説明

スプレー可能な創傷処置材料を付与するための構造物

本開示は、修復または接続されるべき組織の性質を増大するための外科用器具、構造物および方法に関する。本開示の1つの局面によれば、標的手術部位に創傷処置材料を送達するための創傷処置材料分散システムを含む外科用ステープル留め装置が提供される。この分散システムは、創傷処置材料を外方方向に分与するよう配向されるアンビルアセンブリ中に形成されるアパーチャ;およびこのアンビルアセンブリのアパーチャと流体連通する創傷処置材料の供給源を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本開示は、2004年10月18日に出願された米国仮出願番号第60/620,102号、および2004年10月18日に出願された米国仮出願番号第60/620,150号に対する利益および優先権を主張し、それらの各々の全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、外科用ステープルによって修復または接続される組織の性質を増大するための外科用器具および方法、そしてより詳細には、生体適合性創傷処置材料を付与するような形態の外科用ステープル留め装置および構造物に関する。
【0003】
(関連技術の論議)
多年に亘り、医療分野では、身体組織を一緒に連結または結合する努力において種々の技法を利用している。歴史的には、縫合が、切断された組織を再接続するため、および創傷を閉鎖するために受容された技法である。縫合は、歴史的には、外科用ニードルおよび縫合糸で、そしてより最近は、以下で論議されるような種々のポリマーまたは金属ステープルで達成される。縫合糸の意図される機能は、治癒プロセスの間に、不快、痛み、瘢痕および治癒のために必要な時間を減少するために、創傷または組織のエッジを互いに対して保持することである。
【0004】
最近、過去においては要求された従来の縫合における多くの手順が、外科用ステープラの使用で創傷および組織のエッジにステープの付与を含むステープル縫合によって置き換えられている。外科用ステープラは、隣接組織を接続するため、隣接組織の止血を提供するため、および隣接組織の切断と組み合わせた止血を提供するために開発されている。このような外科用ステープラは、直線状形態および環状形態の両方を含む。代表的な直線状ステープラおよびカッターは、ステープルの平行な列を、このステープルの列の間を辿るような切断手段のためのスロットとともに含む。
【0005】
代表的な直線状タイプのステープラは、本出願人に譲渡されたMcKeanらによる特許文献1、Mastriらによる特許文献2、およびRobertsonらによる特許文献3に開示され、これらの各々の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。代表的には2つである、ステープルの複数の環状列、およびこのステープルの列の内部に配置される環状ブレードを含む、代表的な環状ステープラおよびカッターは、本出願人に譲渡されたRobertsonらによる特許文献4およびViolaらによる特許文献5に開示され、これらの各々の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0006】
これらタイプの外科用ステープラは、改良された切断のために隣接する身体組織を切断し、組織の層を互いに結合し、そして、周辺組織に、ステープルの平行または環状の列を、この平行または環状の列の間を切断する切断手段として付与することにより止血を提供する。従って、外科医がこれらの仕事を同時に実施することを可能にすることにより、外科用ステープラは、組織を一緒に固定するために要する時間長さを減少することで有効である。ステープラが高度に血管新生化された組織で用いられる事例で接続および止血をなおさらに増大するために、ステープルの複数の列を備えた外科用ステープラが高い程度の成功とともに用いられている。
【0007】
その他の外科的手順は、ガーゼ、バットレスまたはその他のタイプの補強材料および織物を利用する。これらのバットレスは、代表的には、アンビルの組織接触面および/または外科用ステープル留め器具のカートリッジの組織接触面上に配置され、そしてこの外科用ステープル留め器具の発射の間に標的組織に対して固定される。外科用ステープル留め器具と協働するバットレスの使用のより詳細な論議のために、特許文献6への参照がなされ得、この全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0008】
なおその他の外科用手順は、外科的ステープル留め手順の後、標的手術部位の外面に接着剤材料および/またはシーラント材料を(例えば、スプレー、ブラッシングなどにより)付与する工程を含む。
【0009】
開発された別の手順は、生物学的組織接着剤の使用を含み、組織修復および吻合の生成のために最近開発された。一般に、生物学的接着剤は、分離された組織を一緒に結合し、治癒プロセスを支援し、そして組織強度を増加する。このような接着剤は、例えば、組織の修復または吻合の生成のための外科的手順において、縫合およびステープル留めの代わりに用いられ得る。
【0010】
適切な生体適合性接着剤の付与は、例えば、ニードルおよび/またはステープルによる組織の貫通を避けること、ならびに処置されている組織の即座のシーリングのような、患者および外科医に多くの利点を提供する。さらに、生体適合性接着剤の使用は、異物反応および瘢痕を最小にする傾向がある。これらの利点にかかわらず、しかし、組織縫い目に沿った弱さが、生体適合性接着剤の使用における主要な欠点として残っている。
【特許文献1】米国特許第6,045,560号明細書
【特許文献2】米国特許第6,032,849号明細書
【特許文献3】米国特許第5,964,394号明細書
【特許文献4】米国特許第5,799,857号明細書
【特許文献5】米国特許第5,915,616号明細書
【特許文献6】米国特許第5,542,594号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、患者によって経験される外傷を減少し、個々のステープル部位の間またはそこでのギャップの数を減少し、流体の漏れを減少し、出血を減少し、そして/または隣接する身体組織間で、例えば、ステープルラインおよび組織縫い目に沿って、相対的に強力な結合を生成する、外科用ステープラ器具、例えば、外科用ファスナーまたはステープラに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要約)
本開示は、修復または接続されるべき組織の性質を増大するための外科用器具、構造物および方法に関する。
【0013】
本開示の1つの局面によれば、外科用ステープル留め装置が提供され、本体部分;この本体部分の近位端で作動可能に支持される作動アセンブリ;上記本体部分の遠位端に作動可能に配置され、そして上記本体部分からステープルの環状アレイを発射するために上記作動アセンブリに作動可能に連結されているステープルプッシャー部材;このステープルプッシャー部材に向かうか、またはそれから離れる移動のための、上記本体部分の遠位端で移動可能に取り付けられたアンビルアセンブリ;上記本体部分と上記アンビルアセンブリとの間に、アンビルを環状の本体部分に向かうか、またはそれから離れて移動するために延びる接近アセブリ;および創傷処置材料を標的手術部位に送達するための創傷処置材料分散システムを含む。上記分散システムは、創傷処置材料を外方方向に分与するように配向された、上記アンビルアセンブリ中に形成れたアパーチャ;および上記アンビルアセンブリのアパーチャと流体連通している創傷処置材料の供給源を含む。
【0014】
1つの実施形態では、上記分散システムは、上記アンビルアセンブリのアンビル部材上に支持されたノズルを含み得、そして上記アンビルアセンブリ中に形成されたアパーチャはこのノズル中に提供される。上記分散システムは、上記ノズル中に形成されたアパーチャと流体連通している上記アンビルアセンブリのステムを通って延びる管腔を含む。このアンビルアセンブリのステムの管腔は、創傷処置材料の供給源と流体連通し得る。
【0015】
上記外科用ステープル留め装置は、上記外科用ステープル留め装置の発射前、発射の間および発射の後の少なくとも1つで、標的手術部位上に創傷処置材料を分与するような形態であり得、かつ適合されている。
【0016】
本開示の別の実施形態によれば、上記分散システムの創傷処置材料の供給源は、上記アンビルアセンブリのステム内に選択的に位置決め可能であり得るアンプルである。このアンプルは破壊可能な材料から構築されえる。従って、使用の間に、このアンプルの圧縮に際し、創傷処置材料は、上記アンビルアセンブリのアパーチャへの伝達のために上記アンプルから放出され得る。
【0017】
上記分散システムは、上記外科用ステープル留め装置の発射の前、発射の間および発射後の少なくとも1つで、上記アンプルを破裂し、そして創傷処置材料を上記アンビルアセンブリのアパーチャを通って外に、そして上記標的手術部位上に押すために、上記アンビルアセンブリのステム中への挿入のための形態および寸法であるピストンを含む。
【0018】
上記アンプルはそれを通る管腔を規定し、そしてその管腔内にスライド可能に位置決めされるプランジャーを含み得る。上記アンプルの管腔は、このアンプルが上記アンビルアセンブリのステム内に位置決めされるとき、上記アンビルアセンブリのアパーチャと流体連通し得る。上記分散システムは、上記外科用ステープル留め装置の発射の前、発射の間および発射後の少なくとも1つで、上記アンプルの管腔中への挿入のための形態および寸法であり、上記プランジャーと係合し、そしてこのプランジャーを上記アンプルの管腔を通って押し、創傷処置材料を上記アンビルアセンブリのアパーチャを通って外に、そして上記標的手術部位上に分与するピストンを含み得る。
【0019】
1つの実施形態では、上記分散システムは、上記アンビルアセンブリのステム上に支持され、そしてこれを実質的に取り囲む少なくとも1つのドレープを含み得る。このドレープは、このドレープが上記アンビルアセンブリのステムに相対的に緊密に近接する非展開状態と、このドレープが上記アンビルアセンブリのステムに相対的に間隔を置かれる関係にある展開状態を含む。望ましくは、上記分散システムは、上記アンビルアセンブリのアパーチャの遠位方向に位置決めされる第1のドレープと、上記アンビルアセンブリのアパーチャの近位方向に位置決めされる第2のドレープを含む。従って、使用において、上記ドレープが展開可能な状態にあるとき、このドレープは上記創傷処置材料の分与を行う。
【0020】
上記アンビルアセンブリのステムは、上記アンビルアセンブリのアパーチャの近位方向および遠位方向に形成される環状の溝を含み得ることが想定される。上記外科用ステープル留め装置は、上記本体部分の遠位端に退却可能に配置される環状のブレードをさらに備え得る。
【0021】
1つの実施形態では、上記分散システムは、上記アンビルアセンブリのステムの管腔内に支持される複数の管状部材を含む。この管状部材は、上記創傷処置材料の供給源を規定する。この管状部材は、この管状部材が上記ステムの管腔内に配置される非展開状態、およびこの管状部材が上記アンビルアセンブリのステム中に形成される窓から突出する展開状態を有する。従って、使用において、上記管状部材が、上記非展開状態から上記展開状態まで作動されるとき、上記管状部材は、創傷処置材料を分与するために破裂する。
【0022】
本開示の別の局面によれば、外科用ステープル留め装置が提供され、そして本体部分;この本体部分の近位端で作動可能に支持される作動アセンブリ;この本体部分の遠位端に作動可能に配置され、そしてこの本体部分からステープルの環状アレイを発射するために上記作動アセンブリに作動可能に連結されているステープルプッシャー部材;このステープルプッシャー部材に向かうか、またはそれから離れる移動のための、上記本体部分の遠位端に移動可能に取り付けられたアンビルアセンブリ;上記本体部分と上記アンビルアセンブリとの間に、アンビルを環状の本体部分に向かうか、またはそれから離れる移動するために延びる接近アセブリ;および創傷処置材料を標的手術部位に送達するための創傷処置材料分散システムを含む。この分散システムは:上記ステープルプッシャー部材中に提供されるニードル受容スロット中に退却可能に支持される複数のニードルを含み、上記外科用ステープル留め装置が発射されるとき、これらニードルが該標的組織を貫通し、そして創傷処置材料を分与するニードル;および各ニードル受容スロットと関連する創傷処置材料の供給源を含む。
【0023】
1つの実施形態では、上記創傷処置材料の供給源は、各ニードル受容スロット内に配置されたカプセルを含み得る。上記分散システムは、各ニードル受容スロット内に配置されたフィンガーを含み得、上記外科用ステープル留め装置の発射に際し、これらフィンガーが、上記ニードル受容スロットを通って進行され、上記カプセルを破裂し、これらニードルを展開し、そしてこれらニードルを通じて上記創傷処置材料を押す。
【0024】
本開示のさらなる局面によれば、吻合外科用ステープル留め装置と組み合わせる使用のためのスプラッシュガードが提供される。この外科用ステープル留め装置は、望ましくは、標的手術部位に創傷処置材料を送達する形態であり、かつ適合されている。従って、このスプラッシュガードは、上記外科用ステープル留め装置のアンビルアセンブリのステムを受容するために、それを通る管腔を規定する中央ハブ;およびこの中央ハブ上に支持され、そして少なくとも実質的にその周りで延びる環状のカフを備え、ここで、この環状のカフは、上記外科用ステープル留め装置のステープルラインの半径方向の外方に配置される。
【0025】
このスプラッシュガードは、上記環状のカフを上記中央ハブに相互連結する少なくとも1つのスポークをさらに含み得る。少なくとも上記環状のカフおよび上記少なくとも1つのスポークは、生体吸収性材料から製作される。この環状のカフが凹状であり得、そして上部リムおよび下部リムを規定し得、ここで、この上部リムおよび下部リムは、上記標的手術部位の外面と接触するような寸法である。
【0026】
本開示のなお別の実施形態によれば、吻合外科用ステープル留め装置と組み合わせる使用のための創傷処置材料分散システムが提供される。この外科用ステープル留め装置は、ステープルプッシャー部材と対向して支持されるアンビルアセンブリを含み得る。この創傷処置材料分散システムは、外側エッジおよび内側エッジを規定するディスクを含み、このディスクは、それを通って形成される複数のアパーチャ;このディスクの内側エッジに組み込まれて連結される少なくとも1つの環状の内壁、および上記外側エッジに組み込まれて連結される環状の外壁;ならびに上記ディスクの面に配置される創傷処置材料を含む。
【0027】
上記創傷処置材料分散システムの環状の内壁は、上記ステープルプッシャー部材の内方に位置決めするための形態および寸法であり、そして上記創傷処置材料分散システムの環状の外壁は、上記ステープルプッシャー部材の外方に位置決めするための形態および寸法である。望ましくは、上記環状の内壁および上記環状の外壁は、上記ディスクの1つの側面に沿って配置される。
【0028】
本開示のさらなる局面によれば、外科的吻合手順を実施する方法が提供される。このホ法は、本体部分に対して移動可能に取り付けられるアンビルアセンブリ、および創傷処置材料を標的手術部位に分与するための創傷処置材料分散システムを有する外科用ステープル留め装置を提供する工程を含む。この創傷処置材料分散システムは、創傷処置材料を外方方向に分与するように配向されるアンビルアセンブリ中に形成されたアパーチャ;およびこのアンビルアセンブリのアパーチャと流体連通する創傷処置材料の供給源を含む。この方法はさらに、上記アンビルアセンブリを第1の腸セクション中に配置し、そしてこの第1の腸セクションを上記アンビルアセンブリに外科的に固定する工程;上記外科用ステープル留め装置の遠位端を第2の腸セクション中に配置し、そしてこの第2の腸セクションを上記外科用ステープル留め装置の遠位端に外科的に固定する工程;上記アンビルアセンブリを、上記外科用ステープル留め装置の遠位端部分に連結する工程;上記第1の腸セクションと上記第2の腸セクションとの間の内面に沿って創傷処置材料を分与するために上記創傷処置材料分散システムを作動する工程;および上記アンビルアセンブリを管状の上記本体部分に向かって接近する工程を含む。
【0029】
上記損傷処置材料は、上記アンビルアセンブリのアンビル部材およびアンビルステムの少なくとも1つから分与され得る。上記創傷処置材料は、上記アンビルアセンブリのステム中のアンプル内に含まれ得る。従って、上記方法は、上記創傷処置材料を上記アンプルから放出し、そして上記創傷処置材料を上記アンビルアセンブリのアパーチャから分与するために上記外科用ステープル留め装置を発射する工程をさらに含み得る。
【0030】
上記創傷処置材料分散システムは、上記アンビルアセンブリのステム内に配置されたアンプルとの係合のための形態でかつ適合されるピストンを含み得る。従って、上記方法は、上記創傷処置材料を上記アンプルから放出し、そして上記創傷処置材料を上記アンビルアセンブリのアパーチャから分与するために上記ピストンを進行する工程をさらに含む。
【0031】
1つの実施形態において、上記分散システムは、上記アンビルアセンブリのステム上に支持され、そしてこれを実質的に取り囲む少なくとも1つのドレープを含み得る。このドレープは、このドレープが上記アンビルアセンブリのステムに相対的に緊密に近接する非展開状態と、このドレープが上記アンビルアセンブリのステムに相対的に間隔を置かれる関係にある展開状態を含む。従って、上記方法は、創傷処置材料を分与する工程の前に、上記ドレープを展開する工程を含み得る。従って、このドレープが展開可能な状態にあるとき、これらドレープは上記創傷処置材料の分与を行う。
【0032】
上記方法は、上記アンビルアセンブリを上記外科用ステープル留め装置の遠位端部分に連結する工程の前に、上記アンビルアセンブリのステムの上にスプラッシュガードを配置する工程をさらに含み得る。
【0033】
このスプラッシュガードは、上記外科用ステープル留め装置のアンビルアセンブリのステムを受容するために、それを通る管腔を規定する中央ハブ;およびこの中央ハブ上に支持され、そして少なくとも実質的にその周り延びる環状のカフを含み、ここで、この管状のカフは、上記外科用ステープル留め装置のステープルラインの半径方向の外方に配置される。上記スプラッシュガードは、上記環状のカフを上記中央ハブに相互連結する少なくとも1つのスポークをさらに含み得る。少なくとも1つの環状のカフおよび少なくとも1つのスポークは、生体吸収可能な材料から製作されることが想定される。上記環状のカフは凹状であり得、そして上部リムおよび下部リムを規定し得、そして上記スプラッシュガードが、上記アンビルアセンブリのステム上に配置され、かつ上記ンビルアセンブリが上記外科用ステープル留め装置の遠位端部分に向かって接近されるとき、上記管状のカフの上部リムおよび下部リムは、上記第1および第2の腸セクションの外面に接触するような寸法である。
【0034】
本開示のなお別の局面によれば、外科的吻合手順を実施する方法が提供される。この方法は、本体部分に対して移動可能に取り付けられるアンビルアセンブリ、および創傷処置材料を標的手術部位に分与するための創傷処置材料分散システムを有する外科用ステープル留め装置を提供する工程を含む。この創傷処置材料分散システムは、ステープルプッシャー部材中に提供されるニードル受容スロット中に退却可能に支持される複数のニードルを含み、ここで、外科用ステープル留め装置が発射されるとき、標的組織を貫通し、そして創傷処置材料を分与するニードル;および各ニードル受容スロットと関連する創傷処置材料の供給源を含む。上記方法はさらに、アンビルアセンブリを第1の腸セクション中に配置し、そしてこの第1の腸セクションをアンビルアセンブリに外科的に固定する工程;外科用ステープル留め装置の遠位端部分を第2の腸セクション中に配置し、そしてこの第2の腸セクションを上記外科用ステープル留め装置の遠位端に外科的に固定する工程;上記アンビルアセンブリを上記外科用ステープル留め装置の遠位端部分に連結する工程;上記アンビルアセンブリを上記管状の本体部分に向かって接近する工程;および上記複数のニードルを上記第1および第2の腸セクションの少なくとも1つ注入し、そしてこれらニードルを通じて創傷処置材料を分与するために、上記創傷処置材料分散システムを作動する工程を含む。
【0035】
上記創傷処置材料の供給源は、上記ニードルに近傍の位置にある各ニードル受容スロット内に配置されるカプセルを含み得る。上記分散システムは、各ニードル受容スロット中に配置されるフィンガーを含み得る。従って、上記方法は、上記カプセルを破裂するため、上記ニードルを展開するため、そして上記創傷処置材料を上記ニードルを通って進行するために上記外科用ステープル留め装置を発射する工程を含み得る。
【0036】
上記に開示される任意の実施形態において、上記創傷処置材料は、接着剤、シーラント、止血剤、および医薬の少なくとも1つである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(実施形態の詳細な説明)
現在開示される外科用ステープル留め装置の実施形態が、描写する図面を参照して詳細にここで説明され、ここで、同様の参照番号は、類似または同一の要素を識別する。本明細書で用いられるとき、そして伝統的にそうであるように、用語「遠位」は、使用者から最も遠いその部分をいい、その一方、用語「近位」は、使用者により近いその部分をいう。
【0038】
ここで、いくつかの図面を通じて、同様の参照番号が、類似または同一の要素を識別する図面を特定して詳細に参照して、図1は、外科用ステープル留め装置10を示し、これは、本開示に従う、分与可能な創傷処置材料を付与するための構造を採用する。装置10は、少なくとも1つの旋回可能な作動ハンドル部材14を有するハンドルアセンブリ12を含み、そしてさらに進行手段16をさらに含む。進行手段16は、その機能が以下に説明される回転可能なグリップ部材18を含む。
【0039】
ハンドルアセンブリ12から延びて、管状の本体20が提供され、これは、その長さの少なくとも一部分に沿って湾曲した形状を有するように構築され得る。管状の本体部分20はまた、真っ直ぐであり得るか、またはその他の実施形態では、管状の本体部分20は、任意の形態に曲がるように可撓性であり得る。本体部分20は、ステープルプッシャー部材22で終わる。ステープルプッシャー部材22は、ステープル24の環状のアレイを含む。ステープルプッシャー部材22に対向して位置決めされて、連結手段30でステム28によって装置10に連結されるアンビル部材26が提供される。アンビル部材26およびステープルプッシャー部材22は、1992年6月9日に発行され、本出願人に譲渡された米国特許第5,119,983号に開示され、これは、参考として本明細書中に援用される。
【0040】
装置10は、管状の本体部分上に位置決めされるステープルの環状のアレイを有するステープルプッシャー部材を利用し、そしてステープルプッシャー部材に向かい、そしてそれから離れる移動のためにこのステープルプッシャー部材に対向して位置決めされるアンビル部材を有するとして示され、そして説明されているが、勿論、このアンビル部材は、管状の本体部分上に位置決めされ得、そしてステープルプッシャー部材およびステープルのアレイが、このアンビル部材に向かい、そしてそれから離れる移動のために、このアンビル部材に対向して位置決めされ得ることが企図される。このような構築は、本開示の範囲内であると考慮されるべきである。
【0041】
作動において、装置10は、患者の身体中の管状器官内に位置決めされ、そして接続されるべき器官の端部が、ステープルプッシャー部材22とアンビル部材26との間のギャップに、このアンビル部材26が完全に延ばされるように位置決めされる。従来のように、器官のこれら端部は、財布紐(purse string)縫合糸によって、ステープルプッシャー部材22に対するアンビル部材26の接近の前に、アンビル部材26とステープルプッシャー部材22との上に固定され得る。アンビル部材26とステープルプッシャー部材22を財布紐で縫合し、アンビル部材26のステム28は、ステープルプッシャー部材22内に配置された連結部材30に連結される。
【0042】
アンビル部材26をステープルプッシャー部材22に向かって接近するために、グリップ部材18は、内部ロッド部材(図示されず)が近位方向に変位するように回転される。これは、アンビル部材26をステープルプッシャー部材22に隣接する位置に引き、そして、これら2つの部材間に組織の端部を位置する。
【0043】
一旦、適正な距離が、アンビル部材26とステープルプッシャー部材22との間で設定されると、相互ロック手段32が解除され得、そして作動ハンドル14が旋回され得、組織を通り、そしてアンビル部材26に対してステープルを駆動し、管状器官の円形吻合を完成する。外科用ステープル留め装置10の構造および作動のより詳細な説明および論議のために、本明細書中に先に参考として援用された米国特許第5,119,983号への参照がなされ得る。
【0044】
ここで、図2および3を参照して、外科用ステープル留め装置10は、本開示の実施形態に従って、吻合された組織「T」の内面上に創傷処置材料「W」を分与(例えば、スプレー、射出、圧搾、分散など)するような形態である。この分散システムは、アンビル部材26の遠位端に提供される分与ヘッドまたはノズル29、およびアンビル部材26のステム28を通って延び、そして分与ヘッド29中に形成された少なくとも1つの半径方向に配向されたチャネル29a中で終わる管腔31を含む。管腔31は、流体、すなわち、創傷処置材料「W」、生理食塩水などの供給源に流体的に連結される。(図示されず)。アンビル部材26が、外科用ステープル留め装置10の遠位端に連結されるとき、ステム28の管腔31は、連結手段30中に提供される管腔30aに/またはそれと流体による連結される。連結手段30の管腔30aは、アンビル部材26の管腔31を流体の供給源に相互連結することが想定される。
【0045】
使用において、図2および3に見られるように、外科用ステープル留め装置10の発射の後、アンビル部材26は、ステープルプッシャー部材22から、それらの間にクランプ留めされた組織「T」を解放するために間隔を置かれる。アンビル部材26、そして特に分与ヘッド29を、吻合部位「A」の遠位方向に配置して、創傷処置材料「W」は、連結手段30の管腔30aを通り、アンビル部材26の管腔31を通り、そして分与ヘッド29のチャネル29aから半径方向の外方に押される。
【0046】
創傷処置材料「W」は、分与ヘッド29のチャネル29aから分与されているとき、外科用ステープル留め装置10は、分与ヘッド29が吻合部位「A」の近位方向の位置に配置されるまで、矢印「B」(図3)によって示されるように近位方向に引かれる。そのようにする際、創傷処置材料「W」は、吻合部位「A」の遠位方向の位置から、吻合部位「A」の近位方向の位置まで、組織「T」の内面に付与され、それによって、吻合部位「A」中およびその周りの身体管腔の内面を覆う。
【0047】
創傷処置材料「W」の吻合部位「A」への付与は、この吻合の内側管腔をシールすることにより吻合の漏れの発生を減少することを支援し得ることが想定される。創傷処置材料「W」の吻合部位「A」への付与は、組織「T」の吻合された端部を互いに接着することを支援し得ることがさらに想定される。
【0048】
分与ヘッド29からの創傷処置材料「W」の分与の速度は、十分な組織封止を達成し、そして身体管腔を通る材料の流れを妨害しないために、十分な創傷処置材料「W」が、身体管腔の内面に付与されるように選択されることが企図される。
【0049】
創傷処置材料「W」は実質的に非粘性である流体、または創傷処置材料「W」が分与ヘッド29から自由に流れ得るような液体であり得ることが想定される。外科用ステープル留め装置10から分与されるこの創傷処置材料「W」は、吻合部位「A」中およびその周りで身体管腔の腔をすぐに半径方向に充填するよう膨張し、それによって、創傷処置材料「W」でその内面を完全に覆い、そしてそれは、身体管腔の通路を再開するための時間の期間の後に崩壊するような発泡体の形態であり得る。
【0050】
ここで、図4〜8を参照して、本開示の代替の実施形態による創傷処置材料分散システムが示され、そして説明される。図4〜8の分散システムは、外科用ステープル留め装置10の連結手段30に連結可能であるアンビル部材126を含む。
【0051】
図4〜6に見られるように、アンビル部材126は、開放近位端128aおよびその側面中に形成された少なくとも1つのポート128bを有する中空の管状ステム128、ステム128の遠位端に作動可能に連結されたアンビルヘッド130、ステム128内に選択的に位置決め可能なアンプル132、およびステム128内にアンプル132を維持するためにステム128の近位端128aに作動可能に連結可能な先端部またはキャップ134を含む。
【0052】
アンプル132は、例えば、ガラス、金属、ポリマーなどのような壊れ易いか、または破壊可能な材料から作製され、そしてその中に所定量の創傷処置材料「W」を保持するような形態である。以下により詳細に説明されるように、アンプル132中に保持された、この創傷処置材料「W」は、アンプル132の破裂または破壊に際し、それから分与される。特に、以下により詳細に論議されるように、ステム128内にアンプル132を位置決めして、アンプル132は、アンプル132を長軸方向に圧縮することにより破裂され得る。そのようにすることで、アンプル132中に保持されたこの創傷処置材料「W」は、ステム128中に分与され、ここで、この圧縮の力は、創傷処置材料「W」を少なくとも1つのポート128bを通って外にさらに押す。
【0053】
ここで、図7および8を参照して、外科用ステープル留め装置10と組み合わせて、図4〜6の創傷処置材料分散システムの使用が示され、そして説明される。特に、ステム128内にアンプル132を配置し、そしてキャップ134(図4および5を参照のこと)をステム128の近位端128aに固定して、アンビル部材126は、吻合の1つの側面中に導入される。組織「T」はステム128に、財布紐縫合糸が少なくとも1つのポート128bの遠位方向に位置されるように財布紐縫合される。
【0054】
図7に見られるように、アンビル部材126を吻合の一方の側に導入して、キャップ134が外され、そしてアンビル部材126のステム128が連結手段30に作動可能に連結される。連結手段30は、ステム128の近位端128aにスライド可能に侵入し、そしてアンプル132を係合するような形態の遠位端を有するピストンまたはプランジャー33を含む。アンビル部材126を外科用ステープル留め装置10の遠位端に連結して、外科的手順が上記に記載のように継続される。
【0055】
本発明の手順では、図8に見られるように、作動ハンドル14が握られて外科用ステープル留め装置10を発射するとき、ピストン33は、矢印「C」の方向に進められ、それによって、ステム128内のアンプル132を圧縮し、そしてアンプル132を破裂させ、そしてその中に保持される創傷処置材料「W」を放出する。アンプル132を破裂して、ハンドル14を継続して握ることは、ステム128を通ってピストン33を継続して進行し、そしてこの創傷処置材料「W」を、ポート128bを通ってステム128の外に圧搾する。この創傷処置材料は、それ故、吻合部位「A」上に分与される。
【0056】
望ましくは、ピストン33のストロークおよび/または遠位方向進行は、ピストン33がアンプル132を破裂し、そしてこの創傷処置材料「W」を、外科用ステープルの発射の前、またはそれと同時いずれかで分与する。
【0057】
ここで、図9〜11を参照して、本開示のなお別の実施形態による創傷処置材料分散システムが示され、そして説明される。図9〜11の分散システムは、図4〜8の分散システムと実質的に類似しており、そしてそれ故、構築および作動における差異を識別するために必要な程度まで詳細に論議されるに過ぎない。
【0058】
図9〜12に見られるように、アンプル132は、それから軸方向に延びるナブ135を有し、そして本体部分134およびナブ135の各々を通る管腔134aを規定する本体部分134を含む。ナブ135は、本体部分134より小さな断面寸法を有し、そしてショルダー135aを規定する。アンプル132は、管腔134a内にスライド可能に配置されるプランジャー136をさらに含む。プランジャー136は、本体部分134の内面と流体密なシールを形成する。望ましくは、創傷処置材料「W」は、アンプル132の管腔134a内に保持される。
【0059】
アンビル部材126のステム128は、その中にアンプル132を選択的に受容するための腔129を規定する。図11〜12に見られるように、腔129の遠位端は、その中にアンプル132のナブ135を受容するような形態の遠位ポケット129aを規定する。ポケット129aは、アンプル132のショルダー135aが、腔129中に形成された対応するショルダーと接触または係合するような寸法である。
【0060】
望ましくは、図11〜12に見られるように、ステム128のポート128bは、腔129のポケット129aと流体連通している。好ましくは、ポート128bは、ナブ135の最遠位面の遠位方向の位置に形成される。このようにして、アンプル132がステム128の腔129内に配置されるとき、アンプル132の管腔134aは、ポート128bと流体連通している。図11に見られるように、ポート128bは、創傷処置材料「W」の分与をステム128の周りの異なる半径方向セグメントに分割するような多岐管を規定する。
【0061】
図12に見られるように、作動において、アンプル132の管腔134aを通るプランジャー136の遠位方向への進行に際し、創傷処置材料「W」は、ナブ135を通り、遠位ポケット129a中に、そしてポート128bから外に押される。ピストン33、もしくは特定のその他のデバイスまたは方法(例えば、空気力)が、管腔134aを通り、プラジャー136を遠位方向に進行するために用いられ得る。
【0062】
ここで、図13〜15を参照して、本開示のなお別の実施形態による創傷材料分散システムが示され、そして説明される。図13〜15の分散システムは、図4〜8の分散システムに実質的に類似しており、そしてそれ故、構築および作動の差異を識別するために必要な程度まで詳細に論議されるのみである。
【0063】
図13〜15に見られるように、アンビル部材126は、ポート128bの遠位方向の位置でステム128に作動可能に連結され、そしてそれを少なくとも実質的に取り囲む第1の拡大可能なドレープ140a、およびポート128bの近位方向の位置でステム128bに作動可能に連結され、そしてそれを少なくとも実質的に取り囲む第1の拡大可能なドレープ140bを含む。ドレープ140a、140bは、図13に見られるように、ドレープ140a、140bの個々の外側半径方向エッジ141a、141bがステム128の外面に緊密に接触し、そして/またはそれと接触している非展開配向と、図14に見られるように、ドレープ140a、140bの個々の外側半径方向エッジ141a、141bがステム128の外面から半径方向距離で間隔を置かれる展開配向を有する。
【0064】
ドレープ140a、140bは、ドレープ140a、140bを取り囲む、引裂きまたは取り壊しスリーブまたはライナー(図示されず)によって非展開配向に維持され得ることが想定され、そして本開示の範囲内である。従って、ドレープ140a、140bは、スリーブまたはライナーを引裂くことによって展開され得る。各ドレープ140a、140bは、可撓性材料から製作され得ることが企図され、ここで、その内側半径方向エッジは、ステム128の外面に固定され、そしてその外側半径方向エッジは、それと作動可能に連結される形状記憶合金フープまたはリングを含み得る。このようにして、このリングは、上記可撓性材料を非展開状態に維持するために、リングがステム128の外面に緊密に近接する、折り畳まれたか、または付勢された状態、および上記可撓性材料を拡大された状態に半径方向の外方に伸張するために、リングがステム128の外面から半径方向に所定距離延びる拡大または非付勢状態を有し得る。
【0065】
図15に見られるように、外科用ステープル留め装置10と組み合わせて用いられるとき、ドレープ140a、140bは、組織「T」の反転した近位フラップおよび遠位フラップを互いから離れたて維持し、そして保持するように機能し、それによって、ステム128中に形成されるポート128bからの部位の透明ラインおよび吻合部位「A」のステープルライン「S」を提供する。
【0066】
図15を続けて参照し、外科用ステープル留め装置10と組み合わせた、図13および14の創傷処理材料分散システムの使用が示され、そして説明される。作動において、遠位組織「T」は、財布紐縫合糸「P」によって、この財布紐縫合糸「P」が第1のドレープ140aの遠位方向、特にその外側半径方向エッジ141aの遠位方向に位置決めされる位置で、アンビル部材126のステム128に縫合される。近位組織「T」は、財布紐縫合糸「P」によって、好ましくは、ドレープ140bの外側半径方向エッジ141bの近位方向の位置で、アンビル部材126のステム128または連結手段30に縫合される。
【0067】
組織「T」をステム128および/または連結手段30に縫合して、ドレープ140a、140bは、外側半径方向エッジ141a、141bが半径方向に拡大するために拡大される。アンビル部材126は、次いで、遠位および近位組織「T」を接近するようにステープルプッシャー部材に向かって接近される。ここで再び、上記で説明されたように、ドレープ140a、140bは、財布紐縫合糸「P」の近傍で、遠位および近位組織「T」を互いから分離して保持し、それによって、ステム128のポート128b間の透明ラインおよびステープルライン「S」を提供する。
【0068】
一旦、アンビル部材126とステープルプッシャー部材22との間で適正または所望の距離が設定されると、相互ロック部材32(図1を参照のこと)が解放され得、そして作動ハンドル14が旋回され得、外科用ステープル留め装置10を発射し、そしてステープルを、組織を通してアンビル部材126に対して駆動し、組織「T」の円形吻合を完成する。外科用ステープル留め装置10の発射前、発射の間または発射後、創傷処置材料「W」が、アンビル部材126から、本明細書で上記に、また本明細書中以下に記載される任意の方法で分与され、ステープルライン「S」を覆い、それによって、漏れおよび/または出血の発生を低減する。
【0069】
特に、創傷処置材料「W」は、ステム128のポート128bから射出される。例えば、創傷処置材料「W」は、アンプル(図示されず)中に保持され得、これは、図4〜8に関して上記に記載されたと類似の様式で破裂されてその中に保持される創傷処置材料「W」を放出する。例えば、ポート128bにそれから分与されるべき創傷処置材料「W」を送達し得る流体導管(図示されず)が提供されることがさらに想定される。
【0070】
ドレープ140a、140bは、創傷処置材料「W」が、アンビル部材126のステム128から標的位置(例えば、ステープルライン「E」)に分与されることを可能にし、そして創傷処置材料「W」の身体組織の意図されないセクションへの付与または広がりを実質的に防ぐ。
【0071】
図16に見られるように、アンビル部材126のステム128は、ポート128bの遠位方向に形成された第1の環状の溝144a、およびポート128bの近位方向に形成された第2の環状の溝144bを含み得る。このようにして、使用において、吻合されるべき遠位組織「T」は、ステム128に、この遠位組織「T」が第1の環状の溝144a内に位置決めされるように財布紐で縫合される。さらに、吻合されるべき近位組織「T」は、ステム128に、この近位組織「T」が第2の環状の溝144a内に位置決めされるように財布紐で縫合される。
【0072】
このようにして、アンビル部材126がステープルプッシャー部材22に向かって接近し、そして遠位および近位組織「T」がそれらの間でステープルラインに沿ってつままれるとき、溝144a、144bは、これら遠位および近位組織「T」の部分(すなわち、ステープルラインと溝144a、144bとの間の組織「T」の部分)を互いから分離して維持し、それ故、ポート128b間の透明ラインとステープルラインを維持する。このようにして、創傷処置材料「W」がステム128のポート128bから分与されるとき、この創傷処置材料「W」は、ステープルラインに沿って組織「T」に侵入および接触し得る。
【0073】
ここで、図17を参照して、代替の実施形態では、創傷処置材料「W」が、外科用ステープラ10の発射後、かつ開放前にステープルラインに沿って組織「T」に付与されるべき場合、外科用ステープル留め装置10の環状のナイフ50が、その中に形成された複数の開口部またはアパーチャ52とともに提供されることが想定され、そして企図される。好ましくは、環状ナイフ50は、進行された位置にあるとき、アパーチャ52は、ステム128のポート128bと、および吻合のステープルラインと実質的に整列する。従って、外科用ステープル留め装置10の発射の後、創傷処置材料「W」は、ステープルラインに接触し、そしてこれを覆うために、ステム128のポート128bから分与され得、そして環状ナイフ50のアパーチャ52を通過する。
【0074】
ここで、図18〜21を参照して、本開示のさらなる実施形態による創傷材料分散システムが示され、そして説明される。図18〜21の分散システムは、外科用ステープル留め装置10の連結手段30に連結可能であるアンビル部材226を含む。
【0075】
図18および19に見られるように、アンビル部材226は、開放近位端228aを有する中空の管状ステム228、およびステム228の遠位端に作動可能に連結されるアンビルヘッド230を有する。ステム228は、ステム228の周縁の周りで、その中に形成された少なくとも1つ、そして特定の実施形態では複数の長軸方向に配向されたスロットまたは細長い窓229を含む。アンビル部材226は、各窓229内に作動可能に配置され、そしてそれから展開可能である可撓性の管状部材231をさらに含む。ステム228は、各管状部材231と流体連通する、それを通る管腔233を規定する(図20および21を参照のこと)。
【0076】
図18に見られるように、アンビル部材226は、第1の状態を有し、ここでは、各管状部材231は、各管状部材231が個々の窓229内に配置される展開されない状態にある。図19に見られるように、アンビル部材226は、第2の状態を有し、ここでは、各管状部材231は、各管状部材231が窓229から半径方向の外方に延びるような様式でエルボー、変曲点または弱点領域231aに沿って偏向される展開される状態にある。
【0077】
各管状部材231は、その中またはそれを通って創傷処置材料「W」を保持、運搬そして/または伝達し得る。以下により詳細に記載されるように、使用において、アンビル部材226は、第1の状態から第2の状態まで移動され、管状部材231が展開される。管状部材231の展開は、管状部材231が変曲点231aに沿って開口部、裂け目または亀裂が現れるようにする。このようにして、創傷処置材料「W」がそれから分与され得る。
【0078】
変曲点231aは、管状部材231に沿って、アンビル部材226が第2の状態にあり、そして管状部材231が展開されるとき、変曲点231aが吻合部位「A」との軸方向および半径方向整列またはそれに緊密に近接して位置されるような位置で形成される。このようにして、創傷処置材料「W」が管状部材231から分散されるとき、この創傷処置材料「W」は、吻合部位「A」中および/またはその中に分散される。
【0079】
ここで、図20および21を参照して、外科用ステープル留め装置10と組み合わせて、図18および19の創傷処置材料分散システムの使用が示され、そして説明される。作動において、アンビル部材226は、任意の公知の技法に従って吻合の一方の側に導入される。組織「T」は、次いで、ステム228に、財布紐縫合糸「P」が窓229の遠位方向に位置されるように財布紐で縫合される。アンビル部材226のステム228は、次いで、連結手段30に、連結手段30の管腔30aがアンビル部材226のステム228の管腔233と流体連通するように作動可能に連結され得る。アンビル部材226を外科用ステープル留め装置10の遠位端に連結して、外科的手順が上記に記載のように継続される。
【0080】
アンビル部材226は、次いで、グリップ部材18を回転することによって、ステープルプッシャー部材22に向かって接近される(図1を参照のこと)。グリップ部材18が回転されるとき、アンビル部材226は、ステープルプッシャー部材22に隣接する位置に引かれ、それらの間に組織「T」の端部を位置する。それと同時に、アンビル部材226は、ステープルプッシャー部材22に向かって引かれ、創傷処置材料分散システムの管状部材231は、変曲点231aが吻合部位「A」と軸方向および半径方向整列またはその近傍に位置されるように展開される。
【0081】
管状部材231が展開されるとき、管状部材231は、変曲点231aに沿って、割れ、または裂け目(図示されず)を生じる。このようにして、創傷処置材料「W」は、吻合部位「A」上に分与され得る。アンビル部材226は、管状部材231が展開された状態にあるとき、変曲点231aは、環状のナイフブレード50を超えて半径方向に延びない。
【0082】
一旦、創傷処置材料「W」が組織「T」上に分与され、そして一旦、組織「T」がアンビル部材226とステープルプッシャー部材22との間にクランプ留めされたなら、相互ロック手段32(図1を参照のこと)が開放され得、そして作動ハンドル14が旋回され得、ステープルを、組織「T」を通り、そしてアンビル部材226のヘッド230に対して駆動し、管状器官の円形縫合を完成する。
【0083】
ここで、図22〜24を参照して、本開示の代替の実施形態による外科用ステープル留め装置は、一般に300で示される。外科用ステープル留め装置300は、外科用ステープル留め装置10と実質的に類似しており、そしてそれ故、構築および作動における差異を識別するために必要な程度まで詳細に論議されるに過ぎない。
【0084】
図22〜24に見られるように、外科用ステープル留め装置300は、創傷処置材料「W」を標的手術部位に分与するような形態で、そしてそのように適合された創傷処置材料分散システムを含む。図22〜24の創傷処置材料分散システムは、ステープルプッシャー部材322の遠位端中に形成されたニードル受容スロット352内に位置決めされる、展開可能なニードル350の少なくとも1つの環状アレイ、特定の実施形態では2つの環状アレイを含む。各ニードル350は、各ニードル350の周りに位置決めされ、そしてステープルプッシャー部材322の内側遠位面322aと、各ニードル350の近位端に形成されたフランジ350aとの間に配置される付勢部材またはスプリング354によって、その個々のニードル受容スロット352内の退却された位置に付勢される。
【0085】
所定量の創傷処置材料「W」は、ニードル350の近位方向の位置で、各ニードル受容スロット352内に提供される。創傷処置材料「W」を含む、複数の(ここでは、半剛直性また可撓性のカプセル356として示される)剛直性、半剛直性または可撓性コンテナが、ニードル受容スロット352内に各々1つ提供され得る。各カプセル356は、その中に所定量の創傷処置材料を包み、カプセル化し、そして/または含む。
【0086】
作動において、図22および24に見られるように、組織「T」をアンビル部材330とステープルプッシャー部材322との間にクランプ留めし、ハンドル部材14(図1を参照のこと)の作動は、ニードル受容スロット352を通るフィンガー358の遠位方向進行を生じる。フィンガー358は、ニードル350の近位端に対して遠位方向に(その中に創傷処置材料「W」を含む)カプセル356を押し、ニードル受容スロット352からニードル350の展開を生じる。それと同時またはその直後に、ニードル350が展開され(例えば、遠位方向に進行される)、組織「T」の少なくとも1つを貫通する。
【0087】
一旦、ニードル350が完全に展開されると、ハンドル部材14のさらなる作動は、カプセル356に対して圧縮力を奏するフィンガー358がカプセル356を破裂させ、そして創傷処置材料「W」を個々のニードル受容スロット352中に分与するようにする。カプセル356を破裂させ、ハンドル部材14の継続する作動と、フィンガー358の遠位方向進行は、創傷処置材料「W」のニードル350を通って外に、および/またはその周りの駆出または分与を生じる。
【0088】
外科用ステープル留め装置300の発射の後、ハンドル部材14は解放されてフィンガー358を近位方向に移動し、それ故、スプリング354によって生成される付勢力の結果として、ニードル350がスロット352中に退却することを可能にする。
【0089】
このようにして、ステープル324の環状のアレイは、治癒プロセスの間に互いに固定される組織「T」の隣接する層を機械的に保持するために必要な再訓練力を提供し、その一方、適切な創傷処置材料「W」は、ステープル324の特定の環状のアレイ中の隣接するステープル324間のギャップを充填する。
【0090】
ステープルを含まない外科用ステープル留め装置を提供することが企図され、そして本開示の範囲内である。従って、組織「T」の吻合および連結は、創傷処置材料「W」による組織「T」の互いへの接着によって達成され得る。
【0091】
外科用ステープル留め装置300が、組織「T」の両方の層を通ってニードル350を起動するような形態であり得ることがさらに想定され、そして企図される。従って、外科用ステープル留め装置300はまた、ニードル350がステープルプッシャー部材322中に退却されているとき、ニードル350を通って創傷処置材料「W」を分与するような形態であり得る。このようにして、創傷処置材料「W」は、吻合のいずれかの側で組織「T」の両方の層を横切って広がり得る。
【0092】
ここで、図25〜28を参照して、スプラッシュガード400が示され、そして説明される。スプラッシュガード400は、上記に開示される任意の外科用装置とともに用いられ得る。スプラッシュガード400は、吻合の外面からの創傷処置材料「W」の漏れを防ぐことが意図される。以下により詳細に説明されるように、使用において、スプラッシュガード400は、吻合の周縁の周りで障壁を生成し、これは、創傷処置材料「W」を吻合の部位に局在化することにより解剖学的構造のその他の部分への創傷処置材料「W」の漏れを阻害そして/または防ぐ。さらに、スプラッシュガード400は、吻合での出血または吻合からの出血の発生を減少することを支援する。
【0093】
図25〜27に見られるように、スプラッシュガード400は、中央管腔404を含み、そして中央の長軸方向軸「X」を規定する中央ハブ402を含む。スプラッシュガード400は、中央ハブ402から半径方向の外方に延びる少なくとも1つのスポーク406をさらに含む。図25に見られるように、スプラッシュガード400は、中央ハブ402から延びる4つのスポーク406を含み得、ここで、これらスポーク406は、互いから等しく間隔を置かれる。しかし、任意の数のスポークが提供され得、そしてこれらスポークが互いから任意の距離で間隔を置かれ得ることが想定され、本開示の範囲内である。これらスポーク406は、中央ハブ402から半径方向および/または直交して延びる環状ディスク(図示されず)によって置き換えられ得ることがさらに想定される。
【0094】
スプラッシュガード400は、スポーク406の外側端部または遠位端部を相互連結する環状フランジ408をさらに含む。環状フランジ408は、スポーク406のための支持、ならびに、以下により詳細に説明されるように、外科用ステープル留め装置のステープルが通って発射される面を提供する。
【0095】
スプラッシュガード400は、環状フランジ408の外側終端エッジに一体に連結される環状のカフ410をさらに含む。カフ410は、環状フランジ408の第1の面または遠位面から遠位方向に延びる上部リップ412、および環状フランジ408の第2の面または近位面から近位方向に延びる下部リップ414を含む。好ましくは、上部リップ412は、環状フランジ408の外径より小さい中央直径を有する上部環状リム412aで終わる。同様に、下部リップ414は、好ましくは、環状フランンジ408の外径より小さい中央直径を有する下部環状リム414aで終わる。このようにして、図26に見られるように、カフ410は、C形状または凹状断面プロフィールを有する。
【0096】
好ましくは、スプラッシュガード400の少なくとも一部分、そしてより好ましくは、スプラッシュガード400の全体は、半剛直性の生体吸収性材料から製作される。このようにして、外科的ステープル留め手順後、吻合部位に残るスプラッシュガード400のこれらの部分は、吻合の部位またはその近傍で狭窄の発生を防ぐことを支援する。
【0097】
ここで、図28を参照して、上記に記載された外科用ステープル留め装置のいずれか1つと組み合わせて、スプラッシュガード400を用いる例示の方法がここで示され、そして説明される。作動の1つの方法によれば、連結されるべき器官の端部(例えば、組織「T」)は、ステープルプッシャー部材22に対するアンビル部材26の接近の前に、ステープルプッシャー部材22およびアンビル部材26の上に、財布紐縫合糸「P」によって固定される。
【0098】
組織「T」をステープルプッシャー部材22およびアンビル部材26に固定して、スプラッシュガード400は、アンビル部材26のステム128上に、ステム128が中央ハブ402の管腔404を通って延びるように位置決めされる。好ましくは、スプラッシュガード400は、カフ410の上部リップおよび下部リップ412、414が、ステープルプッシャー部材22の半径方向の最も外の環状のステープルラインの半径方向の外方に配置される。さらに、スプラッシュガード400は、環状フランジ408の内部環状終端エッジ408a(図25および26を参照のこと)が、環状のナイフ切断ラインの半径方向の内方に配置されるような寸法である。
【0099】
スプラッシュガード400をアンビル部材26のステム128上に位置決めして、アンビル部材のステム128は、ステープルプッシャー部材22の連結手段(図示されず)に作動可能に連結される。アンビル部材26は、次いで、上記に記載された様式でステープルプッシャー部材22に向かって接近される。アンビル部材26のステープルプッシャー部材22に向かう接近の前、その間またはその後で、創傷処置材料「W」は、上記のように(例えば、アンビル部材26のステム中に形成されるポートから)、組織「T」上にスプレーまたは分与され得ることが想定される。望ましくは、十分な創傷処置材料「W」が組織「T」上にスプレーされ、吻合されるべき組織「T」のその部分を十分に覆う。中央ハブ402は、その中に形成される少なくとも1つのアパーチャ(図示されず)を含み得、創傷処置材料「W」が、中央ハブ402を通り、そしてそれから半径方向の外方に、分与されることを可能にすることが想定される。
【0100】
望ましくは、スプラッシュガード400は、カフ410の上部リップ412および下部リップ414のリム412a、414aが組織「T」の外面と接触するような寸法である。従って、カフ410は、吻合部位の外側で任意の流体(すなわち、創傷処置材料「W」、血液など)の局在化を支援するためのバリアとして作用する。
【0101】
アンビル部材26がステープルプッシャー部材22に向かって接近され、そしてクランプ留めされるとき、創傷処置材料「W」は、吻合部位の半径方向の内方および半径方向の外方に圧搾される傾向にある。上記で論議されたように、スプラッシュガード400のカフ410は、創傷処置材料「W」が作動部位を通って拡散することを防ぐバリアとして作用する。
【0102】
創傷処置材料「W」を組織「T」上に分散し、そしてスプラッシュガード400をアンビル部材26のステム128上に位置決めして、アンビル部材26のステム128は、ステープルプッシャー部材22内に位置する連結手段30に作動可能に連結される。アンビル部材126を外科用ステープル留め装置10の遠位端に連結し、外科的手順は上記のように継続される。特に、外科用ステープル留め装置は相互ロック手段32(図1を参照のこと)を解放することにより発射され得、そして作動ハンドル14は、旋回され得、ステープルを、組織「T」を通り、環状フランジ408を通り、そしてアンビル部材26に対して駆動する。さらに、外科用ステープル留め装置が発射されているとき、環状ナイフが、組織「T」およびスプラッシュガード400の環状フランジ408を通って駆動され、それによって、組織「T」のその部分および環状ナイフブレードの半径方向の内方に配置され環状フランジ408のその部分を切断する。そうすることで、中央ハブ402とスポーク406がスプラッシュガード400の残りから分離される。従って、図27に見られるように、環状ナイフブレードは、環状フランジ408中にナイフ切断ライン408bを生成する。
【0103】
ここで図29〜33を参照して、本開示の別の実施形態による創傷処置材料分散システムが、一般に500として示される。図29〜31に見られるように、創傷処置材料分散システム500は、内側末端エッジ502aおよび外側末端エッジ502bを規定するリングまたはディスク502を含む。分散システム500は、ディスク502の内側末端エッジ502aに一体に連結される少なくとも1つの環状内壁504、およびディスク502の外側末端エッジ502bに一体に連結される少なくとも1つの環状外壁506を含む。好ましくは、図30および31に見られるように、分散システム500は、環状内壁504および環状外壁506の両方を含む。
【0104】
望ましくは、環状内壁504および環状外壁506は、ディスク502に対して実質的に直交している。1つの実施形態では、図30に見られるように、ディスク502は、内壁504および外壁506の上部末端エッジ504a、506aのそれぞれと、内壁504および外壁506の下部末端エッジ504b、506bのそれぞれとの間に位置決めされる。このようにして、分散システム500は、第1または上部環状チャネル508aおよび第2または下部環状チャネル508bを規定する。望ましくは、創傷処置材料「W」は、第1および第2の環状チャネル508a、508bの少なくとも1つ内に配置または堆積される。
【0105】
さらに、図30に見られるように、環状外壁506は、好ましくは、環状内壁504の高さより大きい高さを有する。あいるは、環状外壁506の高さは、環状内壁504の高さと実質的に等しくいか、または低くても良い。
【0106】
図31に見られるように、別の実施形態では、ディスク502は、内外壁504、506のそれぞれ上部末端エッジ504a、506a、または内外壁504、506のそれぞれ下部末端エッジ504b、506bいずれかに位置決めされ得る。このようにして、単一の環状チャネル508が、その中に所定量の創傷処置材料「W」を保持するために規定される。
【0107】
図29〜31に見られるように、ディスク502には、好ましくは、その中に、そして好ましくはその周りに形成される一連の開口部またはアパーチャ510が提供される。このようにして、創傷処置材料「W」は、創傷処置材料「W」が堆積される側とは反対のディスク502の側に遊離し、そして/または流れ得る。
【0108】
好ましくは、分散システム500の少なくとも一部分、そしてより好ましくは、分散システム500の全体は、半剛直性の生体吸収性の材料から製作される。このようにして、外科的ステープル留め手順後、吻合部位に残る分散システム500のこれらの部分は、吻合の部位またはその近傍で狭窄の発生を防ぐことを支援する。
【0109】
図29〜31に見られるように、分散システム500の環状内壁504は、中央アパーチャ510を規定する。好ましくは、図32および33に示されるように、分散システム500は、分散システム500がアンビル部材26のステム28上に位置決めされるとき、環状外壁506がアンビル部材26の外側末端エッジの半径方向の外方に位置決めされ、そしてディスク502の内側末端エッジ502aが半径方向の最も内側のステープルライン(図示されず)の半径方向の内方で終わるような寸法である。
【0110】
ここで、図32および33を参照して、外科用ステープル留め装置10と組み合わせて分散システム500を用いる例示の方法が示され、そして説明される。図32に見られるように、組織「T」をアンビル部材26のステム28に財布紐で縫合し、環状チャネル508a、508bの1つ内に配置された所定量の創傷処置材料「W」を含む分散システム500は、ステム28上に配置され、そして組織「T」と、創傷処置材料「W」を組織「T」との接触にもたらすような様式で接触させる。そうすることで、創傷処置材料「W」は、組織「T」に移される。創傷処置材料「W」を組織「T」に移して、分散システム500は除去され得、そして外科的ステープル留めプロセスが上記に記載のように継続される。
【0111】
あるいは、図33に見られるように、分散システム500は、吻合手順の後、組織「T」に対してその場に残され得る。特に、分散システム500をアンビル部材26のステム28上に位置決めして、アンビル部材26のステム28は連結手段30に連結され、そしてアンビル部材26は、ステープルプッシャー部材22に向かって接近される。そうすることで、創傷処置材料「W」は開口部510を通って圧搾されるか、またはそれを通って拡散され、接近されるべき組織「T」の両方の層を覆う。分散システム500をそのように配置して、吻合を完成するために外科的ステープル留めプロセスが上記のように継続される。現在の手順によれば、分散システム500は、吻合された組織「T」の2つの隣接する層に間に残る。
【0112】
創傷処置材料「W」は、流体、固体、または流体および固体(例えば、泡)の特定の組み合わせであり得ることが想定され、そして本開示の範囲内である。例えば、創傷処置材料「W」は、組織「T」の2つの層の間に注入され、スプレーされ、そして/またはそうでなければ分散もしくは付与され得る膨張可能な泡沫状流体であり得る。泡沫創傷処置材料「W」は、通常の組織治癒が起こり得るような時間まで、組織「T」の2つの層を一緒に保持し得る接着剤であり得る。
【0113】
この接着剤は、湿度で活性化される、2部分反応性、または任意のその他の適切な生体適合性型の接着剤であり得る。2部分反応性の接着剤が用いられる場合、この接着剤は、多くの異なる様式で混合または硬化され得る。例えば、この接着剤は以下によって混合または硬化され得る。1)圧力、振動、ショックまたはその他の適切な手段の付与に際して破裂するマイクロスフェア中に、接着剤の第1および/または第2の部分(パーツ)を提供すること;2)泡沫である接着剤の第1の部分、およびマイクロスファアなど中にカプセル化されている接着剤の他方の部分;および3)接着剤の第1の部分がマイクロスフェア中にカプセル化された発泡剤であり、そしてこれは、単一の部分の接着剤と、または2部分接着剤の1つまたは両方の部分と組み合わされ得る。
【0114】
使用において、発泡体を基礎にした接着剤が崩壊するとき、組織「T」の表面間の直接接触が生じ、そして組織細胞が成長し、そしてそれによって自然の治癒をもたらす機会を生成する。発泡体を基礎にする接着剤を用いることは、それが付与される位置に接着剤を維持することを支援し、そして、接着剤の硬化が開始し得るまで、この接着剤を組織「T」と接触して維持することを支援する。
【0115】
ここで、図34および35を参照して、創傷処置材料「W」を吻合部位「A」に分与する代替の方法が示され、そして説明される。図34および35に開示される方法によれば、接続されるべき器官の端部(例えば、組織「T」)は、ステープルプッシャー部材22に対するアンビル部材26の接近の前に、財布紐縫合糸「P」によって、ステープルプッシャー部材22およびアンビル部材26上に固定される。
【0116】
組織「T」を、ステープルプッシャー部材22およびアンビル部材26に縫合して、アンビル部材26のステム128、アンビル部材26のステム128は、ステープルプッシャー部材22の連結手段(図示されず)に作動可能に連結される。アンビル部材26およびステープルプッシャー部材22の接近の前に、先端部、ノズルまたは流体分与または送達デバイス「D」(例えば、シリンジ、平滑末端皮下ニードルなど)が、吻合されるべき組織「T」の層間に配置される。
【0117】
分与デバイス「D」の遠位端をそのように位置決めして、アンビル部材26は、上記に記載された様式でステープルプッシャー部材22に向かってゆっくりと接近され、それによって分与デバイス「D」の遠位端をそれらの間に捕捉する。分与デバイス「D」が作動部位から引かれ、そしてその遠位端が組織「T」の層間から引かれるとき、創傷処置材料「W」が分与され、そして/またはそうでなければそれらの間に注入される。
【0118】
ステープル「S」の1つ以上の列が、創傷処置材料「W」が組織「T」の層の間に分与される前、間または後のいずれかに、分与デバイス「D」の遠位先端部の半径方向の内方、半径方向の外方、または両側に発射され得ることが想定され、そして本開示の範囲内である。望ましくは、十分な創傷処置材料「W」が、組織「T」の層の間に分与され、吻合されるべき組織「T」のその部分を十分に覆う。
【0119】
所定の時間後、組織「T」の層間の直接接触は、組織細胞がそれらの間で成長する機会を生成し、自然の治癒を引き起こす。それと同時に、この自然の治癒プロセスか、吻合部位により大きな強度および安全性を供給するとき、ステープルが溶解し始め、そして身体中に吸収される。
【0120】
外科用ステープルが上記環状ステープルラインに対して接線方向である配向に付与されることが代表的であるが、上記外科用ステープルが上記環状ステープルラインに直交または垂直である配向で付与されることが想定され、そして本開示の範囲内である。このようにして、ステープルは、分与デバイス「D」の遠位先端部により良好にまたがり得、そしてそれによって、その遠位端を、この遠位先端部の組織「T」の層間からの引き抜きの間に、真っ直ぐなラインにより良好に維持する。
【0121】
外科用ステープルは、B形状の代わりにD形状に閉鎖および/または成形され得ることがさらに想定される。このようにして、外科用ステープルは、ステープルプッシャー部材22から発射され、そしてアンビル部材26に対して成形されるとき、分与デバイス「D」の遠位先端部にまたがり得、そしてそれによって、その遠位端を、この遠位先端部の組織「T」の層間からの引き抜きの間に、真っ直ぐなラインにより良好に維持する。
【0122】
ニードルの先端部を、互いに接続すべきである組織の一対の層の間に配置し、そして次に、組織の層の互いへの接近後、組織の層間に創傷処置材料「W」を同時に分与しながらこのニードルの先端部を引き抜くプロセスは、環状および/または直線状型外科用ステープル留め装置または器具と組み合わせて用いられ得る。
【0123】
創傷処置材料「W」は、組織を連結、治癒、封止またはそうでなければ処置するための任意の材料である。好ましい実施形態では、この創傷処置材料は、制限されないで、組織接触に際し硬化するシーラント、紫外線(UV)光への曝露に際し硬化するシーラント、互いから隔離されて維持され、そして組み合わされるか、またはその任意の組み合わせである2部分系であるシーラントを含む生体適合性シーラントである。任意の公知の適切な接着剤が用いられ得る。1つの実施形態では、このようなシーラントおよび/または接着剤は硬化可能であることが企図される。例えば、約10〜15秒の硬化時間を有するシーラントが用いられ得る。好ましい実施形態では、このシーラントおよび/または接着剤は、生体吸収可能および/または生体再吸収可能な材料である。別の実施形態では、約30秒の硬化時間を有するシーラントおよび/または接着剤が用いられ得る。創傷処置材料「W」は、予備硬化された接着剤またはシーラントであり得る。この予備硬化された接着剤またはシーラントは、湿気および/または身体組織の熱と反応し得、それによって、このシーラントまたは接着剤の封止および/または接着剤性質を活性化する。
【0124】
特定の好ましい実施形態では、この創傷処置材料は、シーラントを備える。このようなシーラントは、望ましくは、PEGを基礎にした材料である。シーラントおよび/または接着剤として有用な材料のクラスの例は、生体適合性光開始剤の存在下のアクリレートまたはメタクリレート官能ヒドロゲル、アルキル−シアノアクリレート、アミン官能マクロマーありまたはなしのイソシアネート官能マクロマー、アミンとのスクシニミジルエステル官能モノマーまたはスルフヒドリル官能モノマー、アミン官能モノマーとのエポキシ官能モノマー、アルデヒド架橋剤の存在下のタンパク質またはポリペプチドの混合物、ゲニピン(Genipin)、または水可溶性カルボジイミド、多価カチオンの存在下のアニオン性他糖類などを含む。
【0125】
利用され得るいくつかの特定の材料は、有機ポリイソシアネートおよびオキシエチレンを基礎にしたジオールまたはポリオール由来のイソシアネート末端親水性ウレタンプレポリマーを含み、米国特許第6,702,731号および同第6,296,607号および米国公開特許出願第2004/0068078号に開示されるようなもの;米国特許第6,565,840号に開示されるものを含むα−シアノアクリレートを基礎にした接着剤;米国特許第6,620,846号に開示のようなものを含むアルキルエステルをベースにしたシアノアクリレート接着剤;米国特許第6,566,406号に開示のようなものを含む、インサイチュで反応および架橋し得る親電子基および求核基を有する水可溶性前駆体から形成される生体適合性架橋ポリマーに基づく接着剤;本明細書中に参考としてその内容が援用される米国公開特許出願第2003/0032734号に開示されるような、生体吸収可能なジアミン化合物と組み合わせた、1つ以上のイソシアネート基で置換されたポリアルキレンオキシド骨格、または生体吸収可能なジイソシアネート化合物と組み合わせた、1つ以上のアミン基で置換されたポリアルキレンオキシド骨格を含む2部分接着剤システム;およびその内容が本明細書中に参考として援用され、米国公開特許出願第2004/0115229号に開示されるような芳香族ジイソシアネートおよびポリオール由来のイソシアネート末端親水性ウレタンプレポリマーを含む。
【0126】
創傷処置材料「W」は、接着剤、止血剤、シーラント、または任意のその他の組織または創傷処置材料を含み得ることが想定され、そして本開示の範囲内である。本開示に従って用いられ得る外科的生体適合性創傷処置材料「W」は、その機能が、器官、組織または構造物を付着または保持することである接着剤、流体の漏れを防ぐシーラント、および出血を止めまたは防ぐ止血剤を含む。採用され得る接着剤の例は、タンパク質由来で、アルデヒドを基礎にした接着剤材料、例えば、Cryolife,Inc.によって商標名BioGlue(登録商標)の下で市販され入手可能なアルブミン/グルタルアルデヒド材料、およびTyco Healthcare Group,LPおよびEthicon Endosurgery,Inc.によってそれぞれ商標名Indermil(登録商標)およびDerma Bond(登録商標)の下で販売されるシアノアクリレートを基礎にした材料を含む。採用され得るシーラントの例は、フィブリンシーラントおよびコラーゲンを基礎にしたシーラントおよびポリマーを基礎にした組織シーラントを含む。市販され利用可能なシーラントの例は、Cohesion TechnologiesおよびBaxter International,Inc.によって商標名CoSeal(登録商標)の下で販売される合成のポリエチレングリコールを基礎にしたヒドロゲル材料である。採用され得る止血剤材料の例は、フィブリンを基礎にする、コラーゲンを基礎にする、酸化再生セルロースを基礎にする、およびゼラチンを基礎にするそれぞれ局所的止血剤である。市販され利用可能な止血剤材料の例は、Tyco Healthcare Group,LPによるCoStasis(登録商標)、およびBaxter International,Inc.により販売されるTisseel(登録商標)の商標の下で販売されるフィブリノーゲン−トロンビン組み合わせ材料である。本明細書中の止血剤は、収斂剤、例えば、硫酸アルミニウム、および凝固剤を含む。
【0127】
医薬は、薬物、酵素、成長因子、ペプチド、タンパク質、色素、診断剤もしくは止血剤、モノクローナル抗体、または狭窄の予防で用いられる任意のその他の医薬品のような、1つ以上の医療的および/または外科的に有用な物質を含み得る。
【0128】
創傷処置材料「W」は、粘弾性膜形成性材料、架橋反応剤、およびエネルギー硬化性接着剤を含み得る。創傷処置材料「W」、そして特に、接着剤は、それに水および/またはグリセリンの付与で硬化され得る。このようにして、水および/またはグリセリンは接着剤を硬化し、そして創傷を水和する。
【0129】
創傷処置材料「W」は、例えば、組成物および/または化合物の粒子が外科的修復部位に付与されるか、またはそれに曝されるとき、治癒プロセスを加速または有利に改変する組成物および/または化合物を含み得る。例えば、この創傷処置材料「W」は、修復部位で堆積される治療薬であり得る。この治療薬は、その抗微生物性質、修復もしくは再構築および/または新たな組織成長を促進するための能力のために選択され得る。組織中にゆっくりと放出される広域スペクトル抗生物質のような抗微生物剤(硫酸ゲンタマイシン、エリスロマイシンまたは誘導体化糖ペプチド)は、このようにして付与され得、組織修復部位における臨床および準臨床的感染と戦う際に支援する。修復および/または組織成長を促進するために、創傷処置材料「W」は、1つ以上の成長促進因子、例えば、繊維芽細胞成長因子、骨成長因子、上皮成長因子、血小板由来成長因子、マクロファージ由来成長因子、肺胞由来成長因子、単球由来成長因子、マガイニンなどを含む。いくつかの治療適応症は:血栓症を引き起こす組織または腎臓プラスミノーゲンアクティベーターとのグリセロール、組織損傷フリーラジカルを除去するためのスーパーオキシドジムターゼ、癌治療のための腫瘍壊死因子、またはコロニー刺激因子およびインターフェロン、インターロイキン−2または免疫系を増大するためのその他のリンホカインを含む。
【0130】
現在開示される外科用ステープル装置および種々の分与システムおよび上記に記載の方法の実施形態に種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、上記の記載は、制限するものと解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の例示であるとして単に解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および思想内でその他の改変を想定する。
【図面の簡単な説明】
【0131】
本開示の前述の特徴は、添付の図面と組み合わせて考慮された、外科用器具、装置または構造物の例示の実施形態の上記の詳細な説明を参照することよってより容易に明らかなになり、そして理解され得る。
【図1】図1は、本開示の実施形態による外科用ステープル留め装置の斜視図を示す。
【図2】図2は、本開示の実施形態による創傷処置材料分散システムを含む外科用ステープル留め装置の遠位端の長軸方向断面図であり、ここで、この外科用ステープル留め装置は、アンビル部材が、吻合部位の遠位方向にあり、そして外科用ステープル留め装置が、創傷処置材料を分与しているように手術部位内に位置決めされている。
【図3】図3は、図2の外科用ステープル留め装置の長軸方向断面図であり、ここで、アンビル部材が、吻合部位の近位方向に位置決めされ、そして外科用ステープル留め装置は、創傷処置材料を分与している。
【図4】図4は、本開示の別の実施形態によるアンビル部材の斜視図である。
【図5】図5は、パーツを分離した、図4のアンビル部材の斜視図である。
【図6】図6は、図4のアンビル部材の斜視図であり、先端部がそれから除去されている。
【図7】図7は、図2の外科用ステープル留め装置の長軸方向断面図であり、図4〜6のアンビル部材が作動可能にそれに連結され、アンビル部材とステープルプッシャー部材との間にクランプ留めされて吻合されるべき組織を有する、その発射前の外科用ステープル留め装置を示す。
【図8】図8は、図2の外科用ステープル留め装置の長軸方向断面図であり、図4〜6のアンビル部材がそれに作動可能に連結され、アンビル部材とステープルプッシャー部材との間にクランプ留めされて吻合されるべき組織を有する、その発射後の外科用ステープル留め装置を示す。
【図9】図9は、本開示の代替の実施形態によるアンビル部材を、分離されたパーツで示す斜視図である。
【図10】図10は、図9のアンビル部材の概略長軸方向断面図である。
【図11】図11は、図10の11−11でとった、図9および10のアンビル部材の断面図である。
【図12】図12は、図9〜11のアンビル部材の概略長軸方向断面図であり、それからの創傷処置材料の分与を示す。
【図13】図13は、非展開状態で示される、図4〜6のアンビル部材の代替の実施形態の斜視図である。
【図14】図14は、展開状態で示される、図12のアンビル部材の側方立面図である。
【図15】図15は、外科用ステープル留め装置の遠位端に作動可能に連結された図12および13のアンビル部材の概略長軸方向断面図であり、そしてアンビル部材とステープルプッシャー部材との間にクランプ留めされた標的組織を示す。
【図16】図16は、図4〜6のアンビル部材のなお別の実施形態の側方立面図である。
【図17】図17は、本開示による環状のナイフを含む外科用ステープル留め装置の概略長軸方向断面図であり、発射状態後にある外科用ステープル留め装置を示す。
【図18】図18は、第1の状態にある、本開示の代替の実施形態によるアンビル部材の斜視図である。
【図19】図19は、第2の状態にある、本開示の代替の実施形態によるアンビル部材の斜視図である。
【図20】図20は、創傷処置材料分散システムを有する外科用ステープル留め装置の遠位端の長軸方向断面図であり、それと作動可能に連結された図18および19のアンビル部材を含み、ここで、この外科用ステープル留め装置は、作動部位で第1の位置にある。
【図21】図21は、図21の外科用ステープル留め装置の遠位端の長軸方向断面図であり、ここで、この外科用ステープル留め装置は、作動部位で第2の位置にある。
【図22】図22は、本開示の代替の実施形態による外科用ステープル留め装置の拡大された長軸方向断面図である。
【図23】図23は、図22の線23−23に沿ってとった拡大された部分断面図である。
【図24】図24は、図22で24として示される領域の拡大された図である。
【図25】図25は、本明細書中に開示される外科用ステープル留め装置との使用のためのスプラッシュガードの斜視図である。
【図26】図26は、図25のスプラッシュガードの斜視長軸方向断面図である。
【図27】図27は、図25のスプラッシュガードの斜視長軸方向断面図であり、外科用ステープル留め装置の発射後のスプラッシュガードを示す。
【図28】図28は、標的手術部位における位置にある、図25〜27のスプラッシュガードの概略長軸方向断面図であり、外科用ステープル留め装置はファントム画法で示される。
【図29】図29は、本開示のさらなる実施形態による創傷処置材料分散システムの平面図である。
【図30】図29の30−30を通ってとった図29の創傷処置材料分散システムの断面図である。
【図31】図31は、図29の30−30を通ってとられ得るような、本開示の別の実施形態による創傷処置材料分散システムの断面図である。
【図32】図32は、図29および30の創傷処置材料分散システムを組み合わせて用いる方法を示す外科用ステープル留め装置の長軸方向断面図である。
【図33】図33は、図29および30の創傷処置材料分散システムを組み合わせて用いる代替の方法を示す外科用ステープル留め装置の長軸方向断面図である。
【図34】図34は、創傷処置材料を、吻合部位に分与する方法における工程を示す外科用ステープル留め装置の遠位端の長軸方向断面図である。
【図35】図35は、図34の外科用ステープル留め装置の遠位端の長軸方向断面図であり、吻合部位に創傷処置材料を分与する方法におけるさらなる工程を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープル留め装置であって:
本体部分;
該本体部分の近位端で作動可能に支持される作動アセンブリ;
該本体部分の遠位端に作動可能に配置され、そして該本体部分からステープルの環状アレイを発射するために該作動アセンブリに作動可能に連結されているステープルプッシャー部材;
該ステープルプッシャー部材に向かうか、またはそれから離れる移動のための、該本体部分の遠位端に移動可能に取り付けられたアンビルアセンブリ;
該本体部分と該アンビルアセンブリとの間に、アンビルを環状の本体部分に向かうか、またはそれから離れて移動するために延びる接近アセブリ;および
創傷処置材料を標的手術部位に送達するための創傷処置材料分散システムを備え、
該創傷処置材料分散システムが:
創傷処置材料を外方方向に分与するように配向された、該アンビルアセンブリ中に形成れたアパーチャ;および
該アンビルアセンブリのアパーチャと流体連通している創傷処置材料の供給源を含む、外科用ステープル留め装置。
【請求項2】
前記創傷処置材料が、接着剤、シーラント、止血剤、および医薬の少なくとも1つである、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項3】
前記分散システムが、前記アンビルアセンブリのアンビル部材上に支持されたノズルを含み、そして該アンビルアセンブリ中に形成されたアパーチャが該ノズル中に提供される、請求2に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項4】
前記分散システムが、前記ノズル中に形成されたアパーチャと流体連通している前記アンビルアセンブリのステムを通って延びる管腔を含む、請求項3に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項5】
前記アンビルアセンブリのステムの管腔が、創傷処置材料の供給源と流体連通している、請求項4に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項6】
前記外科用ステープル留め装置が、該外科用ステープル留め装置の発射前、発射の間および発射の後の少なくとも1つで、標的手術部位上に創傷処置材料を分与するような形態で、かつ適合される、請求項5に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項7】
前記分散システムの創傷処置材料の供給源が、前記アンビルアセンブリのステム内に選択的に位置決め可能であるアンプルである、請求項2に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項8】
前記アンプルが破壊可能な材料から構築され、そして使用の間に、該アンプルの圧縮に際し、創傷処置材料が、前記アンビルアセンブリのアパーチャへの伝達のために該アンプルから放出される、請求項7に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項9】
前記分散システムが、前記外科用ステープル留め装置の発射の前、発射の間および発射後の少なくとも1つで、前記アンプルを破裂し、そして創傷処置材料を前記アンビルアセンブリのアパーチャを通って外に、そして前記標的手術部位上に押すために、該アンビルアセンブリのステム中への挿入のための形態および寸法であるピストンを含む、請求項8に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項10】
前記アンプルがそれを通る管腔を規定し、そしてその管腔内にスライド可能に位置決めされるプランジャーを含む、請求項7に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項11】
前記アンプルの管腔が、該アンプルが前記アンビルアセンブリのステム内に位置決めされるとき、該アンビルアセンブリのアパーチャと流体連通する、請求項10に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項12】
前記分散システムが、前記外科用ステープル留め装置の発射の前、発射の間および発射後の少なくとも1つで、前記アンプルの管腔中への挿入のための形態および寸法であり、前記プランジャーと係合し、そして該プランジャーを該アンプルの管腔を通って押し、創傷処置材料を前記アンビルアセンブリのアパーチャを通って外に、そして前記標的手術部位上に分与するピストンを含む、請求項11に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項13】
前記分散システムが、前記アンビルアセンブリのステム上に支持され、そしてこれを実質的に取り囲む少なくとも1つのドレープをさらに含み、該ドレープが、該ドレープが該アンビルアセンブリのステムに相対的に緊密に近接する非展開状態と、該ドレープが該アンビルアセンブリのステムに相対的に間隔を置いた関係にある展開状態を含む、請求項2に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項14】
前記分散システムが、前記アンビルアセンブリのアパーチャの遠位方向に位置決めされる第1のドレープと、該アンビルアセンブリのアパーチャの近位方向に位置決めされる第2のドレープを含む、請求項13に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項15】
前記ドレープが展開可能な状態にあるとき、該ドレープが前記創傷処置材料の分与を行う、請求項14に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項16】
前記アンビルアセンブリのステムが、該アンビルアセンブリのアパーチャの近位方向および遠位方向に形成される環状の溝を含む、請求項2に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項17】
前記本体部分の遠位端に退却可能に配置される環状のブレードをさらに備え、該環状のブレードがその中に形成された複数の開口部を含む、請求項2に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項18】
前記分散システムが、前記アンビルアセンブリのステムの管腔内に支持される複数の管状部材を含み、該管状部材が、前記創傷処置材料の供給源を規定し、そして該管状部材が、該管状部材が該ステムの管腔内に配置される非展開状態、および該管状部材が該アンビルアセンブリのステム中に形成される窓から突出する展開状態を有する、請求項2に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項19】
前記管状部材が、前記非展開状態から前記展開状態まで作動されるとき、該管状部材が、創傷処置材料を分与するために破裂する、請求項18に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項20】
外科用ステープル留め装置であって:
本体部分;
該本体部分の近位端で作動可能に支持される作動アセンブリ;
該本体部分の遠位端に作動可能に配置され、そして該本体部分からステープルの環状アレイを発射するために該作動アセンブリに作動可能に連結されているステープルプッシャー部材;
該ステープルプッシャー部材に向かうか、またはそれから離れる移動のための、該本体部分の遠位端に移動可能に取り付けられたアンビルアセンブリ;
該本体部分と該アンビルアセンブリとの間に、アンビルを環状の本体部分に向かうか、またはそれから離れる移動するために延びる接近アセブリ;および
創傷処置材料を標的手術部位に送達するための創傷処置材料分散システムを備え、
該創傷処置材料分散システムが:
該ステープルプッシャー部材中に提供されるニードル受容スロット中に退却可能に支持される複数のニードルであって、該外科用ステープル留め装置が発射されるとき、該ニードルが該標的組織を貫通し、そして創傷処置材料を分与するニードル;および
各ニードル受容スロットと関連する創傷処置材料の供給源を含む、外科用ステープル留め装置。
【請求項21】
前記創傷処置材料が、接着剤、シーラント、止血剤、および医薬の少なくとも1つである、請求項20に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項22】
前記創傷処置材料の供給源が、各ニードル受容スロット内に配置されたカプセルを含む、請求項21に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項23】
前記分散システムが、各ニードル受容スロット内に配置されたフィンガーを含み、前記外科用ステープル留め装置の発射に際し、該フィンガーが、該ニードル受容スロットを通って進行され、前記アンプルを破裂し、該ニードルを展開し、そして該ニードルを通じて前記創傷処置材料を押す、請求項22に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項24】
吻合外科用ステープル留め装置と組み合わせる使用のためのスプラッシュガードであって、該外科用ステープル留め装置が、標的手術部位に創傷処置材料を送達する形態であり、かつ適合され、該スプラッシュガードが:
該外科用ステープル留め装置のアンビルアセンブリのステムを受容するために、それを通る管腔を規定する中央ハブ;および
該中央ハブ上に支持され、そして少なくとも実質的にその周りで延びる環状のカフであって、該外科用ステープル留め装置のステープルラインの半径方向の外方に配置されるカフを備える、スプラッシュガード。
【請求項25】
前記環状のカフを前記中央ハブに相互連結する少なくとも1つのスポークをさらに備える、請求項24に記載のスプラッシュガード。
【請求項26】
少なくとも前記環状のカフおよび前記少なくとも1つのスポークが、生体吸収性材料から製作される、請求項25に記載のスプラッシュガード。
【請求項27】
前記環状のカフが凹状であり、そして上部リムおよび下部リムを規定し、該上部リムおよび該下部リムが、前記標的手術部位の外面と接触するような寸法である、請求項26に記載のスプラッシュガード。
【請求項28】
吻合外科用ステープル留め装置と組み合わせる使用のための創傷処置材料分散システムであって、該外科用ステープル留め装置が、ステープルプッシャー部材と対向して支持されるアンビルアセンブリを含み、該創傷処置材料分散システムが:
外側エッジおよび内側エッジを規定するディスクであって、それを通って形成される複数のアパーチャを含むディスク;
該ディスクの内側エッジに組み込まれて連結される少なくとも1つの環状の内壁、および該外側エッジに組み込まれて連結される環状の外壁;ならびに
該ディスクの面に配置される創傷処置材料、を備える、創傷処置材料分散システム。
【請求項29】
前記創傷処置材料が、接着剤、シーラント、止血剤、および医薬の少なくとも1つである、請求項28に記載の創傷処置材料分散システム。
【請求項30】
前記環状の内壁が、ステープルプッシャー部材の内方に位置決めするための形態および寸法であり、そして前記環状の外壁が、該ステープルプッシャー部材の外方に位置決めするための形態および寸法である、請求項28に記載の創傷処置材料分散システム。
【請求項31】
前記環状の内壁および前記環状の外壁が、前記ディスクの1つの側面に沿って配置される、請求項30に記載の創傷処置材料分散システム。
【請求項32】
外科的吻合手順を実施する方法であって:
本体部分に対して移動可能に取り付けられるアンビルアセンブリ、および創傷処置材料を標的手術部位に分与するための創傷処置材料分散システムを有する外科用ステープル留め装置を提供する工程であって、該創傷処置材料分散システムが:
創傷処置材料を外方方向に分与するように配向されるアンビルアセンブリ中に形成されたアパーチャ;および
該アンビルアセンブリのアパーチャと流体連通する創傷処置材料の供給源を備える、工程;
該アンビルアセンブリを第1の腸セクション中に配置し、そして該第1の腸セクションを該アンビルアセンブリに外科的に固定する工程;
該外科用ステープル留め装置の遠位端を第2の腸セクション中に配置し、そして該第2の腸セクションを該外科用ステープル留め装置の遠位端に外科的に固定する工程;
該アンビルアセンブリを、外科用ステープル留め装置の遠位端部分に連結する工程;
該第1の腸セクションと該第2の腸セクションとの間の内面に沿って創傷処置材料を分与するために該創傷処置材料分散システムを作動する工程;
該アンビルアセンブリを管状の該本体部分に向かって接近する工程、を包含する、方法。
【請求項33】
前記創傷処置材料が、接着剤、シーラント、止血剤、および医薬の少なくとも1つである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記創傷治癒材料が、前記アンビルアセンブリのアンビル部材およびアンビルステムの少なくとも1つから分与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記創傷処置材料が前記アンビルアセンブリのステム中のアンプル内に含まれる請求項34に記載の方法であって、前記創傷処置材料を該アンプルから放出し、そして該創傷処置材料を該アンビルアセンブリのアパーチャから分与するために前記外科用ステープル留め装置を発射する工程をさらに包含する、方法。
【請求項36】
前記創傷処置材料分散システムが、前記アンビルアセンブリのステム内に配置されたアンプルとの係合のための形態でかつ適合されるピストンを含む請求項35に記載の方法であって、前記創傷処置材料を該アンプルから放出し、そして該創傷処置材料を該アンビルアセンブリのアパーチャから分与するために該ピストンを進行する工程をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記分散システムが、前記アンビルアセンブリのステム上に支持され、そしてこれを実質的に取り囲む少なくとも1つのドレープを含み、該ドレープが、該ドレープが該アンビルアセンブリのステムに相対的に緊密に近接する非展開状態と、該ドレープが該アンビルアセンブリのステムに相対的に間隔を置かれた関係にある展開状態を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
創傷処置材料を分与する工程の前に、前記ドレープを展開する工程を包含し、該ドレープが展開可能な状態にあるとき、該ドレープが該創傷処置材料の分与を行う、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記アンビルアセンブリを前記外科用ステープル留め装置の遠位端部分に連結する工程の前に、該アンビルアセンブリのステムの上にスプラッシュガードを配置する工程をさらに包含する、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記スプラッシュガードが:
外科用ステープル留め装置のアンビルアセンブリのステムを受容するために、それを通る管腔を規定する中央ハブ;および
該中央ハブ上に支持され、そして少なくとも実質的にその周り延びる環状のカフを含み、ここで、該管状のカフが、該外科用ステープル留め装置のステープルラインの半径方向の外方に配置される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記スプラッシュガードが、前記環状のカフを前記中央ハブに相互連結する少なくとも1つのスポークをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1つの環状のカフおよび少なくとも1つのスポークが、生体吸収可能な材料から製作される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記環状のカフが凹状であり、そして上部リムおよび下部リムを規定し、そして前記スプラッシュガードが、前記アンビルアセンブリのステム上に配置され、かつ該アンビルアセンブリが前記外科用ステープル留め装置の遠位端部分に向かって接近されるとき、該管状のカフの上部リムおよび下部リムが、前記第1および第2の腸セクションの外面に接触するような寸法である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
外科的吻合手順を実施する方法であって:
本体部分に対して移動可能に取り付けられるアンビルアセンブリ、および創傷処置材料を標的手術部位に分与するための創傷処置材料分散システムを有する外科用ステープル留め装置を提供する工程であって、該創傷処置材料分散システムが:
ステープルプッシャー部材中に提供されるニードル受容スロット中に退却可能に支持される複数のニードルであって、外科用ステープル留め装置が発射されるとき、標的組織を貫通し、そして創傷処置材料を分与するニードル;および
各ニードル受容スロットと関連する創傷処置材料の供給源を備える工程;
アンビルアセンブリを第1の腸セクション中に配置し、そして該第1の腸セクションを該アンビルアセンブリに外科的に固定する工程;
外科用ステープル留め装置の遠位端部分を第2の腸セクション中に配置し、そして該第2の腸セクションを該外科用ステープル留め装置の遠位端に外科的に固定する工程;
該アンビルアセンブリを該外科用ステープル留め装置の遠位端部分に連結する工程;
該アンビルアセンブリを該管状の本体部分に向かって接近する工程;および
該複数のニードルを該第1および第2の腸セクションの少なくとも1つ注入し、そして該ニードルを通じて創傷処置材料を分与するために、該創傷処置材料分散システムを作動する工程、を包含する、方法。
【請求項45】
前記創傷処置材料が、接着剤、シーラント、止血剤、および医薬の少なくとも1つである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記創傷処置材料の供給源が、前記ニードルに近傍の位置にある各ニードル受容スロット内に配置されるカプセルを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記分散システムが、各ニードル受容スロット中に配置されるフィンガーを含む請求項46に記載の方法であって、前記カプセルを破裂するため、前記ニードルを展開するため、そして前記創傷処置材料を該ニードルを通って進行するために前記外科用ステープル留め装置を発射する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公表番号】特表2008−516698(P2008−516698A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537001(P2007−537001)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/037253
【国際公開番号】WO2006/044800
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(500329892)タイコ ヘルスケア グループ エルピー (94)
【Fターム(参考)】