スピーカターミナル
【課題】端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易でありながらも、器体の前面からの端子部の突出量が従来構成に比べて小さいスピーカターミナルを提供する。
【解決手段】スピーカターミナルAは、器体1と、器体1の前面側に設けられ2個を1組とする端子部3と、器体1の背面側に設けられ各端子部3にそれぞれ電気的に接続された接続部とを備える。端子部3および接続部にはそれぞれ別のスピーカケーブルを接続することができる。器体1の前面には収納凹所22が凹設されており、器体1は、収納凹所22の内周面に収納凹所22の深さ寸法が下方ほど小さくなるように前面に対して傾斜した傾斜面23を有する。端子部3は、左右方向に2個並ぶように、1つの傾斜面23に1組配置されている。
【解決手段】スピーカターミナルAは、器体1と、器体1の前面側に設けられ2個を1組とする端子部3と、器体1の背面側に設けられ各端子部3にそれぞれ電気的に接続された接続部とを備える。端子部3および接続部にはそれぞれ別のスピーカケーブルを接続することができる。器体1の前面には収納凹所22が凹設されており、器体1は、収納凹所22の内周面に収納凹所22の深さ寸法が下方ほど小さくなるように前面に対して傾斜した傾斜面23を有する。端子部3は、左右方向に2個並ぶように、1つの傾斜面23に1組配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンプ等の音響機器とスピーカとを接続するスピーカケーブルの一部を施工面の裏側に隠蔽する場合に、施工面におけるスピーカケーブルの出入口にそれぞれ設けられ、施工面の表側のスピーカケーブルと施工面の裏側のスピーカケーブルとを電気的に接続するために用いられるスピーカターミナルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のスピーカターミナルAとして、図16に示すように、埋込型の配線器具の取付枠(図示せず)に取付可能な器体1を備えたものが提供されている。器体1は取付枠を用いて施工面としての壁面に取り付けられ、この器体1の前面側にスピーカケーブルCを接続可能な端子部3が複数個(ここでは4個)設けられる。ここで、図16の端子部3は、スピーカケーブルCを容易に接続できるように端子ねじを締め付けることによってスピーカケーブルCを挟持する構成を採用しており、器体1の長手方向である上下方向に一列に並ぶように配置されている。
【0003】
さらに、器体1の背面側には端子部3とは別にスピーカケーブルを接続可能な接続部(図示せず)が端子部3に対応する個数(ここでは4個)設けられ、各接続部と各端子部3とがそれぞれ電気的に接続される。このスピーカターミナルAを用いれば、壁外において端子部3にスピーカケーブルCを接続することにより、当該スピーカケーブルCを壁内において接続部に接続された別のスピーカケーブルに対して電気的に接続することができる(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平2−43091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端子部3に対するスピーカケーブルCの接続は、一般にスピーカターミナルAの設置後に使用者自身によって為されるので、上述したようなスピーカターミナルAでは、端子部3へのスピーカケーブルCの接続作業を容易に行えるように、端子部3が器体1の前面から突出する形で設けられており、その結果、端子部3が衣服に引っ掛かり易いなどの問題を生じる。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易でありながらも、器体の前面からの端子部の突出量が従来構成に比べて小さいスピーカターミナルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明では、施工面に取り付けられる器体と、器体の前面側に設けられ2個を1組としてそれぞれスピーカケーブルを接続可能な端子部と、器体の背面側に設けられ各端子部にそれぞれ電気的に接続されるとともに端子部とは別にそれぞれスピーカケーブルを接続可能な接続部とを備え、器体は、収納凹所が前面に凹設されており、収納凹所の内周面に、器体の前面に沿う一方向に沿って収納凹所の深さ寸法を変化させるように器体の前面に対して傾斜した傾斜面を有し、組となる2個の端子部は、器体の前面に沿う面内で前記一方向に直交する方向に並ぶように傾斜面に配置されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、端子部が収納凹所の傾斜面に配置されることによって端子部の一部が収納凹所内に収納されるので、従来構成と同じ大きさの端子部を設けたとしても、器体の前面からの端子部の突出量は従来構成に比べて小さくなる。ここで、端子部を配置した傾斜面は器体の前面に対して傾斜しているので、このように端子部の一部を収納凹所内に収納しながらも、スピーカターミナルを壁面の下部に取り付ける場合には傾斜面が斜め上向きとなるように器体を取り付ければ器体の斜め上方から端子部が見え易く、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易になる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記器体が、組となる2個の前記端子部の間に立設された絶縁壁と、前記傾斜面において前記一方向における前記収納凹所の深さ寸法が大きい側の一端縁から前方に延設された当接面と、傾斜面において前記一方向に沿う両側縁から前方に延設された案内面とを収納凹所の内周面に有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、組となる2個の端子部にそれぞれ接続されたスピーカケーブル同士の短絡が絶縁壁によって防止される。また、端子部に対してスピーカケーブルを前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい側から傾斜面に沿って挿入するように接続する際に、スピーカケーブルの先端を当接面に当接させることにより端子部に対してスピーカケーブルを過不足なく挿入することができる。さらに、案内面によって、スピーカケーブルの先端部がばらついて収納凹所の外に出ることを防止でき、結果的に、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易になる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記収納凹所を覆う閉塞位置と収納凹所を覆わない開放位置との間で開閉可能な蓋体を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、蓋体を閉じておくことによって端子部に塵埃が堆積することがなくなる。なお、ここでいう開閉可能な蓋体とは、器体に一体に設けられ開閉可能なもののほかに、器体に着脱可能なものも含む。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記端子部が、前記一方向における前記収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部から前記傾斜面に沿って引き出される前記スピーカケーブルを接続可能であって、前記蓋体が、前記閉塞位置において、前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部にスピーカケーブルを挿通する引出孔が開口していることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、端子部に対してスピーカケーブルを前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい側から傾斜面に沿って挿入するように接続することにより、一部が収納凹所内に収納された端子部へのスピーカケーブルの接続作業を容易に行うことができる。また、蓋体が閉塞位置にある状態でも、引出孔を通してスピーカケーブルを引き出すことによって、端子部にスピーカケーブルを接続することができる。しかも、スピーカケーブルが、端子部において前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部から傾斜面に沿って引き出される場合には、スピーカケーブルを無理に曲げることなく引出孔を通して引き出すことができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明において、前記端子部が、前端部から前記傾斜面に交わる向きに引き出される前記スピーカケーブルを接続可能であって、前記蓋体が、前記閉塞位置において、端子部に対応する各部位にスピーカケーブルを挿通する挿通孔がそれぞれ開口していることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、端子部に対して端子部の前端部からスピーカケーブルを傾斜面に交わる向きに挿入するように接続することにより、一部が収納凹所内に収納された端子部へのスピーカケーブルの接続作業を容易に行うことができる。また、蓋体が閉塞位置にある状態でも、挿通孔を通してスピーカケーブルを引き出すことによって、端子部にスピーカケーブルを接続することができる。しかも、スピーカケーブルが、端子部の前端部から傾斜面に交わる向きに引き出される場合には、スピーカケーブルを無理に曲げることなく挿通孔を通して引き出すことができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記器体が、前面の一部に前記端子部に接続された前記スピーカケーブルの一部を保持する張力止めを有することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、端子部に接続されたスピーカケーブルに張力が作用しても、張力止めによって端子部までは力が及ばなくなるので、スピーカケーブルが端子部から抜けてしまうことはない。また、端子部の破損が防止されるという利点もある。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発明において、前記端子部が、円柱状に形成され軸方向を前記傾斜面に交わらせる向きで前記器体に取り付けられ、傾斜面よりも前方に位置する部分に雄ねじからなる接続用ねじ部が形成された心棒と、接続用ねじ部に螺合する雌ねじからなる接続用ナット部が形成されたキャップとを有し、心棒が、傾斜面よりも前方に位置する部分の後端部に、前記スピーカケーブルの先端部が挿入されるケーブル挿入孔が貫設されており、キャップが、接続用ねじ部に接続用ナット部が螺合した状態で心棒の周方向に回転させられることによりケーブル挿入孔を覆う位置とケーブル挿入孔を覆わない位置との間で移動し、ケーブル挿入孔が、貫通方向においてスピーカケーブルが挿入された状態でスピーカケーブルの先端側となる開口部が前記収納凹所内に位置することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、スピーカケーブルをケーブル挿入孔に挿入し、ケーブル挿入孔を覆う位置にキャップを移動させることにより、端子部にスピーカケーブルを接続することができる。また、ケーブル挿入孔は貫通方向においてスピーカケーブルが挿入された状態でスピーカケーブルの先端側となる開口部が収納凹所内に位置するので、スピーカケーブルをケーブル挿入孔に挿入すると、スピーカケーブルの先端を収納凹所の内周面に当接させることによりスピーカケーブルの先端部が収納凹所の外に出ることを防止でき、結果的に、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易になる。
【0020】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記ケーブル挿入孔が、貫通方向における前記収納凹所の深さ寸法が小さい側の開口部から前記スピーカケーブルの先端部が挿入されるように前記傾斜面に沿って貫設されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、組となる2個の端子部にそれぞれ接続されるスピーカケーブルは、いずれも前記一方向に沿ってケーブル挿入孔に挿入されることになる。一方、組となる2個の端子部は器体の前面に沿う面内で前記一方向に直交する方向に並んでいる。すなわち、組となる2個の端子部に接続される一対のスピーカケーブルにおいてケーブル挿入孔への挿入量が大き過ぎて両スピーカケーブルの先端部が端子部から突出しても、両スピーカケーブルは互いに離れた位置で平行に突出することになるので短絡し難い。
【0022】
請求項9の発明は、請求項7または請求項8の発明において、前記キャップと前記心棒との少なくとも一方には、心棒に対してキャップを抜け止めする抜止部が設けられていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、キャップが心棒から抜け落ちてしまうことがないので、たとえば心棒から外れたキャップを子供が誤飲するなどの事故を防止することができるという効果がある。
【0024】
請求項10の発明は、請求項7ないし請求項9のいずれかの発明において、前記心棒が、前記傾斜面よりも前方に位置する部分において前記接続用ねじ部の前方に、外径が前記接続用ねじ部よりも小さくかつ軸方向の寸法が接続用ナット部よりも大きい空回り部を備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、キャップを回転させてケーブル挿入孔を覆わない位置に移動させる際に、接続用ナット部が空回り部にまで移動するとキャップは心棒に対して空回りすることになるから、キャップを回転させる力が接続用ナット部や器体に作用して接続用ナット部や器体が変形してしまうことを防止できる。
【0026】
請求項11の発明は、請求項7ないし請求項10のいずれかの発明において、前記器体が、前記収納凹所の内周面に、前記ケーブル挿入孔における貫通方向の少なくとも一方の開口部を前方に投影する鏡面を有することを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、ケーブル挿入孔の少なくとも一方の開口部が鏡面を介して器体の前方から視認可能となるから、ケーブル挿入孔の開口部を直接視認するのが困難な位置にスピーカターミナルが設置されていても、使用者はケーブル挿入孔の少なくとも一方の開口部を見ながらスピーカケーブルをケーブル挿入孔に挿入することができ、スピーカケーブルの接続作業を容易に行うことができる。なお、鏡面には、器体に鏡を貼り付けることにより形成されるもののほか、蒸着等により器体の一部に直接形成されるものを含む。
【0028】
請求項12の発明は、請求項7ないし請求項11のいずれかの発明において、前記心棒が、前記傾斜面よりも前方に位置する部分において前記接続用ねじ部の後方に、外径が接続用ねじ部よりも小さく、前記スピーカケーブルが巻き付けられるケーブル巻き部を備えることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、端子部にスピーカケーブルを接続する際に、スピーカケーブルの被覆を剥いた部分をケーブル巻き部に巻き付けることができ、これにより、端子部とスピーカケーブルとの接触面積を大きくして端子部とスピーカケーブルとの間の接触抵抗を低減することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、端子部が収納凹所の傾斜面に配置されることによって端子部の一部が収納凹所内に収納されるので、器体の前面からの端子部の突出量が従来構成に比べて小さくなる。ここで、端子部を配置した傾斜面は器体の前面に対して傾斜しているので、このように端子部の一部を収納凹所内に収納しながらも、スピーカターミナルを壁面の下部に取り付ける場合には傾斜面が斜め上向きとなるように器体を取り付ければ器体の斜め上方から端子部が見え易く、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(実施形態1)
本実施形態のスピーカターミナルAは、図2に示すように、合成樹脂製であって後方が開放された箱状に形成された器体1を備える。以下では、器体1の前端部を壁面B(施工面)から突出させる形でスピーカターミナルAを壁面Bに取り付けた状態を示す図1(a)の上下左右を上下左右として説明する。
【0032】
器体1の前面側には2個を1組とする端子部3が複数組設けられ、器体1の背面側には端子部3と同様に2個を1組とする接続部4が複数組設けられる。ここで、スピーカ(図示せず)には「+」と「−」との極性があって、1個のスピーカとアンプ等の音響機器(図示せず)とは異極性(「+」と「−」)の一対のスピーカケーブルC(図16(a)参照)によって接続されるので、本実施形態では、左右1組のスピーカに対応するように端子部3および接続部4を4個(2組)ずつ設けてある。各組の端子部3(あるいは接続部4)に対してはそれぞれ一対のスピーカケーブルCを接続する。さらに、器体1の前面側には後述する蓋体5が着脱可能に取着される。
【0033】
各端子部3はそれぞれ、円柱状の心棒6と有底円筒状のキャップ7とで構成される。心棒6の軸方向の中央部には直径方向に貫通するケーブル挿入孔8が形成され、心棒6の軸方向の一端側(後端側)には心棒6を器体1に固定するための固定用ねじ部9が形成される。固定用ねじ部9とケーブル挿入孔8との間には、キャップ7と同程度の外径を有する鍔部10が形成される。固定用ねじ部9が、器体1に貫設された長孔状の端子固定用孔11に挿通され、後述する接続板12に貫設された端子接続用孔13を通してナット14に螺合することにより、心棒6は、接続板12と鍔部10との間に器体1における端子固定用孔11の周部を挟持する形で器体1に固定される。ここで、鍔部10における固定用ねじ部9側の一面に突設された嵌合突部19が端子固定用孔11に嵌合することにより、端子部3の回り止めが為される。端子部3はケーブル挿入孔8が上下方向に貫通する向きに器体1に固定される。
【0034】
また、キャップ7の内周面にはねじ溝が形成され、心棒6の軸方向の他端側(前端側)にはキャップ7と螺合する接続用ねじ部15が形成される。接続用ねじ部15に対してキャップ7を締め付けると、キャップ7によってケーブル挿入孔8が閉塞されることになる。この構成により、端子部3は、ケーブル挿入孔8にスピーカケーブルCの先端部を挿入した状態でキャップ7を締め付けることによって、スピーカケーブルCを機械的に保持するとともに電気的に接続することができる。ここにおいて、端子部3とスピーカケーブルCとの接触抵抗を比較的小さく抑えるためには、キャップ7を十分に締め付ける必要がある。本実施形態では、小さな力でもキャップ7を十分に締め付けることができるように、外径が比較的大きいキャップ7を採用するとともに、キャップ7の底面(端子部3の前端面)に直径方向に延長された締付け溝16を設けることにより、コインやマイナスドライバなどを用いてキャップ7を締め付けることもできるようにしてある。なお、締付け溝16は他の形状(たとえば十字状)でもよい。
【0035】
また、本実施形態の端子部3は、上述したようにケーブル挿入孔8に挿入されるスピーカケーブルCに限らず、差込式の所謂バナナプラグ(図示せず)を有したスピーカケーブルCを接続することもできる。このための構成として、心棒6における軸方向に沿った中心部にバナナプラグを保持するプラグ保持穴17を開口するとともに、キャップ7の底面にプラグ挿入孔18を貫設してある。これにより、心棒6にキャップ7を螺合した状態で、端子部3の前端面からプラグ挿入孔18を通してプラグ保持穴17にバナナプラグを差し込むことによって、スピーカケーブルCを端子部3に接続することができる。
【0036】
一方、各接続部4はそれぞれ、上述した接続板12と端子ねじ20とで構成される。接続板12には端子ねじ20が螺合するねじ孔21が形成されており、このねじ孔21に後方から端子ねじ20を締め付けることによりスピーカケーブルを接続することができる。上述した端子接続用孔13は接続板12においてねじ孔21の下方に貫設されており、端子部3と接続部4とは、心棒6の固定用ねじ部9が端子接続用孔13を通してナット14と螺合することによって、電気的に接続されることになる。
【0037】
ところで、本実施形態のスピーカターミナルAでは、器体1の前面において、それぞれ左右方向に長い矩形状に開口した収納凹所22が上下方向(器体1の長手方向)に沿って2個列設されている。各収納凹所22はそれぞれ、開口面の下端縁から延出され上方ほど後退するように器体1の前面に対して傾斜した傾斜面23と、開口面の上端縁から延出され下方ほど後退するように器体1の前面に対して傾斜した当接面24と、開口面の左右両端縁からそれぞれ後方に延出され互いに対向する一対の案内面25とで形成されている。上述した端子固定用孔11は、この傾斜面23に貫設される。つまり、端子部3は傾斜面23に配置されることになる。
【0038】
ここで、各傾斜面23に端子部3が1組ずつ配置されるように、端子固定用孔11は各傾斜面23に2個ずつ形成される。各組の2個の端子部3には、端子部3に接続するスピーカケーブルCと接続部4に接続されたスピーカケーブルとの極性を合わせ易いように、それぞれ接続対象とする極性に合わせて印を付けておくことが望ましい。たとえば、各端子部3を接続対象とする極性ごとに異なる色に着色しておけばよい。2個の端子固定用孔11は、各傾斜面23において2個の端子部3が左右方向に並ぶように左右方向に並設される。ここにおいて、ケーブル挿入孔8の貫通方向は上述したように上下方向に揃えてあるから、左右方向に並んだ端子部3に接続される一対のスピーカケーブルCはいずれも上下方向に沿ってケーブル挿入孔8に挿入されることになる。すなわち、一対のスピーカケーブルCにおけるケーブル挿入孔8への挿入量が大き過ぎて両スピーカケーブルCの先端部が端子部3から突出することがあっても、両スピーカケーブルCは同じ向きに端子部3から突出することになるので短絡し難い。さらに、両端子固定用孔11の間には異極性のスピーカケーブルC同士の短絡を防止する絶縁壁26が立設される。なお、器体1の背面側においても、器体1の内部空間を左右方向に2分割する仕切壁27が設けられており、仕切壁27を隔てて各組の接続部4が配置されることにより異極性のスピーカケーブル同士の短絡が防止される。
【0039】
上述した構成によれば、端子部3は、図1に示すように傾斜面23に配置されることによって一部が収納凹所22内に収まる形になり、かつ器体1の前面に対して斜めに突出することになるので、従来構成と同じ大きさの端子部3を設けたとしても、器体1の前面からの端子部3の突出量は従来構成に比べて小さくなる。ここで、傾斜面23は斜め上向きに傾斜しているから、このように端子部3の一部を収納凹所22内に収納しながらも、スピーカターミナルAを壁面Bの下部に取り付けた場合に器体1の斜め上方から端子部3が見え易く、端子部3へのスピーカケーブルCの接続作業は容易である。さらに、端子部3の下方においては収納凹所22の深さ寸法が小さいので、本実施形態のように端子部3がスピーカケーブルCを基端部(ケーブル挿入孔8)に接続する締め付け端子であっても、端子部3の下方から傾斜面23に沿ってスピーカケーブルCを挿入するように接続することによって、スピーカケーブルCの接続作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、端子部3におけるケーブル挿入孔は、少なくとも上側の開口部が収納凹所22内に収まるような位置に形成されており、これにより、端子部3へのスピーカケーブルCの接続時に、スピーカケーブルCを端子部3の下方からケーブル挿入孔8に挿通すれば、スピーカケーブルCの先端部はケーブル挿入孔8の上側の開口部から収納凹所22内に突出することになる。したがって、端子部3へのスピーカケーブルCの接続時に、端子部3の下方からケーブル挿入孔8に挿入されたスピーカケーブルCの先端を当接面24に当接させることにより、ケーブル挿入孔8に対して過不足なくスピーカケーブルを挿入することができ、さらに、案内面25によってスピーカケーブルCの先端部がばらついて収納凹所22外に出てしまうことを防止できるので、端子部3へのスピーカケーブルCの接続作業がより容易になる。
【0041】
ところで、本実施形態のスピーカターミナルAは、一般に知られている埋込型の配線器具と同様に、取付枠38(図4(b)参照)を用いて壁面Bに取り付けられる。器体1は、1個モジュール寸法の配線器具を上下方向に3個並べた大きさに形成されており、1個モジュール寸法の配線器具が3個まで取付可能な取付枠38に取り付けることができる。器体1の左右両側面には、取付枠38に係合する取付爪2がそれぞれ突設されており、取付爪2を取付枠38に係合させることにより器体1が取付枠38に取り付けられることになる。なお、図1では、器体1は壁内に設けたスイッチボックス39に対してボックスねじ40(図4(b)参照)を用いて取付枠38を固定することにより壁面Bに取り付けられており、器体1の前面の周囲を包囲するプレート枠41がプレートねじ42(図4(b)参照)を用いて取付枠38に取り付けられ、プレート枠41の開口部と器体1の前面との隙間を覆う化粧カバー43がプレート枠41に取り付けられている。
【0042】
また、本実施形態の構成によれば、図16に示した従来構成において生じ得る以下のような問題点も解決される。
【0043】
図16に示した従来構成では、複数個の端子部3がすべて上下方向に一列に列設されており、端子部3に接続されたスピーカケーブルCは左右方向(水平方向)に引き出される。したがって、従来構成では、図16(a)に示すように、端子部3から引き出されたスピーカケーブルCが重力によって下向きに曲げられることによりスピーカケーブルCに無理な曲げが生じ、スピーカケーブルCの伝達特性に影響するおそれがある。図16(a)に示すように、スピーカターミナルAに隣接してコンセント等の他の配線器具Dを設けた場合には、スピーカケーブルCが配線器具Dの前方に引き出されることになり配線器具Dの使用時に邪魔になる。また、端子部3に接続されたスピーカケーブルCを下向きに引き回す際には上側の端子部3に接続するスピーカケーブルCほど長いものが必要になるが、従来構成ではすべての端子部3が上下方向に並んでいるので、極性ごとにスピーカケーブルCの長さが異なることになり、スピーカケーブルCの伝達特性に影響することがある。さらに、各スピーカに接続された一対のスピーカケーブルCを接続すべき端子部3の組み合わせが分かり難く、かつ、端子部3に接続するスピーカケーブルCと接続部に接続されたスピーカケーブルとの極性を合わせ難いという問題もある。
【0044】
これに対して本実施形態では、スピーカケーブルCを端子部3の下方に引き出す形で端子部3に接続することにより、スピーカケーブルCを端子部3から略真っ直ぐに引き出すことができる。したがって、スピーカケーブルCに無理な曲げが生じることはなく、かつ、スピーカターミナルAに隣接して他の配線器具Dを設けたとしてもスピーカケーブルCが配線器具Dの使用時に邪魔になることもない。また、本実施形態では一対のスピーカケーブルCを接続する2個の端子部3が左右方向に並んでいるので、従来構成のように極性ごとにスピーカケーブルCの長さが異なることもない。さらに、端子部3を2個1組として各傾斜面23に1組ずつ設けてあるので、各スピーカに接続された一対のスピーカケーブルCを接続すべき端子部3の組み合わせが分かり易く、かつ、上下方向に並ぶ端子部3において接続対象となるスピーカケーブルCの極性を統一すれば、端子部3に接続するスピーカケーブルCと接続部4に接続されたスピーカケーブルとの極性を合わせ易くなる。
【0045】
ところで、上述した蓋体5は後面が開口されており、図3(a)に示すように、器体1の前面の4隅からそれぞれ突出した保持爪28を蓋体5に設けた保持穴29(図2(b)参照)にそれぞれ係合させることにより、器体1に対して着脱可能に取り付けられるものである。ここでは保持爪28および保持穴29は、蓋体5を器体1に前方から押し付けることにより係合する構成としているが、蓋体5を器体1の前面に沿ってスライドさせることにより係合する構成としてもよい。図4に示すように、器体1に取着された蓋体5が両収納凹所22を覆うことにより、端子部3への塵埃の堆積が防止される。本実施形態では、蓋体5を器体1に対して着脱可能としているが、蓋体5は収納凹所22を覆う位置(閉塞位置)と覆わない位置(開放位置)との間で開閉可能であればよく、図3(b)に示すように、蓋体5の上端縁が一対の保持爪28に軸支される構成とすることによって、蓋体5を器体1から取り外すことなく開閉可能としてもよい。
【0046】
さらに、本実施形態では蓋体5を器体1に取り付けた状態であっても、端子部3に接続されたスピーカケーブルCを下方に引き出すことができるように、蓋体5の下端面に後方に開放された引出孔30が開口している。ただし、スピーカターミナルAの不使用時にのみ蓋体5を取り付ける場合には、引出孔30を省略した構成としてもよい。
【0047】
また、器体1の前面の下端部には、図5に示すように、端子部3に接続されたスピーカケーブルCを保持する張力止め31を設けることが望ましい。この構成では、端子部3に接続されたスピーカケーブルCが張力止め31によって保持されるので、スピーカケーブルCに張力が作用したとしても、張力止め31によって端子部3までは力が及ばなくなるので、スピーカケーブルCが端子部3から抜けてしまうことはなく、さらに端子部3の破損も防止される。
【0048】
なお、本実施形態では、左右1組のスピーカに対応するように端子部3および接続部4を2組ずつ設けてあるが、1個のスピーカに対応するように端子部3および接続部4を1組だけ設けたり(図12および図13参照)、さらに多数のスピーカに対応するように端子部3および接続部4の組数を増やしたりしてもよく、これらの構成では、収納凹所22は端子部3および接続部4の組数に応じた個数だけ形成される。また、1組の端子部3の個数は1個のスピーカに接続するスピーカケーブルCの本数に合わせており、仮に1個のスピーカに3本のスピーカケーブルCを接続するのであれば3個1組の端子部3を設けることになる。4個1組の端子部3を設け1組の端子部3が2個のスピーカに対応する構成としてもよい。
【0049】
(実施形態2)
本実施形態のスピーカターミナルAは、実施形態1のスピーカターミナルAとは蓋体5の形状が相違する。本実施形態では、蓋体5を器体1に取り付けた状態であってもバナナプラグを有したスピーカケーブルCを端子部3に接続可能とするために、図6に示すように、引出孔30に加えて、蓋体5において端子部3に対応する各部位に挿通孔32を開口してある。図6では、1組の端子部3に対して1個の挿通孔32が開口している。
【0050】
バナナプラグを有したスピーカケーブルCを端子部3に接続した場合には、スピーカケーブルCはこの挿通孔32を通して傾斜面23に交わる向きに引き出されることになる。ただし、ケーブル挿入孔8を用いてスピーカケーブルCを接続する場合には引出孔30からスピーカケーブルCを引き出すことができ、挿通孔32は使用しないので、スピーカターミナルAの製造時に挿通孔32を開口しておくのではなく、スピーカターミナルAの使用者が必要に応じて容易に挿通孔32を開口できるようにノックアウト部を蓋体5に形成しておくことが望ましい。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0051】
(実施形態3)
本実施形態のスピーカターミナルAは、実施形態1のスピーカターミナルAとは蓋体5の構成が相違する。本実施形態の蓋体5は、図7に示すように平板状であって収納凹所22を覆う位置(閉塞位置)と覆わない位置(開放位置)との間で開閉可能な扉体33を有する。ここで、端子部3が扉体33よりも前方に突出していると扉体33を閉めることができないので、本実施形態では、端子部3が壁面Bから突出しない程度に実施形態1に比べて器体1を後退させるとともに、器体1の前面の全周から前方に突出する周壁34を蓋体5の一部として設け、周壁34と扉体33とによって器体1の前面を覆う構成としている。また、本実施形態では、扉体33の開放時に、図7(c)に示すように扉体33を器体1の上端部に設けたスリット(図示せず)から壁内に収納可能としてある。
【0052】
本実施形態の構成によれば、蓋体5を含めたスピーカターミナルA全体の壁面Bからの突出量を比較的小さくすることができる。さらに、扉体33の開放時に扉体33を壁内に収納することができるので、扉体33の開放時にも壁面BからのスピーカターミナルAの突出量が増加しないという利点がある。なお、扉体33を壁内に収納するためのスリットは、器体1の上端部に限らずたとえば器体1における左右方向の一端部に設けることもできる。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0053】
(実施形態4)
本実施形態のスピーカターミナルAは、実施形態1のスピーカターミナルAとは端子部3の構成が相違する。本実施形態では、図8に示すように、傾斜面23に配置された1個のハウジング35に対して1組の端子部3が設けられている。
【0054】
各端子部3はそれぞれ、図8に示すように、ハウジング35に開口したケーブル接続口36から挿入されたスピーカケーブルCを接続するものであって、ケーブル接続口36は、ハウジング35の下面に設けたレバー37を押操作することにより開放される端子板(図示せず)によって閉塞される。端子板はケーブル接続口36を閉塞する位置に付勢されている。つまり、レバー37を押操作しながらケーブル接続口36にスピーカケーブルCの先端部を挿入するだけの簡単な作業で端子部3にスピーカケーブルCを接続することができる。
【0055】
本実施形態の構成においても、傾斜面23に端子部3のハウジング35を設けたことにより実施形態1と同様の効果が期待できる。ただし、端子部3に接続されたスピーカケーブルCは、実施形態2において説明したバナナプラグを有するスピーカケーブルCと同様に、傾斜面23に交わる向きに引き出されることになる。したがって、本実施形態の器体1に蓋体5を付加する場合には、実施形態2で示した図6と同様に挿通孔32が開口した蓋体5を用いることが望ましい。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0056】
(実施形態5)
本実施形態のスピーカターミナルAは、実施形態1のスピーカターミナルAとは、器体1の細部および端子部3の構成が相違する。
【0057】
以下ではまず、器体1に関して実施形態1のスピーカターミナルAとの相違点を説明する。
【0058】
本実施形態の器体1が取り付けられる取付枠38は、図9に示すように、矩形枠状の枠本体44と、枠本体44の左右両辺からそれぞれ後方に突設された保持片45とを有しており、保持片45に矩形状の取付孔が貫設されて成る。一方、器体1は、左右両側面に取付突起46が突設されており、取付突起46を取付孔に嵌合させることにより取付枠38に取り付けられる。取付枠38には、実施形態1と同様に器体1の前面の周囲を包囲するプレート枠41がプレートねじ42(図4(b)参照)を用いて取り付けられ、プレート枠41には化粧カバー43が取り付けられるが、本実施形態ではさらに、化粧カバー43と器体1の前面との間の隙間を埋めるカバー体47を設けてある。カバー体47は、矩形枠状であって上下両辺からそれぞれ後方に突設された引掛爪48(図11参照)を器体1の上下両端面に設けられた引掛穴49(図11参照)に係合させることにより器体1に取り付けられる。
【0059】
また、器体1の前面の4隅にはそれぞれ保持穴50が貫設されており、蓋体5は、図10に示すように、蓋体5において各保持穴50に対応する各部位からそれぞれ後方に突出した保持爪51を保持穴50に係合させることによって器体1に対して着脱可能に取り付けられる。本実施形態で用いる蓋体5は透明であって、これにより、蓋体5が閉塞位置にあっても、端子部3へのスピーカケーブルCの接続状態を視認できるという利点がある。
【0060】
器体1の背面側を覆う背面カバー52が設けられている点も実施形態1のスピーカターミナルとは相違する。ただし、器体1の背面側においては、接続部3にスピーカケーブルCが接続されるので、背面カバー52は、スピーカケーブルCの接続を妨げることはないように、接続板12において接続部4を構成する部分(つまりねじ穴21の近傍)を露出させる形状に形成される。背面カバー52の左右両側縁には取着突起53が突設されており、この取着突起53を器体1の背面側の左右両側壁に貫設された取着孔54に嵌合させることによって、背面カバー52が器体1に取り付けられる。また、本実施形態では、異極性の接続部4間に左右方向に対向する2枚の仕切壁27を設けることにより、異極性の接続部4間の絶縁距離を大きくしている。さらに、接続板12とナット14との間にばね座金55を設けることにより、ナット14の緩みを防止している。
【0061】
ところで、収納凹所22の形状も実施形態1のスピーカターミナルAとは異なっており、本実施形態の各収納凹所22はそれぞれ、図10に示すように、当接面24が、端子部3の外周形状に沿って湾曲した曲面状に形成される。さらに当接面24は端子部3のケーブル挿入孔8の上側の開口部に対向する位置までしか傾斜面23から延出されておらず、当接面24の前端縁からは器体1の前面に沿う延設面56が上方に延設され、延設面56の上端縁からは下方ほど後退するように器体1の前面に対して傾斜した上側傾斜面57が上方に延設される。すなわち、上側傾斜面57と端子部3との間には、図11に示すように、延設面56の上下寸法に比例する隙間58が形成されることになる。
【0062】
上述した構成により、端子部3へのスピーカケーブルCの接続時に、端子部3の下方からケーブル挿入孔8に挿入したスピーカケーブルCの先端を、端子部3の周囲に設けた当接面24に当接させることにより、ケーブル挿入孔8に対して過不足なくスピーカケーブルCを挿入することができ、しかも、上側傾斜面57と端子部3との間に隙間58が形成されるので、図12に示すように、この隙間58からケーブル挿入孔8の上側の開口部を視認しやすくなる。このようにスピーカケーブルCの上側の開口部を視認できれば、端子部3の下方から挿入したスピーカケーブルCがどの程度挿入されているかを視認できるから、スピーカケーブルCの接続作業をより容易に行うことができる。
【0063】
ただし、上記隙間58を通してケーブル挿入孔8の開口部を直接視認するのが困難な位置、たとえば壁面Bの天井付近のように使用者が見上げなければならない位置にスピーカターミナルAを設置する場合には、図13に示すように、上側傾斜面57に鏡面59を形成し、この鏡面59でケーブル挿入孔8の上側の開口部を器体1の前方に投影することにより、鏡面59を介してケーブル挿入孔8の開口部を器体1の前方から視認できる構成とすることが望ましい。この構成では、使用者は、上記隙間58を通してケーブル挿入孔8の開口部を直接視認するのが困難であっても、ケーブル挿入孔8の上側の開口部を鏡面59に映して視認することができるので、スピーカケーブルCの接続作業を容易に行うことができる。鏡面59には、器体1に鏡を貼り付けることにより形成されるもののほか、蒸着等により器体1の一部に直接形成されるものを含む。
【0064】
次に、端子部3に関して実施形態1のスピーカターミナルAとの相違点を説明する。
【0065】
本実施形態の端子部3は、図14(a)に示すように、キャップ7の一部に外周縁の全周に亘って溝60が形成されており、この溝60に、合成ゴム製であって環状に形成された嵌着部材61(図12参照)を嵌着してある。嵌着部材61は、各端子部3の接続対象とする極性ごとに異なる色に着色されており、実施形態1で説明した、端子部3における接続対象とする極性に合わせた印となる。
【0066】
さらに、実施形態1ではキャップ7の内周面の全域にねじ溝が形成されていたが、本実施形態では、図14(a)に示すようにキャップ7の内周面の後端部にのみねじ溝が形成されている。つまり、接続用ねじ部15に螺合する雌ねじからなる接続用ナット部62は、キャップ7の後端部にのみ設けられることになる。一方、心棒6においては、図14(b)に示すように前端部に、内径が接続用ナット部62の内径よりも大きい抜止部63が形成されている。この構成によれば、キャップ7を緩めて前方に移動させた際に、接続用ナット部62が抜止部63を乗り越えることはないから、キャップ7は心棒6に対して抜け止めが成されることになる。このようにキャップ7が心棒6から抜けることがなければ、たとえば子供が心棒6から外れたキャップ7を誤飲するなどの事故を防止することができる。
【0067】
また、キャップ7を緩めて接続用ナット部62が抜止部63に当接した状態から更にキャップ7を緩める向きに回転させると、接続用ナット部62における抜止部63との接触部位が変形し、これにより接続用ナット部62が接続用ねじ部15に螺合し難くなる可能性がある。さらに、心棒6にもキャップ7を緩める向きの力が作用することによって、器体1における心棒6との接触部位(端子固定用孔11の周部)が変形する可能性もある。そこで本実施形態では、心棒6において接続用ねじ部15と抜止部63との間には、ねじは切られずに、外径が接続用ねじ部15よりも小さく、かつ軸方向の寸法が接続用ナット部62よりも大きい空回り部64が形成される。この構成により、キャップ7を緩めて前方に移動させた際に接続用ナット部62が空回り部64にまで移動すると、キャップ7は心棒6に対して空回りすることになるから、接続用ナット部62や器体1が変形するという上記問題を解決することができる。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0068】
また、上述の実施形態1,2,3,5に示したように心棒6とキャップ7とからなる端子部3を採用したスピーカターミナルAにスピーカケーブルCを接続する際には、心棒6の基端部にスピーカケーブルCの被覆を剥いた部分を巻き付けることにより、端子部3とスピーカケーブルCとの接触面積を大きくしてスピーカケーブルCと端子部3との間の接触抵抗を小さくすることが考えられる。そこで、上記各実施形態では、図15(a)に示すように心棒6において鍔部10と接続用ねじ部15との間に、外径が接続用ねじ部15よりも小さいケーブル巻き部65を形成し、スピーカケーブルCを巻き付ける際には、このケーブル巻き部65にスピーカケーブルCを巻き付けるようにしてある。ここで、仮に図15(b)のように、心棒6において鍔部10の前端縁まで接続用ねじ部15が形成されていると、接続用ねじ部15にスピーカケーブルCを巻き付けざるを得ないが、接続用ねじ部16はケーブル巻き部65に比べてねじ山の分だけ外径が大きいので、キャップ7を締め付けた際に巻き付けられているスピーカケーブルCがねじ山の分だけキャップ7と鍔部10との間から突出することがある。また、図15(b)の構成では、キャップ7を締め付ける際に、巻き付けたスピーカケーブルCがばらついて接続用ナット部62と接続用ねじ部15との間に巻き込まれることにより断線する可能性もある。すなわち、ケーブル巻き部65を設けた構成では、スピーカケーブルCを巻き付けた際に生じるこれらの問題を解決できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図2】同上のスピーカターミナルを示し、(a)は前面側から見た分解斜視図、(b)は背面側から見た分解斜視図である。
【図3】(a)は同上の構成を示す斜視図、(b)は同上の他の構成例を示す斜視図である。
【図4】同上の構成を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は斜視図である。
【図5】同上の他の構成例を示し、(a)は蓋体を外した状態の斜視図、(b)は蓋体を取り付けた状態の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態2の構成を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は斜視図である。
【図7】本発明の実施形態3の構成を示し、(a)は扉体を閉じた状態の斜視図、(b)は扉体を開いた状態の斜視図、(c)は扉体を収納した状態の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態4の構成を示す正面図である。
【図9】本発明の実施形態5の構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図10】同上のスピーカターミナルを示し、(a)は前面側から見た分解斜視図、(b)は背面側から見た分解斜視図である。
【図11】同上の構成を示す断面図である。
【図12】同上の構成を示す斜視図である。
【図13】同上の他の構成を示す斜視図である。
【図14】同上に用いる端子部を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図15】(a)は同上に用いる端子部を示す平面図、(b)は他の構成の端子部を示す平面図である。
【図16】従来例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 器体
3 端子部
4 接続部
5 蓋体
6 心棒
7 キャップ
8 ケーブル挿入孔
15 接続用ねじ部
22 収納凹所
23 傾斜面
24 当接面
25 案内面
26 絶縁壁
30 引出孔
31 張力止め
32 挿通孔
59 鏡面
62 接続用ナット部
63 抜止部
64 空回り部
65 ケーブル巻き部
A スピーカターミナル
B 壁面(施工面)
C スピーカケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンプ等の音響機器とスピーカとを接続するスピーカケーブルの一部を施工面の裏側に隠蔽する場合に、施工面におけるスピーカケーブルの出入口にそれぞれ設けられ、施工面の表側のスピーカケーブルと施工面の裏側のスピーカケーブルとを電気的に接続するために用いられるスピーカターミナルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のスピーカターミナルAとして、図16に示すように、埋込型の配線器具の取付枠(図示せず)に取付可能な器体1を備えたものが提供されている。器体1は取付枠を用いて施工面としての壁面に取り付けられ、この器体1の前面側にスピーカケーブルCを接続可能な端子部3が複数個(ここでは4個)設けられる。ここで、図16の端子部3は、スピーカケーブルCを容易に接続できるように端子ねじを締め付けることによってスピーカケーブルCを挟持する構成を採用しており、器体1の長手方向である上下方向に一列に並ぶように配置されている。
【0003】
さらに、器体1の背面側には端子部3とは別にスピーカケーブルを接続可能な接続部(図示せず)が端子部3に対応する個数(ここでは4個)設けられ、各接続部と各端子部3とがそれぞれ電気的に接続される。このスピーカターミナルAを用いれば、壁外において端子部3にスピーカケーブルCを接続することにより、当該スピーカケーブルCを壁内において接続部に接続された別のスピーカケーブルに対して電気的に接続することができる(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平2−43091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端子部3に対するスピーカケーブルCの接続は、一般にスピーカターミナルAの設置後に使用者自身によって為されるので、上述したようなスピーカターミナルAでは、端子部3へのスピーカケーブルCの接続作業を容易に行えるように、端子部3が器体1の前面から突出する形で設けられており、その結果、端子部3が衣服に引っ掛かり易いなどの問題を生じる。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易でありながらも、器体の前面からの端子部の突出量が従来構成に比べて小さいスピーカターミナルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明では、施工面に取り付けられる器体と、器体の前面側に設けられ2個を1組としてそれぞれスピーカケーブルを接続可能な端子部と、器体の背面側に設けられ各端子部にそれぞれ電気的に接続されるとともに端子部とは別にそれぞれスピーカケーブルを接続可能な接続部とを備え、器体は、収納凹所が前面に凹設されており、収納凹所の内周面に、器体の前面に沿う一方向に沿って収納凹所の深さ寸法を変化させるように器体の前面に対して傾斜した傾斜面を有し、組となる2個の端子部は、器体の前面に沿う面内で前記一方向に直交する方向に並ぶように傾斜面に配置されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、端子部が収納凹所の傾斜面に配置されることによって端子部の一部が収納凹所内に収納されるので、従来構成と同じ大きさの端子部を設けたとしても、器体の前面からの端子部の突出量は従来構成に比べて小さくなる。ここで、端子部を配置した傾斜面は器体の前面に対して傾斜しているので、このように端子部の一部を収納凹所内に収納しながらも、スピーカターミナルを壁面の下部に取り付ける場合には傾斜面が斜め上向きとなるように器体を取り付ければ器体の斜め上方から端子部が見え易く、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易になる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記器体が、組となる2個の前記端子部の間に立設された絶縁壁と、前記傾斜面において前記一方向における前記収納凹所の深さ寸法が大きい側の一端縁から前方に延設された当接面と、傾斜面において前記一方向に沿う両側縁から前方に延設された案内面とを収納凹所の内周面に有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、組となる2個の端子部にそれぞれ接続されたスピーカケーブル同士の短絡が絶縁壁によって防止される。また、端子部に対してスピーカケーブルを前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい側から傾斜面に沿って挿入するように接続する際に、スピーカケーブルの先端を当接面に当接させることにより端子部に対してスピーカケーブルを過不足なく挿入することができる。さらに、案内面によって、スピーカケーブルの先端部がばらついて収納凹所の外に出ることを防止でき、結果的に、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易になる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記収納凹所を覆う閉塞位置と収納凹所を覆わない開放位置との間で開閉可能な蓋体を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、蓋体を閉じておくことによって端子部に塵埃が堆積することがなくなる。なお、ここでいう開閉可能な蓋体とは、器体に一体に設けられ開閉可能なもののほかに、器体に着脱可能なものも含む。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記端子部が、前記一方向における前記収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部から前記傾斜面に沿って引き出される前記スピーカケーブルを接続可能であって、前記蓋体が、前記閉塞位置において、前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部にスピーカケーブルを挿通する引出孔が開口していることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、端子部に対してスピーカケーブルを前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい側から傾斜面に沿って挿入するように接続することにより、一部が収納凹所内に収納された端子部へのスピーカケーブルの接続作業を容易に行うことができる。また、蓋体が閉塞位置にある状態でも、引出孔を通してスピーカケーブルを引き出すことによって、端子部にスピーカケーブルを接続することができる。しかも、スピーカケーブルが、端子部において前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部から傾斜面に沿って引き出される場合には、スピーカケーブルを無理に曲げることなく引出孔を通して引き出すことができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明において、前記端子部が、前端部から前記傾斜面に交わる向きに引き出される前記スピーカケーブルを接続可能であって、前記蓋体が、前記閉塞位置において、端子部に対応する各部位にスピーカケーブルを挿通する挿通孔がそれぞれ開口していることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、端子部に対して端子部の前端部からスピーカケーブルを傾斜面に交わる向きに挿入するように接続することにより、一部が収納凹所内に収納された端子部へのスピーカケーブルの接続作業を容易に行うことができる。また、蓋体が閉塞位置にある状態でも、挿通孔を通してスピーカケーブルを引き出すことによって、端子部にスピーカケーブルを接続することができる。しかも、スピーカケーブルが、端子部の前端部から傾斜面に交わる向きに引き出される場合には、スピーカケーブルを無理に曲げることなく挿通孔を通して引き出すことができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記器体が、前面の一部に前記端子部に接続された前記スピーカケーブルの一部を保持する張力止めを有することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、端子部に接続されたスピーカケーブルに張力が作用しても、張力止めによって端子部までは力が及ばなくなるので、スピーカケーブルが端子部から抜けてしまうことはない。また、端子部の破損が防止されるという利点もある。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発明において、前記端子部が、円柱状に形成され軸方向を前記傾斜面に交わらせる向きで前記器体に取り付けられ、傾斜面よりも前方に位置する部分に雄ねじからなる接続用ねじ部が形成された心棒と、接続用ねじ部に螺合する雌ねじからなる接続用ナット部が形成されたキャップとを有し、心棒が、傾斜面よりも前方に位置する部分の後端部に、前記スピーカケーブルの先端部が挿入されるケーブル挿入孔が貫設されており、キャップが、接続用ねじ部に接続用ナット部が螺合した状態で心棒の周方向に回転させられることによりケーブル挿入孔を覆う位置とケーブル挿入孔を覆わない位置との間で移動し、ケーブル挿入孔が、貫通方向においてスピーカケーブルが挿入された状態でスピーカケーブルの先端側となる開口部が前記収納凹所内に位置することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、スピーカケーブルをケーブル挿入孔に挿入し、ケーブル挿入孔を覆う位置にキャップを移動させることにより、端子部にスピーカケーブルを接続することができる。また、ケーブル挿入孔は貫通方向においてスピーカケーブルが挿入された状態でスピーカケーブルの先端側となる開口部が収納凹所内に位置するので、スピーカケーブルをケーブル挿入孔に挿入すると、スピーカケーブルの先端を収納凹所の内周面に当接させることによりスピーカケーブルの先端部が収納凹所の外に出ることを防止でき、結果的に、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易になる。
【0020】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記ケーブル挿入孔が、貫通方向における前記収納凹所の深さ寸法が小さい側の開口部から前記スピーカケーブルの先端部が挿入されるように前記傾斜面に沿って貫設されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、組となる2個の端子部にそれぞれ接続されるスピーカケーブルは、いずれも前記一方向に沿ってケーブル挿入孔に挿入されることになる。一方、組となる2個の端子部は器体の前面に沿う面内で前記一方向に直交する方向に並んでいる。すなわち、組となる2個の端子部に接続される一対のスピーカケーブルにおいてケーブル挿入孔への挿入量が大き過ぎて両スピーカケーブルの先端部が端子部から突出しても、両スピーカケーブルは互いに離れた位置で平行に突出することになるので短絡し難い。
【0022】
請求項9の発明は、請求項7または請求項8の発明において、前記キャップと前記心棒との少なくとも一方には、心棒に対してキャップを抜け止めする抜止部が設けられていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、キャップが心棒から抜け落ちてしまうことがないので、たとえば心棒から外れたキャップを子供が誤飲するなどの事故を防止することができるという効果がある。
【0024】
請求項10の発明は、請求項7ないし請求項9のいずれかの発明において、前記心棒が、前記傾斜面よりも前方に位置する部分において前記接続用ねじ部の前方に、外径が前記接続用ねじ部よりも小さくかつ軸方向の寸法が接続用ナット部よりも大きい空回り部を備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、キャップを回転させてケーブル挿入孔を覆わない位置に移動させる際に、接続用ナット部が空回り部にまで移動するとキャップは心棒に対して空回りすることになるから、キャップを回転させる力が接続用ナット部や器体に作用して接続用ナット部や器体が変形してしまうことを防止できる。
【0026】
請求項11の発明は、請求項7ないし請求項10のいずれかの発明において、前記器体が、前記収納凹所の内周面に、前記ケーブル挿入孔における貫通方向の少なくとも一方の開口部を前方に投影する鏡面を有することを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、ケーブル挿入孔の少なくとも一方の開口部が鏡面を介して器体の前方から視認可能となるから、ケーブル挿入孔の開口部を直接視認するのが困難な位置にスピーカターミナルが設置されていても、使用者はケーブル挿入孔の少なくとも一方の開口部を見ながらスピーカケーブルをケーブル挿入孔に挿入することができ、スピーカケーブルの接続作業を容易に行うことができる。なお、鏡面には、器体に鏡を貼り付けることにより形成されるもののほか、蒸着等により器体の一部に直接形成されるものを含む。
【0028】
請求項12の発明は、請求項7ないし請求項11のいずれかの発明において、前記心棒が、前記傾斜面よりも前方に位置する部分において前記接続用ねじ部の後方に、外径が接続用ねじ部よりも小さく、前記スピーカケーブルが巻き付けられるケーブル巻き部を備えることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、端子部にスピーカケーブルを接続する際に、スピーカケーブルの被覆を剥いた部分をケーブル巻き部に巻き付けることができ、これにより、端子部とスピーカケーブルとの接触面積を大きくして端子部とスピーカケーブルとの間の接触抵抗を低減することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、端子部が収納凹所の傾斜面に配置されることによって端子部の一部が収納凹所内に収納されるので、器体の前面からの端子部の突出量が従来構成に比べて小さくなる。ここで、端子部を配置した傾斜面は器体の前面に対して傾斜しているので、このように端子部の一部を収納凹所内に収納しながらも、スピーカターミナルを壁面の下部に取り付ける場合には傾斜面が斜め上向きとなるように器体を取り付ければ器体の斜め上方から端子部が見え易く、端子部へのスピーカケーブルの接続作業が容易になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(実施形態1)
本実施形態のスピーカターミナルAは、図2に示すように、合成樹脂製であって後方が開放された箱状に形成された器体1を備える。以下では、器体1の前端部を壁面B(施工面)から突出させる形でスピーカターミナルAを壁面Bに取り付けた状態を示す図1(a)の上下左右を上下左右として説明する。
【0032】
器体1の前面側には2個を1組とする端子部3が複数組設けられ、器体1の背面側には端子部3と同様に2個を1組とする接続部4が複数組設けられる。ここで、スピーカ(図示せず)には「+」と「−」との極性があって、1個のスピーカとアンプ等の音響機器(図示せず)とは異極性(「+」と「−」)の一対のスピーカケーブルC(図16(a)参照)によって接続されるので、本実施形態では、左右1組のスピーカに対応するように端子部3および接続部4を4個(2組)ずつ設けてある。各組の端子部3(あるいは接続部4)に対してはそれぞれ一対のスピーカケーブルCを接続する。さらに、器体1の前面側には後述する蓋体5が着脱可能に取着される。
【0033】
各端子部3はそれぞれ、円柱状の心棒6と有底円筒状のキャップ7とで構成される。心棒6の軸方向の中央部には直径方向に貫通するケーブル挿入孔8が形成され、心棒6の軸方向の一端側(後端側)には心棒6を器体1に固定するための固定用ねじ部9が形成される。固定用ねじ部9とケーブル挿入孔8との間には、キャップ7と同程度の外径を有する鍔部10が形成される。固定用ねじ部9が、器体1に貫設された長孔状の端子固定用孔11に挿通され、後述する接続板12に貫設された端子接続用孔13を通してナット14に螺合することにより、心棒6は、接続板12と鍔部10との間に器体1における端子固定用孔11の周部を挟持する形で器体1に固定される。ここで、鍔部10における固定用ねじ部9側の一面に突設された嵌合突部19が端子固定用孔11に嵌合することにより、端子部3の回り止めが為される。端子部3はケーブル挿入孔8が上下方向に貫通する向きに器体1に固定される。
【0034】
また、キャップ7の内周面にはねじ溝が形成され、心棒6の軸方向の他端側(前端側)にはキャップ7と螺合する接続用ねじ部15が形成される。接続用ねじ部15に対してキャップ7を締め付けると、キャップ7によってケーブル挿入孔8が閉塞されることになる。この構成により、端子部3は、ケーブル挿入孔8にスピーカケーブルCの先端部を挿入した状態でキャップ7を締め付けることによって、スピーカケーブルCを機械的に保持するとともに電気的に接続することができる。ここにおいて、端子部3とスピーカケーブルCとの接触抵抗を比較的小さく抑えるためには、キャップ7を十分に締め付ける必要がある。本実施形態では、小さな力でもキャップ7を十分に締め付けることができるように、外径が比較的大きいキャップ7を採用するとともに、キャップ7の底面(端子部3の前端面)に直径方向に延長された締付け溝16を設けることにより、コインやマイナスドライバなどを用いてキャップ7を締め付けることもできるようにしてある。なお、締付け溝16は他の形状(たとえば十字状)でもよい。
【0035】
また、本実施形態の端子部3は、上述したようにケーブル挿入孔8に挿入されるスピーカケーブルCに限らず、差込式の所謂バナナプラグ(図示せず)を有したスピーカケーブルCを接続することもできる。このための構成として、心棒6における軸方向に沿った中心部にバナナプラグを保持するプラグ保持穴17を開口するとともに、キャップ7の底面にプラグ挿入孔18を貫設してある。これにより、心棒6にキャップ7を螺合した状態で、端子部3の前端面からプラグ挿入孔18を通してプラグ保持穴17にバナナプラグを差し込むことによって、スピーカケーブルCを端子部3に接続することができる。
【0036】
一方、各接続部4はそれぞれ、上述した接続板12と端子ねじ20とで構成される。接続板12には端子ねじ20が螺合するねじ孔21が形成されており、このねじ孔21に後方から端子ねじ20を締め付けることによりスピーカケーブルを接続することができる。上述した端子接続用孔13は接続板12においてねじ孔21の下方に貫設されており、端子部3と接続部4とは、心棒6の固定用ねじ部9が端子接続用孔13を通してナット14と螺合することによって、電気的に接続されることになる。
【0037】
ところで、本実施形態のスピーカターミナルAでは、器体1の前面において、それぞれ左右方向に長い矩形状に開口した収納凹所22が上下方向(器体1の長手方向)に沿って2個列設されている。各収納凹所22はそれぞれ、開口面の下端縁から延出され上方ほど後退するように器体1の前面に対して傾斜した傾斜面23と、開口面の上端縁から延出され下方ほど後退するように器体1の前面に対して傾斜した当接面24と、開口面の左右両端縁からそれぞれ後方に延出され互いに対向する一対の案内面25とで形成されている。上述した端子固定用孔11は、この傾斜面23に貫設される。つまり、端子部3は傾斜面23に配置されることになる。
【0038】
ここで、各傾斜面23に端子部3が1組ずつ配置されるように、端子固定用孔11は各傾斜面23に2個ずつ形成される。各組の2個の端子部3には、端子部3に接続するスピーカケーブルCと接続部4に接続されたスピーカケーブルとの極性を合わせ易いように、それぞれ接続対象とする極性に合わせて印を付けておくことが望ましい。たとえば、各端子部3を接続対象とする極性ごとに異なる色に着色しておけばよい。2個の端子固定用孔11は、各傾斜面23において2個の端子部3が左右方向に並ぶように左右方向に並設される。ここにおいて、ケーブル挿入孔8の貫通方向は上述したように上下方向に揃えてあるから、左右方向に並んだ端子部3に接続される一対のスピーカケーブルCはいずれも上下方向に沿ってケーブル挿入孔8に挿入されることになる。すなわち、一対のスピーカケーブルCにおけるケーブル挿入孔8への挿入量が大き過ぎて両スピーカケーブルCの先端部が端子部3から突出することがあっても、両スピーカケーブルCは同じ向きに端子部3から突出することになるので短絡し難い。さらに、両端子固定用孔11の間には異極性のスピーカケーブルC同士の短絡を防止する絶縁壁26が立設される。なお、器体1の背面側においても、器体1の内部空間を左右方向に2分割する仕切壁27が設けられており、仕切壁27を隔てて各組の接続部4が配置されることにより異極性のスピーカケーブル同士の短絡が防止される。
【0039】
上述した構成によれば、端子部3は、図1に示すように傾斜面23に配置されることによって一部が収納凹所22内に収まる形になり、かつ器体1の前面に対して斜めに突出することになるので、従来構成と同じ大きさの端子部3を設けたとしても、器体1の前面からの端子部3の突出量は従来構成に比べて小さくなる。ここで、傾斜面23は斜め上向きに傾斜しているから、このように端子部3の一部を収納凹所22内に収納しながらも、スピーカターミナルAを壁面Bの下部に取り付けた場合に器体1の斜め上方から端子部3が見え易く、端子部3へのスピーカケーブルCの接続作業は容易である。さらに、端子部3の下方においては収納凹所22の深さ寸法が小さいので、本実施形態のように端子部3がスピーカケーブルCを基端部(ケーブル挿入孔8)に接続する締め付け端子であっても、端子部3の下方から傾斜面23に沿ってスピーカケーブルCを挿入するように接続することによって、スピーカケーブルCの接続作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、端子部3におけるケーブル挿入孔は、少なくとも上側の開口部が収納凹所22内に収まるような位置に形成されており、これにより、端子部3へのスピーカケーブルCの接続時に、スピーカケーブルCを端子部3の下方からケーブル挿入孔8に挿通すれば、スピーカケーブルCの先端部はケーブル挿入孔8の上側の開口部から収納凹所22内に突出することになる。したがって、端子部3へのスピーカケーブルCの接続時に、端子部3の下方からケーブル挿入孔8に挿入されたスピーカケーブルCの先端を当接面24に当接させることにより、ケーブル挿入孔8に対して過不足なくスピーカケーブルを挿入することができ、さらに、案内面25によってスピーカケーブルCの先端部がばらついて収納凹所22外に出てしまうことを防止できるので、端子部3へのスピーカケーブルCの接続作業がより容易になる。
【0041】
ところで、本実施形態のスピーカターミナルAは、一般に知られている埋込型の配線器具と同様に、取付枠38(図4(b)参照)を用いて壁面Bに取り付けられる。器体1は、1個モジュール寸法の配線器具を上下方向に3個並べた大きさに形成されており、1個モジュール寸法の配線器具が3個まで取付可能な取付枠38に取り付けることができる。器体1の左右両側面には、取付枠38に係合する取付爪2がそれぞれ突設されており、取付爪2を取付枠38に係合させることにより器体1が取付枠38に取り付けられることになる。なお、図1では、器体1は壁内に設けたスイッチボックス39に対してボックスねじ40(図4(b)参照)を用いて取付枠38を固定することにより壁面Bに取り付けられており、器体1の前面の周囲を包囲するプレート枠41がプレートねじ42(図4(b)参照)を用いて取付枠38に取り付けられ、プレート枠41の開口部と器体1の前面との隙間を覆う化粧カバー43がプレート枠41に取り付けられている。
【0042】
また、本実施形態の構成によれば、図16に示した従来構成において生じ得る以下のような問題点も解決される。
【0043】
図16に示した従来構成では、複数個の端子部3がすべて上下方向に一列に列設されており、端子部3に接続されたスピーカケーブルCは左右方向(水平方向)に引き出される。したがって、従来構成では、図16(a)に示すように、端子部3から引き出されたスピーカケーブルCが重力によって下向きに曲げられることによりスピーカケーブルCに無理な曲げが生じ、スピーカケーブルCの伝達特性に影響するおそれがある。図16(a)に示すように、スピーカターミナルAに隣接してコンセント等の他の配線器具Dを設けた場合には、スピーカケーブルCが配線器具Dの前方に引き出されることになり配線器具Dの使用時に邪魔になる。また、端子部3に接続されたスピーカケーブルCを下向きに引き回す際には上側の端子部3に接続するスピーカケーブルCほど長いものが必要になるが、従来構成ではすべての端子部3が上下方向に並んでいるので、極性ごとにスピーカケーブルCの長さが異なることになり、スピーカケーブルCの伝達特性に影響することがある。さらに、各スピーカに接続された一対のスピーカケーブルCを接続すべき端子部3の組み合わせが分かり難く、かつ、端子部3に接続するスピーカケーブルCと接続部に接続されたスピーカケーブルとの極性を合わせ難いという問題もある。
【0044】
これに対して本実施形態では、スピーカケーブルCを端子部3の下方に引き出す形で端子部3に接続することにより、スピーカケーブルCを端子部3から略真っ直ぐに引き出すことができる。したがって、スピーカケーブルCに無理な曲げが生じることはなく、かつ、スピーカターミナルAに隣接して他の配線器具Dを設けたとしてもスピーカケーブルCが配線器具Dの使用時に邪魔になることもない。また、本実施形態では一対のスピーカケーブルCを接続する2個の端子部3が左右方向に並んでいるので、従来構成のように極性ごとにスピーカケーブルCの長さが異なることもない。さらに、端子部3を2個1組として各傾斜面23に1組ずつ設けてあるので、各スピーカに接続された一対のスピーカケーブルCを接続すべき端子部3の組み合わせが分かり易く、かつ、上下方向に並ぶ端子部3において接続対象となるスピーカケーブルCの極性を統一すれば、端子部3に接続するスピーカケーブルCと接続部4に接続されたスピーカケーブルとの極性を合わせ易くなる。
【0045】
ところで、上述した蓋体5は後面が開口されており、図3(a)に示すように、器体1の前面の4隅からそれぞれ突出した保持爪28を蓋体5に設けた保持穴29(図2(b)参照)にそれぞれ係合させることにより、器体1に対して着脱可能に取り付けられるものである。ここでは保持爪28および保持穴29は、蓋体5を器体1に前方から押し付けることにより係合する構成としているが、蓋体5を器体1の前面に沿ってスライドさせることにより係合する構成としてもよい。図4に示すように、器体1に取着された蓋体5が両収納凹所22を覆うことにより、端子部3への塵埃の堆積が防止される。本実施形態では、蓋体5を器体1に対して着脱可能としているが、蓋体5は収納凹所22を覆う位置(閉塞位置)と覆わない位置(開放位置)との間で開閉可能であればよく、図3(b)に示すように、蓋体5の上端縁が一対の保持爪28に軸支される構成とすることによって、蓋体5を器体1から取り外すことなく開閉可能としてもよい。
【0046】
さらに、本実施形態では蓋体5を器体1に取り付けた状態であっても、端子部3に接続されたスピーカケーブルCを下方に引き出すことができるように、蓋体5の下端面に後方に開放された引出孔30が開口している。ただし、スピーカターミナルAの不使用時にのみ蓋体5を取り付ける場合には、引出孔30を省略した構成としてもよい。
【0047】
また、器体1の前面の下端部には、図5に示すように、端子部3に接続されたスピーカケーブルCを保持する張力止め31を設けることが望ましい。この構成では、端子部3に接続されたスピーカケーブルCが張力止め31によって保持されるので、スピーカケーブルCに張力が作用したとしても、張力止め31によって端子部3までは力が及ばなくなるので、スピーカケーブルCが端子部3から抜けてしまうことはなく、さらに端子部3の破損も防止される。
【0048】
なお、本実施形態では、左右1組のスピーカに対応するように端子部3および接続部4を2組ずつ設けてあるが、1個のスピーカに対応するように端子部3および接続部4を1組だけ設けたり(図12および図13参照)、さらに多数のスピーカに対応するように端子部3および接続部4の組数を増やしたりしてもよく、これらの構成では、収納凹所22は端子部3および接続部4の組数に応じた個数だけ形成される。また、1組の端子部3の個数は1個のスピーカに接続するスピーカケーブルCの本数に合わせており、仮に1個のスピーカに3本のスピーカケーブルCを接続するのであれば3個1組の端子部3を設けることになる。4個1組の端子部3を設け1組の端子部3が2個のスピーカに対応する構成としてもよい。
【0049】
(実施形態2)
本実施形態のスピーカターミナルAは、実施形態1のスピーカターミナルAとは蓋体5の形状が相違する。本実施形態では、蓋体5を器体1に取り付けた状態であってもバナナプラグを有したスピーカケーブルCを端子部3に接続可能とするために、図6に示すように、引出孔30に加えて、蓋体5において端子部3に対応する各部位に挿通孔32を開口してある。図6では、1組の端子部3に対して1個の挿通孔32が開口している。
【0050】
バナナプラグを有したスピーカケーブルCを端子部3に接続した場合には、スピーカケーブルCはこの挿通孔32を通して傾斜面23に交わる向きに引き出されることになる。ただし、ケーブル挿入孔8を用いてスピーカケーブルCを接続する場合には引出孔30からスピーカケーブルCを引き出すことができ、挿通孔32は使用しないので、スピーカターミナルAの製造時に挿通孔32を開口しておくのではなく、スピーカターミナルAの使用者が必要に応じて容易に挿通孔32を開口できるようにノックアウト部を蓋体5に形成しておくことが望ましい。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0051】
(実施形態3)
本実施形態のスピーカターミナルAは、実施形態1のスピーカターミナルAとは蓋体5の構成が相違する。本実施形態の蓋体5は、図7に示すように平板状であって収納凹所22を覆う位置(閉塞位置)と覆わない位置(開放位置)との間で開閉可能な扉体33を有する。ここで、端子部3が扉体33よりも前方に突出していると扉体33を閉めることができないので、本実施形態では、端子部3が壁面Bから突出しない程度に実施形態1に比べて器体1を後退させるとともに、器体1の前面の全周から前方に突出する周壁34を蓋体5の一部として設け、周壁34と扉体33とによって器体1の前面を覆う構成としている。また、本実施形態では、扉体33の開放時に、図7(c)に示すように扉体33を器体1の上端部に設けたスリット(図示せず)から壁内に収納可能としてある。
【0052】
本実施形態の構成によれば、蓋体5を含めたスピーカターミナルA全体の壁面Bからの突出量を比較的小さくすることができる。さらに、扉体33の開放時に扉体33を壁内に収納することができるので、扉体33の開放時にも壁面BからのスピーカターミナルAの突出量が増加しないという利点がある。なお、扉体33を壁内に収納するためのスリットは、器体1の上端部に限らずたとえば器体1における左右方向の一端部に設けることもできる。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0053】
(実施形態4)
本実施形態のスピーカターミナルAは、実施形態1のスピーカターミナルAとは端子部3の構成が相違する。本実施形態では、図8に示すように、傾斜面23に配置された1個のハウジング35に対して1組の端子部3が設けられている。
【0054】
各端子部3はそれぞれ、図8に示すように、ハウジング35に開口したケーブル接続口36から挿入されたスピーカケーブルCを接続するものであって、ケーブル接続口36は、ハウジング35の下面に設けたレバー37を押操作することにより開放される端子板(図示せず)によって閉塞される。端子板はケーブル接続口36を閉塞する位置に付勢されている。つまり、レバー37を押操作しながらケーブル接続口36にスピーカケーブルCの先端部を挿入するだけの簡単な作業で端子部3にスピーカケーブルCを接続することができる。
【0055】
本実施形態の構成においても、傾斜面23に端子部3のハウジング35を設けたことにより実施形態1と同様の効果が期待できる。ただし、端子部3に接続されたスピーカケーブルCは、実施形態2において説明したバナナプラグを有するスピーカケーブルCと同様に、傾斜面23に交わる向きに引き出されることになる。したがって、本実施形態の器体1に蓋体5を付加する場合には、実施形態2で示した図6と同様に挿通孔32が開口した蓋体5を用いることが望ましい。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0056】
(実施形態5)
本実施形態のスピーカターミナルAは、実施形態1のスピーカターミナルAとは、器体1の細部および端子部3の構成が相違する。
【0057】
以下ではまず、器体1に関して実施形態1のスピーカターミナルAとの相違点を説明する。
【0058】
本実施形態の器体1が取り付けられる取付枠38は、図9に示すように、矩形枠状の枠本体44と、枠本体44の左右両辺からそれぞれ後方に突設された保持片45とを有しており、保持片45に矩形状の取付孔が貫設されて成る。一方、器体1は、左右両側面に取付突起46が突設されており、取付突起46を取付孔に嵌合させることにより取付枠38に取り付けられる。取付枠38には、実施形態1と同様に器体1の前面の周囲を包囲するプレート枠41がプレートねじ42(図4(b)参照)を用いて取り付けられ、プレート枠41には化粧カバー43が取り付けられるが、本実施形態ではさらに、化粧カバー43と器体1の前面との間の隙間を埋めるカバー体47を設けてある。カバー体47は、矩形枠状であって上下両辺からそれぞれ後方に突設された引掛爪48(図11参照)を器体1の上下両端面に設けられた引掛穴49(図11参照)に係合させることにより器体1に取り付けられる。
【0059】
また、器体1の前面の4隅にはそれぞれ保持穴50が貫設されており、蓋体5は、図10に示すように、蓋体5において各保持穴50に対応する各部位からそれぞれ後方に突出した保持爪51を保持穴50に係合させることによって器体1に対して着脱可能に取り付けられる。本実施形態で用いる蓋体5は透明であって、これにより、蓋体5が閉塞位置にあっても、端子部3へのスピーカケーブルCの接続状態を視認できるという利点がある。
【0060】
器体1の背面側を覆う背面カバー52が設けられている点も実施形態1のスピーカターミナルとは相違する。ただし、器体1の背面側においては、接続部3にスピーカケーブルCが接続されるので、背面カバー52は、スピーカケーブルCの接続を妨げることはないように、接続板12において接続部4を構成する部分(つまりねじ穴21の近傍)を露出させる形状に形成される。背面カバー52の左右両側縁には取着突起53が突設されており、この取着突起53を器体1の背面側の左右両側壁に貫設された取着孔54に嵌合させることによって、背面カバー52が器体1に取り付けられる。また、本実施形態では、異極性の接続部4間に左右方向に対向する2枚の仕切壁27を設けることにより、異極性の接続部4間の絶縁距離を大きくしている。さらに、接続板12とナット14との間にばね座金55を設けることにより、ナット14の緩みを防止している。
【0061】
ところで、収納凹所22の形状も実施形態1のスピーカターミナルAとは異なっており、本実施形態の各収納凹所22はそれぞれ、図10に示すように、当接面24が、端子部3の外周形状に沿って湾曲した曲面状に形成される。さらに当接面24は端子部3のケーブル挿入孔8の上側の開口部に対向する位置までしか傾斜面23から延出されておらず、当接面24の前端縁からは器体1の前面に沿う延設面56が上方に延設され、延設面56の上端縁からは下方ほど後退するように器体1の前面に対して傾斜した上側傾斜面57が上方に延設される。すなわち、上側傾斜面57と端子部3との間には、図11に示すように、延設面56の上下寸法に比例する隙間58が形成されることになる。
【0062】
上述した構成により、端子部3へのスピーカケーブルCの接続時に、端子部3の下方からケーブル挿入孔8に挿入したスピーカケーブルCの先端を、端子部3の周囲に設けた当接面24に当接させることにより、ケーブル挿入孔8に対して過不足なくスピーカケーブルCを挿入することができ、しかも、上側傾斜面57と端子部3との間に隙間58が形成されるので、図12に示すように、この隙間58からケーブル挿入孔8の上側の開口部を視認しやすくなる。このようにスピーカケーブルCの上側の開口部を視認できれば、端子部3の下方から挿入したスピーカケーブルCがどの程度挿入されているかを視認できるから、スピーカケーブルCの接続作業をより容易に行うことができる。
【0063】
ただし、上記隙間58を通してケーブル挿入孔8の開口部を直接視認するのが困難な位置、たとえば壁面Bの天井付近のように使用者が見上げなければならない位置にスピーカターミナルAを設置する場合には、図13に示すように、上側傾斜面57に鏡面59を形成し、この鏡面59でケーブル挿入孔8の上側の開口部を器体1の前方に投影することにより、鏡面59を介してケーブル挿入孔8の開口部を器体1の前方から視認できる構成とすることが望ましい。この構成では、使用者は、上記隙間58を通してケーブル挿入孔8の開口部を直接視認するのが困難であっても、ケーブル挿入孔8の上側の開口部を鏡面59に映して視認することができるので、スピーカケーブルCの接続作業を容易に行うことができる。鏡面59には、器体1に鏡を貼り付けることにより形成されるもののほか、蒸着等により器体1の一部に直接形成されるものを含む。
【0064】
次に、端子部3に関して実施形態1のスピーカターミナルAとの相違点を説明する。
【0065】
本実施形態の端子部3は、図14(a)に示すように、キャップ7の一部に外周縁の全周に亘って溝60が形成されており、この溝60に、合成ゴム製であって環状に形成された嵌着部材61(図12参照)を嵌着してある。嵌着部材61は、各端子部3の接続対象とする極性ごとに異なる色に着色されており、実施形態1で説明した、端子部3における接続対象とする極性に合わせた印となる。
【0066】
さらに、実施形態1ではキャップ7の内周面の全域にねじ溝が形成されていたが、本実施形態では、図14(a)に示すようにキャップ7の内周面の後端部にのみねじ溝が形成されている。つまり、接続用ねじ部15に螺合する雌ねじからなる接続用ナット部62は、キャップ7の後端部にのみ設けられることになる。一方、心棒6においては、図14(b)に示すように前端部に、内径が接続用ナット部62の内径よりも大きい抜止部63が形成されている。この構成によれば、キャップ7を緩めて前方に移動させた際に、接続用ナット部62が抜止部63を乗り越えることはないから、キャップ7は心棒6に対して抜け止めが成されることになる。このようにキャップ7が心棒6から抜けることがなければ、たとえば子供が心棒6から外れたキャップ7を誤飲するなどの事故を防止することができる。
【0067】
また、キャップ7を緩めて接続用ナット部62が抜止部63に当接した状態から更にキャップ7を緩める向きに回転させると、接続用ナット部62における抜止部63との接触部位が変形し、これにより接続用ナット部62が接続用ねじ部15に螺合し難くなる可能性がある。さらに、心棒6にもキャップ7を緩める向きの力が作用することによって、器体1における心棒6との接触部位(端子固定用孔11の周部)が変形する可能性もある。そこで本実施形態では、心棒6において接続用ねじ部15と抜止部63との間には、ねじは切られずに、外径が接続用ねじ部15よりも小さく、かつ軸方向の寸法が接続用ナット部62よりも大きい空回り部64が形成される。この構成により、キャップ7を緩めて前方に移動させた際に接続用ナット部62が空回り部64にまで移動すると、キャップ7は心棒6に対して空回りすることになるから、接続用ナット部62や器体1が変形するという上記問題を解決することができる。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0068】
また、上述の実施形態1,2,3,5に示したように心棒6とキャップ7とからなる端子部3を採用したスピーカターミナルAにスピーカケーブルCを接続する際には、心棒6の基端部にスピーカケーブルCの被覆を剥いた部分を巻き付けることにより、端子部3とスピーカケーブルCとの接触面積を大きくしてスピーカケーブルCと端子部3との間の接触抵抗を小さくすることが考えられる。そこで、上記各実施形態では、図15(a)に示すように心棒6において鍔部10と接続用ねじ部15との間に、外径が接続用ねじ部15よりも小さいケーブル巻き部65を形成し、スピーカケーブルCを巻き付ける際には、このケーブル巻き部65にスピーカケーブルCを巻き付けるようにしてある。ここで、仮に図15(b)のように、心棒6において鍔部10の前端縁まで接続用ねじ部15が形成されていると、接続用ねじ部15にスピーカケーブルCを巻き付けざるを得ないが、接続用ねじ部16はケーブル巻き部65に比べてねじ山の分だけ外径が大きいので、キャップ7を締め付けた際に巻き付けられているスピーカケーブルCがねじ山の分だけキャップ7と鍔部10との間から突出することがある。また、図15(b)の構成では、キャップ7を締め付ける際に、巻き付けたスピーカケーブルCがばらついて接続用ナット部62と接続用ねじ部15との間に巻き込まれることにより断線する可能性もある。すなわち、ケーブル巻き部65を設けた構成では、スピーカケーブルCを巻き付けた際に生じるこれらの問題を解決できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図2】同上のスピーカターミナルを示し、(a)は前面側から見た分解斜視図、(b)は背面側から見た分解斜視図である。
【図3】(a)は同上の構成を示す斜視図、(b)は同上の他の構成例を示す斜視図である。
【図4】同上の構成を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は斜視図である。
【図5】同上の他の構成例を示し、(a)は蓋体を外した状態の斜視図、(b)は蓋体を取り付けた状態の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態2の構成を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は斜視図である。
【図7】本発明の実施形態3の構成を示し、(a)は扉体を閉じた状態の斜視図、(b)は扉体を開いた状態の斜視図、(c)は扉体を収納した状態の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態4の構成を示す正面図である。
【図9】本発明の実施形態5の構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図10】同上のスピーカターミナルを示し、(a)は前面側から見た分解斜視図、(b)は背面側から見た分解斜視図である。
【図11】同上の構成を示す断面図である。
【図12】同上の構成を示す斜視図である。
【図13】同上の他の構成を示す斜視図である。
【図14】同上に用いる端子部を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図15】(a)は同上に用いる端子部を示す平面図、(b)は他の構成の端子部を示す平面図である。
【図16】従来例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 器体
3 端子部
4 接続部
5 蓋体
6 心棒
7 キャップ
8 ケーブル挿入孔
15 接続用ねじ部
22 収納凹所
23 傾斜面
24 当接面
25 案内面
26 絶縁壁
30 引出孔
31 張力止め
32 挿通孔
59 鏡面
62 接続用ナット部
63 抜止部
64 空回り部
65 ケーブル巻き部
A スピーカターミナル
B 壁面(施工面)
C スピーカケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工面に取り付けられる器体と、器体の前面側に設けられ2個を1組としてそれぞれスピーカケーブルを接続可能な端子部と、器体の背面側に設けられ各端子部にそれぞれ電気的に接続されるとともに端子部とは別にそれぞれスピーカケーブルを接続可能な接続部とを備え、器体は、収納凹所が前面に凹設されており、収納凹所の内周面に、器体の前面に沿う一方向に沿って収納凹所の深さ寸法を変化させるように器体の前面に対して傾斜した傾斜面を有し、組となる2個の端子部は、器体の前面に沿う面内で前記一方向に直交する方向に並ぶように傾斜面に配置されていることを特徴とするスピーカターミナル。
【請求項2】
前記器体は、組となる2個の前記端子部の間に立設された絶縁壁と、前記傾斜面において前記一方向における前記収納凹所の深さ寸法が大きい側の一端縁から前方に延設された当接面と、傾斜面において前記一方向に沿う両側縁から前方に延設された案内面とを収納凹所の内周面に有することを特徴とする請求項1記載のスピーカターミナル。
【請求項3】
前記収納凹所を覆う閉塞位置と収納凹所を覆わない開放位置との間で開閉可能な蓋体を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のスピーカターミナル。
【請求項4】
前記端子部は、前記一方向における前記収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部から前記傾斜面に沿って引き出される前記スピーカケーブルを接続可能であって、前記蓋体は、前記閉塞位置において、前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部にスピーカケーブルを挿通する引出孔が開口していることを特徴とする請求項3記載のスピーカターミナル。
【請求項5】
前記端子部は、前端部から前記傾斜面に交わる向きに引き出される前記スピーカケーブルを接続可能であって、前記蓋体は、前記閉塞位置において、端子部に対応する各部位にスピーカケーブルを挿通する挿通孔がそれぞれ開口していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスピーカターミナル。
【請求項6】
前記器体は、前面の一部に前記端子部に接続された前記スピーカケーブルの一部を保持する張力止めを有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【請求項7】
前記端子部は、円柱状に形成され軸方向を前記傾斜面に交わらせる向きで前記器体に取り付けられ、傾斜面よりも前方に位置する部分に雄ねじからなる接続用ねじ部が形成された心棒と、接続用ねじ部に螺合する雌ねじからなる接続用ナット部が形成されたキャップとを有し、心棒は、傾斜面よりも前方に位置する部分の後端部に、前記スピーカケーブルの先端部が挿入されるケーブル挿入孔が貫設されており、キャップは、接続用ねじ部に接続用ナット部が螺合した状態で心棒の周方向に回転させられることによりケーブル挿入孔を覆う位置とケーブル挿入孔を覆わない位置との間で移動し、ケーブル挿入孔は、貫通方向においてスピーカケーブルが挿入された状態でスピーカケーブルの先端側となる開口部が前記収納凹所内に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【請求項8】
前記ケーブル挿入孔は、貫通方向における前記収納凹所の深さ寸法が小さい側の開口部から前記スピーカケーブルの先端部が挿入されるように前記傾斜面に沿って貫設されていることを特徴とする請求項7記載のスピーカターミナル。
【請求項9】
前記キャップと前記心棒との少なくとも一方には、心棒に対してキャップを抜け止めする抜止部が設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のスピーカターミナル。
【請求項10】
前記心棒は、前記接続用ねじ部の前方に、外径が接続用ねじ部よりも小さくかつ軸方向の寸法が前記接続用ナット部よりも大きい空回り部を備えることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【請求項11】
前記器体は、前記収納凹所の内周面に、前記ケーブル挿入孔における貫通方向の少なくとも一方の開口部を前方に投影する鏡面を有することを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【請求項12】
前記心棒は、前記傾斜面よりも前方に位置する部分において前記接続用ねじ部の後方に、外径が接続用ねじ部よりも小さく、前記スピーカケーブルが巻き付けられるケーブル巻き部を備えることを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【請求項1】
施工面に取り付けられる器体と、器体の前面側に設けられ2個を1組としてそれぞれスピーカケーブルを接続可能な端子部と、器体の背面側に設けられ各端子部にそれぞれ電気的に接続されるとともに端子部とは別にそれぞれスピーカケーブルを接続可能な接続部とを備え、器体は、収納凹所が前面に凹設されており、収納凹所の内周面に、器体の前面に沿う一方向に沿って収納凹所の深さ寸法を変化させるように器体の前面に対して傾斜した傾斜面を有し、組となる2個の端子部は、器体の前面に沿う面内で前記一方向に直交する方向に並ぶように傾斜面に配置されていることを特徴とするスピーカターミナル。
【請求項2】
前記器体は、組となる2個の前記端子部の間に立設された絶縁壁と、前記傾斜面において前記一方向における前記収納凹所の深さ寸法が大きい側の一端縁から前方に延設された当接面と、傾斜面において前記一方向に沿う両側縁から前方に延設された案内面とを収納凹所の内周面に有することを特徴とする請求項1記載のスピーカターミナル。
【請求項3】
前記収納凹所を覆う閉塞位置と収納凹所を覆わない開放位置との間で開閉可能な蓋体を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のスピーカターミナル。
【請求項4】
前記端子部は、前記一方向における前記収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部から前記傾斜面に沿って引き出される前記スピーカケーブルを接続可能であって、前記蓋体は、前記閉塞位置において、前記一方向における収納凹所の深さ寸法が小さい方の一端部にスピーカケーブルを挿通する引出孔が開口していることを特徴とする請求項3記載のスピーカターミナル。
【請求項5】
前記端子部は、前端部から前記傾斜面に交わる向きに引き出される前記スピーカケーブルを接続可能であって、前記蓋体は、前記閉塞位置において、端子部に対応する各部位にスピーカケーブルを挿通する挿通孔がそれぞれ開口していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスピーカターミナル。
【請求項6】
前記器体は、前面の一部に前記端子部に接続された前記スピーカケーブルの一部を保持する張力止めを有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【請求項7】
前記端子部は、円柱状に形成され軸方向を前記傾斜面に交わらせる向きで前記器体に取り付けられ、傾斜面よりも前方に位置する部分に雄ねじからなる接続用ねじ部が形成された心棒と、接続用ねじ部に螺合する雌ねじからなる接続用ナット部が形成されたキャップとを有し、心棒は、傾斜面よりも前方に位置する部分の後端部に、前記スピーカケーブルの先端部が挿入されるケーブル挿入孔が貫設されており、キャップは、接続用ねじ部に接続用ナット部が螺合した状態で心棒の周方向に回転させられることによりケーブル挿入孔を覆う位置とケーブル挿入孔を覆わない位置との間で移動し、ケーブル挿入孔は、貫通方向においてスピーカケーブルが挿入された状態でスピーカケーブルの先端側となる開口部が前記収納凹所内に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【請求項8】
前記ケーブル挿入孔は、貫通方向における前記収納凹所の深さ寸法が小さい側の開口部から前記スピーカケーブルの先端部が挿入されるように前記傾斜面に沿って貫設されていることを特徴とする請求項7記載のスピーカターミナル。
【請求項9】
前記キャップと前記心棒との少なくとも一方には、心棒に対してキャップを抜け止めする抜止部が設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のスピーカターミナル。
【請求項10】
前記心棒は、前記接続用ねじ部の前方に、外径が接続用ねじ部よりも小さくかつ軸方向の寸法が前記接続用ナット部よりも大きい空回り部を備えることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【請求項11】
前記器体は、前記収納凹所の内周面に、前記ケーブル挿入孔における貫通方向の少なくとも一方の開口部を前方に投影する鏡面を有することを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【請求項12】
前記心棒は、前記傾斜面よりも前方に位置する部分において前記接続用ねじ部の後方に、外径が接続用ねじ部よりも小さく、前記スピーカケーブルが巻き付けられるケーブル巻き部を備えることを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれか1項に記載のスピーカターミナル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−351509(P2006−351509A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372998(P2005−372998)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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