説明

スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)に対して活性なオキサジアゾール誘導体

本願は、特に紅斑性狼瘡の処置に有用な、スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)に対して活性な式(I)のオキサジアゾールに基づく化合物を開示する。Aはフェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリール環であり;Bは下式(a)、(b)、(c)の1つから選択される。


【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、薬理活性を有する新規なオキサジアゾール誘導体、それらの製造のための方法、それらを含有する医薬組成物および種々の障害の処置におけるそれらの使用に関する。
スフィンゴシン1−リン酸(S1P)は、スフィンゴシンキナーゼによるスフィンゴシンのリン酸化により形成される生物活性脂質性メディエーターであり、血中に高レベルで見られる。それは血小板および肥満細胞などの造血系起源のものを含むいくつかの細胞種により産生および分泌される(Okamoto et al 1998 J Biol Chem 273(42):27104; Sanchez and Hla 2004, J Cell Biochem 92:913)。それは、細胞増殖、分化、運動、血管新生および炎症性細胞および血小板の活性化の調節を含む広範な生物学的作用を有する(Pyne and Pyne 2000, Biochem J. 349:385)。受容体のGタンパク質共役内皮分化遺伝子ファミリーの一部をなすS1P応答性受容体の5つのサブタイプ、S1P1(Edg−1)、S1P2(Edg−5)、S1P3(Edg−3)、S1P4(Edg−6)およびS1P5(Edg−8)が記載されている(Chun et al 2002 Pharmacological Reviews 54:265, Sanchez and Hla 2004 J Cellular Biochemistry, 92:913)。これら5つの受容体は異なるmRNA発現を示し、S1P1−3が広く発現され、S1P4はリンパ組織および造血組織で、そして、S1P5は主に脳で、また、程度は低いが脾臓で発現される。それらはGタンパク質の異なるサブセットを介してシグナルを伝達し、種々の生物学的応答を誘発する(Kluk and Hla 2002 Biochem et Biophysica Acta 1582:72, Sanchez and Hla 2004, J Cellular Biochem 92:913)。
【0002】
S1P1受容体に関して提案されている役割としては、リンパ球の輸送、サイトカイン誘導/抑制、および内皮細胞への作用が挙げられる(Rosen and Goetzl 2005 Nat Rev Immunol. 5:560)。S1P1受容体のアゴニストが、MSの実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを含むいくつかの自己免疫および移植動物モデルで、誘導された疾患の重篤度を軽減するために使用されている(Brinkman et al 2003 JBC 277:21453; Fujino et al 2003 J Pharmacol Exp Ther 305:70; Webb et al 2004 J Neuroimmunol 153:108; Rausch et al 2004 J Magn Reson Imaging 20:16)。この活性はリンパ系のリンパ球循環に対するS1P1アゴニストの作用により媒介されることが報告されている。S1P1アゴニストによる処置は、動物モデルにおける可逆的末梢リンパ球減少症(lymphopoenia)を含む、リンパ節などの二次的リンパ器官内でのリンパ球の隔離をもたらす(Chiba et al 1998, J Immunology 160:5037, Forrest et al 2004 J Pharmacol Exp Ther 309:758; Sanna et al 2004 JBC 279:13839)。アゴニストに関して発表されているデータは、化合物処置が、インターナリゼーションを介した細胞表面からのS1P1受容体の消失を誘導し(Graler and Goetzl 2004 FASEB J 18:551; Matloubian et al 2004 Nature 427:355; Jo et al 2005 Chem Biol 12:703)、リンパ節から血流中へ戻るT細胞の移動の減少に寄与するのは免疫細胞に対するこのS1P1受容体の減少であることを示唆している。
【0003】
S1P1遺伝子の欠損は胎児致死をもたらす。リンパ球の移動および輸送におけるS1P1受容体の役割を調べるための実験には、照射された野生型マウスへの標識S1P1欠陥T細胞の養子免疫伝達が含まれた。これらの細胞は、二次的リンパ器官からの移出の減少を示した(Matloubian et al 2004 Nature 427:355)。
【0004】
S1P1はまた、内皮細胞接合の調節における役割も記載されている(Allende et al 2003 102:3665, Blood Singelton et al 2005 FASEB J 19:1646)。この内皮作用について、S1P1アゴニストが、免疫障害の調節における役割に寄与している可能性がある単離されたリンパ節に対して作用を有することが報告されている。S1P1アゴニストは、リンパ節を排液し、リンパ球移出を防ぐリンパ洞の内皮間質「ゲート」の閉鎖を引き起こした(Wei wt al 2005, Nat. Immunology 6:1228)。
【0005】
免疫抑制化合物FTY720(JP11080026−A)は、動物およびヒトにおいて循環リンパ球を減少させ、免疫障害の動物モデルにおいて疾患調節活性を有し、緩解中の多発性硬化症の再発において緩解率を引き下げることが示されている(Brinkman et al 2002 JBC 277:21453, Mandala et al 2002 Science 296:346, Fujino et al 2003 J Phrmacology and Experimental Therapeutics 305:45658, Brinkman et al 2004 American J Transplantation 4:1019, Webb et al 2004 J Neuroimmunology 153:108, Morris et al 2005 EurJ Immunol 35:3570, Chiba 2005 Phrmacology and Therapeutics 108:308, Kahan et al 2003, Transplantation 76:1079, Kappos et al 2006 New Eng J Medicine 335:1124)。この化合物は、in vivoでスフィンゴシンキナーゼによりリン酸化されて、S1P1、S1P3、S1P4およびS1P5受容体においてアゴニスト活性を有する分子を与えるプロドラッグである。臨床試験では、FTY720による処置が、処置して最初の24時間に徐脈をもたらすことが示されている(Kappos et al 2006 New Eng J Medicine 335:1124)。この徐脈は、いくつかの細胞に基づく実験および動物実験に基づけば、S1P3受容体における促進作用によるものであると思われる。これらには、野生型マウスとは違ってFTY720投与の後に徐脈を示さないS1P3ノックアウト動物の使用およびS1P1選択的化合物の使用が含まれる(Hale et al 2004 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 14:3501, Sanna et al 2004 JBC 279:13839, Koyrakh et al 2005 American J Transplantation 5:529)。
【0006】
ゆえに、低い徐脈誘発傾向を示すと思われるS1P3を超える選択性を備えたS1P1受容体アゴニスト化合物の必要がある。
【0007】
以下の特許出願にはS1P1アゴニストとしてのオキサジアゾール誘導体が記載されている:WO03/105771、WO05/058848、WO06/047195、WO06/100633、WO06/115188、WO06/131336、WO07/024922およびWO07/116866。
【0008】
以下の特許出願にはS1P受容体アゴニストとしてのテトラヒドロイソキノリニル−オキサジアゾール誘導体が記載されている:WO06/064757、WO06/001463、WO04/113330。
【発明の開示】
【0009】
今般、S1P1受容体のアゴニストとなる構造的に新規な化合物種が見つかった。
【0010】
よって、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩:
【化1】

[式中、
Aはフェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリール環であり;
は、ハロゲン、C(1−3)アルコキシ、C(1−3)フルオロアルキル、シアノ、C(1−3)フルオロアルコキシ、C(1−6)アルキルおよびC(3−6)シクロアルキルから独立に選択される2個までの置換基であり;
は水素、ハロゲンまたはC(1−4)アルキルであり;
Bは以下:
【化2】

の1つから選択され;
は水素、C(1−3)アルキルまたは(CH1−3COHであり;
は水素またはC(1−3)アルキルであり;
またはRがアルキルである場合、それは酸素が挿入されていてもよい]
を提供する。
【0011】
本発明の一つの実施態様では、
Aはフェニルであり;かつ/または
は、クロロ、イソプロポキシおよびシアノから独立に選択される2個までの置換基であり;かつ/または
は水素であり;かつ/または
Bは(a)であり;かつ/または
は水素、メチルまたは(CH1−3COHであり;かつ/または
は水素である。
【0012】
Aはフェニルであり;
は、クロロ、イソプロポキシおよびシアノから独立に選択される2個までの置換基であり;
は水素またはメチルであり;
Bは(a)であり;
は水素、メチルまたは(CH1−3COHであり;
であり;
は水素である。
【0013】
一つの実施態様では、Aはフェニルである。別の実施態様では、Aは3,4−二置換フェニルである。
【0014】
一つの実施態様では、Rは2個の置換基であり、その一方はC(1−3)アルコキシであり、他方はハロゲンまたはシアノから選択される。別の実施態様では、Rは2個の置換基であり、その一方はイソプロポキシであり、他方はクロロまたはシアノから選択される。別の実施態様では、Rはクロロ、イソプロポキシおよびシアノから選択される2個の置換基である。別の実施態様では、Rはクロロおよびイソプロポキシである。さらなる実施態様では、Aがフェニルである場合、Rは3位がクロロであり、4位がイソプロポキシである。別の実施態様では、Rはイソプロポキシおよびシアノである。さらなる実施態様では、Aがフェニルである場合、Rは3位がシアノであり、4位がイソプロポキシである。
【0015】
一つの実施態様では、Rは水素またはメチルである。
一つの実施態様では、Bは(a)である。
一つの実施態様では、Rは水素、メチルまたは(CH1−3COHである。
一つの実施態様では、Rは水素である。
【0016】
基または基の一部(例えば、アルコキシまたはヒドロキシアルキル)としての「アルキル」とは、総ての異性形の直鎖または分枝アルキル基を意味する。「C(1−6)アルキル」とは、少なくとも1個、多くて6個の炭素原子を含む、上記で定義されたアルキル基を意味する。このようなアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルが挙げられる。このようなアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ−プロポキシ、ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシが挙げられる。
【0017】
好適なC(3−6)シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0018】
本明細書において「ハロゲン」とは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)を意味し、「ハロ」とは、ハロゲン:フルオロ(−F)、クロロ(−Cl)、ブロモ(−Br)およびヨード(−I)を意味する。
【0019】
「ヘテロアリール」とは、O、NまたはSから選択される1以上のヘテロ原子を含んでなる不飽和環を表す。5員または6員ヘテロアリール環の例としては、ピロリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびトリアジニルが挙げられる。
【0020】
式(I)の化合物のある特定のものでは、置換基の性質によってキラル炭素原子が存在し、従って、式(I)の化合物は立体異性体として存在し得る。本発明は、鏡像異性体、ジアステレオ異性体およびラセミ体などのその混合物を含む式(I)の化合物の立体異性形などの総ての光学異性体に及ぶ。異なる立体異性形は慣例の方法によってあるものを他から分離または分割することができ、あるいはある異性体を慣例の選択的または非対称合成によって得ることもできる。
【0021】
本明細書において化合物のある特定のものは種々の互変異性形で存在する場合があり、本発明はこのような総ての互変異性形を包含すると理解すべきである。
【0022】
本発明のある特定の化合物は酸基と塩基基の双方を含み、従って、ある特定のpH値において両性イオンとして存在し得ると理解される。
【0023】
本発明の好適な化合物は、
5−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル、
[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸、
3−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸、
4−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酪酸、
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル、
[8−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル]酢酸、
3−[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸、
[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸、
6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル、
[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸、
3−[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸、
またはその薬学上許容される塩である。
【0024】
式(I)の化合物の薬学上許容される誘導体には、レシピエントに投与された際に式(I)の化合物または活性代謝物もしくはその残基を(直接または間接的に)提供し得る式(I)の化合物の薬学上許容される塩、エステルまたはそのようなエステルの塩のいずれもが含まれる。
【0025】
式(I)の化合物は塩を形成し得る。当然のことながら、医薬において使用するためには、式(I)の化合物は薬学上許容されなければならない。好適な薬学上許容される塩は当業者には明らかであり、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸などの無機酸;および例えばコハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸などの有機酸とともに形成される酸付加塩のような、J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19に記載されているものが含まれる。式(I)の化合物のある特定のものは、1当量以上の酸とともに酸付加塩を形成し得る。本発明はその範囲に可能性のある総ての化学量論的および非化学量論的形態を含む。塩はまた、無機塩基および有機塩基を含む薬学上許容される塩基からも製造され得る。無機塩基に由来する塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)塩、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。薬学上許容される有機塩基に由来する塩としては、第一級、第二級および第三級アミンの;天然置換アミンを含む置換アミン;ならびに環状アミンが挙げられる。特定の薬学上許容される有機塩基としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS、トロメタモール)などが挙げられる。塩はまた、例えばポリアミン樹脂などの塩基性イオン交換樹脂からも形成され得る。本発明の化合物が塩基性である場合、無機酸および有機酸を含む薬学上許容される酸からも塩が製造され得る。このような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0026】
薬学上許容される付加塩は、慣例的に適当な酸または酸誘導体との反応により製造され得る。塩基との薬学上許容される塩は、慣例的に適当な無機または有機塩基との反応により製造され得る。
【0027】
式(I)の化合物は結晶形態または非結晶形態で製造可能であり、結晶性であれば、所望により水和または溶媒和されていてもよい。本発明はその範囲に化学量論的水和物または溶媒和物ならびに種々の量の水および/または溶媒を含有する化合物を含む。
本発明の範囲には、式(I)の化合物のあらゆる塩、溶媒和物、水和物、複合体、多型、プロドラッグ、放射性標識誘導体、立体異性体および光学異性体が含まれる。
【0028】
S1P1受容体に対する本発明の化合物の能力および効力は、本明細書に記載されているような、ヒトにクローニングされた受容体に対して行われるGTPγSアッセイにより測定することができる。式(I)の化合物は、本明細書に記載の機能的アッセイを用い、S1P1受容体におけるアゴニスト活性を示した。
【0029】
よって、式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は、S1P1受容体により媒介される症状または障害の処置に用いられる。特に、式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症疾患、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡(lupus erythematosis)、乾癬、虚血再潅流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成に関連する疾患、血管疾患、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性および非インスリン依存性糖尿病(本発明では以下「本発明の障害」と呼ぶ)の処置に用いられる。
【0030】
従って、式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は紅斑性狼瘡(lupus erythematosis)の処置に用いられる。
【0031】
従って、式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は乾癬の処置に用いられる。
【0032】
従って、式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は多発性硬化症の処置に用いられる。
【0033】
本明細書において「処置」は確立された症状の予防ならびに緩和を含むと理解すべきである。
【0034】
よって、本発明はまた、特に、S1P1受容体により媒介される症状または障害の処置において治療物質として使用するための式(I)の化合物または薬学上許容される塩を提供する。特に、本発明は、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症疾患、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡(lupus erythematosis)、乾癬、虚血再潅流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成に関連する疾患、血管疾患、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性および非インスリン依存性糖尿病の処置において治療物質として使用するための式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を提供する。
【0035】
式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は紅斑性狼瘡(lupus erythematosis)の処置において治療物質として用いられる。
【0036】
式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は乾癬の処置において治療物質として用いられる。
【0037】
式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は多発性硬化症の処置において治療物質として用いられる。
【0038】
本発明はさらに、S1P1受容体により媒介され得る、ヒトを含む哺乳類における症状または障害の処置方法であって、罹患者に治療上安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含んでなる方法を提供する。特に、本発明は、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症疾患、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡(lupus erythematosis)、乾癬、虚血再潅流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成に関連する疾患、血管疾患、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性および非インスリン依存性糖尿病の処置方法であって、罹患者に治療上安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0039】
本発明は、罹患者に治療上安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含んでなる紅斑性狼瘡(lupus erythematosis)の処置方法を提供する。
【0040】
本発明は、罹患者に治療上安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含んでなる乾癬の処置方法を提供する。
【0041】
本発明は、罹患者に治療上安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含んでなる多発性硬化症の処置方法を提供する。
【0042】
別の態様において、本発明は、S1P1受容体により媒介される症状または障害の処置において使用するための薬剤の製造における式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩の使用を提供する。
【0043】
特に、本発明は、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症疾患、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡(lupus erythematosis)、乾癬、虚血再潅流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成に関連する疾患、血管疾患、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性および非インスリン依存性糖尿病の処置において使用するための薬剤の製造において使用するための式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を提供する。
【0044】
式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は、紅斑性狼瘡(lupus erythematosis)の処置において使用するための薬剤の製造において用いられる。
【0045】
式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は、乾癬の処置において使用するための薬剤の製造において用いられる。
【0046】
式(I)の化合物およびそれらの薬学上許容される塩は、多発性硬化症の処置において使用するための薬剤の製造において用いられる。
【0047】
療法において式(I)の化合物およびその薬学上許容される塩を使用するためには、それらを通常標準的な薬務に従って医薬組成物へと処方する。本発明はまた、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と薬学上許容される担体または賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0048】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と薬学上許容される担体または賦形剤とを混合することを含んでなる、医薬組成物の製造方法を提供する。
【0049】
適切には周囲温度および大気圧での混合により製造され得る本発明の医薬組成物は、通常、経口投与、非経口投与または直腸投与に適合され、それ自体、錠剤、カプセル剤、経口用液体製剤、粉末、顆粒、トローチ剤、再構成用粉末、注射もしくは注入溶液もしくは懸濁液または坐剤の形態であり得る。経口投与可能な組成物が通常好ましい。
【0050】
経口投与用の錠剤およびカプセル剤は単位用量形であってよく、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素ナトリウム);錠剤化滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグリコール酸ナトリウムデンプン);および許容される湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの慣例の賦形剤を含み得る。これらの錠剤は通常の薬務において周知の方法に従ってコーティングしてもよい。
【0051】
経口液体製剤は例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルション、シロップ剤またはエリキシル剤の形態であってもよく、あるいは使用前に水または他の好適なビヒクルで再構成するための乾燥製品の形態であってもよい。このような液体製剤は、沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用油脂)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアガム)、非水性ビヒクル(食用油、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは精留植物油を含み得る)、保存剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)、および所望により適当であれば慣例の香味剤または着色剤、バッファー塩および甘味剤を含み得る。経口投与用製剤は、有効化合物の制御放出を得るために適宜処方してもよい。
【0052】
非経口投関しては、本発明の化合物またはその薬学上許容される塩および無菌ビヒクルを用いた液体単位投与形が製造される。注射用処方物は、本発明の化合物またはその薬学上許容される誘導体および無菌ビヒクルを所望により保存剤を添加して用いた単位投与形、例えば、アンプルまたは多用量で製造され得る。これらの組成物は油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションの形態をとってもよく、沈殿防止剤、安定剤および/または分散剤などの処方剤を含んでもよい。あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば、無菌パイロジェンフリー水で構築するための粉末形態であってもよい。化合物は、用いるビヒクルおよび濃度によって、ビヒクル中に懸濁するかまたは溶解するかのいずれかが可能である。溶液を製造する際には、化合物を注射用に溶解し、濾過除菌した後に好適なバイアルまたはアンプルに充填し、密閉することができる。有利には、局部麻酔薬、保存剤および緩衝剤などのアジュバントをビヒクルに溶解させる。安定性を高めるためには、組成物をバイアルに充填した後に凍結させ、真空下で水を除去することができる。非経口懸濁液も、化合物をビヒクルに溶解させる代わりに懸濁させること、および滅菌が濾過によって行えないこと以外は、実質的に同様に製造される。この化合物は、無菌ビヒクルに懸濁させる前にエチレンオキシドに曝すことにより滅菌することができる。有利には、化合物の一様な分布を助けるために組成物に界面活性剤または湿潤剤を含める。
【0053】
ローションは水性または油性基剤を用いて処方することができ、一般に、1以上の乳化剤、安定剤、分散剤、沈殿防止剤、増粘剤または着色剤の含む。滴剤は、1以上の分散剤、安定剤、可溶化剤または沈殿防止剤も含んでなる水性または非水性基剤を用いて処方することができる。それらはまた保存剤も含み得る。
【0054】
式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩はまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの慣例の坐剤基剤を含有する坐剤または保留浣腸などの直腸組成物に処方してもよい。
【0055】
式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩はまたデポー製剤として処方してもよい。このような持続性処方物は移植(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与することができる。よって、例えば、本発明の化合物は、好適なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性の塩として処方することができる。
【0056】
鼻腔内投与に関しては、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩は、好適な定量または単位用量デバイスを介した投与のための溶液、あるいはまた好適な送達デバイスを用いた投与のために好適な担体と混合した粉末として処方することができる。よって、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩は、経口、口内、非経口、局所的(眼用および鼻腔用を含む)、デポーまたは直腸投与用に、あるいは吸入または吹送(口または鼻のいずれかを介する)による投与に好適な形態で処方することができる。
【0057】
式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩は、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、ペッサリー、エアゾールまたは滴剤(例えば、眼、耳または鼻用滴剤)の形態での局所投与用に処方することができる。軟膏およびクリームは、例えば、水性または油性基剤を用い、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して処方することができる。眼への投与のための軟膏は、無菌成分を用いて無菌的に製造すればよい。
【0058】
本組成物は、投与方法に応じて、0.1〜99重量%、好ましくは10〜60重量%の有効物質を含み得る。上述の障害の処置に用いられる化合物の用量は、通常、障害の重篤度、罹患者の体重および他の同様の因子によって異なる。しかしながら、一般的な指針としては、好適な単位用量は0.05〜1000mg、1.0〜500mgまたは1.0〜200mgであり得、このような単位用量を1日1回より多く、例えば、1日2回または3回投与することができる。
【0059】
式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩は組合せ製剤として使用してもよい。例えば、本発明の化合物は、シクロスポリンA、メトトレキサート、ステロイド類(steriods)、ラパマイシン、炎症性サイトカイン阻害剤、免疫調節剤(生物製品または他の治療有効化合物を含む)と組み合わせて使用可能である。
【0060】
本発明は、1以上の原子が、自然界で通常に見られる原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子で置換されていること以外は、式Iで示されているものと同一であり従う、同位元素標識された化合物も含む。本発明の化合物に組み込むことができる同位元素の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、ヨウ素および塩素の同位元素、例えば、H、11C、14C、18F、123Iおよび125Iが挙げられる。
【0061】
上述の同位元素および/または他の原子の他の同位元素を含む本発明の化合物および該化合物の薬学上許容される塩も本発明の範囲内にある。同位元素標識された本発明の化合物、例えば、H、14Cなどの放射性同位元素が組み込まれているものは、薬剤および/または基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム化、すなわちH、および炭素−14、すなわち14C、同位元素はそれらの製造の容易さおよび検出性のために特に好ましい。11CおよびF同位元素はPET(陽電子放射型断層撮影法)に特に有用であり、125I同位元素はSPECT(単光子放射コンピューター断層撮影法)に特に有用であり、いずれも脳の画像化に有用である。さらに、重水素、すなわちHなどのより重い同位元素での置換は、より高い代謝安定性、例えばin vivo半減期の延長または用量要求の低減から来るある特定の治療的利益を与えることができ、ゆえに、いくつかの状況で好ましい場合がある。同位元素標識された、本発明に従う式(I)の化合物は一般に、以下のスキームおよび/または実施例に開示されている手順を行うことにより、非同位元素標識試薬を容易に入手可能な同位元素標識された試薬に置き換えることによって製造することができる。
【0062】
さらなる態様において、本発明は式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0063】
Bが
【化3】

であり、Rが(CH1−3COHある式(I)の化合物は、スキーム1(ここで、R、R、RおよびAは式(I)に関して定義された通りであり、nは3であり、halはクロロ、ブロモまたはヨードであり、Pは保護基であり、Rはアルキル基(例えば、エチルまたはtert−ブチル)を表す)に従って製造することができる。
【化4】

【0064】
式(ii)の化合物(例えば、Tetrahedron (2006), 62(29), 6869-6875に記載のように製造)は、ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカーボネートなどの好適な保護試薬を用い、Pが例えばt−ブトキシカルボニルである好適な保護誘導体(iii)に変換することができる。式(iii)の化合物は、重炭酸ナトリウムなどの好適な塩基の存在下でヒドロキシルアミンと反応させることにより、式(iv)の化合物に変換することができる。式(iv)の化合物は、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの好適な塩基の存在下、所望により、4−ジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下で式(v)の酸塩化物と反応させることにより、式(vi)の化合物に変換することができる。この反応は最初は室温で行い、その後、オキサジアゾールへの環化を達成するために加熱すればよい。式(vi)の化合物は、Pがt−ブトキシカルボニルを表す場合には塩酸などの好適な酸で脱保護することにより、式(vii)の化合物を得ることができる。式(vii)の化合物は、炭酸セシウムなどの好適な塩基の存在下で式(viii)のアルキル化剤と反応させることにより、式(ix)の化合物に変換することができる。式(ix)の化合物は、水酸化リチウムなどの好適な塩基または(R=t−ブチルの場合)塩酸またはトリフルオロ酢酸などの好適な酸で加水分解することにより、ある特定の式(I)の化合物に変換することができる。式(v)の化合物は、既知の化合物であるか、またはそれ自体既知の化合物であるか、もしくは常法により製造することができる対応する酸から、常法により製造することができる。
【0065】
がテトラヒドロイソキノリン環系の5位にあり、シアノ基が6位にある式(iii)の化合物は、スキーム2(ここで、Rは式(I)に関して定義され、Rは水素であり、Pは保護基である)に示されているように製造することができる。
【化5】

【0066】
式(x)の化合物は、酢酸アンモニウムなどの好適な塩基の存在下でニトロメタンと反応させることにより、式(xii)の化合物に変換することができる。式(xi)の化合物は、クロロトリメチルシランの存在下で、水素化ホウ素リチウムなどの好適な還元剤で還元することにより、式(xii)の化合物に変換することができる。式(xii)の化合物は、ギ酸エチルなどの好適なホルミル化剤と反応させることにより、式(xiii)の化合物に変換することができる。式(xiii)の化合物は、ギ酸などの好適な酸触媒の存在下で、パラホルムアルデヒドなどの好適なホルムアルデヒド供給源と反応させることにより、式(xiv)の化合物に変換することができる。式(xiv)の化合物は、三臭化ホウ素などの好適な脱メチル化剤と反応させることにより、式(xv)の化合物に変換することができる。式(xv)の化合物は、ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカーボネートなどの好適な保護試薬を用い、Pが例えばt−ブトキシカルボニルである好適な式(xvi)の保護誘導体に変換することができる。式(xvi)の化合物は、無水トリフルオロメタンスルホン酸などの好適なトリフルオロメタンスルホニル化剤と反応させることにより、式(xvii)の化合物に変換することができる。式(xvii)の化合物は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などの好適な触媒の存在下でシアン化亜鉛などの好適なシアン化物供給源と反応させることにより、式(iii)(式中、Rが5位にあり、Rは水素であり、シアノ基が6位にある)の化合物に変換することができる。
【0067】
限定されるものではないが特許および特許出願を含む、本明細書に引用されている刊行物は総て、それぞれ個々の刊行物が完全に示されているかのように引用することにより本明細書の一部とされることが具体的かつ個々に示されている場合と同様に、引用することにより本明細書の一部とされる。
【実施例】
【0068】
以下の説明および実施例は本発明の化合物の製造を示す。
略号:
g − グラム
mg − ミリグラム
ml − ミリリットル
μl − マイクロリットル
MeCN − アセトニトリル
MeOH − メタノール
EtOH − エタノール
EtO − ジエチルエーテル
EtOAc − 酢酸エチル
DCM − ジクロロメタン
DIAD − ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DIPEA − N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP − N,N−ジメチル−4−ピリジンアミン
DME −1,2−ビス(メチルオキシ)エタン
DMF − N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO − ジメチルスルホキシド
EDAC − N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
EDC − N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
EDCI − N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
HOBT/HOBt − ヒドロキシベンゾトリアゾール
IPA − イソプロピルアルコール
NCS − N−クロロスクシンイミド
PyBOP − ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
THF − テトラヒドロフラン
dba − ジベンジリデンアセトン
RT − 室温
℃ − セ氏度
M − モル
H − プロトン
s − 一重線
d − 二重線
t − 三重線
q − 四重線
MHz − メガヘルツ
MeOD − 変性メタノール
LCMS − 液体クロマトグラフィー質量分析
LC/MS − 液体クロマトグラフィー質量分析
MS − 質量分析
ES − エレクトロスプレー
MH − マスイオン + H
MDAP − 質量指示自動分取液体クロマトグラフィー
sat. − 飽和
Boc − tert−ブチルオキシカルボニル
SCXまたはSCX−3 − 固相に固定されたベンゼンスルホン酸残基を用いる固相抽出(SPE)カラム(例えば、IST Isolute(商標)カラム)
【0069】
一般化学の節
下記の方法は例示目的で示されるものであり、これらの実施例の製法における中間体は、必ずしも、記載されている特定のバッチから製造されたものでなくてもよい。
【0070】
調製例1
5−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化6】

【0071】
1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリンカルボニトリル塩酸塩(5.0g/25.7mmol、Fluorchemから入手可能)をDCM(100mL)と2N NaOHとで分液した。DCM層を回収し、乾燥させ(疎水性フリット)、蒸発させた。遊離塩基1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリンカルボニトリルを乾燥DCM(100mL)に溶解させ、ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカーボネート(1.1当量、6.17g)で処理した。この反応物をアルゴン下、室温で18時間攪拌し、2N NaOH(100mL)、2N HCl(100mL)で洗浄し、乾燥させ(疎水性フリット)、蒸発させて、粗1,1−ジメチルエチル−5−シアノ−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボキシレートを得、これをそれ以上精製せずに用いた(LCMS100%、NMR tBuOHとの2:1混合物)。単離収量7.58g。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d (特に) 7.52 (1H, d), 7.35-7.16 (2H, m), 4.60 (2H, br.s), 3.71 (2H, t), 3.04 (2H, t), 1.5 (9H, s); m/z (API-ES) 203 [M+H-56]+.
【0072】
上記からの粗材料、ヒドロキシルアミン.HCl(14.31g、206mmol)および重炭酸ナトリウム(21.63g、257mmol)を、エタノール(200mL)を含む500mL丸底フラスコに加えた。この反応混合物を65℃で24時間加熱した。冷却した反応物を蒸発させ、DCM(2×100mL)と水(100mL)とで分液した。合わせたDCM層を回収し、乾燥させた。LC/MSによる分析はこの材料が〜80%の純度であることを示した。この材料をエタノール(100mL)に溶解させ、濾過して不溶解不純物を除去した。LC/MSによる分析は、この材料が92%の純度であることを示した。5−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチルはそれ以上精製せずに用いた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 7.82 (1H, br.s), 7.36-7.16 (3H, m), 4.80 (2H, br.s), 4.58 (2H, br.s), 3.59 (2H, br.t), 2.98 (2H, t), 1.49 (9H, s); m/z (API-ES) 292 [M+H]+.
【0073】
調製例2
3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]安息香酸メチル
【化7】

【0074】
3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸メチル(50g、0.27モル)、KCO(74g、0.54モル)およびヨードプロパン(29.5ml、0.23モル)を室温、DMF(100mL)中で攪拌した。18時間後、溶媒を真空蒸発により除去し、残渣をEtOAc/ヘキサン(1:1)中、シリカ60のカラムでクロマトグラフィーに付し、標題化合物を油状物として得た(55g、90%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 8.05 (1H, d), 7.89 (1H, dd), 6.94 (1H, d), 4.60-4.72 (1H, m), 3.89 (3H, s), 1.41 (6H, d); m/z (API-ES) 229 [M+H]+.
【0075】
調製例3
5−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化8】

【0076】
5−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例1)(2g、6.86mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(100mL)に溶解させ、アルゴン下、室温で30分間、水素化ナトリウム(60%分散物、0.302g、7.55mmol)とともに攪拌した。次に、3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]安息香酸メチル(調製例2)(2.355g、10.30mmol)を加え、この反応物を還流温度で1.5時間加熱した。冷却した反応物を蒸発させ、DCM(100mL)と水(100mL)とで分液した。水層をDCM(50mL)で洗浄し、合わせたDCM層を乾燥させ(疎水性フリット)、蒸発させた。粗生成物を、DCMで溶出する小シリカパッドでのクロマトグラフィーにより精製し、5−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(2.57g、5.47mmol、収率80%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 8.23 (1H, s), 8.05 (1H, d), 7.95 (1H, d), 7.34 (1H, t), 7.27 (1H, d), 7.06 (1H, d), 4.76-4.63 (1H, m), 4.66 (2H, br.s), 3.67 (2H, br.t), 3.25 (2H, br.t), 1.51 (9H, s), 1.45 (6H, d); m/z (API-ES) 414, 416 [M+H-56]+.
【0077】
調製例4
5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化9】

【0078】
DCM(20mL)中、3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]安息香酸(WO2005/58848に記載のように製造することができる、737mg、3.59mmol)および塩化オキサリル(360μl)の溶液にDMF(20μl)を加えた。この溶液を室温で90分間攪拌した後、真空濃縮し、乾燥DMF(6mL)に再溶解させた。別途、5−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例1、1.05g、3.60mmol)、N,N−ジメチル−4−ピリジンアミン(DMAP)(20mg)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(1.31ml、7.50mmol)をDMF(10mL)に溶解させた。第一のDMF溶液5mLを第二の溶液に加え、その黄色溶液を室温で1時間、次いで、95℃で18時間攪拌した。この反応物を真空濃縮した後、DCM(50mL)と飽和NaHCO水溶液(50mL)とで分液した。有機液を飽和NaHCO水溶液(50mL)で洗浄した後、合わせた水溶液をDCM(20mL)で抽出した。合わせた有機液を真空濃縮して粗褐色油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(DCM中[0.5〜4%]MeOHの勾配)および真空濃縮により、標題化合物を淡黄色固体として得た(512mg、37%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 8.42 (1H, d), 8.34 (1H, dd), 7.96 (1H, d), 7.34 (1H, t), 7.29 (1H, d), 7.13 (1H, d), 4.80 (1H, sept), 4.67 (2H, s), 3.68 (2H, t), 3.24 (2H, t), 1.51 (9H, s), 1.48 (6H, d); m/z (ES) 361 [M+H-100]+.
【0079】
調製例5
[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸エチルギ酸塩
【化10】

【0080】
DMF(2mL)中、2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル(実施例3、28.8mg、0.080mmol)、ブロモ酢酸エチル(35.5μl、0.32mmol)およびCsCO(130mg、0.40mmol)の懸濁液を室温で1時間攪拌した後、5分間60℃までマイクロ波照射を行った。この懸濁液をSCXカートリッジに加え、生成物をメタノール性アンモニアで溶出させた。真空濃縮により粗生成物(43mg)を得、これをMDAPにより精製し、標題化合物を透明フィルムとして得た(11.6mg、32%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 8.41 (1H, d), 8.33 (1H, dd), 8.09 (1H, br. s), 8.01 (1H, d), 7.34 (1H, 明白な t), 7.21 (1H, d), 7.12 (1H, d), 4.80 (1H, sept), 4.24 (2H, q), 4.00 (2H, s), 3.52 (2H, s), 3.35 (2H, t), 3.07 (2H, t), 1.48 (6H, d), 1.31 (3H, t); m/z (ES) 447 [M+H]+.
【0081】
調製例6
3−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸メチルギ酸塩
【化11】

【0082】
DMF(2mL)中、2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル(実施例3、28.8mg、0.080mmol)、3−ブロモプロピオン酸メチル(35μl、0.32mmol)およびCsCO(130mg、0.40mmol)の懸濁液を室温で1時間攪拌した後、5分間60℃までマイクロ波照射を行った。3−ブロモプロピオン酸メチル(35μl、0.32mmol)を加え、この懸濁液を室温で3.5時間攪拌した後、30分間150℃が達成されるまで昇温するようマイクロ波照射を行った。この懸濁液を濾過し、真空濃縮した後、MDAPにより精製し、標題化合物を黄色フィルムとして得た(5.9mg、17%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 8.42 (1H, d), 8.33 (1H, dd), 8.21 (1H, br. s), 8.04 (1H, d), 7.35 (1H, t), 7.24 (1H, d), 7.13 (1H, d), 4.80 (1H, sept), 3.99 (2H, s), 3.72 (3H, s), 3.38 (2H, t), 3.12-3.06 (4H, m), 2.78 (2H, t), 1.48 (6H, d); m/z (ES) 447 [M+H]+.
【0083】
調製例7
4−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酪酸エチルギ酸塩
【化12】

【0084】
DMF(2mL)中、2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル(実施例3、28.8mg、0.080mmol)、4−ブロモ酪酸エチル(45.8μl、0.32mmol)およびCsCO(130mg、0.40mmol)の懸濁液を室温で1時間攪拌した後、5分間60℃までマイクロ波照射を行った。4−ブロモ酪酸エチル(45.8μl、0.32mmol)を追加し、懸濁液を室温で3.5時間攪拌した。次にそれを濾過し、真空濃縮し、MDAPにより精製し、標題化合物を黄色フィルムとして得た(8.0mg、21%)。NMR (400 MHz, CDCl3) d 8.42 (1H, d), 8.34 (1H, dd), 8.27 (br. s), 8.09 (1H, d), 7.39 (1H, t), 7.27 (1H, d), 7.13 (1H, d), 4.80 (1H, sept), 4.19 (2H, s), 4.13 (2H, q), 3.47 (2H, t), 3.28 (2H, t), 2.99 (2H, t), 2.44 (2H, t), 2.10 (2H, 5つ), 1.48 (6H, d), 1.25 (3H, t); m/z (ES) 475 [M+H]+.
【0085】
調製例8
3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]ベンゾイルクロリド
【化13】

【0086】
丸底フラスコに3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]安息香酸(Paragos Product Listから入手可能、10.2g、47.5mmol)、ジクロロメタン(158ml)および塩化オキサリル(8.29ml、95mmol)を仕込んだ。この反応混合物を氷/水浴中で0℃に冷却した後、N,N−ジメチルホルムアミド(0.158ml)を加えた。この溶液を一晩周囲温度まで温めた。溶媒を蒸発させ、標題化合物をクリーム色の固体として得た(11.4g)。1H NMR (CHLOROFORM-d) d: 8.14 (d, 1H), 8.00 (dd, 2.5 Hz, 1H), 6.98 (d, 1H), 4.73 (spt, 1H), 1.44 (d, 6H)
【0087】
調製例9
2−メチル−1−(メチルオキシ)−3−[(E)−2−ニトロエテニル]ベンゼン
【化14】

【0088】
ニトロメタン(400ml)中、2−メチル−3−(メチルオキシ)ベンズアルデヒド(Allichem Product Listから入手可能;20g;133mmol)の溶液に、酢酸アンモニウム(6.16g;80mmol)を加え、得られた橙色の混合物を100℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却し、真空濃縮した。残渣を酢酸エチル(×2)とブラインとで分液し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空濃縮した。ジクロロメタン/エーテルで摩砕し、標題化合物を黄色固体として得た(6.6g)。1H NMR (CDCl3) d: 8.35 (d, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.22 (t, 1H), 7.11 (d, 1H), 6.96 (d, 1H), 3.86 (s, 3H), 2.33 (s, 3H)
【0089】
母液を蒸発させた後、ジエチルエーテルで摩砕することによりさらなる生成物(7.22g)が得られた。この母液を再び蒸発させ、残渣を、シクロヘキサン中5〜10%の酢酸エチルで溶出するクロマトグラフィーにより精製し、エーテルで摩砕した後にさらなる生成物を得た(3.45g)。
【0090】
調製例10
{2−[2−メチル−3−(メチルオキシ)フェニル]エチル}アミン
【化15】

【0091】
室温で、水素化ホウ素リチウム(THF中2M;2.0ml;4.0mmol)(曇り)に0.5分かけてクロロトリメチルシラン(1.02ml;8.00mmol)を滴下した。沈殿が形成され、およそ3分間後に、THF(4ml)中、2−メチル−1−(メチルオキシ)−3−[(E)−2−ニトロエテニル]ベンゼン(調製例9、193mg;1.0mmol)を、温度をおよそ25℃に維持しながら(水冷浴を使用)、シリンジを介して5分かけて滴下した。この溶液を室温で一晩攪拌した。この混合物を氷浴で冷却し、メタノールをゆっくり加え、溶媒を真空下で除去した。残渣を25%水酸化ナトリウム水溶液とジクロロメタンとで分液した。水相を分離し、ジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機層を蒸発させた。残渣を、メタノール、次いで、メタノール中2Nのアンモニアで溶出する固相抽出(SCXカラム)により精製し、その後、アンモニア含有画分を蒸発させ、標題化合物(80mg)を得た。1H NMR (CDCl3) d: 7.10 (t, 1H), 6.78 (d, 1H), 6.73 (d, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.91 (t, 2H), 2.77 (t, 2H), 2.18 (s, 3H), 1.76 (br. s., 2H)
【0092】
調製例11
{2−[2−メチル−3−(メチルオキシ)フェニル]エチル}ホルムアミド
【化16】

【0093】
{2−[2−メチル−3−(メチルオキシ)フェニル]エチル}アミン(調製例10;1.75g;10.6mmol)を還流下でギ酸エチル(97%;15ml)とともに15時間加熱した。溶媒を除去して粗生成物(およそ2g)を得、これを、シクロヘキサン中13〜63%の酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製し、標題化合を得た(1.57g)。MS m/z 194 [MH+]
【0094】
調製例12
5−メチル−6−(メチルオキシ)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルバルデヒド
【化17】

【0095】
ギ酸(20ml)中、{2−[2−メチル−3−(メチルオキシ)フェニル]エチル}ホルムアミド(調製例11;1.93g;10.0mmol)の溶液に、パラホルムアルデヒド(0.315g;10.5mmol)を加え、得られた混合物を還流下(100℃)で20分間加熱した。この混合物を氷冷水で室温まですばやく冷却し、溶媒を除去した。ジクロロメタン中メタノールの勾配で溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を白色固体として得(1.64g)、これをそれ以上精製せずに用いた。MS m/z 206 [MH+]
【0096】
調製例13
5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−イソキノリノール
【化18】

【0097】
窒素下、0℃で、ジクロロメタン(25ml)中、5−メチル−6−(メチルオキシ)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルバルデヒド(調製例12;1.49g;7.26mmol)の溶液に、三臭化ホウ素(9.09g;36.3mmol)をゆっくり加えた。0℃で85分後、メタノール(25ml)をゆっくり加え、得られた混合物を室温で3日間放置した。溶媒を除去し、メタノール/ジクロロメタンで摩砕し、白色固体残渣を得;この母液を濃縮し、残渣をSCX固相抽出カートリッジ(20g)に適用し、メタノール、次いで、メタノール中2Nのアンモニアで溶出し、生成物を溶出させた。溶媒を蒸発させた後に、標題化合物(780mg)を淡黄色固体として得た。1H NMR (DMSO-d6) d: 8.91 (br. s., 1H), 6.62 (d, 1H), 6.56 (d, 1H), 3.70 (s, 2H), 2.92 (t, 2H), 2.48 (t, 2H), 1.96 (s, 3H)
【0098】
調製例14
6−ヒドロキシ−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化19】

【0099】
0℃で、ジクロロメタン(5ml)中、5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−イソキノリノール(調製例13;163mg;1.0mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(0.21ml;1.50mmol)、次いで、ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカーボネート(240mg;1.10mmol)を加えた。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルとブラインとで分液した。水層を酢酸エチルでさらに抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、蒸発させて黄色油状物を得た。シクロヘキサン中5〜25%の酢酸エチルの勾配で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を白色泡沫として得た(232mg)。MS m/z 262 [M-H]
【0100】
調製例15
5−メチル−6−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化20】

【0101】
窒素下、−30℃で、ジクロロメタン(5ml)中、6−ヒドロキシ−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例14;263mg;1.00mmol)の溶液に、ピリジン(0.162ml;2.00mmol)を加え、次いで、無水トリフルオロメタンスルホン酸(0.186ml;1.10mmol)をゆっくり加えた。−30℃〜−20℃の間で0.5時間後に溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルに溶かした。この溶液を1N塩酸、次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空濃縮し、標題化合物を淡黄色の油状物として得た(368mg)。MS m/z 394 [M-H]
【0102】
調製例16
6−シアノ−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化21】

【0103】
DMF(4ml)中、5−メチル−6−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例15;395mg;1.00mmol)の溶液を、15分間攪拌しながら、高真空下で脱気した後、窒素下でシアン化亜鉛(153mg;1.30mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(116mg;0.10mmol)を加えた。得られた深黄色混合物を100℃で6時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルに溶解させ、溶液を飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。水層を酢酸エチルでさらに抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて粗生成物を得た。シクロヘキサン中5〜25%の酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(214mg)を白色固体として得た。1H NMR (CDCl3) d: 7.44 (d, 1H), 7.04 (d, 1H), 4.60 (s, 2H), 3.69 (t, 2H), 2.75 (t, 2H), 2.46 (s, 3H), 1.49 (s, 9H)
【0104】
調製例17
6−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化22】

【0105】
6−シアノ−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例16;404mg;1.48mmol)をエタノール(10ml)中、塩酸ヒドロキシルアミン(619mg;8.90mmol)および重炭酸ナトリウム(748mg;8.9mmol)とともに80℃で一晩攪拌した。重炭酸ナトリウム(400mg)および塩酸ヒドロキシルアミン(300mg)を追加し、およそ8時間加熱を続けた。この混合物を室温まで冷却し、生じた固体を取り出し、エタノールで洗浄し、高真空下で乾燥させ、標題化合物を白色固体として得た(431mg)。1H NMR (DMSO-d6) d: 7.06 (d, 1H), 6.99 (d, 1H), 4.48 (br. s., 2H), 3.58 (t, 2H), 2.67 (t, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.42 (s, 9H) (交換可能なものは示していない;明瞭には観察されなかった)
【0106】
調製例18
6−[{[({3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}カルボニル)オキシ]アミノ}(イミノ)メチル]−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化23】

【0107】
ジクロロメタン(10ml)中、6−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例17;435mg;1.42mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.30ml;2.14mmol)、次いで、ジクロロメタン(5ml)中、3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]ベンゾイルクロリド(調製例8;365mg;1.57mmol)を加えた。30分後、この反応物を濃縮し、残渣を酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウムとで分液した。水層を酢酸エチルでさらに抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空濃縮した。シクロヘキサン中、10〜50%の酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を白色泡沫として得た(413mg)。MS m/z 500 [M-H]
【0108】
調製例19
6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化24】

【0109】
1,4−ジオキサン(15ml)中、6−[{[({3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}カルボニル)オキシ]アミノ}(イミノ)メチル]−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例18;413mg;0.823mmol)の溶液に、110℃でおよそ18時間攪拌した。この混合物を室温まで冷却し、溶媒を除去した。シクロヘキサン中5〜25%の酢酸エチル、次いで、シクロヘキサン中13〜63%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を白色泡沫として得た(220mg)。1H NMR (CHLOROFORM-d) d: 8.24 (d, 1H), 8.05 (dd, 1H), 7.76 (d, 1H), 7.10 (d, 1H), 7.06 (d, 1H), 4.72 (spt, 1H), 4.63 (s, 2H), 3.71 (t, 2H), 2.84 (t, 2H), 2.52 (s, 3H), 1.51 (s, 9H), 1.45 (d, 6H)
【0110】
調製例20
3−[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸エチル
【化25】

【0111】
アセトニトリル(3ml)中、6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリントリフルオロ酢酸塩(実施例10;90mg;0.18mmol)の懸濁液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU;0.16ml;1.09mmol)を加えた。この溶液にアクリル酸エチル(0.03ml;0.27mmol)を加え、得られた混合物を70℃で0.5時間攪拌した。この混合物を室温まで冷却し、溶媒を除去した。残渣を酢酸エチルとブラインとで分液し、水層を酢酸エチルでさらに抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空濃縮し、標題化合物を得た(90mg)。MS m/z 484 [MH+]
【0112】
調製例21
[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸エチル
【化26】

【0113】
窒素下、室温で、DMF(3ml)中、6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリントリフルオロ酢酸塩(実施例10;90mg;0.18mmol)の懸濁液に、炭酸セシウム(177mg;0.54mmol)、次いで、ブロモ酢酸エチル(0.026ml;0.23mmol)を加えた。35分後、この混合物を酢酸エチルで希釈し、沈殿を除去した。この溶液を水で洗浄し、水層を酢酸エチルでさらに抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空濃縮し、標題化合物を得た(75mg)。MS m/z 470 [MH+]
【0114】
調製例22
6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化27】

【0115】
ジクロロメタン(15ml)中、3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]安息香酸(AK Scientific Product Catalogから入手可能;800mg、3.90mmol)の溶液に、塩化オキサリル(571mg、4.5mmol)、次いで、DMF(触媒量)を加えた。この反応混合物を45分間攪拌し、塩化オキサリル(0.1ml)およびDMF(1滴)を追加し、20分間攪拌を続けた。溶媒を蒸発させ、残渣をトルエンとともに共蒸発させた後、高真空下で30分間乾燥させた。この粗酸塩化物をアセトニトリル(10ml)に溶解させ、アセトニトリル(15ml)中、6−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例17;916mg、3.00mmol)およびトリエチルアミン(607mg、6.00mmol)の懸濁液に加えた。この反応混合物を室温で40分間攪拌した後、還流下で24時間加熱した。この反応混合物を冷却し、溶媒を蒸発させた。残渣を酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウム溶液とで分液した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて粗生成物を得た(1.3g)。この残渣を、シクロヘキサン中8〜38%の酢酸エチルで溶出するクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を得た(486mg)。1H NMR (CHLOROFORM-d) d: 8.42 (d, 1H), 8.33 (dd, 1H), 7.76 (d, 1H), 7.12 (d, 1H), 7.11 (d, 1H), 4.80 (spt, 1H), 4.64 (s, 2H), 3.72 (t, 2H), 2.84 (t, 2H), 2.52 (s, 3H), 1.51 (s, 9H), 1.48 (d, 6H)
【0116】
調製例23
[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸エチル
【化28】

【0117】
乾燥DMF(3ml)中、2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリルトリフルオロ酢酸塩(実施例11;100mg、0.20mmol)、ブロモ酢酸エチル(44mg、30μl、0.26mmol)および炭酸セシウム(200mg、0.61mmol)の混合物を室温で1時間攪拌した。この反応混合物を水(10ml)で希釈し、酢酸エチル(3×5ml)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ、蒸発させた。シクロヘキサン中10%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を無色の油状物として得た(85mg)。MS m/z 461 [MH]+.
【0118】
調製例24
3−[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸エチル
【化29】

【0119】
アセトニトリル(3ml)中、2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリルトリフルオロ酢酸塩(実施例11;100mg、0.20mmol)、アクリル酸エチル(31mg、33μl、0.31mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU;187mg、185μl、1.23mmol)の混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル(10ml)に溶解させ、この溶液を水(5ml)で洗浄し、乾燥させ、蒸発させた。この残渣を、シクロヘキサン中10%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を無色の油状物として得た(86mg)。MS m/z 475 [MH]+.
【0120】
実施例1
5−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩
【化30】

【0121】
5−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例3)(2.57g、5.47mmol)を1,4−ジオキサン中4MのHCl(100mL)中で攪拌した。1時間後、反応物は曇りを生じ、さらに16時間攪拌を続けた。蒸発させ、5−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩(2.23g、5.49mmol、収率100%)を得た。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) d 9.43 (2H, s), 8.19 (1H, s), 8.11 (1H dd), 8.03-8.00 (1H, m), 7.51-7.45 (3H, m), 4.89 (1H, sept.), 4.38 (2H, s), 3.43 (2H, t), 3.35-3.32 (2H, m), 1.37 (6H, d); m/z (API-ES) 370, 372 [M+H]+.
【0122】
実施例2
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル塩酸塩
【化31】

【0123】
5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例4;53.7mg、0.117mmol)およびジオキサン中4MのHCl(2ml)の混合物を室温で64時間攪拌した。この混合物を真空濃縮し、残渣をEtOで摩砕し、真空乾燥させると、薄褐色固体が残った(35.1mg、76%)。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) d 9.52 (2H, br. s), 8.52 (1H, d), 8.40 (1H, dd), 8.02 (1H, dd), 7.57, (1H, d), 7.51-7.48 (2H, m), 4.99 (1H, sept.), 4.38 (2H, s), 3.39-3.34 (4H, m), 1.39 (6H, d); m/z (ES) 361 [M+H]+.
【0124】
実施例3
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル
【化32】

【0125】
5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例4、512mg、1.11mmol)およびジオキサン中4MのHCl(20ml)の混合物を室温で18時間攪拌した。この混合物を真空濃縮して淡黄色固体を得、これをMeOHに再溶解させた。この溶液をSCX−3カートリッジ(10g)に適用し、生成物をMeOH中1%のNHで溶出させた。濃縮して黄色油状物を得、これは一晩放置すると固体となった(366mg、91%)。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) d 8.38 (1H, d), 8.32 (1H, dd), 7.94 (1H, d), 7.32-7.17 (2H, m), 7.13 (1H, m), 4.80 (1H, sept), 4.10 (2H, s), 3.20-3.14 (4H, m), 1.48 (6H, d); m/z (ES) 361 [M+H]+.
【0126】
実施例4
[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸塩酸塩
【化33】

【0127】
THF−MeOH−水(300μl、300μl、200μL)中、[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸エチルギ酸塩(調製例5、11.6mg、0.026mmol)およびLiOH(0.3mg)の溶液に3分間100℃までマイクロ波照射を行った。2M HCl水溶液(1mL)を加えた後、この溶液をDCM(2×2mL)で抽出した。合わせた有機液を真空濃縮し、標題化合物を白色固体として得た(10.1mg、85%)。1H NMR (400 MHz, d4-MeOH) d 8.48 (1H, d), 8.44 (1H, dd), 8.21 (1H, d), 7.44 (1H, t), 7.47 (2H, apparent d), 4.97 (1H, sept), 4.70 (2H, s), 4.32 (2H, s), 3.67 (2H, t), 3.57 (2H, t), 1.47 (6H, d); m/z (ES) 419 [M+H]+.
【0128】
実施例5
3−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸塩酸塩
【化34】

【0129】
THF−MeOH−水(300μl、300μl、100μl)中、3−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸メチルギ酸塩(調製例6、5.9mg、0.0132mmol)およびLiOH(0.15mg)の溶液に3分間100℃までマイクロ波照射を行った。2M HCl水溶液(1ml)およびDCM(2ml)を順次加えると沈殿が生じた。濾過のより、標題化合物を白色固体として得た(6.5mg、定量的)。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) d 12.71 (1H, br s), 11.41 (1H, br s), 8.53 (1H, d), 8.41 (1H, dd), 8.05 (1H, d), 7.57 (1H, d), 7.53 (1H, t), 7.46 (1H, d), 4.99 (1H, sept), 4.53 (2H, br s), 3.46-3.43 (4H, m), 3.65 (2H, br s), 2.98 (2H, t), 1.39 (6H, d); m/z (ES) 433 [M+H]+.
【0130】
実施例6
4−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酪酸塩酸塩
【化35】

【0131】
標題化合物は、[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸エチルを4−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酪酸エチルギ酸塩(調製例7、8.0mg)に置き換え、実施例4と同様にして製造した。標題化合物は白色固体として得られた(10.1mg)。1H NMR (400 MHz, d4-MeOH) d 8.36 (1H, d), 8.33 (1H, dd), 8.23 (1H, d), 7.43 (1H, t), 7.37 (1H, d), 7.35 (1H, d), 4.85 (1H, sept), 4.52 (2H, br s), 3.63-3.54 (4H, br. m), 3.30 (2H, apparent dd), 2.43 (2H, t), 2.06 (2H, quin), 1.36 (6H, d); m/z (ES) 447 [M+H]+.
【0132】
実施例7
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル
【化36】

【0133】
DCM(5mL)中、2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル(実施例3、25.0mg、0.069mmol)およびホルムアルデヒド(HO中37%w/v、8.0μL、0.10mmol)の溶液に、NaBH(OAc)(29mg、0.14mmol)を加え、得られた溶液を室温で20分間攪拌した。ブライン(5mL)を加え、この水溶液をDCM(5mL)で抽出した。合わせた有機液を真空濃縮し、白色固体を得た。この固体をDMSO−MeOHに再溶解させ、SCXカートリッジに加え、MeOHで洗浄した。生成物をMeOH中NHで溶出させ、真空濃縮し、白色固体を得た(20.1mg、78%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 8.41 (1H, d), 8.32 (1H, dd), 7.98 (1H, d), 7.29 (1H, t), 7.20 (1H, d), 7.12 (1H, d), 4.79 (1H, sept), 3.67 (2H, s), 3.30 (2H, t), 2.75 (2H, t), 2.49 (3H, s), 1.47 (6H, d).
【0134】
実施例8
3−[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸
【化37】

【0135】
室温で、エタノール(2ml)およびTHF(2ml)中、3−[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸エチル(調製例20;90mg;0.186mmol)の溶液に、2N水酸化ナトリウム(0.186ml;0.372mmol)を加え、得られた混合物を室温でおよそ2.5時間攪拌した。大部分の溶媒を除去し、およそ1mlの水で希釈した後、酢酸(およそ300μl)を加えると沈殿が得られた。この混合物をジクロロメタンで抽出し、溶媒を除去し、ジエチルエーテルで摩砕した後に標題化合物を白色固体として得た(40mg)。
1H NMR (DMSO-d6) d: 8.15 (d, 1H), 8.09 (dd, 1H), 7.64 (d, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.09 (d, 1H), 4.88 (spt, 1H), 3.64 (s, 2H), 2.76 (br. s., 4H), 2.72 (t, 2H), 2.44 (t, 2H), 2.41 (s, 3H), 1.36 (d, 6H)
MS m/z 456 [MH+]
【0136】
実施例9
[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸
【化38】

【0137】
室温で、エタノール(2ml)およびTHF(2ml)中、[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−yl)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸エチル(調製例21;75mg;0.16mmol)の溶液に、2N水酸化ナトリウムを加え、得られた混合物を室温で40分間攪拌した。溶媒を除去し、残渣を水(およそ1ml)に溶解させた。酢酸(1ml)を加え、総ての溶媒を除去し、残渣をトルエンとともに共蒸発させ、淡黄色固体を得た。この固体をジエチルエーテルで摩砕して標題化合物を得、これを淡黄色固体として濾別した(50mg)。
MS m/z 442 [MH+]
1H NMR (DMSO-d6) d: 8.16 (br. s., 1H), 8.10 (d, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.44 (d, 1H), 7.05 (d, 1H), 4.88 (spt, 1H), 3.70 (br. s., 2H), 2.91 (br. s., 2H), 2.77 (br. s., 4H), 2.42 (br. s., 3H), 1.36 (d, 6H).
【0138】
実施例10
6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリントリフルオロ酢酸塩
【化39】

【0139】
0℃で、ジクロロメタン(3ml)中、6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例19;210mg;0.434mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(3ml)を滴下した。得られた混合物を0℃で1時間攪拌し、淡黄色の溶液を得た。溶媒を除去し、トルエンとともに共蒸発させて白色固体を得、これをジエチルエーテルで摩砕し、標題化合物を白色固体として得た(206mg)。
1H NMR (DMSO-d6) d: 9.08 (br. s., 2H), 8.17 (d, 1H), 8.10 (dd, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.28 (d, 1H), 4.84 - 4.94 (m, 1H), 4.38 (br. s., 2H), 3.45 - 3.52 (m, 2H), 2.98 (t, 2H), 2.46 (s, 3H), 1.36 (d, 6H)
MS m/z 384 [MH+]
【0140】
実施例11
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリルトリフルオロ酢酸塩
【化40】

【0141】
ジクロロメタン(3ml)中、6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(調製例22;486mg、1.02mmol)の氷冷溶液に、トリフルオロ酢酸(3ml)を加えた。この反応混合物を0℃で30分間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をトルエンから共蒸発させた(×2)。この残渣をジエチルエーテルで摩砕し、標題化合物を無色の固体として得、これを濾別し、乾燥させた(485mg)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) d: 1.48 (6H, d), 2.54 (3H, s), 3.09 (2H, m), 3.5 (2H, 残留溶媒により隠されていた), 4.36 (2H, s), 4.80 (1H, m), 7.08-7.15 (2H, m), 7.85 (1H, d), 8.33 (1H, d), 8.42 (1H, s), 10.20 (2H, br s). MS m/z 375 [MH]+.
【0142】
実施例12
[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸
【化41】

【0143】
エタノール(2ml)中、[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸エチル(調製例23;80mg、0.17mmol)の懸濁液に、2M水酸化ナトリウム(2ml)を加えた。この反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水(5ml)で希釈した。この溶液を酢酸で酸性化し、酢酸エチル(3×5ml)で抽出した。水相を蒸発させ、残渣をMDAPにより精製し、標題化合物を無色の固体として得た(7mg)。1H NMR (400 MHz, d4MeOH) d: 1.46 (6H, d), 2.55 (3H, s), 3.19 (2H, t), 3.35 (2H, s), 3.67 (2H, t), 3.78 (2H, s), 4.53 (2H, s), 4.95 (1H, m) (水ピークにより一部隠されていた), 7.20 (1H, d), 7.54 (1H, d), 7.85 (1H, d), 8.50-8.60 (2H, m). MS m/z 433 [MH]+.
【0144】
実施例13
3−[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸ナトリウム塩
【化42】

【0145】
60℃で、エタノール(2ml)中、3−[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸エチル(調製例24;80mg、0.17mmol)の溶液に、2M水酸化ナトリウム(2ml)を加えた。この反応混合物を60℃で2時間攪拌し、室温まで冷却し、水(2ml)で希釈した。この固体を濾別し、少量の水で洗浄し、乾燥させ、標題化合物を無色の固体として得た(55mg)。1H NMR (400 MHz, d6DMSO) d: 1.39 (6H, d), 2.08 (2H, t), 2.44 (3H, s), 2.59-2.78 (6H, m), 3.56 (2H, s), 4.98 (1H, m), 7.09 (1H, d), 7.55 (1H, d), 7.65 (1H, d), 8.40 (1H, dd), 8.50 (1H, s). MS m/z 447 [MH]+.
【0146】
S1P1 GTPγSアッセイのための膜調製物
膜調製物に関しては、総ての工程を4℃で行った。ヒトS1P1受容体を安定発現するラット肝細胞腫細胞またはヒトS1P3受容体を安定発現するラット好塩基球性白血病細胞(RBL)を集密度80%まで増殖させた後、10mlリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に採取し、1200rpmで5分間遠心分離した。上清を除去した後、ペレットを再懸濁させ、細胞をガラスワーリングブレンダー内、200mlのバッファー(50mM HEPES、1mMロイペプチン、25μg/mlバシトラシン、1mM EDTA、1mM PMSF、2μMペプスタチンA)中、15秒2バーストでホモジナイズした。最初のバースト後に5分間と最後のバースト後に10〜40分間、ブレンダーを氷中に差し込んで消泡した。その後、この材料を500gで20分間回転させ、上清を48,000gで36分間回転させた。このペレットを、PMSFとペプスタチンAを含まないこと以外は上記と同じバッファーに再懸濁させた。次に、この材料を0.6mmのニードルに通して必要な容量とし(通常、元の細胞ペレットの容量の4倍)、アリコートに分けて−80℃で冷凍保存した。
【0147】
S1P1 GTPγSアッセイのためのもう1つの膜調製物
総ての工程を4℃で行った。細胞をガラスワーリングブレンダー内、200mlのバッファー(50mM HEPES、1mMロイペプチン、25μg/mlバシトラシン、1mM EDTA、1mM PMSF、2μMペプスタチンA)中、15秒2バーストでホモジナイズした。最初のバースト後に5分間と最後のバースト後に10〜40分間、ブレンダーを氷中に差し込んで消泡した。その後、この材料を500gで20分間回転させ、上清を48,000gで36分間回転させた。このペレットを、PMSFとペプスタチンAを含まないこと以外は上記と同じバッファーに再懸濁させた。次に、この材料を0.6mmのニードルに通して必要な容量とし(通常、元の細胞ペレットの容量の4倍)、アリコートに分けて−80℃で冷凍保存した。
【0148】
S1P1 GTPγSアッセイ
ヒトS1P1ラット肝細胞腫膜(1.5μg/ウェル)を、アッセイバッファー(HEPES 20mM、MgCl 10mM、NaCl 100mM、pHはKOH 5Mを用いて7.4に調整、GDP 10μM FAC(最終アッセイ濃度)およびサポニン90μg/ml FACも添加)中、麦芽凝集素(WGA)コーティングシンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズ(0.125mg/ウェル)に接着させた。
【0149】
30分氷上でプレカップリングさせた後、ビーズおよび膜懸濁液を、0.1μlの化合物を含有する白色GreinerポリプロピレンLV384ウェルプレートに分散させた(5μl/ウェル)。その後、アッセイバッファーで構成した5μl/ウェル[35S]−GTPγS(最終放射性リガンド濃度0.5nM)をアゴニストプレートに加えた。次に、最終アッセイカクテル(10.1μl)を1000rpmで5分間遠心分離した後、すぐにViewluxリーダーで読み取った。
【0150】
総ての試験化合物をDMSOに10mMの濃度で溶解させ、100%DMSOで1/4希釈系を用いて調製し、11点用量応答曲線を作製した。これらの希釈液を、総てのアッセイに関してプレート間でDMSO濃度が一定となるように、アッセイプレートに移した。
【0151】
データは総て、各プレートについて高い対照ウェル16と低い対照ウェル16の平均値に対してノーマライズした。その後、4パラメーター曲線の当てはめを行った。
【0152】
S1P1 GTPγSアッセイの別法
発現RH7777膜(1.5μg/ウェル)膜(1.5μg/ウェル)を、23Gニードルを通すことによりホモジナイズした。次に、これらをアッセイバッファー(HEPES 20mM、MgCl 10mM、NaCl 100mM、pHはKOH 5Mを用いて7.4に調整)中、WGAコーティングSPAビーズ(0.125mg/ウェル)に接着させた。GDP 10μM FACおよびサポニン90μg/ml FACも加えた。
【0153】
30分氷上でプレカップリングさせた後、ビーズおよび膜懸濁液を、0.1μlの化合物を含有する白色GreinerポリプロピレンLV384ウェルプレートに分散させた(5μl/ウェル)。その後、アッセイバッファーで構成した5μl/ウェル[35S]−GTPγS(最終放射性リガンド濃度は、Sの場合0.5nM、Sの場合0.3nM)をこれらのプレートに加えた。次に、最終アッセイカクテル(10.1μl)を密閉し、遠心機で回転させた後、すぐにViewlux装置で読み取った。
【0154】
本発明の例示的化合物はpEC50>5を有した。実施例1〜7、8、9、11〜13は>7のpEC50を有した。実施例2、4、6および8は>8のpEC50を有した。
【0155】
S1P3
ラット好塩基球性白血病細胞(RBL−2H3)(1.5μg/ウェル)からのS1P3膜を、アッセイバッファー(HEPES 20mM、MgCl 3mM、NaCl 100mM、pHはKOH 5Mを用いて7.4に調整、GDP 10μM FACおよびサポニン90μg/ml FACも添加)中、WGAコーティングSPAビーズに接着させた(0.125mg/ウェル)。
【0156】
30分氷上でプレカップリングさせた後、ビーズおよび膜懸濁液を、0.1μlの化合物を含有する白色GreinerポリプロピレンLV384ウェルプレートに分散させた(5μl/ウェル)。その後、アッセイバッファーで構成した5μl/ウェル[35S]−GTPγS(最終放射性リガンド濃度0.5nM)をアゴニストプレートに加えた。次に、最終アッセイカクテル(10.1μl)を1000rpmで5分間遠心分離した後、すぐにViewluxリーダーで読み取った。
【0157】
総ての試験化合物をDMSOに10mMの濃度で溶解させ、100%DMSOで1/4希釈系を用いて調製し、11点用量応答曲線を作製した。これらの希釈液を、総てのアッセイに関してプレート間でDMSO濃度が一定となるように、アッセイプレートに移した。
【0158】
データは総て、各プレートについて高い対照ウェル16と低い対照ウェル16の平均値に対してノーマライズした。その後、4パラメーター曲線の当てはめを行った。
【0159】
S1P3 GTPγSアッセイの別法
発現RBL膜(1.5μg/ウェル)を、23Gニードルを通すことによりホモジナイズした。次に、これらをアッセイバッファー(HEPES 20mM、MgCl 10mM、NaCl 100mM、pHはKOH 5Mを用いて7.4に調整)中、WGAコーティングSPAビーズ(0.125mg/ウェル)に接着させた。GDP 10μM FACおよびサポニン90μg/ml FACも加えた。
【0160】
30分氷上でプレカップリングさせた後、ビーズおよび膜懸濁液を、0.1μlの化合物を含有する白色GreinerポリプロピレンLV384ウェルプレートに分散させた(5μl/ウェル)。その後、アッセイバッファーで構成した5μl/ウェル[35S]−GTPγS(最終放射性リガンド濃度は、Sの場合0.5nM、Sの場合0.3nM)をこれらのプレートに加えた。次に、最終アッセイカクテル(10.1μl)を密閉し、遠心機で回転させた後、すぐにViewlux装置で読み取った。
【0161】
このアッセイで供試された例示的化合物はpEC50<6を有し、多くがpEC50<5を有した。実施例1、4、8〜10、12および13はpEC50<5を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aはフェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリール環であり;
は、ハロゲン、C(1−3)アルコキシ、C(1−3)フルオロアルキル、シアノ、C(1−3)フルオロアルコキシ、C(1−6)アルキルおよびC(3−6)シクロアルキルから独立に選択される2個までの置換基であり;
は水素、ハロゲンまたはC(1−4)アルキルであり;
Bは以下:
【化2】

の1つから選択され;
は水素、C(1−3)アルキルまたは(CH1−3COHであり;
は水素またはC(1−3)アルキルであり;
またはRがアルキルである場合、それは酸素が挿入されていてもよい]
の化合物、またはその薬学上許容される塩。
【請求項2】
Aがフェニルであり;
が、クロロ、イソプロポキシおよびシアノから独立に選択される2個までの置換基であり;
が水素またはメチルであり;
Bが(a)であり;
が水素、メチルまたは(CH1−3COHであり;
が水素である、
式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項3】
5−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル、
[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸、
3−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸、
4−[5−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酪酸、
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル、
[8−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル]酢酸、
3−[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸、
[6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸、
6−(5−{3−クロロ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、
2−[(1−メチルエチル)オキシ]−5−[3−(5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−イソキノリニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]ベンゾニトリル、
[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]酢酸、
3−[6−(5−{3−シアノ−4−[(1−メチルエチル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル]プロパン酸、
およびそれらの薬学上許容される塩
から選択される化合物。
【請求項4】
S1P1受容体により媒介される症状または障害の処置のための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項5】
症状または障害が、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症疾患、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡、乾癬、虚血再潅流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成に関連する疾患、血管疾患、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性および非インスリン依存性糖尿病である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
症状が紅斑性狼瘡である、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
S1P1受容体により媒介される症状または障害の処置において使用するための薬剤の製造のための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項8】
症状または障害が、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症疾患、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡、乾癬、虚血再潅流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成に関連する疾患、血管疾患、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性および非インスリン依存性糖尿病である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
症状が紅斑性狼瘡である、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物を含んでなる、医薬組成物。
【請求項11】
S1P1受容体により媒介され得る、ヒトを含む哺乳類における症状または障害の処置方法であって、罹患者に治療上安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含んでなる、方法。
【請求項12】
症状が紅斑性狼瘡である、請求項11に記載の処置方法。

【公表番号】特表2011−506568(P2011−506568A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538740(P2010−538740)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067963
【国際公開番号】WO2009/080724
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】