スプレー吐出アセンブリ
推進剤により装置から吐出される液体を保持する、加圧されたまたは加圧可能な容器を備えるエアゾール噴霧装置用のスプレー吐出アセンブリが提供される。このスプレー吐出アセンブリは、容器内の流体とノズルとの間の流体流路内に挿入されるように適合されており、(i)少なくとも1つの入口と1つの出口とを有する進入路と、(ii)進入路に向かって吐出される流体を供給するための、進入路よりもノズルからの液体吐出方向の上流にある流管と、(iii)流管からの流体が通過し、進入路へその入り口を経由して噴流として噴出する、少なくとも1つの噴出開口と、(iv)進入路からの流体がその出口を経由して流入し、装置からスプレーとなって噴出する吐出開口と、を含み、進入路の出口は鋭い端部で囲まれ、かつ噴出開口は噴流をその端部へ向かわせるように構成されている。スプレー吐出アセンブリは、圧縮ガス推進剤または液化ガス推進剤のいずれかを有するエアゾール装置へ組み込むことができる。本発明の実施形態は“多泡性流”の生成を可能とする。これは、同じ直径で、流管の全体に亘って層構造のない理想的に均一な泡の流れが噴出開口の中へ入り、次にそこから多泡性流が泡で充満された乱流として流出し、それが(進入路の出口の周辺の)鋭い端部に強くぶつかってから吐出開口に入るようになっている。泡で充満された噴流と、それが鋭い端部に与える衝撃とが一緒になって、吐出開口の上流領域において内表面から流れが分離し、相対的な下流領域(位置は変動するが)において再付着する。この結果、非常に不安定な多泡性の乱流ができる。これは吐出開口の出口から出射する噴流が液滴へ噴霧化されるのに有益である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体製品(例えば空気清浄剤などの家庭用製品)をスプレーの形で吐出するためのエアゾールスプレー装置において、インサートとして使用するためのスプレー吐出アセンブリに関する。本発明は特に(ただしこれに限るものではないが)、液化ガス推進剤よりもむしろ圧縮ガス推進剤を利用したエアゾールスプレー装置へ適用しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にエアゾールスプレー装置は、吐出される液体を保持する容器と、バルブ構造を持った出口ノズルとを備え、容器内に供給された推進剤によってノズルから選択的に液体をスプレーとして吐出させる操作が可能である。
【0003】
“圧縮ガス推進剤エアゾール”と“液化ガス推進剤エアゾール”の2つが公知である。前者は、25℃および少なくとも50バールの圧力で気体である推進剤(例えば窒素ガス、二酸化炭素ガスまたは空気)を組み入れる。これらのガスはエアゾールスプレー装置内では液化しない。バルブ構造を開放すると、圧縮ガスがスプレー装置内の液体を前述のノズルから“押し出して”噴霧化させる。実際には、2つのタイプの“圧縮ガス推進剤エアゾール”がある。1つは、容器から(圧縮ガスによって“押し出された”)液体だけが出口ノズルに供給される。もう1つの基本的タイプは、容器からの推進剤ガスの一部がノズルに供給される液体中に混じり、そこで2相の、泡で充満された(“多泡性の”)流れが噴霧化されてスプレーを形成する。この後者の形式は前者よりもより細かなスプレーを形成できる。
【0004】
これに対し、“液化ガス推進剤エアゾール”は、(エアゾールスプレー装置内に)気相と液相の両方で存在し、液相に混和可能な推進剤を利用する。推進剤は、例えばブタン、プロパンまたはそれらの混合物であってよい。吐出時に、気相の推進剤が容器内の(溶解して液相の推進剤を含む)液体をノズルから“押し出す”。
【0005】
“液化ガス推進剤エアゾール”が“圧縮ガス推進剤エアゾール”よりもより微細なスプレーを形成できることは周知である。これは、前者においては液化ガスの大部分が、エアゾールスプレー装置から液体を吐出するときに“瞬間蒸発”するという事実によるものであり、この急速膨張が細かいスプレーを生じさせる。このような細かいスプレーは、上記の“圧縮ガス推進剤エアゾール”の2つの主要な方式のいずれにおいても通常実現することはできない。
【0006】
“圧縮ガス推進剤エアゾール”により生成されるスプレーの“微細さ”を改良する試みはいくつか行われてきている。これまでの提案には、容器内にある圧縮ガス(例えば窒素ガス)の一部を“抽気”させてこれを液体製品と混合させて“2流体噴霧化”を行うという方式が含まれている。これは例えば液体燃料燃焼などのスプレー技術の他の分野において微細スプレーを提供する技術として公知である。しかし、この2流体噴霧化技術を利用してエアゾールスプレー装置で微細スプレーを形成することは極めて難しいことが分かっている。そして最も可能性の高そうなのは、ガスの一部をバルブ内に抽気させる蒸気相タップと同様の手法であった(蒸気相タップ(VPT)は“液化ガス推進剤エアゾール”に利用されている)。しかし、スプレーの微細化を改良しようとする試みは、十分に有益な結果とはなっていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、上記の不都合を除去または軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、推進剤により装置から吐出される液体を保持する、加圧された、または加圧可能な容器を備えるエアゾールスプレー装置用スプレー吐出アセンブリが提供される。スプレー吐出アセンブリは、容器内の流体とノズルとの間の流体流路内に挿入されるように適合されており、(i)少なくとも1つの入口と1つの出口とを有する進入路と、(ii)進入路に向かって吐出される流体を供給するための、進入路よりもノズルからの液体吐出方向の上流にある流管と、(iii)流管からの流体が通過し、進入路へその入り口を経由して噴流として噴出する、少なくとも1つの噴出開口と、(iv)進入路からの流体がその出口を経由して流入し、装置からスプレーとなって噴出する吐出開口と、を含み、進入路の出口は鋭い端部で囲まれ、かつ噴出開口は噴流をその端部へ向かわせるように構成されている。
【0009】
本発明の第1の態様によるスプレー吐出アセンブリは、“圧縮ガス推進剤”型または“液化ガス推進剤”型のいずれかのエアゾールスプレー装置内にインサートとして利用可能である。したがって一実施形態において、本発明の第1の態様によるアセンブリは、温度25℃および圧力が少なくとも50バールにおいて気体である気体推進剤によって装置から吐出される液体を保持する加圧容器を備えるエアゾールスプレー装置のためのものである。この実施形態において、流管は、流管内に泡で充満された流れを生成するために容器から取得される液体と気体のための入口を有し、かつ、流管は泡で充満された流れを実質的に擾乱のない流れとして噴出開口まで導くように構成されている。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、容器内の推進剤により吐出される液体を保持する、加圧された、または加圧可能な容器と、本発明の第1の態様によるスプレー吐出アセンブリと、を備えるエアゾールスプレー装置が提供される。一実施形態においては、この容器は液化ガス推進剤を含んでもよい。別の好適な実施形態においては、容器は加圧されていて、この容器には、温度25℃および圧力が少なくとも50バールにおいて気体である気体推進剤により装置から吐出される液体が保持されていてもよい。
【0011】
後者の実施形態によるエアゾール装置は、“圧縮ガス推進剤エアゾール”であり、泡で充満された流れ(本明細書において“多泡性流”と称す)と噴出開口と鋭い端部と吐出開口とを備えることにより微粒スプレーを生成することが可能である。より具体的には、本発明の第1の態様のエアゾールスプレー装置において、多泡性流が生成されて、実質的に擾乱なしで噴出開口まで通過する。これは、流れの擾乱がないように流管を構成することにより達成することができ、これによって、実質的に噴出開口の上流端で生成されたような形で多泡性流が供給される。さらには、エアゾールスプレー装置内にあるバルブ構造が、生成された多泡性流に対して同様になんら実質的な影響を及ぼさないようになっていなければならない。噴出開口は、進入路の出口にある鋭い端部へ向かう、流体(液体と気体、すなわち多泡性流)の細かい噴流を生成する。流体の少なくとも一部がこの端部に当たって、吐出開口に入ってゆく。噴流と端部とのこの相互作用の結果、吐出開口の相対的に上流の領域において流れが吐出開口壁から分離し、吐出開口の相対的に下流の領域において壁に再付着する。分離と再付着とは非常に変動しやすい現象であり、これは流体流における泡と組み合わさって(泡は吐出開口における圧力降下を受けて膨張し、気体と液体の間の液体シートを破砕して微細なスプレーを形成する)、吐出開口の出口から吐出される液体を液滴に噴霧化するのに非常に有利である。
【0012】
分離/再付着の効果について、本発明の特定の実施形態との関連で以下においてより詳細に説明する(例えば図1、図2、及び関連する説明を参照されたい)。分離/再付着効果を実現するために、噴出開口がそこから出る流体を、進入路の出口付近の鋭い端部に突き当たるように方向づけることが必要である。分離と再付着は、適切な断面と長さの次元を持った吐出開口を利用することにより達成される。例えば、吐出される流体に渦を与えないようにするエアゾール内の円形断面の吐出開口に関しては、吐出開口は一般的に長さ対直径の比(l:d)が、少なくとも4(ただし一般的に15より大きくはない)となる。典型的には、l:dの比は少なくとも5、より好ましくは少なくとも6である。吐出される流体に渦を与えるエアゾールスプレー装置に対しては、違う値が適切であろう。
【0013】
好ましくは、噴出開口は複数個ある。例えば、そのような開口が3〜6個あってもよい。ただし一般的に4個が好適である。噴出開口は進入路に対して軸平行であってよい。あるいは、進入路の軸に対して傾斜していて、流体に対してある程度の渦を与えて、装置から吐出されるスプレーの角度を増大させるようにしてもよい。噴出開口の傾斜角は、進入路の軸に対して典型的には最大で30度まで(例えば最大で25度まで)であってよい。
【0014】
好ましくは、噴出開口の全断面積は吐出開口の断面積よりも大きい。
【0015】
進入路の出口の周りの鋭角は、少なくとも約270度の優角(例えば、270〜330度)で与えられる。ここで270度という値が特に好適である。理想的には、一点に収斂して端部を形成する面は、面同士の合流の前に“丸まったり”または“平坦化したり”することなしに収斂して、端部が丸くならないようにする。つまり、断面図で見た場合に、複数の面が実効的に“一点”に収斂する。しかしある程度の“丸め込み”や“平坦化”は容認されてよい。しかし、丸め込みがあるとしても、曲率は100マイクロメートルより大きくなく、理想的には25マイクロメートルより小さくなっているべきである。“平坦化”については、2つの収斂する面の直接に隣接する領域同士の間の(断面図で見た時の)ストリップ幅は、好ましくは50マイクロメートルより大きくなく、理想的には25マイクロメートルより小さい。
【0016】
本発明のある実施形態によれば、流管沿いに噴出開口に向かって供給されている液体流中に、容器内からガスが抽気または別の形で導入されて、多泡性流を形成する。好適な実施形態において、この流管は進入路と同じ断面形状をしている(好ましくは両方とも円形断面である)。(例えば浸漬チューブに沿って供給される)液体が流管の上流端に入り、ガスが容器の頂部空間から液体中に、理想的には流管の上流端から近い距離の所へ抽気されるように、流管は構成されている。ガスが流管中に注入される地点と、その出口(噴出開口への入口となっている)との間の距離は、典型的には流管の直径の5〜40倍である。流管は直線状で、進入路と共軸になっていてもよい。ただしこれは必ずしも必須ではなく、流管内の多泡性流を著しく変形させないような曲率であれば、進入路に向かって曲がっていてもよい。
【0017】
後でより完全に説明するが、本発明の実施形態は“多泡性流”の生成を可能とする。これは、同じ直径で、流管の全体に亘って層構造のない、理想的に均一な泡の流れが噴出開口の中へ入り、次にそこから多泡性流が、泡で充満された乱流として流出し、それが(進入路の出口の周辺の)鋭い端部に強くぶつかってから吐出開口に入る。泡で充満された噴流と、それが鋭い端部に与える衝撃とが一緒になって、吐出開口の上流領域で内表面から流れが分離し、相対的な下流領域で(位置は変動するが)再付着する。この結果、非常に不安定な多泡性の乱流ができる。これは吐出開口の出口から出射する噴流が液滴へ噴霧化されるためには有益である。
【0018】
本発明の特定の実施形態においては、スプレー吐出アセンブリがバルブステムを含んでいてもよく、このバルブステムは、バルブ構造が閉じて液体がエアゾールスプレー装置から吐出されない第1の限界位置と、吐出がある第2の限界位置との間を可動である。バルブステムは流管を含んでいてもよく、少なくとも1つの(流管に液体を供給するための)液体入口と、容器の頂部空間から流管内へガスを抽気させるための少なくとも1つのガス抽気口を持っていてもよい。バルブ構造は、離間して固定された第1と第2のシールを備え、その位置は、バルブステムの第1の位置において第1のシールがガス抽気口を閉じ、かつ第2のシールが液体入口を閉じるようになっていてもよい。バルブステムの第2の位置においては、ガス抽気口と液体入口がそれぞれのシールから移動して離れ、液体が供給され、ガスは流管内に抽気される。この構造は、バルブ構造が開放されている場合に多泡性流は本質的に変形されないようになっている。
【0019】
本発明の別の実施形態において(“圧縮ガス推進剤エアゾール”への適用として)、バルブ構造は“低損失”または“無損失”バルブ、すなわちバルブが開放されて流体が多泡性流構造を維持したまま通過する際に、バルブの前後での圧力低下が僅かしかないか、全くないバルブを備えていてもよい。そのような場合のすべてにおいて、低損失バルブまたは無損失バルブは、実効的にエアゾールスプレー装置の“オン/オフ”バルブであり、流管中、または流管と噴出開口との間に挿入されて、流管への液体入口とガス抽気口(“低損失バルブ”または“無損失バルブ”の上流にある)が常時開となっていてもよい。多泡性流は“低損失バルブ”または“無損失バルブ”の上流で生成され、“無損失バルブ”では、バルブが開放されているときに多泡性流の変化が本質的に全くないようになっている。
【0020】
本発明での使用に好適な低損失バルブを組み込んだバルブ構造の一例は、一定断面の内孔を持つバルブ部材を有し、これはバルブ構造が閉鎖している第1の位置と、内孔が流体流路の上流流路部分と下流流路部分とに整列してバルブ構造を完全に開放させる第2の位置との間を移動可能である。このような実施形態において、エアゾールスプレー装置は固定バルブステム(その中にバルブ部材が組み込まれている)を備え、かつバルブ部材は、アクチュエータによって作動される機構(例えばリンク機構)によって閉位置と開位置との間を移動する。バルブ部材はその第1と第2の位置の間を回転可能となっていてもよい。このタイプのバルブ構造の例としては、ボールバルブや、回転軸に対して内孔が横断方向にある円筒バルブが含まれる。さらなる例としては、バルブ部材は円筒形であり、内孔が回転軸に平行でかつ中心線からずれているバルブ構造がある。
【0021】
低損失バルブを組み込んだエアゾールスプレー装置のさらなる実施形態においては、バルブ構造を開放するためのアクチュエータ機構の動作により、流体流路の上流部分と下流部分とが相互方向に移動可能である。そしてその相対運動によって上流と下流の流路部分が互いに一致して、バルブ構造を開放とする。
【0022】
この実施形態において、バルブ構造は、例えばダックビルバルブを組み込んでいてもよい。このバルブは、エラストマa材料でできたフラップが互いに合わさるようになっており、ともに付勢されてバルブを閉状態に維持する。エアゾールスプレー装置では、ダックビルバルブは、これらのフラップが容器の内部に向かって収斂するように配向されていて、容器内の圧力によって閉じた状態に維持される。ダックビルバルブを(流体を吐出するために)開放するには、中を流体が流れる(下流流体流路部分の一部として提供された)チューブ状アクチュエータがスプレー装置のアクチュエータキャップ上に備えられてもよい。これは、キャップを押すことによって、アクチュエータの下端が相互に接しているフラップの内面に係合し、容器内のガス圧力に逆らってフラップを開けさせて、チューブ状アクチュエータが上流流路部分と整合するようになっており、この結果液体をスプレー装置から吐出できるようになる。
【0023】
この実施形態のさらなる可能性としては、バルブ構造に、一端が固定され、反対の端部が下流流路部分の下端内に取り外し可能に配置された栓のような形式のフラップが組み込まれていてもよい。この装置は、バルブ構造を開放するためにアクチュエータ機構を作動させると、栓が下流流路部の下端から移動して上流流路部に整合するようになっている。フラップは、例えば弾性材料からできていてもよい。
【0024】
本発明によるエアゾールスプレー装置に利用できる、低損失バルブを組み込んだバルブ構造のさらなる実施例は、上流と下流の流路部分を接続する柔軟性のある壁をもったチューブであってもよい。第1の位置に付勢されてこのチューブを押しつぶすチューブ閉止手段がバルブ構造の閉鎖構成を与え、アクチュエータにより作動可能なチューブ開放手段が、付勢力に抗してチューブ閉止手段を移動させて、バルブ構造の開放構成を与える。
【0025】
エアゾールスプレー装置における低損失バルブの利用に関するさらなる開示は、“エアゾールスプレー装置(Aerosol Spray Device)”という名称の我々の同時継続出願(2009年11月17日出願の出願番号第61/261 ,912号)に提供されている。参照により本開示が本明細書に組み込まれるものとする。
【0026】
前述のとおり、本発明の好適な実施形態は“圧縮ガス推進剤エアゾール”に関し、容器からのガスが、抽気もしくは別の方法で吐出される液体中に導入されて“多泡性流”を生成する。本発明はこのようなエアゾール方式の利点を活かすものである。ただし、前述の原理は、他の推進方式の加圧容器または加圧可能容器などを持つほかのエアゾール方式にも適用可能である。
【0027】
そのようなエアゾールスプレー装置の一実施形態は、“液化ガス推進剤エアゾール”であり、これは液体流中への抽気ガスを必要としないという点を除けば、上に述べた“圧縮ガス推進剤エアゾール”で概要を述べた一般原理に従って構築可能である。
【0028】
本発明の第2の態様によるエアゾールスプレー装置のさらなる実施形態は、容器から液体のみが排出される、圧縮ガスエアゾールである。そのような装置は、流管内の液体流中への抽気ガスを必要としないという点を除けば、上で述べた一般原理に従って構築可能である。
【0029】
好適には本発明によるエアゾールスプレー装置が、上部および下部にリセス(チャンバ)を持つ形状をしたアクチュエータキャップを有し、これは進入路と共軸であり、また噴出開口が形成された仕切りによって分離されている。そのような構造においては、上部チャンバにインサートが備えられ、吐出開口並びに進入路の一部が組み込まれる。これはインサートをリセスに挿入して、仕切り要素が進入路の“後壁”を形成するようにして完成される。液体流を噴出開口へ提供する流管が、アクチュエータキャップの下部リセスに配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明を、添付の図面を例示としてのみ参照してさらに説明する。
【図1】本発明の第1の態様によるスプレー吐出アセンブリの概略模式図である。これは本発明の第2の態様によるエアゾールスプレー装置に利用される。
【図2a】図1に示すスプレー吐出アセンブリの動作を模式的に示す図である。
【図2b】図1に示すスプレー吐出アセンブリの動作を模式的に示す図である。
【図3a】本発明によるエアゾールスプレー装置の第1の実施形態を模式的に示す図である。
【図3b】第1の実施形態の別の詳細図である。
【図4】図3のスプレー装置に組み込まれたスプレー吐出アセンブリ(インサート)の詳細図である。
【図5】スプレー吐出アセンブリ(インサート)の変形構造図である。
【図6】スプレー吐出アセンブリ(インサート)の変形構造図である。
【図7】スプレー吐出アセンブリ(インサート)の変形構造図である。
【図8】本発明によるエアゾールスプレー装置の第2の実施形態を示す図である。
【図9】本発明によるエアゾールスプレー装置の第3の実施形態を示す図である。
【図10】本発明によるエアゾールスプレー装置の第4の実施形態を示す図である。
【図11】代替の‘2バルブ’バルブ構造を模式的に示す図である。
【図12】別の代替の‘1ガスケット’バルブ構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
先ず図1を参照する。これは、加圧されたエアゾール容器内に保持された液体を、細かいスプレーとして吐出させる、本発明で用いる原理を模式的に示すものである。
【0032】
図1は、エアゾール缶(図1には詳細は示さず)のための出口構造1001を示す。図1に示すように、出口構造1001は一体部品として示されている。ただしこれは単に簡単のためだけであり、出口構造1001は個別部品で形成されたものが組み合わされて、一体出口構造1001と同一の機能を提供してもよいことは理解されるであろう(そしてこれは図3以降の実施形態として示されている)。
【0033】
出口構造1001は本体1002を備え、本体1002は、噴出開口1005を介して細長の円筒形流管1004と連通する円筒形の進入路1003を内部に画定する。本体1002はまた、吐出開口1006を有し、その出口端1007(図1の右側の端)からエアゾール動作時にスプレーが吐出される。進入路1003、流管1004、吐出開口1006は、互いに共通の軸上にある。
【0034】
流管1004の上流端(すなわち、図1の左側の端)には液体入口1008が形成され、エアゾールの吐出時にはここを通って(エアゾール容器内部から)液体が流れる。図に示すように、液体入口1008は流管1004と同じ軸上にある。さらに流管1004には、液体入口1008の下流領域に(すなわち、図1において液体入口の右側に)、エアゾール吐出時に流管1004内にガスが漏れ込むガス抽気口1009が備えられている。流管1004と共軸になっている入口1008とは違って、入口1009はその軸に対して垂直方向にガスを流管1004内に漏れ込ませる。ただし、他の入口角度が用いられてもよい。例えば、上流から液体へ45度の角度で注入されてもよい。
【0035】
この後の説明をわかりやすくするために、図1の進入路1003の、噴出開口1005の出口(下流)端に対向する壁の部分を参照番号1010として識別する。また、進入路1003の出口(これは吐出開口1006の入口でもあるが)は、参照番号1011とする。
【0036】
以下での説明のために、(進入路1003の)壁1010から吐出開口1006への移行部(すなわち進入路1003の出口1011の領域)は、進入路の内部で優角270度であることに留意されたい。この移行部は、進入路1003の出口1011において鋭い端部1012を成している。
【0037】
出口構造1001が、(例えば、図示されていないアクチュエータボタンを押すことによる)エアゾールスプレー装置の吐出時に、どのようにしてスプレーの生成に作用するかを、図2aに模式的に示す。吐出時には、エアゾール容器内部からの液体が入口1008を通って流管1004内に流れ、同時に、容器内の頂部空間からガスがガス抽気口1009を通って流管1004内部へ漏れ込む。
【0038】
ガスが液体中へ漏れ込むと、流管4内部に泡で充満された流れ(“多泡性流”)が生成される。これは、出口構造1の内部構成により、類似直径の均一な泡の流れであり、流管の全体に亘って層構造がなく、噴出開口1005を通ってそこから多泡性流が、泡で充満された乱流として流出し、それが鋭い端部1012にぶつかって吐出開口1006に入る。これは図2bにも示されており、噴出開口1005から流出するジェット流はある角度(例えば少なくとも20度)で拡がることが分かる。このことは、噴流が進入路1003への出口で鋭い端部1012に衝突するためには、噴出開口を単純に吐出開口の中へ向くようにするのではなく、むしろ噴出開口を中心線からずらせてよいことを意味している。
【0039】
泡で充満された噴流とそれが鋭い端部1012にぶつかることとが組合わされて、吐出開口1006の上流領域において流れが吐出開口の内表面から分離する。この吐出開口1006は、流れが下流において壁に再付着するような長さとなっている。この分離と再付着は動的な過程であって、再循環領域内で気泡1014が連続的に成長し、それがはじけるか下流に移動して新しい気泡の形成が開始される。この結果、非常に不安定な多泡性の乱流ができ、これは吐出開口1006の出口1007から出現する噴流が液滴へ噴霧化されることに対して非常に有益である。
【0040】
吐出開口1005からの噴流は次のような現象を与えることにも留意されたい。
【0041】
それは入口端部において局所的に高速度となり、それによって吐出開口1006内部の分離流の領域の大きさが増大する。
【0042】
これにより多泡性流の乱流の度合いが増大し、吐出開口1006内の分離領域の不安定な分離と再付着を増大させる。
【0043】
これらは泡のさらなる分離をひき起こす。
【0044】
出口構造1001においては、多泡性流は、気泡を合流させまたはガスを多層化させる(従来のエアゾールバルブのような)装置を貫通するわけではない、ということにも留意されたい。
【0045】
出口構造1001が説明通りに確実に動作するために、次のような基準を設けてもよい。
【0046】
進入路1003は直径が0.5〜3mmで、長さが0.5〜2mmである。直径と長さは、0.5〜2mmの範囲で同じであってもよく、好ましくは両者ともに約1mmである。
【0047】
流管1004の直径は、進入路1003の半分から2倍であってよい。流管1004の直径は好ましくは進入路1003の直径と等しく0.5〜2mm、好ましくは0.75〜1.25mmであってよい。流管1004の長さは、直径の5〜40倍の範囲であり、より好ましくは5〜15倍の範囲である。理想的には直径の5〜10倍の長さである。
【0048】
噴出開口1005に関しては、それぞれが0.1〜0.5mmの直径の開口が通常2〜10個ある。これらの噴出開口は好ましくは直径が同じで、及び/又は間隔も同じである。噴流開口の全体の断面積は、吐出開口の断面積の1〜4倍の値の範囲にあるべきである。通常、噴出開口の数は3〜6の範囲であり、直径0.25mmで4個が特に好ましい。
【0049】
吐出開口1006は、一般に0.15〜0.75mmの間の直径、より好ましくは0.25〜0.5mmの直径を持つ。吐出開口1006の長さは理想的には直径の4〜12倍である。好ましくは、吐出開口1006は直径が0.3mmであり、長さが2mmである。
【0050】
ガス抽気口1009は好ましくは0.1〜0.5mm、より好ましくは0.15〜0.25mmの直径である。通常、この入口は最大2個である。
【0051】
次の表に一例として、図1に示すインサート1001の具体的な寸法を記す。これらの寸法は、空気清浄スプレーに使用されるインサート1001に特に好適である。
【表1】
【0052】
上記の表に詳細を記した好適な実施形態に関しては、4個の噴出開口1005があり、それぞれが軸方向に対して25度の角度を成してある程度の渦を与える。各開口の中心は、直径0.5mm(ピッチ円直径)の円周上にある。
【0053】
多泡性流は、流管1004中の流れの滞在時間を十分に短くして、気泡の凝結や層状化が起きないような速度でなければならない。典型的には流れは0.5〜5m/sの範囲にあるべきである。上記の表にまとめたエアゾールスプレー装置の好適な実施形態に関しては、速度は1.0m/sである(これは直径1mmの進入路を通る0.8ml/sの流速に等しい)。(これは近似的な速度であって、流管1004中を流れる流体の体積の半分までは気体の泡であることを考慮に入れていない。従って実際の流速はむしろ2m/sに近いことに留意されたい。)
【0054】
多泡性の進入流は圧力が1〜20バールであるべきであり、民生用エアゾール缶に関する好適な実施形態においては、4〜12バールである(圧縮ガスエアゾールに関しては缶の中身が減っていくとこの圧力は下がる)。詳細を前に述べたエアゾールスプレー装置の好適な実施形態では、気体の初期圧力は12バールであるが、加圧容器内の全液体がスプレー放出されてしまうと、約4.5バールに減少する。
【0055】
流管1004中の多泡性流に含まれる液体中の気体の体積比は、この流管の圧力では0.2〜4の間であり、圧縮ガスエアゾールで使用される好適な実施形態においてはこの比は0.3〜1.5の間である。上で概略を述べた好適な実施形態に関しては、この体積比は、加圧容器が液体で完全充填されている場合の0.35から、容器がほぼ空の場合の約1.0まで上昇する。
【0056】
上記の圧力と体積比は、気体が膨張して吐出開口1006を通過する際に、出てくる気体と液体の体積比が1.0〜6.0の間にあることを必要とし、そのような比の範囲は、通常使用される圧縮ガスエアゾール缶において得られるものである。
【0057】
入口1009を通って抽気される気体の量は、液体の量の4〜8倍(大気圧条件下の数値を利用して)であってよい。数値が高ければ缶の圧力は急速に減少し、缶の全圧が消費されても液体が残ることになる。
【0058】
図1で示した実施形態において、噴出開口1005は進入路1003と流管1004の軸に平行となっている。しかし、噴出開口を(軸方向に対して例えば最大30度までの)小さい角度で傾斜させることは、スプレーの“円錐角”、すなわち、出口開口付近でのスプレー境界線の間の角度を増大させるために利用できる。この“円錐角”は、噴出開口1005の傾斜角を大きくすれば大きくなるが、予測は難しい。噴出開口1005を傾斜させなければ、“円錐角”は約20度であるが、噴出開口1005を(上記の実施形態で述べたように)25度に傾けると、約30度の“円錐角”となり、かつ、特に低圧のときに、スプレーの中心にスプレー密度の高い領域ができる傾向がなくなる。
【0059】
これまで図1と図2a、2bに関連して説明した実施形態は、ガスが入口1009から抽気されて動作する。ただし、図1と図2a、2bに示す構造を変更して、ガスの抽気なしで機能させることは可能である。その場合にはガス抽気口1009が省略される。
【0060】
この場合には、噴出開口は高速の液体噴流を出口開口の入口の鋭い端部へ送達する。
i.これにより出口開口において局所的に流れの分離が起きる可能性が増す。
ii.これは乱流を生成する(出口での噴霧化に有効)。
【0061】
噴出開口が軸方向に対して(例えば25〜35度の)角度がつけられていれば、少量の渦によって、飛び出す乱れた液体が半径方向に素早く分散させられて噴霧化が大きく改善され、完全な円錐スプレーを実現できることが分かる。これは、民生用エアゾールに多く利用されている“渦式噴霧器MBU”(機械的分離ユニット)とは本質的に異なる。これは、円錐状の薄い液体シートを形成してそれを液滴に分離することを目指している。
【0062】
次に、エアゾールスプレー装置のいくつかの特定の実施形態について説明する。以下の説明において、「上方」、「下方」と称するのは通常の動作位置で表示されている図中の装置に対してのものである。説明において、“休止”位置というのは装置がスプレーを放出していない位置のことである。
【0063】
図3aは本発明によるエアゾールスプレー装置1の第1の実施形態を通常の“休止”位置で示したものである。装置1は加圧された容器2を備え、その上部にエアゾールバルブアセンブリ3が組み込まれている。これは図に模式的に示すように、容器2の頂部にクリンプ(縁曲げ)されている。容器2の内部には、液体があり、これが窒素ガスや空気や二酸化炭素ガスなどの加圧ガスによって装置から吐出される。このガスは液体5には限られた溶解性しか持たず、容器2の頂部空間6にある。頂部空間6にあるガスは、例えば、使用される容器の種類に依存するが、初期圧力が9または12バールである。
【0064】
バルブアセンブリ3は、概ね円筒形で、軸方向に移動可能なバルブステム7を備えている。このバルブステムの下端は、容器2の内部にある円筒ハウジング8内に位置し、その上端はキャップ9の形態をしたアクチュエータに嵌合している。このキャップ9は、仕切り12で分離された上部共軸円筒リセス10と下部共軸円筒リセス11とで形成されている。下部共軸円筒リセスのチャンバ11は上部共軸円筒リセスのチャンバ10よりも直径が大きく、キャップ9をバルブステム7の上端に配置する役目をしている。上部チャンバ10内部にはスプレー生成用インサート13がある。これについては以下で詳述する。
【0065】
大まかに言えば、エアゾールは、キャップ9を押し下げてバルブステム7を下方向へ移動させ、それによってインサート13からスプレーが吐出されることにより動作する。スプレーの生成方法は、以下で詳述する。
【0066】
図に示すように、バルブステム7は、容器2の上端にあってバルブステム7の下部突出部15を取り巻くコイルばね14によって、容器の上方向に付勢されている。コイルばね14の下端は、円筒ハウジング8の下部壁17内の開口16の周りにある。壁17からチューブ状の差込口18が下がり、その下端壁の拡大端部19が容器2の底まで延びている浸漬チューブ20と嵌合している。容器2の下部部分は、浸漬チューブ20、差込口18、および開口16(これはハウジング8への液体入口となっている)を介して、ハウジンング8の内部と連通していることは図面から分かるであろう。
【0067】
この後の説明で理由が明らかになるが、バルブステム7の外径はハウジング8の内径よりも少し小さくなっており、バルブステム7とハウジング8との間に環状の隙間が画定される。
【0068】
ゴムまたは別のエラストマ材料でできた環状ガスケット22、23がハウジング8の上部と中央部にそれぞれ備えられ、バルブステム7の外部表面を密閉する寸法になっている。以下でさらに説明する装置の理解を助けるために、前述の環状の隙間は21aと21bの2つの部分に分割されて示されている。環状空隙の部分21aは、2つのガスケット22と23の間にあり、一方、環状空隙の21bの部分はガスケット23の下にある。2つのガスケット22と23の間のハウジング8の壁には複数のポート24が形成されていて、頂部空間6の加圧ガスと環状空隙21aとの間を連通する。
【0069】
バルブステム7の内部には、流管25と液体供給チャンバ26とが形成されており、これらはバルブステム7と共軸になっている。流管25はバルブステム7の上端から、その50%以上の長さに亘って延びている。液体供給チャンバ26は流管25の下にあって、流管25より直径は大きく、長さははるかに短くなっている。流管25とチャンバ26は同じ軸上にある通路27によって相互に連通している。
【0070】
2つの液体供給通路28が液体供給チャンバ26から横方向に延びて、バルブステム7の外部表面に開口している。同じように、2つのガス抽気口通路29が流管25から横方向に延びて、バルブステム7の外部表面に開口している(ただし、この入口が1つしかない構造もまた実際的であり、その一例が図3bに示されている)。図1に示すエアゾールの“休止”状態では、通路27は上部ガスケットで密閉され、通路28は下部ガスケット23で密閉されている。通路28、29の断面およびこれらの通路間の軸方向間隔、並びに、上部ガスケット22、下部ガスケット23の寸法とによって、バルブステム7が押し込まれるとガス抽気口通路29が、液体供給通路28と同時に(あるいはより好ましくはその直前に)開放される。通路28、29が開放される効果については後でさらに述べる。
【0071】
上で述べたように、アクチュエータキャップ9の上部共軸円筒リセス10にインサート13が備えられている。インサート13は図4に(拡大されて)示されているが、インサートの下端で開放されている進入路30と、進入路30よりも直径の小さい吐出開口31とを備え、吐出開口は進入路から上に延びて(しかもそれと共軸となって)インサート13の上端で開放されている。進入路30と吐出開口31との間には、急激な変化を与える直角の(鋭い)端部32があることに留意されたい。
【0072】
仕切り12の内部にはいくつかの(例えば4つの)噴出開口33が形成されており、これが(バルブステム7内の)流管25とインサート13の進入路30との間を連通させる。
【0073】
理解を助けるために、図3a、4のエアゾールスプレー装置の特定の構成部品と、図1に示した出口構造1001の対応する部品との相関を次の表に示す。
【表2】
【0074】
この表に特定された図3aの構成部品は、対応する図1の構成部品と同一の寸法であってよいことは理解されるであろう。この寸法に関してはすでに詳細を述べた。
【0075】
図3a、4を参照して説明された装置の動作を次に説明する。
【0076】
装置1を動作させるには、アクチュエータキャップ9を押し込んで、バルブステム7をばね14の付勢力に逆らって下方向に移動させる。その結果、ガス抽気口通路29がガスケット22からずれて、圧縮ガスが頂部空間6から(ハウジング8の壁にある)ポート24、環状空隙21a、及びガス抽気口通路29を通って流管25へ入ってくる。ガス流が生成されるのと同時に、または好ましくはそのわずか後に、1つまたは複数の液体入口通路28が、下部ガスケット23を通り過ぎることによって開放される。こうして液体5が浸漬チューブ20に沿って上方向に通過し、開口16からハウジング8へ入り、環状空隙21bを通り、液体入口通路28を経由して、液体供給チャンバ26に流入することができる。液体供給チャンバ26へ導入された液体5は、通路27を通って流管25へ入り、そこで通路29から抽気された圧縮ガスと混合される。その結果、同じような直径を持ちかつ凝結や層状化のない均一な気泡の流れが流管25内に形成され、流管25に沿って、そして仕切り12内に形成された噴出開口33を通って流れる。これらの開口33は進入路30内に液体と気泡の噴流を生成し、それを鋭い端部32に向かって進ませる。図1と図2に関連して前述した出口構造1の場合のように、インサート13の幾何形状と、流管25の下流端における多泡性流の特性とが相俟って、気泡で充満された多数の乱流となった噴流が生成され、それが鋭い端部32にぶつかる。その様子を図4に示す。これらの噴流が生成された結果、流体(液体とガス)は吐出開口31に沿って、開口31の第1の部分の壁から流れが分離するようになって移動する。この開口31は、流れが下流において壁に再付着するような長さとなっている。分離と再付着は、非常に変動性の高い現象であり、開口31の出口から出てゆく噴流を液滴に噴霧化するのに好都合である。その結果装置から液体の微細なスプレーが得られる。さらに、通路30の出口での変動が、はっきりしたシューッという音を発生させる。このような音は現行の液化ガス推進剤エアゾールでは鳴ることが期待されているので、エアゾールのユーザにとっては“魅力的”とみなされる。
【0077】
次に図5〜7を参照する。そこには、吐出開口31に沿う流体流が非常に変動して分離と再付着を与える、インサート13の変形例が示されている。便宜上、図3aの部品と同等の図5〜7の部品に対しては同じ参照番号を付した。ただし図5の実施形態の場合には(’)、図6の実施形態の場合には(’’)、図7の実施形態の場合には(’’’)の添え字を付した。
【0078】
図5の実施形態において、図4の構造で用いられた直角の端部32は、進入路30’と連通する再循環チャンバ41で囲まれた、チューブ状の円錐形状40の先端の周りの尖端32’で置き換えられている。図5から分かる通り、吐出開口31’は円錐形状40の先端から部分的に始まっている。この尖端32’は吐出開口31’内での流れの分離生成を支援し、したがってスプレー生成を助長する。
【0079】
図6に示す実施形態は、図5と類似しているが、吐出開口31’’が長さ方向の途中で突然直径が小さくなっている点が違っている。したがって、開口31’’は下流部分(ここでは便宜上31’’dとする)よりも直径の大きい上流部分(便宜上31’’uとする)を持っている。例として、上流部分(31’’u)と下流部分(31’’d)の直径は、それぞれ、(i)0.5mmと0.3mm、または(ii)0.3mmと0.2mmである。
【0080】
吐出開口31’’の全体の長さが十分であるとすると、流れは分離した後、開口の上流部分31’’u内で再付着する。これは乱流生成には有利であり、そうすると下流部分31’’d内において非常に乱れた状態が保持されて、良好な噴霧化が得られる。
【0081】
図7の実施形態においては、噴出開口33’’’は軸方向に対して(例えば最大30度)傾斜しており、多泡性流の分離と再付着による高度の乱流の有用な効果を維持したまま、全体の流れの中に比較的少量の渦を形成するようになっている。この渦は装置から吐出されるスプレーの角度を大きくすることができる。吐出されるスプレーの中心には大きな液滴が形成される傾向があり、特に、例えば容器の圧力が5バールにまで下がったような低圧において形成されやすいが、上記の少量の渦によってこの傾向がなくせることがわかっている。
【0082】
図8はスプレー装置101の一実施形態を示す。これは図3aと4を参照して説明した装置と同一の原理で動作する。図3aと4の装置1と等価である、スプレー装置101の構成部品は、同一番号に100を加えて表示されている。したがって、例えば図8の装置101は、図3aの装置のバルブアセンブリ3と等価なバルブアセンブリ103を持つように表示されている。
【0083】
図8の装置は図1の装置に用いられているものよりも大きなアクチュエータキャップ109を収納するように構成されている。これは比較的大きなキャップの利用が業務用に要求されることが多いからである。これは、(噴出開口133を経由して)インサート113に供給する“多泡性流”を生成する流管が、バルブステム107とアクチュエータキャップ109とでそれぞれ部分的に形成される構造による、図8の実施形態で実現される。より具体的には、流管の上流部分125uはバルブステム107中に形成され、下流部分125dはキャップ109の通路150に形成される。この通路150は、キャップ内の下部リセス111と噴出開口133との間の連通を提供する役目をする。バルブステム107にはもう1つのチャンバ151が形成されて、液体供給チャンバ126と流管125dへの液体入口128との間を連通させる。さらに、図3aのエアゾールスプレー装置に用いられた横方向ガス抽気口29は通路152で置き換えられる。これはバルブステム107の外表面からチャンバ151に向かって内方向に延び、それから直角に曲がってチャンバ151と平行に通路128を越える位置まで延び、そこで内側に曲がって、流管の上流部分125u(バルブステム107内部の)と連通する。
【0084】
このような構造により、図8の装置は、図3aの実施形態の場合よりも大きなアクチュエータキャップ109を収納することが可能となる。
【0085】
これまで図3aと図8とを参照して説明した本発明の実施形態において、流管25内部へのガスと液体のオン/オフ制御は、ガスケット22/122と23/123に対する通路28/128と29/129との相対位置によって制御される。ただし、前述したように、所要の気泡流が流管内で生成され、流れの分離と再付着のためにインサートに送られさえすれば、他の構造であってもよい。その変形構造の1つを図9に示す。図3aの実施形態と類似の部品は、同一参照番号に200を加えたもので識別する(例えば、アクチュエータキャップは209で表示する)。
【0086】
図9の実施形態において、流管225の上端はチャンバ250の中に開放されており、そこには、いわゆる“ダックビル”バルブ251が収納されている。これはエラストマ材料でできていて、アヒルのくちばしのように開閉する1対のフラップを備えている。より具体的には、フラップはバルブの閉位置に向かって弾力で戻り、そこでフラップ同士が合体してバルブを閉じる作用をする。ダックビルバルブは一方向バルブとして機能する。通常は閉止していて、閉じたフラップの内面に適当な力が印加されると開放される。好適なダックビルバルブはMinivalve International社から入手できる(www.minivalve.com参照)。本実施形態の目的に対しては“ダックビル”バルブは下向きである。こうして、バルブは容器内の圧力によって閉じた状態に保持され、アクチュエータキャップが押し込まれると開放される。この目的のために、バルブステムは下部分207lと上部分207uで形成されており、下部分は容器に対して固定されており、上部分がアクチュエータ209と関係して連動するようになっている。バルブステムの2つの部分207lと207uとの間にあるコイルばね252が、バルブステム上部分207uとアクチュエータ209を容器から上方向に離れるように付勢する役目をしている。チューブ状の突起253が上部バルブステム部207uにあって、その上端が仕切り212にある噴出開口に接し(かつ連通し)ていて、その下端はダックビルバルブ251の上部の開放端内に位置している。アクチュエータ209(及びバルブステム207u)がその上端へ付勢されると、ダックバルブ251は閉じる。
【0087】
さらには、バルブステム207は、図3aの装置に使われているバルブステム7に比べて少し変形されている。具体的には、
(i)下側のガスケット23と液体供給通路28がなくなり、流管225への液体流入を制御するバルブはない。
(ii)液体は、浸漬チューブ220、チューブ差込口218、及びチャンバ226を経由して流管225へ直接供給される。
(iii)ガス抽気口229はシール222で塞がれるのではなく、容器の頂部空間と常に連通している。
【0088】
図9に示すエアゾールスプレー装置を作動させるためには、アクチュエータ209がコイルばね252の付勢力に抗して下方向に押されて、それに関係するチューブ突起253もまた下方向に移動して、図9の挿入図に示すように、“ダックビル”バルブ251のエラストマフラップを移動、分離させてバルブを開くように作用する。こうして液体が上方向に流れて流管225内へ入ることができ、そこでガス抽気口229から供給されたガスと混合されて、本発明の別の実施形態に関して既に述べたような方法で“多泡性流”が生成される。
【0089】
上記のように、図9の実施形態には流管に入る液体のための分離バルブがない。したがって、ダックビルバルブの下の液体は常に同一圧力であり、加圧容器内の圧力に等しい。この実施形態の利点は、この液体分離バルブがないことと、流れを完全にオン・オフするために“無損失”のダックビルバルブを利用するので、バルブとアクチュエータを通ってインサート213へ流れる際の液体流は実効的にエネルギー損失を受けない、ということである。これは図3aに示す実施形態よりも有利な点である。ただし図3aの実施形態は、非常に単純であるという利点を持っている。
【0090】
図10は、本発明による装置のさらなる実施形態を示す。図3aの実施形態の部品に対応する図10の装置の構成部品に対しては、図3a中の参照番号に300を加えたもので表示する。図10の装置は、“低損失”のオン・オフバルブを利用した図9に示す装置と、同じ原理で動作する。図10の実施形態では、オン・オフバルブはボールバルブ351であり、これはアクチュエータキャップ309を押し込むと、レバーとピボット構成352によって動作する。低損失の円筒バルブも同様の機能を提供する。より具体的には、ボールバルブ352は中心孔354にボール353を持ち、これはアクチュエータキャップが押し込まれると流管325およびアクチュエータキャップ内のさらなるチャンバ356に整列して、スプレーの吐出を可能とする。
【0091】
図10の実施形態において、“流管”は、(ボールバルブの)孔354を介して連通している場合には、チャンバ325と356で構成されていると考えることができる。ここで孔354そのものも流管の一部を形成すると考えられる。
【0092】
図11と12は、MBUインサートへ送達される、気泡で充満された流れを生成するための変形構造を示す。
【0093】
図11の構成は、(エアゾールスプレー装置の休止状態において)通路28が、通路28の上と下に各1つある2つのOリングによって液体5から隔離されていることを除けば、図3の構成と同様である。バルブステム7が押し込まれると、通路28が下のOリング60を通り過ぎてバルブハウジング内の高圧液体にさらされ、その結果、液体が流管内部に入る。ガス抽気口は前述のものとまったく同じように機能する。
【0094】
図11の実施形態は1つの液体入口通路27が下端から共軸で流管68に入っているように示されているが、2つ以上の液体入口が流管の下部の側壁内に形成されることも可能であることを理解されたい。さらには、(流管68へ液体入口27を提供する)チャンバ26は2つの通路28を経由して液体を供給されるように示されているが、バルブステムが変形されて、チャンバ26と液体入口27を省略して、通路28が適切な断面となっていればそこを経由して流管8に直接供給されるようにすることも可能である。
【0095】
図12の構成においては、下側のシール(環状ガスケット)23を省略し、バルブステム7とハウジング9を変形して、残りの1つのシール23で構成が機能するようになっている。より具体的には、バルブステム7が流管68に対してガス抽気口71と液体入口72とを組み込んでいて、これらはそれぞれ図3の通路29及び28と同様に機能する。図12に示すように、エアゾールスプレー装置の休止状態ではガス抽気口71がシール23で閉じられ、そこから離れながら上方向に延びている。液体入口72は折れ曲がった構造となっていて、流管68と共軸の短い部分の先に、シール23へ向かって上方向に延びる部分がつながり、シール23で閉じられるようになっている。あるいはまた、入口72は流管68の側面へ直接入って行ってもよい。別の実施形態においては、第2の入口71は流管68に対して直交していてもよく、またさらなる実施形態では、第1の入口72と第2の入口72のいずれも流管68と同じ直交面で流管68に入ってもよい。さらには、ハウジング9の一部が変形されて、ガス抽気口71が外表面に口を開いているバルブステム7の付近で密接した滑りばめができるようになっている。さらに、ガス供給ポート73(図1のポート24と等価)は、バルブステム7が押し込まれたときに、その出口端部がガス抽気口71内に直接供給するように構成されている。これらの配置はガスが容器の頂部空間から液体入口72へ漏れることを防ぎ、または液体がガス入口71へ漏れることを防ぐ。このような漏れを可能な限り防止することは望ましいことではあるが、容器2の中ではガスも液体も本質的に同じ圧力であるので、これは大きな問題ではない。
【0096】
図12の実施形態は様々な利点を有している。特に、これは部品点数が少なく、その結果、材料、製造および組立のコストを低減できる。さらに、これは従来の液化ガス推進剤エアゾールバルブと同じ全体寸法での製造に適する寸法で容易に製造することができる。
【0097】
図示した実施形態に対して様々な変形が可能であることを理解されたい。したがって例えば、図11に示したスプレー装置の実施形態は、ガス抽気口と液体供給入口のそれぞれが2つ以上あってもよい。より一般的に言えば、本発明によるスプレー装置の実施形態は、1〜6個のガス抽気口を持っていてもよく、好ましくは断面積の合計が、直径0.15〜0.7mmの1つの入口に等しくなっている。同様に液体入口も、直径0.15〜0.7mmの1つの入口に等しい全体断面積を持つ1〜6個であってよい。
【0098】
さらには、実施形態のあるものでは4つの渦流路を示したが、より一般的にはその流路
を1〜8個持つインサートを利用することが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体製品(例えば空気清浄剤などの家庭用製品)をスプレーの形で吐出するためのエアゾールスプレー装置において、インサートとして使用するためのスプレー吐出アセンブリに関する。本発明は特に(ただしこれに限るものではないが)、液化ガス推進剤よりもむしろ圧縮ガス推進剤を利用したエアゾールスプレー装置へ適用しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にエアゾールスプレー装置は、吐出される液体を保持する容器と、バルブ構造を持った出口ノズルとを備え、容器内に供給された推進剤によってノズルから選択的に液体をスプレーとして吐出させる操作が可能である。
【0003】
“圧縮ガス推進剤エアゾール”と“液化ガス推進剤エアゾール”の2つが公知である。前者は、25℃および少なくとも50バールの圧力で気体である推進剤(例えば窒素ガス、二酸化炭素ガスまたは空気)を組み入れる。これらのガスはエアゾールスプレー装置内では液化しない。バルブ構造を開放すると、圧縮ガスがスプレー装置内の液体を前述のノズルから“押し出して”噴霧化させる。実際には、2つのタイプの“圧縮ガス推進剤エアゾール”がある。1つは、容器から(圧縮ガスによって“押し出された”)液体だけが出口ノズルに供給される。もう1つの基本的タイプは、容器からの推進剤ガスの一部がノズルに供給される液体中に混じり、そこで2相の、泡で充満された(“多泡性の”)流れが噴霧化されてスプレーを形成する。この後者の形式は前者よりもより細かなスプレーを形成できる。
【0004】
これに対し、“液化ガス推進剤エアゾール”は、(エアゾールスプレー装置内に)気相と液相の両方で存在し、液相に混和可能な推進剤を利用する。推進剤は、例えばブタン、プロパンまたはそれらの混合物であってよい。吐出時に、気相の推進剤が容器内の(溶解して液相の推進剤を含む)液体をノズルから“押し出す”。
【0005】
“液化ガス推進剤エアゾール”が“圧縮ガス推進剤エアゾール”よりもより微細なスプレーを形成できることは周知である。これは、前者においては液化ガスの大部分が、エアゾールスプレー装置から液体を吐出するときに“瞬間蒸発”するという事実によるものであり、この急速膨張が細かいスプレーを生じさせる。このような細かいスプレーは、上記の“圧縮ガス推進剤エアゾール”の2つの主要な方式のいずれにおいても通常実現することはできない。
【0006】
“圧縮ガス推進剤エアゾール”により生成されるスプレーの“微細さ”を改良する試みはいくつか行われてきている。これまでの提案には、容器内にある圧縮ガス(例えば窒素ガス)の一部を“抽気”させてこれを液体製品と混合させて“2流体噴霧化”を行うという方式が含まれている。これは例えば液体燃料燃焼などのスプレー技術の他の分野において微細スプレーを提供する技術として公知である。しかし、この2流体噴霧化技術を利用してエアゾールスプレー装置で微細スプレーを形成することは極めて難しいことが分かっている。そして最も可能性の高そうなのは、ガスの一部をバルブ内に抽気させる蒸気相タップと同様の手法であった(蒸気相タップ(VPT)は“液化ガス推進剤エアゾール”に利用されている)。しかし、スプレーの微細化を改良しようとする試みは、十分に有益な結果とはなっていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、上記の不都合を除去または軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、推進剤により装置から吐出される液体を保持する、加圧された、または加圧可能な容器を備えるエアゾールスプレー装置用スプレー吐出アセンブリが提供される。スプレー吐出アセンブリは、容器内の流体とノズルとの間の流体流路内に挿入されるように適合されており、(i)少なくとも1つの入口と1つの出口とを有する進入路と、(ii)進入路に向かって吐出される流体を供給するための、進入路よりもノズルからの液体吐出方向の上流にある流管と、(iii)流管からの流体が通過し、進入路へその入り口を経由して噴流として噴出する、少なくとも1つの噴出開口と、(iv)進入路からの流体がその出口を経由して流入し、装置からスプレーとなって噴出する吐出開口と、を含み、進入路の出口は鋭い端部で囲まれ、かつ噴出開口は噴流をその端部へ向かわせるように構成されている。
【0009】
本発明の第1の態様によるスプレー吐出アセンブリは、“圧縮ガス推進剤”型または“液化ガス推進剤”型のいずれかのエアゾールスプレー装置内にインサートとして利用可能である。したがって一実施形態において、本発明の第1の態様によるアセンブリは、温度25℃および圧力が少なくとも50バールにおいて気体である気体推進剤によって装置から吐出される液体を保持する加圧容器を備えるエアゾールスプレー装置のためのものである。この実施形態において、流管は、流管内に泡で充満された流れを生成するために容器から取得される液体と気体のための入口を有し、かつ、流管は泡で充満された流れを実質的に擾乱のない流れとして噴出開口まで導くように構成されている。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、容器内の推進剤により吐出される液体を保持する、加圧された、または加圧可能な容器と、本発明の第1の態様によるスプレー吐出アセンブリと、を備えるエアゾールスプレー装置が提供される。一実施形態においては、この容器は液化ガス推進剤を含んでもよい。別の好適な実施形態においては、容器は加圧されていて、この容器には、温度25℃および圧力が少なくとも50バールにおいて気体である気体推進剤により装置から吐出される液体が保持されていてもよい。
【0011】
後者の実施形態によるエアゾール装置は、“圧縮ガス推進剤エアゾール”であり、泡で充満された流れ(本明細書において“多泡性流”と称す)と噴出開口と鋭い端部と吐出開口とを備えることにより微粒スプレーを生成することが可能である。より具体的には、本発明の第1の態様のエアゾールスプレー装置において、多泡性流が生成されて、実質的に擾乱なしで噴出開口まで通過する。これは、流れの擾乱がないように流管を構成することにより達成することができ、これによって、実質的に噴出開口の上流端で生成されたような形で多泡性流が供給される。さらには、エアゾールスプレー装置内にあるバルブ構造が、生成された多泡性流に対して同様になんら実質的な影響を及ぼさないようになっていなければならない。噴出開口は、進入路の出口にある鋭い端部へ向かう、流体(液体と気体、すなわち多泡性流)の細かい噴流を生成する。流体の少なくとも一部がこの端部に当たって、吐出開口に入ってゆく。噴流と端部とのこの相互作用の結果、吐出開口の相対的に上流の領域において流れが吐出開口壁から分離し、吐出開口の相対的に下流の領域において壁に再付着する。分離と再付着とは非常に変動しやすい現象であり、これは流体流における泡と組み合わさって(泡は吐出開口における圧力降下を受けて膨張し、気体と液体の間の液体シートを破砕して微細なスプレーを形成する)、吐出開口の出口から吐出される液体を液滴に噴霧化するのに非常に有利である。
【0012】
分離/再付着の効果について、本発明の特定の実施形態との関連で以下においてより詳細に説明する(例えば図1、図2、及び関連する説明を参照されたい)。分離/再付着効果を実現するために、噴出開口がそこから出る流体を、進入路の出口付近の鋭い端部に突き当たるように方向づけることが必要である。分離と再付着は、適切な断面と長さの次元を持った吐出開口を利用することにより達成される。例えば、吐出される流体に渦を与えないようにするエアゾール内の円形断面の吐出開口に関しては、吐出開口は一般的に長さ対直径の比(l:d)が、少なくとも4(ただし一般的に15より大きくはない)となる。典型的には、l:dの比は少なくとも5、より好ましくは少なくとも6である。吐出される流体に渦を与えるエアゾールスプレー装置に対しては、違う値が適切であろう。
【0013】
好ましくは、噴出開口は複数個ある。例えば、そのような開口が3〜6個あってもよい。ただし一般的に4個が好適である。噴出開口は進入路に対して軸平行であってよい。あるいは、進入路の軸に対して傾斜していて、流体に対してある程度の渦を与えて、装置から吐出されるスプレーの角度を増大させるようにしてもよい。噴出開口の傾斜角は、進入路の軸に対して典型的には最大で30度まで(例えば最大で25度まで)であってよい。
【0014】
好ましくは、噴出開口の全断面積は吐出開口の断面積よりも大きい。
【0015】
進入路の出口の周りの鋭角は、少なくとも約270度の優角(例えば、270〜330度)で与えられる。ここで270度という値が特に好適である。理想的には、一点に収斂して端部を形成する面は、面同士の合流の前に“丸まったり”または“平坦化したり”することなしに収斂して、端部が丸くならないようにする。つまり、断面図で見た場合に、複数の面が実効的に“一点”に収斂する。しかしある程度の“丸め込み”や“平坦化”は容認されてよい。しかし、丸め込みがあるとしても、曲率は100マイクロメートルより大きくなく、理想的には25マイクロメートルより小さくなっているべきである。“平坦化”については、2つの収斂する面の直接に隣接する領域同士の間の(断面図で見た時の)ストリップ幅は、好ましくは50マイクロメートルより大きくなく、理想的には25マイクロメートルより小さい。
【0016】
本発明のある実施形態によれば、流管沿いに噴出開口に向かって供給されている液体流中に、容器内からガスが抽気または別の形で導入されて、多泡性流を形成する。好適な実施形態において、この流管は進入路と同じ断面形状をしている(好ましくは両方とも円形断面である)。(例えば浸漬チューブに沿って供給される)液体が流管の上流端に入り、ガスが容器の頂部空間から液体中に、理想的には流管の上流端から近い距離の所へ抽気されるように、流管は構成されている。ガスが流管中に注入される地点と、その出口(噴出開口への入口となっている)との間の距離は、典型的には流管の直径の5〜40倍である。流管は直線状で、進入路と共軸になっていてもよい。ただしこれは必ずしも必須ではなく、流管内の多泡性流を著しく変形させないような曲率であれば、進入路に向かって曲がっていてもよい。
【0017】
後でより完全に説明するが、本発明の実施形態は“多泡性流”の生成を可能とする。これは、同じ直径で、流管の全体に亘って層構造のない、理想的に均一な泡の流れが噴出開口の中へ入り、次にそこから多泡性流が、泡で充満された乱流として流出し、それが(進入路の出口の周辺の)鋭い端部に強くぶつかってから吐出開口に入る。泡で充満された噴流と、それが鋭い端部に与える衝撃とが一緒になって、吐出開口の上流領域で内表面から流れが分離し、相対的な下流領域で(位置は変動するが)再付着する。この結果、非常に不安定な多泡性の乱流ができる。これは吐出開口の出口から出射する噴流が液滴へ噴霧化されるためには有益である。
【0018】
本発明の特定の実施形態においては、スプレー吐出アセンブリがバルブステムを含んでいてもよく、このバルブステムは、バルブ構造が閉じて液体がエアゾールスプレー装置から吐出されない第1の限界位置と、吐出がある第2の限界位置との間を可動である。バルブステムは流管を含んでいてもよく、少なくとも1つの(流管に液体を供給するための)液体入口と、容器の頂部空間から流管内へガスを抽気させるための少なくとも1つのガス抽気口を持っていてもよい。バルブ構造は、離間して固定された第1と第2のシールを備え、その位置は、バルブステムの第1の位置において第1のシールがガス抽気口を閉じ、かつ第2のシールが液体入口を閉じるようになっていてもよい。バルブステムの第2の位置においては、ガス抽気口と液体入口がそれぞれのシールから移動して離れ、液体が供給され、ガスは流管内に抽気される。この構造は、バルブ構造が開放されている場合に多泡性流は本質的に変形されないようになっている。
【0019】
本発明の別の実施形態において(“圧縮ガス推進剤エアゾール”への適用として)、バルブ構造は“低損失”または“無損失”バルブ、すなわちバルブが開放されて流体が多泡性流構造を維持したまま通過する際に、バルブの前後での圧力低下が僅かしかないか、全くないバルブを備えていてもよい。そのような場合のすべてにおいて、低損失バルブまたは無損失バルブは、実効的にエアゾールスプレー装置の“オン/オフ”バルブであり、流管中、または流管と噴出開口との間に挿入されて、流管への液体入口とガス抽気口(“低損失バルブ”または“無損失バルブ”の上流にある)が常時開となっていてもよい。多泡性流は“低損失バルブ”または“無損失バルブ”の上流で生成され、“無損失バルブ”では、バルブが開放されているときに多泡性流の変化が本質的に全くないようになっている。
【0020】
本発明での使用に好適な低損失バルブを組み込んだバルブ構造の一例は、一定断面の内孔を持つバルブ部材を有し、これはバルブ構造が閉鎖している第1の位置と、内孔が流体流路の上流流路部分と下流流路部分とに整列してバルブ構造を完全に開放させる第2の位置との間を移動可能である。このような実施形態において、エアゾールスプレー装置は固定バルブステム(その中にバルブ部材が組み込まれている)を備え、かつバルブ部材は、アクチュエータによって作動される機構(例えばリンク機構)によって閉位置と開位置との間を移動する。バルブ部材はその第1と第2の位置の間を回転可能となっていてもよい。このタイプのバルブ構造の例としては、ボールバルブや、回転軸に対して内孔が横断方向にある円筒バルブが含まれる。さらなる例としては、バルブ部材は円筒形であり、内孔が回転軸に平行でかつ中心線からずれているバルブ構造がある。
【0021】
低損失バルブを組み込んだエアゾールスプレー装置のさらなる実施形態においては、バルブ構造を開放するためのアクチュエータ機構の動作により、流体流路の上流部分と下流部分とが相互方向に移動可能である。そしてその相対運動によって上流と下流の流路部分が互いに一致して、バルブ構造を開放とする。
【0022】
この実施形態において、バルブ構造は、例えばダックビルバルブを組み込んでいてもよい。このバルブは、エラストマa材料でできたフラップが互いに合わさるようになっており、ともに付勢されてバルブを閉状態に維持する。エアゾールスプレー装置では、ダックビルバルブは、これらのフラップが容器の内部に向かって収斂するように配向されていて、容器内の圧力によって閉じた状態に維持される。ダックビルバルブを(流体を吐出するために)開放するには、中を流体が流れる(下流流体流路部分の一部として提供された)チューブ状アクチュエータがスプレー装置のアクチュエータキャップ上に備えられてもよい。これは、キャップを押すことによって、アクチュエータの下端が相互に接しているフラップの内面に係合し、容器内のガス圧力に逆らってフラップを開けさせて、チューブ状アクチュエータが上流流路部分と整合するようになっており、この結果液体をスプレー装置から吐出できるようになる。
【0023】
この実施形態のさらなる可能性としては、バルブ構造に、一端が固定され、反対の端部が下流流路部分の下端内に取り外し可能に配置された栓のような形式のフラップが組み込まれていてもよい。この装置は、バルブ構造を開放するためにアクチュエータ機構を作動させると、栓が下流流路部の下端から移動して上流流路部に整合するようになっている。フラップは、例えば弾性材料からできていてもよい。
【0024】
本発明によるエアゾールスプレー装置に利用できる、低損失バルブを組み込んだバルブ構造のさらなる実施例は、上流と下流の流路部分を接続する柔軟性のある壁をもったチューブであってもよい。第1の位置に付勢されてこのチューブを押しつぶすチューブ閉止手段がバルブ構造の閉鎖構成を与え、アクチュエータにより作動可能なチューブ開放手段が、付勢力に抗してチューブ閉止手段を移動させて、バルブ構造の開放構成を与える。
【0025】
エアゾールスプレー装置における低損失バルブの利用に関するさらなる開示は、“エアゾールスプレー装置(Aerosol Spray Device)”という名称の我々の同時継続出願(2009年11月17日出願の出願番号第61/261 ,912号)に提供されている。参照により本開示が本明細書に組み込まれるものとする。
【0026】
前述のとおり、本発明の好適な実施形態は“圧縮ガス推進剤エアゾール”に関し、容器からのガスが、抽気もしくは別の方法で吐出される液体中に導入されて“多泡性流”を生成する。本発明はこのようなエアゾール方式の利点を活かすものである。ただし、前述の原理は、他の推進方式の加圧容器または加圧可能容器などを持つほかのエアゾール方式にも適用可能である。
【0027】
そのようなエアゾールスプレー装置の一実施形態は、“液化ガス推進剤エアゾール”であり、これは液体流中への抽気ガスを必要としないという点を除けば、上に述べた“圧縮ガス推進剤エアゾール”で概要を述べた一般原理に従って構築可能である。
【0028】
本発明の第2の態様によるエアゾールスプレー装置のさらなる実施形態は、容器から液体のみが排出される、圧縮ガスエアゾールである。そのような装置は、流管内の液体流中への抽気ガスを必要としないという点を除けば、上で述べた一般原理に従って構築可能である。
【0029】
好適には本発明によるエアゾールスプレー装置が、上部および下部にリセス(チャンバ)を持つ形状をしたアクチュエータキャップを有し、これは進入路と共軸であり、また噴出開口が形成された仕切りによって分離されている。そのような構造においては、上部チャンバにインサートが備えられ、吐出開口並びに進入路の一部が組み込まれる。これはインサートをリセスに挿入して、仕切り要素が進入路の“後壁”を形成するようにして完成される。液体流を噴出開口へ提供する流管が、アクチュエータキャップの下部リセスに配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明を、添付の図面を例示としてのみ参照してさらに説明する。
【図1】本発明の第1の態様によるスプレー吐出アセンブリの概略模式図である。これは本発明の第2の態様によるエアゾールスプレー装置に利用される。
【図2a】図1に示すスプレー吐出アセンブリの動作を模式的に示す図である。
【図2b】図1に示すスプレー吐出アセンブリの動作を模式的に示す図である。
【図3a】本発明によるエアゾールスプレー装置の第1の実施形態を模式的に示す図である。
【図3b】第1の実施形態の別の詳細図である。
【図4】図3のスプレー装置に組み込まれたスプレー吐出アセンブリ(インサート)の詳細図である。
【図5】スプレー吐出アセンブリ(インサート)の変形構造図である。
【図6】スプレー吐出アセンブリ(インサート)の変形構造図である。
【図7】スプレー吐出アセンブリ(インサート)の変形構造図である。
【図8】本発明によるエアゾールスプレー装置の第2の実施形態を示す図である。
【図9】本発明によるエアゾールスプレー装置の第3の実施形態を示す図である。
【図10】本発明によるエアゾールスプレー装置の第4の実施形態を示す図である。
【図11】代替の‘2バルブ’バルブ構造を模式的に示す図である。
【図12】別の代替の‘1ガスケット’バルブ構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
先ず図1を参照する。これは、加圧されたエアゾール容器内に保持された液体を、細かいスプレーとして吐出させる、本発明で用いる原理を模式的に示すものである。
【0032】
図1は、エアゾール缶(図1には詳細は示さず)のための出口構造1001を示す。図1に示すように、出口構造1001は一体部品として示されている。ただしこれは単に簡単のためだけであり、出口構造1001は個別部品で形成されたものが組み合わされて、一体出口構造1001と同一の機能を提供してもよいことは理解されるであろう(そしてこれは図3以降の実施形態として示されている)。
【0033】
出口構造1001は本体1002を備え、本体1002は、噴出開口1005を介して細長の円筒形流管1004と連通する円筒形の進入路1003を内部に画定する。本体1002はまた、吐出開口1006を有し、その出口端1007(図1の右側の端)からエアゾール動作時にスプレーが吐出される。進入路1003、流管1004、吐出開口1006は、互いに共通の軸上にある。
【0034】
流管1004の上流端(すなわち、図1の左側の端)には液体入口1008が形成され、エアゾールの吐出時にはここを通って(エアゾール容器内部から)液体が流れる。図に示すように、液体入口1008は流管1004と同じ軸上にある。さらに流管1004には、液体入口1008の下流領域に(すなわち、図1において液体入口の右側に)、エアゾール吐出時に流管1004内にガスが漏れ込むガス抽気口1009が備えられている。流管1004と共軸になっている入口1008とは違って、入口1009はその軸に対して垂直方向にガスを流管1004内に漏れ込ませる。ただし、他の入口角度が用いられてもよい。例えば、上流から液体へ45度の角度で注入されてもよい。
【0035】
この後の説明をわかりやすくするために、図1の進入路1003の、噴出開口1005の出口(下流)端に対向する壁の部分を参照番号1010として識別する。また、進入路1003の出口(これは吐出開口1006の入口でもあるが)は、参照番号1011とする。
【0036】
以下での説明のために、(進入路1003の)壁1010から吐出開口1006への移行部(すなわち進入路1003の出口1011の領域)は、進入路の内部で優角270度であることに留意されたい。この移行部は、進入路1003の出口1011において鋭い端部1012を成している。
【0037】
出口構造1001が、(例えば、図示されていないアクチュエータボタンを押すことによる)エアゾールスプレー装置の吐出時に、どのようにしてスプレーの生成に作用するかを、図2aに模式的に示す。吐出時には、エアゾール容器内部からの液体が入口1008を通って流管1004内に流れ、同時に、容器内の頂部空間からガスがガス抽気口1009を通って流管1004内部へ漏れ込む。
【0038】
ガスが液体中へ漏れ込むと、流管4内部に泡で充満された流れ(“多泡性流”)が生成される。これは、出口構造1の内部構成により、類似直径の均一な泡の流れであり、流管の全体に亘って層構造がなく、噴出開口1005を通ってそこから多泡性流が、泡で充満された乱流として流出し、それが鋭い端部1012にぶつかって吐出開口1006に入る。これは図2bにも示されており、噴出開口1005から流出するジェット流はある角度(例えば少なくとも20度)で拡がることが分かる。このことは、噴流が進入路1003への出口で鋭い端部1012に衝突するためには、噴出開口を単純に吐出開口の中へ向くようにするのではなく、むしろ噴出開口を中心線からずらせてよいことを意味している。
【0039】
泡で充満された噴流とそれが鋭い端部1012にぶつかることとが組合わされて、吐出開口1006の上流領域において流れが吐出開口の内表面から分離する。この吐出開口1006は、流れが下流において壁に再付着するような長さとなっている。この分離と再付着は動的な過程であって、再循環領域内で気泡1014が連続的に成長し、それがはじけるか下流に移動して新しい気泡の形成が開始される。この結果、非常に不安定な多泡性の乱流ができ、これは吐出開口1006の出口1007から出現する噴流が液滴へ噴霧化されることに対して非常に有益である。
【0040】
吐出開口1005からの噴流は次のような現象を与えることにも留意されたい。
【0041】
それは入口端部において局所的に高速度となり、それによって吐出開口1006内部の分離流の領域の大きさが増大する。
【0042】
これにより多泡性流の乱流の度合いが増大し、吐出開口1006内の分離領域の不安定な分離と再付着を増大させる。
【0043】
これらは泡のさらなる分離をひき起こす。
【0044】
出口構造1001においては、多泡性流は、気泡を合流させまたはガスを多層化させる(従来のエアゾールバルブのような)装置を貫通するわけではない、ということにも留意されたい。
【0045】
出口構造1001が説明通りに確実に動作するために、次のような基準を設けてもよい。
【0046】
進入路1003は直径が0.5〜3mmで、長さが0.5〜2mmである。直径と長さは、0.5〜2mmの範囲で同じであってもよく、好ましくは両者ともに約1mmである。
【0047】
流管1004の直径は、進入路1003の半分から2倍であってよい。流管1004の直径は好ましくは進入路1003の直径と等しく0.5〜2mm、好ましくは0.75〜1.25mmであってよい。流管1004の長さは、直径の5〜40倍の範囲であり、より好ましくは5〜15倍の範囲である。理想的には直径の5〜10倍の長さである。
【0048】
噴出開口1005に関しては、それぞれが0.1〜0.5mmの直径の開口が通常2〜10個ある。これらの噴出開口は好ましくは直径が同じで、及び/又は間隔も同じである。噴流開口の全体の断面積は、吐出開口の断面積の1〜4倍の値の範囲にあるべきである。通常、噴出開口の数は3〜6の範囲であり、直径0.25mmで4個が特に好ましい。
【0049】
吐出開口1006は、一般に0.15〜0.75mmの間の直径、より好ましくは0.25〜0.5mmの直径を持つ。吐出開口1006の長さは理想的には直径の4〜12倍である。好ましくは、吐出開口1006は直径が0.3mmであり、長さが2mmである。
【0050】
ガス抽気口1009は好ましくは0.1〜0.5mm、より好ましくは0.15〜0.25mmの直径である。通常、この入口は最大2個である。
【0051】
次の表に一例として、図1に示すインサート1001の具体的な寸法を記す。これらの寸法は、空気清浄スプレーに使用されるインサート1001に特に好適である。
【表1】
【0052】
上記の表に詳細を記した好適な実施形態に関しては、4個の噴出開口1005があり、それぞれが軸方向に対して25度の角度を成してある程度の渦を与える。各開口の中心は、直径0.5mm(ピッチ円直径)の円周上にある。
【0053】
多泡性流は、流管1004中の流れの滞在時間を十分に短くして、気泡の凝結や層状化が起きないような速度でなければならない。典型的には流れは0.5〜5m/sの範囲にあるべきである。上記の表にまとめたエアゾールスプレー装置の好適な実施形態に関しては、速度は1.0m/sである(これは直径1mmの進入路を通る0.8ml/sの流速に等しい)。(これは近似的な速度であって、流管1004中を流れる流体の体積の半分までは気体の泡であることを考慮に入れていない。従って実際の流速はむしろ2m/sに近いことに留意されたい。)
【0054】
多泡性の進入流は圧力が1〜20バールであるべきであり、民生用エアゾール缶に関する好適な実施形態においては、4〜12バールである(圧縮ガスエアゾールに関しては缶の中身が減っていくとこの圧力は下がる)。詳細を前に述べたエアゾールスプレー装置の好適な実施形態では、気体の初期圧力は12バールであるが、加圧容器内の全液体がスプレー放出されてしまうと、約4.5バールに減少する。
【0055】
流管1004中の多泡性流に含まれる液体中の気体の体積比は、この流管の圧力では0.2〜4の間であり、圧縮ガスエアゾールで使用される好適な実施形態においてはこの比は0.3〜1.5の間である。上で概略を述べた好適な実施形態に関しては、この体積比は、加圧容器が液体で完全充填されている場合の0.35から、容器がほぼ空の場合の約1.0まで上昇する。
【0056】
上記の圧力と体積比は、気体が膨張して吐出開口1006を通過する際に、出てくる気体と液体の体積比が1.0〜6.0の間にあることを必要とし、そのような比の範囲は、通常使用される圧縮ガスエアゾール缶において得られるものである。
【0057】
入口1009を通って抽気される気体の量は、液体の量の4〜8倍(大気圧条件下の数値を利用して)であってよい。数値が高ければ缶の圧力は急速に減少し、缶の全圧が消費されても液体が残ることになる。
【0058】
図1で示した実施形態において、噴出開口1005は進入路1003と流管1004の軸に平行となっている。しかし、噴出開口を(軸方向に対して例えば最大30度までの)小さい角度で傾斜させることは、スプレーの“円錐角”、すなわち、出口開口付近でのスプレー境界線の間の角度を増大させるために利用できる。この“円錐角”は、噴出開口1005の傾斜角を大きくすれば大きくなるが、予測は難しい。噴出開口1005を傾斜させなければ、“円錐角”は約20度であるが、噴出開口1005を(上記の実施形態で述べたように)25度に傾けると、約30度の“円錐角”となり、かつ、特に低圧のときに、スプレーの中心にスプレー密度の高い領域ができる傾向がなくなる。
【0059】
これまで図1と図2a、2bに関連して説明した実施形態は、ガスが入口1009から抽気されて動作する。ただし、図1と図2a、2bに示す構造を変更して、ガスの抽気なしで機能させることは可能である。その場合にはガス抽気口1009が省略される。
【0060】
この場合には、噴出開口は高速の液体噴流を出口開口の入口の鋭い端部へ送達する。
i.これにより出口開口において局所的に流れの分離が起きる可能性が増す。
ii.これは乱流を生成する(出口での噴霧化に有効)。
【0061】
噴出開口が軸方向に対して(例えば25〜35度の)角度がつけられていれば、少量の渦によって、飛び出す乱れた液体が半径方向に素早く分散させられて噴霧化が大きく改善され、完全な円錐スプレーを実現できることが分かる。これは、民生用エアゾールに多く利用されている“渦式噴霧器MBU”(機械的分離ユニット)とは本質的に異なる。これは、円錐状の薄い液体シートを形成してそれを液滴に分離することを目指している。
【0062】
次に、エアゾールスプレー装置のいくつかの特定の実施形態について説明する。以下の説明において、「上方」、「下方」と称するのは通常の動作位置で表示されている図中の装置に対してのものである。説明において、“休止”位置というのは装置がスプレーを放出していない位置のことである。
【0063】
図3aは本発明によるエアゾールスプレー装置1の第1の実施形態を通常の“休止”位置で示したものである。装置1は加圧された容器2を備え、その上部にエアゾールバルブアセンブリ3が組み込まれている。これは図に模式的に示すように、容器2の頂部にクリンプ(縁曲げ)されている。容器2の内部には、液体があり、これが窒素ガスや空気や二酸化炭素ガスなどの加圧ガスによって装置から吐出される。このガスは液体5には限られた溶解性しか持たず、容器2の頂部空間6にある。頂部空間6にあるガスは、例えば、使用される容器の種類に依存するが、初期圧力が9または12バールである。
【0064】
バルブアセンブリ3は、概ね円筒形で、軸方向に移動可能なバルブステム7を備えている。このバルブステムの下端は、容器2の内部にある円筒ハウジング8内に位置し、その上端はキャップ9の形態をしたアクチュエータに嵌合している。このキャップ9は、仕切り12で分離された上部共軸円筒リセス10と下部共軸円筒リセス11とで形成されている。下部共軸円筒リセスのチャンバ11は上部共軸円筒リセスのチャンバ10よりも直径が大きく、キャップ9をバルブステム7の上端に配置する役目をしている。上部チャンバ10内部にはスプレー生成用インサート13がある。これについては以下で詳述する。
【0065】
大まかに言えば、エアゾールは、キャップ9を押し下げてバルブステム7を下方向へ移動させ、それによってインサート13からスプレーが吐出されることにより動作する。スプレーの生成方法は、以下で詳述する。
【0066】
図に示すように、バルブステム7は、容器2の上端にあってバルブステム7の下部突出部15を取り巻くコイルばね14によって、容器の上方向に付勢されている。コイルばね14の下端は、円筒ハウジング8の下部壁17内の開口16の周りにある。壁17からチューブ状の差込口18が下がり、その下端壁の拡大端部19が容器2の底まで延びている浸漬チューブ20と嵌合している。容器2の下部部分は、浸漬チューブ20、差込口18、および開口16(これはハウジング8への液体入口となっている)を介して、ハウジンング8の内部と連通していることは図面から分かるであろう。
【0067】
この後の説明で理由が明らかになるが、バルブステム7の外径はハウジング8の内径よりも少し小さくなっており、バルブステム7とハウジング8との間に環状の隙間が画定される。
【0068】
ゴムまたは別のエラストマ材料でできた環状ガスケット22、23がハウジング8の上部と中央部にそれぞれ備えられ、バルブステム7の外部表面を密閉する寸法になっている。以下でさらに説明する装置の理解を助けるために、前述の環状の隙間は21aと21bの2つの部分に分割されて示されている。環状空隙の部分21aは、2つのガスケット22と23の間にあり、一方、環状空隙の21bの部分はガスケット23の下にある。2つのガスケット22と23の間のハウジング8の壁には複数のポート24が形成されていて、頂部空間6の加圧ガスと環状空隙21aとの間を連通する。
【0069】
バルブステム7の内部には、流管25と液体供給チャンバ26とが形成されており、これらはバルブステム7と共軸になっている。流管25はバルブステム7の上端から、その50%以上の長さに亘って延びている。液体供給チャンバ26は流管25の下にあって、流管25より直径は大きく、長さははるかに短くなっている。流管25とチャンバ26は同じ軸上にある通路27によって相互に連通している。
【0070】
2つの液体供給通路28が液体供給チャンバ26から横方向に延びて、バルブステム7の外部表面に開口している。同じように、2つのガス抽気口通路29が流管25から横方向に延びて、バルブステム7の外部表面に開口している(ただし、この入口が1つしかない構造もまた実際的であり、その一例が図3bに示されている)。図1に示すエアゾールの“休止”状態では、通路27は上部ガスケットで密閉され、通路28は下部ガスケット23で密閉されている。通路28、29の断面およびこれらの通路間の軸方向間隔、並びに、上部ガスケット22、下部ガスケット23の寸法とによって、バルブステム7が押し込まれるとガス抽気口通路29が、液体供給通路28と同時に(あるいはより好ましくはその直前に)開放される。通路28、29が開放される効果については後でさらに述べる。
【0071】
上で述べたように、アクチュエータキャップ9の上部共軸円筒リセス10にインサート13が備えられている。インサート13は図4に(拡大されて)示されているが、インサートの下端で開放されている進入路30と、進入路30よりも直径の小さい吐出開口31とを備え、吐出開口は進入路から上に延びて(しかもそれと共軸となって)インサート13の上端で開放されている。進入路30と吐出開口31との間には、急激な変化を与える直角の(鋭い)端部32があることに留意されたい。
【0072】
仕切り12の内部にはいくつかの(例えば4つの)噴出開口33が形成されており、これが(バルブステム7内の)流管25とインサート13の進入路30との間を連通させる。
【0073】
理解を助けるために、図3a、4のエアゾールスプレー装置の特定の構成部品と、図1に示した出口構造1001の対応する部品との相関を次の表に示す。
【表2】
【0074】
この表に特定された図3aの構成部品は、対応する図1の構成部品と同一の寸法であってよいことは理解されるであろう。この寸法に関してはすでに詳細を述べた。
【0075】
図3a、4を参照して説明された装置の動作を次に説明する。
【0076】
装置1を動作させるには、アクチュエータキャップ9を押し込んで、バルブステム7をばね14の付勢力に逆らって下方向に移動させる。その結果、ガス抽気口通路29がガスケット22からずれて、圧縮ガスが頂部空間6から(ハウジング8の壁にある)ポート24、環状空隙21a、及びガス抽気口通路29を通って流管25へ入ってくる。ガス流が生成されるのと同時に、または好ましくはそのわずか後に、1つまたは複数の液体入口通路28が、下部ガスケット23を通り過ぎることによって開放される。こうして液体5が浸漬チューブ20に沿って上方向に通過し、開口16からハウジング8へ入り、環状空隙21bを通り、液体入口通路28を経由して、液体供給チャンバ26に流入することができる。液体供給チャンバ26へ導入された液体5は、通路27を通って流管25へ入り、そこで通路29から抽気された圧縮ガスと混合される。その結果、同じような直径を持ちかつ凝結や層状化のない均一な気泡の流れが流管25内に形成され、流管25に沿って、そして仕切り12内に形成された噴出開口33を通って流れる。これらの開口33は進入路30内に液体と気泡の噴流を生成し、それを鋭い端部32に向かって進ませる。図1と図2に関連して前述した出口構造1の場合のように、インサート13の幾何形状と、流管25の下流端における多泡性流の特性とが相俟って、気泡で充満された多数の乱流となった噴流が生成され、それが鋭い端部32にぶつかる。その様子を図4に示す。これらの噴流が生成された結果、流体(液体とガス)は吐出開口31に沿って、開口31の第1の部分の壁から流れが分離するようになって移動する。この開口31は、流れが下流において壁に再付着するような長さとなっている。分離と再付着は、非常に変動性の高い現象であり、開口31の出口から出てゆく噴流を液滴に噴霧化するのに好都合である。その結果装置から液体の微細なスプレーが得られる。さらに、通路30の出口での変動が、はっきりしたシューッという音を発生させる。このような音は現行の液化ガス推進剤エアゾールでは鳴ることが期待されているので、エアゾールのユーザにとっては“魅力的”とみなされる。
【0077】
次に図5〜7を参照する。そこには、吐出開口31に沿う流体流が非常に変動して分離と再付着を与える、インサート13の変形例が示されている。便宜上、図3aの部品と同等の図5〜7の部品に対しては同じ参照番号を付した。ただし図5の実施形態の場合には(’)、図6の実施形態の場合には(’’)、図7の実施形態の場合には(’’’)の添え字を付した。
【0078】
図5の実施形態において、図4の構造で用いられた直角の端部32は、進入路30’と連通する再循環チャンバ41で囲まれた、チューブ状の円錐形状40の先端の周りの尖端32’で置き換えられている。図5から分かる通り、吐出開口31’は円錐形状40の先端から部分的に始まっている。この尖端32’は吐出開口31’内での流れの分離生成を支援し、したがってスプレー生成を助長する。
【0079】
図6に示す実施形態は、図5と類似しているが、吐出開口31’’が長さ方向の途中で突然直径が小さくなっている点が違っている。したがって、開口31’’は下流部分(ここでは便宜上31’’dとする)よりも直径の大きい上流部分(便宜上31’’uとする)を持っている。例として、上流部分(31’’u)と下流部分(31’’d)の直径は、それぞれ、(i)0.5mmと0.3mm、または(ii)0.3mmと0.2mmである。
【0080】
吐出開口31’’の全体の長さが十分であるとすると、流れは分離した後、開口の上流部分31’’u内で再付着する。これは乱流生成には有利であり、そうすると下流部分31’’d内において非常に乱れた状態が保持されて、良好な噴霧化が得られる。
【0081】
図7の実施形態においては、噴出開口33’’’は軸方向に対して(例えば最大30度)傾斜しており、多泡性流の分離と再付着による高度の乱流の有用な効果を維持したまま、全体の流れの中に比較的少量の渦を形成するようになっている。この渦は装置から吐出されるスプレーの角度を大きくすることができる。吐出されるスプレーの中心には大きな液滴が形成される傾向があり、特に、例えば容器の圧力が5バールにまで下がったような低圧において形成されやすいが、上記の少量の渦によってこの傾向がなくせることがわかっている。
【0082】
図8はスプレー装置101の一実施形態を示す。これは図3aと4を参照して説明した装置と同一の原理で動作する。図3aと4の装置1と等価である、スプレー装置101の構成部品は、同一番号に100を加えて表示されている。したがって、例えば図8の装置101は、図3aの装置のバルブアセンブリ3と等価なバルブアセンブリ103を持つように表示されている。
【0083】
図8の装置は図1の装置に用いられているものよりも大きなアクチュエータキャップ109を収納するように構成されている。これは比較的大きなキャップの利用が業務用に要求されることが多いからである。これは、(噴出開口133を経由して)インサート113に供給する“多泡性流”を生成する流管が、バルブステム107とアクチュエータキャップ109とでそれぞれ部分的に形成される構造による、図8の実施形態で実現される。より具体的には、流管の上流部分125uはバルブステム107中に形成され、下流部分125dはキャップ109の通路150に形成される。この通路150は、キャップ内の下部リセス111と噴出開口133との間の連通を提供する役目をする。バルブステム107にはもう1つのチャンバ151が形成されて、液体供給チャンバ126と流管125dへの液体入口128との間を連通させる。さらに、図3aのエアゾールスプレー装置に用いられた横方向ガス抽気口29は通路152で置き換えられる。これはバルブステム107の外表面からチャンバ151に向かって内方向に延び、それから直角に曲がってチャンバ151と平行に通路128を越える位置まで延び、そこで内側に曲がって、流管の上流部分125u(バルブステム107内部の)と連通する。
【0084】
このような構造により、図8の装置は、図3aの実施形態の場合よりも大きなアクチュエータキャップ109を収納することが可能となる。
【0085】
これまで図3aと図8とを参照して説明した本発明の実施形態において、流管25内部へのガスと液体のオン/オフ制御は、ガスケット22/122と23/123に対する通路28/128と29/129との相対位置によって制御される。ただし、前述したように、所要の気泡流が流管内で生成され、流れの分離と再付着のためにインサートに送られさえすれば、他の構造であってもよい。その変形構造の1つを図9に示す。図3aの実施形態と類似の部品は、同一参照番号に200を加えたもので識別する(例えば、アクチュエータキャップは209で表示する)。
【0086】
図9の実施形態において、流管225の上端はチャンバ250の中に開放されており、そこには、いわゆる“ダックビル”バルブ251が収納されている。これはエラストマ材料でできていて、アヒルのくちばしのように開閉する1対のフラップを備えている。より具体的には、フラップはバルブの閉位置に向かって弾力で戻り、そこでフラップ同士が合体してバルブを閉じる作用をする。ダックビルバルブは一方向バルブとして機能する。通常は閉止していて、閉じたフラップの内面に適当な力が印加されると開放される。好適なダックビルバルブはMinivalve International社から入手できる(www.minivalve.com参照)。本実施形態の目的に対しては“ダックビル”バルブは下向きである。こうして、バルブは容器内の圧力によって閉じた状態に保持され、アクチュエータキャップが押し込まれると開放される。この目的のために、バルブステムは下部分207lと上部分207uで形成されており、下部分は容器に対して固定されており、上部分がアクチュエータ209と関係して連動するようになっている。バルブステムの2つの部分207lと207uとの間にあるコイルばね252が、バルブステム上部分207uとアクチュエータ209を容器から上方向に離れるように付勢する役目をしている。チューブ状の突起253が上部バルブステム部207uにあって、その上端が仕切り212にある噴出開口に接し(かつ連通し)ていて、その下端はダックビルバルブ251の上部の開放端内に位置している。アクチュエータ209(及びバルブステム207u)がその上端へ付勢されると、ダックバルブ251は閉じる。
【0087】
さらには、バルブステム207は、図3aの装置に使われているバルブステム7に比べて少し変形されている。具体的には、
(i)下側のガスケット23と液体供給通路28がなくなり、流管225への液体流入を制御するバルブはない。
(ii)液体は、浸漬チューブ220、チューブ差込口218、及びチャンバ226を経由して流管225へ直接供給される。
(iii)ガス抽気口229はシール222で塞がれるのではなく、容器の頂部空間と常に連通している。
【0088】
図9に示すエアゾールスプレー装置を作動させるためには、アクチュエータ209がコイルばね252の付勢力に抗して下方向に押されて、それに関係するチューブ突起253もまた下方向に移動して、図9の挿入図に示すように、“ダックビル”バルブ251のエラストマフラップを移動、分離させてバルブを開くように作用する。こうして液体が上方向に流れて流管225内へ入ることができ、そこでガス抽気口229から供給されたガスと混合されて、本発明の別の実施形態に関して既に述べたような方法で“多泡性流”が生成される。
【0089】
上記のように、図9の実施形態には流管に入る液体のための分離バルブがない。したがって、ダックビルバルブの下の液体は常に同一圧力であり、加圧容器内の圧力に等しい。この実施形態の利点は、この液体分離バルブがないことと、流れを完全にオン・オフするために“無損失”のダックビルバルブを利用するので、バルブとアクチュエータを通ってインサート213へ流れる際の液体流は実効的にエネルギー損失を受けない、ということである。これは図3aに示す実施形態よりも有利な点である。ただし図3aの実施形態は、非常に単純であるという利点を持っている。
【0090】
図10は、本発明による装置のさらなる実施形態を示す。図3aの実施形態の部品に対応する図10の装置の構成部品に対しては、図3a中の参照番号に300を加えたもので表示する。図10の装置は、“低損失”のオン・オフバルブを利用した図9に示す装置と、同じ原理で動作する。図10の実施形態では、オン・オフバルブはボールバルブ351であり、これはアクチュエータキャップ309を押し込むと、レバーとピボット構成352によって動作する。低損失の円筒バルブも同様の機能を提供する。より具体的には、ボールバルブ352は中心孔354にボール353を持ち、これはアクチュエータキャップが押し込まれると流管325およびアクチュエータキャップ内のさらなるチャンバ356に整列して、スプレーの吐出を可能とする。
【0091】
図10の実施形態において、“流管”は、(ボールバルブの)孔354を介して連通している場合には、チャンバ325と356で構成されていると考えることができる。ここで孔354そのものも流管の一部を形成すると考えられる。
【0092】
図11と12は、MBUインサートへ送達される、気泡で充満された流れを生成するための変形構造を示す。
【0093】
図11の構成は、(エアゾールスプレー装置の休止状態において)通路28が、通路28の上と下に各1つある2つのOリングによって液体5から隔離されていることを除けば、図3の構成と同様である。バルブステム7が押し込まれると、通路28が下のOリング60を通り過ぎてバルブハウジング内の高圧液体にさらされ、その結果、液体が流管内部に入る。ガス抽気口は前述のものとまったく同じように機能する。
【0094】
図11の実施形態は1つの液体入口通路27が下端から共軸で流管68に入っているように示されているが、2つ以上の液体入口が流管の下部の側壁内に形成されることも可能であることを理解されたい。さらには、(流管68へ液体入口27を提供する)チャンバ26は2つの通路28を経由して液体を供給されるように示されているが、バルブステムが変形されて、チャンバ26と液体入口27を省略して、通路28が適切な断面となっていればそこを経由して流管8に直接供給されるようにすることも可能である。
【0095】
図12の構成においては、下側のシール(環状ガスケット)23を省略し、バルブステム7とハウジング9を変形して、残りの1つのシール23で構成が機能するようになっている。より具体的には、バルブステム7が流管68に対してガス抽気口71と液体入口72とを組み込んでいて、これらはそれぞれ図3の通路29及び28と同様に機能する。図12に示すように、エアゾールスプレー装置の休止状態ではガス抽気口71がシール23で閉じられ、そこから離れながら上方向に延びている。液体入口72は折れ曲がった構造となっていて、流管68と共軸の短い部分の先に、シール23へ向かって上方向に延びる部分がつながり、シール23で閉じられるようになっている。あるいはまた、入口72は流管68の側面へ直接入って行ってもよい。別の実施形態においては、第2の入口71は流管68に対して直交していてもよく、またさらなる実施形態では、第1の入口72と第2の入口72のいずれも流管68と同じ直交面で流管68に入ってもよい。さらには、ハウジング9の一部が変形されて、ガス抽気口71が外表面に口を開いているバルブステム7の付近で密接した滑りばめができるようになっている。さらに、ガス供給ポート73(図1のポート24と等価)は、バルブステム7が押し込まれたときに、その出口端部がガス抽気口71内に直接供給するように構成されている。これらの配置はガスが容器の頂部空間から液体入口72へ漏れることを防ぎ、または液体がガス入口71へ漏れることを防ぐ。このような漏れを可能な限り防止することは望ましいことではあるが、容器2の中ではガスも液体も本質的に同じ圧力であるので、これは大きな問題ではない。
【0096】
図12の実施形態は様々な利点を有している。特に、これは部品点数が少なく、その結果、材料、製造および組立のコストを低減できる。さらに、これは従来の液化ガス推進剤エアゾールバルブと同じ全体寸法での製造に適する寸法で容易に製造することができる。
【0097】
図示した実施形態に対して様々な変形が可能であることを理解されたい。したがって例えば、図11に示したスプレー装置の実施形態は、ガス抽気口と液体供給入口のそれぞれが2つ以上あってもよい。より一般的に言えば、本発明によるスプレー装置の実施形態は、1〜6個のガス抽気口を持っていてもよく、好ましくは断面積の合計が、直径0.15〜0.7mmの1つの入口に等しくなっている。同様に液体入口も、直径0.15〜0.7mmの1つの入口に等しい全体断面積を持つ1〜6個であってよい。
【0098】
さらには、実施形態のあるものでは4つの渦流路を示したが、より一般的にはその流路
を1〜8個持つインサートを利用することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進剤により装置から吐出される液体を保持する、加圧されたまたは加圧可能な容器を備えるエアゾールスプレー装置用のスプレー吐出アセンブリであって、
前記スプレー吐出アセンブリは、前記容器内の流体とノズルとの間の流体流路内に挿入されるように構成されており、
前記スプレー吐出アセンブリは、
(i)少なくとも1つの入口と1つの出口とを有する進入路と、
(ii)前記進入路に向かって吐出される流体を供給するための、前記ノズルからの液体吐出方向において前記進入路の上流にある流管と、
(iii)前記流管からの流体が通過し、前記進入路へその入口を経由して噴流として噴出する少なくとも1つの噴出開口と、
(iv)前記進入路からの流体がその出口を経由して流入し、前記ノズルからスプレーとなって噴出する吐出開口と、
を含み、
前記進入路の出口は鋭い端部で囲まれ、かつ前記噴出開口は前記噴流を前記端部へ向かわせるように構成されている、スプレー吐出アセンブリ。
【請求項2】
前記進入路は円筒形であり、0.5〜3mmの直径と0.2〜2mmの軸長とを有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記進入路はその軸長に等しい直径を有する、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記進入路の直径と軸長はいずれも約1mmである、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記吐出開口は円筒形であり、0.1〜0.75mmの均一な直径と、前記直径の2〜12倍の長さとを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記吐出開口は0.20〜0.50mmの直径を有する、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記吐出開口の直径は約0.3mmである、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記噴出開口を複数備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記噴出開口を3〜6個備える請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記噴出開口を4個備える請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記噴出開口は0.1〜0.5mmの直径を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記噴出開口は0.25mmの直径を有する、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記鋭い端部は、少なくとも270度の優角を持つ、請求項1〜12のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記鋭い端部は、270〜330度の優角を持つ、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記鋭い端部は、前記進入路の内部に対して約270度の角度を持つ、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記鋭い端部は、内部に前記吐出開口が少なくとも部分的に形成された円錐形突起の頂点に設けられている、請求項1〜15のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記鋭い端部における任意の曲率半径は100マイクロメートルより小さい、請求項1〜16のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記鋭い端部における任意の曲率半径は25マイクロメートルより小さい、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
温度25℃および圧力が少なくとも50バールにおいて気体である気体推進剤により、前記装置から吐出される液体を保持する加圧容器を備えるエアゾールスプレー装置のために、
前記流管は流管内に泡で充満された流れを生成するために、前記容器から取得される液体のための入口と気体のための入口と、を有し、
前記流管は前記泡で充満された流れが前記噴出開口まで実質的に擾乱のない流れとなるように構成されている、請求項1〜18のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記流管への前記ガスの入口は、ガス抽気口であり、前記流管への前記液体入口の下流に設けられている、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記流管は均一な円筒断面をしており、前記ガス抽気口と前記噴出開口の上流端部との間の距離は、前記流管の直径の5〜40倍である、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記ガス抽気口と前記噴出開口の上流端部との距離は前記流管の直径の5〜15倍である、請求項21に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記ガス抽気口は0.1〜0.5mmの直径を有する、請求項20〜22のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記ガス抽気口は0.15〜0.25mmの直径を有する、請求項23に記載のアセンブリ。
【請求項25】
容器内の推進剤により吐出される液体を保持する、加圧されたまたは加圧可能な容器と、請求項1〜18のいずれか1項に記載のスプレー吐出アセンブリと、を備える、エアゾールスプレー装置。
【請求項26】
前記推進剤は液化ガス推進剤である、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
温度25℃および少なくとも50バールの圧力において気体であるガス推進剤によって装置から吐出される液体を保持する加圧容器と、前記容器上に取付けられた請求項19〜24のいずれか1項に記載のスプレー吐出アセンブリと、を備える、エアゾールスプレー装置。
【請求項28】
前記流管に沿う前記流れをそれぞれに防止または可能とする、閉構成と開構成との間を選択的に操作可能であるバルブ構造をさらに備える、請求項25〜27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記バルブ構造は低損失バルブを含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記低損失バルブはボールバルブを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記低損失バルブはダックビルバルブを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記バルブ構造は、前記バルブ構造が開放されている場合、前記泡で充満された流れを実質的に変形させないようになっている、請求項27に従属する場合の請求項28に記載の装置。
【請求項33】
少なくとも前記バルブ構造が開放構成にある場合に、前記流管が、(a)前記液体入口を介して前記容器内の液体と連通し、かつ(b)前記容器の頂部空間内の加圧ガスと連通して、ガスが前記流管を介して液体流中に流出して泡で充満された流れを生成するように構成されている、請求項20に従属する場合の請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記流管は前記スプレー装置のバルブステム内に備えられている、請求項25〜33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記スプレー吐出アセンブリは、前記バルブ構造が閉じている第1の限界位置、および前記バルブ構造が開放されている第2の限界位置からの付勢力に抗して可動のバルブステムを備え、
前記流管は、少なくとも一部が共軸となっている前記バルブステム内に含まれる、請求項25〜27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記バルブステムの下部は前記容器のハウジング内に位置し、前記ハウジングは軸方向に離間した第1と第2のシールを備え、前記第1のシールと第2のシールは、前記バルブステムが第1の位置にある場合は、前記第1のシールが前記流管の前記ガス入口を閉じ、かつ前記第2のシールが前記流管の前記液体入口を閉じ、前記バルブステムが第2の位置にある場合は、前記ガス入口が前記頂部空間と連通し、かつ前期液体入口が前記容器内の液体と連通するように配置されている、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記進入路と共軸な上部リセスおよび下部リセスが形成されたアクチュエータキャップを有し、
前記上部リセスおよび下部リセスは噴出開口が設けられた仕切りによって分離され、前記上部リセス内にはインサートが配置されて、吐出開口並びに前記仕切りと協働して前記進入路を画定するチャンバが組み込まれ、
前記流管は前記アクチュエータキャップの前記下部リセス内に配置されている、請求項25〜36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
前記第1および第2の入口は前記バルブステム内に備えられている、請求項34に記載の装置。
【請求項39】
前記バルブ構造は第1と第2のシールを備え、前記バルブの第1の位置において前記第1と第2の入口をそれぞれ閉鎖する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記バルブ構造は前記第1のシールを2つ備え、前記バルブステムの第1の位置においては、1つが前記第1の入口の上流にあり、1つがその下流にある、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記バルブ構造は単一のシールを備え、かつ前第1と第2の入口は前記単一のシールで閉鎖されるように構成されている、請求項38に記載の装置。
【請求項42】
前記バルブステムの下部はハウジング内部にあり、前記シールまたは各シールは前記ハウジング上に取付けられて、前記バルブステムと相対的に摺動係合する、請求項38に記載の装置。
【請求項43】
前記ハウジングの一部分が前記第2の入口の領域で前記バルブステムの周りに係合する、請求項41に従属する場合の請求項42に記載の装置。
【請求項44】
医薬品、農薬、香料、空気清浄剤、臭気中和剤、殺菌剤、光沢剤、殺虫剤、除毛剤(チオグリコール酸カルシウムなど)、脱毛剤、化粧品、脱臭剤、制汗剤、抗菌剤、抗アレルギー化合物、及びこれらの2つ以上の混合物からなる群より選択される物質を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項45】
薬用組成物を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項46】
香料組成物を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項47】
臭気中和組成物を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項48】
除毛組成物を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項1】
推進剤により装置から吐出される液体を保持する、加圧されたまたは加圧可能な容器を備えるエアゾールスプレー装置用のスプレー吐出アセンブリであって、
前記スプレー吐出アセンブリは、前記容器内の流体とノズルとの間の流体流路内に挿入されるように構成されており、
前記スプレー吐出アセンブリは、
(i)少なくとも1つの入口と1つの出口とを有する進入路と、
(ii)前記進入路に向かって吐出される流体を供給するための、前記ノズルからの液体吐出方向において前記進入路の上流にある流管と、
(iii)前記流管からの流体が通過し、前記進入路へその入口を経由して噴流として噴出する少なくとも1つの噴出開口と、
(iv)前記進入路からの流体がその出口を経由して流入し、前記ノズルからスプレーとなって噴出する吐出開口と、
を含み、
前記進入路の出口は鋭い端部で囲まれ、かつ前記噴出開口は前記噴流を前記端部へ向かわせるように構成されている、スプレー吐出アセンブリ。
【請求項2】
前記進入路は円筒形であり、0.5〜3mmの直径と0.2〜2mmの軸長とを有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記進入路はその軸長に等しい直径を有する、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記進入路の直径と軸長はいずれも約1mmである、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記吐出開口は円筒形であり、0.1〜0.75mmの均一な直径と、前記直径の2〜12倍の長さとを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記吐出開口は0.20〜0.50mmの直径を有する、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記吐出開口の直径は約0.3mmである、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記噴出開口を複数備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記噴出開口を3〜6個備える請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記噴出開口を4個備える請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記噴出開口は0.1〜0.5mmの直径を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記噴出開口は0.25mmの直径を有する、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記鋭い端部は、少なくとも270度の優角を持つ、請求項1〜12のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記鋭い端部は、270〜330度の優角を持つ、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記鋭い端部は、前記進入路の内部に対して約270度の角度を持つ、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記鋭い端部は、内部に前記吐出開口が少なくとも部分的に形成された円錐形突起の頂点に設けられている、請求項1〜15のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記鋭い端部における任意の曲率半径は100マイクロメートルより小さい、請求項1〜16のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記鋭い端部における任意の曲率半径は25マイクロメートルより小さい、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
温度25℃および圧力が少なくとも50バールにおいて気体である気体推進剤により、前記装置から吐出される液体を保持する加圧容器を備えるエアゾールスプレー装置のために、
前記流管は流管内に泡で充満された流れを生成するために、前記容器から取得される液体のための入口と気体のための入口と、を有し、
前記流管は前記泡で充満された流れが前記噴出開口まで実質的に擾乱のない流れとなるように構成されている、請求項1〜18のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記流管への前記ガスの入口は、ガス抽気口であり、前記流管への前記液体入口の下流に設けられている、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記流管は均一な円筒断面をしており、前記ガス抽気口と前記噴出開口の上流端部との間の距離は、前記流管の直径の5〜40倍である、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記ガス抽気口と前記噴出開口の上流端部との距離は前記流管の直径の5〜15倍である、請求項21に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記ガス抽気口は0.1〜0.5mmの直径を有する、請求項20〜22のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記ガス抽気口は0.15〜0.25mmの直径を有する、請求項23に記載のアセンブリ。
【請求項25】
容器内の推進剤により吐出される液体を保持する、加圧されたまたは加圧可能な容器と、請求項1〜18のいずれか1項に記載のスプレー吐出アセンブリと、を備える、エアゾールスプレー装置。
【請求項26】
前記推進剤は液化ガス推進剤である、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
温度25℃および少なくとも50バールの圧力において気体であるガス推進剤によって装置から吐出される液体を保持する加圧容器と、前記容器上に取付けられた請求項19〜24のいずれか1項に記載のスプレー吐出アセンブリと、を備える、エアゾールスプレー装置。
【請求項28】
前記流管に沿う前記流れをそれぞれに防止または可能とする、閉構成と開構成との間を選択的に操作可能であるバルブ構造をさらに備える、請求項25〜27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記バルブ構造は低損失バルブを含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記低損失バルブはボールバルブを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記低損失バルブはダックビルバルブを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記バルブ構造は、前記バルブ構造が開放されている場合、前記泡で充満された流れを実質的に変形させないようになっている、請求項27に従属する場合の請求項28に記載の装置。
【請求項33】
少なくとも前記バルブ構造が開放構成にある場合に、前記流管が、(a)前記液体入口を介して前記容器内の液体と連通し、かつ(b)前記容器の頂部空間内の加圧ガスと連通して、ガスが前記流管を介して液体流中に流出して泡で充満された流れを生成するように構成されている、請求項20に従属する場合の請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記流管は前記スプレー装置のバルブステム内に備えられている、請求項25〜33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記スプレー吐出アセンブリは、前記バルブ構造が閉じている第1の限界位置、および前記バルブ構造が開放されている第2の限界位置からの付勢力に抗して可動のバルブステムを備え、
前記流管は、少なくとも一部が共軸となっている前記バルブステム内に含まれる、請求項25〜27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記バルブステムの下部は前記容器のハウジング内に位置し、前記ハウジングは軸方向に離間した第1と第2のシールを備え、前記第1のシールと第2のシールは、前記バルブステムが第1の位置にある場合は、前記第1のシールが前記流管の前記ガス入口を閉じ、かつ前記第2のシールが前記流管の前記液体入口を閉じ、前記バルブステムが第2の位置にある場合は、前記ガス入口が前記頂部空間と連通し、かつ前期液体入口が前記容器内の液体と連通するように配置されている、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記進入路と共軸な上部リセスおよび下部リセスが形成されたアクチュエータキャップを有し、
前記上部リセスおよび下部リセスは噴出開口が設けられた仕切りによって分離され、前記上部リセス内にはインサートが配置されて、吐出開口並びに前記仕切りと協働して前記進入路を画定するチャンバが組み込まれ、
前記流管は前記アクチュエータキャップの前記下部リセス内に配置されている、請求項25〜36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
前記第1および第2の入口は前記バルブステム内に備えられている、請求項34に記載の装置。
【請求項39】
前記バルブ構造は第1と第2のシールを備え、前記バルブの第1の位置において前記第1と第2の入口をそれぞれ閉鎖する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記バルブ構造は前記第1のシールを2つ備え、前記バルブステムの第1の位置においては、1つが前記第1の入口の上流にあり、1つがその下流にある、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記バルブ構造は単一のシールを備え、かつ前第1と第2の入口は前記単一のシールで閉鎖されるように構成されている、請求項38に記載の装置。
【請求項42】
前記バルブステムの下部はハウジング内部にあり、前記シールまたは各シールは前記ハウジング上に取付けられて、前記バルブステムと相対的に摺動係合する、請求項38に記載の装置。
【請求項43】
前記ハウジングの一部分が前記第2の入口の領域で前記バルブステムの周りに係合する、請求項41に従属する場合の請求項42に記載の装置。
【請求項44】
医薬品、農薬、香料、空気清浄剤、臭気中和剤、殺菌剤、光沢剤、殺虫剤、除毛剤(チオグリコール酸カルシウムなど)、脱毛剤、化粧品、脱臭剤、制汗剤、抗菌剤、抗アレルギー化合物、及びこれらの2つ以上の混合物からなる群より選択される物質を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項45】
薬用組成物を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項46】
香料組成物を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項47】
臭気中和組成物を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項48】
除毛組成物を含む、請求項25〜43のいずれか1項に記載の装置。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−510715(P2013−510715A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539413(P2012−539413)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051914
【国際公開番号】WO2011/061531
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(512092221)ザ ユニバーシティ オブ サルフォード (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051914
【国際公開番号】WO2011/061531
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(512092221)ザ ユニバーシティ オブ サルフォード (3)
【Fターム(参考)】
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