シート43,44の外周部を竹編み籠200の内周面の形状に合わせて切断し、可撓性シート43,44を竹編み籠200の内周面に沿うように撓ませて配設している。導線43,44は竹編み籠200の底面の隙間から外部に取り出している。
【0053】
このように、竹編み籠200にスピーカ(又は圧電素子)を固定するための改良を何ら加えることなく、シート状スピーカを設置することができる。
【0054】
以上が本発明の実施の形態である。なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば、本明細書中では本発明のスピーカを適用した例として玩具や工芸品等を挙げているが、想定される別の例として乗用車等の移動体や建造物等を波動放射手段として採用したスピーカが挙げられる。さらには、植物や、人体、紙、水等(純粋な水だけでなく水分を含む全ての物質を含み得る。この場合、水分子が衝突して波動が伝達される。)を、波動放射手段として採用したスピーカも挙げられる。
【0055】
例えば人体を波動放射手段として採用した例として、耳朶や頬に圧電素子を取り付けてその振動エネルギから発生し得る波動を体内に伝達させることにより、装着者に音楽を聞かせるイヤホンのようなものが考えられる。また、図8に示されたような携帯電話において、圧電素子1を筐体の外側に取り付ける例も考えられる。このような携帯電話では、体の一部を圧電素子1に密着させると波動が体内に伝達され、ユーザは当該音声(ただしこの音声には、圧電素子1を体の一部に接させることによって発生した音が空気を介して鼓膜に届くものも含まれ得る)を聞くことができる。
【0056】
また、さらに別の実施例として、圧電素子を、波動放射手段に取り付けるのではなく、波動放射手段の内部に埋め込むことも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態の音響装置を示した図である。
【図2】本発明の実施例1の音響装置を搭載した玩具である縫いぐるみを示した図である。
【図3】本発明の実施例2の音響装置であって、工芸品である竹編み籠を有した音響装置を示した図である。
【図4】本発明の実施例3の音響装置であって、器である椀を有した音響装置を示した図である。
【図5】本発明の実施例4の音響装置であって、雑貨である小物入れを有した音響装置を示した図である。
【図6】本発明の実施例5の音響装置であって、家具である机を有した音響装置を示した図である。
【図7】本発明の実施例6の音響装置であって、衣類である帽子を有した音響装置を示した図である。
【図8】本発明の実施例7の携帯電話を示した図である。
【図9】(a)本発明の実施の形態のシート状スピーカの平面図、(b)同シート状スピーカの断面図、(c)同シート状スピーカの斜視図である。
【図10】本発明の他の実施の形態のシート状スピーカの平面図である。
【図11】図10に示すシート状スピーカの製造工程図である。
【図12】本発明の実施例8の竹編み籠を有した音響装置を示した図である。
【符号の説明】
【0058】
1 圧電素子
2 プレート
10 スピーカ
20 音声信号出力装置
40、51、52、53 圧電素子
41 電極層
42 圧電層
43,44 可撓性シート
45,46 導線
47 第1共通導線
48 第2共通導線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音の波動特性を利用したスピーカにおいて、
入力信号に基づいて振動する圧電素子と、
その一部が前記圧電素子の振動面と密着し、その振動を波動として外部に放射する波動放射手段と、を備えたこと、を特徴とするスピーカ。
【請求項2】
該振動面全域を前記波動放射手段に密着させたこと、を特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記波動放射手段が一体形成された部材であること、を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のスピーカ。
【請求項4】
前記圧電素子をフィルムで形成したこと、を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスピーカ。
【請求項5】
前記波動放射手段を、セラミック、バルサ材、木材、プラスチック、金属、コンクリートのいずれかによって形成したこと、を特徴とする請求項4に記載のスピーカ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする玩具。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする工芸品。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする器。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする雑貨。
【請求項10】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする家具。
【請求項11】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする移動体。
【請求項12】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする建造物。
【請求項13】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする衣類。
【請求項14】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする携帯電話。
【請求項15】
薄板状をなし、入力信号に基づいて振動する圧電素子と、
前記圧電素子に対して音声信号を供給する音声信号供給手段と、
可撓性を有し、前記圧電素子を両面から挟み込んで密着固定した一対の可撓性シートと、を備えたことを特徴とするスピーカ。
【請求項16】
それぞれ薄板状をなし、入力信号に基づいて振動する複数の圧電素子と、
前記各圧電素子の一方の端子が並列に接続された第1の共通導体と、
前記各圧電素子の他方の端子が並列接続された第2の共通導体と、
前記第1及び第2の共通導体に対して音声信号を供給する音声信号供給手段と、
可撓性を有し、前記圧電素子及び第1及び第2の共通導体を両面から挟み込んで密着固定した一対の可撓性シートと、を備えたことを特徴とするスピーカ。
【請求項1】
音の波動特性を利用したスピーカにおいて、
入力信号に基づいて振動する圧電素子と、
その一部が前記圧電素子の振動面と密着し、その振動を波動として外部に放射する波動放射手段と、を備えたこと、を特徴とするスピーカ。
【請求項2】
該振動面全域を前記波動放射手段に密着させたこと、を特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記波動放射手段が一体形成された部材であること、を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のスピーカ。
【請求項4】
前記圧電素子をフィルムで形成したこと、を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスピーカ。
【請求項5】
前記波動放射手段を、セラミック、バルサ材、木材、プラスチック、金属、コンクリートのいずれかによって形成したこと、を特徴とする請求項4に記載のスピーカ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする玩具。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする工芸品。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする器。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする雑貨。
【請求項10】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする家具。
【請求項11】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする移動体。
【請求項12】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする建造物。
【請求項13】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする衣類。
【請求項14】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のスピーカを備えたこと、を特徴とする携帯電話。
【請求項15】
薄板状をなし、入力信号に基づいて振動する圧電素子と、
前記圧電素子に対して音声信号を供給する音声信号供給手段と、
可撓性を有し、前記圧電素子を両面から挟み込んで密着固定した一対の可撓性シートと、を備えたことを特徴とするスピーカ。
【請求項16】
それぞれ薄板状をなし、入力信号に基づいて振動する複数の圧電素子と、
前記各圧電素子の一方の端子が並列に接続された第1の共通導体と、
前記各圧電素子の他方の端子が並列接続された第2の共通導体と、
前記第1及び第2の共通導体に対して音声信号を供給する音声信号供給手段と、
可撓性を有し、前記圧電素子及び第1及び第2の共通導体を両面から挟み込んで密着固定した一対の可撓性シートと、を備えたことを特徴とするスピーカ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−197562(P2006−197562A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340198(P2005−340198)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(305018340)株式会社ドリーム総合研究所 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(305018340)株式会社ドリーム総合研究所 (6)
【Fターム(参考)】
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