説明

スプレー容器用ノズルキャップ

【課題】スプレー容器の内容物を取り出すために、スプレー容器に装着するスプレー容器用ノズルキャップにおいて、廃棄時等に取り外しが容易に行うことのできるキャップを提案する。
【解決手段】本発明によるスプレー容器用ノズルキャップは、スプレー容器上部に取り外し可能に装着する略円筒状の本体と、 前記本体に設けた、前記スプレー容器内の内容物を放出させるノズルとを具え、前記本体の内面に、その周方向に、前記スプレー容器上部に設けた略環状のマウンテンカップの外周部と係合する突起を、前記本体内面の周方向にほぼ180°以下の範囲で設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアスプレーなどに用いるスプレー容器に装着して、その内容物を放出させるためのノズルを有するノズルキャップに関するものであり、特にスプレー容器を廃棄等する際に、スプレー容器から取り外し可能として分別回収を可能としたものである。
【背景技術】
【0002】
図6および図7は、かかるノズルキャップの一例を示すものである。このノズルキャップ100はスプレー容器Sの上部に装着したものであり、略円筒状の本体101と、スプレー容器Sの内容物を放出させるためのノズル102とを具える。
【0003】
図7に詳細に示すように、本体101の内側には、その周方向に突条103が全周に亘って設けられており、ノズルキャップ100をスプレー容器Sに装着した際には、この突条103はスプレー容器S頭部に設けられた環状のマウンテンカップCの周縁部Eと係合する。それによってノズルキャップ100はスプレー容器Sに固定されることとなる。
【0004】
通常、本ノズルキャップ100は樹脂製であり、一方スプレー容器Sは金属製である。そのため、近年の廃棄物の分別収集の要請から、使用後に廃棄する場合には両者を分離する必要がある。ところが、上述したような構造では、ノズルキャップをスプレー容器から取り外すのは必ずしも容易ではない。特にこのノズルキャップがヘアスプレー等の家庭用品に用いられる場合、女性や老人が容易にキャップをスプレー容器から取り外すことができるような構造にすることが望まれる。
【0005】
なお、この他にスプレー容器に着脱自在に取り付けたキャップの例として、特許文献1〜3に記載されているものがある。これら文献に開示されたキャップは、いずれも内面に複数の突起や係合片を周方向に配置し、これら突起または係合片をスプレー容器本体のマウンテンカップと係合させることによりキャップをスプレー容器本体に取り付けるものである。これら文献に開示されたキャップは、前述したノズルキャップ100よりも取り外しが幾分容易になるものの、突起または係合片が全周に亘って配置されているため、女性や老人にとっては依然として取り外しには困難が伴う。
【特許文献1】実開昭51-81408号公報
【特許文献2】実開昭51-81409号公報
【特許文献3】実開昭51-99804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するものであり、スプレー容器から比較的容易に取り外すことのできる、スプレー容器用のノズルキャップを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、スプレー容器上部に取り外し可能に装着する略円筒状の本体と、前記本体に設けた、前記スプレー容器内の内容物を放出させるノズルとを具えるスプレー容器用ノズルキャップにおいて、前記本体の内面に、その周方向に、前記スプレー容器上部に設けた略環状のマウンテンカップの外周部と係合する突起を、前記本体内面の周方向にほぼ180 °以下の範囲で設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるスプレー容器用ノズルキャップは、スプレー容器と係合する突起を、キャップ本体内面の全体ではなく、所定の範囲でのみ設けている。そのため、通常はスプレー容器との係合状態を確保しつつ、廃棄時の取り外しが比較的容易に行うことができる。これは、ノズルキャップを取り外す際に、キャップの突起が設けられていない側を持ち上げると、スプレー容器と係合している突起が支点としての働きをなすからである。前記所定の範囲としては、本体内面の周方向にほぼ180°以下することが望ましく、また、より好適には115°〜180°の範囲とする。
【0009】
また本発明によるスプレー容器用ノズルキャップにおいては、スプレー容器と係合する前記突起を、ノズルキャップ本体内面に沿って設けた連続的な突条としても良く、また所定の間隔で連続的に設けた多数の突片としても良い。いずれの場合も、スプレー容器との係合を確実にすると共に廃棄時の取り外しが容易となる。
【0010】
さらに本発明によるスプレー容器用ノズルキャップにおいては、本体内面の、前記突起が設けられていない残りの箇所の前記マウンテンカップ側面と接触する部分に、その周方向に段差を設け、前記接触部分と前記マウンテンカップ側面との接触面積を減少させることが好適である。それによって、廃棄時におけるノズルキャップの取り外しがさらに容易なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0012】
図1〜図3は、本発明によるスプレー容器用ノズルキャップの第一の実施形態を示すものである。本ノズルキャップ10はスプレー容器Sの上部に装着したものであり、略円筒状の本体11と、スプレー容器Sの内容物を放出させるためのノズル12とを具える。
【0013】
本ノズルキャップ10の本体11内面には、その周方向に連続的な突条13が設けられている。図1(b)に示すように、突条13は、本体11の内面に沿って115°の範囲で設けられている。これは、後述するように、本ノズルキャップ10のスプレー容器Sからの取り外しを容易にするためである。なお、この突条13を設ける範囲は、ノズルキャップ10のスプレー容器Sへの固定が確保できる限り、ほぼ180°以下の範囲であれば良い。
【0014】
図2は、図1(a)の円で囲んだ部分A,Bをそれぞれ拡大して示すものである。図2(a)に示すように、ノズルキャップ10の本体11中の突条13が設けられている部分は、この突条13とスプレー容器Sの頭部に設けられたマウンテンカップCの周縁部Eと係合している。一方図2(b)に示すように突条13が設けられていない部分では、ノズルキャップ10の本体11はスプレー容器SのマウンテンカップCに単に被さっているだけである。
【0015】
図3は、本ノズルキャップ10をスプレー容器Sから取り外す状態を示すものである。ノズルキャップ10を取り外す際には、図示のように、ノズルキャップ10の、突条13が設けられていない部分を矢印の方向に持ち上げる。このとき、スプレー容器SのマウンテンカップCと係合している突条13が、てこの支点の役割を果たし、それによってノズルキャップ10の取り外しを容易に行うことができるようになる。なお、図には示されていないが、取り外しのための操作を行う箇所を使用者に明示するために、ノズルキャップ10の本体11表面、あるいはスプレー容器S表面に何らかの印を付すことが望ましい。
【0016】
また、本ノズルキャップ10においては、図1(a)の円で囲んだ部分Bおよび図2(b)に示すように、本体11内側の突条13を設けていない部分に段差14を形成して、ノズルキャップ本体11の内面とマウンテンカップCの側面とが接触しない部分を設けることにより、ノズルキャップ本体11がマウンテンカップCの側面と接触する面積を減少させている。それによって、ノズルキャップ10の取り外しがより簡単に行えるようにしている。
【0017】
なお、ノズルキャップ本体11とマウンテンカップCとの接触面積を規定することとなる、ノズルキャップ本体11下端部から段差14までの長さxは、スプレー容器Sの大きさやノズルキャップ10の材質等に応じて、不用意に外れたりすることが無く、その一方で取り外しが容易に行えるように適宜設定するものとする。
【0018】
図4および図5は、本発明によるスプレー容器用ノズルキャップの第二の実施形態を示すものである。スプレー容器Sの上部に装着した本ノズルキャップ20も、略円筒状の本体21と、スプレー容器Sの内容物を放出させるためのノズル22を具える。
【0019】
本ノズルキャップ20の本体21内面には、その周方向にほぼ180°の範囲に所定の間隔で多数の突片23が設けられている。本ノズルキャップ20においても、そのスプレー容器Sからの取り外しを容易にするために、突片23をこのような配置としたものである。言うまでもないが、突片23を設ける範囲は、180°以下であれば良い。
【0020】
図5は、図4の円で囲んだ部分A,Bをそれぞれ拡大して示すものである。図5(a)に示すように、ノズルキャップ20の本体21中の突片23が設けられている部分は、この突片23とスプレー容器Sの頭部に設けられたマウンテンカップCの周縁部Eと係合している。一方図5(b)に示すように突片23が設けられていない部分では、ノズルキャップ20の本体21はスプレー容器SのマウンテンカップCに単に被さっているだけである。
【0021】
本ノズルキャップ20においても、前述した例と同様、スプレー容器Sから取り外す際には、ノズルキャップ20の、突片23が設けられていない部分を持ち上げれば良い。この場合も、スプレー容器SのマウンテンカップCと係合している突片23がてこの支点の役割を果たし、それによってノズルキャップ20の取り外しが容易に行えることとなる。
【0022】
さらに、このノズルキャップ20においても、前述したノズルキャップ10と同様、図4(a)の円で囲んだ部分Bおよび図5(b)に示すように、本体21内側の突条23を設けていない部分に段差24を形成してノズルキャップ本体21の内面とマウンテンカップCの側面とが接触しない部分を設けることにより、ノズルキャップ本体21の内面がマウンテンカップCの側面と接触する面積を減少させている。それによって、ノズルキャップ20の取り外しがより簡単に行えるようにしている。
【0023】
この例においても、ノズルキャップ本体21とマウンテンカップCとの接触面積を規定することとなる、ノズルキャップ本体21下端部から段差24までの長さxは、スプレー容器Sの大きさやノズルキャップ20の材質等に応じて、不用意に外れたりすることが無く、その一方で取り外しが容易に行えるように適宜設定するものとする。
【0024】
なお、上述したいずれの実施形態においても、突起を設ける部分の範囲は、115°〜180°とするのが特に好適である。その理由は、突起を設ける範囲を前記範囲以下とした場合、ノズルキャップとマウンテンカップとが係合する範囲が小さくなり、ノズルキャップが外れやすくなる可能性があること、また、前記範囲以上とした場合には、逆にノズルキャップが取り外し難くなる可能性があることによる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上説明したように、本発明によるスプレー容器用ノズルキャップは、スプレー容器本体への固定を確保しつつ、廃棄等のための取り外しが容易に行うことが可能な構造を有する。そのため、女性や老人にも容易にキャップの取り外しが行うことができるようになるため、特にヘアスプレー等の家庭用品として好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるスプレー容器用ノズルキャップの第一の例を示す図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す図である。
【図3】図1のノズルキャップを取り外す状態を示す図である。
【図4】本発明によるスプレー容器用ノズルキャップの第二の例を示す図である。
【図5】図4の一部を拡大して示す図である。
【図6】従来のノズルキャップの一例を示す図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0027】
10,20,100 スプレー容器用ノズルキャップ
11,21,101 ノズルキャップ本体
12,22,102 ノズル
13,103 突条
14,24 段差
23 突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレー容器上部に取り外し可能に装着する略円筒状の本体と、
前記本体に設けた、前記スプレー容器内の内容物を放出させるノズルとを具えるスプレー容器用ノズルキャップにおいて、
前記本体の内面に、その周方向に、前記スプレー容器上部に設けた略環状のマウンテンカップの外周部と係合する突起を、前記本体内面の周方向にほぼ180°以下の範囲で設けたことを特徴とする、スプレー容器用ノズルキャップ
【請求項2】
請求項1記載のキャップにおいて、
前記突起を前記本体内面の周方向に115°〜180°の範囲で設けたことを特徴とする、スプレー容器用ノズルキャップ
【請求項3】
請求項1記載のキャップにおいて、
前記突起が、前記本体内面に沿って設けた連続的な突条であることを特徴とする、スプレー容器用ノズルキャップ。
【請求項4】
請求項1記載のキャップにおいて、
前記突起が、前記本体内面に沿って、所定の間隔で連続的に設けた多数の突片であることを特徴とする、スプレー容器用ノズルキャップ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項記載のキャップにおいて、
前記本体内面の、前記突起が設けられていない残りの箇所の前記マウンテンカップ側面と接触する部分に、その周方向に段差を設け、前記接触部分と前記マウンテンカップ側面との接触面積を減少させたことを特徴とする、スプレー容器用ノズルキャップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−43499(P2006−43499A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224050(P2004−224050)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】