スプレー容器のノズル安全装置
【課題】小形で噴射方向の確認が容易であり、必要なときにワンタッチで噴射でき、しかも、誤噴射の発生を少なくして安全装置としての機能を高めることができるスプレー容器のノズル安全装置を提供する。
【解決手段】容器本体２の上端部に、ノズル４とこのノズル４の周囲を囲む保護筒５を設け、前記保護筒５がノズル４を押下げるための指先が嵌まる操作用開放部７を備え、前記保護筒５の上端部に、伏倒させた閉蓋状態でノズル４の押下げができないように操作用開放部７の上部を覆い、起立させた開蓋状態でノズル４の押下げが可能になるよう操作用開放部７の上部を開放する蓋部材８を起伏動可能に設け、伏倒させた蓋部材８の閉蓋状態を一対の係合部９で弾力的に保持するようにした。
【解決手段】容器本体２の上端部に、ノズル４とこのノズル４の周囲を囲む保護筒５を設け、前記保護筒５がノズル４を押下げるための指先が嵌まる操作用開放部７を備え、前記保護筒５の上端部に、伏倒させた閉蓋状態でノズル４の押下げができないように操作用開放部７の上部を覆い、起立させた開蓋状態でノズル４の押下げが可能になるよう操作用開放部７の上部を開放する蓋部材８を起伏動可能に設け、伏倒させた蓋部材８の閉蓋状態を一対の係合部９で弾力的に保持するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、容器本体の内部に高圧ガスと共に流体を収納し、容器本体の上部に設けたノズルを指先で押下げることにより、内部流体を噴射するスプレー容器のノズル安全装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
ノズルから内部流体を噴射するスプレー容器は、殺虫剤、塗料、医薬液、美容液、護身用液等のエアゾール商品として一般に広く流通しているが、このようなスプレー容器において、噴射を必要としないときにノズルが誤って押下げられるのを防ぐため、容器本体の上部にノズル安全装置を設けるようにしている。
【０００３】
従来のノズル安全装置としては、容器本体の上部にノズルを覆うキャップを着脱可能に取付け、キャップを取外さないとノズルを押下げることができないようにしたものが一般的である（例えば、特許文献１参照）。
【０００４】
しかし、取り外し式のキャップは、これを取外した後でないとノズルを押すことができないので、ワンタッチ噴射が行えないだけでなく、取外したキャップを別に保管しなければならず、紛失の危惧がある。
【０００５】
このようなキャップ別体式のキャップにかかわる問題を解消するため、容器本体の上部にノズルを囲むようにこのノズルの上面よりも低い筒状の基体部を回転可能に取付け、前記基体部の上端部外周にヒンジを介してキャップを設け、このキャップを基体部に被せることによりノズルを覆って押せないようにし、キャップを基体部から外してノズルを露出させることにより、ノズルの押下げによる噴射を可能にした安全装置が提案されている（例えば、特許文献２参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】実開平６−６４７４７号公報
【特許文献２】特開平６−１３４５７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
ところで、上記した筒状の基体部にヒンジを介してキャップを設けた構造の安全装置は、キャップを紛失しないという利点はあるが、容器本体に対して基体部とキャップは回転可能になっているので、キャップを開く方向とノズルの噴射方向に何らの関連性がなく、キャップを開いた状態でノズルの向きをみて噴射方向を確認しなければならず、開いたキャップが噴射の邪魔になったり、急いで使用したい場合に噴射方向が定まらないという問題がある。
【０００８】
また、基体部が容器本体の胴部に外嵌する筒状で、キャップはこれを上から覆える構造になっているので、形状的に全体が大型化し、その分使用材料が多くなり、製作コストが高くつくという点で問題がある。
【０００９】
更に、キャップを開くと、基体部の上端よりも上方にノズルの上端が突出した構造となっているので、ノズルの噴射方向を示唆したり規制するものがなく、噴射方向が定まらないだけでなく、キャップを開けてしまえばノズルを直ぐに押せることになるので、誤噴射の発生する可能性が高く、安全装置としての機能が低いという問題がある。
【００１０】
そこで、この発明の課題は、小形で製作コストが安く、噴射方向の確認が容易でワンタッチで噴射でき、しかも、誤噴射の発生を少なくして安全装置としての機能を高めることができるスプレー容器のノズル安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記のような課題を解決するため、この発明は、容器本体の上端部に、押下げによって容器本体内の流体を噴射するノズルと、このノズルの周囲を囲む筒状でその上端がノズルの上面よりも上に位置する高さの保護筒を設け、前記保護筒が、周壁の一部でノズルの噴射孔と対応する位置に窓孔と、この保護筒の上端から周壁の窓孔と反対側の部分に、ノズルを押下げるための指先が嵌まる操作用開放部を備え、前記保護筒の上端部に、伏倒させた閉蓋状態でノズルの押下げができないように操作用開放部の上部を覆い、起立させた開蓋状態でノズルの押下げが可能になるよう操作用開放部の上部を開放する蓋部材を起伏動可能に設け、この蓋部材と保護筒の上面に、伏倒させた蓋部材の閉蓋状態を弾力的に保持する一対の係合部を設けたものである。
【００１２】
上記蓋部材は、保護筒の外径と略同径の円形に形成され、この蓋部材と保護筒が、合成樹脂を用い、保護筒における窓孔の上部位置で屈曲可能なヒンジを介して一体形成され、上記一対の係合部は、保護筒の上面で操作用開放部の内周に沿って設けた上向きの突条と、前記蓋部材の下面に設けられ、この蓋部材の閉蓋状態で前記突条の内側へ弾力的に嵌合する筒状部とで形成されている構造とすることができる。
【００１３】
ここで、上記保護筒は、容器本体の上部に押下げ可能に設けられたノズルのヘッドに対して内径が丁度外嵌する筒状となり、操作用開放部は、保護筒の上端から中底が上下寸法の中間部に達する深さを有し、保護筒の上端では指先が嵌る幅の平面Ｕ字状となり、周壁ではＵ字状の両端から中底に達するように開口し、この操作用開放部に指を挿入することで、中底の上に突出したヘッドでノズルを押下げることができるようになっている。
【００１４】
蓋部材を保護筒の上部に倒した閉蓋状態にすると、上記操作用開放部の上面が閉鎖され、この操作用開放部の周壁で開放する部分は狭くなるので、ノズルのヘッドを外部から押せないように覆うことになる。
【００１５】
また、操作用開放部の周壁で開放する部分から蓋部材を押し開くと、操作用開放部の上面が開放され、ヘッドでノズルを押下げることができ、このとき、指を挿入する操作用開放部とノズルの噴射孔とは位置関係が一定になっているので、操作用開放部の前後方向に指を沿わせることで、ノズルの噴射方向を知ることができる。
【発明の効果】
【００１６】
この発明によると、ノズルの周囲を囲む保護筒がノズルを押下げるための指先が嵌まる操作用開放部を備え、前記保護筒の上端部に操作用開放部の上部を開放する蓋部材を起伏動可能に設けたので、ノズルの上部を蓋部材で覆うことにより、操作用開放部に指先を挿入できないようにし、誤ってノズルが押下げられるのを防ぐことができ、誤噴射の発生を少なくして安全装置としての機能を高めることができると共に、指先で蓋部材を押上げればワンタッチで速やかに噴射が可能になる。
【００１７】
また、蓋部材は、ノズルよりも高い位置にあるので、噴射の邪魔にならないと共に、保護筒に形成した操作用開放部の指先を沿わせる方向とノズルの噴射孔の方向が一定になるので、噴射方向の確認が容易であり、噴射方向を間違うようなことがない。
【００１８】
更に、ノズルを囲む保護筒とその上部に設けた蓋部材で構成されているので、安全装置の小型化が可能になり、使用材料の削減により製作コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】この発明に係るノズル安全装置を設けたスプレー容器の正面図
【図２】（ａ）はノズル安全装置の蓋部材を閉蓋状態にした前面側から見た斜視図、（ｂ）は同じく蓋部材を閉蓋状態にした後面側から見た斜視図
【図３】ノズル安全装置の蓋部材を閉蓋状態にした要部切り欠き側面図
【図４】ノズル安全装置の蓋部材を開蓋状態にした後面側から見た斜視図
【図５】この発明に係るノズル安全装置を設けたスプレー容器を使用した噴射状態の要部切り欠き側面図
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【００２１】
図示のように、スプレー容器１は、容器本体２における上蓋３の上部中央に押下げ可能なノズル４と、このノズル４の周囲を囲む筒状で、上蓋３に対して上方に抜けないように取付けられ、前記ノズル４よりも高い高さの保護筒５を設け、前記ノズル４のヘッド４ａを押下げることにより、ガス圧が加わった内部の圧力流体を噴射孔から噴射するようになっている。
【００２２】
上記保護筒５は、図４のように、ノズル４のヘッド４ａに対して外嵌する筒状となり、その周壁５ａの一部でノズル４の噴射孔４ｂと対応する位置に窓孔６と、この保護筒５の上端から周壁５ａの窓孔６と反対側の部分に、ノズル４を押下げるための指先が嵌まる操作用開放部７を備え、前記ヘッド４ａの上面よりも上端が少し高い高さ寸法を有している。
【００２３】
上記保護筒５の周壁５ａにおける上端部に、操作用開放部７の上部を開閉する蓋部材８が起伏動可能に設けられ、この蓋部材８と保護筒５の上面に、伏倒させた蓋部材８の閉蓋状態を弾力的に保持する一対の係合部９が設けられている。
【００２４】
保護筒５に形成した操作用開放部７は、保護筒５の上端から中底５ｂが上下寸法の略中間部に達する深さを有し、保護筒５の上端では指先が嵌る幅の平面Ｕ字状となり、周壁５ａではＵ字状の両端から中底５ｂに達するように開口し、この操作用開放部７に指を挿入することで、中底５ｂの上に突出したヘッド４ａでノズル４を押下げることができるようになっている。
【００２５】
この操作用開放部７とノズル４の関係は、操作用開放部７の前後方向に対してノズル４の噴射孔４ｂがその前方に向く位置関係になっている。
【００２６】
上記蓋部材８は、保護筒５の周壁５ａにおける外径と略同径の円形に形成され、前記蓋部材８と保護筒５が、合成樹脂を用い、保護筒５における窓孔６の上部位置において屈曲可能なヒンジ１０を介して一体形成され、蓋部材８は、図３の実線のように、伏倒させた閉蓋状態でノズル４の押下げができないように操作用開放部７の上部を覆い、同図一点鎖線のように、起立させた開蓋状態でノズル４の押下げが可能になるよう操作用開放部７の上部を開放するようになっている。
【００２７】
上記一対の係合部９は、保護筒５における周壁５ａの上面で操作用開放部７の内周に沿って設けた上向きの平面Ｕ字状の突条９ａと、前記蓋部材８の下面に設けられ、この蓋部材８の閉蓋状態で前記突条９ａの内側へ弾力的に嵌合する筒状部９ｂとで形成され、閉蓋状態の蓋部材８は、操作用開放部７の位置から指先で跳ね上げるようにすれば、簡単に起立させた開蓋状態にすることができる。
【００２８】
上記のように、保護筒５をノズル４の外側を囲む筒状に形成することにより、全体の外形を小形化することができ、使用材料を削減できると共に、合成樹脂を用いて保護筒５と蓋部材８を一体成形することにより、構造の簡素化を図ることができ、コスト的に安価な安全装置となる。
【００２９】
なお、スプレー容器１を用いたエアゾール商品としては、殺虫剤、塗料、医薬液、美容液、護身用液等を例示することができ、大きさやデザインも、片手で持てる大型のものから鞄等に収納することのできる携帯用の小形まで、商品に合わせて選択することができる。
【００３０】
この発明のスプレー容器のノズル安全装置は、上記のような構成であり、スプレー容器１を使用しないときは、図１乃至図３のように、蓋部材８を保護筒５に向けて伏倒させ、操作用開放部７の上部を覆う閉蓋状態にしておく。
【００３１】
閉蓋状態にある蓋部材８は、保護筒５に設けた突条９ａに下面の筒状部９ｂが弾力的に嵌合することで閉蓋状態が保持され、この蓋部材８はノズル４の上部を覆うことにより、操作用開放部７に指先を挿入できないようにし、これにより、誤ってノズル４が押下げられるのを防ぐことができ、誤噴射の発生を少なくして安全装置としての機能を高めることができる。
【００３２】
また、流体を噴射する場合は、図５のように、容器本体２の胴部を片手で握り、握った手の人差し指で蓋部材８に対して、保護筒５の周壁５ａに開口する操作用開放部７に臨む部分を指先で押上げれば、突条９ａと筒状部９ｂの係合が外れることで蓋部材８は跳ね上がり、操作用開放部７の上部を開放した開蓋状態となり、前記人差し指を操作用開放部７に上から挿入してノズル４を押下げることができ、封入したガスの圧力で流体を噴射することになる。
【００３３】
このように、容器本体２の保持と蓋部材８の開蓋からノズル４の押下げまでがワンタッチとなり、流体の噴射が速やかに行え、緊急の噴射に対応することができる。
【００３４】
また、保護筒５に形成した操作用開放部７の前後方向に対してノズル４の噴射孔４ｂはその前方に向く位置関係になっているので、操作用開放部７に人差し指を挿入すれば、人差し指の指先を沿わせる方向とノズル４の噴射孔４ｂの方向が一定になり、噴射方向の確認が容易であり、噴射方向を間違うようなことがない。
【００３５】
更に、保護筒５はノズル４のヘッド４ａの上面よりも少し高い高さを有しているので、開蓋位置に跳ね上げた蓋部材８は、ノズルよりも高い位置に保たれるので、噴射の邪魔にならないという利点がある。
【符号の説明】
【００３６】
１ スプレー容器
２ 容器本体
３ 上蓋
４ ノズル
４ａ ヘッド
４ｂ 噴射孔
５ 保護筒
５ａ 周壁
６ 窓孔
７ 操作用開放部
８ 蓋部材
９ 係合部
９ａ 突条
９ｂ 筒状部
１０ ヒンジ
【技術分野】
【０００１】
この発明は、容器本体の内部に高圧ガスと共に流体を収納し、容器本体の上部に設けたノズルを指先で押下げることにより、内部流体を噴射するスプレー容器のノズル安全装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
ノズルから内部流体を噴射するスプレー容器は、殺虫剤、塗料、医薬液、美容液、護身用液等のエアゾール商品として一般に広く流通しているが、このようなスプレー容器において、噴射を必要としないときにノズルが誤って押下げられるのを防ぐため、容器本体の上部にノズル安全装置を設けるようにしている。
【０００３】
従来のノズル安全装置としては、容器本体の上部にノズルを覆うキャップを着脱可能に取付け、キャップを取外さないとノズルを押下げることができないようにしたものが一般的である（例えば、特許文献１参照）。
【０００４】
しかし、取り外し式のキャップは、これを取外した後でないとノズルを押すことができないので、ワンタッチ噴射が行えないだけでなく、取外したキャップを別に保管しなければならず、紛失の危惧がある。
【０００５】
このようなキャップ別体式のキャップにかかわる問題を解消するため、容器本体の上部にノズルを囲むようにこのノズルの上面よりも低い筒状の基体部を回転可能に取付け、前記基体部の上端部外周にヒンジを介してキャップを設け、このキャップを基体部に被せることによりノズルを覆って押せないようにし、キャップを基体部から外してノズルを露出させることにより、ノズルの押下げによる噴射を可能にした安全装置が提案されている（例えば、特許文献２参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】実開平６−６４７４７号公報
【特許文献２】特開平６−１３４５７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
ところで、上記した筒状の基体部にヒンジを介してキャップを設けた構造の安全装置は、キャップを紛失しないという利点はあるが、容器本体に対して基体部とキャップは回転可能になっているので、キャップを開く方向とノズルの噴射方向に何らの関連性がなく、キャップを開いた状態でノズルの向きをみて噴射方向を確認しなければならず、開いたキャップが噴射の邪魔になったり、急いで使用したい場合に噴射方向が定まらないという問題がある。
【０００８】
また、基体部が容器本体の胴部に外嵌する筒状で、キャップはこれを上から覆える構造になっているので、形状的に全体が大型化し、その分使用材料が多くなり、製作コストが高くつくという点で問題がある。
【０００９】
更に、キャップを開くと、基体部の上端よりも上方にノズルの上端が突出した構造となっているので、ノズルの噴射方向を示唆したり規制するものがなく、噴射方向が定まらないだけでなく、キャップを開けてしまえばノズルを直ぐに押せることになるので、誤噴射の発生する可能性が高く、安全装置としての機能が低いという問題がある。
【００１０】
そこで、この発明の課題は、小形で製作コストが安く、噴射方向の確認が容易でワンタッチで噴射でき、しかも、誤噴射の発生を少なくして安全装置としての機能を高めることができるスプレー容器のノズル安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記のような課題を解決するため、この発明は、容器本体の上端部に、押下げによって容器本体内の流体を噴射するノズルと、このノズルの周囲を囲む筒状でその上端がノズルの上面よりも上に位置する高さの保護筒を設け、前記保護筒が、周壁の一部でノズルの噴射孔と対応する位置に窓孔と、この保護筒の上端から周壁の窓孔と反対側の部分に、ノズルを押下げるための指先が嵌まる操作用開放部を備え、前記保護筒の上端部に、伏倒させた閉蓋状態でノズルの押下げができないように操作用開放部の上部を覆い、起立させた開蓋状態でノズルの押下げが可能になるよう操作用開放部の上部を開放する蓋部材を起伏動可能に設け、この蓋部材と保護筒の上面に、伏倒させた蓋部材の閉蓋状態を弾力的に保持する一対の係合部を設けたものである。
【００１２】
上記蓋部材は、保護筒の外径と略同径の円形に形成され、この蓋部材と保護筒が、合成樹脂を用い、保護筒における窓孔の上部位置で屈曲可能なヒンジを介して一体形成され、上記一対の係合部は、保護筒の上面で操作用開放部の内周に沿って設けた上向きの突条と、前記蓋部材の下面に設けられ、この蓋部材の閉蓋状態で前記突条の内側へ弾力的に嵌合する筒状部とで形成されている構造とすることができる。
【００１３】
ここで、上記保護筒は、容器本体の上部に押下げ可能に設けられたノズルのヘッドに対して内径が丁度外嵌する筒状となり、操作用開放部は、保護筒の上端から中底が上下寸法の中間部に達する深さを有し、保護筒の上端では指先が嵌る幅の平面Ｕ字状となり、周壁ではＵ字状の両端から中底に達するように開口し、この操作用開放部に指を挿入することで、中底の上に突出したヘッドでノズルを押下げることができるようになっている。
【００１４】
蓋部材を保護筒の上部に倒した閉蓋状態にすると、上記操作用開放部の上面が閉鎖され、この操作用開放部の周壁で開放する部分は狭くなるので、ノズルのヘッドを外部から押せないように覆うことになる。
【００１５】
また、操作用開放部の周壁で開放する部分から蓋部材を押し開くと、操作用開放部の上面が開放され、ヘッドでノズルを押下げることができ、このとき、指を挿入する操作用開放部とノズルの噴射孔とは位置関係が一定になっているので、操作用開放部の前後方向に指を沿わせることで、ノズルの噴射方向を知ることができる。
【発明の効果】
【００１６】
この発明によると、ノズルの周囲を囲む保護筒がノズルを押下げるための指先が嵌まる操作用開放部を備え、前記保護筒の上端部に操作用開放部の上部を開放する蓋部材を起伏動可能に設けたので、ノズルの上部を蓋部材で覆うことにより、操作用開放部に指先を挿入できないようにし、誤ってノズルが押下げられるのを防ぐことができ、誤噴射の発生を少なくして安全装置としての機能を高めることができると共に、指先で蓋部材を押上げればワンタッチで速やかに噴射が可能になる。
【００１７】
また、蓋部材は、ノズルよりも高い位置にあるので、噴射の邪魔にならないと共に、保護筒に形成した操作用開放部の指先を沿わせる方向とノズルの噴射孔の方向が一定になるので、噴射方向の確認が容易であり、噴射方向を間違うようなことがない。
【００１８】
更に、ノズルを囲む保護筒とその上部に設けた蓋部材で構成されているので、安全装置の小型化が可能になり、使用材料の削減により製作コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】この発明に係るノズル安全装置を設けたスプレー容器の正面図
【図２】（ａ）はノズル安全装置の蓋部材を閉蓋状態にした前面側から見た斜視図、（ｂ）は同じく蓋部材を閉蓋状態にした後面側から見た斜視図
【図３】ノズル安全装置の蓋部材を閉蓋状態にした要部切り欠き側面図
【図４】ノズル安全装置の蓋部材を開蓋状態にした後面側から見た斜視図
【図５】この発明に係るノズル安全装置を設けたスプレー容器を使用した噴射状態の要部切り欠き側面図
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【００２１】
図示のように、スプレー容器１は、容器本体２における上蓋３の上部中央に押下げ可能なノズル４と、このノズル４の周囲を囲む筒状で、上蓋３に対して上方に抜けないように取付けられ、前記ノズル４よりも高い高さの保護筒５を設け、前記ノズル４のヘッド４ａを押下げることにより、ガス圧が加わった内部の圧力流体を噴射孔から噴射するようになっている。
【００２２】
上記保護筒５は、図４のように、ノズル４のヘッド４ａに対して外嵌する筒状となり、その周壁５ａの一部でノズル４の噴射孔４ｂと対応する位置に窓孔６と、この保護筒５の上端から周壁５ａの窓孔６と反対側の部分に、ノズル４を押下げるための指先が嵌まる操作用開放部７を備え、前記ヘッド４ａの上面よりも上端が少し高い高さ寸法を有している。
【００２３】
上記保護筒５の周壁５ａにおける上端部に、操作用開放部７の上部を開閉する蓋部材８が起伏動可能に設けられ、この蓋部材８と保護筒５の上面に、伏倒させた蓋部材８の閉蓋状態を弾力的に保持する一対の係合部９が設けられている。
【００２４】
保護筒５に形成した操作用開放部７は、保護筒５の上端から中底５ｂが上下寸法の略中間部に達する深さを有し、保護筒５の上端では指先が嵌る幅の平面Ｕ字状となり、周壁５ａではＵ字状の両端から中底５ｂに達するように開口し、この操作用開放部７に指を挿入することで、中底５ｂの上に突出したヘッド４ａでノズル４を押下げることができるようになっている。
【００２５】
この操作用開放部７とノズル４の関係は、操作用開放部７の前後方向に対してノズル４の噴射孔４ｂがその前方に向く位置関係になっている。
【００２６】
上記蓋部材８は、保護筒５の周壁５ａにおける外径と略同径の円形に形成され、前記蓋部材８と保護筒５が、合成樹脂を用い、保護筒５における窓孔６の上部位置において屈曲可能なヒンジ１０を介して一体形成され、蓋部材８は、図３の実線のように、伏倒させた閉蓋状態でノズル４の押下げができないように操作用開放部７の上部を覆い、同図一点鎖線のように、起立させた開蓋状態でノズル４の押下げが可能になるよう操作用開放部７の上部を開放するようになっている。
【００２７】
上記一対の係合部９は、保護筒５における周壁５ａの上面で操作用開放部７の内周に沿って設けた上向きの平面Ｕ字状の突条９ａと、前記蓋部材８の下面に設けられ、この蓋部材８の閉蓋状態で前記突条９ａの内側へ弾力的に嵌合する筒状部９ｂとで形成され、閉蓋状態の蓋部材８は、操作用開放部７の位置から指先で跳ね上げるようにすれば、簡単に起立させた開蓋状態にすることができる。
【００２８】
上記のように、保護筒５をノズル４の外側を囲む筒状に形成することにより、全体の外形を小形化することができ、使用材料を削減できると共に、合成樹脂を用いて保護筒５と蓋部材８を一体成形することにより、構造の簡素化を図ることができ、コスト的に安価な安全装置となる。
【００２９】
なお、スプレー容器１を用いたエアゾール商品としては、殺虫剤、塗料、医薬液、美容液、護身用液等を例示することができ、大きさやデザインも、片手で持てる大型のものから鞄等に収納することのできる携帯用の小形まで、商品に合わせて選択することができる。
【００３０】
この発明のスプレー容器のノズル安全装置は、上記のような構成であり、スプレー容器１を使用しないときは、図１乃至図３のように、蓋部材８を保護筒５に向けて伏倒させ、操作用開放部７の上部を覆う閉蓋状態にしておく。
【００３１】
閉蓋状態にある蓋部材８は、保護筒５に設けた突条９ａに下面の筒状部９ｂが弾力的に嵌合することで閉蓋状態が保持され、この蓋部材８はノズル４の上部を覆うことにより、操作用開放部７に指先を挿入できないようにし、これにより、誤ってノズル４が押下げられるのを防ぐことができ、誤噴射の発生を少なくして安全装置としての機能を高めることができる。
【００３２】
また、流体を噴射する場合は、図５のように、容器本体２の胴部を片手で握り、握った手の人差し指で蓋部材８に対して、保護筒５の周壁５ａに開口する操作用開放部７に臨む部分を指先で押上げれば、突条９ａと筒状部９ｂの係合が外れることで蓋部材８は跳ね上がり、操作用開放部７の上部を開放した開蓋状態となり、前記人差し指を操作用開放部７に上から挿入してノズル４を押下げることができ、封入したガスの圧力で流体を噴射することになる。
【００３３】
このように、容器本体２の保持と蓋部材８の開蓋からノズル４の押下げまでがワンタッチとなり、流体の噴射が速やかに行え、緊急の噴射に対応することができる。
【００３４】
また、保護筒５に形成した操作用開放部７の前後方向に対してノズル４の噴射孔４ｂはその前方に向く位置関係になっているので、操作用開放部７に人差し指を挿入すれば、人差し指の指先を沿わせる方向とノズル４の噴射孔４ｂの方向が一定になり、噴射方向の確認が容易であり、噴射方向を間違うようなことがない。
【００３５】
更に、保護筒５はノズル４のヘッド４ａの上面よりも少し高い高さを有しているので、開蓋位置に跳ね上げた蓋部材８は、ノズルよりも高い位置に保たれるので、噴射の邪魔にならないという利点がある。
【符号の説明】
【００３６】
１ スプレー容器
２ 容器本体
３ 上蓋
４ ノズル
４ａ ヘッド
４ｂ 噴射孔
５ 保護筒
５ａ 周壁
６ 窓孔
７ 操作用開放部
８ 蓋部材
９ 係合部
９ａ 突条
９ｂ 筒状部
１０ ヒンジ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
容器本体の上端部に、押下げによって容器本体内の流体を噴射するノズルと、このノズルの周囲を囲む筒状でその上端がノズルの上面よりも上に位置する高さの保護筒を設け、前記保護筒が、周壁の一部でノズルの噴射孔と対応する位置に窓孔と、この保護筒の上端から周壁の窓孔と反対側の部分に、ノズルを押下げるための指先が嵌まる操作用開放部を備え、
前記保護筒の上端部に、伏倒させた閉蓋状態でノズルの押下げができないように操作用開放部の上部を覆い、起立させた開蓋状態でノズルの押下げが可能になるよう操作用開放部の上部を開放する蓋部材を起伏動可能に設け、この蓋部材と保護筒の上面に、伏倒させた蓋部材の閉蓋状態を弾力的に保持する一対の係合部を設けたスプレー容器のノズル安全装置。
【請求項２】
上記蓋部材は、保護筒の外径と略同径の円形に形成され、この蓋部材と保護筒が、合成樹脂を用い、保護筒における窓孔の上部位置で屈曲可能なヒンジを介して一体形成され、上記一対の係合部は、保護筒の上面で操作用開放部の内周に沿って設けた上向きの突条と、前記蓋部材の下面に設けられ、この蓋部材の閉蓋状態で前記突条の内側へ弾力的に嵌合する筒状部とで形成されている請求項１に記載のスプレー容器のノズル安全装置。
【請求項１】
容器本体の上端部に、押下げによって容器本体内の流体を噴射するノズルと、このノズルの周囲を囲む筒状でその上端がノズルの上面よりも上に位置する高さの保護筒を設け、前記保護筒が、周壁の一部でノズルの噴射孔と対応する位置に窓孔と、この保護筒の上端から周壁の窓孔と反対側の部分に、ノズルを押下げるための指先が嵌まる操作用開放部を備え、
前記保護筒の上端部に、伏倒させた閉蓋状態でノズルの押下げができないように操作用開放部の上部を覆い、起立させた開蓋状態でノズルの押下げが可能になるよう操作用開放部の上部を開放する蓋部材を起伏動可能に設け、この蓋部材と保護筒の上面に、伏倒させた蓋部材の閉蓋状態を弾力的に保持する一対の係合部を設けたスプレー容器のノズル安全装置。
【請求項２】
上記蓋部材は、保護筒の外径と略同径の円形に形成され、この蓋部材と保護筒が、合成樹脂を用い、保護筒における窓孔の上部位置で屈曲可能なヒンジを介して一体形成され、上記一対の係合部は、保護筒の上面で操作用開放部の内周に沿って設けた上向きの突条と、前記蓋部材の下面に設けられ、この蓋部材の閉蓋状態で前記突条の内側へ弾力的に嵌合する筒状部とで形成されている請求項１に記載のスプレー容器のノズル安全装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１２−６２０９０（Ｐ２０１２−６２０９０Ａ）
【公開日】平成２４年３月２９日（２０１２．３．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２０８００１（Ｐ２０１０−２０８００１）
【出願日】平成２２年９月１６日（２０１０．９．１６）
【出願人】（５０３４４７１９５）株式会社吉商 (1)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年３月２９日（２０１２．３．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年９月１６日（２０１０．９．１６）
【出願人】（５０３４４７１９５）株式会社吉商 (1)
【Ｆターム（参考）】
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